JP6082995B2 - 通信方法及び通信システム - Google Patents

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Description

本発明は、無線通信ネットワークにおける通信技術、特に、送信局と受信局との間に中継局が存在する無線通信ネットワークにおける通信技術に関する。
近年、無線通信ネットワークの通信品質を向上させるために、送信局と受信局との間に中継局を導入する協力中継伝送が注目されている。無線リンクの観点からは、協力中継伝送における種々の物理層での信号処理技術について、例えば、AF(Amplify and Forward)やDF(Decode and Forward)や分散自空間符号などが提案されている。
一方、多数の無線リンクによって構築される無線通信ネットワークの観点からは、協力中継伝送における種々の媒体アクセス制御(MAC:Media Access Control)層でのプロトコルが提案されている。このように、通信ネットワークの各階層において、協力中継伝送の導入に向けた検討が展開されている。
一般的には、協力中継伝送は2ホップ以上のマルチホップ伝送となる。マルチホップ伝送では、シングルホップ伝送のように1ホップの無線媒体を予約するだけでなく、マルチホップ広域空間にわたる無線媒体を予約する。
1ホップの無線媒体の予約手法として、無線LAN (Local area network) の標準規格として普及しているIEEE(the Institute of Electrical and Electronic Engineers)802.11標準規格(例えば、非特許文献1を参照)で規定されるDCF(Distributed Coordination Function) 方式がある。
また、CoopMAC(Cooperative MAC protocol)として、2ホップまでのマルチホップ協力中継伝送における伝送プロトコルが提案されている(例えば、非特許文献2を参照)。
任意のホップ数を想定したマルチホップ広域空間にわたる無線リソースの予約を行う技術としてEMAC方式がある(例えば、非特許文献3を参照)。しかし、EMAC方式では、無線リソース情報の集約および集約した情報に基づいた制御情報の通知などを考慮していない。
DCF方式は、元来1ホップの伝送を想定した技術である。DCF方式を用いてマルチホップ伝送におけるトラフィックの生起端末から宛先端末へ至るEnd−to−endでデータ伝送を行うには、各ホップでランダムな媒体アクセスを行う必要がある。そのため、DCF方式では、各ホップでの媒体アクセスに伴って生じる衝突やランダムバックオフ制御などに起因する多大なオーバヘッドが生じ、無線リソースの浪費を招く。
CoopMACでは、2ホップまでの協力中継伝送だけを想定しているため、よりホップ数の多い協力中継伝送への拡張は自明ではない。
EMAC方式は、任意のホップ数を想定したEnd−to−endの広域空間にわたる無線媒体を予約し、予約した無線媒体において、トラフィックの生起端末から単一もしくは複数の中継端末を経て宛先端末へEnd−to−endでデータ伝送を行う技術である。これにより、マルチホップ伝送経路上の各ホップでのランダムな媒体アクセスが不要となる。そのため、DCF方式で問題視されるオーバヘッドを削減し、伝送効率の向上が可能となる。
IEEE 802.11-2007, IEEE Standard for Information technology−Telecommunications and information exchange between systems−Local and metropolitan area networks−Specific requirements−Part 11: Wireless LAN Medium Access Control (MAC) and Physical Layer (PHY) Specifications. Pei Liu, Zhifeng Tao, Sathya Narayanan, Thanasis Korakis, Shivendra S. Panwar," CoopMAC: A Cooperative MAC for Wireless LANs," IEEE Journal on Selected Areas in Communications, vol. 25, no. 2, pp. 340-354, Feb. 2007. S. Du, Y. Sun and D.B. Johnson, "EMAC: An asynchronous routing-enhanced MAC protocol in multihop wireless networks," In Proc. GLOBECOM 2010, Miami, FL, USA, pp. 1 - 6, Dec. 2010.
しかしながら、EMAC方式では、通信リソース情報の集約および集約したリソース情報に基づいた制御情報の通知などを考慮していないため、通信リソースが十分活用されていない。
マルチホップ協力中継伝送について、無線媒体のアクセス予約と無線リソース情報の集約と無線リソース制御情報の通知とを、同一のフレームシーケンスで実現する仕組みが求められている。
上記事情に鑑み、本発明は、無線媒体のアクセス予約と無線リソース情報の集約と無線リソース制御情報の通知とを、同一のフレームシーケンスで実現する通信方法及び通信システムを提供することにある。
本発明の一態様は、無線通信ネットワークの任意のホップ数を有するマルチホップ伝送に参加する複数の無線局の間の通信方法において、無線通信を開始する開始局が前記無線通信ネットワーク内での通信権を取得する段階と、前記通信権を取得した開始局が、前記マルチホップ伝送の前に処理される前処理制御フレームに各ホップの送信局に対する傍聴局を記録する段階と、前記通信権を取得した開始局が、前記前処理制御フレームの処理結果に基づいて、各ホップの送信局に対する傍聴局をデータフレームに記録して前記マルチホップ伝送を実行する段階とを有する。
本発明の一態様においては、前記前処理制御フレームは、前方向け制御フレームリレーと後方向け制御フレームリレーとを含み、前記通信権を取得した開始局は、前記前方向け制御フレームリレーに基づいて、前記マルチホップ伝送に参加する各無線局における無線媒体のアクセス予約と、アクセス予約した前記無線媒体のリソース情報の集約を行うと共に、前記後方向け制御フレームリレーに基づいて、集約したリソース情報に基づいたリソース制御の情報を前記マルチホップ伝送に参加する各無線局に通知する。
本発明の一態様においては、前記前処理制御フレームは、前記マルチホップ伝送の中継局までの経路において、前記前方向け制御フレームリレーと前記後方向け制御フレームリレーとを含む。
本発明の一態様においては、前記開始局は、媒体アクセス制御方式に基づいて、前記無線通信ネットワーク内での通信権を取得する。
本発明の一態様は、無線通信ネットワークの任意のホップ数を有するマルチホップ伝送に参加する複数の無線局を含む通信システムにおいて、無線通信を開始する開始局は、前記無線通信ネットワーク内での通信権を取得し、前記マルチホップ伝送の前に処理される前処理制御フレームに各ホップの送信局に対する傍聴局を記録し、前記前処理制御フレームの処理結果に基づいて、各ホップの送信局に対する傍聴局をデータフレームに記録して前記マルチホップ伝送を実行する。
本発明によれば、無線媒体のアクセス予約と無線リソース情報の集約と無線リソース制御情報の通知とを、同一のフレームシーケンスで実現することができる。
本発明の一実施形態に係るマルチホップ協力中継伝送方法における構成図である。 各無線局の内部構成を示すブロック図である。 マルチホップ協力中継伝送方法の処理の流れの具体例を示すフローチャートである。 中継局が3個のマルチホップ伝送処理方法における構成図である。 送信局グループと受信局グループとをそれぞれ前方向け制御フレームと後方向け制御フレームとに記載する時の記入例を示す図である。 フレームシーケンスの具体例を示す図である。 フレームシーケンスの具体例を示す図である。
〔実施の形態1〕
図1は、本発明の一実施形態に係るマルチホップ協力中継伝送方法(通信方法)における構成図である。
図1において、無線局S1及び無線局S2とは、同一の無線通信ネットワークに属し、通信を行う任意の1つの無線局のペアである。無線局S1と無線局S2との間の通信方向は限定されない。
次に、無線局R1、R2、・・・、RPは、無線局S1と無線局S2との間の通信に協力する中継局を表している。図1において、無記名の丸印は、無線局S1と無線局S2との間の通信に協力せず中継局として選ばれていない無線局である。なお、上記の無線局は、AP(Access Point)あるいはSTA(Station)端末の他、任意の形態のものであってよい。
図2は、各無線局(無線局S1、無線局S2、無線局R1、無線局R2、・・・、無線局RP)の内部構成を示すブロック図であり、本実施形態と関係する機能ブロックのみ抽出して示してある。同図に示すように、無線局10は、アンテナ11、無線通信部12、及び通信制御部13を備える。
アンテナ11は、無線信号を送受信する。同図においては、アンテナ11を複数備える場合を示しているが、1つでもよい。
無線通信部12は、無線信号の送信処理、受信処理、及び中継処理を行う。中継処理は、受信処理によってアンテナ11が受信した無線信号を復調・復号して得たデータを、送信処理によって符号化・変調してアンテナ11に出力してもよく、アンテナ11が受信した無線信号の増幅のみを行ってアンテナ11に出力してもよい。
通信制御部13は、無線通信部12を制御し、ルート選択部14、通信権取得部15、前処理制御部16、前方向け制御部17、後方向け制御部18、及び伝送制御部19を備える。
図3は、マルチホップ協力中継伝送方法の処理の流れの具体例を示すフローチャートである。
まず、マルチホップ伝送を開始する一の無線局が、無線通信ネットワークの中での通信権を取得する(S1)。前提として、無線通信ネットワークの中で送信フレームがもつ無線局同士が媒体アクセス方式に従い通信権を競合する。例えば、無線LANの場合では、CSMA/CA(Carrier Sense Multiple Access with Collision Avoidance)方式で送信フレームがもつ複数の無線局が通信権を競い合う。図1では、例えば無線局S1がネットワーク内での通信権を取得する。
次に、開始局は、通信権を取得したマルチホップ伝送の開始局からマルチホップ伝送の終了局あてにデータ伝送ができるように、前処理を実施する(S2)。
本ステップの前処理は、以下の2つの内容を有している。
(内容1)マルチホップルート上にない傍聴通信もできるように、各ホップの送信局に対する傍聴局も前処理制御フレームに記録すること。
(内容2)前方向け制御フレームリレーと後方向け制御フレームリレーで前処理制御フレームシーケンスを構成すること。
開始局から終了局へ向けた方向を前方、逆に終了局から開始局へ向けた方向を後方と定義する。更に、制御フレームリレーとはある通信ルートに沿って、その通信ルート上にある複数の無線局を経由し、制御フレームを通信ルートの終端から始端までに伝送することを意味する。
また、前方向け制御フレームリレーとは、開始局から終了局へ向けた方向で制御フレームを開始局から終了局へ伝送することを意味する。同様に、後方向け制御フレームリレーとは、終了局から開始局へ向けた方向で制御フレームを終了局から開始局へ伝送することを意味する。
制御フレームシーケンスでは、まず、前方向け制御フレームリレーを通じて、マルチホップ伝送に参加する各無線局における無線媒体のアクセス予約と、予約した媒体のリソース情報の集約を行う。次に、後方向け制御フレームリレーを通じて、集約したリソース情報に基づいたリソース制御の情報をマルチホップ伝送に参加する各無線局に通知する。これらの2つの制御フレームリレーの実施を通じて、マルチホップ伝送の準備を整える。
次に、開始局は、前処理の結果に従って、マルチホップ伝送および成否応答を実施する(S3)。
本ステップのマルチホップ伝送および成否応答は、マルチホップルート上にない傍聴通信もできるように、各ホップの送信局に対する傍聴局もデータフレームおよび成否応答制御フレームに記録すること、という内容を有している。
次に、マルチホップ伝送および成否応答が完了した後は、無線通信ネットワークに通信権を解放する(S4)。無線通信ネットワークに属する送信フレームが有する複数の無線局が媒体アクセス制御方式(例えば無線LANで使用するCSMA/CA方式など)を使って、再び無線通信媒体の通信権の競合を開始する。
本実施形態では、任意のホップ数を想定した上、無線媒体のアクセス予約と、無線リソース情報の集約と、無線リソース制御情報の通知と、を統一した制御フレームシーケンスで実現する仕組みを確立する。
無線通信リソース情報とは、ある無線局ペア間の通信に利用できるさまざまな情報を意味する。無線通信リソース情報の例としては、無線伝搬路情報(CSI: Channel State Information)、受信信号対雑音電力比(SNR: Signal to Noise power Ratio)情報、変調方式符号化方式(MCS: Modulation Coding Scheme)情報、トラフィック(TSI: Traffic State Information)情報などの種々の通信リンクに関連する情報がある。無線通信リソース情報は、これらの例に限定されない。
図3のステップS2における前処理について詳細に説明する。高効率なマルチホップ伝送を実現するには、前処理として、無線通信媒体のアクセス予約と、予約した媒体のリソース情報の集約と、リソース制御情報の通知とが必要である。
図4を参照して、中継局3個、開始無線局から終了無線局の間に4ホップあるマルチホップ伝送について、前処理の内容を説明する。なお、任意の中継局数およびホップ数あるマルチホップ伝送についても、ここで説明する前処理を自明に適用できる。
図4は、中継局が3個のマルチホップ伝送処理方法における構成図である。前処理の制御フレームシーケンスは4つの時間ステップが有する前方向け制御フレームリレー〔図4(a)参照〕と、4つの時間ステップが有する後方向け制御フレームリレー〔図4(b)参照〕で構成される。
前方向け制御フレームリレーの内訳として、時間ステップ#1で無線局S1から無線局R1へ無線リンクL−S1R1を通じて、制御フレームを伝送する。また、前方向け制御フレームリレーの内訳として、時間ステップ#2で無線局R1から無線局R2へ無線リンクL−R1R2を通じて、制御フレームを伝送する。また、前方向け制御フレームリレーの内訳として、時間ステップ#3で無線局R2から無線局R3へ無線リンクL−R2R3を通じて、制御フレームを伝送する。また、前方向け制御フレームリレーの内訳として、時間ステップ#4で無線局R3から無線局S2へ無線リンクL−R3S2を通じて、制御フレームを伝送する。
無線リンク情報は、ある無線局ペア間の通信に利用できるさまざまな情報を意味する。例えば、無線リンク情報として、無線伝搬路情報(CSI:Channel State Information)、受信信号対雑音電力比(SNR:Signal to Noise power Ratio)情報、変調方式符号化方式(MCS:Modulation Coding Scheme)情報、トラフィック(TSI:Traffic State Information)情報などのさまざまな無線リンクに関連する情報が考えられる。無線伝搬路情報、受信信号対雑音電力比情報は、無線通信部12におけるトレーニング信号などの受信状態から間接的な情報として得ることができる。また、変調方式符号化方式は、送信元の無線局10が前処理制御フレームなどに設定した情報から直接得ることができる。また、トラフィック情報は、無線通信部12において受信した無線信号の送信元を監視することにより得ることができる。
後方向け制御フレームリレーの内訳として、時間ステップ#5で無線局S2から無線局R3へ制御フレームを伝送する。また、後方向け制御フレームリレーの内訳として、時間ステップ#6で無線局R3から無線局R2へ制御フレームを伝送する。また、後方向け制御フレームリレーの内訳として、時間ステップ#7で無線局R2から無線局R1へ制御フレームを伝送する。また、後方向け制御フレームリレーの内訳として、時間ステップ#8で無線局R1から無線局S1へ制御フレームを伝送する。
前方向け制御フレームおよび後方向け制御フレームには、マルチホップ伝送に参加するすべての無線局のアドレスを、送信局グループTG(Transmitter Group)と受信局グループRG(Receiver Group)に分解した上、順番をつけて記載する。
図5は、送信局グループTGと受信局グループRGとをそれぞれ前方向け制御フレーム〔図5(a)参照〕と後方向け制御フレーム〔図5(b)参照〕とに記載する時の記入例を示す図である。
前方向け制御フレームリレーを実施する際、時間ステップ#2の単一ホップR1からR2で伝送される制御フレームに記載するTG、RGの記入例は次のように示す。
時間ステップ#2のホップR1からR2に移行する。
TG : S1,R1
RG : R2,R3,S2
送信局グループTGには、これまでに送信した無線局S1,R1のアドレスを順番に記載する。
受信局グループRGには、受信可能な無線局R2,R3,S2のアドレスを順番に記載する。
送信局グループTGの第1番目に記載される無線局は、マルチホップ伝送の開始局である。マルチホップ伝送の開始局は、図5の例では、無線局S1に相当する。
受信局グループRGの最後番目に記載される無線局は、マルチホップ伝送の終了局である。マルチホップ伝送の終了局は、図5の例では、無線局S2に相当する。
送信局グループTGの最後番目に記載される無線局は、現在制御フレームリレーを実施している単一ホップR1からR2の送信局である。本送信局は、図5の例では、無線局R1に相当する。
受信局グループRGの第一番目に記載される無線局は、現在制御フレームリレーを実施している単一ホップR1からR2の送信局R1に対する受信局である。本受信局は、図5の例では、無線局R2に相当する。
受信局グループRGの第2番目から最後番目までに記載されている無線局は、現在制御フレームリレーを実施している単一ホップR1からR2の送信局R1に対する傍聴局である。本傍聴局は、図5の例では、無線局R3,S2に相当する。
単一ホップR1からR2の受信局R2は、送信局R1からの制御フレームを受け取り、所定の処理を行った後は、自ら次の単一ホップR2からR3における送信局R2となり、その送信局R2に対する受信局R3および傍聴局S2に向けて更新した制御フレームを終点局に向けてリレーする。その制御フレームに記載する送信局グループTGと受信局グループRGを次のように更新する。
1つ前の単一ホップR1からR2の受信局として受け取った制御フレームに、記載されていた受信局グループRGの第1番目の無線局R2のアドレスを記載されていた送信局グループTGの最後番目の無線局アドレスの後ろに移動する。その結果、送信局グループTGと受信局グループRGとは以下になる。
時間ステップ#2のホップR1からR2に移行する。
TG:S1,R1
RG:R2,R3,S2
TG,RGを更新する。
時間ステップ#3のホップR2からR3に移行する。
TG:S1,R1,R2
RG:R3,S2
次の単一ホップR3からS2への送信グループTGと受信グループRGとの更新も同様である。
次に、後方向け制御フレームリレーを実施する際の時間ステップ#6の単一ホップR3からR2で伝送される制御フレームに記載するTG、RGの記入例を次に示す。
時間ステップ#6のホップR3からR2に移行する。
TG:S2,R3
RG:R2,R1,S1
前方向け制御フレームリレーと同様に、S2はマルチホップ伝送の開始局、S1はマルチホップ伝送の終了局、R3は現在制御フレームリレーを実施している単一ホップR3からR2の送信局、R2とR1及びS1とは、それぞれ送信局R3に対する受信局と傍聴局とである。以降の時間ステップ#7、#8の単一ホップでの送信グループTGと受信グループRGの更新も同様に類推できる。
ただし、上記制御フレームの送信局グループTGと受信局グループRGとのいずれにも記載されていない無線局は、上記制御フレームを受信した後にNAV(Network Allocation Vector)をはって、マルチホップ伝送に参加する無線局との無線媒体での衝突を回避する。
また、送信局と受信局の間の無線リンクを所望リンクとし、送信局と傍聴局との間の無線リンクを傍聴リンクとする。図5の例では、無線局R1と無線局R2との間の無線リンクは所望リンクであり、無線局R1と無線局R3,無線局S2との間の無線リンクは傍聴リンクである。
図5では、所望リンクを実線で示し、傍聴リンクを点線で示している。所望リンクでは送信局と受信局との間の通信は可能であるが、傍聴リンクでは送信局と傍聴局との間の通信は可能あるいは不能の両方の可能性がある。通信不能とは送信局と傍聴局との間の通信が正確にできないことを意味する。
図5から分かるように、前方向けマルチホップ伝送の開始局となる無線局S1と終了局となる無線局S2との間には所望リンクは4個あるのに対して、傍聴リンクは6個ある。所望リンクと傍聴リンクとを併せて全部で10個の無線リンクがある。傍聴リンク通信は、上記制御フレームの中に各単一ホップの送信局に対する受信局以外に、傍聴局も記録することによって得られた増分の通信リソースである。
このように、マルチホップ伝送に参加するすべての無線局のアドレスを制御フレームに記載するだけではなく、各単一ホップの送信局に対する受信局以外に、傍聴局も記録することによって、次のような利点A,B,が得られる。
A,所望リンク通信と傍聴リンク通信との両方が可能となる。そのため、協力中継伝送を実施できるパターンが増え、その結果マルチホップ伝送ルートの選択肢が増える。
B,既定の伝送ルートを変更しなくても、制御フレームやデータフレームを伝送する際に、各無線局が異なる時間ステップで受け取った同一信号に対して、ダイバシティー合成受信処理が適用できる。
ここからは、図4及び図5のマルチホップ伝送構成に対して、統一した制御フレームシーケンスを用いて、各無線局の媒体アクセス予約と、予約した無線媒体のリソース情報(つまり、マルチホップ伝送に関連する各無線通信リンクにおける情報)の集約と、無線リソース制御情報(つまり、マルチホップ伝送に関連する各無線局における無線リソースの割当パターンなどの情報)の通知と、を具体的なフレームシーケンスを通して実現する方法を説明する。
図6は、上記のフレームシーケンスの具体例を示す。図6において、横軸は時間を示している。図6には、6つの時間軸があり、一番上部の時間軸は、無線局S1,S2,R1,R2,R3が送信する制御フレームを時間順に整理した前処理制御フレームシーケンスの全体である。残り下部の5つの時間軸には、それぞれ無線局S1,R1,R2,R3,S2が送信局として送信する制御フレームと、無線局S1,R1,R2,R3,S2が受信局および傍聴局として受け取る無線伝搬後の制御フレームを時間順に整理している。図6において、傍聴した制御フレームは点線枠で示される。
ここでは、無線LANで採用されている衝突防止制御策RTS(Request To Send:送信要求)制御フレームと、CTS(Clear To Send:受信準備完了)制御フレームを拡張して利用する形を想定するが、他の制御フレームあるいは無線LAN以外のシステムの制御フレームの利用を想定してもよい。また、制御フレーム間の時間間隔は無線LANで用いるSIFS(Short InterFrame Space)とする。
リソース情報は、取得する方法によって、未知のものとして推定することによって得るタイプと、既知のものとして情報を直接受け取って得るタイプとの2種類に分類できる。本実施形態では、両方のタイプのリソース情報の利用に対応する。
以下、前方向け制御フレームリレーとして時間ステップ#1〜#4を説明する。
時間ステップ#1において、ホップS1からR1では、送信局グループTGと受信局グループRGとを更新して、送信局S1が受信局R1と傍聴局R2,R3,S2宛に拡張RTS(Extended RTS)制御フレームを前方向けリレーする。
その拡張RTSに関する各関連無線局での詳細なやりとりは、下部にある各無線局に関連する時間軸に分解して記載している。ホップS1からR1の送信局S1がトレーニング信号を含んだ拡張RTSを送信する。受信局R1と傍聴局R2,R3,S2はその拡張RTSフレームを受信し、その中のトレーニング信号を利用して、S1との間の未知の無線リソース情報L−S1R1、L−S1R2、L−S1R3、L−S1S2を推定する。
時間ステップ#2において、ホップR1からR2では、送信局グループTGと受信局グループRGとを更新して、送信局R1が受信局R2と傍聴局R3,S2とを宛先に拡張したCTS(Extended CTS)制御フレームを前方向けリレーする。その拡張CTS制御フレームには、トレーニング信号以外に時間ステップ#1で得たリソース情報L−S1R1が追加されている。ホップR1からR2の受信局R2と傍聴局R3,S2とは、送信局R1からの拡張CTSフレームを受信し、その中のトレーニング信号を利用して無線局R1との間の未知の無線リソース情報L−R1R2、L−R1R3、L−R1S2を推定する。更に、拡張CTSに含まれる既知の無線リソース情報L−S1R1を受け取る。
時間ステップ#3において、ホップR2からR3では、送信局グループTGと受信局グループRGとを更新して、送信局R2が受信局R3と傍聴局S2宛に拡張したCTS制御フレームを前方向けリレーする。その拡張CTS制御フレームには、トレーニング信号以外に時間ステップ#1及び#2で得たリソース情報L−R1R2、L−S1R2が追加されている。ホップR2からR3の受信局R3と傍聴局S2は送信局R2からの拡張CTSフレームを受信し、その中のトレーニング信号を利用してR2との間の未知の無線リソース情報L−R2R3、L−R2S2を推定する。ホップR2からR3の受信局R3と傍聴局S2は、拡張CTSに含まれる既知の無線リソース情報L−R1R2、L−S1R2、L−S1R1を受け取る。
時間ステップ#4において、ホップR3からS2では、送信局グループTGと受信局グループRGとを更新して、送信局R3が受信局S2宛に拡張したCTS制御フレームを前方向けリレーする。拡張CTS制御フレームには、トレーニング信号以外に時間ステップ#2及び#3で得たリソース情報L−R1R3、L−R2R3が追加されている。ホップR3からS2の受信局S2は送信局R3からの拡張CTSフレームを受信し、その中のトレーニング信号を利用して無線局R3との間の未知の無線リソース情報L−R3S2を推定する。ホップR3からS2の受信局S2は、拡張CTSに含まれる既知の無線リソース情報L−R1R3、L−R2R3を受け取る。
ここでは、傍聴リンクS1R3が通信不能のために、時間ステップ#1においてリソース情報L−S1R3の推定ができなかった、あるいは、制御フレームのオーバヘッドを減らすため、リソース情報L−S1R3を送信局R3が送信する制御フレームに追加しない。このように、リレーする制御フレームの送信局グループTGと受信局グループRGの更新は必要であるが、リソース情報の追加はシステムの要求条件に応じて決めればよい。
図6から読み取れるように、時間ステップ#1〜#4までの前方向け制御フレームリレーを通して、開始局S1と終了局S2との間のマルチホップ伝送に参加する各無線局における無線媒体のアクセス予約ができる。また、所望リンク通信と傍聴リンク通信(傍聴リンクが全部通信可能と仮定する)の両方を利用して、無線局R1、R2、R3、S2にそれぞれ1個、3個、6個、9個のリソース情報を集約できる。
無線局R1、R2、R3、S2の一部は集約したリソース情報に基づいて、ルートの再選択やサブチャネルの割当などのリソース制御を行うことができる。マルチホップ伝送を制御情報に従って実施するには、その制御情報をマルチホップ伝送に参加する自身以外の無線局に通知する必要がある。
以下、後方向け制御フレームリレーとして時間ステップ#5〜#8を説明する。
時間ステップ#5において、ホップS2からR3では、送信局グループTGと受信局グループRGとを更新して、送信局S2が受信局R3と傍聴局R3,R2,S1宛に拡張CTS制御フレームを後方向けリレーする。拡張CTS制御フレームには、リソース制御情報S2−RCI(Resource Control Information)を含む。ホップS2からR3の受信局R3、傍聴局R2,R1,S1は送信局S2からの拡張CTSフレームを受信し、拡張CTSフレームに含まれるリソース制御情報S2−RCIを受け取る。
時間ステップ#6において、ホップR3からR2では、送信局グループTGと受信局グループRGを更新して、送信局R3が受信局R2と傍聴局R1,S1宛に拡張したCTS制御フレームを後方向けリレーする。拡張CTS制御フレームは、リソース制御情報R3−RCIを含む。ホップR3からR2の受信局R2及び傍聴局R1,S1は、送信局R3からの拡張CTSフレームを受信し、拡張CTSフレームに含まれるリソース制御情報R3−RCIを受け取る。
時間ステップ#7において、ホップR2からR1では、送信局グループTGと受信局グループRGを更新して、送信局R2が受信局R1及び傍聴局S1宛に拡張したCTS制御フレームを後方向けリレーする。拡張CTS制御フレームは、リソース制御情報R2−RCIを含む。ホップR2、R1の受信局R1傍聴局S1は送信局R2からの拡張CTSフレームを受信し、拡張CTSに含まれるリソース制御情報R2−RCIを受け取る。
時間ステップ#8において、ホップR1からS1では、送信局グループTGと受信局グループRGとを更新して、送信局R1が受信局S1宛に拡張したCTS制御フレームを後方向けリレーする。拡張CTS制御フレームは、リソース制御情報R1−RCIを含む。ホップR1からS1の受信局S1は送信局R1からの拡張CTSフレームを受信し、拡張CTSフレームに含まれるリソース制御情報R1−RCIを受け取る。
図6から読み取れるように、時間ステップ#5〜#8までの後方向け制御フレームリレーを通して、終了局S2から開始局S1に向かって、マルチホップ伝送に参加する各無線局にリソース制御情報を通知できる。
リソース制御情報R1−RCI、R2−RCI、R3−RCI、S2−RCIはそれぞれ前者が後者の部分集合である。
図5からも読み取れるように、傍聴リンク通信を利用すれば、各無線局が異なる時間ステップで受け取った同一情報を含む前方向け制御フレームおよび後方向け制御フレームに対して、ダイバシティー合成受信処理が適用できる。従って、傍聴リンクの使用はマルチホップ伝送に起因する誤り伝搬の軽減にも役立つ。
〔実施の形態2〕
本実施形態が、実施の形態1と異なるのは、下記の点である。
まず、通信放送性から、あるホップの送信局が送信する前方向け制御フレームリレーは、そのホップの受信局が受け取れると同時に、1つ前のホップの送信局も受け取ることができることである。したがって、あるホップの送信局が前方向け制御フレームを送信すると、そのホップの受信局に対する予約の機能があると同時に、1つ前のホップの送信局に対して受信局として予約されたかどうかの成否応答〔ACK(ACKnowledge)〕の機能もある。
あるホップにたどり着いた時点で、そのホップの送信局(終了局でないとする)がSIFS間隔を経ても、続けて前向け制御フレームを送信しなければ、1つ前のホップの送信局は自分による受信局への予約が失敗したと判断する。
その場合は、オーバヘッドを減らすために、開始局から終了局までのマルチホップ伝送を実施するために前方向け制御フレームリレーによる媒体予約を最初からやり直すのではなく、最後に予約できた中継局を終了局と見なして、前方向け制御フレームリレーを終了させ、後方向け制御フレームリレーをその中継局から開始局に向かって実施する。
上記の前処理が終了すれば、開始局から予約できた最後の中継局との間のマルチホップ伝送およびその成否応答を実施する。それらが完了すれば、無線通信ネットワークに通信権を解放する。
図7は、上記のフレームシーケンスの具体例を示す。
上記の各実施形態によれば、任意のホップ数を想定した上、無線媒体のアクセス予約と、無線リソース情報の集約と、無線リソース制御情報の通知と、を統一した制御フレームシーケンスで実現することができる。
すなわち、任意のホップ数が有するマルチホップ協力中継伝送について、無線媒体のアクセス予約と、無線リソース情報(つまり、マルチホップ伝送に関連する各無線通信リンクにおける情報)の集約と、無線リソース制御情報(つまり、マルチホップ伝送に関連する各無線局における無線リソースの割当パターンなどの情報)の通知と、を統一したフレームシーケンスを通じて実現できる。
上記の各実施形態によれば、従来の無線通信ネットワークに比べて、より高いシステムスループット、短い伝送遅延などの向上した通信品質が実現できる。
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計も含まれる。なお、当然ながら、上述した実施の形態および複数の変形例は、その内容が相反しない範囲で組み合わせることができる。また、上述した実施の形態および変形例では、各部の構造などを具体的に説明したが、その構造などは本願発明を満足する範囲で各種に変更することができる。
10…無線局, 11…アンテナ, 12…無線通信部, 13…通信制御部, 14…ルート選択部, 15…通信権取得部, 16…前処理制御部, 17…前方向け制御部, 18…後方向け制御部, 19…伝送制御部

Claims (3)

  1. 無線通信ネットワークの任意のホップ数を有するマルチホップ伝送に参加する複数の無線局の間の通信方法において、
    無線通信を開始する開始局が前記無線通信ネットワーク内での通信権を取得する段階と、
    前記通信権を取得した開始局が、前記マルチホップ伝送の前に処理される前処理制御フレームに各ホップの送信局に対する傍聴局を記録する段階と、
    前記通信権を取得した開始局が、前記前処理制御フレームの処理結果に基づいて、各ホップの送信局に対する傍聴局をデータフレームに記録して前記マルチホップ伝送を実行する段階とを有し、
    前記前処理制御フレームは、前方向け制御フレームリレーと後方向け制御フレームリレーとを含み、
    前記通信権を取得した開始局は、
    前記前方向け制御フレームリレーに基づいて、前記マルチホップ伝送に参加する各無線局における無線媒体のアクセス予約と、アクセス予約した前記無線媒体のリソース情報の集約を行うと共に、
    前記後方向け制御フレームリレーに基づいて、集約したリソース情報に基づいたリソース制御の情報を前記マルチホップ伝送に参加する各無線局に通知し、
    前記マルチホップ伝送に参加する各無線局は、
    前記前方向け制御フレームリレーを送信した後、当該前方向け制御フレームリレーの受信局が所定時間を経ても前記前方向け制御フレームを送信しなかった場合は、前記前方向け制御フレームリレーを終了させ、前記後方向け制御フレームリレーを自局から前記開始局に向かって実施する通信方法。
  2. 前記開始局は、媒体アクセス制御方式に基づいて、前記無線通信ネットワーク内での通信権を取得する請求項1に記載の通信方法。
  3. 無線通信ネットワークの任意のホップ数を有するマルチホップ伝送に参加する複数の無線局を含む通信システムにおいて、
    無線通信を開始する開始局は、
    前記無線通信ネットワーク内での通信権を取得し、
    前記マルチホップ伝送の前に処理される前処理制御フレームに各ホップの送信局に対する傍聴局を記録し、
    前記前処理制御フレームの処理結果に基づいて、各ホップの送信局に対する傍聴局をデータフレームに記録して前記マルチホップ伝送を実行し、
    前記前処理制御フレームは、前方向け制御フレームリレーと後方向け制御フレームリレーとを含み、
    前記通信権を取得した開始局は、
    前記前方向け制御フレームリレーに基づいて、前記マルチホップ伝送に参加する各無線局における無線媒体のアクセス予約と、アクセス予約した前記無線媒体のリソース情報の集約を行うと共に、
    前記後方向け制御フレームリレーに基づいて、集約したリソース情報に基づいたリソース制御の情報を前記マルチホップ伝送に参加する各無線局に通知し、
    前記マルチホップ伝送に参加する各無線局は、
    前記前方向け制御フレームリレーを送信した後、当該前方向け制御フレームリレーの受信局が所定時間を経ても前記前方向け制御フレームを送信しなかった場合は、前記前方向け制御フレームリレーを終了させ、前記後方向け制御フレームリレーを自局から前記開始局に向かって実施する通信システム。
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