JP5905815B2 - 低温貯槽の断熱構造 - Google Patents

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Description

本発明は、低温貯槽の断熱構造に関する。
液化天然ガス(LNG)などを貯蔵する低温貯槽は、基礎版上に防液堤が構築され、その内側に鋼製の外槽が形成され、さらにその内側に内槽が形成された構造となっている。外槽と内槽の間には、保冷層が形成されている。図3に示すように、保冷層100は、防液堤110の内周面に沿って取り付けられた側部ライナープレート111の内側に形成される側部冷熱抵抗緩和材層101と、この側部冷熱抵抗緩和材層101と内槽120との間に形成される人工発泡体層102とを備えている(例えば特許文献1参照)。側部冷熱抵抗緩和材層101は、例えば硬質ウレタンフォーム(PUF)にて構成され、人工発泡体層102は、例えばパーライトにて構成されている。
特開2003−42394号公報
ところで、側部冷熱抵抗緩和材層101は必要な断熱性能に応じて所定厚さで形成されている。側部冷熱抵抗緩和材層101を構成するPUFは優れた断熱性能と施工性を備えているものの、非常に高価であって施工のコストアップを招くため、PUFの使用量を低減することが要求されている。
このような観点から、本発明は、低温貯槽壁面の断熱性能を低下させることなく、硬質ウレタンフォームの使用量を低減させることができる低温貯槽の断熱構造を提供することを課題とする。
前記課題を解決するための請求項1に係る発明は、基礎版上に構築された防液堤と、前記防液堤の内側に構築された外槽と、前記外槽の内側に構築された内槽と、前記外槽と前記内槽との間に形成された保冷層を備える低温貯槽の断熱構造において、前記防液堤は、前記基礎版上に立設された残存型枠を備え、前記残存型枠は、断熱プレキャストコンクリート板にて構成されていることを特徴とする低温貯槽の断熱構造である。
このような構成によれば、防液堤においても断熱性能が得られるので、保冷層が負担する断熱性能を低減できる。したがって、保冷層の側部冷熱抵抗緩和材層を構成するPUFの使用量を低減することができ、施工コストの軽減を図れる。さらに、側部冷熱抵抗緩和材層を薄くできるので、外槽および防液堤の小型化が達成できる。
請求項2に係る発明は、前記断熱プレキャストコンクリート板は、既成の硬質ウレタンフォームからなる断熱体を内包するコンクリート体にて形成されていることを特徴とする請求項1に記載の低温貯槽の断熱構造である。
このような構成によれば、断熱プレキャストコンクリート板にPUFを使用するものの、保冷層内でのPUFの使用量を低減でき、低温貯槽全体でのPUFの使用量を低減できる。また、断熱プレキャストコンクリート板を製造するには、型枠内に断熱体を設置してコンクリートを打設すればよく、容易に断熱プレキャストコンクリート板を形成することができる。
本発明によれば、低温貯槽壁面の断熱性能を低下させることなく、硬質ウレタンフォームの使用量を低減させることができる。
低温貯槽の一部を示した断面図である。 本発明の実施形態に係る低温貯槽の断熱構造を示した断面図である。 従来の低温貯槽の断熱構造を示した断面図である。
図1に示すように、本発明の実施形態に係る低温貯槽Tは、液化天然ガス(LNG)を貯蔵する地上LNGタンクであり、基礎版B上に外枠となる防液堤Wが構築され、その内側に金属製の外槽Taが形成され、さらにその内側に内槽Tbが形成されている。外槽Taと内槽Tbの間には、保冷層Cが形成されている。外槽Taは、基礎版B上に敷設された底部ライナープレート20と、防液堤Wの内周面に沿って設置された側部ライナープレート21と、その上部に設けられた頂部ライナープレート22と、防液堤Wで囲まれた上部開口を覆う天井ライナープレート23とを備えている。
基礎版Bは、支持杭(図示せず)上に構築されたコンクリート構造体にて構成されている。コンクリート構造体は、所定の厚さを備えており、断熱性能を備えている。
防液堤Wは、図示は省略するが平面視円筒状を呈している。防液堤Wは、基礎版Bから立ち上がるプレストレストコンクリート構造の構造体であり、場所打ちコンクリートからなるコンクリート壁部1と、コンクリート壁部1の内側に設置された残存型枠2とを備えている。つまり、防液堤Wは、残存型枠2と、残存型枠2と対向して設けられた外型枠(図示せず)との間に、コンクリートを打設することで構築され、コンクリートの硬化後に外型枠のみが撤去され、残存型枠2はそのまま残置される。
残存型枠2は、基礎版B上に立設されており、複数のセグメント2aを周方向および上下方向に連結して形成したものである。セグメント2aは、正面視矩形状且つ平面視円弧状を呈するプレキャストコンクリート製品である。図示は省略するが、セグメント2aには、コンクリート壁部1側に開口する継手ボックスの他、外槽ライナープレート用のインサートナット、セパレータ用のインサートナット、コンクリート壁部1との一体化を図るためのせん断伝達部材などが埋設されている。
本実施形態では、残存型枠2を構成するセグメント2aが断熱プレキャストコンクリート板からなる。つまり、本実施形態に係る低温貯槽Tの断熱構造は、外槽Taと内槽Tbとの間の保冷層Cのみならず、防液堤Wの残存型枠2にも積極的に断熱性能を持たせている。
セグメント(断熱プレキャストコンクリート板)2aは、例えば既成の硬質ウレタンフォーム(Polyurethane Foam:以下、「PUF」という)からなる断熱体3を内包するコンクリート体にて構成されている。PUFは、ポリオールと呼ばれる化学分子と、触媒と発泡剤と整泡剤とを混合させ、その化学反応から生成される発泡体である。なお、断熱体3の材質は、PUFに限定されるものではなく、他の材質で構成してもよい。
残存型枠2に内包される断熱体3は、PUFを予め断面円形の円柱形状または断面矩形の角柱形状(本実施形態では円柱形状)の棒状に成形してなる。断熱体3は、水平方向または鉛直方向(本実施形態では水平方向)に延在している。断熱体3は複数設けられており、上下に間隔をあけて並列されている。防液堤Wは、設置場所によって必要な断熱性能が異なるので、残存型枠2の設置高さに応じて、断熱体3の内包量を変化させる。内包量を変化させるには、配置ピッチを変更したり、PUFの断面を変更したりすればよい。断熱体3は、セグメント2aの曲率に合わせて湾曲して形成されている。断熱体3は、セグメント2aの製作時に型枠内に設置され、型枠内にコンクリートを打設することで、断熱体3がセグメント2aに内包される。セグメント2aは、構造部材ではなく型枠として取り扱われるので、防液堤Wのコンクリートを受ける強度を有していればよい。したがって、断熱体3の断面積分、セグメント2aの断面が小さくなっても問題は無く、セグメント2aは、断熱体3を設けない場合と同等の板厚で形成することができる。
なお、断熱体3の延在方向は、水平方向や鉛直方向に限定される必要はなく、斜め方向に傾斜して延在させてもよい。さらに、断熱体3の形状は、柱状でなくてもよく、プレート状やブロック状であってもよい。この場合、断熱体3は、セグメント2a内に適宜散らばらせて内包させる。
保冷層Cは、側部冷熱抵抗緩和材層11と、人工発泡体層12とを備えている。側部冷熱抵抗緩和材層11は、側部ライナープレート21の内側に所定の厚さで形成されている。側部冷熱抵抗緩和材層11は、例えば硬質ウレタンフォーム(PUF)にて構成されており、側部ライナープレート21の内側面にPUFを吹き付けて発泡させることで形成されている。側部冷熱抵抗緩和材層11は、残存型枠2の設置高さと同等の高さまで設けられている。
人工発泡体層12は、内槽Tbの側部と側部冷熱抵抗緩和材層11との間に形成されている。人工発泡体層12は、例えばパーライトにて構成されている。人工発泡体層12は、内槽Tbの上部も覆うように、内槽Tbと頂部ライナープレート22および天井ライナープレート23との間にも形成されている。
以上のような低温貯槽Tの断熱構造によれば、防液堤Wの残存型枠2に積極的に断熱性能を持たせているので、保冷層Cが負担する断熱性能を低減できる。これによって、保冷層Cの側部冷熱抵抗緩和材層11を薄くできるので、側部冷熱抵抗緩和材層11を構成するPUFの使用量を低減することができる。また、残存型枠2に内包されたPUFの使用量は、側部冷熱抵抗緩和材層11におけるPUFの低減量よりも少ないので、全体としてPUFの使用量を低減できる。したがって、PUFの材料費を低減でき、施工コストの軽減を図れる。
さらに、側部冷熱抵抗緩和材層11が薄くなったことによって、側部冷熱抵抗緩和材層11の外周径を小さくできるので、その外側に位置する外槽Taおよび防液堤Wの直径を小さくできる。これによって、外槽Taおよび防液堤Wの小型化を達成できる。低温貯槽Tは大規模なものが多く、直径が小さくなることによる円周長さの低減効果は大きい。したがって、外槽Taを構成する底部ライナープレート20、側部ライナープレート21、頂部ライナープレート22および天井ライナープレート23のプレート材の使用量を大幅に低減できるとともに、防液堤Wのコンクリート壁部1および残存型枠2のコンクリートの使用量を大幅に低減できる。さらに、壁筋や外型枠の使用量も低減できる。よって、全体として各部材の材料費を低減できるので、施工コストを大幅に低減できる。
以上、本発明を実施するための形態について説明したが、本発明は前記実施の形態に限定する趣旨ではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜設計変更が可能である。例えば、前記実施形態では、セグメント2a(断熱プレキャストコンクリート板)は、既成のPUFからなる断熱体3を内包するコンクリート体にて形成されているが、これに限定されるものではない。セグメント2aは、例えば断熱ボードをコンクリートで挟んだサンドイッチパネルや、ALC(Autoclaved Lightweight aerated Concrete)パネルなどの気泡コンクリートパネルで構成してもよい。
また、前記実施形態では、本発明を地上LNGタンクに適用した場合を例に挙げたが、地下LNGタンクやその他の低温貯槽においても本発明を適用可能であるのは言うまでもない。
2 残存型枠
2a セグメント
3 断熱体
11 側部冷熱抵抗緩和材層
12 人工発泡体層
C 保冷層
T 低温貯槽
Ta 外槽
Tb 内槽
W 防液堤

Claims (2)

  1. 基礎版上に構築された防液堤と、前記防液堤の内側に構築された外槽と、前記外槽の内側に構築された内槽と、前記外槽と前記内槽との間に形成された保冷層を備える低温貯槽の断熱構造において、
    前記防液堤は、前記基礎版上に立設された残存型枠を備え、
    前記残存型枠は、断熱プレキャストコンクリート板にて構成されている
    ことを特徴とする低温貯槽の断熱構造。
  2. 前記断熱プレキャストコンクリート板は、既成の硬質ウレタンフォームからなる断熱体を内包するコンクリート体にて形成されている
    ことを特徴とする請求項1に記載の低温貯槽の断熱構造。
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