以下、本発明の実施の態様について図面を用いて詳細に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることが可能である。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様である有機金属錯体およびその合成方法について説明する。具体的にはm−アミノフェニルピラジン誘導体並びに当該誘導体を第9族または第10族の金属イオンに配位した構造を有する有機金属錯体の合成方法について説明する。
≪一般式(G0)で表されるm−アミノフェニルピラジン誘導体の合成法≫
下記一般式(G0)で表されるm−アミノフェニルピラジン誘導体は、以下のような簡便な合成スキーム(a)、(a’)、または(a”)により合成できる。なお、合成スキーム(a)、(a’)、および(a”)において、Xはハロゲンを表す。
一般式(G0)において、R1は炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基または炭素数1〜5のアルコキシカルボニル基のいずれかを表す。また、R2及びR3はそれぞれ独立に水素または炭素数1〜4のアルキル基のいずれかを表す。また、R4〜R6はそれぞれ独立に水素、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、ハロゲン基、トリフルオロメチル基または炭素数6〜12のアリール基のいずれかを表す。また、R7及びR8はそれぞれ独立に炭素数1〜4のアルキル基または炭素数6〜12のアリール基のいずれかを表す。また、R7及びR8は炭素原子、酸素原子、硫黄原子または置換基を有する窒素原子を介して互いに連結して、置換もしくは無置換の5員環、または置換もしくは無置換の6員環を形成しても良い。
例えば、下記スキーム(a)に示すように、(A1)に示すm−アルコキシアリールのリチウム化合物またはGrignard試薬をピラジン化合物(A2)と反応させることにより得られる。
あるいはまた、下記スキーム(a’)に示すように、m−アルコキシフェニルボロン酸(A1’)とハロゲン化ピラジン化合物(A2’)とをカップリングすることにより得られる。
あるいはまた、下記スキーム(a’’)に示すように、m−アルコキシアリールのジケトン(A1’’)とジアミン(A2’’)を反応させることにより得られる。
上述の化合物(A1)、(A2)、(A1’)、(A2’)、(A1’’)、(A2’’)は、様々な種類が市販され、また合成が可能である。そのため、一般式(G0)で表されるメタアルコキシフェニルピラジン誘導体は、数多くの種類を合成することができる。したがって、本発明の一態様である有機金属錯体は、その配位子のバリエーションが豊富であり、燐光を発する効果を備えつつ、多様な発光特性を付与しうるという特徴がある。
≪一般式(G4)で表される本発明の一様態の有機金属錯体の合成法≫
次に、一般式(G0)で表されるm−アミノフェニルピラジン誘導体をオルトメタル化して形成される有機金属錯体、すなわち、下記一般式(G1)で表される有機金属錯体の合成法について、下記一般式(G4)で表される有機金属錯体と、一般式(G7)で表される有機金属錯体を用いた場合について説明する。
一般式(G1)、(G4)、(G7)において、R1は炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基または炭素数1〜5のアルコキシカルボニル基のいずれかを表す。また、R2及びR3はそれぞれ独立に水素または炭素数1〜4のアルキル基のいずれかを表す。また、R4〜R6はそれぞれ独立に水素、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、ハロゲン基、トリフルオロメチル基または炭素数6〜12のアリール基のいずれかを表す。また、R7及びR8はそれぞれ独立に炭素数1〜4のアルキル基または炭素数6〜12のアリール基のいずれかを表す。また、R7及びR8は炭素原子、酸素原子、硫黄原子または置換基を有する窒素原子を介して互いに連結して、置換もしくは無置換の5員環、または置換もしくは無置換の6員環を形成しても良い。また、Mは中心金属であり、第9族元素または第10族元素のいずれかを表す。また、一般式(G4)、(G7)において、前記中心金属が第9族元素である場合はn=2であり、第10族元素である場合はn=1である。さらに、一般式(G4)中、Lはモノアニオン性の配位子を表す。
まず、下記合成スキーム(b)に示すように、一般式(G0)で表されるm−アミノフェニルピラジン誘導体と、ハロゲンを含む第9族または第10族の金属化合物(金属ハロゲン化物や金属錯体)とをアルコール系溶媒(グリセロール、エチレングリコール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール)単独、あるいは上記アルコール系溶媒1種類以上と水との混合溶媒を加熱することにより、一般式(G1)で表される構造を有する有機金属錯体の一種である複核錯体(B)を得ることができる。
ハロゲンを含む第9族または第10族の金属化合物としては、塩化ロジウム水和物、塩化パラジウム、塩化イリジウム水和物、塩化イリジウム水和物塩酸塩、テトラクロロ白金(II)酸カリウム等を用いることができるが、これらに限定されるものではない。なお、下記合成スキーム(b)において、Mは第9族元素または第10族元素、Xはハロゲン元素を表す。また、Mが第9族元素である場合はn=2、Mが第10族元素である場合はn=1である。
つぎに、複核有機金属錯体(B)と、モノアニオン性の配位子の原料HLとを反応させ、一般式(G4)で表される有機金属錯体を得る(合成スキーム(c))。なお、合成スキーム(c)では、Mは第9族元素または第10族元素、Xはハロゲン元素を表す。また、Mが第9族元素である場合はn=2、Mが第10族元素である場合はn=1である。
一般式(G4)中におけるモノアニオン性の配位子(L)は、ベータジケトン構造を有するモノアニオン性の二座キレート配位子、またはカルボキシル基を有するモノアニオン性の二座キレート配位子、またはフェノール性水酸基を有するモノアニオン性の二座キレート配位子、または2つの配位元素がいずれも窒素であるモノアニオン性の二座キレート配位子のいずれかを用いることができる。
一般式(G4)中におけるモノアニオン性の配位子(L)は、下記構造式(L1)乃至(L8)のいずれかを用いることができる。
また、上記一般式(G7)で表される有機金属錯体は、下記合成スキーム(d)により合成することができる。すなわち、上記一般式(G7)で表される有機金属錯体は、一般式(G4)で表される有機金属錯体と、一般式(G0)で表されるm−アミノフェニルピラジン誘導体を、グリセリン等の高沸点溶媒中で、200℃程度の高温で加熱することにより得られる。なお、合成スキーム(d)では、Mは第9族元素または第10族元素、Xはハロゲン元素を表す。また、Mが第9族元素である場合はn=2、Mが第10族元素である場合はn=1である。
上記に合成方法の一例について説明したが、本発明の有機金属錯体の合成方法は、この方法に限られるものではない。
また、本発明の有機金属錯体は、中心金属M、モノアニオン性の配位子Lを適宜組み合わせることにより、多様な有機金属錯体を構成できる。以下に、本発明の一態様の有機金属錯体について、具体的な構造式を列挙する(下記構造式(100)〜(147))。ただし、本発明はこれらに限定されることはない。
なお、上記構造式(100)〜(147)で表される有機金属錯体には、配位子の種類によっては幾何異性体と立体異性体が存在しうるが、本発明の一様態の有機金属錯体にはこれらの異性体も全て含まれる。
また、上述した本発明の一態様である有機金属錯体は、項間交差が可能なため光増感剤として利用できる。また、燐光発光が可能であるため、発光材料や発光素子の発光物質として利用できる。
(実施の形態2)
本実施の形態では、本発明の一態様の有機金属錯体を発光層に用いて、発光素子を構成する態様について、図1を用いて説明する。
図1は、第1の電極101と第2の電極103との間に、EL層102を備える発光素子を示した図である。そして、EL層102に設けた発光層113には、本発明の一態様の有機金属錯体が含まれている。本実施の形態では、第1の電極101が陽極として機能し、第2の電極103が陰極として機能する場合について説明する。
図1に示す発光素子の第1の電極101に、第2の電極103に比べて高い電圧を印加すると、EL層102に第1の電極101側から正孔が注入され、第2の電極103側から電子が注入される。EL層102に注入された正孔と電子とが発光層113において再結合し、本発明の一態様の有機金属錯体を励起する。そして、励起状態の有機金属錯体が基底状態に戻る際に発光する。このように、本発明の一態様の有機金属錯体は発光素子において発光物質として機能する。
第1の電極101を陽極として用いる際は、仕事関数の大きい(具体的には4.0eV以上)金属、合金、導電性化合物、およびこれらの混合物などが好ましい。具体的には酸化インジウム酸化スズ混合酸化物、酸化インジウム酸化亜鉛混合酸化物、またはそれらの酸化物にシリコン若しくは酸化シリコンを含有したもの、または、金(Au)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)、タングステン(W)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、または金属材料の窒化物(例えば、窒化チタン)等が挙げられる。
なお、EL層102のうち、第1の電極101に接して形成される層が、後述する有機化合物と電子受容体(アクセプター)とを含む複合材料を用いて形成される場合には、第1の電極101に様々な金属、合金、導電性化合物、およびこれらの混合物などを、仕事関数の大小に関わらず用いることができる。例えば、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、アルミニウムを含む合金(たとえばAlSi)等も用いることもできる。
また、第1の電極101は、例えばスパッタリング法や蒸着法(真空蒸着法を含む)等により形成することができる。
第1の電極101上に形成されるEL層102は、本発明の一態様である有機金属錯体を含んだ発光層113を、少なくとも有していれば良い。EL層102の一部には公知の物質を用いることもでき、低分子系化合物および高分子系化合物のいずれを用いることもできる。
また図1に示すように、EL層102は発光層113の他、正孔注入性の高い物質を含んでなる正孔注入層111、正孔輸送性の高い物質を含んでなる正孔輸送層112、電子輸送性の高い物質を含んでなる電子輸送層114、電子注入性の高い物質を含んでなる電子注入層115などを適宜組み合わせて、積層して形成することができる。
正孔注入層111は、正孔注入性の高い物質を含む層である。正孔注入性の高い物質としては、モリブデン酸化物、チタン酸化物、バナジウム酸化物、レニウム酸化物、ルテニウム酸化物、クロム酸化物、ジルコニウム酸化物、ハフニウム酸化物、タンタル酸化物、銀酸化物、タングステン酸化物、マンガン酸化物等の金属酸化物を用いることができる。また、フタロシアニン(略称:H2Pc)、銅(II)フタロシアニン(略称:CuPc)、バナジルフタロシアニン(略称:VOPc)等のフタロシアニン系の化合物を用いることができる。
また、低分子の有機化合物である4,4’,4’’−トリス(N,N−ジフェニルアミノ)トリフェニルアミン(略称:TDATA)、4,4’,4’’−トリス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]トリフェニルアミン(略称:MTDATA)、4,4’−ビス[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:DPAB)、4,4’−ビス(N−{4−[N’−(3−メチルフェニル)−N’−フェニルアミノ]フェニル}−N−フェニルアミノ)ビフェニル(略称:DNTPD)、1,3,5−トリス[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ]ベンゼン(略称:DPA3B)、3−[N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−N−フェニルアミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCA1)、3,6−ビス[N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−N−フェニルアミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCA2)、3−[N−(1−ナフチル)−N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)アミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCN1)等の芳香族アミン化合物等を用いることができる。
さらに、高分子化合物を用いることもできる。例えば、ポリ(N−ビニルカルバゾール)(略称:PVK)、ポリ(4−ビニルトリフェニルアミン)(略称:PVTPA)、ポリ[N−(4−{N’−[4−(4−ジフェニルアミノ)フェニル]フェニル−N’−フェニルアミノ}フェニル)メタクリルアミド](略称:PTPDMA)、ポリ[N,N’−ビス(4−ブチルフェニル)−N,N’−ビス(フェニル)ベンジジン](略称:Poly−TPD)などの高分子化合物が挙げられる。また、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(スチレンスルホン酸)(PEDOT/PSS)、ポリアニリン/ポリ(スチレンスルホン酸)(PAni/PSS)等の酸を添加した高分子化合物を用いることができる。
また、正孔注入層111として、有機化合物と電子受容体(アクセプター)とを含む複合材料を用いてもよい。このような複合材料は、電子受容体によって有機化合物に正孔が発生するため、正孔注入性および正孔輸送性に優れている。この場合、有機化合物としては、発生した正孔の輸送に優れた材料(正孔輸送性の高い物質)であることが好ましい。
複合材料に用いる有機化合物としては、芳香族アミン化合物、カルバゾール誘導体、芳香族炭化水素等の低分子化合物、それら低分子化合物を基本骨格としたオリゴマー、デンドリマー、ポリマーなど、種々の化合物を用いることができる。なお、複合材料に用いる有機化合物としては、正孔輸送性の高い有機化合物であることが好ましい。具体的には、10−6cm2/Vs以上の正孔移動度を有する物質であることが好ましい。但し、電子よりも正孔の輸送性の高い物質であれば、これら以外のものを用いてもよい。以下では、複合材料に用いることのできる有機化合物を具体的に列挙する。
複合材料に用いることのできる有機化合物としては、例えば、TDATA、MTDATA、DPAB、DNTPD、DPA3B、PCzPCA1、PCzPCA2、PCzPCN1、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:NPB)、N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ジフェニル−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン(略称:TPD)等の芳香族アミン化合物や、4,4’−ジ(N−カルバゾリル)ビフェニル(略称:CBP)、1,3,5−トリス[4−(N−カルバゾリル)フェニル]ベンゼン(略称:TCPB)、9−[4−(N−カルバゾリル)]フェニル−10−フェニルアントラセン(略称:CzPA)、1,4−ビス[4−(N−カルバゾリル)フェニル]−2,3,5,6−テトラフェニルベンゼン等のカルバゾール誘導体を用いることができる。
また、2−tert−ブチル−9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:t−BuDNA)、2−tert−ブチル−9,10−ジ(1−ナフチル)アントラセン、9,10−ビス(3,5−ジフェニルフェニル)アントラセン(略称:DPPA)、2−tert−ブチル−9,10−ビス(4−フェニルフェニル)アントラセン(略称:t−BuDBA)、9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:DNA)、9,10−ジフェニルアントラセン(略称:DPAnth)、2−tert−ブチルアントラセン(略称:t−BuAnth)、9,10−ビス(4−メチル−1−ナフチル)アントラセン(略称:DMNA)、9,10−ビス[2−(1−ナフチル)フェニル]−2−tert−ブチルアントラセン、9,10−ビス[2−(1−ナフチル)フェニル]アントラセン、2,3,6,7−テトラメチル−9,10−ジ(1−ナフチル)アントラセン等の芳香族炭化水素化合物を用いることができる。
さらに、2,3,6,7−テトラメチル−9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン、9,9’−ビアントリル、10,10’−ジフェニル−9,9’−ビアントリル、10,10’−ビス(2−フェニルフェニル)−9,9’−ビアントリル、10,10’−ビス[(2,3,4,5,6−ペンタフェニル)フェニル]−9,9’−ビアントリル、アントラセン、テトラセン、ルブレン、ペリレン、2,5,8,11−テトラ(tert−ブチル)ペリレン、ペンタセン、コロネン、4,4’−ビス(2,2−ジフェニルビニル)ビフェニル(略称:DPVBi)、9,10−ビス[4−(2,2−ジフェニルビニル)フェニル]アントラセン(略称:DPVPA)等の芳香族炭化水素化合物を用いることができる。
また、電子受容体としては、7,7,8,8−テトラシアノ−2,3,5,6−テトラフルオロキノジメタン(略称:F4−TCNQ)、クロラニル等の有機化合物や、遷移金属酸化物を挙げることができる。また、元素周期表における第4族乃至第8族に属する金属の酸化物を挙げることができる。具体的には、酸化バナジウム、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化クロム、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化マンガン、酸化レニウムは電子受容性が高いため好ましい。中でも特に、酸化モリブデンは大気中でも安定であり、吸湿性が低く、扱いやすいため好ましい。
なお、上述したPVK、PVTPA、PTPDMA、Poly−TPD等の高分子化合物と、上述した電子受容体を用いて複合材料を形成し、正孔注入層111に用いてもよい。
正孔輸送層112は、正孔輸送性の高い物質を含む層である。正孔輸送性の高い物質としては、NPB、TPD、4,4’−ビス[N−(9,9−ジメチルフルオレン−2−イル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:DFLDPBi)、4,4’−ビス[N−(スピロ−9,9’−ビフルオレン−2−イル)−N―フェニルアミノ]ビフェニル(略称:BSPB)などの芳香族アミン化合物を用いることができる。ここに述べた物質は、主に10−6cm2/Vs以上の正孔移動度を有する物質である。但し、電子よりも正孔の輸送性の高い物質であれば、これら以外のものを用いてもよい。なお、正孔輸送性の高い物質を含む層は、単層のものだけでなく、上記物質からなる層が二層以上積層したものとしてもよい。
また、正孔輸送層112には、PVK、PVTPA、PTPDMA、Poly−TPDなどの高分子化合物を用いることもできる。
発光層113は、本発明の一態様である有機金属錯体を有機層(いわゆるホスト層)に分散させた層である。該有機金属錯体が分散しているため、濃度消光を防ぐができる。また、そのホスト層は、該有機金属錯体より大きい三重項励起エネルギーを有する物質で構成されている。そのため、該有機金属錯体から効率よく発光させることができる。なお、三重項励起エネルギーとは、基底状態と三重項励起状態とのエネルギー差である。
上記有機金属錯体を分散状態にするために用いるホスト層を構成する材料について、特に限定はないが、2,3−ビス(4−ジフェニルアミノフェニル)キノキサリン(略称:TPAQn)、NPBのようなアリールアミン骨格を有する化合物の他、CBP、4,4’,4’’−トリ(N−カルバゾリル)トリフェニルアミン(略称:TCTA)等のカルバゾール誘導体や、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ピリジナト]亜鉛(略称:Znpp2)、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンズオキサゾラト]亜鉛(略称:Zn(BOX)2)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(4−フェニルフェノラト)アルミニウム(略称:BAlq)、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Alq3)等の金属錯体が好ましい。また、PVKのような高分子化合物を用いることもできる。
電子輸送層114は、電子輸送性の高い物質を含む層である。電子輸送層114には、Alq3、トリス(4−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Almq3)、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリナト)ベリリウム(略称:BeBq2)、BAlq、Zn(BOX)2、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾチアゾラト]亜鉛(略称:Zn(BTZ)2)などの金属錯体が挙げられる。また、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(略称:PBD)、1,3−ビス[5−(p−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]ベンゼン(略称:OXD−7)、3−(4−tert−ブチルフェニル)−4−フェニル−5−(4−ビフェニリル)−1,2,4−トリアゾール(略称:TAZ)、3−(4−tert−ブチルフェニル)−4−(4−エチルフェニル)−5−(4−ビフェニリル)−1,2,4−トリアゾール(略称:p−EtTAZ)、バソフェナントロリン(略称:BPhen)、バソキュプロイン(略称:BCP)、4,4’−ビス(5−メチルベンゾオキサゾール−2−イル)スチルベン(略称:BzOs)などの複素芳香族化合物も用いることができる。また、ポリ(2,5−ピリジンジイル)(略称:PPy)、ポリ[(9,9−ジヘキシルフルオレン−2,7−ジイル)−co−(ピリジン−3,5−ジイル)](略称:PF−Py)、ポリ[(9,9−ジオクチルフルオレン−2,7−ジイル)−co−(2,2’−ビピリジン−6,6’−ジイル)](略称:PF−BPy)のような高分子化合物を用いることもできる。ここに述べた物質は、主に10−6cm2/Vs以上の電子移動度を有する物質である。なお、正孔よりも電子の輸送性の高い物質であれば、上記以外の物質を電子輸送層として用いてもよい。
また、電子輸送層は、単層のものだけでなく、上記物質からなる層が二層以上積層したものとしてもよい。
電子注入層115は、電子注入性の高い物質を含む層である。電子注入層115には、フッ化リチウム(LiF)、フッ化セシウム(CsF)、フッ化カルシウム(CaF2)、リチウム酸化物(LiOx)等のようなアルカリ金属、アルカリ土類金属のフッ化物または酸化物を用いることができる。また、フッ化エルビウム(ErF3)のような希土類金属化合物を用いることができる。また、上述した電子輸送層114を構成する物質を用いることもできる。
また、電子注入層115に、有機化合物と電子供与体(ドナー)とを混合してなる複合材料を用いてもよい。このような複合材料は、電子供与体によって有機化合物に電子が発生するため、電子注入性および電子輸送性に優れている。この場合、有機化合物としては、発生した電子の輸送に優れた材料であることが好ましく、具体的には、例えば上述した電子輸送層114を構成する物質(金属錯体や複素芳香族化合物等)を用いることができる。電子供与体としては、有機化合物に対し電子供与性を示す物質であればよい。具体的には、アルカリ金属やアルカリ土類金属や希土類金属が好ましく、リチウム、セシウム、マグネシウム、カルシウム、エルビウム、イッテルビウム等が挙げられる。また、アルカリ金属酸化物やアルカリ土類金属酸化物が好ましく、リチウム酸化物、カルシウム酸化物、バリウム酸化物等が挙げられる。また、酸化マグネシウムのようなルイス塩基を用いることもできる。また、テトラチアフルバレン(略称:TTF)等の有機化合物を用いることもできる。
なお、上述した正孔注入層111、正孔輸送層112、発光層113、電子輸送層114、電子注入層115は、それぞれ、蒸着法(真空蒸着法を含む)、インクジェット法、塗布法等の方法で形成することができる。
第2の電極103は、陰極として機能する。陰極として用いる材料は、仕事関数の小さい(好ましくは3.8eV以下)金属、合金、導電性化合物、及びこれらの混合物などを用いて形成することができる。具体的には、元素周期表の第1族または第2族に属する元素、すなわちリチウム(Li)やセシウム(Cs)等のアルカリ金属、およびマグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)等のアルカリ土類金属、およびこれらを含む合金(MgAg、AlLi)、ユーロピウム(Eu)、イッテルビウム(Yb)等の希土類金属、およびこれらを含む合金の他、アルミニウム(Al)や銀(Ag)などを用いることができる。
また、第2の電極103は、仕事関数の大小に関わらず、アルミニウム、銀、酸化インジウム酸化スズ混合酸化物、酸化インジウム酸化亜鉛混合酸化物、またはそれらの金属酸化物にシリコン若しくは酸化シリコンを含ませたものを用いることができる。この場合、EL層102のうち、第2の電極103に接して形成される層を上述する有機化合物と電子供与体(ドナー)とを混合してなる複合材料を用いればよい。
なお、第2の電極103を形成する場合には、真空蒸着法やスパッタリング法を用いることができる。また、銀ペーストなどを用いる場合には、塗布法やインクジェット法などを用いることができる。
上述した発光素子は、第1の電極101と第2の電極103との間に生じた電位差により電流が流れ、EL層102において、正孔と電子とが再結合することにより発光する。そして、この発光は、第1の電極101または第2の電極103のいずれか一方、または両方を透過し外部に取り出される。従って、第1の電極101または第2の電極103のいずれか一方、または両方が透光性を有する電極を用いればよい。
なお、本実施の形態で示した発光素子を用いて、パッシブマトリクス型の発光装置や、薄膜トランジスタ(TFT)によって発光素子の駆動が制御されたアクティブマトリクス型の発光装置を作製することができる。
なお、アクティブマトリクス型の発光装置を作製する場合におけるTFTの構造は、特に限定されない。例えば、スタガ型や逆スタガ型のTFTを適宜用いることができる。また、TFT基板に形成される駆動用回路についても、N型およびP型のTFTからなるものでもよいし、N型のTFTまたはP型のTFTのいずれか一方のみからなるものであってもよい。さらに、TFTに用いられる半導体膜の結晶性についても特に限定されない。例えば、半導体膜は、非晶質半導体膜、結晶性半導体膜、その他、酸化物半導体膜等を用いることができる。
本実施の形態の発光素子は、色純度の良い赤色発光を呈する本発明の一態様の有機金属錯体を発光層113に含む。その結果、当該発光素子は色純度の良い赤色を呈する光を発する。
本実施の形態2においては、実施の形態1に示した構成を適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態3)
本発明の一態様である発光素子は、複数の発光層を有するものであってもよい。複数の発光層を設け、それぞれの発光層から発光させることで、複数の発光が混合された発光を得ることができる。したがって、例えば白色光を得ることができる。本実施の形態では、複数の発光層を有する発光素子の態様について図2を用いて説明する。
図2は。第1の電極201と第2の電極203との間に、EL層202を備える発光素子を示した図である。EL層202は、第1の発光層213と第2の発光層215を有する。第1の発光層213と第2の発光層215との間には、分離層214を有することが好ましい。
素子の発光について説明する。第1の電極201の電位が第2の電極203の電位よりも高くなるように電圧を印加すると、第1の電極201と第2の電極203との間に電流が流れる。その結果、第1の発光層213または第2の発光層215または分離層214において、正孔と電子とが再結合する。生じた励起エネルギーは、第1の発光層213と第2の発光層215の両方に分配され、第1の発光層213に含まれた第1の発光物質と第2の発光層215に含まれた第2の発光物質を励起状態にする。そして、励起状態になった第1の発光物質と第2の発光物質とは、それぞれ基底状態に戻るときに発光する。よって、発光素子は、第1の発光層213における発光と、第2の発光層215における発光が混合した発光を得ることができる。
第1の発光層213には、ペリレン、2,5,8,11−テトラ(tert−ブチル)ペリレン(略称:TBP)、DPVBi、4,4’−ビス[2−(N−エチルカルバゾール−3−イル)ビニル]ビフェニル(略称:BCzVBi)、BAlq、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)ガリウムクロリド(Gamq2Cl)などの蛍光性化合物や、ビス{2−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ピリジナト−N,C2’}イリジウム(III)ピコリナート(略称:Ir(CF3ppy)2(pic))、ビス[2−(4,6−ジフルオロフェニル)ピリジナト−N,C2’]イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:FIr(acac))、ビス[2−(4,6−ジフルオロフェニル)ピリジナト−N,C2’]イリジウム(III)ピコリナート(略称:FIrpic)、ビス[2−(4,6−ジフルオロフェニル)ピリジナト−N,C2’]イリジウム(III)テトラ(1−ピラゾリル)ボラート(略称:FIr6)などの燐光性化合物に代表される第1の発光物質が含まれており、450〜510nmに発光スペクトルのピークを有する発光(すなわち、青色〜青緑色)が得られる。
また、第1の発光層213の構成は、第1の発光物質が蛍光性化合物の場合、第1の発光物質よりも大きい一重項励起エネルギーを有する物質を第1のホストとして用い、第1の発光物質をゲストとして分散してなる層であることが好ましい。また、第1の発光物質が燐光性化合物の場合、第1の発光物質よりも大きい三重項励起エネルギーを有する物質を第1のホストとして用い、第1の発光物質をゲストとして分散してなる層であることが好ましい。第1のホストとしては、先に述べたNPB、CBP、TCTA等の他、DNA、t−BuDNA等を用いることができる。なお、一重項励起エネルギーとは、基底状態と一重項励起状態とのエネルギー差である。また、三重項励起エネルギーとは、基底状態と三重項励起状態とのエネルギー差である。
一方、第2の発光層215は、本発明の一態様である有機金属錯体を含んでおり、赤色の発光が得られる。第2の発光層215の構成は、実施の形態2で説明した発光層113と同様の構成とすればよい。
また、分離層214は、具体的には、上述したTPAQn、NPB、CBP、TCTA、Znpp2、ZnBOX等を用いて形成することができる。このように、分離層214を設けることで、第1の発光層213と第2の発光層215のいずれか一方のみの発光強度が強くなってしまうという不具合を防ぐことができる。ただし、分離層214は必ずしも必要ではなく、第1の発光層213の発光強度と第2の発光層215の発光強度との割合を調節するため、適宜設ければよい。
なお、本実施の形態では、第2の発光層215に本発明の一態様である有機金属錯体を用い、第1の発光層213に上記で列挙した第1の発光物質のいずれかひとつの発光物質を用いている。また、第1の発光層213に本発明の一態様である有機金属錯体を用い、第2の発光層215に第1の発光物質のいずれかひとつの発光物質を用いてもよい。
また、本実施の形態では、図2のように2つの発光層が設けられた発光素子について記載しているが、発光層の層数は2つに限定されるものでは無く、例えば3つあってもよい。そして、それぞれの発光層からの発光が混合されればよい。その結果、例えば白色光が得られる。
なお、第1の電極201は、実施の形態2で述べた第1の電極101と同様の構成とすればよい。また、第2の電極203も、実施の形態2で述べた第2の電極103と同様の構成とすればよい。
また、本実施の形態では、図2に示すように、正孔注入層211、正孔輸送層212、電子輸送層216、電子注入層217を設けているが、これらの層の構成に関しても、実施の形態2で述べた各層の構成を適用すればよい。ただし、これらの層は必ずしも必要ではなく、素子の特性に応じて適宜設ければよい。
なお、本実施の形態に示す構成は、実施の形態1または実施の形態2に示した構成を適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態4)
本実施の形態では、本発明の一態様として、発光素子においてEL層を複数有する構造(以下、積層型素子という)について、図3を用いて説明する。この発光素子は、第1の電極301と第2の電極304との間に、複数のEL層(第1のEL層302、第2のEL層303)を有する積層型発光素子である。なお、本実施の形態では、EL層が2層の場合について示すが、3層以上としても良い。
本実施の形態において、第1の電極301は、陽極として機能する電極であり、第2の電極304は陰極として機能する電極である。なお、第1の電極301および第2の電極304は、実施の形態2と同様な構成を用いることができる。また、複数のEL層(第1のEL層302、第2のEL層303)が実施の形態2で示したEL層と同様な構成であっても良いが、いずれかが同様の構成であっても良い。すなわち、第1のEL層302と第2のEL層303は、同じ構成であっても異なる構成であってもよく、その構成は実施の形態2と同様なものを適用することができる。
また、複数のEL層(第1のEL層302、第2のEL層303)の間には、電荷発生層305が設けられている。電荷発生層305は、第1の電極301と第2の電極304に電圧を印加したときに、一方のEL層に電子を注入し、他方のEL層に正孔を注入する機能を有する。本実施の形態の場合には、第1の電極301に第2の電極304よりも電位が高くなるように電圧を印加すると、電荷発生層305から第1のEL層302に電子が注入され、第2のEL層303に正孔が注入される。
なお、電荷発生層305は、光の取り出し効率の点から、透光性を有することが好ましい。また、電荷発生層305は、第1の電極301や第2の電極304よりも低い導電率であっても機能する。
電荷発生層305は、正孔輸送性の高い有機化合物に電子受容体(アクセプター)が添加された構成であっても、電子輸送性の高い有機化合物に電子供与体(ドナー)が添加された構成であってもよい。また、これらの両方の構成が積層されていても良い。
正孔輸送性の高い有機化合物に電子受容体が添加された構成とする場合において、正孔輸送性の高い有機化合物としては、例えば、NPBやTPD、TDATA、MTDATA、4,4’−ビス[N−(スピロ−9,9’−ビフルオレン−2−イル)−N―フェニルアミノ]ビフェニル(略称:BSPB)などの芳香族アミン化合物等を用いることができる。ここに述べた物質は、主に10−6cm2/Vs以上の正孔移動度を有する物質である。但し、電子よりも正孔の輸送性の高い有機化合物であれば、上記以外の物質を用いても構わない。
また、電子受容体としては、7,7,8,8−テトラシアノ−2,3,5,6−テトラフルオロキノジメタン(略称:F4−TCNQ)、クロラニル等を挙げることができる。また、遷移金属酸化物を挙げることができる。また元素周期表における第4族乃至第8族に属する金属の酸化物を挙げることができる。具体的には、酸化バナジウム、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化クロム、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化マンガン、酸化レニウムは電子受容性が高いため好ましい。中でも特に、酸化モリブデンは大気中でも安定であり、吸湿性が低く、扱いやすいため好ましい。
一方、電子輸送性の高い有機化合物に電子供与体が添加された構成とする場合において、電子輸送性の高い有機化合物としては、例えば、Alq、Almq3、BeBq2、BAlqなど、キノリン骨格またはベンゾキノリン骨格を有する金属錯体等を用いることができる。また、この他、Zn(BOX)2、Zn(BTZ)2などのオキサゾール系、チアゾール系配位子を有する金属錯体なども用いることができる。さらに、金属錯体以外にも、PBDやOXD−7、TAZ、BPhen、BCPなども用いることができる。ここに述べた物質は、主に10−6cm2/Vs以上の電子移動度を有する物質である。なお、正孔よりも電子の輸送性の高い有機化合物であれば、上記以外の物質を用いても構わない。
また、電子供与体としては、アルカリ金属またはアルカリ土類金属または希土類金属または元素周期表における第13族に属する金属およびその酸化物、炭酸塩を用いることができる。具体的には、リチウム(Li)、セシウム(Cs)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、イッテルビウム(Yb)、インジウム(In)、酸化リチウム、炭酸セシウムなどを用いることが好ましい。また、テトラチアナフタセンのような有機化合物を電子供与体として用いてもよい。
なお、上述した材料を用いて電荷発生層305を形成することにより、EL層が積層された場合における駆動電圧の上昇を抑制することができる。
本実施の形態では、2つのEL層を有する発光素子について説明したが、同様に、3つ以上のEL層を積層した発光素子についても、同様に適用することが可能である。本実施の形態に係る発光素子のように、一対の電極間に複数のEL層を電荷発生層で仕切って配置することで、電流密度を低く保ったまま、高輝度領域での発光が可能である。電流密度を低く保てるため、長寿命素子を実現できる。また、照明を応用例とした場合は、電極材料の抵抗による電圧降下を小さくできるので、大面積での均一発光が可能となる。また、低電圧駆動が可能で消費電力が低い発光装置を実現することができる。
また、それぞれのEL層の発光色を異なるものにすることで、発光素子全体として、所望の色の発光を得ることができる。例えば、2つのEL層を有する発光素子において、第1のEL層の発光色と第2のEL層の発光色を補色の関係になるようにすることで、発光素子全体として白色発光する発光素子を得ることも可能である。なお、補色とは、混合すると無彩色になる色同士の関係をいう。つまり、補色の関係にある色を発光する物質から得られた光を混合すると、白色発光を得ることができる。
また、3つのEL層を有する発光素子の場合でも同様であり、例えば、第1のEL層の発光色が赤色であり、第2のEL層の発光色が緑色であり、第3のEL層の発光色が青色である場合、発光素子全体としては、白色発光を得ることができる。
なお、本実施の形態に示す構成は、実施の形態1乃至実施の形態3に示した構成を適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態5)
本実施の形態では、本発明の一態様として、有機金属錯体を増感剤として用いた発光素子の態様について、図1を用いて説明する。
図1には、第1の電極101と第2の電極103との間に発光層113を有するEL層102を挟んでなる発光素子である。発光層113には、本発明の一態様である有機金属錯体と、この有機金属錯体よりも長波長の発光を呈することのできる蛍光性化合物とが含まれている。
このような発光素子において、第1の電極101から注入された正孔と第2の電極103側から注入された電子とが、発光層113において再結合し、蛍光性化合物を励起状態にする。そして、励起状態の蛍光性化合物は基底状態に戻るときに発光する。この時、本発明の一態様である有機金属錯体は、蛍光性化合物に対して増感剤として作用し、蛍光性化合物の一重項励起状態にある分子の数を増幅する。このように、本発明の一態様である有機金属錯体を増感剤として用いることによって発光効率の良い発光素子を得ることができる。なお、本実施の形態の発光素子において、第1の電極101は陽極として機能し、第2の電極103は陰極として機能する。
発光層113は、本発明の一態様である有機金属錯体と、この有機金属錯体よりも長波長の発光を呈することのできる蛍光性化合物とを含んでいる。その構成は、有機金属錯体よりも大きい三重項励起エネルギーを有すると同時に蛍光性化合物よりも大きい一重項励起エネルギーを有する物質をホストとして用い、有機金属錯体および蛍光性化合物をゲストとして分散してなる層であることが好ましい。
なお、有機金属錯体と蛍光性化合物とを分散状態にするために用いる物質(すなわちホスト)については特に限定はなく、実施の形態2においてホストとして挙げた物質等を用いることができる。
また、蛍光性化合物についても特に限定はないが、4−ジシアノメチレン−2−イソプロピル−6−[2−(1,1,7,7−テトラメチルジュロリジン−9−イル)エテニル]−4H−ピラン(略称:DCJTI)、マグネシウムフタロシアニン、マグネシウムポルフィリン、フタロシアニン等の赤色〜赤外の発光を示す化合物が好ましい。
なお、本実施の形態で説明した第1の電極101、第2の電極103は、いずれも実施の形態2で説明した第1の電極、第2の電極と同様の構成とすればよい。
また、本実施の形態では、図1に示すように、正孔注入層111、正孔輸送層112、電子輸送層114、電子注入層115を設けているが、これらの層の構成に関しても、実施の形態2で説明した各層の構成を適用すればよい。ただし、これらの層は必ずしも必要ではなく、素子の特性に応じて適宜設ければよい。
以上に述べた発光素子は、本発明の一態様である有機金属錯体を増感剤として用いることによって、高効率の発光が得られるものである。
なお、本実施の形態に示す構成は、実施の形態1乃至実施の形態4に示した構成を適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態6)
本実施の形態では、本発明の一態様として、発光素子を用いて作製される発光装置であるパッシブマトリクス型の発光装置、およびアクティブマトリクス型の発光装置について説明する。
図4、図5にパッシブマトリクス型の発光装置の例を示す。
本実施の形態で例示するパッシブマトリクス型(単純マトリクス型ともいう)の発光装置は、ストライプ状(帯状)に並列された複数の陽極と、ストライプ状に並列された複数の陰極と、を有する。複数の陽極のそれぞれを複数の陰極と交差して設けて、マトリクス状に配置した交差部が画素部を構成している。陽極と陰極のそれぞれの交差部は間に発光層を挟む構造となっている。従って、一の陽極と一の陰極を選択して電圧を印加すると、その交差部(すなわち画素)の発光層が点灯することになる。
図4(A)乃至図4(C)は、画素部の上面図を示す図であり、図4(A)乃至図4(C)中の鎖線A−A’で切断した断面図が図4(D)である。なお、発光素子を封止する構造は図示していない。
絶縁層402を下地絶縁層として基板401上に有する。なお、下地絶縁層が必要でなければ特に形成しなくともよい。また、第1の電極403を絶縁層402上に有する(図4(D)参照)。なお、第1の電極403はストライプ状に複数、等間隔で絶縁層402上に配置されている(図4(A)参照)。
また、第1の電極403上には、各画素に対応する開口部405を有する隔壁404が設けられ、開口部405を有する隔壁404は絶縁材料(感光性または非感光性の有機材料(ポリイミド、アクリル、ポリアミド、ポリイミドアミド、レジストまたはベンゾシクロブテン)、またはSOG膜(例えば、アルキル基を含むSiOx膜))で構成されている。なお、各画素に対応する開口部405が発光領域となる(図4(B)。)。
開口部405を有する隔壁404上に、第1の電極403と交差する互いに平行な複数の逆テーパ状の隔壁406が設けられる(図4(C)。)。逆テーパ状の隔壁406はフォトリソグラフィ法に従い、未露光部分がパターンとして残るポジ型感光性樹脂を用い、パターンの下部がより多くエッチングされるように露光量または現像時間を調節することによって形成する。
図4(C)に示すように逆テーパ状の隔壁406を形成した後、図4(D)に示すようにEL層407および第2の電極408を順次形成する。開口部405を有する隔壁404及び逆テーパ状の隔壁406を合わせた高さは、EL層407及び第2の電極408の膜厚より大きくなるように設定されているため、図4(D)に示すように複数の領域に分離されたEL層407と、第2の電極408とが形成される。なお、複数に分離された領域は、それぞれ電気的に独立している。
第2の電極408は、第1の電極403と交差する方向に伸長する互いに平行なストライプ状の電極である。なお、逆テーパ状の隔壁406上にもEL層407及び第2の電極408を形成する導電層の一部が形成されるが、EL層407、及び第2の電極408とは分断されている。
なお、本実施の形態における第1の電極403および第2の電極408は、一方が陽極であり、他方が陰極であればどちらであっても良い。なお、EL層407を構成する積層構造については、電極の極性に応じて適宜調整すればよい。
また、必要であれば、基板401に封止缶やガラス基板などの封止材をシール材などの接着剤で貼り合わせて封止し、発光素子が密閉された空間に配置されるようにしても良い。これにより、発光素子の劣化を防止することができる。なお、密閉された空間には、充填材や、乾燥した不活性ガスを充填しても良い。さらに、水分などによる発光素子の劣化を防ぐために基板と封止材との間に乾燥材などを封入してもよい。乾燥剤によって微量な水分が除去され、十分乾燥される。なお、乾燥剤としては、酸化カルシウムや酸化バリウムなどのようなアルカリ土類金属の酸化物のような化学吸着によって水分を吸収する物質を用いることが可能である。その他の乾燥剤として、ゼオライトやシリカゲル等の物理吸着によって水分を吸着する物質を用いてもよい。
次に、図4(A)乃至図4(D)に示したパッシブマトリクス型の発光装置にFPCなどを実装した場合の上面図を図5に示す。
図5において、画像表示を構成する画素部は、走査線群とデータ線群が互いに直交するように配置している。
ここで、図4における第1の電極403が、図5の走査線503に相当し、図4における第2の電極408が、図5のデータ線508に相当し、逆テーパ状の隔壁406が隔壁506に相当する。データ線508と走査線503の間には、図4のEL層407が挟持さており、領域505で示される交差部が画素1つ分となる。
なお、走査線503は配線端で接続配線509と電気的に接続され、接続配線509が入力端子510を介してFPC511bに接続される。また、データ線は入力端子512を介してFPC511aに接続される。
また、必要であれば、射出面に偏光板、又は円偏光板(楕円偏光板を含む)、位相差板(λ/4板、λ/2板)、カラーフィルタなどの光学フィルムを適宜設けてもよい。また、偏光板又は円偏光板に反射防止膜を設けてもよい。例えば、表面の凹凸により反射光を拡散し、映り込みを低減できるアンチグレア処理を施すことができる。
なお、図5では、駆動回路を基板上に設けない例を示したが、基板上501に駆動回路を有するICチップを実装させてもよい。
また、ICチップを実装させる場合には、画素部の周辺(外側)の領域に、画素部へ各信号を伝送する駆動回路が形成されたデータ線側IC、走査線側ICをCOG方式によりそれぞれ実装する。COG方式以外の実装技術としてTCPやワイヤボンディング方式を用いて実装してもよい。TCPはTABテープにICを実装したものであり、TABテープを素子形成基板上の配線に接続してICを実装する。データ線側IC、および走査線側ICは、シリコン基板を用いたものであってもよいし、ガラス基板、石英基板もしくはプラスチック基板上にTFTで駆動回路を形成したものであってもよい。
次に、アクティブマトリクス型の発光装置の例について、図6を用いて説明する。なお、図6(A)は発光装置を示す上面図であり、図6(B)は図6(A)を鎖線A−A’で切断した断面図である。本実施の形態に係るアクティブマトリクス型の発光装置は、素子基板601上に設けられた画素部602と、駆動回路部603(ソース側駆動回路)と、駆動回路部604(ゲート側駆動回路)と、を有する。画素部602、駆動回路部(ソース側駆動回路)603、及び駆動回路部(ゲート側駆動回路)604は、シール材605によって、素子基板601と封止基板606との間に封止されている。
また、素子基板601上には、駆動回路部(ソース側駆動回路)603、及び駆動回路部(ゲート側駆動回路)604に外部からの信号(例えば、ビデオ信号、クロック信号、スタート信号、又はリセット信号等)や電位を伝達する外部入力端子を接続するための引き回し配線607が設けられる。ここでは、外部入力端子としてFPC(フレキシブルプリントサーキット)を設ける例を示している。なお、ここではFPC608しか図示されていないが、このFPCにはプリント配線基板(PWB)が取り付けられていても良い。本明細書における発光装置には、発光装置本体だけでなく、それにFPCもしくはPWBが取り付けられた状態をも含むものとする。
次に、断面構造について図6(B)を用いて説明する。素子基板601上には駆動回路部及び画素部が形成されているが、ここでは、ソース側駆動回路である駆動回路部(ソース側駆動回路)603と、画素部602が示されている。
駆動回路部(ソース側駆動回路)603はnチャネル型TFT609とpチャネル型TFT610とを組み合わせたCMOS回路が形成される例を示している。なお、駆動回路部を形成する回路は、種々のCMOS回路、PMOS回路もしくはNMOS回路で形成しても良い。また、本実施の形態では、基板上に駆動回路を形成したドライバー一体型を示すが、必ずしもその必要はなく、基板上ではなく外部に駆動回路を形成することもできる。
また、画素部602はスイッチング用TFT611と、電流制御用TFT612と電流制御用TFT612の配線(ソース電極又はドレイン電極)に電気的に接続された陽極613とを含む複数の画素により形成される。なお、陽極613の端部を覆って絶縁物614が形成されている。ここでは、ポジ型の感光性アクリル樹脂を用いることにより形成する。
また、上層に積層形成される膜の被覆性を良好なものとするため、絶縁物614の上端部または下端部に曲率を有する曲面が形成されるようにするのが好ましい。例えば、絶縁物614の材料としてポジ型の感光性アクリル樹脂を用いた場合、絶縁物614の上端部に曲率半径(0.2μm〜3μm)を有する曲面を持たせることが好ましい。また、絶縁物614として、感光性の光によってエッチャントに不溶解性となるネガ型、或いは光によってエッチャントに溶解性となるポジ型のいずれも使用することができ、有機化合物に限らず無機化合物、例えば、酸化シリコン、酸窒化シリコン等、の両者を使用することができる。
陽極613上には、EL層615及び陰極616が積層形成されている。なお、陽極613をインジウム錫酸化物膜とし、陽極613と接続する電流制御用TFT612の配線として窒化チタン膜とアルミニウムを主成分とする膜との積層膜、或いは窒化チタン膜、アルミニウムを主成分とする膜、窒化チタン膜との積層膜を適用すると、配線としての抵抗も低く、インジウム錫酸化物膜との良好なオーミックコンタクトがとれる。なお、ここでは図示しないが、陰極616は外部入力端子であるFPC608に電気的に接続されている。
なお、EL層615は、少なくとも発光層が設けられており、発光層の他に正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層又は電子注入層を適宜設ける構成とする。陽極613、EL層615及び陰極616との積層構造で、発光素子617が形成されている。
また、図6(B)に示す断面図では発光素子617を1つのみ図示しているが、画素部602において、複数の発光素子がマトリクス状に配置されているものとする。画素部602には、3種類(R、G、B)の発光が得られる発光素子をそれぞれ選択的に形成し、フルカラー表示可能な発光装置を形成することができる。また、カラーフィルタと組み合わせることによってフルカラー表示可能な発光装置としてもよい。
さらにシール材605で封止基板606を素子基板601と貼り合わせることにより、素子基板601、封止基板606、およびシール材605で囲まれた空間618に発光素子617が備えられた構造になっている。なお、空間618には、不活性気体(窒素やアルゴン等)が充填される場合の他、シール材605で充填される構成も含むものとする。
なお、シール材605にはエポキシ系樹脂を用いるのが好ましい。また、これらの材料はできるだけ水分や酸素を透過しない材料であることが望ましい。また、封止基板606に用いる材料としてガラス基板や石英基板の他、FRP(Fiberglass−Reinforced Plastics)、PVF(ポリビニルフロライド)、ポリエステルまたはアクリル等からなるプラスチック基板を用いることができる。
以上のようにして、アクティブマトリクス型の発光装置を得ることができる。
なお、本実施の形態6に示す構成は、実施の形態1乃至実施の形態5に示した構成を適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態7)
本実施の形態では、本発明を適用した一態様である発光装置を用いて完成させた様々な電子機器および照明器具の一例について、図7、図8を用いて説明する。
発光装置を適用した電子機器として、例えば、テレビジョン装置(テレビ、またはテレビジョン受信機ともいう)、コンピュータ用などのモニタ、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、デジタルフォトフレーム、携帯電話機(携帯電話、携帯電話装置ともいう)、携帯型ゲーム機、携帯情報端末、音響再生装置、パチンコ機などの大型ゲーム機などが挙げられる。これらの電子機器および照明器具の具体例を図7に示す。
図7(A)は、テレビジョン装置の一例を示している。テレビジョン装置7100は、筐体7101に表示部7103が組み込まれている。表示部7103により、映像を表示することが可能であり、発光装置を表示部7103に用いることができる。また、ここでは、スタンド7105により筐体7101を支持した構成を示している。
テレビジョン装置7100の操作は、筐体7101が備える操作スイッチや、別体のリモコン操作機7110により行うことができる。リモコン操作機7110が備える操作キー7109により、チャンネルや音量の操作を行うことができ、表示部7103に表示される映像を操作することができる。また、リモコン操作機7110に、当該リモコン操作機7110から出力する情報を表示する表示部7107を設ける構成としてもよい。
なお、テレビジョン装置7100は、受信機やモデムなどを備えた構成とする。受信機により一般のテレビ放送の受信を行うことができ、さらにモデムを介して有線または無線による通信ネットワークに接続することにより、一方向(送信者から受信者)または双方向(送信者と受信者間、あるいは受信者間同士など)の情報通信を行うことも可能である。
図7(B)はコンピュータであり、本体7201、筐体7202、表示部7203、キーボード7204、外部接続ポート7205、ポインティングデバイス7206等を含む。なお、コンピュータは、発光装置をその表示部7203に用いることにより作製される。
図7(C)は携帯型遊技機であり、筐体7301と筐体7302の2つの筐体で構成されており、連結部7303により、開閉可能に連結されている。筐体7301には表示部7304が組み込まれ、筐体7302には表示部7305が組み込まれている。また、図7(C)に示す携帯型遊技機は、その他、スピーカ部7306、記録媒体挿入部7307、LEDランプ7308、入力手段(操作キー7309、接続端子7310、センサ7311(力、変位、位置、速度、加速度、角速度、回転数、距離、光、液、磁気、温度、化学物質、音声、時間、硬度、電場、電流、電圧、電力、放射線、流量、湿度、傾度、振動、におい又は赤外線を測定する機能を含むもの)、マイクロフォン7312)等を備えている。もちろん、携帯型遊技機の構成は上述のものに限定されず、少なくとも表示部7304および表示部7305の両方、または一方に発光装置を用いていればよく、その他付属設備が適宜設けられた構成とすることができる。図7(C)に示す携帯型遊技機は、記録媒体に記録されているプログラム又はデータを読み出して表示部に表示する機能や、他の携帯型遊技機と無線通信を行って情報を共有する機能を有する。なお、図7(C)に示す携帯型遊技機が有する機能はこれに限定されず、様々な機能を有することができる。
図7(D)は、携帯電話機の一例を示している。携帯電話機7400は、筐体7401に組み込まれた表示部7402の他、操作ボタン7403、外部接続ポート7404、スピーカ7405、マイク7406などを備えている。なお、携帯電話機7400は、発光装置を表示部7402に用いることにより作製される。
図7(D)に示す携帯電話機7400は、表示部7402を指などで触れることで、情報を入力することができる。また、電話を掛ける、或いはメールを打つなどの操作は、表示部7402を指などで触れることにより行うことができる。
表示部7402の画面は主として3つのモードがある。第1は、画像の表示を主とする表示モードであり、第2は、文字等の情報の入力を主とする入力モードである。第3は表示モードと入力モードの2つのモードが混合した表示+入力モードである。
例えば、電話を掛ける、或いはメールを作成する場合は、表示部7402を文字の入力を主とする文字入力モードとし、画面に表示させた文字の入力操作を行えばよい。この場合、表示部7402の画面のほとんどにキーボードまたは番号ボタンを表示させることが好ましい。
また、携帯電話機7400内部に、ジャイロ、加速度センサ等の傾きを検出するセンサを有する検出装置を設けることで、携帯電話機7400の向き(縦か横か)を判断して、表示部7402の画面表示を自動的に切り替えるようにすることができる。
また、画面モードの切り替えは、表示部7402を触れること、又は筐体7401の操作ボタン7403の操作により行われる。また、表示部7402に表示される画像の種類によって切り替えるようにすることもできる。例えば、表示部に表示する画像信号が動画のデータであれば表示モード、テキストデータであれば入力モードに切り替える。
また、入力モードにおいて、表示部7402の光センサで検出される信号を検知し、表示部7402のタッチ操作による入力が一定期間ない場合には、画面のモードを入力モードから表示モードに切り替えるように制御してもよい。
表示部7402は、イメージセンサとして機能させることもできる。例えば、表示部7402に掌や指を触れることで、掌紋、指紋等を撮像することで、本人認証を行うことができる。また、表示部に近赤外光を発光するバックライトまたは近赤外光を発光するセンシング用光源を用いれば、指静脈、掌静脈などを撮像することもできる。
図7(E)は卓上照明器具であり、照明部7501、傘7502、可変アーム7503、支柱7504、台7505、電源7506を含む。なお、卓上照明器具は、発光装置を照明部7501に用いることにより作製される。なお、照明器具には天井固定型の照明器具または壁掛け型の照明器具なども含まれる。
図8は、発光装置を、室内の照明装置801として用いた例である。発光装置は大面積化も可能であるため、大面積の照明装置として用いることができる。その他、ロール型の照明装置802として用いることもできる。なお、図8に示すように、室内の照明装置801を備えた部屋で、図7(E)で説明した卓上照明器具803を併用してもよい。
以上のようにして、発光装置を適用して電子機器や照明器具を得ることができる。発光装置の適用範囲は極めて広く、あらゆる分野の電子機器に適用することが可能である。
なお、本実施の形態に示す構成は、実施の形態1乃至実施の形態に6示した構成を適宜組み合わせて用いることができる。
≪合成例≫
本実施例1では、実施の形態1に構造式(100)として示した本発明の一様態である有機金属錯体、(アセチルアセトナト)ビス[3,5−ジメチル−2−(3−ジフェニルアミノフェニル)ピラジナト]イリジウム(III)(略称:[Ir(dm5dpappr)2(acac)])の合成方法について説明する。なお、[Ir(dm5dpappr)2(acac)]の構造を以下に示す。
<ステップ1; 2−(3−ジフェニルアミノフェニル)−1,3,2−ジオキサボロランの合成>
まず、マグネシウムを0.45gとTHF5mlを懸濁させ、少量の1,2−ジブロモエタンを加えた。この懸濁液に、3−ブロモ−N,N−ジフェニルアニリン3.0gとTHF30mlを混合した溶液を滴下し、加熱還流下で1時間30分撹拌し反応させた。反応後、室温に放冷した溶液を−78℃まで冷却し、トリメチルボレート1.95gを添加し、室温まで昇温しながら撹拌し反応させた。反応後の溶液を濃縮し、得られた残渣に、エチレングリコール4.8mL、トルエン 30mLを添加して加熱還流下で12時間撹拌し反応させた。反応後の溶液をろ過し、得られたろ液を濃縮して、白色固体を得た(収率88%)。ステップ1の合成スキームを下記(a−1)に示す。
<ステップ2; 3,5−ジメチル−2−(3−ジフェニルアミノフェニル)ピラジン(略称:Hdm5dpappr)の合成>
次に、2−クロロ−3,5−ジメチルピラジン0.39gと上記ステップ1で得た2−(3−ジフェニルアミノフェニル)−1,3,2−ジオキサボロラン0.87g、炭酸ナトリウム0.30g、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド(略称:Pd(PPh3)2Cl2 )0.013g、水 10mL、アセトニトリル 10mLを、還流管を付けたナスフラスコに入れ、内部をアルゴン置換した。この反応容器にマイクロ波(2.45GHz 100W)を20分間照射することで加熱した。その後、反応容器を50℃以下に冷却し、反応溶液に水を加え、ジクロロメタンにて有機層を抽出した。得られた有機層を水で洗浄し、硫酸マグネシウムにて乾燥した。乾燥した後の溶液をろ過した。この溶液の溶媒を留去し、得られた残渣をジクロロメタンと酢酸エチルの混合溶媒を展開溶媒とするシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製することにより目的のピラジン誘導体Hdm5dpapprを得た(白色粉末、収率11%)。なお、マイクロ波の照射はマイクロ波合成装置(CEM社製 Discover)を用いた。ステップ2の合成スキームを下記(b−1)に示す。
<ステップ3; ジ−μ−クロロ−ビス[ビス{3,5−ジメチル−2−(3−ジフェニルアミノフェニル)ピラジナト}イリジウム(III)](略称:[Ir(dm5dpappr)2Cl]2)の合成>
次に、2−エトキシエタノール 3mLと水1mL、上記ステップ2で得たHdm5dpappr0.11g、塩化イリジウム水和物(IrCl3・H2O)(Sigma−Aldrich社製)0.044gを、還流管を付けたナスフラスコに入れ、フラスコ内をアルゴン置換した。その後、マイクロ波(2.45GHz 100W)を20分間照射することで加熱した。その後、反応容器を50℃以下に冷却し、反応溶液をろ過した。得られたろ取物をエタノールにて洗浄することにより、複核錯体[Ir(dm5dpappr)2Cl]2 を赤色粉末として得た(収率53%)。また、ステップ3の合成スキームを下記(c−1)に示す。
<ステップ4; (アセチルアセトナト)ビス[3,5−ジメチル−2−(3−ジフェニルアミノフェニル)ピラジナト]イリジウム(III)(略称:[Ir(dm5dpappr)2(acac)])の合成>
さらに、2−エトキシエタノール 15mL、上記ステップ3で得た複核錯体[Ir(dm5dpappr)2Cl]2 0.08g、アセチルアセトン0.01mL、炭酸ナトリウム0.04gを、還流管を付けたナスフラスコに入れ、フラスコ内をアルゴン置換した。その後、マイクロ波(2.45GHz 100W)を20分間照射することで加熱した。その後、反応容器を50℃以下に冷却し、反応溶液を濃縮乾固した。得られた残渣をジクロロメタンに溶解してろ過し、不溶性の固体を除去した。得られたろ液を濃縮し、ジクロロメタンにて再結晶することにより、本発明の一様態である有機金属錯体[Ir(dm5dpappr)2(acac)]を暗い赤色粉末として得た(収率81%)。ステップ4の合成スキームを下記(d−1)に示す。
なお、上記ステップ4で得られた暗い赤色粉末の核磁気共鳴分光法(1H−NMR)による分析結果を下記に示す。また、1H−NMRチャートを図9に示す。このことから、本実施例において、上述の構造式(100)で表される本発明の一様態である有機金属錯体[Ir(dm5dpappr)2(acac)]が得られたことがわかった。
1H−NMR.δ(CDCl3):1.85(s,6H),2.62(s,6H),2.73(s,6H),5.26(s,1H),6.11(d,2H),6.60(dd,2H),6.92(m,4H),7.05(m,6H),7.19(m,10H),7.65(d,2H),8.29(s,2H).
次に、[Ir(dm5dpappr)2(acac)]の紫外可視線吸収スペクトル法(UV/vis)による解析を行った。UV/visスペクトルの測定は紫外可視分光光度計((株)日本分光製 V550型)を用い、ジクロロメタン溶液(0.051mmol/L)を用いて、室温で測定を行った。また、[Ir(dm5dpappr)2(acac)]の発光スペクトルを測定した。発光スペクトルの測定は蛍光光度計((株)浜松ホトニクス製 FS920)を用い、脱気したジクロロメタン溶液(0.31mmol/L)を用いて、室温で測定を行った。測定結果を図10に示す。横軸は波長、縦軸は吸収強度および発光強度を表す。
図10に示す通り、本発明の一様態である有機金属錯体[Ir(dm5dpappr)2(acac)]は、690nmに発光ピークを有しており、ジクロロメタン溶液からは深い赤色の発光が観測された。
(比較例)
≪比較合成例≫
本比較例では、(アセチルアセトナト)ビス[3,5−ジメチル−2−(4−ジフェニルアミノフェニル)ピラジナト]イリジウム(III)(略称:[Ir(dmdpappr)2(acac)])の合成方法について説明する。なお、[Ir(dmdpappr)2(acac)]の構造を以下に示す。
<ステップ1; 4,4,5,5−テトラメチル−2−(4−ジフェニルアミノフェニル)−1,3,2−ジオキサボロランの合成>
まず、4−ブロモトリフェニルアミン1.0g、ビス(ピナコール)ジボラン0.86g、酢酸カリウム1.8g、N,N−ジメチルホルムアミド(略称:DMF)100mLを200mL三ツ口フラスコに入れ、フラスコ内を窒素置換した。この混合物に[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリド ジクロロメタン付加物(略称:PdCl2(dppf))150mgを加え、窒素気流下、80℃で30時間加熱撹拌し、反応させた。反応後の溶液に約100mLの水を加え30分撹拌した。撹拌後、この懸濁液を分液し、有機層を分取した。残りの水層を酢酸エチルで抽出し、先に得られた有機層とあわせて、水、飽和食塩水の順に洗浄した。洗浄後の溶液に無水硫酸マグネシウムを加え乾燥した。乾燥後の溶液を自然ろ過し、得られたろ液を濃縮して褐色油状物を得た。この褐色油状物をヘキサンに溶解し、析出した固体をろ過して除去し、ろ液を得た。このろ液を濃縮し、淡黄色油状物を得た(収率96%)。ステップ1の合成スキームを下記(a−2)に示す。
<ステップ2; 3,5−ジメチル−2−(4−ジフェニルアミノフェニル)ピラジン(略称:Hdmdpappr)の合成>
次に、2−クロロ−3,5−ジメチルピラジン0.36gと上記ステップ1で得た4,4,5,5−テトラメチル−2−(4−ジフェニルアミノフェニル)−1,3,2−ジオキサボロラン0.92g、炭酸ナトリウム0.26g、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド(略称:Pd(PPh3)2Cl2 )0.011g、水10mL、アセトニトリル 10mLを、還流管を付けたナスフラスコに入れ、内部をアルゴン置換した。この反応容器にマイクロ波(2.45GHz 100W)を20分間照射することで加熱した。その後、反応容器を50℃以下に冷却し、反応溶液に水を加え、ジクロロメタンにて有機層を抽出した。得られた有機層を水で洗浄し、硫酸マグネシウムにて乾燥した。乾燥した後の溶液をろ過した。この溶液の溶媒を留去し、得られた残渣をジクロロメタンと酢酸エチルの混合溶媒を展開溶媒とするシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製することにより目的のピラジン誘導体Hdmdpapprを得た(白色粉末、収率30%)。なお、マイクロ波の照射はマイクロ波合成装置(CEM社製 Discover)を用いた。ステップ2の合成スキームを下記(b−2)に示す。
<ステップ3; ジ−μ−クロロ−ビス[ビス{3,5−ジメチル−2−(4−ジフェニルアミノフェニル)ピラジナト}イリジウム(III)](略称:[Ir(dmdpappr)2Cl]2)の合成>
次に、2−エトキシエタノール6mLと水2mL、上記ステップ2で得たHdmdpappr0.26g、塩化イリジウム水和物(IrCl3・H2O)(Sigma−Aldrich社製)0.11gを、還流管を付けたナスフラスコに入れ、フラスコ内をアルゴン置換した。その後、マイクロ波(2.45GHz 100W)を20分間照射することで加熱した。その後、反応容器を50℃以下に冷却し、反応溶液をろ過した。得られたろ取物をエタノールにて洗浄することにより、複核錯体[Ir(dmdpappr)2Cl]2 を黄土色粉末として得た(収率74%)。また、ステップ3の合成スキームを下記(c−2)に示す。
<ステップ4; (アセチルアセトナト)ビス[3,5−ジメチル−2−(4−ジフェニルアミノフェニル)ピラジナト]イリジウム(III)(略称:[Ir(dmdpappr)2(acac)])の合成>
さらに、2−エトキシエタノール 10mL、上記ステップ3で得た複核錯体[Ir(dmdpappr)2Cl]2 0.24g、アセチルアセトン0.040mL、炭酸ナトリウム0.14gを、還流管を付けたナスフラスコに入れ、フラスコ内をアルゴン置換した。その後、マイクロ波(2.45GHz 100W)を20分間照射することで加熱した。その後、反応容器を50℃以下に冷却し、反応溶液を濃縮乾固した。得られた残渣をジクロロメタンに溶解してろ過し、不溶性の固体を除去した。得られたろ液を濃縮し、残渣を酢酸エチルを展開溶媒とするシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製することにより、[Ir(dmdpappr)2(acac)]を赤色粉末として得た(収率8%)。ステップ4の合成スキームを下記(d−2)に示す。
なお、上記ステップ4で得られた赤色粉末の核磁気共鳴分光法(1H−NMR)による分析結果を下記に示す。また、1H−NMRチャートを図11に示す。このことから、[Ir(dmdpappr)2(acac)]が得られたことがわかった。
1H−NMR.δ(CDCl3):1.81(s,6H),2.42(s,6H),2.82(s,6H),5.20(s,1H),5.69(d,2H),6.55(dd,2H),6.95(m,12H),7.15(m,8H),7.60(d,2H),7.97(s,2H)
次に、[Ir(dmdpappr)2(acac)]の紫外可視線吸収スペクトル法(UV/vis)による解析を行った。UV/visスペクトルの測定は紫外可視分光光度計((株)日本分光製 V550型)を用い、ジクロロメタン溶液(0.067mmol/L)を用いて、室温で測定を行った。また、[Ir(dmdpappr)2(acac)]の発光スペクトルを測定した。発光スペクトルの測定は蛍光光度計((株)浜松ホトニクス製 FS920)を用い、脱気したジクロロメタン溶液(0.40mmol/L)を用いて、室温で測定を行った。測定結果を図12に示す。横軸は波長、縦軸は吸収強度および発光強度を表す。
図12に示す通り、[Ir(dmdpappr)2(acac)]は、590nmに発光ピークを有しており、ジクロロメタン溶液からは橙色の発光が観測された。