以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の第1〜第4実施形態に係る燃料電池システムの構成を示すブロック図である。
図1に示すように、該燃料電池システム100は、カソード11a、及びアノード11bを備えた燃料電池スタック11(以下、「スタック11」と略す)と、カソード11aに空気(酸化ガス)を供給する空気ブロワ12と、該空気ブロワ12より送出される空気を加熱する空気予熱用熱交換器13と、スタック11のアノード11bに炭化水素燃料等の燃料を供給する燃料ポンプ14と、該燃料ポンプ14より送出される燃料を気化させる蒸発器25と、蒸発器25で気化した燃料を改質してアノード11bに供給する燃料改質器15と、を備えている。
更に、アノード11bより排出される燃料ガスを、燃料改質器15に循環させる昇圧ポンプ17と、カソード11aより排出される排気ガスを導入し、燃料改質器15を加熱する改質器加熱用バーナ16と、昇圧ポンプ17の出力側に設けられ、アノード11bより排出される燃料ガスの一部を改質器加熱用バーナ16に導入する分岐バルブ18と、燃料改質器15及び改質器加熱用バーナ16に空気を供給する空気ブロワ26,27と、を備えている。
また、スタック11の起動時に、カソード11aを昇温するための燃焼ガスを生成する起動用燃焼器21を備えており、該起動用燃焼器21には、空気ブロワ12より送出される空気の一部がバルブ22で分岐されて供給され、更に、燃料ポンプ23より送出される燃料が蒸発器24で気化された後に供給される。そして、燃料と空気により燃焼が行われ、燃焼ガスをカソード11aに供給して、スタック11の起動時にカソード11aを昇温する。
また、空気ブロワ12、バルブ22、燃料ポンプ23、及びカソード11a(温度センサ等)は、それぞれ制御部31に接続されている。該制御部31は、後述するように、起動時において、起動用燃焼器21に供給する燃料量、及び空気量を調整することにより、起動用燃焼器21から出力される燃焼ガスの流量、及び燃焼ガスの温度を適宜制御して、起動時におけるカソード11a内の温度を均一にする制御を行う。また、制御部31は、例えば、中央演算ユニット(CPU)や、RAM、ROM、ハードディスク等の記憶手段からなる一体型のコンピュータとして構成することができる。
[第1実施形態の動作説明]
次に、図2に示すフローチャートを参照して、本発明の第1実施形態に係る燃料電池システムの起動時の動作について説明する。システムの運転を開始する際には、初めに起動モードによりスタック11を昇温し、その後発電モードに移行して発電を行う。
起動モードが開始されると、ステップS11において、制御部31は、起動用燃焼器21に燃料、及び空気を供給した状態で点火し、燃焼させる。そして、燃焼により発生する燃焼ガスはスタック11のカソード11aに供給され、スタック11が昇温される。
ステップS12において、制御部31は、スタック温度Tsを測定し、更に、スタック温度Tsの変化率「dTs/dt」を算出する。スタック温度の測定箇所は、発電開始時や燃焼ガスから空気への切り替え時に温度変動が生じやすいスタック11の上流部に設定することが望ましい。従って、本実施形態では、スタック11の上流部に備えた温度センサ(図示省略)により、スタック温度Tsを測定する。
ステップS13において、制御部31は、スタック温度Tsの時間に対する変化率「dTs/dt」が下限閾値Aminと上限閾値Amaxとの間に入っているか否かを判断し、更に、スタック温度Tsが均温化処理を開始するための温度として予め設定した温度T1(設定温度;以下、「均温化開始温度T1」という)に達したか否かを判断する。そして、「Amin≦dTs/dt≦Amax」、及び「Ts≧T1」の少なくとも一方が否定の場合には(ステップS13でNO)、ステップS14に処理を進める。
ステップS14において、制御部31は、起動用燃焼器21に供給する燃料量、及び空気量を調整し、ステップS13の条件を満たすように制御する。
一方、「Amin≦dTs/dt≦Amax」であり、且つ「Ts≧T1」である場合には(ステップS13でYES)、ステップS15において、制御部31は、起動用燃焼器21より出力される燃焼ガスの流量Fbを徐々に低下させる。この処理により、カソード11a内の温度が均一となるように調整される。具体的には、燃焼ガスの導入時においてカソード11aは、燃焼ガスが導入される上流側の方が、下流側よりも相対的に温度が高くなるので、燃焼ガスの流量Fbを徐々に低下させることにより、カソード11aの上流から下流全体の温度分布が均一化される。
ステップS16において、制御部31は、スタック温度Tsが、均温化処理中のスタック温度の下限値T2minから上限値T2maxの範囲に入っているか否かを判断し、更に、燃焼ガス流量Fbが、予め設定した設定流量Fb3まで低下したか否かを判断する。即ち、「T2min≦Ts≦T2max」であるか否かを判断し、且つ、「Fb=Fb3」であるか否かを判断する。そして、これらの判断が共に否定である場合には(ステップS16でNO)、ステップS17において、制御部31は、起動用燃焼器21より出力する燃焼ガスの流量Fbを調整して、ステップS16の条件を満たすようにする。
一方、「T2min≦Ts≦T2max」であり、且つ、「Fb=Fb3」である場合には(ステップS16でYES)、ステップS18において、制御部31は、起動用燃焼器21より出力する燃焼ガスを停止し、更に、スタック11のカソード11aに空気ブロワ12からの空気を導入して、スタック11による発電を開始する。このときの発電電圧Vsを目標電圧V2とする。目標電圧V2は、所定のプログラムに従い、徐々に電圧を低下させて発電電流量を増加させることができる。また、改質器15からアノード11bへの改質オフガスの導入は、スタック温度Tsが均温化開始温度T1に達するまでの加熱昇温ステップの途中(後述の図3に示す時刻t0〜t1間)、或いは、燃焼ガス流量を減少させる均温化ステップの途中(図3に示す時刻t1〜t2間)から行うことができる。
ステップS19において、制御部31は、スタック温度Tsが、発電モード時におけるスタック11の目標温度の下限値T3minから上限値T3maxまでの間に入っているか否かを判断する。そして、「T3min≦Ts≦T3max」でなければ(ステップS19でNO)、ステップS20において、カソード11aに供給する空気流量を調整する。例えば、スタック温度TsがT3minより低い場合には、スタック11の温度が低下し過ぎていると判断して、カソード11aの空気流量を減少させる。
一方、「T3min≦Ts≦T3max」であれば(ステップS19でYES)、ステップS21において、制御部31は、発電電流Isが発電モード開始可能を判断する目標電流値I1に達したか否かを判断する。即ち、「Is=I1」であるか否かを判断する。「Is=I1」でなければ(ステップS21でNO)、ステップS22において、制御部31は、カソード11aに供給する空気流量を増加し、且つ、カソード空気流量から算出される許容電流値限界までに収まるように、電圧を少し下げることで発電電流Isを増加させる。この場合の1ステップ当たりの空気流量増加量と電圧の低下量は予め設定することができる。目標電流値I1は、発電モード開始可能を判断する発電電流値である。その後、ステップS19に処理を戻す。
また、発電電流Isが目標電流値I1に達した場合には(ステップS21でYES)、ステップS23において、制御部31は、処理を起動モードから発電モードに移行する。即ち、発電モード開始となり、燃料電池システムから発電出力を取り出し可能となる。
次に、上述の処理手順による各部の温度変化、流量変化を、図3に示す特性図を参照して説明する。図3に示すように、本実施形態では、起動用燃焼器21(図1参照)を作動させて、スタック11による発電が開始されるまでの間の起動モードを、スタック11を含むシステム全体を昇温する加熱昇温ステップ、及び、昇温した後にスタック11全体の温度を均温化する均温化ステップの2つのステップに区別して制御している。そして、均温化ステップの終了後に発電モードへ移行するので、スタック11の上流部から下流部に沿っての温度分布を均温化し、スタック11の急激な熱変動を防止する。
加熱昇温ステップでは、時刻t0にて起動用燃焼器21が起動して燃焼ガスが出力され、該燃焼ガスがスタック11に供給されて該スタック11が昇温される。この際、時刻t0〜t1の間では、燃焼ガス温度Tbは徐々に上昇する。これに伴って、スタック温度Ts(本実施形態では、スタック11の上流部温度としている)は、時刻t0〜t1の間で徐々に上昇する。更に、スタック11の下流部温度q1は、スタック温度Tsよりも若干低い温度で徐々に上昇する。この際、起動用燃焼器21より出力される燃焼ガスの流量Fbは、ほぼ一定の流量となるように制御されている。この制御は、制御部31による燃料ポンプ23の燃料送出量、及び空気ブロワ12を調整することにより行うことができる。
そして、制御部31は、時刻t1にてスタック温度Tsが予め設定した均温化開始温度T1に達したことを検出し、燃焼ガスの流量Fbが徐々に減少するように制御する(図3のt1〜t3間参照、図2のステップS15参照)。そして、燃焼ガスの流量Fbが時刻t2にて予め設定した設定流量Fb3まで低下すると、起動用燃焼器21よりの燃焼ガスの供給が停止されるので(図2のステップS18参照)、時刻t2から燃焼ガス温度Tbが低下する。
また、時刻t2にてバルブ22を切り替えて空気ブロワ12より送出される発電用の空気が熱交換器13で予熱された後カソード11a内に導入されるので、カソード空気流量q3が増加し、且つ、カソード空気温度q2が上昇する。更に、時刻t2にて発電が開始され、発電電流Isが徐々に上昇する。
その後、発電モードへ移行可能と判断できるスタック温度Tsで発電電流値Is=I1に到達した時刻t3にて均温化ステップが終了し、スタック11による発電モードに移行する。
こうして、起動用燃焼器21を起動させてスタック11を昇温させる際に、均温化ステップによる処理を実行することにより、カソード11aの上流から下流に至るまでの温度が均温化するように温度を調整し、その後発電モードに移行させることできるのである。
図4は、カソード11aの上流側から下流側の温度分布を示す特性図であり、図4(a)は、本実施形態に係る均温化ステップを採用した場合の特性を示しており、曲線n1は、加温昇温ステップ終了時におけるスタック11の温度分布を示し、曲線n2は、均温化ステップ終了時におけるスタック11の温度分布を示し、曲線n3は、スタック11による発電が行われているときの該スタック11の温度分布を示している。即ち、加温昇温ステップが行われている時には、スタック11に燃焼ガスが供給されるので下流側に対して上流側が高い温度となり、均温化ステップが行われている時には、スタック11の上流側から下流側に沿ってほぼ均一な温度となる。また、発電モード時には、スタック11に空気が供給されるので、上流側に対して下流側が高い温度となる。
一方、図4(b)は、本実施形態に係る均温化ステップを採用しない場合の特性を示しており、曲線n11〜n14は、起動モードから発電モードに推移するときの、スタック11内の温度分布を示している。
発電電流とこれに比例する発熱量は温度に比例するため、温度分布n11の状態から、カソード空気に切り替えて発電を開始した場合、温度が高い最上流部で最も発熱量が大きくなる。一方、スタック温度より低温のカソード用空気により最上流部が最も冷却されるため、少し時間が経つと、最上流部より少し下流部で温度が最も高くなるn12の温度分布になる。この状態で発電を継続すると、時間経過に伴って最高温度を示す位置が下流へずれていき、発電モード時の温度分布n14に移行してゆく。特に起動のための昇温エネルギーを小さくするために熱容量を小さくしたスタックにおいては、セパレータやセルの固体部の伝熱で面内温度分布を減少させる効果が小さいため、局所的な発熱による局所的な温度変動が顕著に現れる。そのため起動エネルギーが小さく、起動時間が速い低熱容量スタックにおいては、局所的な温度変動を抑制することは極めて重要な課題である。
従って、スタック11に局所的な温度変動が加えられることとなり、スタック11内の温度の偏りや時間的な変動に起因する応力によって、スタック11の劣化や損傷が発生する可能性がある。
これに対し、図4(a)に示す各温度分布の曲線n1〜n3から理解されるように、加温昇温ステップが終了した時点では、カソード11aの入口側の温度が高く、出口側の温度が低い状態となっており、均温化ステップを実行することによりカソード11a全体の温度が均一化され、その後、発電を開始することにより、カソード11aの入口側の温度が高く、出口側の温度が低くなるように変化する。
この場合、スタック11の温度変化は全体的に直線的な変化であり、スタック11に局所的な温度変動が加えられることがないので、スタック11内の温度の偏りに起因するスタック11の劣化や損傷を防止できることとなる。
このようにして、本発明の第1実施形態に係る燃料電池システムでは、起動用燃焼器21を用いてスタック11を昇温する際に、加熱昇温モードの終了時に、均温化ステップにより燃焼ガスの流量を徐々に低下させているので(即ち、図3のt1〜t2の間で燃焼ガス流量Fbを徐々に低下させているので)、スタック11による発電が開始される前の時点でスタック11の上流側から下流側にかけての全体の温度を均温化することができる。
従って、カソード上流側のセル温度の急激な温度低下を起こさず、カソード下流側のセル温度を上昇させることにより、カソード流れ方向の温度分布を小さくした後に、発電を開始できるので、セル全体で均質に発電を開始することができるため、局所的な温度変化を抑制することができる。その結果、スタック11の劣化、損傷を防止することが可能となる。
また、燃焼ガス流量Fbが設定流量Fb3を下回った場合に、発電を開始するので、スタック11内セルの発電に伴う発熱と燃焼ガスによるセルの冷却或いは加熱の熱量バランスがとり易く、熱容量が小さいスタックにおいても、スタック11内の上流側から下流側への局所的な温度分布の変化を抑制することができる。
なお、第1実施形態では、燃焼ガス流量Fbを所定のプログラムにより徐々に減少させて流量Fb3となるように制御したが、このほかに、カソード流路上流部と、カソード流路下流部に相当する場所や、熱容量が大きいガスマニホルド部近傍にも温度センサを設定し、上流部の温度情報とともに2点の温度差情報に基づいて、燃焼ガス流量Fbを減少させるよう制御し、Fb3まで下げることもできる。
燃焼ガス流量Fbの最適な減少のさせ方は、セルの形状や、セルとセルを支える金属支持部やガスマニホルド部との熱容量比、カソードガス流れ構造にも依存し、徐々に減少させることもできるし、段階的に少し減少させて保持し、また減少させるを複数回繰り返すこともできる。
また、燃焼ガス流量Fbは、予め設計或いは測定されているセル各点の加熱昇温マップに基づいて、上流から下流にかけての温度の変動が許容範囲に入るよう設定したプログラムに基づいて減少させることができる。更に、燃焼ガスの停止タイミングは、スタック温度や発電電流値の他、空気予熱用熱交換器13の温度信号に基づいて決定することもできる。
[第2実施形態の動作説明]
次に、図5に示すフローチャートを参照して、第2実施形態に係る燃料電池システムの起動時の動作について説明する。前述した第1実施形態と同様に、システムの運転を開始する際には、初めに起動モードによりスタック11を昇温し、その後発電モードに移行して発電を行う。
起動モードが開始されると、ステップS31において、制御部31は、起動用燃焼器21に燃料、及び空気を供給した状態で点火し、燃焼させる。そして、燃焼により発生する燃焼ガスはスタック11のカソード11aに供給され、スタック11が昇温される。
ステップS32において、制御部31は、スタック温度Tsを測定し、更に、スタック温度Tsの変化率「dTs/dt」を算出する。ここでは第1実施形態と同様に、スタック11の上流部に設置した温度センサ(図示省略)により、スタック温度Tsを測定している。
ステップS33において、制御部31は、スタック温度Tsの変化率「dTs/dt」が下限閾値Aminと上限閾値Amaxとの間に入っているか否かを判断し、更に、スタック温度Tsが均温化処理を開始するための温度として予め設定した均温化開始温度T1に達したか否かを判断する。そして、「Amin≦dTs/dt≦Amax」、及び「Ts≦T1」の少なくとも一方が否定の場合には(ステップS33でNO)、ステップS34に処理を進める。
ステップS34において、制御部31は、起動用燃焼器21に供給する燃料量、及び空気量を調整し、ステップS33の条件を満たすように制御する。
一方、「Amin≦dTs/dt≦Amax」であり、且つ「Ts≦T1」である場合には(ステップS33でYES)、ステップS35において、制御部31は、起動用燃焼器21より出力される燃焼ガスの温度Tbを低下させ、且つ燃焼ガスの流量Fbを低下させる処理を行う。具体的には、スタック温度Tsが均温化開始温度T1に達したときの燃焼ガスの温度をTb1とし、燃焼ガスの流量をFb1とした場合に、燃焼ガスの温度をTb1よりも低いTb2に設定し、燃焼ガスの流量をFb1よりも少ないFb2に設定する。即ち、「Tb=Tb2≦Tb1」、及び「Fb=Fb2≦Fb1」とする。なお、流量Fb2は、発電モード時にカソード11aに供給する空気流量Fcよりも大きく、温度Tb2は、発電モード時にカソード11aに供給する空気温度Tcよりも大きく設定される(後述する図6参照)。
ステップS36において、制御部31は、所定時間の経過を待つ(後述する図6の時刻t1〜t2間)。
ステップS38において、制御部31は、スタック温度Tsが、均温化処理中のスタック温度の下限値T2min、及び上限値T2maxの範囲に入っているか否かを判断する。そして、この範囲に入っていない場合には(ステップS38でNO)、ステップS39において、制御部31は、ステップS36の処理で用いた所定時間を延長する。
一方、スタック温度Tsが、均温化処理中のスタック温度の下限値T2min、及び上限値T2maxの範囲に入っていると判断された場合には(ステップS38でYES)、ステップS40において、制御部31は、起動用燃焼器21より出力する燃焼ガスを停止し(図6の時刻t2)、更に、スタック11のカソード11aに空気を供給する。更に、スタック11による発電電圧Vsを、目標電圧V2に設定する。なお、V2≦V1とすることが望ましい。
ステップS41において、制御部31は、スタック温度Tsが、発電モード時におけるスタック11の目標温度の下限値T3minから上限値T3maxまでの間に入っているか否かを判断する。そして、「T3min≦Ts≦T3max」でなければ(ステップS41でNO)、ステップS42において、カソード11aに供給する空気流量を調整する。例えば、スタック温度TsがT3minより低下する場合には、スタック11の温度が低下し過ぎていると判断して、カソード11aの空気流量を減少させる。
一方、「T3min≦Ts≦T3max」であれば(ステップS41でYES)、ステップS43において、制御部31は、発電電流Isが発電モードでの目標電流値I1に達したか否かを判断する。即ち、「Is=I1」であるか否かを判断する。「Is=I1」でなければ(ステップS43でNO)、ステップS44において、制御部31は、カソード11aに供給する空気流量を増加し、且つ、カソード空気流量から算出される許容電流値限界までに収まるように、電圧を少し下げることで発電電流Isを増加させる。この場合の1ステップ当たりの空気流量増加量と電圧の低下量は予め設定することができる。目標電流値I1は、システム要求出力から算出される発電電流である。その後、ステップS41に処理を戻す。
また、発電電流Isが目標電流値I1に達した場合には(ステップS43でYES)、ステップS45において、制御部31は、処理を起動モードから発電モードに移行する。即ち、発電モード開始となり、燃料電池システムから発電出力を取り出し可能となる。
次に、上述の処理手順による各部の温度変化、流量変化を、図6に示す特性図を参照して説明する。第2実施形態では、前述した第1実施形態と同様に、起動用燃焼器21を作動させて発電モードに至るまでの起動モードが、スタック11を含むシステム全体を昇温する加熱昇温ステップと、昇温した後にスタック11全体の温度を均温化する均温化ステップの2つのステップに区別して制御している。
加熱昇温ステップでは、時刻t0にて起動用燃焼器21が起動して燃焼ガスが出力され、該燃焼ガスがスタック11に供給されてスタック11が加温される。この際、時刻t0〜t1の間では、燃焼ガス温度Tbは徐々に上昇する。これに伴って、スタック温度(スタックの上流部温度)Tsは時刻t0〜t1の間で徐々に上昇する。更に、スタック11の下流部温度q1は、スタック温度Tsよりも若干低い温度で徐々に上昇する。この際、起動用燃焼器21より出力される燃焼ガスの流量Fbは、ほぼ一定の流量Fb1となるように制御されている。
そして、制御部31は、時刻t1にてスタック温度Tsが予め設定した均温化開始温度T1に達したことを検出すると、燃焼ガス温度Tbを予め設定した温度Tb2(時刻t1での燃焼ガス温度Tb1よりも低い温度)に減少するように調整し、その後、この温度Tb2を維持する。同様に、燃焼ガスの流量Fbが予め設定したFb2(時刻t1での燃焼ガス流量Fb1よりも少ない流量)まで減少するように調整し、その後、この流量Fb2を維持する。具体的には、図3の時刻t1〜t2間に示すように、燃焼ガス温度Tb、及び燃焼ガス流量Fbを若干減少させ、その後、一定値に維持する制御を行う。この間にスタック11の上流側から下流側全体の温度が均温化されることになる。
そして、時刻t1から所定時間が経過した時刻t2において、起動用燃焼器21よりの燃焼ガスを停止させ、且つ、カソード11aに空気を導入してスタック11による発電を開始する。その後、時刻t3において、発電電流Isが目標電流値I1に達すると、発電モードへと移行する。
ここで、均温化ステップにおいて、燃焼ガス温度Tb、及び燃焼ガス流量Fbを保持する時間(t1〜t2間)は、予め規定した時間とすることもできるし、スタック11内の2点の温度差情報ΔTsに基づき、ΔTs<C(但し、Cは定数)となるまでとして決定することもできる。そして、一定時間保持した後の時刻t2にて、スタック11による発電を開始する。即ち、スタック11のカソード11aに空気を導入して発電を開始する。
こうして、起動用燃焼器21を起動させてスタック11を昇温させる際に、均温化ステップによる処理を行うことにより、スタック11の上流から下流に至るまでの温度が均温化するように温度調整し、その後発電モードに移行させることできることとなる。
このようにして、本発明の第2実施形態に係る燃料電池システムでは、上述した第1実施形態と同様に、スタック11を昇温して設定温度T1に達した後に、均温化ステップによる処理を実行することにより、スタック11全体の温度を均温化することができるので、スタック11に生じる温度差を低減でき、局所的な温度変動に起因するスタック11の劣化、損傷を防止することが可能となる。
また、燃焼ガス温度Tb、及び燃焼ガス流量Fbの双方を低下させて、スタック温度を均温化することにより、スタック11の昇温が終了してから発電を開始するまでに所要する均温化ステップの時間を短縮化することができる。
更に、燃焼ガス温度Tb、及び燃焼ガス流量Fbを低下させた後、この温度、及び流量を一定時間保持するので、下流側の温度上昇を促進することができ、より安定的にスタック温度を均温化することができる。
また、燃焼ガス温度と流量が減少した時刻t2〜空気を導入する時刻t3の間の所定時間経過後に発電を開始するので、上流部の温度を昇温させ過ぎたりせずに、下流部の温度上昇を促進するので、スタック温度が均温化された状態で即時に燃料電池の出力電流を所望する出力電流に到達させることができ、起動までに要する時間を短縮化することができる。
更に、燃焼ガスの供給が停止した後に、カソード11aに発電用の空気を供給するので、燃焼ガス、及び発電用空気の双方を同時に制御を行う必要が無く、制御負荷を軽減することができる。
[第3実施形態の動作説明]
次に、図7に示すフローチャートを参照して、第3実施形態に係る燃料電池システムの起動時の動作について説明する。なお、図7において、ステップS31〜S35までの処理は、図5に示したステップS31〜S35の処理と同一であるので、同一のステップ番号を付して、説明を省略する。ステップS35の処理が終了すると、ステップS51の処理が行われる。
ステップS51において、制御部31は、スタック11による発電を開始する。このときの発電電圧Vsを電圧V1に設定する。そして、この電圧V1を徐々に低下させる。
ステップS52において、制御部31は、スタック温度Tsが、均温化処理中のスタック温度の下限値T2min、及び上限値T2maxの範囲に入っているか否かを判断する。更に、発電を開始してからの経過時間が予め設定した時間P1に達したか否かを判断する。そして、ステップS52の判断がNOの場合には、ステップS53において、制御部31は、スタック11の発電電圧を調整し、ステップS52の条件を満たすようにする。
一方、ステップS52の判断がYESの場合には、ステップS54において、制御部31は、起動用燃焼器21より出力する燃焼ガスを停止し、更に、スタック11のカソード11aに空気を導入して、スタック11による発電電圧Vsを目標電圧V2に設定する。なお、V2≦V1が望ましい。
ステップS55において、制御部31は、スタック温度Tsが、発電モード時におけるスタック11の目標温度の下限値T3minから上限値T3maxまでの間に入っているか否かを判断する。そして、「T3min≦Ts≦T3max」でなければ(ステップS55でNO)、ステップS56において、カソード11aに供給する空気流量を調整する。例えば、スタック温度TsがT3minより低い場合には、スタック11の温度が低下し過ぎていると判断して、カソード11aの空気流量を減少させる。
一方、「T3min≦Ts≦T3max」であれば(ステップS55でYES)、ステップS57において、制御部31は、発電電流Isが発電モードでの目標電流値I1に達したか否かを判断する。即ち、「Is=I1」であるか否かを判断する。「Is=I1」でなければ(ステップS57でNO)、ステップS58において、制御部31は、カソード11aに供給する空気流量を増加し、且つ、カソード空気流量から算出される許容電流値限界までに収まるように、電圧を少し下げることで発電電流Isを増加させる。この場合の1ステップ当たりの空気流量増加量と電圧の低下量は予め設定することができる。目標電流値I1は、発電モード開始可能を判断する発電電流である。その後、ステップS55に処理を戻す。
また、発電電流Isが目標電流値I1に達した場合には(ステップS57でYES)、ステップS59において、制御部31は、処理を起動モードから発電モードに移行する。即ち、発電モード開始となり、燃料電池システムから発電出力を取り出し可能となる。
次に、上述の処理手順による各部の温度変化、流量変化を、図8に示す特性図を参照して説明する。第3実施形態では、前述した第1,第2実施形態と同様に、起動用燃焼器21を作動させて発電モードに至るまでの起動モードを、スタック11を含むシステム全体を昇温する加熱昇温ステップと、昇温した後にスタック11全体の温度を均温化する均温化ステップの2つのステップに区別している。
加熱昇温ステップでは、時刻t0にて起動用燃焼器21が起動して燃焼ガスが出力され、該燃焼ガスがスタック11に供給されてスタック11が加熱される。この際、時刻t0〜t1の間では、燃焼ガス温度Tbは徐々に上昇する。これに伴って、スタック温度(スタックの上流部温度)Tsは時刻t0〜t1の間で徐々に上昇する。更に、スタック11の下流部温度q1は、スタック温度Tsよりも若干低い温度で徐々に上昇する。この際、起動用燃焼器21より出力される燃焼ガスの流量Fbは、ほぼ一定の流量Fb1となるように制御されている。
そして、制御部31は、時刻t1にてスタック温度Tsが予め設定した均温化開始温度T1に達したことを検出すると、燃焼ガス温度Tbを予め設定した温度Tb2(<Tb1)に減少するように調整し、更に、燃焼ガスの流量Fbが予め設定したFb2(<Fb1)まで減少するように調整する。
燃焼ガス温度Tb、及び燃焼ガス流量Fbが低下する時刻t2において、スタック11は発電を開始する(図7のステップS51参照)。そして、スタック11による発電電圧を所定の値で保持するか、或いは、予め設定したプログラムに従って徐々に低下させることにより、時刻t3まで発電電流Isを徐々に増加させる。
また、時刻t2の後は、燃焼ガス温度Tbは、Tb2を維持し、燃焼ガス流量Fbは、Fb2を維持する。そして、時刻t2から所定時間P1が経過した時点(時刻t3)で、燃焼ガスの供給が停止され(図7のステップS54参照)、カソード11aに空気を導入し、発電電圧をV2に設定して発電を開始する。スタック温度TsがT3min以上T3max以下となり、発電電流Isが目標電流I1となるよう、空気流量と発電電圧を調整し、その後、時刻t4において、発電電流Isが目標電流値I1に達して、発電モードへと移行する。その結果、時刻t1〜t4の間に、スタック11の上流側から下流側全体の温度が均温化されることになる。
こうして、起動用燃焼器21を起動させてスタック11を昇温させる際に、均温化ステップによる処理を行うことにより、スタック11の上流から下流に至るまでの温度が均温化するように温度調整し、その後発電モードに移行させることできるのである。
このようにして、本発明の第3実施形態に係る燃料電池システムでは、スタック温度Tsが均温化開始温度T1に達した後、燃焼ガス流量と温度を減少させて発電を開始するので、上流部の温度を昇温させ過ぎたり、低下させ過ぎたりせずに安定させながら、下流部の温度を上昇させることができるので、均温化ステップの短縮に加えて加熱昇温ステップの時間短縮をも行うことができ、起動時間を短縮することができる。
また、均温化ステップを行う際の燃焼ガス流量を低減することができ、均温化ステップの実行に要する起動バーナに投入する燃料及び空気ブロワの動力を低減できるので、起動のために消費するエネルギーを低減することが可能となる。
ここで、第3実施形態のように、加熱昇温ステップが終了した直後の時刻t2にてスタック11を昇温するための発電を開始する場合は、比較的熱容量の大きいスタックの場合に有利である。熱容量の比較的大きいスタックの場合は、昇温に必要なエネルギーが大きくなるため、起動エネルギー削減が重要課題となるが、発電開始時間が時刻t2に近いほど、起動エネルギーの削減効果は大きくなる。一方、スタック内が十分均温化する前に発電を開始することとなるが、熱容量が大きいスタックでは局所的な発熱に伴う局所的な温度変動は抑制されやすいので、起動モードから発電モードに移行する際のスタック11の温度分布を均一化することができる。
[第4実施形態の動作説明]
次に、本発明の第4実施形態について説明する。第4実施形態に係る燃料電池システムは、均温化ステップ中に発電を開始し、上流部も下流部も昇温させながら、上流部と下流部の温度差を小さくする均温化ステップを行うことにより、起動エネルギーを削減して発電開始までに要する時間を短縮する。
以下、図9に示す特性図を参照して、第4実施形態に係る燃料電池システムの作用について説明する。図9に示す加熱昇温ステップでは、時刻t0にて起動用燃焼器21が起動して燃焼ガスが出力され、該燃焼ガスがスタック11に供給されてスタック11が加温される。この際、時刻t0〜t1の間では、燃焼ガス温度Tbは徐々に上昇する。これに伴って、スタック温度(スタックの上流部温度)Tsは時刻t0〜t1の間で徐々に上昇する。更に、スタック11の下流部温度q1は、スタック温度Tsよりも若干低い温度で徐々に上昇する。この際、起動用燃焼器21より出力される燃焼ガスの流量Fbは、ほぼ一定の流量Fb1となるように制御されている。
そして、制御部31は、時刻t1にてスタック温度Tsが予め設定した均温化開始温度T1に達したことを検出すると、燃焼ガス温度Tbを予め設定した温度Tb2(<Tb1)に減少するように調整し、更に、燃焼ガスの流量Fbが予め設定したFb2(<Fb1)まで減少するように調整する。
その後、燃焼ガス温度Tb、及び燃焼ガス流量Fbが減少する時刻t2において、スタック11による発電を開始する。そして、発電電圧Vsを電圧V1に設定すると、まずスタック11の上流部で発電に伴う発熱が開始され、上流部の温度は昇温速度が低下するが引き続き上昇する。発電可能領域が下流に広がるに従い、下流部も続いて昇温する。燃焼ガスの流量と温度を低下させて発電を開始するため、上流部の昇温速度を低下させ、緩やかに昇温させることができる。これにより最上流部のみが発熱急昇温して熱暴走することを防止している。下流部も昇温して発電可能温度に達すると発熱するため、下流部の昇温速度も引き続き上昇する。発電電流がI2に到達した後、上流部の昇温速度より、電圧Vsを徐々に上昇させ、下流部の温度上昇に伴う電流値の増加速度が鈍るように制御する。発電電流がI2に到達する時刻t3では、スタック内の大部分が発電可能温度に達して上流部の昇温速度より下流部の昇温速度が上回り始める。
その後、発電電流Isが時刻t4にて予め設定した上限電流値I3に達すると、この時刻t4より発電電圧Vsを上昇させて発電電流Isを徐々に低下させる。これにより、下流部の昇温速度は小さくなり、上流部と下流部の温度差が小さく安定した状態になる。なお、時刻t4の時点では、スタック温度Tsは、均温化ステップ開始時の温度T1よりも高い温度となっている。スタック温度TsがT2min以上T2max以下となり、所定の時間P1が経過したら、燃焼ガスの供給を停止し、カソード11aに空気を供給する。スタック温度TsがT3min以上T3max以下となり、発電電流IsがI1となるように、空気流量と発電電圧を調整し、発電電流がIs=I1に達したら発電モードによる発電を開始する。
次に、スタック11の温度分布の変化を図10に示す特性図を参照して説明する。この実施形態では、加温昇温ステップにて、曲線n21に示すように、スタック11の上流側では発電可能最低温度に達しているが、スタック11の下流側では発電可能最低温度に達していない。そして、均温化ステップを行うことにより、下流側の温度が上昇して曲線n22に示すように、スタック11の温度分布が均一化される。即ち、上流側の温度も上昇すると共に、スタック11の下流側の温度が発電可能最低温度に達する。その後、発電モードに移行すると、曲線n23に示すように、スタック11の下流側の温度が上流側の温度よりも高くなる。
こうして、均温化ステップが開始されて燃焼ガス温度Tbが低下し、燃焼ガス流量Fbが減少した後に、スタック11による発電を開始し、発電電流Isを上昇させることにより、カソード11aの上流部、下流部の双方の温度を上昇させて、スタック11全体が発電モード時の目標温度へ達するように昇温させることができるのである。
このようにして、第4実施形態に係る燃料電池システムでは、燃焼ガスの流量温度を低下させた均温化ステップにおいてスタック11による発電を行うことにより、スタック11を昇温させるので、スタック11の下流部の温度が発電可能温度に達していない早い段階から燃焼ガスを作るための起動バーナにかかるエネルギーを低減することができる。また、上流から下流までの平均温度を昇温させながら、均温化することができるので、起動時間を短縮化でき、且つ起動に要するエネルギーを低減することが可能となる。
以上、本発明の燃料電池システムを図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置き換えることができる。
例えば、上述した各実施形態では、固体酸化物型燃料電池を用いる例について説明したが、本発明は固体酸化物型燃料電池に限定されるものではなく、高温動作のプロトン伝導性電界質層を用いた燃料電池等に用いることも可能である。また、燃料電池は、平板積層スタック型以外に、チューブ型であっても良い。