JP6074977B2 - 殺菌フィルム - Google Patents
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Description
このように光触媒は、表面に付着した有機物を分解することから、消臭、防汚、抗菌等、種々の分野での応用が試みられている。
なお、本発明において(メタ)アクリルとは、アクリル又はメタクリルのいずれかであることを意味し、(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートのいずれかであることを意味する。
模様6は、典型的には基材2の任意の面に形成することができる。模様6は、例えば、図4のように、基材1の殺菌層4側表面に形成されていてもよく、図5のように、基材1の粘着剤層3側表面に形成されていてもよい。また、図6のように基材1の両面にそれぞれ任意の模様6を形成することもできる。ハードコート層5を有する場合には、図7のように、基材1のハードコート層5側表面に模様6が形成されていてもよいし、図8のように粘着剤層3側表面に形成されていてもよいし、図9のように、基材1の両面にそれぞれ任意の模様6が形成されていてもよい。
以下、このような本発明の殺菌フィルムについて、順に説明する。
本発明において、殺菌層は、光触媒を無機吸着剤で被覆してなる複合材料と、金属粒子と、樹脂バインダーとを含有する。
以下、殺菌層に用いられる各成分について、順に説明する。
本発明において光触媒は、光照射により有機物を分解可能な光触媒の中から適宜選択して用いることができる。このような光触媒の具体例としては、例えば、酸化チタン(TiO2)、チタン酸ナトリウム(NaTiO3、Na2Ti6O13等)、チタン酸バリウム(BaTiO3)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化タングステン(WO3)、硫化カドミニウム(CdS)、ニオブ酸カリウム(K2NbO3、K4Nb6O17等)、酸化鉄(Fe2O3)、酸化タンタル(Ta2O5)、酸化スズ(SnO2)、酸化ビスマス(Bi2O3)、酸化ニッケル(NiO)、酸化銅(Cu2O)、酸化ケイ素(SiO2)、硫化モリブデン(MoS2)、インジウム鉛(InPb)、酸化ルテニウム(RuO2)、酸化セリウム(CeO2)等が挙げられる。これらの化合物において、光触媒機能の発現がその結晶型に依存しているものについては、光触媒機能を発現可能な結晶型の化合物が使用される。これらの光触媒は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
酸化チタンの粒径は、0.01〜2.0μmが好ましく、0.3〜0.6μmがより好ましい。
なお、被覆とは、光触媒粒子表面の少なくとも一部を無機吸着剤が覆っていることをいう。光触媒粒子表面の50%〜95%を無機吸着剤が覆っていることが好ましく、光触媒粒子表面の55%〜90%を無機吸着剤が覆っていることがより好ましい。上記上限値以下であれば、光触媒への光の照射量が十分なものとなり、優れた殺菌性を発揮する。また、上記下限値以上であれば、殺菌層中の樹脂バインダー等の劣化が、より抑制することができる。
これらの無機吸着剤の中でも、細菌、ウィルス、カビ等のタンパク質の吸着性の点から、リン酸カルシウムを用いることが好ましく、中でも、ハイドロキシアパタイト[Ca10(PO4)6(OH)2]がより好ましい。
本発明において金属粒子は、光触媒の励起状態を安定化させ、光触媒作用を向上させるために用いられる。光触媒作用をより向上する点からは、殺菌層中において、前記光触媒粒子の表面に前記金属粒子が担持していることが、好ましい。
光触媒粒子と金属粒子との混合割合は、殺菌性を向上する点から、光触媒粒子100質量部に対して、金属粒子が1〜55質量部であることが好ましく、20〜30質量部であることがより好ましい。
殺菌層中の樹脂バインダーは、殺菌層に充分な硬度を付与するものであり、硬化性バインダー成分の硬化物であることが好ましい。硬化性バインダー成分としては、従来公知の硬化性バインダー成分の中から適宜選択して用いることができ、殺菌フィルム中に模様を形成する場合には、透光性を有するものが好ましい。
硬化性バインダー成分としては、例えば、可視光線、紫外線、電子線等により重合硬化させることができる光硬化性化合物を含む光硬化性バインダー成分や、加熱により重合硬化させることができる熱硬化性化合物を含む熱硬化性バインダー成分を含むものを用いることができ、光硬化性バインダー成分が好ましく用いられる。
3官能以上の(メタ)アクリレート系化合物としては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸変性トリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、これら(メタ)アクリレートは、分子骨格の一部を変性しているものでもよく、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、カプロラクトン、イソシアヌル酸、アルキル、環状アルキル、芳香族、ビスフェノール等による変性がなされたものも使用することができる。
ウレタン(メタ)アクリレートは、例えば、多価アルコール及び有機ジイソシアネートとヒドロキシ(メタ)アクリレートとの反応によって得られる。
また、エポキシ(メタ)アクリレートで好ましいものは、3官能以上の芳香族エポキシ樹脂、脂環族エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂等と(メタ)アクリル酸とを反応させて得られる(メタ)アクリレート、2官能以上の芳香族エポキシ樹脂、脂環族エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂等と多塩基酸と(メタ)アクリル酸とを反応させて得られる(メタ)アクリレート、及び2官能以上の芳香族エポキシ樹脂、脂環族エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂等とフェノール類と(メタ)アクリル酸とを反応させて得られる(メタ)アクリレートである。
なお、重合開始剤を用いる場合、当該重合開始剤の含有量は、樹脂バインダーに対して1〜10質量%であることが好ましい。
殺菌層には、上記成分のほかに、帯電防止剤、着色剤(顔料、染料)、難燃剤、シランカップリング剤、重合禁止剤、酸化防止剤、表面改質剤などを添加することができる。
また、凝集防止効果及び沈降防止効果、その他、レベリング性などの特性の向上のため、各種界面活性剤を用いることができる。界面活性剤としては、シリコーンオイル、フッ素系界面活性剤などが挙げられる。
殺菌層の形成方法は、従来公知のものの中から適宜選択して用いることができる。例えば、基材や後述するハードコート層上に、光触媒を無機吸着剤で被覆してなる複合材料と、金属粒子と、バインダー成分と、必要に応じて他の成分を含有する殺菌層形成用組成物を、塗布して、必要に応じて、加熱又は露光により硬化することにより得ることができる。
本発明において基材は、殺菌層及び粘着層を支持するものであればよく、透明であっても、不透明であってもよい。対象物への貼付のし易さの点からは、可撓性を有するものであることが好ましい。
模様の具体例としては、例えば、木目模様、石目模様、布目模様、格子模様、縞模様の他、全面が単一色のものであってもよく、更に、文字、図形、記号等が付されたものであってもよい。
粘着剤層は、少なくとも粘着剤を含む粘着剤組成物によって形成された層である。本発明において粘着剤とは、接着剤の一種をいい、接着剤のうち、接着の際には単に適度な加圧(通常、軽く手で押圧する程度)のみにより、表面の粘着性のみで接着可能なものをいう。粘着剤は、1種単独の化合物のみからなるものでもよく、2種以上の化合物の組み合わせにより粘着剤として機能するものであってもよい。
本発明の粘着剤層は、更に他の接着剤等を用いることなく適度な加圧のみにより、被着体に貼り付け可能なように設計されていることが好ましい。
上記スチレンモノマーユニットとゴムモノマーユニットからなるブロック共重合体と組み合わせて用いる場合には、ゴムモノマーユニットに対する親和性が高いが、スチレンモノマーユニットに対する親和性が低い可塑剤を選択することが好ましい。このような可塑剤としては、例えば、ナフテン系オイル、パラフィン系オイル等が挙げられる。ナフテン系オイル、及びパラフィン系オイルは、いずれかを単独で用いてもよく、これらを組み合せて用いてもよい。
ナフテン系オイルの引火点は、100〜300℃であることが好ましく、150〜280℃であることがより好ましい。ナフタレン系オイルの流動点は、−30〜−5℃であることが好ましく、−25〜−10℃であることが好ましい。ナフテン系オイルの比重は、0.83〜0.87であることが好ましい。また、ナフテン系オイルの質量平均分子量は、100〜1000であることが好ましく、150〜450であることがより好ましい。
パラフィン系オイルの引火点は、100〜300℃であることが好ましく、150〜280℃であることがより好ましい。パラフィン系オイルの流動点は、−30〜−5℃であることが好ましく、−25〜−10℃であることが好ましい。パラフィン系オイルの比重は、0.89〜0.91であることが好ましい。また、パラフィン系オイルの質量平均分子量は、100〜1000であることが好ましく、150〜450であることがより好ましい。
本発明において剥離層は、従来公知のものの中から適宜選択して用いることができる。剥離層としては、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、セルロース樹脂、シリコーン樹脂、塩化ゴム、カゼイン、各種界面活性剤、金属酸化物等の中から1種のみ選んで単独で又は2種以上を選んで混合して用いることができる。
本発明においては、必要に応じて、更にハードコート層等を有していてもよい。本発明においてハードコート層とは、JIS5600−5−4(1999)で規定される鉛筆硬度試験で「H」以上の硬度を示すものをいう。
ハードコート層は、従来公知のハードコート層の中から適宜選択して用いることができる。ハードコート層は、通常、少なくともバインダー成分を含有するハードコート層用樹脂組成物の硬化物からなる。
なお、硬化性バインダー成分、溶媒、及び重合開始剤は、前記殺菌層において用いられたものと同様のものを用いることができるため、ここでの説明は省略する。
本発明に係る殺菌フィルムは、剥離層を剥離し、所望の被着体、例えば、病院や介護施設、学校等の公共施設や、高い衛生基準の求められる食品加工工場、多くの人が集まる商業施設や公共交通機関等において、床、壁、手すり、家具、エレベーター等のボタン、公衆便所周辺部材等に貼付けて使用することができる。
本発明に係る殺菌フィルムは、光触媒効果に優れた、光触媒を無機吸着剤で被覆してなる複合材料を用いていることから、ブラックライト使用時のみならず、蛍光灯下であっても殺菌性を発揮することができる。
銀粒子が担持したリン酸カルシウム被覆アナターゼ型酸化チタン(ハイドロキシアパタイト:酸化チタン:銀=15:75:10(質量比))30質量部と、ペンタエリスリトールアクリレート(PETA、日本化薬株式会社製、KAYARAD PET−30)60質量部と、光重合開始剤(チバスペシャリティケミカルズ株式会社製、イルガキュア181)45質量部を添加混合し、更に、イソプロピルアルコールを加えて、固形分濃度が25質量%の殺菌層形成用組成物1を得た。
製造例1において、銀粒子が担持したリン酸カルシウム被覆アナターゼ型酸化チタンを40質量部、PETAを60質量部に変更した以外は、製造例1と同様にして、固形分濃度が25質量%の殺菌層形成用組成物2を得た。
製造例1において、銀粒子が担持したリン酸カルシウム被覆アナターゼ型酸化チタンの代わりに、酸化チタン粒子分散液(商品名;HTPS−01、テイカ株式会社製)固形分30質量部とした以外は、製造例1と同様にして、固形分濃度が25質量%の比較殺菌層形成用組成物1を得た。
製造例1において、銀粒子が担持したリン酸カルシウム被覆アナターゼ型酸化チタンを用いなかった以外は、製造例1と同様にして、固形分濃度が25質量%の比較殺菌層形成用組成物2を得た。
片面に易接着処理がされた幅1000mmで厚さ100μmの長尺ロール巻2軸延伸透明ポリエチレンテレフタレート(PET)基材上に、製造例1で得られた殺菌層形成用組成物1を、バーコーターを用いて500nmの厚みで塗工し、紫外線を照射して硬化することにより、殺菌層を形成した。また、PET基材の殺菌層とは反対側の面に、粘着フィルム(パナック社製、ゲルポリ、PET基材上に粘着層と剥離層が形成された積層体)を、ラミネーターを用いて貼合し、殺菌フィルム1を得た。
実施例1において、殺菌層形成用組成物の代わりに、製造例2で得られた殺菌層形成用組成物2を用いた以外は、実施例1と同様にして、殺菌フィルム2を得た。
実施例1において、殺菌層形成用組成物の代わりに、比較製造例1及び比較製造例2で得られた比較層形成用組成物をそれぞれ用いた以外は、実施例1と同様にして、比較殺菌フィルム1及び2を得た。
実施例、及び比較例で得られた殺菌フィルムの殺菌性を、JIS Z2801(2010)のフィルム密着法に準拠して、評価した。
具体的には、実施例及び比較例で得られた殺菌フィルムの殺菌層が50mm角の正方形になるように切り取り、これを試験片とした。また、実施例1で用いたPET基材を同様の試験片として、コントロールとした。次いで、各試験片にそれぞれ大腸菌を有する所定の菌液を0.4mL滴下した。その上に、40mm角のポリエチレンテレフタレートフィルムをかぶせ、当該フィルムを密着した。当該各試験片を、培養器中で温度35℃、相対湿度90%、蛍光灯照射下で、24時間培養し、培養後の生菌数を測定した。
また、これとは別に、試験菌液接種直後の試験片の生菌数(試験前生菌数)を測定した。
結果を表1に示す。
上記殺菌性評価後の殺菌フィルムの表面を目視で観察し、殺菌層の劣化を評価した。結果を表1に示す。
<評価基準>
○:殺菌層の変化が認められなかった。
×:殺菌層に黄変等の変化が認められた。
表1の通り、光触媒を無機吸着剤で被覆してなる複合材料と、金属粒子と、樹脂バインダーとを含有する、実施例1及び2の殺菌フィルムは、殺菌性に優れていることが明らかとなった。無機吸着剤で被覆されていない光触媒を用いた比較例1の殺菌フィルムは、殺菌性が認められたものの、実施例よりも劣っていた。また、評価後の殺菌層を目視で確認したところ表面が黄色に変化しており、有機物の劣化が認められた。比較例1で用いられた光触媒は、菌を吸着する無機吸着剤で被覆されていないため、菌に対する触媒作用が効率よく行われなかったものと推測される。また、光触媒表面には、樹脂バインダーが直接接触しているため、当該樹脂バインダーが光触媒作用によって分解され、殺菌層が劣化したものと推測される。
2 殺菌層
3 粘着層
4 剥離層
5 ハードコート層
6 模様
10 殺菌フィルム
Claims (6)
- 基材の一面側に、殺菌層を有し、当該基材の前記殺菌層とは反対の面側に、粘着剤層と、剥離層とを有する殺菌フィルムであって、前記殺菌層が、光触媒を無機吸着剤で被覆してなる複合材料と、金属粒子と、樹脂バインダーとを含有し、前記樹脂バインダーが光硬化性バインダー成分の硬化物である、殺菌フィルム。
- 前記複合材料における、前記光触媒が酸化チタンであり、前記無機吸着剤が、リン酸カルシウムである、請求項1に記載の殺菌フィルム。
- 前記光触媒の表面に前記金属粒子が担持している、請求項1又は2に記載の殺菌フィルム。
- 前記基材と、前記殺菌層との間に、更にハードコート層を有する、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の殺菌フィルム。
- 前記粘着剤層及び前記剥離層をそれぞれ2層以上有する、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の殺菌フィルム。
- 前記粘着剤層が、熱可塑性エラストマーと可塑剤とを含む、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の殺菌フィルム。
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