JP5946703B2 - 変性多糖の製造方法 - Google Patents
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Description
ヒアルロン酸はこれらの性質を持つので、化粧品添加剤、関節炎治療剤、創傷被覆剤、眼科手術用手術補助剤及び外科手術後の癒着阻止剤などの医薬品として広範囲に使用されている。
また、ヒアルロン酸分子中のヒドロキシル基及び/又はカルボキシル基に、カルボン酸及び/又はアルコール等を反応させてエステル化する等により、ヒアルロン酸を化学修飾したヒアルロン酸誘導体の製造方法が知られている(特許文献1)。しかしながら、ヒアルロン酸にエステル化反応等の化学修飾を行うと、分子全体が化学修飾されてしまうため、ヒアルロン酸の親水性が極端に低下する問題がある。また、ヒアルロン酸の保湿性等の優れた性質が失われてしまう問題もある。そこで、ヒアルロン酸を含む多糖において、分子全体でなく、分子の一部を化学修飾した変性多糖の製造方法の開発が望まれている。
すなわち本発明は、ヒドロキシル基及び/又はカルボキシル基を有する化合物によりアセチル化されたヒアルロン酸である化学修飾された多糖(A)及び下記リボヌクレオシド2リン酸−単糖(B)を多糖合成酵素(C)の存在下で反応させる変性多糖の製造方法である。
リボヌクレオシド2リン酸−単糖(B):トリオース(b−1)、テトロース(b−2)、ペントース(b−3)、ヘキソース(b−4)、ヘプトース(b−5)及び下記単糖(b−6)からなる群より選ばれる少なくとも1種の単糖(b)が有する少なくとも1つのヒドロキシル基の水素原子が下記化学式(1)〜(5)のいずれか1つの官能基で置換された糖ヌクレオチド。
置換基(D):カルボキシル基、アミノ基、N−アセチルアミノ基、スルホ基、メチルエステル基、N−グリコリル基、メチル基、1,2,3−トリヒドロキシプロピル基、リン酸基及び2−カルボキシ−2−ヒドロキシエチル基からなる群より選ばれる少なくとも1種の置換基。
多糖は、後述する単糖(b−1)〜(b−6)が複数連なったものであり、具体的には、ヒアルロン酸、デンプン、アミロース、アミロペクチン、グリコーゲン、セルロース、キチン、キトサン、アガロース、カラギーナン、ヘパリン、ペクチン、キシログルカン及びキサンタンガム等が含まれる。
(A)として具体的には、下記化合物(E)と多糖とを反応させた反応生成物等が挙げられる。
化合物(E):ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基、スルホ基及びリン酸基からなる群より選ばれる少なくとも1種を有する化合物と反応する官能基(e)を有する化合物。
化合物(E)としては、官能基(e)として、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基、スルホ基、ホスホン酸基及びリン酸基からなる群より選ばれる少なくとも1種を有する化合物(E1)が含まれる。
(E11):ヒドロキシル基を有する化合物
(E12):カルボキシル基を有する化合物
(E13):アミノ基を有する化合物
(E14):スルホ基を有する化合物
(E15):ホスホン酸基又はリン酸基を有する化合物
(E16):ヒドロキシル基及びカルボキシル基を有する化合物
(E111)としては、1価の脂肪族アルコール(E111−1)、1価の芳香脂肪族アルコール(E111−2)、1価の脂肪族アルコールのアルキレンオキサイド付加物(E111−3)、1価のアルキルフェノールのアルキレンオキサイド付加物(E111−4)、1価のモノアルキル又は1価のジアルキルアミンのアルキレンオキサイド付加物(E111−5)が含まれる。
上記(E11)のうち、化学修飾し易さの観点から、(E111)が好ましい。
(E121)としては、1価の脂肪族カルボン酸(E121−1)、1価の芳香族カルボン酸(E121−2)及び1価の芳香脂肪族カルボン酸(E121−3)が含まれる。
上記の(E12)のうち、化学修飾し易さの観点から、(E121)が好ましい。
(E131)としては、1価の脂肪族アミン(E131−1)、2価以上の脂肪族アミン(E131−2)、脂環式アミン(E131−3)、芳香族アミン(E131−4)及び複素環式アミン(E131−5)が含まれる。
上記(E13)のうち、化学修飾し易さの観点から、(E131−1)が好ましい。
(E141)としては、炭素数1〜100の脂肪族モノスルホン酸(メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、プロパンスルホン酸、ブタンスルホン酸、ヘキサンスルホン酸、デカンスルホン酸、ウンデカンスルホン酸及びドデカンスルホン酸等);炭素数6〜30芳香族モノスルホン酸(ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、o−トルエンスルホン酸、m−トルエンスルホン酸、4−ドデシルベンゼンスルホン酸、4−オクチルベンゼンスルホン酸及びナフタレンスルホン酸等);炭素数1〜20のパーフルオロアルカンスルホン酸(トリフルオロメタンスルホン酸等)等が挙げられる。
上記(E14)のうち、化学修飾し易さの観点から、(E141)が好ましい。
また、化学修飾された多糖(A)として、(A)を製造し易い及び得られる変性多糖の物性の観点から、多糖が有するヒドロキシル基及び/又はカルボキシル基がエステル化された多糖であることが好ましく、さらに好ましくは多糖が有するヒドロキシル基及び/又はカルボキシル基がアセチル化された多糖であり、次にさらに好ましくは多糖が有するヒドロキシル基及び/又はカルボキシル基がアセチル化されたヒアルロン酸である。
(A)分子の糖鎖を構成する末端の単糖が化学修飾されていない多糖(A)を作成する方法としては、化学修飾された多糖(A)を合成する際に、後述する置換率が1未満となるように合成する方法等が挙げられる。具体的には、化学修飾させる前の多糖が有する官能基{ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基、スルホ基及びリン酸基}のうち、ヒドロキシル基と反応しうる(E)の量を、ヒドロキシル基のモル数よりも少なくすること等が挙げられる。
また、(A)が多糖が有するヒドロキシル基を化合物(E)で修飾したものである場合、(E12)で修飾する方法としては、従来のヒドロキシル基を有する化合物とカルボキシル基を有する化合物からエステル化合物を作成する方法が使用でき、(E14)で修飾する方法としては、従来のヒドロキシル基を有する化合物とスルホ基を有する化合物からスルホン酸エステル化合物を作成する方法が使用でき、(E15)で修飾する方法としては、従来のヒドロキシル基を有するかご物とホスホン酸基又はリン酸基を有する化合物からリン酸エステル化合物を作成する方法が使用できる。
また、化学修飾した多糖を合成する従来の方法{特開平09−110901号、特開平09−124701号及び特開平11−012304号等}を用いることができる。
置換率は、下記式によって求められる。
置換率=M2/M1
M1:化学修飾する前の多糖中の、化合物(E)が反応し得る官能基{ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基、スルホ基及びリン酸基}のモル数
M2:多糖に付加した化合物(E)のモル数
上記(A)の置換率は、NMRによって測定することができる。例えば、化合物(E)が酢酸であり、ヒアルロン酸を化学修飾し、(A)がアセチル化ヒアルロン酸である場合、アセチル化ヒアルロン酸のNMRを測定し、積分値から、下記式によって求める。
置換率=(アセチル基のピーク積分値/3)/{(ヒドロキシル基のピーク積分値)+(アセチル基のピーク積分値/3)}
置換基(D):カルボキシル基、アミノ基、N−アセチルアミノ基、スルホ基、メチルエステル基、N−グリコリル基、メチル基、1,2,3−トリヒドロキシプロピル基、リン酸基及び2−カルボキシ−2−ヒドロキシエチル基からなる群より選ばれる少なくとも1種の置換基。
単糖(b)には、光学異性体及び立体異性体が含まれる。
テトロース(b−2)は、炭素数4の単糖であり、具体的には、エリトロース、トレオース及びエリトルロース等が挙げられる。
ペントース(b−3)は、炭素数5の単糖であり、具体的には、アラビノース、キシロース、リボース、キシルロース、リブロース及びデオキシリボース等が挙げられる。
ヘキソース(b−4)は、炭素数6の単糖であり、具体的には、グルコース、マンノース、ガラクトース、フルクトース、ソルボース、タガトース、フコース、フクロース及びラムノース等が挙げられる。
ヘプトース(b−5)は、炭素数7の単糖であり、具体的には、セドヘプツロース等が挙げられる。
(b−6−1):カルボキシル基(−COOH)で置換された単糖
(b−6−2):アミノ基(−NH2)で置換された単糖
(b−6−3):N−アセチルアミノ基(−NHCOCH3)で置換された単糖
(b−6−4):スルホ基(−OSO3H)で置換された単糖
(b−6−5):メチルエステル基(−COOCH3)で置換された単糖
(b−6−6):N−グリコリル基(−NHCOCH2OH)で置換された単糖
(b−6−7):メチル基で置換された単糖
(b−6−8):1,2,3−トリヒドロキシプロピル基(−CHOHCHOHCH2OH)で置換された単糖
(b−6−9):リン酸基(−OPO3H2)で置換された単糖
(b−6−10):2−カルボキシ−2−ヒドロキシエチル基(−CH2CHOHCOOH)で置換された単糖
(b−6−11):(b−1)〜(b−5)の分子中の水素原子、ヒドロキシル基及びヒドロキシメチル基のうち少なくとも2つが2種以上の置換基(D)で置換された単糖
(b−6−2)として、具体的には、グルコサミン、ガラクトサミン及びマンノサミン等のアミノ糖等が挙げられる。
(b−6−3)として、具体的には、N−アセチルグルコサミン、N−アセチルマンノサミン及びN−アセチルガラクトサミン等が挙げられる。
(b−6−4)として、具体的には、ガラクトース−3−硫酸等が挙げられる。
(b−6−5)として、具体的には、グルコースメチルエステル及び(b−6−1)中のカルボン酸をメチルエステル化したもの等が挙げられる。
(b−6−11)として、具体的には、N−アセチルムラミン酸、ムラミン酸、N−アセチルグルコサミン−4−硫酸、イズロン酸−2−硫酸、グルクロン酸−2−硫酸、N−アセチルガラクトサミン−4−硫酸、シアル酸、ノイラミン酸、N−グライコリルノイラミン酸及びN−アセチルノイラミン酸等が挙げられる。
(B−3)として、具体的には、ウリジン2リン酸−キシロース等が挙げられる。
(B−4)として、具体的には、シチジン2リン酸−グルコース、グアノシン2リン酸−マンノース、グアノシン2リン酸−フコース、アデノシン2リン酸−グルコース、ウリジン2リン酸−グルコース、ウリジン2リン酸−ガラクトース及びウリジン2リン酸−マンノース等が挙げられる。
(B−6)として、具体的には、ウリジン2リン酸−グルクロン酸、ウリジン2リン酸−N−アセチルグルコサミン、ウリジン2リン酸−ウリジン2リン酸−N−アセチルガラクトサミン及びウリジン2リン酸−イズロン酸等が挙げられる。
多糖合成酵素(C)には、化学修飾された多糖(A)の化学修飾される前の糖鎖がヒアルロン酸であるヒアルロン酸合成酵素(C−1)、コンドロイチンであるコンドロイチン合成酵素(C−2)、キサンタンであるキサンタン合成酵素(C−3)、セルロースであるセルロース合成酵素(C−4)、デンプンであるデンプン合成酵素(C−5)及びヘパリンであるヘパリン合成酵素(C−6)が含まれる。また、(C)には、(C−1)〜(C−6)以外にも、上記(B)から糖を転移させて多糖を合成する活性を有する酵素が含まれる。
(C−1)としては、従来のヒアルロン酸合成酵素を使用でき、ヒアルロン酸合成活性を有するものであれば特に限定されない。具体的には、非特許文献(The Journal of Biological Chemistry,2007,Vol.282,No.51,P36777−36781)に記載されているクラスI及びクラスIIのヒアルロン酸合成酵素等が挙げられる。クラスI及びクラスIIは、酵素のアミノ酸配列の相同性によって分類されたものである。クラスIのヒアルロン酸合成酵素として、具体的には、ストレプトコッカスピロジェネシス由来、ストレプトコッカスエクイシミリス由来及び藻類ウイルス由来のヒアルロン酸合成酵素等が挙げられる。また、クラスIIのヒアルロン酸合成酵素として、具体的には、パスツレラ・ムルトシダ由来のヒアルロン酸合成酵素等が挙げられる。
また、単位酵素あたりの変性多糖の生産量の観点から、用いる(A)としては、ヒアルロン酸が化学修飾された多糖であることが好ましい。
(C−2)としては、従来のコンドロイチン合成酵素を使用でき、コンドロイチン合成活性を有するものであれば特に限定されない。具体的には、ストレプトコッカスエクイシミリス由来のコンドロイチン合成酵素及びパスツレラムルトシダ由来のコンドロイチン合成酵素等が挙げられる。
また、単位酵素あたりの変性多糖の生産量の観点から、用いる(A)としては、コンドロイチンが化学修飾された多糖であることが好ましい。
(C−3)としては、従来のキサンタン合成酵素を使用でき、キサンタン合成活性を有するものであれば特に限定されない。具体的には、キサンタン・カムペストリスから得られるキサンタン合成酵素等が挙げられる。
また、単位酵素あたりの変性多糖の生産量の観点から、用いる(A)としては、キサンタンが化学修飾された多糖であることが好ましい。
(C−4)としては、従来のセルロース合成酵素を使用でき、セルロース合成活性を有するものであれば特に限定されない。具体的には、酢酸菌由来のセルロース合成酵素等が挙げられる。
また、単位酵素あたりの変性多糖の生産量の観点から、用いる(A)としては、セルロースが化学修飾された多糖であることが好ましい。
(C−5)としては、従来のデンプン合成酵素を使用でき、デンプン合成活性を有するものであれば特に限定されない。具体的には、トウモロコシ由来のデンプン合成酵素等が挙げられる。
また、単位酵素あたりの変性多糖の生産量の観点から、用いる(A)としては、デンプンが化学修飾された多糖であることが好ましい。
(C−6)としては、従来のヘパリン合成酵素を使用でき、ヘパリン合成活性を有するものであれば特に限定されない。具体的には、ヒト由来のヘパリン合成酵素等が挙げられる。
また、単位酵素あたりの変性多糖の生産量の観点から、用いる(A)としては、ヘパリンが化学修飾された多糖であることが好ましい。
阻害濃度IC50:リボヌクレオシド2リン酸−単糖(B)を多糖合成酵素(C)の存在下で反応させる際の(C)の濃度において、基質としてリボヌクレオシド2リン酸−単糖(B)を用いて、阻害剤としてリボヌクレオシド2リン酸を用いて求めた、(C)の酵素活性が半減するときのリボヌクレオシド2リン酸の濃度。
阻害濃度IC50は、(B)を(C)の存在下で反応させる工程の開始時から終了時までのいずれかの時点での、(C)を反応させる際と同じ(C)の濃度、温度及びpHの条件下で、下記測定を行うことにより求められる。
<阻害濃度IC50の測定方法>
一定量の多糖合成酵素(C)、リボヌクレオシド2リン酸−単糖(B)、リボヌクレオシド2リン酸、pH調整剤(K)及び水を含む一定の温度及びpHに調製した酵素反応溶液(I)を作成する。
酵素反応溶液(I)の温度は、製造工程中で(C)を(B)に作用させる工程の開始時から終了時までのいずれかの時点での温度と同じの温度に調整する。
酵素反応溶液(I)のpHは、製造工程中で(C)を(B)に作用させる工程の開始時から終了時までのいずれかの時点でのpHと同じのpHに調整する。
酵素反応溶液(I)中の(C)のモル濃度は、(C)を(B)に作用させる工程の開始時から終了時までのいずれかの時点での濃度と同じ濃度に調整する。
酵素反応溶液(I)中のリボヌクレオシド2リン酸の含有量(モル濃度)は、リボヌクレオシド2リン酸が0Mの酵素反応溶液(I)、及びリボヌクレオシド2リン酸の濃度が0Mから多糖合成酵素(C)の活性が0になる(多糖の生成が観測できなくなる)リボヌクレオシド2リン酸の濃度との間で、リボヌクレオシド2リン酸の濃度が異なる4種類以上の酵素反応溶液(I)、合計5種類以上の酵素反応溶液(I)を作成する。また、類似の多糖合成酵素に対するリボヌクレオシド2リン酸の阻害定数Kiが分かっている場合は、リボヌクレオシド2リン酸の濃度が0Mのもの、類似の多糖合成酵素のKi未満で0Mより大きい濃度範囲で2種類以上、Ki以上及びKiの10倍以下の濃度範囲で2種類以上、合計5種類以上作成すればいい。
酵素反応溶液(I)中のリボヌクレオシド2リン酸−単糖(B)の含有量は、経時的なピーク面積変化を観測できる濃度を1点選べばよい。測定に使用する(C)と類似の多糖合成酵素のミカエリス定数Kmが分かっている場合は、Km以上及びKmの5倍以下の濃度範囲の間で選べばよい。
酵素反応溶液(I)に用いるpH調整剤(K)は、扱いやすさ及び酵素の安定性の観点から、リン酸塩、ホウ酸塩、HEPESバッファー及びMESバッファー等のGoodバッファーが好ましい。酵素反応溶液(I)中の(K)の含有量(モル濃度)は、100〜500mMである。
作成した酵素反応溶液(I)について、(I)を作成直後及び一定時間(例えば5分)ごとに溶液の一部(例えば100μL)を取り出し、取り出したものを100℃で1分間熱処理し、酵素反応を停止する。液体クロマトグラフィー(以下、HPLCと略記する)を用いて、取り出した反応溶液中の変性多糖の量を定量する。酵素反応溶液(I)を作成直後のピーク面積をP0、h時間後のピーク面積をPhとし、ピーク面積の変化ΔP(=Ph−P0)と変性多糖のピーク面積に対する検量線を用いて酵素反応初速度v(M/s)を算出する。
さらに、リボヌクレオシド2リン酸の濃度が異なる酵素反応溶液(I)を用いて同様に測定し、酵素反応初速度vを算出する。
阻害濃度IC50は、横軸に(x軸)に酵素反応溶液(I)中のそれぞれのリボヌクレオシド2リン酸の濃度、縦軸(y軸)にリボヌクレオシド2リン酸の濃度が0の時の酵素反応初速度vを100(%)としたときの相対活性をプロットする。プロットを直線でつなぎ、y=50(%)となるときのリボヌクレオシド2リン酸の濃度を阻害剤濃度IC50とする。
また、複数種類の(C)を用いる場合は、全ての(C)の阻害濃度IC50を測定し、少なくとも1つの(C)の阻害濃度IC50について上記範囲であることが好ましい。
また、(A)と(B)とを(C)の存在下で反応させる工程において、リボヌクレオシド2リン酸の濃度が上記範囲である時間は、(A)と(B)とを(C)の存在下で反応させる時間中の10〜100%の時間であるが、反応効率の観点から、30〜100%の時間であることが好ましく、さらに好ましくは50〜100%の時間であり、特に好ましくは80〜100%の時間であり、最も好ましくは90〜100%の時間である。
(A)と(B)とを(C)の存在下で反応させる際、リボヌクレオシド2リン酸が副生成物として生成する。(C)の活性は、リボヌクレオシド2リン酸により阻害されやすいため、(A)と(B)とを(C)の存在下で反応させる工程において、リボヌクレオシド2リン酸の濃度は上記範囲であることが好ましい。
(i)リボヌクレオシド2リン酸変換酵素(G)を用いてリボヌクレオシド2リン酸を後述する化合物(H)に変換する方法
(ii)シリカゲル担体等を用いて反応溶液中のリボヌクレオシド2リン酸を吸着させる方法
(iii)化学反応によりリボヌクレオシド2リン酸を他の化合物に変換する方法
(iii)の方法においては、リボヌクレオシド2リン酸を他の化合物に変換することができる化学反応であれば、一般的に知られている化学反応を制限無く用いることができる。
リボヌクレオシド2リン酸−単糖(B)に多糖合成酵素(C)を作用させて変性多糖を製造する方法において、リボヌクレオシド2リン酸を下記化合物(H)に変換する活性を有するリボヌクレオシド2リン酸変換酵素(G)の存在下で(C)を作用させる変性多糖の製造方法。
化合物(H):プリン塩基又はピリミジン塩基(H−1)、リボヌクレオシド(H−2)、リボヌクレオシド1リン酸(H−3)、リボヌクレオシド3リン酸(H−4)、ポリリボヌクレオチド(H−5)、デオキシリボヌクレオシド2リン酸(H−6)及びリボヌクレオシド2リン酸−単糖(H−7)からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物。
(H−2)は、(H−1)の塩基と単糖が結合した化合物であり、具体的には、ウリジン、アデノシン、リボチミジン、シチジン及びグアノシン等が挙げられる。
(H−3)は、(H−2)のモノリン酸エステル化物であり、具体的には、ウリジル酸(ウリジン5’−リン酸)、アデノシン1リン酸(アデノシン5’−リン酸)、リボチミジル酸(リボチミジン5’−リン酸)、シチジン1リン酸(シチジン5’−リン酸)及びグアノシン1リン酸(グアノシン5’−リン酸)等が挙げられる。
(H−4)は、(H−2)のトリリン酸エステル化物であり、具体的には、ウリジン3リン酸(ウリジン5’−三リン酸)、アデノシン3リン酸(アデノシン5’−三リン酸)、リボチミジン−3リン酸(リボチミジン5’−三リン酸)、シチジン3リン酸(シチジン5’−三リン酸)及びグアノシン3リン酸(グアノシン5’−三リン酸)等が挙げられる。
(H−5)は、(H−3)がホスホジエステル結合で重合したポリマーであり、具体的には、ポリウリジル酸、ポリアデニル酸、ポリチミジル酸、ポリシチジル酸及びポリグアニル酸等が挙げられる。
(H−6)は、リボヌクレオシド2リン酸分子中のリボースが2−デオキシリボースとなったものであり、具体的には、デオキシウリジン2リン酸、デオキシアデノシン2リン酸、デオキシグアノシン2リン酸、デオキシシチジン2リン酸及びチミジン2リン酸等が挙げられる。
(H−7)には、上記リボヌクレオシド2リン酸−単糖(B)が含まれる。
(G1)リボヌクレオシド2リン酸をプリン塩基又はピリミジン塩基に変換する活性を有する酵素
(G2)リボヌクレオシド2リン酸をリボヌクレオシドに変換する活性を有する酵素
(G3)リボヌクレオシド2リン酸をリボヌクレオシド1リン酸に変換する活性を有する酵素
(G4)リボヌクレオシド2リン酸をリボヌクレオシド3リン酸に変換する活性を有する酵素
(G5)リボヌクレオシド2リン酸をポリリボヌクレオチドに変換する活性を有する酵素
(G6)リボヌクレオシド2リン酸をデオキシリボヌクレオシド2リン酸に変換する活性を有する酵素
(G7)リボヌクレオシド2リン酸をリボヌクレオシド2リン酸−単糖に変換する活性を有する酵素
(G4)として、具体的には、ヌクレオシド2リン酸キナーゼ、ポリリン酸キナーゼ、アルギニンキナーゼ、ピルビン酸キナーゼ、カルバミン酸キナーゼ、ホスホグリセリン酸キナーゼ及びホスホクレアチンキナーゼ等が含まれる。
また、(G4)には、ウリジン3リン酸合成酵素(G4−1)が含まれる。(G4−1)は、作用するリボヌクレオシド2リン酸がウリジン2リン酸であり、ウリジン3リン酸を合成する反応を触媒する酵素である。
(G4)のうち、リボヌクレオシド3リン酸合成活性の高さの観点から、アルギニンキナーゼ、ヌクレオシド2リン酸キナーゼ、ポリリン酸キナーゼ及びカルバミン酸キナーゼが好ましい。
リン酸基含有化合物(F)を用いる場合、(G4)と(F)との組み合わせとしては、ヌクレオシド2リン酸キナーゼとヌクレオシド3リン酸との組み合わせ、ポリリン酸キナーゼとポリリン酸との組み合わせ、アルギニンキナーゼとω−ホスホノ−L−アルギニンとの組み合わせ、ピルビン酸キナーゼとホスホエノールピルビン酸及びその塩との組み合わせ、カルバミン酸キナーゼとカルバモイルリン酸との組み合わせ、ホスホグリセリン酸キナーゼと3−ホスホグリセロールリン酸との組み合わせ、ホスホグリセリン酸キナーゼと3−ホスホグリセロールリン酸との組み合わせ並びにホスホクレアチンキナーゼとホスホクレアチンとの組み合わせが好ましい。
(g7−1)には、単糖、二糖及びオリゴ糖等が含まれ、具体的には、スクロース等が挙げられる。
(g7−2)は、単糖の有するヒドロキシル基のうち1つに1つのリン酸が結合した化合物であり、例えば、グルクロン酸1リン酸(1−ホスホ−α−D−グルクロン酸等)、N−アセチルグルコサミン1リン酸(N−アセチル−D−グルコサミン−1−ホスファート等)等が挙げられる。
(G7)により合成されるリボヌクレオシド2リン酸−単糖は、本発明の製造方法の原料である(B)と同じでもよく、(B)と異なってもいい。糖(g7−1)又は糖リン酸(g7−2)として、本発明の製造方法の原料であるリボヌクレオシド2リン酸−単糖(B)と同じ単糖(b)のヒドロキシル基に、1つのリン酸が結合した化合物である場合は、(B)が合成される。
(G)は、1種を使用してもよく、2種以上を併用してもいい。
(1)所定量の化学修飾された多糖(A)、リボヌクレオシド2リン鎖−単糖(B)、緩衝液(I)及び多糖合成酵素(C)を混合して反応溶液(L)とし、所定の温度、所定のpHに調整する。必要により、リボヌクレオシド2リン酸変換酵素(G)を加えてもいい。また、本工程では、必要により攪拌してもいい。
上記工程においては、化学修飾された多糖(A)、リボヌクレオシド2リン酸−単糖(B)及び緩衝液(I)を混合し、温度及びpHを調整した後、多糖合成酵素(C)を添加してもいい。さらに、(C)は、そのまま添加してもよく、緩衝液(I)で希釈してから添加してもいい。
また、反応溶液(L)中にはリボヌクレオシド2リン酸変換酵素(G)を含んでもいい。使用する(G)が(G−4)である場合は、(g−4)を含んでもいい。使用する(G)が(G−6)である場合は、(g−6)を含む。使用する(G)が(G−7)である場合は、(g−7)を含む。
さらに、反応溶液(L)中には、脂質(M)、糖類(N)及びオリゴ糖(O)を含んでもいい。
(2)反応溶液(L)の温度を調整しながら、所定の時間、化学修飾された多糖(A)及びリボヌクレオシド2リン酸−単糖(B)を多糖合成酵素(C)の存在下で反応させる。本工程では、必要により攪拌してもいい。
(3)生成した変性多糖を精製する。変性多糖の精製方法としては、適量のアルコール(炭素数1〜10のアルコール)などの溶剤を加えて沈殿させる方法や膜(具体的には、セラミック膜等)を用いて溶液交換をする方法等が挙げられる。
反応溶液(L)中のリボヌクレオシド2リン酸−単糖(B)の含有量(モル濃度)は、変性多糖を効率よく製造する観点及び多糖合成酵素(C)を効率よく作用させる観点から、0.1mM〜2Mが好ましい。
反応溶液(L)中の多糖合成酵素(C)の含有量(ユニット/L)は、変性多糖を効率よく製造する観点及び多糖合成酵素(C)を効率よく作用させる観点から、0.1〜10,000,000ユニット/Lが好ましい。
1ユニットとは、1分間に1μmolのリボヌクレオシド2リン酸−単糖(B)からヒアルロン酸を合成する活性を1ユニットと定義する。
リボヌクレオシド2リン酸変換酵素(G)を用いる場合、反応溶液(L)中の(G)の含有量(ユニット/L)は、変性多糖を効率よく製造する観点及び多糖合成酵素(C)を効率よく作用させる観点から、0.1〜1,000,000ユニット/Lが好ましい。
1ユニットとは、1分間に1μmolのリボヌクレオシド2リン酸を化合物(H)に変換する活性を1ユニットと定義する。
脂質(M)としては、例えば、カルディオピン及びオレイン酸等が挙げられる。
糖類(N)としては、例えば、グリセリン等が挙げられる。
オリゴ糖(O)としては、例えば、オリゴヒアルロン酸等が挙げられる。
反応溶液(L)中の糖類(N)の含有量(重量%)は、酵素の安定化及び酵素の活性化の観点から、0〜30重量%が好ましい。
反応溶液(L)中のオリゴ糖(O)の含有量(重量%)は、酵素の安定化及び酵素の活性化の観点から、0〜1重量%が好ましい。
したがって、本発明の製造方法により得られる変性多糖は、化粧品、医薬部外品、関節炎治療剤、創傷被覆剤、眼科手術用手術補助剤及び外科手術後の癒着阻止剤などの医薬品、医療機器として広範囲に使用できる。
パスツレラ・ムルトシダ由来の配列番号1のヒアルロン酸合成酵素にFLAGタグを融合したアミノ酸配列をコードする遺伝子をpKK223−3に組み込んだプラスミドを大腸菌E.coliSUREに形質転換して、培養し、発現誘導した後、遠心分離機(6000×g、15分間)を用いて大腸菌を回収した。回収した大腸菌を、緩衝液A{100mMリン酸緩衝液(pH7.0)、100mM塩化ナトリウム、10mM塩化マグネシウム、10mMドデシルマルトシド、5mMオレイン酸}に再懸濁して、超音波破砕(130W、10分)を行った。その後、抗FLAG抗体カラムで精製を行い、多糖合成酵素(C)であるヒアルロン酸合成酵素(C−1)の水溶液を得た。
ソラマメ由来の配列番号2のスクロースシンターゼにFLAGタグを融合したアミノ酸配列をコードする遺伝子をpET22bに組み込んだプラスミドを大腸菌BL21(DE3)に形質転換した後、培養し、発現誘導した後、遠心分離機(6000×g、15分間)を用いて大腸菌を回収した。緩衝液B{100mMリン酸緩衝液(pH7.0)、100mM塩化ナトリウム、10mM塩化マグネシウム}に再懸濁して、超音波破砕(130W、10分)を行った。その後、抗FLAG抗体カラムで精製を行い、リボヌクレオシド2リン酸変換酵素(G)であるスクロースシンターゼの水溶液を得た。
水溶液S{1mM ウリジン2リン酸−グルクロン酸(14Cでラベルした放射性同位体を含むウリジン2リン酸−グルクロン酸、放射能300mCi/mmol)、1mM ウリジン2リン酸−N−アセチルグルコサミン、50mMリン酸緩衝液(pH7.0)、100mM塩化ナトリウム、10mM塩化マグネシウム、10mMドデシルマルトシド、5mMオレイン酸}1mLに、1M スクロースを10μL、製造例2で得たスクロースシンターゼ水溶液を10μL及び製造例1で得たヒアルロン酸合成酵素(C−1)水溶液を10μL加えて、反応溶液(X−1)とし、30℃で1時間反応を行った。ろ紙を用いたペーパークロマトグラフィー法で未反応の基質とヒアルロン酸を分離した後、原点部を切り出し、液体シンチレーションカクテルに浸漬させた後、液体シンチレーションカウンターを用いて放射性同位体を測定し、14Cでラベルしたグルクロン酸の取り込み量からヒアルロン酸の合成量を算出した。その結果、ヒアルロン酸の合成量は100μgであった。したがって、製造例1で得られたヒアルロン酸合成酵素(C−1)の水溶液の比活性は0.4ユニット/mLであった。
水溶液R{100mMの塩化ナトリウム、10mMの塩化マグネシウム、1mMのウリジン2リン酸を含む50mMのリン酸緩衝液(pH7.0)}1mLに、1Mのスクロース水溶液を10μL及びスクロースシンターゼ水溶液を10μL加えて反応溶液(1)としたものを3つ作成し、それぞれ30℃で5分、10分、15分反応を行った。反応生成物(ウリジン2リン酸−グルコース)の量は、TLC(Sidma社、PEI−Celluroseプレート)で展開して(展開溶媒:1MのLiCl、1Mのギ酸を含む水溶液)、UVライト(260nm)で検出して求めた。反応生成量と反応時間との関係から、スクロースシンターゼ水溶液の比活性を計算したところ、0.3ユニット/mLであった。
1.5mL容量のチューブ中で940μLの水溶液1[5mMの塩化マグネシウムと0.05mMのウリジン2リン酸ナトリウムを含む50mMのリン酸緩衝液(pH7.5、25℃)]に、製造例1で得たヒアルロン酸合成酵素(C−1)水溶液を10μL溶解し、恒温水槽を用いてチューブを40℃で20分静置した。ここに、40℃に温調した基質溶液1[ウリジン2リン酸−グルクロン酸ナトリウム塩及びウリジン2リン酸−N−アセチルグルコサミンを緩衝液B{50mMのリン酸緩衝液(pH7.5、25℃)}に溶解してそれぞれ20mMの濃度にしたもの]を50μL添加し、酵素反応溶液(I−1)とした。(I−1)を作成直後及び5分おきに100μLずつ取り出し、取り出した溶液は、100℃で2分間加熱して酵素反応を停止した。酵素反応を停止した溶液について、遠心分離器(4℃、12,000×g、10分)を用いて遠心し、不純物を沈殿させた。上清80μLを下記条件でHPLCにより分析し、ヒアルロン酸のピーク面積を記録した。
<HPLCの測定条件>
装置:ACQUITY UPLCシステム
カラム:Shodex OHpak SB−806M HQ
移動相:0.1M NaCO3
流速:1.0ml/min
検出器:ACQUITY UPLC RID検出器
温度:40℃
水溶液1において、ウリジン2リン酸ナトリウムの濃度が異なる溶液{0mM(水溶液2)、0.15mM(水溶液3)、0.5mM(水溶液4)、1mM(水溶液5)及び3mM(水溶液6)}を作成した。水溶液1に代えて水溶液2〜6を用いる以外は同様にして酵素反応溶液(I−2)〜(I−6)を作成した。酵素反応溶液(I−2)〜(I−6)についても、酵素反応溶液(I−1)の場合と同様にして、ヒアルロン酸のピーク面積を記録した。
ヒアルロン酸ナトリウム(フナコシ社製、「ヒアロース」、分子質量:175kDa)を緩衝液Bに溶解し、それぞれ0.001μg/mL、0.01μg/mL、0.1μg/mL及び5μg/mLの濃度にしたものを作成し、ヒアルロン酸標準溶液(1)〜(4)とした。(1)〜(4)を、HPLCにより分析し、ヒアルロン酸のピーク面積をそれぞれ記録した。横軸(x軸)にそれぞれのヒアルロン酸濃度(μg)、縦軸(y軸)にそれぞれのピーク面積Pをプロットし、直線の傾き「k」を算出した。
(I−1)〜(I−6)を作成直後のウリジン3リン酸のピーク面積をP0、「m」分後のピーク面積をPhとし、それぞれピーク面積の変化ΔP(ΔP=Ph−P0)と上記直線の傾きを用いて下記数式(1)からそれぞれの酵素反応初速度v(μg/s)を算出した。
v=ΔP/(k×m×60)(1)
酵素反応溶液(I−2)を用いて測定した酵素反応初速度vを100%とし、酵素反応溶液(I−1)及び(I−3)〜(I−6)を用いて測定した酵素反応初速度の相対値(%)を算出した。算出した相対値を用いて、横軸(x軸)にそれぞれのウリジン2リン酸濃度[S]、縦軸(y軸)に酵素反応溶液(I−1)〜(I−6)での酵素反応初速度vの相対値をプロットした。プロットの近似曲線と直線y=50(%)との交点でのウリジン2リン酸の濃度が阻害濃度IC50であり、阻害濃度IC50は0.8mMであった。
水溶液X{0.001%のアセチル化ヒアルロン酸(資生堂;重量平均分子量約10万、酢酸による置換率0.15、化学修飾された多糖(A−1))、1mM ウリジン2リン酸−グルクロン酸、1mM ウリジン2リン酸−N−アセチルグルコサミン、50mMリン酸緩衝液(pH7.0)、100mM塩化ナトリウム、10mM塩化マグネシウム}1mLに、製造例1で得たヒアルロン酸合成酵素(C−1)の水溶液を10μL加えて、反応溶液(L−1)とし、30℃で1時間反応を行った。限外ろ過膜{Millipore社製、アミコンウルトラ−15(分画分子量10万)}を用いて未反応の基質と変性多糖である変性ヒアルロン酸とを精製した。変性ヒアルロン酸を100mg得た。
(A−1)及び得られた変性ヒアルロン酸について、液体クロマトグラフィーで分析した結果、分子量50万以上のピークは、(A−1)が<1%、得られた変性ヒアルロン酸が80%であった。
また、得られた変性ヒアルロン酸について、液体クロマトグラフィーを用いて分子量50万以上のものを分取し、液体クロマトグラフィー分取後の変性ヒアルロン酸(V−1)を得た。(V−1)をNMRを用いて解析した結果、置換率は0.025であり、(A−1)の置換率0.15よりも低かった。
その後、液体クロマトグラフィーで分取後の変性ヒアルロン酸(V−1)をヒアルロニダーゼ(β−N−アセチルグルコサミナーゼ(生化学工業製)とβ−グルクロニダーゼ(シグマ社製)の混合物)を用いて分解し、さらに液体クロマトグラフィーで分子量1000〜10万のフラクションを分取し、NMRで解析した結果、分解後の変性ヒアルロン酸の置換率は0.155であった。
したがって、液体クロマトグラフィー分取後の変性ヒアルロン酸(V−1)は、(A−1)に化学修飾されていないヒアルロン酸セグメント(グルクロン酸及びN−アセチルグルコサミン)が結合した、一部分が化学修飾された変性多糖である変性ヒアルロン酸を含んでいることがわかった。
実施例1において、水溶液X中のアセチル化ヒアルロン酸を、置換率が「約0.15」のものに代えて「約1」のアセチル化ヒアルロン酸(A−2)(資生堂;重量平均分子量約10万)を使用する以外は同様にして実施した。変性ヒアルロン酸を3mg得た。
(A−2)及び得られた変性ヒアルロン酸について、液体クロマトグラフィーで解析を行った結果、分子量50万以上のピークは(A−2)<1%、得られた変性ヒアルロン酸が10%であった。
得られた変性ヒアルロン酸について、液体クロマトグラフィーを用いて分子量50万以上のものを分取し、液体クロマトグラフィー分取後の変性ヒアルロン酸(V−2)を得た。(V−2)をNMRを用いて解析した結果、置換率は0.5であり、(A−2)の置換率1よりも低かった。
その後、液体クロマトグラフィー分取後の変性ヒアルロン酸(V−2)をヒアルロニダーゼ(β−N−アセチルグルコサミナーゼ(生化学工業製)とβ−グルクロニダーゼ(シグマ社製)の混合物)を用いて分解した後、液体クロマトグラフィーで分子量1000〜10万のフラクションを分取し、NMRで解析した結果、分解後の変性ヒアルロン酸の置換率は0.9であった。
したがって、液体クロマトグラフィー分取後の変性ヒアルロン酸(V−2)は、(A−2)に化学修飾されていないヒアルロン酸セグメント(グルクロン酸及びN−アセチルグルコサミン)が結合した、一部分が化学修飾された変性ヒアルロン酸を含んでいることがわかった。
実施例1において、水溶液X中に90mMのウリジン2リン酸を含む以外は同様にして実施した。変性ヒアルロン酸を15mg得た。
得られた変性ヒアルロン酸について、液体クロマトグラフィーで解析を行った結果、分子量50万以上のピークは5%であった。
得られた変性ヒアルロン酸について、液体クロマトグラフィーを用いて分子量50万以上のものを分取し、液体クロマトグラフィー分取後の変性ヒアルロン酸(V−3)を得た。(V−3)をNMRを用いて解析した結果、置換率は0.07であり、(A−1)の置換率0.15よりも低かった。
その後、液体クロマトグラフィー分取後の変性ヒアルロン酸(V−3)をヒアルロニダーゼ(β−N−アセチルグルコサミナーゼ(生化学工業製)とβ−グルクロニダーゼ(シグマ社製)の混合物)を用いて分解した後、液体クロマトグラフィーで分子量1000〜10万のフラクションを分取し、NMRで解析した結果、分解後の変性ヒアルロン酸の置換率は0.14であった。
したがって、液体クロマトグラフィー分取後の変性ヒアルロン酸(V−3)は、(A−1)に化学修飾されていないヒアルロン酸セグメント(グルクロン酸及びN−アセチルグルコサミン)が結合した、一部分が化学修飾された変性ヒアルロン酸を含んでいることがわかった。
実施例1において、水溶液X中のアセチル化ヒアルロン酸を、置換率が「約0.15」のものに代えて「約0.8」のアセチル化ヒアルロン酸(A−3)(資生堂;重量平均分子量約10万)を使用する以外は同様にして実施した。変性ヒアルロン酸を50mg得た。
(A−3)及び得られた変性ヒアルロン酸について、液体クロマトグラフィーで解析を行った結果、分子量50万以上のピークは(A−3)<1%、得られた変性ヒアルロン酸が30%であった。
得られた変性ヒアルロン酸について、液体クロマトグラフィーを用いて分子量50万以上のものを分取し、液体クロマトグラフィー分取後の変性ヒアルロン酸(V−4)を得た。(V−4)をNMRを用いて解析した結果、置換率は0.05であり、置換率が原料として用いたアセチル化ヒアルロン酸の置換率である0.8よりも低かった。
その後、液体クロマトグラフィー分取後の変性ヒアルロン酸(V−4)をヒアルロニダーゼ(β−N−アセチルグルコサミナーゼ(生化学工業製)とβ−グルクロニダーゼ(シグマ社製)の混合物)を用いて分解した後、液体クロマトグラフィーで分子量1000〜10万のフラクションを分取し、NMRで解析した結果、分解後の変性ヒアルロン酸の置換率は0.75であった。
したがって、液体クロマトグラフィー分取後の変性ヒアルロン酸(V−4)は、(A−3)に化学修飾されていないヒアルロン酸セグメント(グルクロン酸及びN−アセチルグルコサミン)が結合した、一部分が化学修飾された変性ヒアルロン酸を含んでいることがわかった。
実施例1において、水溶液X中にさらに「スクロース(和光純薬社製)を溶液中の濃度が100mMとなるように加え、製造例2で得たスクロースシンターゼの水溶液を1μL加える」以外は同様にして実施した。変性ヒアルロン酸を200mg得た。
得られた変性ヒアルロン酸について、液体クロマトグラフィーで分析した結果、分子量50万以上のピークは、80%であった。
また、得られた変性ヒアルロン酸について、液体クロマトグラフィーを用いて分子量50万以上のものを分取し、液体クロマトグラフィー分取後の変性ヒアルロン酸(V−5)を得た。(V−5)をNMRを用いて解析した結果、置換率は0.025であり、(A−1)の置換率0.15よりも低かった。
その後、液体クロマトグラフィーで分取後の変性ヒアルロン酸(V−5)をヒアルロニダーゼ(β−N−アセチルグルコサミナーゼ(生化学工業製)とβ−グルクロニダーゼ(シグマ社製)の混合物)を用いて分解し、さらに液体クロマトグラフィーで分子量1000〜10万のフラクションを分取し、NMRで解析した結果、分解後の変性ヒアルロン酸の置換率は0.15であった。
したがって、液体クロマトグラフィー分取後のヒアルロン酸誘導体(V−5)は、(A−1)に化学修飾されていないヒアルロン酸セグメント(グルクロン酸及びN−アセチルグルコサミン)が結合した、一部分が化学修飾された変性多糖である変性ヒアルロン酸を含んでいることがわかった。
したがって、本発明の変性多糖の製造方法によれば、一部を化学修飾した変性多糖を製造することができることがわかる。
また、置換率1とほぼ全てのヒドロキシル基がアセチル化されている実施例2と置換率が0.15の実施例1及び置換率が0.8の実施例4とを比較した場合、置換率が0.15又は0.8である実施例1及び4の方が、変性多糖をより大量に得ることができた。
また、リボヌクレオシド2リン酸であるウリジン2リン酸を阻害濃度IC50の113倍含む溶液を用いた実施例3とウリジン2リン酸を加えていない実施例1とを比較した場合、ウリジン2リン酸を加えていない実施例1の方が、変性多糖をより大量に得ることができた。また、リボヌクレオシド2リン酸変換酵素(G)を用いた実施例5は、用いていない実施例1と比較して、さらに変性多糖を大量に得ることができた。
実施例1〜5で液体クロマトグラフィー分取により得られた変性ヒアルロン酸(V−1)〜(V−5)を、限外ろ過膜(Millipore社製アミコンウルトラ−15(分画分子量10万))で濃縮して0.1%の変性ヒアルロン酸水溶液(Y−1)〜(Y−5)にした。500μLの(Y−1)〜(Y−5)をそれぞれ被験者の右手に塗布して30分放置した後、サウナで10分過ごした。水で簡単に汗を流した後、布で変性ヒアルロン酸塗布部位を拭き取った。その後、布から変性ヒアルロン酸を抽出し、液体クロマトグラフィーにより変性ヒアルロン酸量を定量した。同様の試験を変性ヒアルロン酸水溶液(Y−1)〜(Y−5)についてそれぞれ10人に行ったところ、布に付着していた(汗で流れずに残った)変性ヒアルロン酸の量は(V−1)〜(V−5)全て0.3±0.1mgであった。
アセチル化ヒアルロン酸に代えて、ヒアルロン酸(重量平均分子量10万)を用いる以外は実施例1と同様にして、ヒアルロン酸を作成した。
作成したヒアルロン酸について、液体クロマトグラフィーで分子量100万付近を分取し、液体クロマトグラフィー分取後のヒアルロン酸(V’−1)を得た。さらに限外ろ過膜(Millipore社製アミコンウルトラ−15(分画分子量100,000))で濃縮して、0.1%のヒアルロン酸溶液(Y’−1)にした。500μLの(Y’−1)を被験者の左手に塗布して30分放置した後、サウナで10分過ごした。水で簡単に汗を流した後、布でヒアルロン酸塗布部位を拭き取った。その後、布からヒアルロン酸を抽出して液体クロマトグラフィーによりヒアルロン酸量を定量した。同様の試験を10人に行ったところ、布に付着していた(汗で流れずに残った)ヒアルロン酸の量は<0.1mgであった。
したがって、本発明の製造方法によれば、機能性の高い変性多糖を得ることができることがわかる。
Claims (3)
- ヒドロキシル基及び/又はカルボキシル基を有する化合物によりアセチル化されたヒアルロン酸である化学修飾された多糖(A)及び下記リボヌクレオシド2リン酸−単糖(B)を多糖合成酵素(C)の存在下で反応させる変性多糖の製造方法。
リボヌクレオシド2リン酸−単糖(B):トリオース(b−1)、テトロース(b−2)、ペントース(b−3)、ヘキソース(b−4)、ヘプトース(b−5)及び下記単糖(b−6)からなる群より選ばれる少なくとも1種の単糖(b)が有する少なくとも1つのヒドロキシル基の水素原子が下記化学式(1)〜(5)のいずれか1つの官能基で置換された糖ヌクレオチド。
単糖(b−6):(b−1)、(b−2)、(b−3)、(b−4)及び(b−5)からなる群より選ばれる単糖において、この単糖が有する水素原子、ヒドロキシル基及びヒドロキシメチル基からなる群より選ばれる少なくとも1種が下記置換基(D)で置換された単糖。
置換基(D):カルボキシル基、アミノ基、N−アセチルアミノ基、スルホ基、メチルエステル基、N−グリコリル基、メチル基、1,2,3−トリヒドロキシプロピル基、リン酸基及び2−カルボキシ−2−ヒドロキシエチル基からなる群より選ばれる少なくとも1種の置換基。 - 化学修飾された多糖(A)中に、(A)1分子の糖鎖を構成する末端の単糖のうち、少なくとも2つの末端の単糖が化学修飾されていない多糖分子を含む請求項1に記載の変性多糖の製造方法。
- ヒドロキシル基及び/又はカルボキシル基を有する化合物によりアセチル化されたヒアルロン酸である化学修飾された多糖(A)及びリボヌクレオシド2リン酸−単糖(B)に多糖合成酵素(C)を作用させる時間中の10〜100%の時間において、反応溶液中のリボヌクレオシド2リン酸の濃度が多糖合成酵素(C)の下記阻害濃度IC50の100倍未満である請求項1又は2に記載の変性多糖の製造方法。
阻害濃度IC50:リボヌクレオシド2リン酸−単糖(B)を多糖合成酵素(C)の存在下で反応させる際の(C)の濃度において、基質としてリボヌクレオシド2リン酸−単糖(B)を用いて、阻害剤としてリボヌクレオシド2リン酸を用いて求めた、(C)の酵素活性が半減するときのリボヌクレオシド2リン酸の濃度。
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