本発明の方法および処置の方法論を記載する前に、方法および条件は変動し得るため、本発明は特定の方法および記載した実験条件に限定されないことを理解されたい。また、本明細書中で使用した専門用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的とし、限定することを意図しないことも理解されるであろう。
本明細書中に記載のものと類似または均等の、任意の方法および材料を本発明の実施または試験に使用することができるが、以降、好ましい方法および材料を記載する。本明細書中で言及するすべての出版物は、その全体で参考として組み込まれている。
本明細書中で使用する用語は、当業者に認識および知られている意味を有するが、利便性および完全性のために、特定の用語およびその意味を以下に記載する。
本明細書および添付の特許請求の範囲中で使用する単数形「a」、「an」、および「the」には、内容により明らかにそうでないと指示される場合以外は、複数形への言及が含まれる。したがって、たとえば、「方法」への言及には、1つまたは複数の、方法、および/または本明細書中に記載の種類のステップ、および/または本開示を読んだ際に当業者に明らかとなるものなどが含まれる。
用語「約」または「およそ」とは、統計的に有意な値の範囲内を意味する。そのような範囲は、所与の値または範囲の一桁以内、典型的には20%以内、より典型的にはさらに10%以内、さらにより典型的には5%以内であることができる。用語「約」または「およそ」によって包含される、許容されるばらつきは、研究下にある特定の系に依存し、当業者は容易に理解できるであろう。本出願内で範囲を列挙する場合は必ず、その範囲内のすべての整数も本発明の一実施形態として企図される。
「抗体」とは、免疫グロブリン分子の可変領域中に位置する少なくとも1つの抗原認識部位を介して、炭水化物、ポリヌクレオチド、脂質、ポリペプチドなどの標的と特異的に結合することができる免疫グロブリン分子である。本明細書中で使用する、内容によって別段に指定されない限りは、この用語には、インタクトなポリクローナルまたはモノクローナル抗体だけでなく、操作した抗体(たとえば、キメラ、ヒト化および/またはエフェクター機能、安定性や他の生物活性を変更するために誘導体化したもの)、その断片(Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv)、サメやラクダ科抗体を含めた単鎖(ScFv)およびドメイン抗体など、抗体部分、多価抗体、多特異性抗体(たとえば、所望の生物活性を示す限りは二重特異性抗体)および本明細書中に記載の抗体断片を含む融合タンパク質、ならびに抗原認識部位を含む免疫グロブリン分子の任意の他の改変された立体配置も包含されることを意図する。抗体には、IgG、IgA、もしくはIgM(またはそのサブクラス)などの任意のクラスの抗体が含まれ、抗体は任意の特定のクラスのものである必要はない。その重鎖の定常ドメインの抗体アミノ酸配列に応じて、免疫グロブリンを異なるクラスに割り当てることができる。5つの主要な免疫グロブリンクラス、すなわち、IgA、IgD、IgE、IgG、およびIgMが存在し、これらのうちのいくつかは、サブクラス(アイソタイプ)、たとえば、ヒトではIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1およびIgA2へとさらに分類し得る。様々な免疫グロブリンクラスに対応する重鎖定常ドメインは、それぞれアルファ、デルタ、イプシロン、ガンマ、およびミューと呼ばれる。様々な免疫グロブリンクラスのサブユニット構造および三次元立体配置は周知である。
「抗体断片」とは、インタクトな抗体の一部分のみを含み、好ましくは、その一部分は、インタクトな抗体中に存在する場合にその部分と通常関連している機能の少なくとも1つ、好ましくはほとんどまたはすべてを保持している。
用語「抗原」とは、一般に、動物内に注射または吸収される組成物を含めた、同族抗体が選択的に結合することができる少なくとも1つのエピトープを含有する生体分子、通常はタンパク質、ペプチド、多糖、脂質またはコンジュゲート、または、一部の例では、動物において抗体の産生もしくはT細胞応答、または両方を刺激することができる免疫原性物質をいう。免疫応答は、分子全体、または分子の1つもしくは複数の様々な部分(たとえば、エピトープもしくはハプテン)に対して生じさせ得る。この用語は、抗原分子の個々の分子または同種もしくは異種の集団をいうために使用し得る。抗原は、抗体、T細胞受容体または特異的な液性および/もしくは細胞性免疫の他の要素によって認識される。用語「抗原」には、すべての関連する抗原性エピトープが含まれる。所与の抗原のエピトープは、当分野で周知の多数のエピトープマッピング技法を用いて同定することができる。たとえばEpitope Mapping Protocols in Methods in Molecular Biology、第66巻(Glenn E.Morris編、1996)Humana Press、Totowa、N.J.を参照されたい。たとえば、直鎖状エピトープは、たとえば、タンパク質分子の部分に対応する多数のペプチドを固体支持体上で同時合成し、ペプチドが支持体に付着されているままでペプチドを抗体と反応させることによって決定し得る。そのような技法は当分野で知られており、たとえば、すべてその全体で本明細書中に参考として組み込まれている、米国特許第4,708,871号、Geysenら(1984)Proc.Natl.Acad.Sci.USA、81:3998〜4002、Geysenら(1986)Molec.Immunol.、23:709〜715に記載されている。同様に、コンホメーションエピトープは、たとえばX線結晶構造解析および二次元核磁気共鳴などによってアミノ酸の空間的コンホメーションを決定することによって同定し得る。たとえばEpitope Mapping Protocols、上記を参照されたい。さらに、本発明の目的のために、「抗原」は、タンパク質が免疫学的応答を誘発する能力を維持している限りは、ネイティブ配列への欠失、付加および置換などの修飾(一般に保存的な性質であるが、非保存的であってもよい)が含まれるタンパク質をいうためにも使用し得る。これらの修飾は、部位特異的突然変異誘発、もしくは特定の合成手順、もしくは遺伝子工学手法によるものなどの意図的なものであってもよく、または、抗原を産生する宿主の突然変異によるものなどの偶発的なものであってもよい。さらに、抗原は、微生物、たとえば細菌に由来する、それから得る、もしくはそれから単離することができるか、または生物全体であることができる。同様に、核酸免疫化の応用におけるものなどの、抗原を発現するオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドも、この定義に含まれる。また、合成抗原、たとえば、ポリエピトープ、フランキングエピトープ、および他の組換えまたは合成由来の抗原も含まれる(Bergmannら(1993)Eur.J.Immunol.、23:2777 2781、Bergmannら(1996)J.Immunol.、157:3242 3249、Suhrbier,A.(1997)Immunol.and Cell Biol.、75:402 408、Gardnerら(1998)12th World AIDS Conference、Geneva、Switzerland、1998年6月28日〜7月3日)。
用語「アジュバント」とは、本明細書中にさらに記載および例示する、抗原に対する免疫応答を増強させる化合物または混合物をいう。
「菌血症」とは、血液中における細菌の一過的な存在である。菌血症は敗血症(speticemia)、または敗血症(sepsis)に進行する場合があり、これは感染症とみなされ、臨床的徴候/症状が付随する血液中における細菌の持続的な存在である。すべての細菌が血液中で生存可能なわけではない。生存するものは、その能力をもたらす特別な遺伝形質を有する。また、宿主の因子も重要な役割を果たす。
「莢膜多糖(capsular polysaccharide)」または「莢膜多糖(capsule polysaccharide)」とは、ブドウ球菌のほとんどの単離物の細胞壁の外側にある多糖カプセルをいう。たとえば、黄色ブドウ球菌(S.aureus)には、ペプチドグリカン複合体から構成される細胞壁構成要素が含まれ、これは、この生物が好ましくない浸透圧条件で生存することを可能にし、また、ペプチドグリカンと連結した独特なタイコ酸も含まれる。細胞壁の外側で、薄い多糖カプセルが黄色ブドウ球菌(S.aureus)のほとんどの単離物を被覆している。この血清学的に明確なカプセルは、黄色ブドウ球菌(S.aureus)の様々な単離物の血清型を決定するために使用することができる。臨床的に有意な単離物の多くには、2つの莢膜型、すなわち血清型5(CP5)および血清型8(CP8)が含まれることが示されている。
本明細書中で使用する「コンジュゲート」は、通常は所望の範囲である分子量の莢膜多糖および担体タンパク質を含み、莢膜多糖は担体タンパク質とコンジュゲートしている。コンジュゲートは、ある程度の量の遊離莢膜多糖を含有していても、していなくてもよい。本明細書中で使用する「遊離莢膜多糖」とは、コンジュゲートした莢膜多糖−担体タンパク質と非共有的に会合している(すなわち、非共有結合している、それに吸着しているまたはそれ内もしくはそれで捕捉されている)莢膜多糖をいう。用語「遊離莢膜多糖」、「遊離多糖」および「遊離糖」は、互換性があるように使用してよく、同じ意味を伝えることを意図する。担体分子の性質にかかわらず、これは、直接またはリンカーを介して莢膜多糖とコンジュゲートさせることができる。本明細書中で使用する「コンジュゲートさせる」、「コンジュゲートした」および「コンジュゲートする」とは、細菌莢膜多糖が担体分子と共有結合されるプロセスをいう。コンジュゲーションにより細菌莢膜多糖の免疫原性が増強される。コンジュゲーションは、以下に記載の方法に従って、または当分野で知られているプロセスによって行うことができる。
上述のように、本発明は、担体タンパク質とコンジュゲートした黄色ブドウ球菌(S.aureus)血清型5の莢膜多糖(CP5)を含むコンジュゲート、および担体タンパク質とコンジュゲートした黄色ブドウ球菌(S.aureus)血清型8の莢膜多糖(CP8)を含むコンジュゲートに関する。本発明の一実施形態は、担体タンパク質とコンジュゲートした黄色ブドウ球菌(S.aureus)血清型5の莢膜多糖および担体タンパク質とコンジュゲートした黄色ブドウ球菌(S.aureus)血清型8の莢膜多糖を含むコンジュゲートを提供し、5型莢膜多糖は50kDa〜800kDaの分子量を有しており、8型莢膜多糖は50〜700kDaの分子量を有しており、免疫原性コンジュゲートは約1000kDa〜約5000kDaの分子量を有しており、コンジュゲートは全多糖に対して約30%未満の遊離多糖を含む。一実施形態では、コンジュゲートは、全多糖に対して約25%未満、約20%、約15%、約10%、または約5%の遊離多糖を含む。一実施形態では、5または8型の多糖は、約20kDa〜約1000kDa、約50kDa〜約500kDa、約50kDa〜約200kDa、および約75kDa〜約150kDaの分子量を有する。
一実施形態では、コンジュゲートは約50kDa〜約5000kDaの分子量を有する。一実施形態では、コンジュゲートは約200kDa〜約5000kDaの分子量を有する。一実施形態では、免疫原性コンジュゲートは約400kDa〜約2500kDaの分子量を有する。一実施形態では、免疫原性コンジュゲートは約500kDa〜約2500kDaの分子量を有する。一実施形態では、免疫原性コンジュゲートは約600kDa〜約2800kDaの分子量を有する。一実施形態では、免疫原性コンジュゲートは約700kDa〜約2700kDaの分子量を有する。一実施形態では、免疫原性コンジュゲートは、約1000kDa〜約2000kDa、約1800kDa〜約2500kDa、約1100kDa〜約2200kDa、約1900kDa〜約2700kDa、約1200kDa〜約2400kDa、約1700kDa〜約2600kDa、約1300kDa〜約2600kDa、約1600kDa〜約3000kDaの分子量を有する。
したがって、一実施形態では、本発明の免疫原性コンジュゲート内の担体タンパク質はCRM197であり、CRM197は、カルバミン酸結合、アミド結合、または両方を介して莢膜多糖と共有結合している。莢膜多糖とコンジュゲートされる担体タンパク質中のリシン残基の数は、コンジュゲートしたリシンの範囲として特徴づけることができる。たとえば、所与の免疫原性組成物中、CRM197は、39個のうち5〜15個の、莢膜多糖と共有結合したリシンを含み得る。このパラメータを表す別の方法は、12%〜40%のCRM197リシンが莢膜多糖と共有結合していることである。一部の実施形態では、CRM197と共有結合した多糖のCRM197部分は、5〜25個の、多糖と共有結合したリシンを含む。一部の実施形態では、CRM197と共有結合した多糖のCRM197部分は、5〜20個の、多糖と共有結合したリシンを含む。一部の実施形態では、担体タンパク質と共有結合した多糖のCRM197部分は、10〜25個の、多糖と共有結合したリシンを含む。一部の実施形態では、担体タンパク質と共有結合した多糖のCRM197部分は、8〜15個の、多糖と共有結合したリシンを含む。たとえば、所与の免疫原性組成物中、CRM197は、39個のうち18〜22個の、莢膜多糖と共有結合したリシンを含み得る。このパラメータを表す別の方法は、40%〜60%のCRM197リシンが莢膜多糖と共有結合していることである。一部の実施形態では、CRM197は、39個のうち5〜15個の、CP8と共有結合したリシンを含む。このパラメータを表す別の方法は、12%〜40%のCRM197リシンがCP8と共有結合していることである。一部の実施形態では、CRM197は、39個のうち18〜22個の、CP5と共有結合したリシンを含む。このパラメータを表す別の方法は、40%〜60%のCRM197リシンがCP5と共有結合していることである。
上述のように、莢膜多糖とコンジュゲートした担体タンパク質中のリシン残基の数は、コンジュゲートしたリシンの範囲として特徴づけることができ、これはモル比として表し得る。たとえば、CP8免疫原性コンジュゲート中のコンジュゲートしたリシン対CRM197のモル比は、約18:1〜約22:1であることができる。一実施形態では、CP8免疫原性コンジュゲート中のコンジュゲートしたリシン対CRM197のモル比の範囲は、約15:1〜約25:1であることができる。一部の実施形態では、CP8免疫原性コンジュゲート中のコンジュゲートしたリシン対CRM197のモル比の範囲は、約14:1〜約20:1、約12:1〜約18:1、約10:1〜約16:1、約8:1〜約14:1、約6:1〜約12:1、約4:1〜約10:1、約20:1〜約26:1、約22:1〜約28:1、約24:1〜約30:1、約26:1〜約32:1、約28:1〜約34:1、約30:1〜約36:1、約5:1〜約10:1、約5:1〜約20:1、約10:1〜約20:1、または約10:1〜約30:1であることができる。また、CP5免疫原性コンジュゲート中のコンジュゲートしたリシン対CRM197のモル比は、約3:1〜25:1であることができる。一実施形態では、CP5免疫原性コンジュゲート中のコンジュゲートしたリシン対CRM197のモル比の範囲は、約5:1〜約20:1であることができる。一実施形態では、CP5免疫原性コンジュゲート中のコンジュゲートしたリシン対CRM197のモル比の範囲は、約4:1〜約20:1、約6:1〜約20:1、約7:1〜約20:1、約8:1〜約20:1、約10:1〜約20:1、約11:1〜約20:1、約12:1〜約20:1、約13:1〜約20:1、約14:1〜約20:1、約15:1〜約20:1、約16:1〜約20:1、約17:1〜約20:1、約18:1〜約20:1、約5:1〜約18:1、約7:1〜約16:1、または約9:1〜約14:1であることができる。
莢膜多糖とコンジュゲートした担体タンパク質中のリシン残基の数を表す別の方法は、コンジュゲートしたリシンの範囲としてである場合がある。たとえば、所与のCP8免疫原性コンジュゲート中、CRM197は、39個のうち5〜15個の、莢膜多糖と共有結合したリシンを含み得る。あるいは、このパラメータをパーセンテージとして表すことができる。たとえば、所与のCP8免疫原性コンジュゲート中、コンジュゲートしたリシンのパーセンテージは10%〜50%であることができる。一部の実施形態では、20%〜50%のリシンがCP8と共有結合していることができる。あるいは、さらに、30%〜50%のCRM197リシンがCP8と共有結合していることができ、10%〜40%のCRM197リシン、10%〜30%のCRM197リシン、20%〜40%のCRM197リシン、25%〜40%のCRM197リシン、30%〜40%のCRM197リシン、10%〜30%のCRM197リシン、15%〜30%のCRM197リシン、20%〜30%のCRM197リシン、25%〜30%のCRM197リシン、10%〜15%のCRM197リシン、または10%〜12%のCRM197リシンがCP8と共有結合している。また、所与のCP5免疫原性コンジュゲート中、CRM197は、39個のうち18〜22個の、莢膜多糖と共有結合したリシンを含み得る。あるいは、このパラメータをパーセンテージとして表すことができる。たとえば、所与のCP5免疫原性コンジュゲート中、コンジュゲートしたリシンのパーセンテージは40%〜60%であることができる。一部の実施形態では、40%〜60%のリシンがCP5と共有結合していることができる。あるいは、さらに、30%〜50%のCRM197リシンがCP5と共有結合していることができ、20%〜40%のCRM197リシン、10%〜30%のCRM197リシン、50%〜70%のCRM197リシン、35%〜65%のCRM197リシン、30%〜60%のCRM197リシン、25%〜55%のCRM197リシン、20%〜50%のCRM197リシン、15%〜45%のCRM197リシン、10%〜40%のCRM197リシン、40%〜70%のCRM197リシン、または45%〜75%のCRM197リシンがCP5と共有結合している。
莢膜多糖鎖と担体分子上のリシンとの付着の頻度が、莢膜多糖のコンジュゲートを特徴づけることための別のパラメータである。たとえば、一実施形態では、CRM197と多糖との間の少なくとも1つの共有結合は、莢膜多糖の少なくとも5〜10個の糖反復単位ごとに起こる。別の実施形態では、5〜10個の糖反復単位ごと、莢膜多糖の2〜7個の糖反復単位ごと、3〜8個の糖反復単位ごと、4〜9個の糖反復単位ごと、6〜11個の糖反復単位ごと、7〜12個の糖反復単位ごと、8〜13個の糖反復単位ごと、9〜14個の糖反復単位ごと、10〜15個の糖反復単位ごと、2〜6個の糖反復単位ごと、3〜7個の糖反復単位ごと、4〜8個の糖反復単位ごと、6〜10個の糖反復単位ごと、7〜11個の糖反復単位ごと、8〜12個の糖反復単位ごと、9〜13個の糖反復単位ごと、10〜14個の糖反復単位ごと、10〜20個の糖反復単位ごと、5〜10個の糖反復単位ごとに、CRM197と莢膜多糖との間に少なくとも1つの共有結合が存在する。別の実施形態では、CRM197と莢膜多糖との間の少なくとも1つの連結は、莢膜多糖の2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20個の糖反復単位ごとに起こる。
多糖の化学的活性化および続く担体タンパク質とのコンジュゲーションは、慣用の手段によって達成し得る。たとえば、米国特許第4,673,574号および第4,902,506号を参照されたい。あるいは、他の活性化およびコンジュゲーションの方法を使用し得る。
本明細書中で使用する「担体タンパク質」または「タンパク質担体」とは、それに対する免疫応答が所望される抗原(莢膜多糖など)とコンジュゲートしていてもよい、任意のタンパク質分子をいう。多糖などの抗原と担体タンパク質とのコンジュゲーションは、抗原に免疫原性を与えることができる。担体タンパク質は、好ましくは、無毒性かつ非反応源性であり、十分な量および純度で得ることができるタンパク質である。担体タンパク質の例は、毒素、トキソイド、または、破傷風、ジフテリア、百日咳、シュードモナス(Pseudomonas)種、大腸菌(E.coli)、ブドウ球菌(Staphylococcus)種、および連鎖球菌(Streptococcus)種からの毒素の任意の突然変異交差反応性材料(CRM197)である。担体タンパク質は、標準のコンジュゲーション手順を受け入れられるものであるべきである。本発明の特定の実施形態では、CRM197を担体タンパク質として使用する。
CRM197(Wyeth/Pfizer、ノースカロライナ州Sanford)は、カザミノ酸および酵母抽出物に基づいた培地中で成長させたジフテリア菌(Corynebacterium diphtheria)C7株(β197)の培養物から単離したジフテリア毒素の、無毒性の変異体(すなわちトキソイド)である。CRM197は、限外濾過、硫安塩析、およびイオン交換クロマトグラフィーによって精製する。CRM197タンパク質を産生するジフテリア菌(Corynebacterium diphtheriae)C7株(197)の培養物は、American Type Culture Collection、メリーランド州Rockvilleに寄託されており、受託番号ATCC53281が割り当てられている。また、他のジフテリアトキソイドも担体タンパク質としての使用に適している。
他の適切な担体タンパク質には、破傷風トキソイド、百日咳トキソイド、コレラトキソイド(たとえば国際特許出願WO2004/083251号に記載)、大腸菌(E.coli)LT、大腸菌(E.coli)ST、および緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)からの外毒素Aなどの、不活性化させた細菌毒素が含まれる。また、外膜タンパク質複合体c(OMPC)、ポリン、トランスフェリン結合タンパク質、ニューモリシン、肺炎球菌表面タンパク質A(PspA)、肺炎球菌付着因子タンパク質(PsaA)、クロストリジウム・ディフィシル(C.difficile)のエンテロトキシン(毒素A)および細胞毒素(毒素B)、またはインフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)タンパク質Dなどの、細菌外膜タンパク質、も使用することができる。また、連鎖球菌C5aペプチダーゼ(SCP)、卵白アルブミン、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)、ウシ血清アルブミン(BSA)またはツベルクリン(PPD)の精製したタンパク質誘導体などの他のタンパク質も、担体タンパク質として使用することができる。
莢膜多糖を担体タンパク質とコンジュゲーションさせた後、様々な技法によって多糖−タンパク質のコンジュゲートを精製する(多糖−タンパク質のコンジュゲートの量に関して濃縮する)。これらの技法には、たとえば、濃縮/ダイアフィルトレーション操作、沈降/溶出、カラムクロマトグラフィー、およびデプスフィルターが含まれる。以下の実施例を参照されたい。
個々のコンジュゲートを精製した後、これらを組み合わせて本発明の免疫原性組成物を配合してよく、これは、たとえばワクチン中で使用し得る。本発明の免疫原性組成物の配合は、当分野で認識されている方法を用いて達成することができる。
本開示中、「含む(comprises)」、「含んだ(comprised)」、「含むこと(comprising)」、「含有する(contains)」、「含有すること(containing)」などの用語は、米国特許法においてそれらに付与された意味を有することができ、たとえば、これらは「含まれる(includes)」、「含められた(included)」、「含めた(including)」などを意味することができることに注目されたい。そのような用語は、任意の他の成分を排除しない、特定の成分または成分の組の包含をいう。「から本質的になる(consisting essentially of)」および「から本質的になる(consists essentally of)」などの用語は、米国特許法においてそれらに付与された意味を有し、たとえば、本発明の新規または基本的な特徴を損ねずに追加の成分またはステップの包含を可能にする、すなわち、これらは本発明の新規または基本的な特徴を損ねる列挙していない追加の成分またはステップを排除し、また、特に本文書の目的は、特許性のある、たとえば、新規であり、自明でなく、従来技術、たとえば、本明細書中で引用したまたは本明細書中に参考として組み込まれている文書を超える進歩性がある実施形態を定義することであるため、これらは本明細書中で引用したまたは本明細書中に参考として組み込まれている当分野の文書などの従来技術の成分またはステップを排除する。また、用語「からなる(consists of)」および「からなる(consisting of)」は、米国特許法においてそれらに付与された意味を有する、すなわち、これらの用語は閉じている。したがって、これらの用語は、特定の成分または成分の組の包含およびすべての他の成分の排除をいう。
「保存的アミノ酸置換」とは、タンパク質のアミノ酸残基のうちの1つまたは複数を、類似の物理的および/または化学的特性を有する他のアミノ酸残基で置換することをいう。配列のアミノ酸を置換するものは、そのアミノ酸が属するクラスの他のメンバーから選択され得る。たとえば、無極性(疎水性)アミノ酸には、アラニン、ロイシン、イソロイシン、バリン、プロリン、フェニルアラニン、トリプトファンおよびメチオニンが含まれる。芳香環構造を含有するアミノ酸は、フェニルアラニン、トリプトファン、およびチロシンである。極性の中性アミノ酸には、グリシン、セリン、スレオニン、システイン、チロシン、アスパラギン、およびグルタミンが含まれる。正荷電(塩基性)のアミノ酸には、アルギニン、リシンおよびヒスチジンが含まれる。負荷電(酸性)のアミノ酸には、アスパラギン酸およびグルタミン酸が含まれる。そのような変更は、ポリアクリルアミドゲル電気泳動によって決定される見かけの分子量、または等電点に影響を与えないと予想される。特に好ましい置換は、LysでArgを置換およびその逆(正電荷が維持され得るように)、GluでAspを置換およびその逆(負電荷が維持され得るように)、SerでThrを置換(遊離−OHを維持することができるように)、およびGlnでAsnを置換(遊離NH2を維持することができるように)である。
「断片」とは、より大きいタンパク質の特定のドメインのみが含まれるタンパク質をいう。たとえば、ClfAおよびClfBタンパク質は、シグナル配列が含まれる場合はそれぞれ8個ものドメインを含有する。N1N2N3、N2N3、N1N2、N1、N2、またはN3ドメインに対応するポリペプチドは、それぞれClfAまたはClfBの断片であるとみなされる。また、「断片」とは、親タンパク質もしくはポリペプチドのアミノ酸配列の少なくとも4個のアミノ酸残基(好ましくは、少なくとも10個のアミノ酸残基、少なくとも15個のアミノ酸残基、少なくとも20個のアミノ酸残基、少なくとも25個のアミノ酸残基、少なくとも40個のアミノ酸残基、少なくとも50個のアミノ酸残基、少なくとも60個のアミノ酸残基、少なくとも70個のアミノ酸残基、少なくとも80個のアミノ酸残基、少なくとも90個のアミノ酸残基、少なくとも100個のアミノ酸残基、少なくとも125個のアミノ酸残基、もしくは少なくとも150個のアミノ酸残基)のアミノ酸配列を含むタンパク質もしくはポリペプチド、または、親核酸のヌクレオチド配列の少なくとも10個の塩基対(好ましくは少なくとも20個の塩基対、少なくとも30個の塩基対、少なくとも40個の塩基対、少なくとも50個の塩基対、少なくとも50個の塩基対、少なくとも100個の塩基対、少なくとも200個の塩基対)のヌクレオチド配列を含む核酸のどちらかもいう。
本明細書中で使用する抗体の「機能的活性」または「機能的抗体」とは、最低でも抗原と特異的に結合することができる抗体をいう。追加の機能が当分野で知られており、オプソニン化、ADCCまたは補体媒介性細胞毒性によるものなどの病原体のクリアランスまたは死滅をもたらす、免疫系の追加の構成要素が含まれ得る。抗原結合後、任意の続く抗体機能は抗体のFc領域を介して媒介されることができる。抗体オプソニン化貪食作用アッセイ(OPA)とは、したがって生物学的プロセスを模倣する、エフェクター細胞(白血球)を用いた細菌のin vitroのIg補体支援死滅を測定するように設計されたin vitroアッセイである。また、抗体結合は、それが結合する抗原の生物学的機能を直接阻害する場合もあり、たとえば、ClfAと結合する抗体はその酵素機能を中和することができる。一部の実施形態では、「機能的抗体」とは、動物有効性モデルまたは抗体が細菌を死滅させることを実証するオプソニン化貪食作用死滅アッセイにおける細菌の死滅によって測定して、機能的である抗体をいう。
黄色ブドウ球菌(S.aureus)莢膜多糖の分子量は、免疫原性組成物中での使用における検討事項である。たとえば、高分子量莢膜多糖は、抗原表面上に存在するより高いエピトープ結合価が原因で、特定の抗体免疫応答を誘導できる場合がある。「高分子量莢膜多糖」の単離が、本発明の組成物および方法における使用に企図される。たとえば、本発明の一実施形態では、約50〜約800kDaの分子量の範囲の5型高分子量多糖の単離が企図される。本発明の一実施形態では、約20〜約1000kDaの分子量の範囲の5型高分子量多糖の単離が企図される。本発明の一実施形態では、約50〜約300kDaの分子量の範囲の大きさの5型高分子量莢膜多糖の単離および精製が企図される。一実施形態では、70kDa〜300kDaの分子量の範囲の5型高分子量莢膜多糖の単離および精製が企図される。一実施形態では、90kDa〜250kDaの分子量の範囲の5型高分子量莢膜多糖の単離および精製が企図される。一実施形態では、90kDa〜150kDaの分子量の範囲の5型高分子量莢膜多糖の単離および精製が企図される。一実施形態では、90kDa〜140kDaの分子量の範囲の5型高分子量莢膜多糖の単離および精製が企図される。一実施形態では、80kDa〜120kDaの分子量の範囲の5型高分子量莢膜多糖の単離および精製が企図される。本発明の方法によって単離および精製することができる高分子量の血清型5の莢膜多糖の他の範囲には、約70kDa〜約100kDaの分子量、70kDa〜110kDaの分子量、70kDa〜120kDaの分子量、70kDa〜130kDaの分子量、70kDa〜140kDaの分子量、70kDa〜150kDaの分子量、70kDa〜160kDaの分子量、80kDa〜110kDaの分子量、80kDa〜120kDaの分子量、80kDa〜130kDaの分子量、80kDa〜140kDaの分子量、80kDa〜150kDaの分子量、80kDa〜160kDaの分子量、90kDa〜110kDaの分子量、90kDa〜120kDaの分子量、90kDa〜130kDaの分子量、90kDa〜140kDaの分子量、90kDa〜150kDaの分子量、90kDa〜160kDaの分子量、100kDa〜120kDaの分子量、100kDa〜130kDaの分子量、100kDa〜140kDaの分子量、100kDa〜150kDaの分子量、100kDa〜160kDaの分子量、および同様の所望の分子量範囲の、大きさの範囲が含まれる。
上述のように、黄色ブドウ球菌(S.aureus)莢膜多糖の分子量は、免疫原性組成物中での使用における検討事項である。たとえば、高分子量莢膜多糖は、抗原表面上に存在するより高いエピトープ結合価が原因で、特定の抗体免疫応答を誘導できる場合がある。本発明の一実施形態では、約20kDa〜約1000kDaの分子量の範囲の8型高分子量莢膜多糖の単離および精製が企図される。本発明の一実施形態では、約50kDa〜約700kDaの分子量の範囲の8型高分子量莢膜多糖の単離および精製が企図される。本発明の一実施形態では、50kDa〜300kDaの分子量の範囲の8型高分子量莢膜多糖の単離および精製が企図される。一実施形態では、70kDa〜300kDaの分子量の範囲の8型高分子量莢膜多糖の単離および精製が企図される。一実施形態では、90kDa〜250kDaの分子量の範囲の8型高分子量莢膜多糖の単離および精製が企図される。一実施形態では、90kDa〜150kDaの分子量の範囲の8型高分子量莢膜多糖の単離および精製が企図される。一実施形態では、90kDa〜120kDaの分子量の範囲の8型高分子量莢膜多糖の単離および精製が企図される。一実施形態では、80kDa〜120kDaの分子量の範囲の8型高分子量莢膜多糖の単離および精製が企図される。本発明の方法によって単離および精製することができる高分子量の血清型8の莢膜多糖の他の範囲には、約70kDa〜約100kDaの分子量、70kDa〜110kDaの分子量、70kDa〜120kDaの分子量、70kDa〜130kDaの分子量、70kDa〜140kDaの分子量、70kDa〜150kDaの分子量、70kDa〜160kDaの分子量、80kDa〜110kDaの分子量、80kDa〜120kDaの分子量、80kDa〜130kDaの分子量、80kDa〜140kDaの分子量、80kDa〜150kDaの分子量、80kDa〜160kDaの分子量、90kDa〜110kDaの分子量、90kDa〜120kDaの分子量、90kDa〜130kDaの分子量、90kDa〜140kDaの分子量、90kDa〜150kDaの分子量、90kDa〜160kDaの分子量、100kDa〜120kDaの分子量、100kDa〜130kDaの分子量、100kDa〜140kDaの分子量、100kDa〜150kDaの分子量、100kDa〜160kDaの分子量、および同様の所望の分子量範囲の、大きさの範囲が含まれる。
免疫原性組成物に対する「免疫応答」とは、対象における、対象組成物(たとえば、タンパク質または多糖などの抗原)中に存在する分子に対する液性および/または細胞媒介性免疫応答の発生である。本発明の目的のために、「液性免疫応答」とは、抗体媒介性免疫応答であり、本発明の免疫原性組成物中に存在する抗原に対して親和性を有する抗体の作製を含む一方で、「細胞媒介性免疫応答」とは、Tリンパ球および/または他の白血球によって媒介されるものである。「細胞媒介性免疫応答」は、主要組織適合複合体(MHC)のクラスIまたはクラスII分子と会合した抗原性エピトープの提示によって誘発される。これは、抗原に特異的なCD4+Tヘルパー細胞またはCD8+細胞毒性Tリンパ球細胞(「CTL」)を活性化させる。CTLは、主要組織適合複合体(MHC)またはCD1によってコードされているタンパク質と会合して提示されるペプチドまたは脂質抗原に対して特異性を有し、細胞の表面上で発現される。CTLは誘導を助け、細胞内微生物の細胞内破壊、またはそのような微生物に感染した細胞の溶解を促進する。細胞性免疫の別の側面は、ヘルパーT細胞による抗原に特異的な応答を含む。ヘルパーT細胞は、その表面上の古典的または非古典的MHC分子と会合したペプチド抗原を提示している細胞に対する、非特異的エフェクター細胞の機能を刺激し、その活性を集中させることを助けるように作用する。また、「細胞媒介性免疫応答」とは、CD4+およびCD8+T細胞に由来するものを含めた、活性化されたT細胞および/または他の白血球によって産生されるサイトカイン、ケモカインおよび他のそのような分子の産生もいう。細胞媒介性免疫学的応答を刺激する、特定の抗原または組成物の能力は、リンパ球増殖(リンパ球活性化)アッセイ、CTL細胞毒性細胞アッセイ、感作化した対象において抗原に特異的なTリンパ球についてアッセイすること、または抗原を用いた再刺激に応答したT細胞によるサイトカイン産生を測定することなどの、いくつかのアッセイによって決定し得る。そのようなアッセイは当分野で周知である。たとえば、Ericksonら、J.Immunol.(1993)151:4189〜4199、Doeら、Eur.J.Immunol.(1994)24:2369〜2376を参照されたい。
用語「免疫原性」とは、液性もしくは細胞媒介性のどちらか、または両方の免疫応答を誘発する、抗原またはワクチンの能力をいう。
そのそれぞれを本明細書中で互換性があるように使用する「免疫原性量」、または「免疫学的に有効な量」または「用量」とは、一般に、当業者に知られている標準のアッセイによって測定された、細胞性(T細胞)もしくは液性(B細胞や抗体)応答のどちらか、または両方の免疫応答を誘発するために十分な、抗原または免疫原性組成物の量をいう。
組成物中の特定のコンジュゲートの量は、一般に、そのコンジュゲートについてコンジュゲートしたおよびコンジュゲートしていない全多糖に基づいて計算する。たとえば、20%の遊離多糖を有するCP5コンジュゲートは、100mcgのCP5多糖用量中に約80mcgのコンジュゲートしたCP5多糖および約20mcgのコンジュゲートしていないCP5多糖を有する。コンジュゲートの用量を計算する際、コンジュゲートへのタンパク質の寄与は、通常は考慮しない。コンジュゲートの量は、ブドウ球菌の血清型に応じて変化する場合がある。一般に、それぞれの用量は、0.01〜100mcgの多糖、詳細には0.1〜10mcg、より詳細には1〜10mcgを含む。免疫原性組成物中の様々な多糖構成要素の「免疫原性量」は発散する場合があり、それぞれが、0.01mcg、0.1mcg、0.25mcg、0.5mcg、1mcg、2mcg、3mcg、4mcg、5mcg、6mcg、7mcg、8mcg、9mcg、10mcg、15mcg、20mcg、30mcg、40mcg,50mcg、60mcg、70mcg、80mcg、90mcg、または約100mcgの任意の特定の多糖抗原を含み得る。
別の実施形態では、免疫原性組成物中のタンパク質構成要素の「免疫原性量」は、約10mcg〜約300mcgのそれぞれのタンパク質抗原の範囲であり得る。特定の実施形態では、免疫原性組成物中のタンパク質構成要素の「免疫原性量」は、約20mcg〜約200mcgのそれぞれのタンパク質抗原の範囲であり得る。免疫原性組成物中の様々なタンパク質構成要素の「免疫原性量」は発散する場合があり、それぞれが、10mcg、20mcg、30mcg、40mcg、50mcg、60mcg、70mcg、80mcg、90mcg、100mcg、125mcg、150mcg、175mcgまたは約200mcgの任意の特定のタンパク質抗原を含む。
免疫原としての抗原の有効性は、in vitroオプソニンアッセイおよび当分野で知られている多くの他のアッセイなどの免疫アッセイ、免疫沈降アッセイ、機能的抗体アッセイを用いて、血清中の抗原に特異的な循環抗体のレベルを測定することによってB細胞活性のレベルを測定することによって、測定することができる。T細胞免疫原としての抗原の有効性の別の測度は、増殖アッセイ、その特異的な標的細胞を溶解するT細胞の能力を測定するための、クロム放出アッセイなどの細胞溶解性アッセイのいずれかによって測定することができる。さらに、本発明では、「免疫原性量」は、本明細書中に記載のように、抗原の投与後に誘導された抗原特異的抗体の血清レベルを測定することによって、または、そのように誘導された抗体の、特定の白血球のオプソニン化貪食作用能力を増強する能力を測定することによっても定義し得る。免疫応答の保護のレベルは、注射した抗原で免疫化された宿主を免疫誘発することによって測定し得る。たとえば、それに対する免疫応答が所望される抗原が細菌である場合、「免疫原性量」の抗原によって誘導された保護のレベルは、動物を細菌細胞で免疫誘発した後のパーセント生存率またはパーセント死亡率を検出することによって測定することができる。一実施形態では、保護の量は、細菌感染症に関連する少なくとも1つの症状、たとえば感染症に関連する発熱を測定することによって測定し得る。複数抗原または複数構成要素のワクチンまたは免疫原性組成物中の抗原のそれぞれの量は、他の構成要素のそれぞれに対して変動し、当業者に知られている方法によって決定することができる。そのような方法には、たとえば、免疫原性および/またはin vivo有効性を測定するための手順が含まれるであろう。
用語「免疫原性組成物」とは、抗原、たとえば微生物、またはその構成要素を含有する任意の医薬組成物に関し、組成物は、対象において免疫応答を誘発するために使用することができる。本発明の免疫原性組成物は、全身性、経皮または粘膜の経路を介して免疫原性組成物を投与することによって、黄色ブドウ球菌(S.aureus)感染症に感受性のあるヒトを処置するために使用することができる。これらの投与には、筋肉内(i.m.)、腹腔内(i.p.)、皮内(i.d.)もしくは皮下の経路を介した注射、パッチもしくは他の経皮送達装置による塗布、または口道/消化管、気道もしくは尿生殖路への粘膜投与を介したものが含まれることができる。一実施形態では、鼻腔内投与は、黄色ブドウ球菌(S.aureus)の鼻咽頭保菌を処置または予防することで、感染をその最初期段階で減弱させるために使用する。一実施形態では、免疫原性組成物は、動物を受動的に保護または処置するために使用することができるワクチンの製造またはポリクローナルもしくはモノクローナル抗体の誘発において使用し得る。
特定の免疫原性組成物のための最適な量の構成要素は、対象における適切な免疫応答の観察を含む標準の研究によって確認することができる。最初のワクチン接種後、対象は、十分に間隔を空けた1回または複数回のブースター免疫化を受けることができる。
本発明の一実施形態では、黄色ブドウ球菌(S.aureus)の凍結乾燥した免疫原性組成物は、組換え黄色ブドウ球菌(S.aureus)クランピング因子A(ClfA)断片(N1N2N3、またはその組合せ)を含む。本発明のさらなる実施形態では、黄色ブドウ球菌(S.aureus)の凍結乾燥した免疫原性組成物は、組換え黄色ブドウ球菌(S.aureus)クランピング因子A(ClfA)断片、CRM197とコンジュゲートした単離した5型莢膜多糖およびCRM197とコンジュゲートした単離した8型莢膜多糖を含む。
本発明の免疫原性組成物は、液性および/または細胞媒介性免疫の上方制御または下方制御のどちらかが観察されるように、免疫系を撹乱または変更する薬剤である1つまたは複数の追加の「免疫調節物質」をさらに含むことができる。特定の一実施形態では、免疫系の液性および/または細胞媒介性の作用(arm)の上方制御が好ましい。特定の免疫調節物質の例には、たとえば、アジュバントもしくはサイトカイン、またはとりわけ米国特許第5,254,339号に記載されているISCOMATRIX(商標)(CSL Limited、オーストラリアParkville)が含まれる。本発明のワクチン中で使用することができるアジュバントの非限定的な例には、RIBIアジュバント系(Ribi Inc.、モンタナ州Hamilton)、ミョウバン、水酸化アルミニウムゲルなどの鉱物ゲル、水中油乳濁液、油中水乳濁液、たとえば、フロイント完全および不完全アジュバント、ブロックコポリマー(CytRx、ジョージア州Atlanta)、QS−21(Cambridge Biotech Inc.、マサチューセッツ州Cambridge)、SAF−M (Chiron、カリフォルニア州Emeryville)、AMPHIGEN(登録商標)アジュバント、サポニン、Quil Aまたは他のサポニン画分、モノホスホリル脂質A、ならびにAvridine脂質−アミンアジュバントが含まれる。本発明のワクチン中で有用な水中油乳濁液の非限定的な例には、改変SEAM62およびSEAM1/2配合物が含まれる。改変SEAM62は、5%(v/v)のスクワレン(Sigma)、1%(v/v)のSPAN(登録商標)85洗剤(ICI界面活性剤)、0.7%(v/v)のポリソルベート80洗剤(ICI界面活性剤)、2.5%(v/v)のエタノール、200μg/mlのQuil A、100μg/mlのコレステロール、および0.5%(v/v)のレシチンを含有する水中油乳濁液である。改変SEAM1/2は、5%(v/v)のスクワレン、1%(v/v)のSPAN(登録商標)85洗剤、0.7%(v/v)のポリソルベート80洗剤、2.5%(v/v)のエタノール、100μg/mlのQuil A、および50μg/mlのコレステロールを含む水中油乳濁液である。本発明の組成物中に含めることができる他の「免疫調節物質」には、たとえば、1つまたは複数のインターロイキン、インターフェロン、または他の既知のサイトカインもしくはケモカインが含まれる。一実施形態では、アジュバントは、それぞれ米国特許第6,165,995号および第6,610,310号に記載されているものなどのシクロデキストリン誘導体またはポリアニオンポリマーであり得る。使用する免疫調節物質および/またはアジュバントは、ワクチンまたは免疫原性組成物を投与する対象、注射の経路、および与える注射の回数に依存することを理解されたい。
本発明のさらなる実施形態では、黄色ブドウ球菌(S.aureus)の凍結乾燥した免疫原性組成物は、組換え黄色ブドウ球菌(S.aureus)クランピング因子A(ClfA)断片、CRM197とコンジュゲートした単離した5型莢膜多糖、CRM197とコンジュゲートした単離した8型莢膜多糖、および組換えMntCタンパク質(rP305Aとしても知られる)を含む。一部の実施形態では、MntCタンパク質は脂質付加されている。他の実施形態では、MntCタンパク質は脂質付加されていない。別の実施形態では、黄色ブドウ球菌(S.aureus)免疫原性組成物は、組換え黄色ブドウ球菌(S.aureus)クランピング因子(ClfA)断片(N1N2N3、またはその組合せ)、組換え黄色ブドウ球菌(S.aureus)クランピング因子B(ClfB)断片(N1N2N3、またはその組合せ)、CRM197とコンジュゲートした単離した5型莢膜多糖およびCRM197とコンジュゲートした単離した8型莢膜多糖の無菌的な配合物(液体、凍結乾燥、DNAワクチン、皮内調製物)である。
本発明の一実施形態では、黄色ブドウ球菌(S.aureus)免疫原性組成物は、組換え黄色ブドウ球菌(S.aureus)クランピング因子A(ClfA)断片(N1N2N3、またはその組合せ)、黄色ブドウ球菌(S.aureus)鉄結合タンパク質MntC、CRM197とコンジュゲートした単離した5型莢膜多糖およびCRM197とコンジュゲートした単離した8型莢膜多糖を含む。一実施形態では、黄色ブドウ球菌(S.aureus)免疫原性組成物は、組換え黄色ブドウ球菌(S.aureus)クランピング因子(ClfA)断片(N1N2N3、またはその組合せ)、組換え黄色ブドウ球菌(S.aureus)クランピング因子B(ClfB)断片(N1N2N3、またはその組合せ)、黄色ブドウ球菌(S.aureus)鉄結合タンパク質MntC、CRM197とコンジュゲートした単離した5型莢膜多糖およびCRM197とコンジュゲートした単離した8型莢膜多糖の無菌的な配合物(液体、凍結乾燥、DNAワクチン、皮内調製物)である。
本発明の一実施形態では、黄色ブドウ球菌(S.aureus)免疫原性組成物は、組換え黄色ブドウ球菌(S.aureus)クランピング因子B(ClfB)断片(N1N2N3、またはその組合せ)、CRM197とコンジュゲートした単離した5型莢膜多糖およびCRM197とコンジュゲートした単離した8型莢膜多糖を含む。本発明の一実施形態では、黄色ブドウ球菌(S.aureus)免疫原性組成物は、組換え黄色ブドウ球菌(S.aureus)クランピング因子B(ClfB)断片(N1N2N3、またはその組合せ)、黄色ブドウ球菌(S.aureus)鉄結合タンパク質MntC、CRM197とコンジュゲートした単離した5型莢膜多糖およびCRM197とコンジュゲートした単離した8型莢膜多糖を含む。本発明の一実施形態では、黄色ブドウ球菌(S.aureus)免疫原性組成物は、黄色ブドウ球菌(S.aureus)鉄結合タンパク質MntC、CRM197とコンジュゲートした単離した5型莢膜多糖およびCRM197とコンジュゲートした単離した8型莢膜多糖を含む。
黄色ブドウ球菌(S.aureus)「侵襲性疾患」とは、正常では無菌的な部位からの細菌の単離であり、疾患の関連する臨床的徴候/症状が存在する。正常では無菌的な身体部位には、血液、CSF、胸膜液、心膜液、腹膜液、関節/潤滑液、骨、身体内部部位(リンパ節、脳、心臓、肝臓、脾臓、硝子体液、腎臓、膵臓、卵巣)、または他の正常では無菌的な部位が含まれる。侵襲性疾患を特徴づける臨床的状態には、菌血症、肺炎、蜂窩織炎、骨髄炎、心内膜炎、敗血症性ショックなどが含まれる。
用語「単離した」とは、その元の環境から取り出されていることを意味する(たとえば、天然に存在するものである場合は天然環境、もしくは組換え実体である場合はその宿主生物から、または1つの環境から異なる環境へと移されている)。たとえば、「単離した」莢膜多糖、タンパク質またはペプチドは、タンパク質が由来する細胞もしくは組織源からの細胞物質もしくは他の汚染タンパク質を実質的に含まない、または、化学合成の場合に、もしくは化学反応の一部として他の様式で混合物中に存在する、化学物質前駆体もしくは他の化学物質を実質的に含まない。本発明では、タンパク質または多糖は、免疫原性組成物の製造に有用な形態で提供されるように、細菌細胞または細胞細片から単離し得る。用語「単離した」または「単離すること」には、たとえば、本明細書中に記載のタンパク質または莢膜多糖を精製する方法を含めた、精製することまたは精製が含まれ得る。言葉「細胞物質を実質的に含まない」には、ポリペプチド/タンパク質が、それを単離または組換えにより産生させた細胞の細胞成分から分離されている、ポリペプチド/タンパク質の調製物が含まれる。したがって、細胞物質を実質的に含まない莢膜多糖、タンパク質またはペプチドには、約30%未満、20%、10%、5%、2.5%、または1%(乾重量で)の汚染タンパク質もしくは多糖または他の細胞物質しか有さない莢膜多糖、タンパク質またはペプチドの調製物が含まれる。ポリペプチド/タンパク質を組換えにより産生させる場合も、培養培地を実質的に含まない、すなわち、培養培地がタンパク質調製物の体積の約20%未満、10%、または5%しか表さないことが好ましい。ポリペプチド/タンパク質または多糖を化学合成によって生成する場合、化合物前駆体または他の化合物を実質的に含まない、すなわち、タンパク質または多糖の合成に関与している化合物前駆体または他の化合物から分離されていることが好ましい。したがって、ポリペプチド/タンパク質または多糖のそのような調製物は、約30%未満、20%、10%、5%(乾重量で)の化合物前駆体または対象のポリペプチド/タンパク質もしくは多糖断片以外の化合物しか有さない。
「非保存的アミノ酸置換」とは、上記定義した特徴を用いて、タンパク質のアミノ酸残基のうちの1つまたは複数を、類似でない物理的および/または化学的特性を有する他のアミノ酸残基で置換することをいう。
用語「薬学的に許容できる担体」とは、ヒトおよび非ヒト哺乳動物を含めた動物で使用するために、連邦政府、州政府の規制機関、もしくは他の規制機関によって認可されている、または米国薬局方もしくは他の一般に認識されている薬局方に記載されている担体を意味する。用語「担体」とは、医薬組成物を共に投与する希釈剤、アジュバント、賦形剤、またはビヒクルをいう。そのような医薬担体は、石油、動物、植物または合成起源のものを含めた、水および油などの無菌的な液体であることができる。水、生理食塩水ならびにデキストロース水溶液およびグリセロール溶液を、液体担体として、特に注射用液剤のために用いることができる。適切な医薬賦形剤には、デンプン、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、麦芽、米、小麦粉、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセロール、タルク、塩化ナトリウム、乾燥脱脂乳、グリセロール、プロピレン、グリコール、水、エタノールなどが含まれる。所望する場合は、組成物は、少量の湿潤剤、増量剤、乳化剤、またはpH緩衝剤も含有することができる。これらの組成物は、溶液、懸濁液、乳濁液、持続放出配合物などの形態をとることができる。適切な医薬担体の例は「Remington’s Pharmaceutical Sciences」、E.W.Martinに記載されている。配合物は投与様式に適しているべきである。
用語「タンパク質」、「ポリペプチド」および「ペプチド」とは、アミノ酸残基のポリマーをいい、生成物の最小の長さに制限されない。したがって、ペプチド、オリゴペプチド、二量体、多量体などがこの定義内に含まれる。完全長タンパク質およびその断片はどちらもこの定義によって包含される。また、この用語には、好ましくは、タンパク質が、タンパク質を投与する動物内で免疫学的応答を誘発する能力を維持しているような、ネイティブ配列への欠失、付加および置換などの修飾(一般に保存的な性質であるが、非保存的であってもよい)も含まれる。また、発現後修飾、たとえば、グリコシル化、アセチル化、脂質化、リン酸化なども含まれる。
「保護」免疫応答とは、対象を感染症から保護する役割を果たす、液性または細胞媒介性のどちらかの免疫応答を誘発する免疫原性組成物の能力をいう。もたらされる保護は絶対的である必要はない、すなわち、感染症は、対照対象集団、たとえば、ワクチンまたは免疫原性組成物を投与していない感染した動物と比較して統計的に有意な改善が存在する場合は、完全に予防または根絶される必要はない。保護は、感染症の症状の発症の重篤度または迅速性の軽減に限定され得る。一般に、「保護免疫応答」には、それぞれの抗原に対する、一定レベルの測定可能な機能的抗体の応答を含めた、対象の少なくとも50%における特定の抗原に特異的な抗体のレベルの増加の誘導が含まれるであろう。特定の状況では、「保護免疫応答」には、それぞれの抗原に対する、一定レベルの測定可能な機能的抗体の応答を含めた、対象の少なくとも50%における特定の抗原に特異的な抗体のレベルの2倍の増加または抗体レベルの4倍の増加の誘導が含まれることができる。特定の実施形態では、オプソニン化抗体は保護免疫応答と相関する。したがって、保護免疫応答は、オプソニン化貪食作用アッセイ、たとえば以下に記載のものにおいて細菌数のパーセント減少を測定することによってアッセイし得る。好ましくは、少なくとも10%、25%、50%、65%、75%、80%、85%、90%、95%またはそれより多い細菌数の減少が存在する。
本明細書中で使用する用語「組換え」とは、単純に、遺伝子工学方法によって生成された、任意のタンパク質、ポリペプチド、または、対象遺伝子を発現する細胞をいう。タンパク質またはポリペプチドに関して使用する用語「組換え」とは、組換えポリヌクレオチドの発現によって産生されたポリペプチドを意味する。本発明の免疫原性組成物中で使用するタンパク質は、たとえば、組換えClfA、組換えClfBまたは組換えMntCなど、天然源から単離するか、または遺伝子工学方法によって生成し得る。本明細書中で使用する「組換え」とは、さらに、その起源または操作により、それが天然で会合しているポリヌクレオチドの全部または一部分と会合していない核酸分子を説明する。宿主細胞に関して使用する用語「組換え」とは、それ内に組換えポリヌクレオチドが導入された宿主細胞を意味する。
本明細書中で使用する組換えClfA(rClfA)および組換えClfB(rClfB)とは、本発明の免疫原性組成物中で使用するためのClfAまたはClfBの形態をいう。特定の実施形態では、rClfAとは、Nドメインのうちの1つまたは複数、たとえば、N1N2N3、N2N3、N2またはN3を含むClfAの断片であり、本明細書中で「組換えClfA」または「rClfA」と呼ぶ。一実施形態では、rClfBとは、ClfBのNドメインのうちの1つまたは複数、たとえば、N1N2N3、N2N3、N2またはN3を含むClfBの断片であり、本明細書中で「組換えClfB」または「rClfB」と呼ぶ。
用語「対象」とは、哺乳動物、鳥、魚、爬虫類、または任意の他の動物をいう。また、用語「対象」にはヒトも含まれる。また、用語「対象」には家庭のペットも含まれる。家庭のペットの非限定的な例には、イヌ、ネコ、ブタ、ウサギ、ラット、マウス、スナネズミ、ハムスター、モルモット、フェレット、鳥、ヘビ、トカゲ、魚、カメ、およびカエルが含まれる。また、用語「対象」には家畜動物も含まれる。家畜動物の非限定的な例には、アルパカ、バイソン、ラクダ、畜牛、鹿、ブタ、ウマ、ラマ、ラバ、ロバ、ヒツジ、ヤギ、ウサギ、トナカイ、ヤク、ニワトリ、ガチョウ、およびシチメンチョウが含まれる。
本明細書中で使用する「処置」(その変形、たとえば「処置する」または「処置した」が含まれる)とは、以下のうちの任意の1つまたは複数をいう:(i)伝統的なワクチンなどにおける、感染または再感染の予防、(ii)症状の重篤度の低減または排除、および(iii)問題の病原体または障害の実質的または完全な排除。したがって、処置は、予防的(感染前)または治療的(感染後)にもたらし得る。本発明では、予防的または治療的な処置を使用することができる。本発明の特定の実施形態によれば、宿主動物を、微生物感染(たとえばブドウ球菌(Staphylococcus)種などの細菌)に対して、予防的および/または治療的な免疫化を含めて処置するための、組成物および方法が提供される。本発明の方法は、対象に予防的および/または治療的免疫を与えるために有用である。また、本発明の方法は、生物医学的研究の応用のために、対象で実施することもできる。
互換性があるように使用する用語「ワクチン」または「ワクチン組成物」とは、動物において免疫応答を誘導する少なくとも1つの免疫原性組成物を含む医薬組成物をいう。
一般的な説明
本発明は、ブドウ球菌生物、たとえば黄色ブドウ球菌(S.aureus)からの抗原を含む、凍結乾燥した免疫原性組成物に関する。一部の実施形態では、凍結乾燥した免疫原性組成物はClfAを含む。一部の実施形態では、凍結乾燥した免疫原性組成物は少なくとも3つの抗原を含む。一部の実施形態では、凍結乾燥した免疫原性組成物は少なくとも4つの抗原を含む。抗原は、生化学的単離手順を用いて生物から単離し得るか、合成もしくは組換え手段によって生成し得る。抗原は、ポリペプチド、もしくは多糖、またはその組合せであり得る。これらの免疫原性組成物は、対象をブドウ球菌生物によって引き起こされる感染症に対して免疫化するためのワクチンの製造に使用し得る。これらの組成物中での使用に適した構成要素を、以下にさらに詳述する。
ブドウ球菌免疫原性組成物
黄色ブドウ球菌(S.aureus)は、表在性の皮膚感染症から肺炎、敗血症および心内膜炎などの生命を脅かす状態までの範囲の多様多種のヒト疾患の原因物質である。Lowy、N.Eng.J.Med.、339:580〜532(1998)を参照されたい。侵襲性疾患の場合、血液、脳脊髄液CSF、胸膜液、心膜液、腹膜液、関節/潤滑液、骨、身体内部部位(リンパ節、脳、心臓、肝臓、脾臓、硝子体液、腎臓、膵臓、卵巣)、または他の正常では無菌的な部位を含めた、正常では無菌的な身体部位から黄色ブドウ球菌(S.aureus)を単離することができる。これは、菌血症、肺炎、蜂窩織炎、骨髄炎、心内膜炎、および敗血症性ショックなどの、生命を脅かす臨床的状態をもたらす場合がある。成人、高齢者および小児患者が、黄色ブドウ球菌(S.aureus)感染症の危険性が最も高い。
本発明の実施形態は、単離した黄色ブドウ球菌(S.aureus)クランピング因子A(ClfA)ポリペプチド、担体タンパク質とコンジュゲートした単離した黄色ブドウ球菌(S.aureus)5型莢膜多糖、担体タンパク質とコンジュゲートした単離した黄色ブドウ球菌(S.aureus)8型莢膜多糖、単離した黄色ブドウ球菌(S.aureus)クランピング因子B(ClfB)、および単離した黄色ブドウ球菌(S.aureus)MntCタンパク質を含めた、凍結乾燥した免疫原性組成物中の選択された抗原または抗原を記載する。凍結乾燥した免疫原性組成物の一部の配合物を、ClfAタンパク質の増加した安定性を実証するために試験した。凍結乾燥した免疫原性組成物の一部の配合物を、MntCタンパク質の安定性を実証するために試験した。また、凍結乾燥した組成物の一部の配合物を、CP5−タンパク質のコンジュゲートおよびCP8−タンパク質のコンジュゲートが凍結乾燥後に安定であったことを保証するためにも試験した。
したがって、1つの凍結乾燥した免疫原性組成物は、単離した黄色ブドウ球菌(S.aureus)クランピング因子A(ClfA)ポリペプチドを含む。1つの凍結乾燥した免疫原性組成物は、単離した黄色ブドウ球菌(S.aureus)クランピング因子A(ClfA)ポリペプチド、担体タンパク質とコンジュゲートした単離した黄色ブドウ球菌(S.aureus)5型莢膜多糖、および担体タンパク質とコンジュゲートした単離した黄色ブドウ球菌(S.aureus)8型莢膜多糖を含む。1つの凍結乾燥した免疫原性組成物は、単離した黄色ブドウ球菌(S.aureus)クランピング因子A(ClfA)ポリペプチド、単離した黄色ブドウ球菌(S.aureus)クランピング因子B(ClfB)、担体タンパク質とコンジュゲートした単離した黄色ブドウ球菌(S.aureus)5型莢膜多糖、および担体タンパク質とコンジュゲートした単離した黄色ブドウ球菌(S.aureus)8型莢膜多糖を含む。1つの凍結乾燥した免疫原性組成物は、単離した黄色ブドウ球菌(S.aureus)クランピング因子A(ClfA)ポリペプチド、単離した黄色ブドウ球菌(S.aureus)クランピング因子B(ClfB)ポリペプチド、単離した黄色ブドウ球菌(S.aureus)MntCタンパク質、担体タンパク質とコンジュゲートした単離した黄色ブドウ球菌(S.aureus)5型莢膜多糖、および担体タンパク質とコンジュゲートした単離した黄色ブドウ球菌(S.aureus)8型莢膜多糖を含む。1つの凍結乾燥した免疫原性組成物は、単離した黄色ブドウ球菌(S.aureus)クランピング因子A(ClfA)ポリペプチド、単離した黄色ブドウ球菌(S.aureus)MntCタンパク質、担体タンパク質とコンジュゲートした単離した黄色ブドウ球菌(S.aureus)5型莢膜多糖、および担体タンパク質とコンジュゲートした単離した黄色ブドウ球菌(S.aureus)8型莢膜多糖を含む。1つの凍結乾燥した免疫原性組成物は、単離した黄色ブドウ球菌(S.aureus)クランピング因子B(ClfB)ポリペプチド、担体タンパク質とコンジュゲートした単離した黄色ブドウ球菌(S.aureus)5型莢膜多糖、および担体タンパク質とコンジュゲートした単離した黄色ブドウ球菌(S.aureus)8型莢膜多糖を含む。1つの凍結乾燥した免疫原性組成物は、単離した黄色ブドウ球菌(S.aureus)クランピング因子B(ClfB)ポリペプチド、単離した黄色ブドウ球菌(S.aureus)MntCタンパク質、担体タンパク質とコンジュゲートした単離した黄色ブドウ球菌(S.aureus)5型莢膜多糖、および担体タンパク質とコンジュゲートした単離した黄色ブドウ球菌(S.aureus)8型莢膜多糖を含む。1つの凍結乾燥した免疫原性組成物は、単離した黄色ブドウ球菌(S.aureus)MntCタンパク質、担体タンパク質とコンジュゲートした単離した黄色ブドウ球菌(S.aureus)5型莢膜多糖、および担体タンパク質とコンジュゲートした単離した黄色ブドウ球菌(S.aureus)8型莢膜多糖を含む。1つの凍結乾燥した免疫原性組成物は、単離した黄色ブドウ球菌(S.aureus)クランピング因子A(ClfA)ポリペプチド、単離した黄色ブドウ球菌(S.aureus)クランピング因子B(ClfB)ポリペプチド、および単離した黄色ブドウ球菌(S.aureus)MntCタンパク質を含む。
一部の実施形態では、上記組合せは、以下の抗原のうちの少なくとも1つをさらに含む:EkeS、DsqA、KesK、KrkN、KrkN2、RkaS、RrkN、KnkA、SdrC、SdrD、SdrE、Opp3a、DltD、HtsA、LtaS、IsdA、IsdB、IsdC、SdrF、SdrG、SdrH、SrtA、SpA、Sbi、アルファ−溶血素(hla)、ベータ−溶血素、フィブロネクチン結合タンパク質A(fnbA)、フィブロネクチン結合タンパク質B(fnbB)、コアグラーゼ、Fig、map、パントン−バレンタインロイコシジン(pvl)、アルファ−毒素およびその変異体、ガンマ−毒素(hlg)および変異体、ica、免疫優性ABCトランスポーター、Mg2+トランスポーター、Ni ABCトランスポーター、RAP、自己溶菌酵素、ラミニン受容体、IsaA/PisA、IsaB/PisB、SPOIIIE、SsaA、EbpS、SasA、SasF、SasH、EFB(FIB)、SBI、Npase、EBP、骨シアロ結合タンパク質II、オーレオリシン前駆体(AUR)/Sepp1、Cna、およびその断片、たとえばM55、TSST−1、mecA、ポリ−N−アセチルグルコサミン(PNAG/dPNAG)菌体外多糖、GehD、EbhA、EbhB、SSP−1、SSP−2、HBP、ビトロネクチン結合タンパク質、HarA、EsxA、EsxB、エンテロトキシンA、エンテロトキシンB、エンテロトキシンC1、ならびに新規自己溶菌酵素。
アジュバント
また、特定の実施形態では、本明細書中に記載した凍結乾燥した免疫原性組成物は、1つまたは複数のアジュバントも含む。一部の実施形態では、アジュバントは、乾燥した凍結乾燥組成物の構成要素である。他の実施形態では、アジュバントは、組成物を患者に投与する前に、再構成した凍結乾燥組成物に加えることができる。アジュバントとは、免疫原または抗原と一緒に投与した場合に免疫応答を増強させる物質である。いくつかのサイトカインまたはリンホカインが免疫変調活性を有し、したがってアジュバントとして有用であることが示されており、それだけには限定されないが、インターロイキン1−α、1−β、2、4、5、6、7、8、10、12(たとえば米国特許第5,723,127号を参照)、13、14、15、16、17や18(およびその突然変異体)、インターフェロン−α、βおよびγ、顆粒球−マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)(たとえば、米国特許第5,078,996号およびATCC受託番号39900を参照)、マクロファージコロニー刺激因子(M−CSF)、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)、ならびに腫瘍壊死因子αおよびβが含まれる。本明細書中に記載の免疫原性組成物で有用なさらに他のアジュバントには、それだけには限定されないがMCP−1、MIP−1α、MIP−1β、およびRANTESを含めたケモカイン、接着分子、たとえばセレクチン、たとえば、L−セレクチン、P−セレクチンおよびE−セレクチン、ムチン様分子、たとえば、CD34、GlyCAM−1およびMadCAM−1、インテグリンファミリーのメンバー、たとえば、LFA−1、VLA−1、Mac−1およびp150.95、免疫グロブリンスーパーファミリーのメンバー、たとえば、PECAM、ICAM、たとえば、ICAM−1、ICAM−2やICAM−3、CD2およびLFA−3、共刺激分子、たとえば、B7−1、B7−2、CD40およびCD40L、血管成長因子、神経成長因子、線維芽細胞成長因子、表皮成長因子、PDGF、BL−1、および血管内皮成長因子を含めた成長因子、Fas、TNF受容体、Flt、Apo−1、p55、WSL−1、DR3、TRAMP、Apo−3、AIR、LARD、NGRF、DR4、DR5、KILLER、TRAIL−R2、TRICK2、およびDR6を含めた受容体分子、ならびにカスパーゼ(ICE)が含まれる。
免疫応答を増強させるために使用する適切なアジュバントには、さらに、それだけには限定されないが、米国特許第4,912,094号に記載されているMPL(商標)(3−O−脱アシル化モノホスホリル脂質A、Corixa、モンタナ州Hamilton)が含まれる。また、Corixa(モンタナ州Hamilton)から入手可能であり、米国特許第6,113,918号に記載されている合成脂質A類似体もしくはアミノアルキルグルコサミンホスフェート化合物(AGP)、またはその誘導体もしくは類似体も、アジュバントとしての使用に適している。1つのそのようなAGPは、2−[(R)−3−テトラデカノイルオキシ−テトラデカノイル−アミノ]エチル2−デオキシ−4−O−ホスホノ−3−O−[(R)−3−テトラデカノイルオキシテトラデカノイル]−2−[(R)−3−テトラデカノイルオキシ−テトラデカノイル−アミノ]−b−D−グルコピラノシドであり、これは529としても知られている(以前はRC529として知られていた)。この529アジュバントは、水性形態(AF)または安定な乳濁液(SE)として配合される。
さらに他のアジュバントには、N−アセチル−ムラミル−L−スレオニル−D−イソグルタミン(thr−MDP)、N−アセチル−ノルムラミル−L−アラニン−2−(1’−2’ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ヒドロキシ−ホスホリル−オキシ)−エチルアミン(MTP−PE)などのムラミルペプチド、MF59(米国特許第6,299,884号)(5%のスクワレン、0.5%のポリソルベート80、および0.5%のSPAN(商標)85を含有し(様々な量のMTP−PEを含有していてもよい)、モデル110Y微小流動化装置(Microfluidics、マサチューセッツ州Newton)などの微小流動化装置を用いてサブミクロンの粒子へと配合)、およびSAF(10%のスクワレン、0.4%のポリソルベート80、5%のpluronic遮断ポリマーL121、およびthr−MDPを含有し、サブミクロンの乳濁液へと微小流動化するか、または渦攪拌してより大きな粒子径の乳濁液を作製)などの水中油乳濁液、不完全フロイントアジュバント(IFA)、水酸化アルミニウム、リン酸アルミニウム、硫酸アルミニウムなどのアルミニウム塩(ミョウバン)、Amphigen、Avridine、L121/スクワレン、D−ラクチド−ポリ乳酸/グリコシド、pluronicポリオール、死滅させたボルデテラ属(Bordetella)、米国特許第5,057,540号に記載のSTIMULON(商標)QS−21(Antigenics、マサチューセッツ州Framingham)、米国特許第5,254,339号に記載のISCOMATRIX(商標)(CSL Limited、オーストラリアParkville)、および免疫刺激複合体(ISCOMATRIX(商標))などのサポニン、結核菌(Mycobacterium tuberculosis)、細菌リポ多糖、CpGモチーフを含有するオリゴヌクレオチドなどの合成ポリヌクレオチド(たとえば米国特許第6,207,646号)、欧州特許第1,296,713号および第1,326,634号に記載のIC−31(Intercell AG、オーストリアVienna)、百日咳毒素(PT)もしくはその突然変異体、コレラ毒素もしくはその突然変異体(たとえば、米国特許第7,285,281号、第7,332,174号、第7,361,355号および第7,384,640号)、または大腸菌(E.coli)の熱不安定な毒素(LT)もしくはその突然変異体、特にLT−K63、LT−R72(たとえば、米国特許第6,149,919号、第7,115,730号および第7,291,588号)が含まれる。
一部の実施形態では、アジュバントはISCOMATRIX(商標)である(たとえばDavisら、Proc.Nat’l.Acad.Sci.、2004、101(29):10697〜10702を参照)。
候補抗原:
ClfA:ドメインの編成
クランピング因子A(ClfA)は、フィブリノーゲン結合部位を介した宿主基質タンパク質との結合に関連している黄色ブドウ球菌(S.aureus)表面タンパク質である。ClfAは、タンパク質が細胞表面と共有結合されることを可能にするカルボキシル末端LPXTG(配列番号125)モチーフを含有するタンパク質ファミリーのメンバーである。また、ClfAは、フィブリノーゲン(ClfAによって結合)、フィブロネクチン結合タンパク質(FnbAおよびFnbB)、コラーゲン結合タンパク質(Cna)などの宿主タンパク質との結合に関連している別のタンパク質ファミリー(微生物表面構成要素認識接着性基質分子、またはMSCRAMM)にも属する。これらのタンパク質はすべて、細胞表面への輸送を媒介するアミノ末端シグナル配列を共有している。また、MSCRAMMには、リガンド結合の活性部位を含有する機能的領域であるAドメインも含まれる(たとえば、フィブリノーゲン、フィブロネクチン、エラスチン、ケラチン)。Aドメインに次いで、ペプチドグリカン層にまたがると考えられているセリンアスパラギン酸の反復(SD反復)から構成される領域が存在する。SD反復に次いで、タンパク質とペプチドグリカンとの共有結合のためのLPXTG(配列番号125)モチーフが含まれる膜貫通領域が存在する。ClfAは、米国特許第6,008,341号に記載されている。
AドメインのN1N2N3を含むClfAのリガンド結合領域(図1)は、アミノ酸40〜559にわたる。ClfAのNドメインは、以下のように割り当てられている:N1は残基45〜220を包含し、N2は残基229〜369を包含し、N3は残基370〜559を包含する。Deivanayagamら、EMBO J.、21:6660〜6672(2002)を参照されたい。参照を容易にするために、N1N2N3ドメインはN123と呼ぶ場合があり、同様に、N2N3はN23と呼ぶ場合がある。組換えN1N2N3の調製物では、N1ドメインは、プロテアーゼ感受性であり、容易に切断または加水分解されてN2N3を安定なリガンド結合組換え断片として残すことが判明している。Deivanayagamら、EMBO J.、21:6660〜6672(2002)を参照されたい。ClfAのAドメインのフィブリノーゲン結合N2N3断片の結晶構造により、N2およびN3がどちらも逆平行ベータ鎖によって支配されていることが明らかとなった。逆平行ベータ鎖に加えて、N2ドメインは1つの単巻きのアルファヘリックスおよび2つの310ヘリックスを含有し、N3ドメインは3つの310ヘリックスを含有する。Deivanayagamら、EMBO J.、21:6660〜6672(2002)を参照されたい。N2およびN3の配列アラインメントでは、その全長にわたって13%の配列同一性および36%の配列類似度しかないことが明らかとなっている。Deivanayagamら、EMBO J.、21:6660〜6672(2002)を参照されたい。N2およびN3ドメインのトポロジーは古典的なIgGの折り畳みに類似しており、IgGの折り畳みの新規変異体であると提案されている。Deivanayagamら、EMBO J.、21:6660〜6672(2002)を参照されたい。
本明細書中には、免疫原性組成物またはワクチンとして有用な、安定な黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)クランピング因子A(「ClfA」)ポリペプチドを含む組成物、およびその作製方法が開示されている。また、本明細書中には、免疫原性組成物またはワクチンとして有用な、安定なClfAポリペプチド、CP5コンジュゲート、およびCP8コンジュゲート(「三抗原」)を含む組成物、ならびにその作製方法も開示されている。さらに、本明細書中には、免疫原性組成物またはワクチンとして有用な、安定なClfAポリペプチド、CP5コンジュゲート、CP8コンジュゲート、およびMntCポリペプチド(「四抗原」)を含む組成物、ならびにその作製方法が開示されている。ClfAは、N1とN2ドメインとの間のクリッピングを容易に受ける不安定なタンパク質であることが知られている。本出願は、ClfAのN1N2N3が加速ストレス条件下で少なくとも3カ月間の間実質的に分解されずに保たれることを可能にするClfA配合物を対象とする。一部の実施形態では、配合物は、3パーセント未満の水を含む、凍結乾燥した組成物である。用語「凍結乾燥した組成物」とは、3%未満の水を有する配合物をいい、組成物を、組成物を作製した方法、たとえば、凍結乾燥もしくは混合物を乾燥させる任意の他の方法、または乾燥成分の配合に限定することを意味しない。加速ストレス条件とは、たとえば37℃を数週間またはそれより長くなどの、一般に配合物の安定性を試験するために使用する、極限の温度、pHおよび/またはイオン強度の条件を意味する。
したがって、一実施形態では、本出願は、実質的に分解されていないClfAタンパク質および3パーセント未満の水を含む、安定な組成物を対象とする。一実施形態では、本出願は、実質的に分解されていないClfAタンパク質、5型莢膜多糖(CP5)コンジュゲート、CP8コンジュゲート、および3パーセント未満の水を含む、安定な組成物を対象とする。一実施形態では、本出願は、実質的に分解されていないClfAタンパク質、5型莢膜多糖(CP5)コンジュゲート、CP8コンジュゲート、MntCタンパク質、および3パーセント未満の水を含む、安定な組成物を対象とする。ClfAタンパク質は、任意のブドウ球菌(Staphylococcus)株から単離することができるか、または組換えポリペプチドであることができる。組換えClfAポリペプチドは、野生型配列を有し得るか、1つもしくは複数の突然変異を有し得るか、またはアミノ酸配列が野生型配列に対して少なくとも90%同一であり得る。表1は、いくつかの黄色ブドウ球菌(S.aureus)株ならびにそのそれぞれのClfAのDNAおよびタンパク質の配列を示す。
ClfA配列
ClfAと命名されたクランピング因子タンパク質Aの遺伝子は、クローニングされ、配列決定され、分子レベルで詳細に分析されている(McDevittら、Mol.Microbiol.、11:237〜248(1994)、McDevittら、Mol.Microbiol.、16:895〜907(1995))。111個の黄色ブドウ球菌(S.aureus)疾患を引き起こす単離物とClfAのアミノ酸配列との配列の識別要素は、表1に示されている。黄色ブドウ球菌(S.aureus)PFESA0237株からの完全長(シグナル配列が含まれる)野生型ClfAのアミノ酸配列は、配列番号130に示されている。この配列は位置338にチロシンを示し、これは、ClfAの変異型ではアラニンに変化している。N123領域、反復領域およびアンカー領域を含む、黄色ブドウ球菌(S.aureus)PFESA0237株からの野生型ClfAをコードしている完全長遺伝子は、配列番号131に示されている。ClfAのY338A変異型のアミノ酸配列は、配列番号123に示されている。しかし、野生型ClfAにおいて配列番号130の位置338で起こり、Y338Aと命名されている、チロシンからアラニンへの変化は、ClfAの変異型において、配列番号123中の位置310に示されていることに注目されたい。さらに、配列番号123のアミノ酸配列に示されているClfAの変異型は、シグナル配列を有さないClfAの成熟形態であり、したがって、配列番号130と配列番号123との間のこの突然変異の位置の相違を説明している。
一実施形態では、ClfAタンパク質は、フィブリノーゲン結合を無効にするY388A突然変異を含む、配列番号123の配列を含む。
一部の実施形態では、ClfAタンパク質は完全長である必要はなく、アミノ酸50〜597からなり得る(配列番号130に従って符番するが、任意のClfAタンパク質に基づくことができる)。
一部の実施形態では、ClfAタンパク質は、N1ドメイン、N2ドメイン、およびN3ドメインを含む、またはそれから本質的になる。一部の実施形態では、ClfAタンパク質は、Nドメインを含む。Nドメインとは、N1ドメイン、N2ドメイン、またはN3ドメインを意味する。
ClfAタンパク質、その作製および使用方法は、本明細書中にその全体で参考として組み込まれている、2009年6月22日に出願の同時係属特許出願である米国特許出願第61/219,134号に記載されている。また、ClfAタンパク質は、本明細書中にその全体で参考として組み込まれている国際特許出願PCT/US2010/039510号にも記載されている。
安定とは、ClfAが、加速または他のストレス条件下および貯蔵中などの長期間の間、実質的に分解されずに保たれることを意味する。実質的に分解されていないとは、ClfAポリペプチドの全累積集団の少なくとも70%、80%、90%、95%または99%が、N1配列ならびにN2および/またはN3の付加配列を含むポリペプチドを含有することを意味する。インタクトとは、ClfAタンパク質が少なくともN1、N2、およびN3ドメインを含有することを意味する。一部の実施形態では、ClfAは、少なくとも2週間、少なくとも1カ月間、または少なくとも3カ月間の間、37℃で、安定に保たれる。
一部の実施形態では、本発明の凍結乾燥した組成物は、凍結乾燥した免疫原性組成物の全重量の1重量パーセント未満(1%[w/w])の量の、インタクトなClfAを含有する。一部の実施形態では、ClfAは、0.09%±0.027%〜0.85%±0.26%の量である。
ClfB:ドメインの編成
ClfBは、フィブリノーゲン結合活性を有し、黄色ブドウ球菌(S.aureus)が血漿の存在下でクランプを形成することを始動する、黄色ブドウ球菌(S.aureus)タンパク質である。ClfBはMSCRAMMタンパク質であり、リガンド結合の活性部位を含有する機能的領域であるAドメインを含めた、特徴的なMSCRAMMドメインの編成を表示する(たとえば、フィブリノーゲン、フィブロネクチン、エラスチン、ケラチン)。Aドメインに次いで、ペプチドグリカン層にまたがると考えられているセリンアスパラギン酸の反復(SD反復)から構成される領域が存在する。SD反復に次いで、タンパク質とペプチドグリカンとの共有結合のためのLPXTG(配列番号125)モチーフが含まれる膜貫通領域が存在する。ClfBは、WO99/27109号および米国特許第6,680,195号に記載されている。
ClfBのN末端Aドメインの内部編成は、ClfA中に見つかる編成に非常に類似している。Aドメインは、3つのサブドメイン、N1、N2、およびN3から構成される。AドメインのN1N2N3を含むClfBのリガンド結合領域は、アミノ酸44〜585にわたる。参照を容易にするために、N1N2N3ドメインはN123と呼ぶ場合があり、同様に、N2N3はN23と呼ぶ場合がある。ClfBのNドメインは、以下のように割り当てられている:N1は残基44〜197を包含し、N2は残基198〜375を包含し、N3は残基375〜585を包含する。ClfA中では、Aドメインの結晶構造は免疫グロブリンの折り畳みの独特のバージョンを有することが判明したが、それから類推して、同じことがClfBの場合にも推測され得る。Deivanayagamら、EMBO J.、21:6660〜6672(2002)を参照されたい。ClfBおよびClfAのAドメインの編成は類似しているが、配列同一性は26%しかない。Ni Eidhinら、Mol.Microbiol.、30:245〜257(2002)を参照されたい。
ClfB配列
ClfBをコードしている遺伝子は、コア接着遺伝子として分類される。複数の病状に関連している92個の黄色ブドウ球菌(S.aureus)の株からのClfB配列を図42中に要約する。付加配列はGenBankから入手した。
他のMSCRAMM
他のMSCRAMMを、本発明の免疫原性組成物中で使用するために検討し得る。たとえば、セリン−アスパラギン酸反復(Sdr)タンパク質、SdrC、SdrD、およびSdrEは、一次配列および構造編成がClfAおよびClfBタンパク質に関連しており、細胞表面上に局在している。SdrC、SdrDおよびSdrEタンパク質は細胞壁関連タンパク質であり、N末端にシグナル配列を有し、C末端にLPXTG(配列番号125)モチーフ、疎水性ドメインおよび正荷電残基を有する。また、それぞれは、Bモチーフと共に、細胞表面上でのリガンド結合ドメイン領域Aの効率的な発現を可能にする、十分な長さの領域Rを含有するSD反復を有する。SdrC、SdrDおよびSdrEタンパク質のA領域が細胞表面上に位置しているため、このタンパク質は、血漿中のタンパク質、細胞外基質または宿主細胞の表面上の分子と相互作用することができる。Sdrタンパク質は、ClfAおよびClfBと一部の限定的なアミノ酸配列の類似度を共有する。ClfAおよびClfBと同様、SdrC、SdrDおよびSdrEも、細胞外基質タンパク質の陽イオン依存性リガンド結合を示す。
sdr遺伝子は密に連結しており、タンデムに配置されている。Sdrタンパク質(SdrC、SdrD、SdrE、ClfA、およびClfB)は、コンセンサスなTYTFTDYVD(配列番号126)モチーフを誘導するために使用することができる高度に保存的なアミノ酸配列が存在するA領域を特徴的に含む。このモチーフは、異なるタンパク質間でわずかな変動を示す。この変動は、モチーフのコンセンサス配列と共に米国特許第6,680,195号に記載されている。Clf−Sdrタンパク質中では、このモチーフは高度に保存的されている。このモチーフは、細菌感染に対する幅広い範囲の免疫を与えるために免疫原性組成物中で使用することができ、また、モノクローナルまたはポリクローナル抗体の産生において抗原として使用することもできる。そのような抗体は、幅広い範囲の受動免疫を与えるために使用することができる。
Sdrタンパク質は、領域AおよびR−領域の間に位置する2〜5個の追加の110〜113個の残基の反復配列(B−モチーフ)を有することによって、ClfAおよびClfBとは異なる。それぞれのB−モチーフは、通常は真核タンパク質中に見つかるコンセンサスなCa2+結合EF−ハンドループを含有する。5個のSdrD B−反復を含む組換えタンパク質の構造的完全性は、ビスANS蛍光分析によってCa2+依存性であることが示され、これは、EF−ハンドが機能的であることを示唆している。Ca2+を除去した際、構造が折り畳まれていないコンホメーションへと崩壊した。Ca2+を加えることによって元の構造が修復された。Sdrタンパク質のC末端R−ドメインは、132〜170個のSD残基を含有する。次いで、グラム陽性細菌の多くの表面タンパク質に特徴的な、保存的な壁アンカー領域が存在する。
SdrおよびClfタンパク質中では、このBモチーフは高度に保存的である一方で、フィブロネクチン結合MSCRAMM、およびコラーゲン結合タンパク質Cna中では変性バージョンが生じる。Bモチーフは、R領域と併せて、細胞表面から一定の距離でリガンド結合ドメインを表示するために必要である。反復Bモチーフは、本明細書中に記載のSD反復タンパク質の部分群の1つの共通点である。これらのモチーフは、PFESA0237株からの3つのSdrタンパク質中で様々な数で見つかる。個々のBモチーフ間には明らかな相違が存在する。最も保存的な単位は、R領域に隣接して位置するものである(SdrC B2、SdrD B5およびSdrE B3)。これらは、いくつかの部位、特にC末端半分中で、残りのものと異なる。注目すべき構造的な詳細は、隣接するB反復は、C末端領域中に存在するプロリン残基によって必ず隔てられているが、プロリンは、最後のB反復およびR領域の間に存在することはない。その代わりに、このリンカーは短い酸性のストレッチによって特徴づけられている。これらの相違は、末端の単位が他のBモチーフと比較して異なる構造的または機能的な役割を有するという証拠である。SdrDおよびSdrEのN末端Bモチーフは他のものから離れており、小さな挿入および欠失を含めた数々のアミノ酸の変更が存在する一方で、残りの内部Bモチーフはより高度に保存されている。3つのSdrタンパク質のそれぞれは、それぞれの種類のBモチーフを少なくとも1つずつ有することに注目されたい。
Sdrタンパク質のC末端R−ドメインは、132〜170個のSD残基を含有する。次いで、グラム陽性細菌の多くの表面タンパク質に特徴的な、保存的な壁アンカー領域が存在する。
他の候補SdrD分子は、本発明の免疫原性組成物中で使用するために様々な生物種に由来していてよく、その一部には、黄色ブドウ球菌(S.aureus)からの以下のSdrDが含まれる:USA300 FPR3757株(タンパク質受託番号SAUSA300 0547)、NCTC8325株(タンパク質受託番号SAOUHSC 00545)、MW2株(タンパク質受託番号MW0517)、MSSA476株(タンパク質受託番号SAS0520、およびMu50株(タンパク質受託番号SAV0562)。
本発明の免疫原性組成物中で使用するために考慮し得るさらなるMSCRAMMには、EkeS、DsqA、KesK、KrkN、KrkN2、RkaS、RrkN、およびKnkAが含まれる。これらのMSCRAMMは、本明細書中に参考として組み込まれているWO02/102829号に記載されている。GenBank受託番号によって同定された追加のMSCRAMMには、NP_373261.1、NP_373371.1、NP_374246.1、NP_374248.1、NP_374841.1、NP_374866.1、NP_375140.1、NP_375614.1、NP_375615.1、NP_375707.1、NP_375765.1、およびNP_375773.1が含まれる。
莢膜多糖の5型および8型
侵襲性疾患を引き起こすことができるブドウ球菌微生物は、一般に、細菌をカプセル封入し、宿主の生得的な免疫系によるクリアランスに対するその耐性を増強させる、莢膜多糖(CP)を生じることもできる。CPは、細菌細胞を、細菌を貪食および細胞内死滅に耐性とする保護カプセル中に覆う役割を果たす。カプセルを欠く細菌は、貪食に対してより感受性がある。莢膜多糖はしばしば、インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)、肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)およびB群連鎖球菌を含めた多くの細菌病原体の重要な病原性因子である。
莢膜多糖は、特定の細菌種の血清型を決定するために使用することができる。型の決定は、通常、莢膜多糖の特定の構造または独特なエピトープ特徴に対して産生された特異的な抗血清またはモノクローナル抗体との反応によって達成する。カプセル封入された細菌は滑らかなコロニーで成長する傾向がある一方で、そのカプセルを失った細菌のコロニーは粗く見える。粘液様の外見を生じるコロニーは、重度にカプセル封入されているとして知られている。1および2型の黄色ブドウ球菌(S.aureus)は重度にカプセル封入されており、疾患に関連していることは稀である。
黄色ブドウ球菌(S.aureus)のほとんどの臨床単離物は、血清型5または8のどちらかでカプセル封入されている。5型(CP5)および8型(CP8)の莢膜多糖は、N−アセチルマンノサミンウロン酸、N−アセチルL−フコサミン、およびN−アセチルD−フコサミンからなる類似の三糖反復単位を有する。Fournier,J.M.ら、Infect.Immun.、45:97〜93(1984)およびMoreau,M.ら、Carbohydrate Res.、201:285〜297(1990)を参照されたい。2つのCPは同じ糖を有するが、糖連結およびOアセチル化部位が異なって、血清学的に明確に異なる免疫反応性のパターンを生じる。
一部の実施形態では、本発明の血清型5および/または8の莢膜多糖はO−アセチル化されている。一部の実施形態では、5型の莢膜多糖またはオリゴ糖のO−アセチル化の度合は、10〜100%、20〜100%、30〜100%、40〜100%、50〜100%。60〜100%、70〜100%、80〜100%、90〜100%、50〜90%、60〜90%、70〜90%または80〜90%である。一部の実施形態では、8型の莢膜多糖またはオリゴ糖のO−アセチル化の度合は、10〜100%、20〜100%、30〜100%、40〜100%、50〜100%。60〜100%、70〜100%、80〜100%、90〜100%、50〜90%、60〜90%、70〜90%または80〜90%である。一部の実施形態では、5型および8型の莢膜多糖またはオリゴ糖のO−アセチル化の度合は、10〜100%、20〜100%、30〜100%、40〜100%、50〜100%。60〜100%、70〜100%、80〜100%、90〜100%、50〜90%、60〜90%、70〜90%または80〜90%である。
多糖またはオリゴ糖のO−アセチル化の度合は、当分野で知られている任意の方法、たとえば、プロトンNMRによって決定することができる(LemercinierおよびJones、1996、Carbohydrate Research、296、83〜96、JonesおよびLemercinier、2002、J Pharmaceutical and Biomedical Analysis、30、1233〜1247、WO05/033148号またはWO00/56357)。別の一般的に使用されている方法は、Hestrin(1949)J.Biol.Chem.、180、249〜261によって記載されている。
一部の実施形態では、本発明の血清型5および/または8の莢膜多糖を使用して、動物有効性モデルにおける細菌死滅または抗体が細菌を死滅させることを実証するオプソニン化貪食作用死滅アッセイによって測定して、機能的である抗体を産生させる。そのような機能性は、有効性におけるO−アセチル化の重要性の指標ではない、抗体の産生を単独で監視するアッセイ使用しても観察されない場合がある。
カプセルの疫学
特定のカプセル血清型と疾患との関連づけは、臨床単離物の監視によって可能である。同定されている黄色ブドウ球菌(S.aureus)の8つの異なる血清型のうち(KarakawaおよびVann(1982))、血清型1および2のみが重度にカプセル封入されており、これらが単離されることは稀である。黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)の莢膜多糖、頁285〜293、J.B.Robbins、J.C.HillおよびJ.C.Sadoff(編)、Seminars in infectious disease、第4巻、Bacterial Vaccines.、Thieme Stratton,Inc.、New Yorkを参照されたい。調査により、黄色ブドウ球菌(S.aureus)臨床単離物のおよそ85〜90%がCP5またはCP8を発現することが示されている(Arbeit RDら、Diagn.Microbiol.Infect.Dis.(1984)4月、2(2):85〜91、Karakawa WWら、J.Clin.Microbiol.(1985)9月、22(3):445〜7、Essawi Tら、Trop.Med.Int.Health.(1998)7月、3(7):576〜83、Na’was Tら、J.Clin.Microbiol.(1998)36(2):414〜20)。CP5およびCP8の型決定できない株のほとんどは、遺伝子的に、cap5/8座位に突然変異を含有する5型または8型である(Cocchiaro、Gomezら、(2006)、Mol.Microbiol.、2月、59(3):948〜960)。一部の株のカプセル封入は、in vitroで数継代以内に迅速に失われ、これは、カプセル産生の臨床診断で使用される培地中の高いリン酸濃度の抑制効果が原因である。また、カプセル封入されていない単離物は、ウシを通した後にカプセル発現を回復することも報告された。Opdebeck,J.P.ら、J.Med.Microbiol.、19:275〜278(1985)を参照されたい。一部の型決定できない株は、適切な成長条件下でカプセル陽性となる。
CP5およびCP8の構造
CP5およびCP8のどちらの反復単位も、2−アセトアミド−2−デオキシ−D−マンヌロン酸、2−アセトアミド−2−デオキシ−L−フコースおよび2−アセトアミド−2−デオキシ−D−フコースから構成される。C.Jonesら、Carbohydr.Res.、340:1097〜1106(2005)を参照されたい。CP5およびCP8は同じ糖組成を有するが、これらは免疫学的に明確に異なることが実証されている。これらは、ウロン酸のグリコシド結合およびO−アセチル化部位が異なる。FucNAc残基のうちの1つの、株依存性の不完全なN−アセチル化が観察された。Tzianabosら、PNAS、V98:9365(2001)を参照されたい。
免疫原性組成物中の黄色ブドウ球菌(S.aureus)莢膜多糖
黄色ブドウ球菌(S.aureus)莢膜多糖の分子量は、免疫原性組成物中で使用するための重要な検討事項である。高分子量莢膜多糖は、抗原表面上に存在するより高いエピトープ結合価が原因で、特定の抗体免疫応答を誘導できる。本明細書中に記載の方法は、以前に可能であったよりもはるかに高い分子量の莢膜多糖5型および8型の単離および精製をもたらす。
MntC/SitC/唾液結合タンパク質
MntC/SitC/唾液結合タンパク質はABCトランスポータータンパク質であり、表皮ブドウ球菌(S.epidermidis)および黄色ブドウ球菌(S.aureus)に相同体を有する。これは本発明においてMntCと呼ぶ。このタンパク質は32kDaのリポタンパク質であり、細菌細胞壁中に位置する。Sellmanら、およびCockayneら、Infect.Immun.、66:3767(1998)を参照されたい。表皮ブドウ球菌(S.epidermidis)中では、これは鉄に調整されるオペロンの構成要素である。これは、エス・パラサンギス(S.parasanguis)のFimAを含めた付着因子、および証明されたまたは推定上の金属鉄輸送機能を有するABCトランスポーターファミリーのリポタンパク質のどちらに対しても、相当の相同性を示す。(黄色ブドウ球菌(S.aureus)の株および配列には、表2を参照されたい。)
黄色ブドウ球菌(S.aureus)MntCタンパク質
MntCの黄色ブドウ球菌(S.aureus)相同体は唾液結合タンパク質として知られており、米国特許第5,801,234号に開示されており、本発明の免疫原性組成物中に含めることができる。MntC/SitC/唾液結合タンパク質の黄色ブドウ球菌(S.aureus)相同体のタンパク質配列は、Mu50株ではGenBank受託番号NP_371155中に見つかる(SAV0631としても知られる)。配列識別要素は配列番号134である。Mu50株の完全ゲノムのヌクレオチド配列の受託番号は、NC_002758.2である。GenBank受託番号NP_371155中に見つかるタンパク質配列の、コードDNA配列の座標は、704988〜705917である(配列番号135)。特定の実施形態では、MntCのN末端は、配列番号119(ポリペプチド配列)および配列番号136(ポリペプチドをコードしているヌクレオチド配列)に示されるように切断されている。黄色ブドウ球菌(S.aureus)の様々な株からのMntC配列は、図43に要約されている。
表皮ブドウ球菌(S.epidermidis)SitCタンパク質
MntC/SitC/唾液結合タンパク質の表皮ブドウ球菌(S.epidermidis)相同体はSitCとして知られており、Sellmanら(Sellmanら、Infect.Immun.、2005年10月、73(10):6591〜6600)に開示されていた。MntC/SitC/唾液結合タンパク質の表皮ブドウ球菌(S.epidermidis)相同体のタンパク質配列は、GenBank受託番号YP_187886.1中に見つかる(SERP0290としても知られる)。配列識別要素は配列番号132である。
RP62A株の完全ゲノムのヌクレオチド配列の受託番号は、NC_002976である。GenBank受託番号YP_187886.1中に見つかるタンパク質配列の、コードDNA配列の座標は、293030〜293959である(配列番号133)。SitCの対応するN末端切断型は、配列番号121(ポリペプチド配列)および配列番号137(ポリペプチドをコードしているヌクレオチド配列)に示されている。他の候補SitC分子は、本発明の免疫原性組成物中で使用するために様々な生物種に由来していてよく、その一部を以下の表2に記載する。
黄色ブドウ球菌(S.aureus)鉄結合タンパク質
本発明の免疫原性組成物中で使用するために考慮する別の潜在的な候補抗原には、黄色ブドウ球菌(S.aureus)表面タンパク質鉄表面決定因子B(IsdB)が含まれる。このMSCRAMMは、Mazmanianら(Mazmanian,SKら、Proc.Natl.Acad.Sci.,USA、99:2293〜2298(2002))によって記載され、続いて、Kuklinら(Kuklin,NAら、Infection and Immunity、第74巻、第4号、2215〜2223(2006))によって、感染症のネズミモデルおよびアカゲザル免疫原性研究においてワクチン候補として試験され、有効であることが示されている。このIsdB分子は、MRSA252株(タンパク質受託番号CAG40104.1)、Newman株(タンパク質受託番号BAF67312.1)、MSSA476株(タンパク質受託番号CAG42837.1)、Mu3株(タンパク質受託番号BAF78003.1)、RF122株(タンパク質受託番号CAI80681.1)を含めた、黄色ブドウ球菌(S.aureus)の様々な株中に存在する。
候補抗原:
また、本発明の免疫原性組成物には、以下の抗原のうちの1つまたは複数も含まれ得る:Opp3a、DltD、HtsA、LtaS、IsdA、IsdC、SdrF、SdrG、SdrH、SrtA、SpA、Sbi、アルファ−溶血素(hla)、ベータ−溶血素、フィブロネクチン結合タンパク質A(fnbA)、フィブロネクチン結合タンパク質B(fnbB)、コアグラーゼ、Fig、map、パントン−バレンタインロイコシジン(pvl)、アルファ−毒素およびその変異体、ガンマ−毒素(hlg)および変異体、ica、免疫優性ABCトランスポーター、Mg2+トランスポーター、Ni ABCトランスポーター、RAP、自己溶菌酵素、ラミニン受容体、IsaA/PisA、IsaB/PisB、SPOIIIE、SsaA、EbpS、SasA、SasF、SasH、EFB(FIB)、SBI、Npase、EBP、骨シアロ結合タンパク質II、オーレオリシン前駆体(AUR)/Sepp1、Cna、およびその断片、たとえばM55、TSST−1、mecA、ポリ−N−アセチルグルコサミン(PNAG/dPNAG)菌体外多糖、GehD、EbhA、EbhB、SSP−1、SSP−2、HBP、ビトロネクチン結合タンパク質、HarA、EsxA、EsxB、エンテロトキシンA、エンテロトキシンB、エンテロトキシンC1、ならびに新規自己溶菌酵素。本発明の特定の実施形態では、免疫原性組成物が特定の形態のCP5および/またはCP8を含む場合は、これはPNAGをさらに含み得ない。
免疫原性組成物の配合物
一実施形態では、本発明の凍結乾燥した免疫原性組成物は、アジュバント、緩衝液、凍結保護剤、塩、二価陽イオン、非イオン性洗剤、フリーラジカル酸化阻害剤、充填剤、または担体のうちの少なくとも1つをさらに含む。
本発明の免疫原性組成物は、複数のブドウ球菌タンパク質抗原および莢膜多糖−タンパク質のコンジュゲートに加えて、1つまたは複数の保存料をさらに含み得る。FDAは、わずか数件の例外を除いて、複数用量(多用量)バイアル中の生物学的生成物は保存料を含有することを要求している。保存料を含有するワクチン生成物には、塩化ベンゼトニウム(炭疽)、2−フェノキシエタノール(DTaP、HepA、ライム病、ポリオ(非経口))、フェノール(ニューモ(Pneumo)、腸チフス(非経口)、ワクシニア)およびチメロサール(DTaP、DT、Td、HepB、Hib、インフルエンザ、JE、メニング(Mening)、ニューモ(Pneumo)、狂犬病)を含有するワクチンが含まれる。注射用薬物中での使用が認可されている保存料には、たとえば、クロロブタノール、m−クレゾール、メチルパラベン、プロピルパラベン、2−フェノキシエタノール、塩化ベンゼトニウム、塩化ベンザルコニウム、安息香酸、ベンジルアルコール、フェノール、チメロサールおよび硝酸フェニル水銀が含まれる。
本発明の配合物は、緩衝液、塩、二価陽イオン、非イオン性洗剤、糖などの凍結保護剤、充填剤、およびフリーラジカル捕捉剤またはキレート化剤などの抗酸化剤、またはその任意の複数の組合せのうちの1つまたは複数をさらに含み得る。任意の1つの構成要素、たとえばキレート剤の選択により、別の構成要素(たとえば捕捉剤)が望ましいかどうかが決定され得る。投与用に配合された最終組成物は、無菌的および/または発熱物質を含まないべきである。当業者は、所要の特定の貯蔵および投与の条件などの様々な要因に応じて、これらおよび他の構成要素のどの組合せが、本発明の保存料含有免疫原性組成物中に包含させるために最適であるかを経験的に決定し得る。
一部の実施形態では、凍結乾燥した組成物は、さらに、6.0±0.6のpKaを有する緩衝液を3%未満(w/w)の量で含有する。特定の実施形態では、配合物は、約6.0〜約9.0、好ましくは約7.5〜約7.5のpH範囲以内に緩衝されている。一部の実施形態では、緩衝液は2.54%±0.76%(w/w)の濃度である。一部の実施形態では、緩衝液は、pH6.0±0.6のコハク酸塩を含む。一部の実施形態では、緩衝液は、pH6.0±0.6のヒスチジンを含む。一部の実施形態では、緩衝液は、pH6.5±0.6のヒスチジンを含む。表3は、本発明の実施において使用し得る一部の非限定的な緩衝液の例を記載している。
特定の実施形態では、本発明の凍結乾燥した免疫原性組成物または配合物のpHを調節することが望ましい場合がある。本発明の配合物のpHは、当分野の標準の技法を用いて調節し得る。配合物のpHは、3.0〜8.0となるように調節し得る。特定の実施形態では、配合物のpHは、3.0〜6.0、4.0〜6.0、5.0〜7.0、または5.0〜8.0であり得るか、またはそうなるように調節し得る。他の実施形態では、配合物のpHは、約3.0、約3.5、約4.0、約4.5、約5.0、約5.5、約5.8、約6.0、約6.5、約7.0、約7.5、または約8.0であり得るか、またはそうなるように調節し得る。特定の実施形態では、pHは、4.5〜7.5、または4.5〜6.5、5.0〜5.4、5.4〜5.5、5.5〜5.6、5.6〜5.7、5.7〜5.8、5.8〜5.9、5.9〜6.0、6.0〜6.1、6.1〜6.2、6.2〜6.3、6.3〜6.4、6.4〜6.5、6.5〜6.6、6.6〜6.7、6.7〜6.8、6.8〜6.9、6.9〜7.0、6.5〜7.0、7.0〜7.5もしくは7.5〜8.0の範囲であり得るか、またはそうなるように調節し得る。具体的な実施形態では、配合物のpHは約6.0である。具体的な実施形態では、配合物のpHは約6.5である。
一部の実施形態では、凍結乾燥した免疫原性組成物は、充填剤を含む。充填剤は、一般に、組成物に嵩を与える、薬物の乾燥ペレットが目に見えないもしくは辛うじてしか見えないほどに1用量あたりの量が一般に低い、薬物の可視化を促進する役割を果たす、および/または、凍結乾燥中などに活性成分がバイアルから吹き飛ばされることを防止する役割を果たす。また、充填剤は、薬物剤の沈殿を促進する役割を果たすこともできる。また、充填剤は、凍結保護剤としても役割を果たすことができる。様々な凍結保護剤は、Remington:The Science and Practice of Pharmacy、第2巻、第19版(1995)などの慣用の教科書に記載されている。
充填剤の非限定的な例には、アルジトール、マンニトール、ソルビトール、イノシトール、およびポリエチレングリコールなどの糖アルコール、アルドン酸、ウロン酸、およびアルダル酸などの糖酸、ならびに炭水化物、たとえば、アルドース、ケトース、アミノ糖、アルジトール、イノシトール、アルドン酸、ウロン酸、アルダル酸、モノ−、ジ−、またはポリ−炭水化物、グリセルアルデヒド、アラビノース、リキソース、五炭糖、リボース、キシロース、ガラクトース、グルコース、六炭糖、イドース、マンノース、タロース、七炭糖、グルコース、フルクトース、グルコン酸、ソルビトール、ラクトース、マンニトール、メチルa−グルコピラノシド、マルトース、イソアスコルビン酸、アスコルビン酸、ラクトン、ソルボース、グルカル酸、エリトロース、トレオース、アラビノース、アロース、アルトロース、グロース、イドース、タロース、エリトルロース、リブロース、キシルロース、プシコース、タガトース、グルクロン酸、グルコン酸、グルカル酸、ガラクツロン酸、マンヌロン酸、グルコサミン、ガラクトサミン、スクロース、トレハロース、ノイラミン酸、アラビナン、フルクタン、フカン、ガラクタン、ガラクツロナン、グルカン、マンナン、キシラン(たとえばイヌリンなど)、レバン、フコイダン、カラゲナン、ガラクトカロロース、ペクチン、ペクチン酸、アミロース、プルラン、グリコーゲン、アミロペクチン、セルロース、デキストラン、プスツラン、キチン、アガロース、ケラチン、コンドロイチン、デルマタン、ヒアルロン酸、アルギン酸、キサンチンガム、またはデンプンが含まれる。
一部の実施形態では、充填剤は、スクロース、マンニトール、グリシンおよびソルビトールのうちの任意の1つまたは複数である。一部の実施形態では、充填剤はスクロースである。一部の実施形態では、スクロースは91%(w/w)よりも多い。一部の実施形態では、スクロースは96%±2.0%(w/w)である。
特定の実施形態では、非経口投与に適合した凍結乾燥または再構成した凍結乾燥組成物の配合物は、それだけには限定されないが、MgCl2、CaCl2およびMnCl2を含めた1つまたは複数の二価陽イオンを、約0.1mM〜約10mMの範囲、好ましくは約5mMまでの濃度で含む。
特定の実施形態では、非経口投与に適合した凍結乾燥または再構成した凍結乾燥組成物の配合物は、非経口投与の際に対象に生理的に許容されるイオン強度で存在し、最終配合物中で選択されたイオン強度または容積モル浸透圧濃度を生じる最終濃度で含められる、それだけには限定されないが、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム、および硫酸カリウムを含めた1つまたは複数の塩を含む。配合物の最終イオン強度または重量モル浸透圧濃度は、複数の構成要素(たとえば、イオン緩衝化合物(複数可)および他の非緩衝塩からのイオン)によって決定される。好ましい塩であるNaClは、約250mMまでの範囲で存在し、塩濃度は、配合物の最終全容積モル浸透圧濃度が非経口投与(たとえば、筋肉内または皮下注射)に適合しており、免疫原性組成物の配合物の免疫原性構成要素の様々な温度範囲にわたる長期的安定性が促進されるように、他の構成要素(たとえば糖)を補完するように選択される。無塩配合物は、所望の最終容積モル浸透圧濃度レベルを維持するために1つまたは複数の選択された凍結保護剤の増加した範囲を耐用する。
特定の実施形態では、非経口投与に適合した凍結乾燥または再構成した凍結乾燥組成物の配合物は、それだけには限定されないが、二糖(たとえば、ラクトース、マルトース、スクロースまたはトレハロース)およびポリヒドロキシ炭化水素(たとえば、ズルシトール、グリセロール、マンニトールおよびソルビトール)から選択される1つまたは複数の凍結保護剤を含む。
特定の実施形態では、再構成した凍結乾燥配合物の容積モル浸透圧濃度は、約200mOs/L〜約800mOs/Lの範囲であり、好ましい範囲は、約250mOs/L〜約500mOs/L、または約300mOs/L〜約400mOs/Lである。再構成した凍結乾燥配合物は、たとえば、約0%〜約25%のスクロース、約3%〜約15%、および約5〜約10%のスクロースを含有し得る。あるいは、再構成した凍結乾燥配合物は、たとえば約3%〜約12%のソルビトールを含有し得る。塩化ナトリウムなどの塩を加える場合は、スクロースまたはソルビトールの有効な範囲を相対的に減少させても、させなくてもよい。これらおよび他のそのような重量モル浸透圧濃度および容積モル浸透圧濃度の検討事項は、当分野の技術範囲内に十分ある。
特定の実施形態では、非経口投与に適合した本発明の凍結乾燥または再構成した凍結乾燥配合物は、1つまたは複数のフリーラジカル酸化阻害剤および/またはキレート化剤を含む。様々なフリーラジカル捕捉剤およびキレート剤が当分野で知られており、本明細書中に記載の配合物および使用方法に適用される。例には、それだけには限定されないが、エタノール、EDTA、EDTA/エタノールの組合せ、トリエタノールアミン、マンニトール、ヒスチジン、グリセロール、クエン酸ナトリウム、イノシトールヘキサホスフェート、トリポリホスフェート、アスコルビン酸/アスコルビン酸塩、コハク酸/コハク酸塩、リンゴ酸/マレイン酸塩、desferal、EDDHAおよびDTPA、ならびに上記のうちの2つ以上の様々な組合せが含まれる。特定の実施形態では、少なくとも1つの非還元フリーラジカル捕捉剤は、配合物の長期的安定性を有効に増強させる濃度で加え得る。また、1つまたは複数のフリーラジカル酸化阻害剤/キレート剤を、捕捉剤および二価陽イオンなどの様々な組合せでも加え得る。キレート剤の選択により、捕捉剤の添加が必要であるかどうかが決定される。
一部の実施形態では、凍結乾燥した免疫原性組成物は、0.5%(w/w)未満の界面活性剤を含む。一部の実施形態では、界面活性剤は0.21%±0.04%(w/w)である。界面活性剤は、配合物中で、たとえば、アジュバントとして、乳化剤としておよび可溶化剤としてを含めた、複数の非限定的な役割を有する。たとえば、一部の実施形態では、界面活性剤は、原薬、すなわちClfAタンパク質が、容器またはシリンジの壁に貼り付き、それにより回収または送達されないことを防止するための可溶化剤として作用する。また、界面活性剤は、たとえば、ClfAタンパク質が共栓からのシリコン潤滑剤と接触することがあった場合などに起こる、潜在的な凝集を防止するために使用する。免疫原性組成物およびワクチン中で使用するための界面活性剤は、AscarateilおよびDupuis、Vaccine、24(2006):S83〜S85に記載されている。手短に述べると、非限定的な界面活性剤には、リポ多糖(LPS)、サポニン、ジメチルジオクタデシルアンモニウムブロマイド(DDAB)、ブロックポリマー、または酸化エチレン(EO)と酸化プロピレン(PO)とのランダムポリマーであるポロキサマー、モノまたはトリオレイン酸ソルビタンであることができ、エステル結合によって連結されたソルビトールとオレイン酸から作製されるソルビタンエステル、およびエトキシ化されたもの(すなわち、ポリソルベート、たとえばポリソルベート80)、レシチンなどのリン脂質、ならびにオレイン酸とマンニトールとのエステルであるオレイン酸マンニドが含まれる。
一部の実施形態では、界面活性剤は、ポロキサマー、それだけには限定されないがBrij58、Brij35、Triton X−100、Triton X−114、NP40、Span85およびPluronicの非イオン性界面活性剤シリーズ(たとえばPluronic121)などの他のものを含めたポリオキシエチレンアルキルエーテル、ならびにポリソルベートを含めたポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルのうちの任意の1つまたは複数である。一部の実施形態では、界面活性剤は、ポリソルベート−80(Tween80)、ポリソルベート−60(Tween60)、ポリソルベート−40(Tween40)、またはポリソルベート−20(Tween20)である。一部の実施形態では、ポリソルベート80(Tween80)は0.20%±0.042%(w/w)である。
一部の実施形態では、特に凍結乾燥した組成物がアジュバントを含有しないものでは、水性希釈剤がアジュバントを含む。一部の実施形態では、アジュバントはISCOMATRIX(商標)である。
一部の実施形態では、特に凍結乾燥した組成物が界面活性剤を含有しないものでは、希釈剤がたとえばポリソルベート80などの界面活性剤を含む。
一部の実施形態では、液体免疫原性組成物は、20μg/ml±2μg/ml〜800μg/ml±80μg/ml(たとえば、20μg/ml±2μg/ml、40μg/ml±4μg/ml、200μg/ml±20μg/ml、400μg/ml±40μg/ml、600μg/ml±60μg/ml、および800μg/ml±80μg/mlが含まれる)の濃度の、本明細書中に記載のインタクトなrClfAポリペプチドを含む。一部の実施形態では、液体免疫原性組成物は、40μg/ml±4μg/ml〜800μg/ml±80μg/mlの濃度のインタクトなClfAポリペプチドを含む。一部の実施形態では、液体免疫原性組成物は、(a)20μg/ml±2μg/ml〜800μg/ml±80μg/ml(たとえば、20μg/ml±2μg/ml、40μg/ml±4μg/ml、200μg/ml±20μg/ml、400μg/ml±40μg/ml、600μg/ml±60μg/ml、および800μg/ml±80μg/mlが含まれる)の濃度の、本明細書中に記載のインタクトなrClfAポリペプチド、(b)10μg/ml±1μg/ml〜400μg/ml±40μg/ml(たとえば、10μg/ml±1μg/ml、20μg/ml±2μg/ml、100μg/ml±10μg/ml、200μg/ml±20μg/ml、および400μg/ml±40μg/mlが含まれる)のCP5−CRM197コンジュゲート(c)10μg/ml±1μg/ml〜400μg/ml±40μg/ml(たとえば、10μg/ml±1μg/ml、20μg/ml±2μg/ml、100μg/ml±10μg/ml、200μg/ml±20μg/ml、および400μg/ml±40μg/mlが含まれる)のCP8−CRM197コンジュゲート、(d)約5mM〜約50mM、約5mM〜約25mM、および約5mM〜約15mMのヒスチジン緩衝液、(e)約0.05%〜約0.5%、約0.075%〜約0.25%、および約0.1%〜約0.2%重量対体積(w/v)のポリソルベート80、ならびに(f)約0%〜約25%のスクロース、約3%〜約15%、および約5〜約10%w/vの濃度のスクロースを含む。他の実施形態では、ポリソルベート80は、0.01%±0.005%重量対体積(w/v)の濃度であり、スクロースは、4.5%±1.5%w/vの濃度である。一部の実施形態では、液体免疫原性組成物は、(a)20μg/ml±2μg/ml〜800μg/ml±80μg/ml(たとえば、20μg/ml±2μg/ml、40μg/ml±4μg/ml、200μg/ml±20μg/ml、400μg/ml±40μg/ml、600μg/ml±60μg/ml、および800μg/ml±80μg/mlが含まれる)の濃度の、本明細書中に記載のインタクトなrClfAポリペプチド、(b)10μg/ml±1μg/ml〜400μg/ml±40μg/ml(たとえば、10μg/ml±1μg/ml、20μg/ml±2μg/ml、100μg/ml±10μg/ml、200μg/ml±20μg/ml、および400μg/ml±40μg/mlが含まれる)のCP5−CRM197コンジュゲート、(c)10μg/ml±1μg/ml〜400μg/ml±40μg/ml(たとえば、10μg/ml±1μg/ml、20μg/ml±2μg/ml、100μg/ml±10μg/ml、200μg/ml±20μg/ml、および400μg/ml±40μg/mlが含まれる)のCP8−CRM197コンジュゲート、(d)20μg/ml±2μg/ml〜800μg/ml±80μg/ml(たとえば、20μg/ml±2μg/ml、40μg/ml±4μg/ml、200μg/ml±20μg/ml、400μg/ml±40μg/ml、600μg/ml±60μg/ml、および800μg/ml±80μg/mlが含まれる)のMntCポリペプチド、(e)約5mM〜約50mM、約5mM〜約25mM、および約5mM〜約15mMのヒスチジン緩衝液、(f)約0.05%〜約0.5%、約0.075%〜約0.25%、および約0.1%〜約0.2%重量対体積(w/v)のポリソルベート80、ならびに(g)約0%〜約25%のスクロース、約3%〜約15%、および約5〜約10%w/vの濃度のスクロースを含む。別の実施形態では、ポリソルベート80は、0.01%±0.005%重量対体積(w/v)の濃度であり、スクロースは、4.5%±1.5%w/vの濃度である。
一部の実施形態では、特に凍結乾燥した組成物も希釈剤もどちらもアジュバントを含有しない場合では、液体免疫原性をアジュバントと合わせる。
一実施形態では、本発明は、(a)水性媒体中で、(i)クランピング因子Aポリペプチド(「rClfA」)ポリペプチド、(ii)約6.0±0.6のpKaを有する緩衝液、および(iii)充填剤を合わせるステップと、(b)ステップ(a)の組合せを凍結乾燥して、3重量%未満の水を含有するケークを形成するステップとを含む、免疫原性組成物を作製するプロセスを提供する。一実施形態では、本発明は、(a)水性媒体中で、(i)クランピング因子Aポリペプチド(「rClfA」)ポリペプチド、(ii)CP5−CRM197コンジュゲート、(iii)CP8−CRM197コンジュゲート、(iv)約6.0±0.6のpKaを有する緩衝液、および(v)充填剤を合わせるステップと、(b)ステップ(a)の組合せを凍結乾燥して、3重量%未満の水を含有するケークを形成するステップとを含む、免疫原性組成物を作製するプロセスを提供する。一実施形態では、本発明は、(a)(i)クランピング因子Aポリペプチド(「rClfA」)ポリペプチド、(ii)CP5−CRM197コンジュゲート、(iii)CP8−CRM197コンジュゲート、(iv)単離したMntCポリペプチド、(v)約6.0±0.6のpKaを有する緩衝液、および(vi)充填剤を含む水溶液を合わせるステップと、(b)ステップ(a)の組合せを凍結乾燥して、3重量%未満の水を含有するケークを形成するステップとを含む、免疫原性組成物を作製するプロセスを提供する。本発明の免疫原性組成物は、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)感染症の予防または処置に有用である。一部の実施形態では、ケークの色は白色であり、海綿状の質感を有する。
「凍結乾燥」とは、材料を凍結乾燥(冷温乾燥)するプロセスを意味する。一般に、凍結乾燥プロセスは、材料を凍結し、その後、周囲圧力を低下させ、材料中の凍結した水の昇華を可能にするために十分な熱を与えることを含む。一部の事例では、凍結乾燥には、最初の凍結ステップ、一次乾燥(昇華)ステップ、残った最後の微量の水を排除することを目的とする二次乾燥が含まれる。一部の事例では、ケークの特徴を改善させ、昇華を改善させるために徐冷ステップを含める。凍結乾燥のより詳細な記述には、Lyophilization of Biopharmaceuticals、Henry CostatinoおよびMichael Pikal編、AAPS Press、Arlington VA、2004を参照されたい。
「ケーク」とは、一般に、凍結乾燥プロセス後に残る乾燥した材料を意味する。ケークの外見は凍結によって形成された固体のマトリックス構造に依存し、凍結乾燥手順中の様々なパラメータによって影響を受ける。徐冷ステップを凍結乾燥手順に加えることで、多くの場合はより均一なケークの外見をもたらすことができる。
一部の実施形態では、たとえばポリソルベート80などの界面活性剤を、ステップ(a)でrClfA、緩衝液および充填剤と合わせる。一部の実施形態では、界面活性剤は約0.1%±0.05%(w/v)の濃度を有する。他の実施形態では、界面活性剤は0.01%±0.005%w/vの濃度を有する。
一部の実施形態では、ステップ(a)で形成される水性の組合せは、20μg/ml±2μg/ml〜800μg/ml±80μg/ml(たとえば、20μg/ml±2μg/ml、40μg/ml±4μg/ml、200μg/ml±20μg/ml、400μg/ml±40μg/ml、600μg/ml±60μg/ml、および800μg/ml±80μg/mlが含まれる)の濃度のインタクトなrClfAポリペプチドを含有する。一部の実施形態では、ステップ(a)で形成される水性の組合せは、20μg/ml±2μg/ml〜800μg/ml±80μg/ml(たとえば、20μg/ml±2μg/ml、40μg/ml±4μg/ml、200μg/ml±20μg/ml、400μg/ml±40μg/ml、600μg/ml±60μg/ml、および800μg/ml±80μg/mlが含まれる)の濃度のインタクトなrClfAポリペプチド、10μg/ml±1μg/ml〜400μg/ml±40μg/ml(たとえば、10μg/ml±1μg/ml、20μg/ml±2μg/ml、100μg/ml±10μg/ml、200μg/ml±20μg/ml、および400μg/ml±40μg/mlが含まれる)のCP5−CRM197コンジュゲート、10μg/ml±1μg/ml〜400μg/ml±40μg/ml(たとえば、10μg/ml±1μg/ml、20μg/ml±2μg/ml、100μg/ml±10μg/ml、200μg/ml±20μg/ml、および400μg/ml±40μg/mlが含まれる)のCP8−CRM197コンジュゲート、10mM±5mMのヒスチジン緩衝液、0.1%±0.05%重量対体積(w/v)のポリソルベート80、ならびに9%±4.5%w/vの濃度のスクロースを含有する。別の実施形態では、ポリソルベート80は、0.01%±0.005%w/vの濃度であり、スクロースは、4.5%±1.5%w/vの濃度である。
一部の実施形態では、ステップ(a)で形成される水性の組合せは、40μg/ml±4μg/ml〜800μg/ml±80μg/ml(たとえば、40μg/ml±4μg/ml、200μg/ml±20μg/ml、600μg/ml±60μg/ml、および800μg/ml±80μg/mlが含まれる)の濃度のインタクトなrClfAポリペプチド、10μg/ml±1μg/ml〜400μg/ml±40μg/ml(たとえば、10μg/ml±1μg/ml、20μg/ml±2μg/ml、100μg/ml±10μg/ml、200μg/ml±20μg/ml、および400μg/ml±40μg/mlが含まれる)のCP5−CRM197コンジュゲート、10μg/ml±1μg/ml〜400μg/ml±40μg/ml(たとえば、10μg/ml±1μg/ml、20μg/ml±2μg/ml、100μg/ml±10μg/ml、200μg/ml±20μg/ml、および400μg/ml±40μg/mlが含まれる)のCP8−CRM197コンジュゲート、40μg/ml±4μg/ml〜800μg/ml±80μg/ml(たとえば、40μg/ml±4μg/ml、200μg/ml±20μg/ml、600μg/ml±60μg/ml、および800μg/ml±80μg/mlが含まれる)のMntCポリペプチド、10mM±5mMのヒスチジン緩衝液、0.1%±0.05%重量対体積(w/v)のポリソルベート80、ならびに9%±4.5%w/vの濃度のスクロースを含有する。別の実施形態では、ポリソルベート80は、0.01%±0.005%重量対体積(w/v)の濃度であり、スクロースは、4.5%±1.5%w/vの濃度である。
一部の実施形態では、凍結乾燥ステップは、(i)水性の組合せを凍結するステップと、(ii)水性の組合せを徐冷するステップと、(iii)組合せを2つの段階で乾燥させるステップとを含む。一実施形態では、(i)凍結は、水性の組合せの温度を、0.3℃±0.03℃/分のステップで、−50℃±5℃の温度に達するまで、400ミリバール±40ミリバールの圧力で低下させ、その後、60分間±6分間保つことによって行い、(ii)徐冷は、温度を−10℃±5℃まで0.3℃±0.03℃/分の速度で増加させ、次いで、温度を−10℃±5℃で120分間±12分間保持し、次いで、温度を0.3℃±0.03℃/分の速度で、−50℃±5℃の温度に達するまで減少させ、その後、温度を−50℃±5℃で180分間±18分間保つことによって行い、(iii)乾燥の第1段階は、圧力を50mTorrまで減少させ、30分間±3分間保持し、次いで、温度を−30℃±5℃まで0.2℃±0.02℃/分の速度で増加させ、その後、その温度で1,920分間±192分間保つことによって行い、(iv)乾燥の第2段階は、温度を30℃±5℃まで0.2℃±0.02℃/分の速度で増加させ、次いで、圧力を200mTorrまで増加させ、温度を30℃±5℃で720分間±72分間保つことによって行う。特定の実施形態では、凍結は約1013mbar(1atm)で行う。特定の実施形態では、凍結は1013mbar(1atm)までで行う。特定の実施形態では、乾燥時間は約2,600分間であることができる。特定の実施形態では、乾燥時間は2,600分間までであることができる。特定の実施形態では、乾燥温度は、40℃±5℃、50℃±5℃、または60℃±5℃である。最終乾燥ステップ後、凍結乾燥した組成物の温度を、5℃±5℃まで0.5℃±0.05℃/分の速度で減少させる。特定の実施形態では、凍結乾燥はバイアル中で起こる。一部の実施形態では、バイアルを凍結乾燥後に共栓する。一部の実施形態では、共栓する前バイアルを窒素でバックフィルし、60%の大気圧などの部分的真空の元で共栓する。
一実施形態では、このプロセスは、凍結乾燥した組成物を水性希釈剤中で再構成するステップも含み、再構成した組合せの重量モル浸透圧濃度は300mOsm±30mOsmである。一部の実施形態では、水性希釈剤は水である。一部の実施形態では、水性希釈剤は60mMのNaClである。
一実施形態では、本出願は、上述のプロセスに従って製造された免疫原性組成物を提供する。
特定の実施形態では、本発明の配合物は、非経口投与に適した1つまたは複数の追加の安定化剤、たとえば、少なくとも1つのチオール(−SH)基を含む還元剤(たとえば、システイン、N−アセチルシステイン、還元グルタチオン、チオグリコール酸ナトリウム、チオスルフェート、モノチオグリセロール、またはその混合物)を含む。あるいは、または任意選択で、本発明の保存料含有の免疫原性組成物の配合物は、貯蔵容器から酸素を除去すること、配合物を光から保護すること(たとえばアンバーガラス製の容器を使用することによる)によって、さらに安定化させ得る。
本発明の保存料含有の免疫原性組成物の配合物は、それ自体では免疫応答を誘導しない任意の賦形剤を含めた、1つまたは複数の薬学的に許容できる担体または賦形剤を含み得る。適切な賦形剤には、それだけには限定されないが、タンパク質、糖、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリマーアミノ酸、アミノ酸コポリマー、スクロース(Paolettiら、2001、Vaccine、19:2118)、トレハロース、ラクトースおよび脂質凝集体(油の液滴またはリポソームなど)等の巨大分子が含まれる。そのような担体は当業者に十分に知られている。薬学的に許容できる賦形剤は、たとえばGennaro、2000、Remington:The Science and Practice of Pharmacy、第20版、ISBN:0683306472に記述されている。
一実施形態では、本発明は、本明細書中に記載した凍結乾燥した免疫原性組成物を水性希釈剤で再構成することによって製造される、液体免疫原性組成物を提供する。一部の実施形態では、水性希釈剤は水である。他の実施形態では、水性希釈剤は低塩溶液である。低塩溶液とは、約1mM〜約200mM、好ましくは約1mM〜約100mMの塩濃度を有する水溶液を意味する。一部の実施形態では、塩は塩化ナトリウムである。一部の実施形態では、低塩溶液は60mM±6mMの塩化ナトリウムを含む。一部の実施形態では、液体免疫原性組成物は6.0±0.6のpHを有する。一部の実施形態では、液体免疫原性組成物は6.5±0.6のpHを有する。
用語「希釈剤」の使用は、任意の物質を懸濁、希釈または溶かすことができる液体を意味する。一部の実施形態では、物質は、ClfAポリペプチドを含有する凍結乾燥した組成物である。一部の実施形態では、希釈剤は水性であり、凍結乾燥した組成物を溶かす。
本発明の再構成した凍結乾燥免疫原性組成物を対象に直接送達することは、非経口投与(筋肉内、腹腔内、皮内、皮下、静脈内、もしくは組織の間質腔)、または直腸、経口、経膣、局所、経皮、鼻腔内、眼球、耳、肺もしくは他の粘膜の投与によって達成し得る。好ましい実施形態では、非経口投与は、たとえば対象の大腿または上腕への、筋肉内注射によるものである。注射は針(たとえば皮下注射針)を介したものであり得るが、無針注射を代わりに使用してもよい。典型的な筋肉内用量は0.5mLである。本発明の組成物は、様々な形態、たとえば、液体の液剤または懸濁剤のどちらかとしての注射用に調製し得る。
特定の免疫原性組成物の構成要素の最適な量は、対象における適切な免疫応答の観察を含む標準の研究によって確認し得る。最初のワクチン接種後、対象は、十分に間隔を空けた1回または複数回のブースター免疫化を受けることができる。
梱包および剤形
本発明の免疫原性組成物は、単位用量または多用量の形態(たとえば2回用量、4回用量、もしくはそれ以上)で梱包し得る。特定の実施形態では、用量は、凍結乾燥した免疫原性組成物を再構成した後に0.5mLの用量である。たとえば、本明細書中に参考として組み込まれている国際特許出願WO2007/127668号を参照されたい。
組成物は、針と共にまたは針なしで供給し得る、バイアルもしくは他の適切な貯蔵容器中で提示し得るか、または事前に充填された送達装置、たとえば、単一もしくは複数の構成要素のシリンジ中で提示し得る。シリンジは、単一用量の本発明の保存料含有免疫原性組成物を典型的には含有するが、必ずしもそうである必要はなく、多用量の事前に充填されたシリンジも想定される。同様に、バイアルには単一用量が含まれ得るが、代わりに複数の用量が含まれていてもよい。
有効用量体積はルーチン的に確立することができるが、注射用の再構成した凍結乾燥組成物の典型的な用量は0.5mLの体積を有する。特定の実施形態では、用量は、ヒト対象に投与するために配合されている。特定の実施形態では、用量は、成人、ティーンエイジャー、青年、幼児または乳児(すなわち1歳未満)のヒト対象に投与するために配合されており、好ましい実施形態では注射によって投与し得る。
本発明の免疫原性組成物は、たとえば当分野で周知の多数の凍結乾燥方法のうちの1つを用いて凍結乾燥および再構成して、これらを調製するために使用する正確な方法を変動させることによって選択および制御し得る、平均直径などの粒子特徴を有する、ミクロペレットまたはミクロスフェアなどの乾燥した規則的な形状(たとえば球状)の粒子を形成し得る。免疫原性組成物は、別のミクロペレットまたはミクロスフェアなどの乾燥した規則的な形状(たとえば球状)の粒子を用いて調製した、またはそれに含有されていてもよい、アジュバントをさらに含み得る。一実施形態では、本発明はさらに、本発明の1つまたは複数の保存料をさらに含んでいてもよい、凍結乾燥した免疫原性組成物が含まれる第1の構成要素、および第1の構成要素を再構成するための無菌的な水溶液を含む第2の構成要素を含む、免疫原性組成物のキットを提供する。特定の実施形態では、水溶液は、1つまたは複数の保存料を含み、少なくとも1つのアジュバントを含んでいてもよい(たとえばWO2009/109550号(本明細書中に参考として組み込まれている)を参照。
さらに別の実施形態では、多用量様式の容器は、それだけには限定されないが、一般実験用ガラス器具、フラスコ、ビーカー、メスシリンダー、発酵槽、バイオリアクター、チューブ、パイプ、バッグ、ジャー、バイアル、バイアルの栓(たとえば、ゴム栓、ねじ式の蓋)、アンプル、シリンジ、二チャンバまたは多チャンバのシリンジ、シリンジ共栓、シリンジプランジャー、ゴム栓、プラスチック栓、ガラス栓、カートリッジおよび使い捨てのペンなどからなる群のうちの1つまたは複数から選択される。本発明の容器は製造の材料によって制限されず、ガラス、金属(たとえば、鋼、ステンレス鋼、アルミニウムなど)およびポリマー(たとえば、熱可塑性、エラストマー、熱可塑性エラストマー)などの材料が含まれる。特定の実施形態では、様式の容器は、ブチル共栓を備えた5mLのSchottタイプ1ガラスバイアルである。当業者には、上述の様式は決して網羅的なリストではなく、単に本発明で利用可能な様々な様式に関して当業者への手引きとして役割を果たすことを理解されよう。本発明での使用が企図される追加の様式は、United States Plastic Corp.(オハイオ州Lima)、VWRなどの実験器具の販売業者および製造者からの公開カタログ中に見つかり得る。
免疫原性組成物の評価
一実施形態では、本発明は、黄色ブドウ球菌(S.aureus)生物からの少なくとも1つの抗原を含む免疫原性組成物を提供する。一実施形態では、本発明は、黄色ブドウ球菌(S.aureus)生物からの少なくとも3つの抗原を含む免疫原性組成物を提供する。一実施形態では、本発明は、黄色ブドウ球菌(S.aureus)生物からの少なくとも4つの抗原を含む免疫原性組成物を提供する。
様々なin vitro試験を用いて、本発明の免疫原性組成物の免疫原性を評価することができる。たとえば、in vitroオプソニンアッセイは、ブドウ球菌細胞、問題の抗原に対する特異的抗体を含有する熱失活させた血清、および外因性の補体源の混合物を一緒にインキュベートすることによって実施することができる。オプソニン化貪食作用は、新しく単離した多形核細胞(PMN)またはHL60などの分化したエフェクター細胞および抗体/補体/ブドウ球菌細胞の混合物のインキュベーションの間に進行する。抗体および補体でコーティングされた細菌細胞は、オプソニン化貪食作用の際に死滅される。オプソニン化貪食作用から回収された生存細菌のコロニー形成単位(cfu)は、アッセイ混合物をプレートすることによって決定することができる。力価は、アッセイ対照との比較によって決定された、50%の細菌死滅をもたらす最高希釈率の逆数として報告する。
また、全細胞ELISAアッセイを用いてもin vitroの免疫原性および抗原の表面曝露を評価することができ、ここでは、対象の細菌株(黄色ブドウ球菌(S.aureus))を96ウェルプレートなどのプレート上にコーティングし、免疫化された動物からの試験血清を細菌細胞と反応させる。試験抗原に特異的な任意の抗体が抗原の表面曝露されたエピトープと反応性を有する場合は、当業者に知られている標準の方法によってこれを検出することができる。
その後、所望のin vitro活性を実証する任意の抗原をin vivo動物免疫誘発モデルで試験することができる。特定の実施形態では、免疫原性組成物は、当業者に知られている免疫化の方法および経路(たとえば、鼻腔内、非経口、経口、直腸、経膣、経皮、腹腔内、静脈内、皮下など)によって、動物(たとえばマウス)の免疫化に使用することができる。動物を特定のブドウ球菌(Staphylococcus)sp.の免疫原性組成物で免疫化した後、動物をブドウ球菌(Staphylococcus)sp.で免疫誘発し、ブドウ球菌感染症に対する耐性についてアッセイする。
一実施形態では、病原体を有さないマウスを免疫化し、黄色ブドウ球菌(S.aureus)で免疫誘発することができる。たとえば、マウスを、1つまたは複数の用量の、免疫原性組成物中の所望の抗原で免疫化する。続いて、マウスを黄色ブドウ球菌(S.aureus)で免疫誘発し、免疫誘発後に生存を経時的に監視する。
免疫化方法
また、ブドウ球菌感染症を予防するために宿主を免疫化する方法も提供される。好ましい実施形態では、宿主はヒトである。したがって、宿主または対象に、免疫原性量の、本明細書中に記載の免疫原性組成物を投与する。免疫原性量の免疫原性組成物は、対象を徐々に増加する量の免疫原性組成物で免疫化し、免疫応答を分析して最適な用量を決定する、用量応答研究を行うことによって決定することができる。研究の開始点は動物モデルの免疫化データから推測することができる。投薬量は、個体の具体的な状態に応じて変動する場合がある。量は、当業者に知られている手段によるルーチン的な試行において決定することができる。一部の実施形態では、ブドウ球菌感染症、疾患または状態を予防するために宿主を免疫化する方法は、ヒト、獣医学的、動物、または農業的な処置を含む。別の実施形態は、対象においてブドウ球菌(Staphylococcus)sp.に関連するブドウ球菌感染症、疾患または状態を予防するために宿主を免疫化する方法を提供し、この方法は、ポリクローナルまたはモノクローナル抗体調製物を本明細書中に記載の免疫原性組成物から作製し、前記抗体調製物を用いて対象に受動免疫を与えることを含む。
適切な回数の用量の免疫学的に有効な量の免疫原性組成物を対象に投与して、免疫応答を誘発させる。処置した個体は、ブドウ球菌感染症のより重篤な臨床徴候を示さないはずである。投薬量は、年齢および重量などの個体の具体的な状態に応じて変動する場合がある。この量は、当業者に知られている手段によるルーチン的な試行において決定することができる。
一実施形態では、本発明の免疫原性組成物を投与している患者は、黄色ブドウ球菌(S.aureus)の保菌率の低下を示す。免疫原性組成物を投与した後の、そのような保菌率の低下または非保菌者として過ごす時間間隔の延長は、医療の必要性の観点から顕著である。たとえば、保菌者における全体的な黄色ブドウ球菌(S.aureus)の保菌率の低下が、1回の用量の黄色ブドウ球菌(S.aureus)の複数抗原ワクチンの後に評価され得る。たとえば、免疫原性組成物を投与する1日前に、18〜50歳の年齢の成人群を経鼻および咽頭のスワブによって保菌率についてスクリーニングし、次いで培養してその保菌状態を決定し得る。次に、この群に、対照を受ける群と共に本発明の免疫原性組成物を投与することができる。経鼻および咽頭のスワブを週に1回、12週間の期間にわたって行い、月に1回、免疫原性組成物の投与後の6カ月間までも行い、プラセボと比較する。1つの主なエンドポイントは、免疫原性組成物の投与後の患者対プラセボにおける保菌率を、免疫化後の3カ月間隔で比較することである。
ブドウ球菌感染症の動物モデル
本明細書中に記載の免疫原性組成物のうちの任意の1つの有効性を評価する際に使用するために、いくつかの動物モデルを以下に記載する。
ネズミ敗血症モデル(受動または能動)
受動免疫化モデル
マウスを、免疫IgGまたはモノクローナル抗体を用いて腹腔内(i.p.)で受動免疫化する。続いて、マウスを24時間後に致死的用量の黄色ブドウ球菌(S.aureus)で免疫誘発する。すべての生存が抗体と細菌との特異的なin vivo相互作用に起因すると考えることができることを確実にするために、細菌の免疫誘発は静脈内投与(i.v.)またはi.p.である。細菌の免疫誘発の用量は、免疫化していない対照マウスのおよそ20%で致死的な敗血症が達成されるために必要な用量であると決定されている。生存研究の統計的評価は、カプラン−マイヤー分析によって実施することができる。
能動免疫化モデル
このモデルでは、マウス(たとえばスイスウェブスターマウス)を、腹腔内(i.p.)または皮下(s.c.)で、標的抗原を用いて、0、3および6週間(または他の同様の適切な間隔を空けたワクチン接種スケジュール)に能動免疫化し、続いて、黄色ブドウ球菌(S.aureus)を用いて8週間目に静脈内経路によって免疫誘発する。細菌の免疫誘発の用量は、10〜14日間の期間にわたって対照群においておよそ20%の生存が達成されるように較正されている。生存研究の統計的評価は、カプラン−マイヤー分析によって実施することができる。
感染性心内膜炎モデル(受動または能動)
黄色ブドウ球菌(S.aureus)によって引き起こされる感染性心内膜炎(IE)の受動免疫化モデルを以前に使用して、ClfAが保護免疫を誘導できることが示されている。Vernachioら、Antmicro.Agents&Chemo.、50:511〜518(2006)を参照されたい。このIEモデルでは、ウサギまたはラットを用いて、臨床的感染症を刺激し、これには中心静脈カテーテル、菌血症、および遠位臓器への血行性播種が含まれる。無菌的な大動脈弁の疣形成を有するカテーテル挿入したウサギまたはラットに、単一または複数の、標的抗原に特異的なモノクローナルまたはポリクローナル抗体の静脈内注射を投与する。続いて、動物を、i.v.で黄色ブドウ球菌(S.aureus)または表皮ブドウ球菌(S.epidermidis)株を用いて免疫誘発する。その後、免疫誘発後、心臓、心臓疣形成、および腎臓を含めた追加の組織、ならびに血液を採取し、培養する。その後、心臓組織、腎臓、および血液中のブドウ球菌感染症の頻度を測定する。1つの研究では、動物をMRSE ATCC35984またはMRSA67−0のどちらかで免疫誘発した際、ClfAに対するポリクローナル抗体調製物またはモノクローナル抗体のどちらを用いても、感染率の有意な低下が示された。Vernachioら、Antmicro.Agents&Chemo.、50:511〜518(2006)を参照されたい。
また、感染性心内膜炎モデルは、ウサギおよびラットの両方における能動免疫化の研究にも適応されている。ウサギまたはラットを筋肉内または皮下で標的抗原を用いて免疫化し、2週間後に静脈内経路を介して黄色ブドウ球菌(S.aureus)で免疫誘発する。
腎盂腎炎モデル
腎盂腎炎モデルでは、マウスを、0、3および6週目に(または他の適切な間隔を空けた免疫化スケジュールで)、標的抗原を用いて免疫化する。続いて、動物をi.p.またはi.v.で黄色ブドウ球菌(S.aureus)PFESA0266を用いて免疫誘発する。48時間後、腎臓を採取し、細菌CFUを数える。
抗体および抗体組成物
本発明はさらに、本発明の免疫原性組成物の1つまたは複数の抗原に特異的かつ選択的に結合する抗体および抗体組成物を提供する。一部の実施形態では、抗体は、対象に本発明の免疫原性組成物を投与した際に産生される。一部の実施形態では、本発明は、本発明の免疫原性組成物の抗原のうちの1つまたは複数に向けられた、精製または単離した抗体を提供する。一部の実施形態では、本発明の抗体は、動物有効性モデルまたはオプソニン化貪食作用死滅アッセイのどちらかにおいて細菌を死滅させることによって測定して、機能的である。一部の実施形態では、本発明の抗体は対象に受動免疫を与える。本発明はさらに、本発明の抗体または抗体断片をコードしているポリヌクレオチド分子、および細胞または細胞系(抗体を組換え産生するのためのハイブリドーマ細胞または他の操作した細胞系など)、ならびに当業者に周知の技法を用いて本発明の抗体または抗体組成物を産生するトランスジェニック動物を提供する。
本発明の抗体または抗体組成物は、対象においてブドウ球菌感染症、ブドウ球菌(Staphylococcus)sp.に関連する疾患または状態を処置または予防する方法で使用してよく、この方法は、ポリクローナルまたはモノクローナル抗体調製物を産生させ、前記抗体または抗体組成物を用いて対象に受動免疫を与えることを含む。また、本発明の抗体は、診断方法、たとえば、本発明の免疫原性組成物の1つまたは複数の抗原の存在の検出またはそのレベルの定量においても有用であり得る。
実施例
以下の実施例は、本発明の一部の実施形態を実証する。しかし、これらの実施例は例示目的のためのみであり、本発明の条件および範囲に関して完全に決定的であることを主張または意図しないことを理解されたい。典型的な反応条件(たとえば、温度、反応時間など)を与えた場合、指定した範囲を超えるまたは下回る条件をどちらも、一般には利便性が低下するが、使用できることを理解されたい。別段に指定しない限りは、本明細書中で言及するすべての部およびパーセントは重量に基づいており、すべての温度は摂氏で表現している。
さらに、以下の実施例は、別段に詳述した場合以外は、当業者に周知かつルーチン的である標準の技法を用いて実施した。以下の実施例は例示目的のために提示し、いかなる様式でも本発明の範囲を限定すると解釈されるべきでない。
黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)ワクチンまたは免疫原性組成物として開発された、組換えクランピング因子A(rClfA)、5型莢膜多糖コンジュゲート(CP5−CRM197)および8型莢膜多糖コンジュゲート(CP8−CRM197)を含む安定な凍結乾燥した三抗原配合物が開示されている。特定の一実施形態では、rClfAは、フィブリノーゲンとのその結合親和性を減少させるために操作した、表面発現病原性因子の変異型である(Y388A)(rClfAm)。CP5およびCP8は臨床単離物中に見つかる共通の多糖であり、このワクチン中では、担体タンパク質CRM197とコンジュゲートしている。
視覚的に適切である凍結乾燥したケークを作製し、凍結乾燥したケークを再構成した際に活性構成要素は安定であった。さらに、実時間(2〜8℃)および加速(25℃および37℃)温度での、凍結乾燥した配合物の複数のロット(高および低用量を一括(bracket))の1カ月間の貯蔵により、凍結乾燥した三抗原配合物が安定に保たれたことが示された。さらに、3回の凍結融解サイクルおよび再構成後に室温で実施した24時間の安定性試験は、それぞれ、これらの条件下で活性成分の安定性を示した。
また、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)ワクチンまたは免疫原性組成物として開発された、組換えClfA、CP5−CRM197、CP8−CRM197、およびMntCを含む安定な凍結乾燥した四抗原配合物も開示されている。特定の一実施形態では、ClfAは、フィブリノーゲンとのその結合親和性を減少させるために操作した、表面発現病原性因子の変異型である(Y388A)。特定の一実施形態では、MntCは脂質付加されていない。特定の一実施形態では、MntCは組換えである。三抗原配合物と同様、凍結乾燥した四抗原配合物は、同じ抗原を含む液体配合物と比較して大きく増加した安定性を有していた。
本発明の一部の実施形態は例示によって記載されているが、多くの改変、変形および適応を用いて、数々の均等物または当業者の範囲内にある代替の解決策を使用し、本発明の精神から逸脱せずに、または特許請求の範囲を超えずに、本発明を実施できることが明らかであろう。
すべての出版物、特許および特許出願は、それぞれの個々の出版物、特許または特許出願が、その全体で参考として組み込まれていると具体的かつ個々に示されている場合と同程度に、その全体で本明細書中に参考として組み込まれている。
プレフォーミュレーションの方法論
様々な生物物理学的ツール(微分UV吸光分光分析、蛍光分光分析、円二色性(CD)および示差走査熱量(DSC))を使用して、構造的安定性のコンテキストにおける黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)クランピング因子A(ClfA)タンパク質の固有の特徴を検査した。温度およびpHが、ClfAタンパク質の固有の構造的挙動の特徴づけを助けるためにタンパク質にストレスを与えるために使用した可変パラメータであった。その後、このデータを使用して、タンパク質に追加の安定性をもたらし得る賦形剤についてスクリーニングした。さらに、AlPO4およびAl(OH)3に対するClfAの用量およびpH依存性親和性を評価するための結合研究を行った。本明細書中に開示されているデータを使用して、たとえばワクチンまたは免疫原性組成物としてなどの生物医学的な応用で使用するためのClfAの配合物に到達した。
本発明は、任意かつすべてのクランピング因子A(ClfA)タンパク質およびClfA含有配合物を対象とするが、以下の実施例では、ClfAのN1N2N3ドメインを含み、また、完全長ClfAの位置338に対応するチロシンを置換したアラニンを含み、フィブリノーゲンと結合する能力を欠く、Y338A置換を有する、ClfA変異体を使用した。
最初の生物物理学的な特徴づけのために調製した試料は、150mMのNaCl中の10mMの緩衝液(酢酸塩、コハク酸塩またはリン酸塩)から構成されていた。ClfAの概ねの標的濃度は、蛍光では0.1mg/mL、円二色性(CD)では0.2mg/mL、およびUV吸光分光分析では0.5mg/mLであった。
タンパク質濃度は、市販の改変ローリータンパク質アッセイ(Pierce、Lowryら、J.Biol.Chem.、193:265〜275[1951])またはUV吸光分光分析を用いて決定した。
円二色性(CD)を、Jasco J−810分光旋光計を用いて行って、免疫原性組成物またはワクチン中のClfAタンパク質の二次構造を評価した。タンパク質を5.0から8.0のpH間隔で配合した場合のCDスペクトルの定性的な相違を観察することによって、ClfAの構造に対するpHの効果を検査した。さらに、二次構造の観点からタンパク質のコンホメーション安定性を観察するために、温度撹乱実験を10℃〜85℃、218nmで行った。218nmの波長は、ClfAの知られているN2N3構造は大量のβ−シート構造を含むために選択した。CD走査の実験パラメータには、190〜260nmの波長範囲、20nm/分の走査速度、2秒間の応答時間、1nmの帯域、および3回の蓄積が含まれていた。温度撹乱実験は、Jascoソフトウェアの可変温度モードを用いて、15℃/時の温度勾配速度、1秒間の応答、および1nmの帯域を使用して行った。
固有のトリプトファン蛍光発光分光分析を使用して、ClfAタンパク質の三次構造の変化を温度の関数として監視した。また、方法を用いて、タンパク質構造の変化を実時間および加速研究中でも観察した。蛍光スペクトルは、295nmの励起を用いてPTI QM−1(ニュージャージー州Brunswick)蛍光光度計で記録した。使用したタンパク質の濃度は約0.1mg/mLであった。1cmの経路長の石英キュベットを用いて、トリプトファンに特徴的な発光スペクトルを320〜350nmで監視した。蛍光データが10℃〜85℃(2.5℃の間隔)、4.0〜8.0の一連のpH値で得られた。バックグラウンド補正のために、緩衝液をブランクとして用いて対照実験を行った。機器の設定には、それぞれ4nmおよび3nmの励起および発光帯域、1秒間の積分時間、ならびに290nm〜400nmのデータ収集波長範囲が含まれていた。AlPO4を含有する配合物では、試料の濁度の限界を回避するために正面(三角形)キュベットの幾何学を使用した。データの分析は、Origin(登録商標)7.0を用いて、平滑化のために二次多項式の11点サビツキー(Savitsky)−ゴーレイ関数を使用して行った。
二次微分UV吸光分光分析を用いた温度撹乱実験を、固有のタンパク質安定性を評価するためのClfAの三次構造の検査の別の方法として使用した。Peltier温度制御装置を備えたAgilent8453 UV可視ダイオードアレイ分光計を用いて、多波長UV可視吸収スペクトルが200nm〜400nmで得られた。100μLの体積を有する1cmの経路長の石英キュベットをすべての実験で使用した。融解実験では、それぞれの温度変化後に4分間を許容し、これは平衡に達するために十分であるとみなされた。また、ClfAタンパク質の潜在的な凝集を監視するために、350nmでの光学密度データも温度の関数として収集した。
スペクトルの分析は、CHEMSTATION(商標)ソフトウェア(Agilent)を用いて行った。二次微分スペクトルは9点データフィルターを用いて得て、三次サビツキー−ゴーレイ多項式に当てはめた。それぞれの1ナノメートルの間隔の間に99個のデータ点を用いて微分スペクトルを内挿し、非凝集条件下においておよそ0.01nmの有効な解像度が提供された。MICROCAL ORIGIN(商標)6.0を用いて微分スペクトルのピーク位置を選択した。アミノ酸残基フェニルアラニン、チロシン、およびトリプトファンに対応するピーク位置を同定し(Kueltzoら、J Pharm Sci.、2003、92(9):1805〜1820の方法に基づく)、温度の関数としてプロットした。
サイズ排除クロマトグラフィーは、TOSOH TSK−GEL G3000SWxlカラム、7.8mm×30cm、5μm、パート番号08541を使用して、以下の条件を使用して実施した:流速、0.5mL/分、最大圧力、60Bar、実行時間、30分間、移動相、Cellgro PBS、pH7.4、注入体積、100μL、検出器、UV280、260、214nm、すべてに4nmの帯域、参照、340nm、帯域の16nm、温度、25℃。
ClfAタンパク質の融解温度(Tm)は示差走査熱量(DSC)によって決定した。ClfA試料のDSCプロフィールを、ClfA試料と同時に調製した、原薬(ClfA)によって占有されるはずの体積を緩衝液で置き換えた以外は対応する緩衝液に対して測定した。機器の設定は以下のとおりであった:走査速度、200℃/時、走査範囲、10〜90℃、フィルター期間、8秒間、フィードバックモード/ゲイン、中。それぞれの走査の後、DSCセルおよびシリンジを注射用水(WFI)で3〜5回すすいた。再走査実験を行う場合は、次の実行のために浄化されたセルを確実にするために、セルの浄化サイクルには10%のContrad(Decon Laboratories Ltd.、英国East Sussex)の使用が含まれていた。
微量熱量測定毛細DSCを、賦形剤をスクリーニングするための高スループットのプラットフォームとして使用した。それぞれの賦形剤のスクリーニング実験において、10mMのコハク酸塩緩衝液、150mMのNaCl、pH6.0中のClfAをTmの変化の計算の基礎として用いた。見かけのTmを2つ組のDSC試料で得て、その後、平均Tmを、同じDSCの実行における賦形剤を含まない配合物の平均Tmと比較した。それぞれの賦形剤/濃度の効果を、Tmの変化の効果によって比較した。賦形剤の存在下におけるTmの正の変化は、ClfAの熱安定性に対する正の効果であるとみなされた。ΔGの計算には、ΔCPを手動で選択した転移前および後のベースラインから計算し、その後、曲線およびベースラインの間の面積を積分することによってΔHおよびTmを計算した。ΔGの曲線はMicrocal DSCソフトウェアを用いて計算した。
ClfA薬物製品のプレフォーミュレーション:結果
温度(10〜85℃)およびpH(4.0〜8.0)の薬学的に関連性のあるストレスを薬物製品(液体の配合したClfA)および原薬(液相中の配合していないClfAタンパク質)に与えて、その感受性を同定した。
固有のトリプトファン蛍光熱融解研究をpH4.0〜pH8.0の様々なpHでClfA試料に対して実施し、蛍光発光曲線を作成した。これらの実験では、ClfAは一般に0.1mg/ml〜0.2mg/mlの濃度であった。それぞれの曲線の変曲点は融解温度(Tm)であると同定され、表4に一覧表にした。10℃では、より高いpH値の試料はより高い波長でピーク位置を示し、トリプトファン残基が溶媒により曝露されていたことを示唆している。さらに、より高いpH値では、ClfAはより低いTm値を示し、これは、pH5.5および6.0などのより低いpH値と比較してより低い安定性を示している。pH5.5から6.5の、0.2のより細かい増量のpHパネル(表5)により、pHの減少に伴ってTmが徐々に増加することが示された。
円二色性(CD)分光分析を用いて、ClfAの二次構造をpHの関数として検査した。特に、pH7.0およびpH8.0で得られたスペクトルは、約200nmおよび220nmで明確に定義された最小値を示した。この観察の1つの可能性の高い解釈は、約220nmでの最小値は、知られているN2N3構造のβ−シート構成要素が原因である可能性があり、約200nmでの最小値は、通常は195nm付近で見られるランダムコイルの最小値に近づいていることである。これらの観察は、ClfAタンパク質がpH7.0およびpH8.0でわずかにより折り畳まれていないという蛍光データを支持している。
pH4.0〜8.0のClfAのCD融解を10℃〜85℃で行い、それぞれのpH点でのモル楕円率を吸光度の関数を示す曲線を作成した。様々なpH値にわたる曲線の形状を観察した。pH6.0以上でのデータはすべて、55℃付近であると視覚的に推定することができる、同様の転移を有するように見えた。pH5.0および5.5での曲線は、より高い転移を有する。さらに、pH5.0は最大の程度の変化を示し(楕円率の値で)、これは、β−シート含有量の最大の増加を示している。増加したβ−シートは凝集した試料中で典型的であるため、pH5.0で、ClfAタンパク質が高温での自己会合の傾向が最も高いことを示している可能性がある。
Agilent8453 UV可視分光光度計を用いて350nmでの光学密度(OD350)を測定し、Photon Technology Internationalの分光蛍光光度計を用いて直角光散乱を温度の関数として測定して、シグナル強度の増加に対応しており、ClfAタンパク質の凝集に相関している可能性のある粒子径の増加を観察した。注目に値する転移がpH4.0、5.0および5.5での温度追跡で観察され、pH4.0が最大の程度の変化(最大の凝集)を有していた。対照的に、pH6.0以上では小さな徐々の上昇変化しか示されず、これは少量の自己会合現象を示している。
直角光散乱は、オリゴマー化(凝集)の検出においてOD350よりも感受性のある技法である。この技法から得られたデータによれば、ClfAの凝集の最も早い開始はpH5.0および5.5で見られた一方で、より高いpH値では、粒子径の増加に15℃までもの遅延が示された。
ClfAの構造的安定性は、kcal/モル/℃で測定されたエンタルピーの変化を測定する、示差走査熱量(DSC)によって特徴づけられた。DSC分析によれば、ClfAの展開は可逆的であることが観察され、単一の転移が約55.5℃で注目された。この転移のエンタルピーは、およそ10kCal/モルであると計算された。
また、ClfAのTmも濃度の関数として測定し、これは0.1mg/mL〜1.0mg/mLから一貫して決定することができる。ClfAのTmはタンパク質濃度の増加に伴って変化しないことが観察され、これは、ClfAがほとんど単量体として存在することを示している。この観察は、本明細書中以下に開示するサイズ排除クロマトグラフィーのデータと一貫している。
また、ClfAのTmは、毛細DSCによってpHの関数としても決定した(表6)。これらの実験では、ClfAのTmは、pH5.0〜8.0で約55〜56℃にプラトーに達することが観察されたが、TmはpHが増加するにつれて下降する傾向にある。pH4.0でのClfAのTmは50.8℃でしかなく、これは、このpHでのClfAの構造的な不安定性を示している。これらのDSC実験では、ClfAの濃度は1.0mg/mlであった。また、DSCによって決定されたClfAのTmをトリプトファン(Trp)蛍光ピークシフト(上記)によって決定されたTmとも比較した。Trp蛍光によって決定されたTmは、pH4.0〜pH5.5でDSCによって決定されたTmと一貫していた。しかし、Trp蛍光によって決定されたTmは、pHが6.0から8.0に増加した際に急激に減少した。可能性のある説明は、pHが6.0から8.0に増加するにつれてN3ドメインが展開されることである。ClfA中には2個のトリプトファンしか存在せず、これらはどちらもN3ドメイン上に位置している。6.0から8.0のpHの増加に伴った、Trp蛍光によるTmの急激な減少は、これらの残基がより極性の環境に曝露されたことを示しており、これは通常、タンパク質の展開の指標である。
ClfA薬物製品は、事前にシリコン処理された、事前に充填されたシリンジ中で送達することができる。注射筒およびプランジャー上のシリコン油によって引き起こされるタンパク質凝集を防止するため、ならびにとりわけガラス表面へのタンパク質の吸着を防止するために、ポリソルベート80(PS80)をしばしば最終薬物製品の配合物中に含める。PS80は、タンパク質を潜在的に不安定化させる可能性がある洗剤であるため、ClfAのTmをPS80の存在下で評価した。表7は、ポリソルベート80の存在または非存在下における1.0mg/mlのClfAを用いた毛細DSC実験の結果を要約しており、これはPS80の存在がClfAのTmを約1℃減少させたことを示しており、これは、PS80を含まないClfAのTm配合物とは統計的に有意に異なっている。
ClfAのTmに対するAlPO4の効果も評価した。AlPO4と結合したClfAのTmを測定するために、0.1mg/mLのClfAをコハク酸塩−生理食塩水を用いてpH5.0で配合し、その溶液中、ClfAのほとんどはアルミニウムと結合していた。結合したClfAのTmを、同じ濃度のリン酸アルミニウムを含有する対応する緩衝液に対して測定した。その実験の結果により、ClfAのTmは、リン酸アルミニウムと結合していないClfA(すなわち、56.34℃±0.15℃)と比較して、結合した場合に特に変化しなかったことが示された(すなわち、56.16℃±0.12℃)。
薬物製品の緩衝液の種類、濃度およびイオン強度の選択を支持するために、Tmの変化を高/低塩の配合物ならびに様々な濃度のヒスチジンおよびコハク酸塩緩衝液の配合物で決定した。表8により、NaClの濃度またはコハク酸塩緩衝液の濃度の増加に伴ってClfAのTmが増加したことが示された。しかし、ClfAのTmは、試験したヒスチジン−生理食塩水の緩衝液の配合物のいずれにおいても増加しなかった。
糖、ポリ−オール、およびアミノ酸などの知られている医薬的安定化剤の賦形剤を、基本配合物(10mMのコハク酸塩緩衝液、150mMのNaCl、pH6.0中の0.6mg/mLのClfA)と比較した、ClfAのTmに対するその影響についてスクリーニングした。表9は、ClfAのTmの増加がCaCl2、トレハロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、およびグルタミン酸の濃度に依存していることを示している。しかし、アルギニンはClfAのTmを減少させた。プロリンはClfAのTmに対して有意な効果を与えなかった。タンパク質に対する賦形剤の効果はタンパク質依存性であり、したがって、当業者は、賦形剤が有する効果を経験的に知っているであろう。スクロース、ソルビトール、CaCl2および高濃度のNaClは、Tmを増加させただけでなく、4℃でΔGも増加させた。表10は、PS80の存在下においても、ClfAのTmを2℃〜3℃上昇させる、賦形剤の相加効果を示す。
ClfAおよびAlPO4の実効表面荷電を、結合の予測材料として使用する4.0〜8.0のpHの関数として得た。研究に使用した緩衝系は、酢酸塩(pH4.0〜5.0)、コハク酸塩(pH5.5〜6.5)およびリン酸(pH7.0〜8.0)であった。ClfAのゼータ電位プロフィールは、pH4.0〜5.0の間のどこかでゼロ荷電の点と交差する。(ゼータ電位はコロイド系中の薬剤の界面動電位の測度である。Lyklema,J.、「Fundamentals of Interface and Colloid Science」、第2巻、頁3、208、1995を参照。)これは、ClfAが4の前半のpI値を保有するということと一貫している。さらに、AlPO4のゼータ電位プロフィールも、約5.5〜5.8のそのpIと一貫していることが判明した。したがって、最良の結合は、2つの実体がおよそpH4.5〜5.5で逆の実効電荷を有する場合に起こるであろう。ローリーアッセイにより、最良の結合は、0.020および0.100mg/mLのClfAの濃度のどちらにおいてもpH5.0で起こったことが示された。Al(OH)3の曲線では逆の傾向が当てはまり、pH5.0が最低の結合を示した。Al(OH)3は、試験したどのpH値でも100%の結合を達成することはなかった。
AlPO4の濃度滴定(0.25、0.50、0.75mg/mL)結合実験を、ClfAを用いてpH5.0、5.5、および6.0で実施した。これらの実験によれば、ClfAはpH6.0でタンパク質濃度に非感受性であると見られ、一貫して約50%の結合を達成した一方で、pH5.0のタンパク質は、AlPO4の増加に付随する結合の増加を示した。ClfAは、pH5.0およびより低いタンパク質濃度で最良の結合を達成することが観察され、濃度が増加するにつれて結合は減少した。さらに、pH5.5および6.0はどちらも同じ傾向を示したが、結合はこれらのpH値のどちらでも、最低の用量でさえも十分ではなかった。
pH6.0での結合を改善させる試みにおいて、150mMのNaCl、500mMのNaCl、300mMのグリシン、300mMのリシン、20mMのMgCl2および1mMのEDTAを含めたいくつかの賦形剤を、様々なNaCl濃度と共に試験するために選択した。pH6.0ではClfAおよびAlPO4はどちらも負荷電であるため、賦形剤の多くはその陽イオン性特徴が原因で選択された。改変ローリーアッセイを用いてパーセント結合タンパク質を試験した。このアッセイによれば、どの賦形剤も、150mMのNaCl対照と比較して顕著な改善を示すことが観察されなかった。
ClfA凍結乾燥薬物製品の配合物:要約
ClfAは一般に不安定なタンパク質であるとみなされており、これは、これがN1ドメインおよびN2ドメインの間の加水分解または「クリッピング」を容易に受けて、1つがN1ドメインを含有し、別のものがN2N3ドメインを含有する、少なくとも2つの断片を生じることを意味する。安定性とは、たとえばN1およびN2N3ペプチド断片が含まれる分解生成物と比較して実質的に分解されていないClfAを含有する、加水分解されていないClfAの相対量を意味する。実質的に分解されていないClfAの相対量が多ければ多いほど、タンパク質はより安定である。
サイズ排除HPLCで見られるように、液体配合物中のClfAタンパク質(上記)は、N1およびN2N3ドメインの間のクリッピングを受けたことが観察された。注意深く選択した賦形剤を用いたスクリーニングの後、液体の不安定性に基づいて、凍結乾燥を液体配合物の代替として調査した。注射用水(WFI)(NaClがわずかまたは存在しない)中の10mMのコハク酸塩、pH6.0、0.01%のポリソルベート80、および4.5%のスクロース(充填剤)の改変した凍結乾燥配合物を用いて、4つのClfA原薬のロットを検査した。4つすべてのロットの結果により、ClfAの凍結乾燥した配合物は、3カ月間まで、実時間および加速(37℃)温度でタンパク質をクリッピングから安定化させることに成功したことが示された。逆相HPLCを用いた配合物の分析により、凍結乾燥が、観察した時点全体にわたって脱アミド化および酸化などの他の修飾を防止したことが実証された。また、in vitro効力試験(すなわちBIOVERIS試験)により、ClfAが3カ月間にわたってその効力を維持していたことが明らかとなった。
また、配合物(薬物製品)およびタンパク質自体(原薬)に対する凍結乾燥の効果を監視するために、凍結乾燥した薬物製品を、生物物理学的(pH、カールフィッシャー電量分析による水分[Scholz、Eugen、Fresenius、J.of Anal.Chem.、348(4):269〜271、1994年4月を参照]、OD350、重量モル浸透圧濃度、円二色性、UV吸光分光分析、示差走査熱量)方法、分離方法(HPLC)、および効力(BIOVERIS)方法によっても特徴づけた。複数の方法を用いた分析により、タンパク質の特徴が凍結乾燥の前および後で同様であったことが示唆された。さらに、凍結乾燥配合物の予備最適化として、攪拌、凍結融解、および賦形剤スクリーニングの実験を行った。
ClfA凍結乾燥薬物製品の配合物:凍結乾燥
凍結乾燥前に、バイアルを650μlの液体配合物で充填した。凍結乾燥後、分注体積にシリンジ内のデッドスペースが考慮されるように、シリンジを用いた再構成体積を決定することが必要であった。この実験では、シリンジに0.55、0.60、0.65、および0.70mLの希釈剤を充填した。希釈剤を凍結乾燥したバイアル内に押し出し、再構成された液体をシリンジ内に引いて戻した。その後、液体を分注して秤で秤量した。液体の密度がおよそ1g/mLであると仮定し、およそ0.5mLのワクチンを患者に送達するために、バイアルはおよそ0.65mLのワクチンを含有していなければならないと決定された。0.5mLを超える体積は許容されるが、およそ0.5mL未満の体積は好ましくない。
2つの凍結乾燥前の液体配合物のロット、L36051−81−1およびL36051−81−2の濾過回収をSE−HPLCによって監視した。使用したフィルターはMilliporeの0.22μmのPVDF膜であった。ClfAの回収はどちらのロットでも>99%であった。
Virtis Genesis EL35凍結乾燥機を、本明細書中で報告したすべての配合物で使用した。例示的かつ非限定的な凍結乾燥実行サイクルのパラメータを表11に示す。ロットL36051−44(DS L35812−59)には徐冷ステップが含まれなかった一方で、残りの3つのロットは徐冷ステップを用いて調製した。
水分は、試料オーブンに接続したBrinkmann電量計を用いて、カールフィッシャー化学によって測定した。乾燥窒素ガスを使用して水分を試料からカールフィッシャーセル内に運んだ。5.5%の乾燥水分標準を用いて系の性能を監視する。オーブンを用いて、水標準を230℃で測定し、凍結乾燥した試料を115℃で測定する。一般に、成功した凍結乾燥サイクルは、すべての他の望ましい生成物の特徴を保持したままで最少量の水を含有する。
10個のランダムな凍結乾燥後の配合物のバイアルをそれぞれのロットから検査し、視覚的特徴について評価した。ロット間のケークの品質は比較できるほどであったが、徐冷ステップを用いずに調製したロットL36051−44は、徐冷ステップが含まれていた他のロットよりも大きな縮みを示した。全体的に、ケークは白色および海綿状であり、良好な構造的完全性を示していた。1つの特定の配合物ロット(徐冷を用いたもの)の10個の個々の凍結乾燥生成物の視覚的特徴を表12に示す。
配合物の物理的属性を凍結乾燥の前および後に特徴づけた。試料を凍結乾燥後におよそ630μlの生理食塩水で再構成した(ロット44は150mMのNaClで再構成した一方で、他のロットは50mMのNaClで再構成した)。再構成後の重量モル浸透圧濃度は、50mMのNaClを使用した場合に約290mOsmの生理的標的に近かった。凍結乾燥したケークを希釈剤で再構成した場合にpH値は6.0±0.3に保たれたことが観察された。さらに、すべてのロットの再構成時間は30秒間未満であった。共栓中の窒素のバックフィルの結果として、希釈剤をケークに加えた際に一過性の微小気泡が生じた。
TA Instrumentsの改変DSC機器を用いて、凍結乾燥前の液体のガラス転移温度(Tg’)を特徴づけた。Tg’は、非晶質の固体が冷却の際に高レベルの水素結合形成を伴って脆性のガラス質状態に達する温度として定義される。Tg’より高い温度では、より高い分子流動性が可能となる。Tg’の実験的取得は、高品質のケークおよび安定な生成物を達成するための凍結乾燥サイクルの最適化に重要である。零下の温度で走査するその能力のために、改変DSC機器をTg’の測定に使用した。
ケークのガラス転移(Tg’)および水分含有率を凍結乾燥手順の最適化中に考慮した。凍結乾燥の徐冷段階中に試料がそのガラス転移よりも高いことが重要である。凍結乾燥の徐冷ステップは−10℃であり、これはすべての配合物で−34.6℃±0.8℃のTg’よりも高い。また、タンパク質および水が反応し、それにより生成物の安定性および貯蔵寿命が低下することを防止するために、凍結乾燥手順によりケークが十分に乾燥されることも重要である。凍結乾燥手順の結果、すべての配合物で1%未満(すなわち、0.42%±0.19%)の水がもたらされた。
ClfA凍結乾燥薬物製品の配合物:熱安定性
MICROCAL VP−示差走査熱量計(DSC)を使用して、ClfAの固有の熱安定性を特徴づけた。10℃〜100℃の熱勾配により、タンパク質が融解する温度(Tm)および展開(融解)現象に必要なエンタルピーの変化(ΔH)が明らかとなった。これにより、タンパク質の折畳み特徴(すなわち二次および三次構造)ならびにコンホメーションが凍結乾燥後に変化されたかどうかに関する情報が提供される。
Microcal毛細DSCを用いた示差走査熱量(DSC)を凍結乾燥の前および後のClfAのロットで行って、配合物の融解温度(Tm)を比較した。すべての試験したロットで凍結乾燥の前および後で類似のTm値および展開エンタルピー(ΔH)が明らかとなり、これは、タンパク質の全体的な折畳みが凍結乾燥の前と後で変化しないことを示唆している。凍結乾燥前の平均Tmは55.2℃±0.14℃であり、それと比較して、凍結乾燥後では55.2℃±0.16℃であった。凍結乾燥前の平均ΔHは1.90×106±0.12×106cal/モル/℃であり、それと比較して、凍結乾燥後では1.90×106±0.11×106cal/モル/℃であった。
ClfA凍結乾燥薬物製品の配合物:抗原の二次構造
円二色性(CD)を用いて、凍結乾燥の前および後のそれぞれの配合物中のタンパク質の二次構造を評価した。すべての実験はJasco J−810分光旋光計で行った。CD走査の実験パラメータには、190nm〜260nmの波長範囲、20nm/分の走査速度、2秒間の応答時間、1nmの帯域、および3回の蓄積が含まれていた。コハク酸塩、スクロースおよびNaClを含有する同一の緩衝液基質をバックグラウンドの減算に使用した。
円二色性(CD)は、α−ヘリックスおよびβ−シートなどのタンパク質の二次構造のスペクトルの指紋を提供する。凍結乾燥の前および後のClfAのロットの比較により、凍結乾燥の前および後のスペクトルの全体的な形状は変化しなかったことが示され、これは、すべてのロットが凍結乾燥および再構成の手順の間中ずっと、その二次構造を維持していたことを示唆している。
ClfA凍結乾燥薬物製品の配合物:抗原の三次構造
二次微分UV吸光分光分析を、凍結乾燥の前および後の固有のタンパク質安定性を評価するための抗原の三次構造の検査の別の方法として使用した。Agilent8453 UV可視ダイオードアレイ分光計を用いて、多波長UV可視吸収スペクトルが200nm〜400nmで得られた。100μLの体積を有する1cmの経路長の石英キュベットをすべての実験で使用した。
スペクトルの分析は、CHEMSTATION(商標)ソフトウェア(Agilent)を用いて行った。二次微分スペクトルは9点データフィルターを用いて得て、三次サビツキー−ゴーレイ多項式に当てはめた。それぞれの1ナノメートルの間隔の間に99個のデータ点を用いて微分スペクトルを内挿し、非凝集条件下においておよそ0.01nmの有効な解像度が提供された。MICROCAL ORIGIN(商標)6.0を用いて微分スペクトルのピーク位置を選択した。アミノ酸残基フェニルアラニン、チロシン、およびトリプトファンに対応するピーク位置を同定し、温度の関数としてプロットした。
4つのロットのうちの3つで(ロット−44、−81−1および−81−2)、フェニルアラニン/チロシン領域(260nm〜270nm)中の一部の相違が凍結乾燥後に見られた。しかし、ロット−72は良好なオーバーレイを示した。このロットは最も高い残留NaClを含有していた(バルク基質からの持ち越し)。
ClfA凍結乾燥薬物製品の配合物:構造的安定性:N1のクリッピング
サイズ排除HPLCを用いて、安定性研究のために一定期間にわたって様々な温度に保持した、凍結乾燥前の薬物製品、再構成した凍結乾燥後の薬物製品、および再構成した薬物製品の初期品質を評価した。この方法では、単量体、二量体、オリゴマー(二量体より大きい)および分解生成物(N1とN2N3ドメインとの間の切断による)を含めた様々な大きさのClfA種を検出することができ、したがって、これを、凍結乾燥前の液体配合物およびその凍結乾燥した対応物の安定性を比較するための主な技法のうちの1つとして使用した。
2〜8℃、25℃、および37℃におけるClfAの液体および凍結乾燥した配合物の安定性を、2つのHPLC方法によって監視した。サイズ排除HPLCを用いてN1およびN2N3ドメインの切断を検出した一方で、逆相HPLCを用いてタンパク質の任意の化学分解(すなわち、脱アミド化、酸化)を経時的に監視した。
図2のパネルA、B、CおよびDは、すべて2〜8℃、25℃および37℃でインキュベーションし、SE−HPLCによって経時的に監視した、4つのClfAの凍結乾燥したロットの一次動力学的プロットを、液体対応物と比較して例示する。結果はln[C]対時間としてプロットし、Cは、切断された分解生成物を排除したインタクトな抗原(二量体+単量体)の濃度である。3カ月間までの最小限のC変化によって示されるように、4つのロットはすべて、3つのインキュベーション温度すべてにおいて凍結乾燥した生成物の一貫した安定性を示す。対照的に、凍結乾燥前の液体試料は、温度の増加に伴って比例した速度の分解の増加を示す。ロットL36051−44液体対応物(L36051−37−1)は、10mMのコハク酸塩、pH6.0、0.01%のポリソルベート80および150mMのNaClを含有する液体配合物(凍結乾燥前の配合物に対抗)であることに注目されたい(図2A)。しかし、ロット−37−1の温度の関数としての全体的な傾向は、凍結乾燥前の液体のものに類似している。
図3は、2〜8℃、25℃、および37℃で3カ月間保管したケークと比較した、t=0での凍結乾燥したDS L40184−61の代表的なSE−HPLCクロマトグラムを例示している。積み重ねたクロマトグラムのプロフィールは同一に見え、二量体または分解生成物のピークの明らかな増加は存在しない。他の3つの凍結乾燥したロットは同様の結果を示した。
液体(凍結乾燥前)および凍結乾燥したClfA配合物のロットの比較を実施した。2〜8℃、25℃、および37℃で4週間保管した後の、凍結乾燥した配合物を凍結乾燥前の液体と比較した、代表的なSE−HPLCクロマトグラムを図4に示す。凍結乾燥した試料は、3つすべての貯蔵温度にわたって、特に主単量体ピークのすぐ右の分解生成物領域付近で良好なオーバーレイを示した。対照的に、液体配合物は、分解生成物のピークに顕著な増加を示した(図4、丸印)。さらに、凍結乾燥したピークはオリゴマーピークのわずかな存在を示し(主単量体ピークの左側、図4)、これはすべての凍結乾燥したロットに共通した属性である。
ClfA凍結乾燥薬物製品の配合物:構造的安定性:タンパク質の修飾
逆相HPLCは、タンパク質の品質および完全性の特徴づけを提供するためにしばしば使用される分析方法である。分析物の分離は、タンパク質間でわずかに変動し得る、様々な種の疎水性の相違に基づいている。その結果、逆相HPLCアッセイは、典型的には、対象のタンパク質と、たとえば、タンパク質分解生成物、配列修飾(脱アミド化や酸化など)を有するタンパク質、および残留宿主細胞タンパク質不純物、ならびに切断物との間の良好な分離を提供することができる。このアッセイを用いて、安定性研究においてタンパク質の品質に関するデータを経時的に提供した。
SE−HPLCデータと同様、逆相クロマトグラムは、37℃、25℃および2〜8℃で3カ月後に、新しく作製した配合物と比較して、凍結乾燥した生成物で類似のプロフィールを示す。
凍結乾燥した安定性研究の過程中、pH、水分、およびOD350を監視した。pH値は標的pHの±0.03単位以内に保たれるべきであり、水分は<3%であるべきである。OD350は、凝集した粒子によって散乱された光の測度である。典型的には、検出可能な凝集体の非存在は<0.03のOD350値を返す。図5のパネルA、BおよびCは、複数の凍結乾燥したロットから合わせたデータであり、3つパラメータがすべて3カ月間にわたって良好な安定性を示すことを実証している。
ClfA凍結乾燥薬物製品の配合物:BIOVERISによって決定された効力
in vitro効力アッセイを用いて、安定性研究中の選択された時点でのClfAタンパク質の機能的エピトープの持続性を評価した。BIOVERISプラットフォームをこの目的に使用した。このアッセイでは、1つのモノクローナル抗体(mAb12−9)を使用して抗原を捕捉し、異なるエピトープに対して産生させた別のモノクローナル抗体(mAb15EC6)を使用して抗原の存在をECL検出で検出した、サンドイッチ様式を用いた。モノクローナル抗体12−9は、ClfAのN3ドメインを認識してそれと結合する抗体であり、一方で、mAb15EC6は、ClfAのN2ドメインを認識してそれと結合する。
BIOVERIS抗体競合アッセイ系を用いて、ロットL36051−81−1(DS L40184−61)およびL36051−81−2(DS L40184−62)におけるClfAの効力を3カ月間まで監視した。凍結乾燥した、および凍結乾燥前の液体配合物はどちらも、2〜8℃、25℃、および37℃で3カ月の期間にわたって効力の減少を示さなかった。
ClfA凍結乾燥薬物製品の配合物:賦形剤の効果
ClfAの安定性が確立された後、(1)配合物の構成要素の規格を設定するため、(2)ケークの化粧性を最適化するための賦形剤をスクリーニングするため、(3)プロセス設計のコンテキストにおいて配合手順を理解するため、ならびに(4)原薬および薬物製品の凍結融解耐容性を検査するために、さらなる研究を計画した。
0.2mg/mlのClfAおよび10mMのコハク酸塩、pH6.0を含有する凍結乾燥緩衝液基質中で、スクロース含有率を3%〜4.5%〜6%w/vに変動させながら、ポリソルベート80(PS80)の滴定を行った。PS80濃度の範囲は0〜0.005%〜0.01%v/vであった。この実験は、(1)凍結乾燥前の液体配合物中でのポリソルベートの必要性を決定するため、(2)凍結乾燥前の液体配合物中でのポリソルベートの規格濃度を設定するため、および(3)凍結乾燥前の液体配合物中でのスクロース濃度の規格を設定するために行った。
様々なPS80およびスクロース濃度を用いて攪拌実験を行った。図6のパネルA、BおよびCは、L40184−61(200μg/mlのClfA、6%のスクロース、10mMのコハク酸塩、pH6.0、0.005%のPS80)およびL401840−62(200μg/mlのClfA、4.5%のスクロース、10mMのコハク酸塩、pH6.0、0.01%のPS80)の配合物の、室温で24時間の攪拌後の、SE−HPLCによる、パーセント二量体、パーセント単量体、およびパーセント分解生成物(切断)の結果を示す。PS80を含有しない配合物は、t=0試料と比較して攪拌後にパーセント二量体形成の増加を示した(図6D)。最も低い量のPS80(0.005%)の存在下でさえも、二量体化の量はt=0よりも少なく、これは、PS80が配合物に有益であったことを示唆している。さらに、「PS80なし」の対照のSE−HPLC分析により、攪拌後により高次のオリゴマー(二量体より大きい)の存在が示された一方で、PS80を含有する試料では示されなかった。したがって、ポリソルベート80の推奨は0.01±0.005%で確立された。様々な量のスクロース(3、4.5、および6%)は、SECデータの相違をまったく示さなかった。また、パーセント単量体および分解生成物は、PS80の存在もしくは非存在、または様々な量のスクロースによって大きく影響を受けるように見えなかった。
混合研究を実施して、様々な賦形剤が、製造プロセスの配合/混合段階中にClfAに有害作用を与えるかどうかを決定した。様々な賦形剤には、0%および5%のスクロース、0%および5%のトレハロース、ならびに4%のスクロースおよび1%のマンニトールのスクロースとマンニトールとの組合せが含まれていた。賦形剤は、凍結乾燥におけるその一般的な使用に基づいて選択した。これらの実験では、配合物基剤には、0.3mg/mlのClfA、10mMのコハク酸塩、pH6.0、および0.01%のポリソルベート80が含まれていた。試料を配合し、終夜2〜8℃で保管し、研究を翌朝に開始した。配合物を、West4432灰色ブチル共栓を備えた30mLのSchott1型ガラスバイアルに入れ、VWRマイクロプレート振盪器上に載せた。バイアルを連続的な500RPMで、室温で混合し、t=0、2、4、8、および24時間に試料採取し、SE−HPLCを主アッセイとして使用した。
いくつかのロット(L36051−96−1、L36051−96−2、L36051−96−3、L36051−96−4、L36051−100−1、およびL36051−100−2)を混合研究において検査して、スクロース、トレハロースおよびスクロース/マンニトールが、24時間、室温で混合した場合に、ClfAの安定性に対して影響を与えるかどうかを決定した。図7のパネルA、BおよびCは、一定期間にわたる、それぞれの配合物についてSE−HPLCによって報告されたパーセント分解生成物(切断)、パーセント二量体、およびパーセント単量体を表す。スクロース単独およびスクロース/マンニトール試料では、主要な分解は見られなかったが、トレハロースの配合物は、分解の顕著な増強を示した。二量体化の速度は、スクロース単独を用いたClfAのどちらのDSロットでも比較できるほどであったが、ロット依存性の二量体の増加がトレハロースおよびスクロース/マンニトールで見られた。単量体の変化は、分解生成物および二量体の変化を反映していた。
スクロース、メチオニン、グリシン、およびマンニトールの様々な組合せをClfAと共に配合し、続いて、加速安定性試験によってClfAの安定性について試験した。加速安定性試験は、配合物(液体または凍結乾燥)を予定される貯蔵温度よりも高い温度で保管し、ClfAタンパク質を分解の兆候について経時的に監視することを含む。凍結乾燥したClfAの場合、推奨される貯蔵温度は2〜8℃であり、したがって、25℃および37℃は「加速」条件とみなされる。それぞれが0.300mg/mlのClfA、10mMのコハク酸塩、pH6.0、およびポリソルベート80を含有し、かつスクロース、メチオニン、グリシン、およびマンニトールの様々な組合せを含有する、8つの配合物(表13を参照)を作製して、(1)ClfAの凍結乾燥前の液体安定性、(2)凍結乾燥したケークの安定性、および(3)凍結乾燥したケークの化粧性に対するその効果を検査した。メチオニンはタンパク質の酸化を防止するその能力、グリシンは排除体積を介したその一般的な安定化属性、マンニトールはケークの化粧性を改善させるその性向のために選択された。液体配合物を加速安定性上に配置し、1週間にわたってSE−HPLCによって、および2週間目にRP−HPLCで監視した。凍結乾燥したケークは2〜8℃および37℃で保管し、2カ月目に監視した。ケークの化粧性は、スクロースのみの配合物と比較して視覚的に評価した。
2〜8℃、25℃、および37℃で1週間後の液体試料のサイズ排除データにより、検査した賦形剤はどれも、スクロース単独の対照(配合物−109−1)と比較してClfAの安定性(切断に関して)を改善させなかったことが示された。t=0では、すべての配合物は非常に類似したプロフィールを有していた。すべての配合物は、分解生成物によって引き起こされた、主ピークに隣接するより小さなピークの同時発生的な増加に連関して、主ピーク高のわずかな損失を温度の関数として示した。様々な賦形剤の存在は、スクロース単独の配合物を超えるどのような顕著な改善も示さなかったことが観察された。
さらに、配合物を凍結乾燥し、ケークの化粧性について検査した。スクロースのみの対照と比較して、試験した割合の賦形剤はどれも、ケークの視覚的品質のどのような改善も提供しなかった。また、凍結乾燥したケークを安定性試験にも供し、SE−HPLCを用いて2〜8℃および37℃で2カ月間後の分解(切断)について検査した。結果により、すべての配合物が安定であったことが示された。
ClfA凍結乾燥薬物製品の配合物:凍結融解
凍結融解研究をいくつかのClfAタンパク質のロット(すなわち、L40184−63、−64および−65)で行った。配合物は、0.2mg/mlのClfA、10mMのコハク酸塩、pH6.0、4.5%のスクロースw/vおよび0.01%のポリソルベート80v/vを含んでいた。研究は3つの部門に分割した:(1)配合していないClfA(原薬)の3×凍結融解、(2)配合したClfA(薬物製品)の3×凍結融解、および(3)原薬を3回凍結融解し、それぞれの解凍後に薬物製品に配合した。分析はSE−HPLCを用いて行った。
研究の目的は、複数の凍結融解後にタンパク質の安定性を原薬および薬物製品として評価することであった。SE−HPLCを用いて試料をそれぞれの解凍後に分析して、ClfAの分解(切断)の任意の変化を検出した。3つの凍結融解現象は、検査した3つのロットうちの2つで、3回目の解凍までに分解の増加を示さなかったことが観察された。1つのロットは特に、他のものよりも大きな分解の変化を示した。
ClfA/CP5/CP8(三抗原)の凍結乾燥薬物製品の配合物
凍結乾燥によるClfAの安定化の成功に基づいて、ClfAをCP5およびCP8ブドウ球菌(Staphylococcus)抗原ならびにCRMコンジュゲートと合わせることによって、さらなる薬物製品を配合した。液体配合物(凍結乾燥前または再構成後)の一部の実施形態は、0.5mlの生成物あたり200μgのrClfAmならびにそれぞれ100μgのCP5−CRM197およびCP8−CRM197コンジュゲートを含有する。一部の実施形態では、液体配合物は、0.5mlの生成物あたり100μgのrClfAmならびにそれぞれ50μgのCP5−CRM197およびCP8−CRM197コンジュゲートを含有する。
スクロース、マンニトールおよびトレハロースを含めた様々な充填剤を評価した。混合研究、ケークの化粧性および短期的な液体安定性に基づいて、スクロースが最良の安定性をもたらすことが観察された。
3つのロットに基づいた様々なpHでの液体配合物の短期的な加速安定性により、pH6.0が最適であることが示唆された。CP5−およびCP8−のCRM197コンジュゲートは、5.0〜7.0のpH範囲内で安定であった。
コハク酸塩およびヒスチジンを含めた、pH6付近を緩衝する様々な緩衝系を試験した。ヒスチジンまたはコハク酸塩緩衝液を用いてrClfAmの融解温度(Tm)の相違は観察されなかった。どちらの緩衝液も、CP5およびCP8のCRM197コンジュゲートのどちらにも適合していた。10mMのコハク酸塩緩衝液(pH6.0)を選択して、先に進めた。
ポリソルベート80(PS80)を攪拌研究において潜在的な安定化剤として試験した。攪拌研究は、一般に二量体またはより高次のオリゴマーの増加をもたらす場合がある、輸送の剪断およびストレスを模倣する。これらの実験の結果は、PS80がClfAの凝集を防止することを示唆している。0.01%(0.005〜0.15%)のポリソルベート80を選択して、先に進めた。
凍結乾燥した生成物の再構成には、生理的な重量モル浸透圧濃度(すなわち250〜300mOsM)を達成する希釈剤を選択した。一実施形態では、60mMのNaClを希釈剤として選択した。再構成後に0.5mLの用量を送達する能力に基づいて、0.64〜0.66mL/バイアルの充填体積を選択した。0.5mLの用量を送達するために0.64〜0.66mLの再構成体積を確実にするために、0.66〜0.68mL/シリンジの充填体積を選択した。
凍結乾燥した三抗原ケークを再構成して約300mOsMのほぼ生理的な重量モル浸透圧濃度を達成するために、希釈剤の配合は60mMで最適であると決定された。配合物中の4.5%のスクロースは、液体薬物製品の重量モル浸透圧濃度に顕著に寄与し、追加の塩をまったく用いずに約200mOsMの重量モル浸透圧濃度を与える。
凍結乾燥のパラメータは、メルトバックまたは縮みのない、60mMのNaClで再構成した際にpH6.0±0.3を有する透明な溶液をもたらす、白色かつ綿毛状のケークが作製されるように選択した。
三抗原薬物製品の配合プロセス
10mMのコハク酸塩、pH6.0、4.5%のスクロース、および0.01%のポリソルベート80を含む例示的な液体配合物を作製し、Milliporeの0.22μmのPVDF膜で濾過し、650μL/2mLのバイアルで分注し、以下に記載のサイクルを用いて凍結乾燥した。凍結乾燥したケークを、希釈剤として60mMのNaClで事前に充填されたシリンジを用いて再構成した。
一実施形態では、液体配合物を以下のように構築した:(a)25%のスクロース、100mMのコハク酸塩、pH6.0、1%のPS80、およびWFIを合わせて、10mMのコハク酸塩、4.5%のスクロースおよび0.01%のPS80を得た。(b)適切な量のrClfAm、CP5コンジュゲートおよびCP8コンジュゲートを(a)の混合物に加え、その後、これを(c)0.22μmフィルターに通して滅菌した。(d)凍結乾燥バイアルをそれぞれ0.65ml±0.1mlの濾過した溶液で充填し、(e)表14のパラメータに従って凍結乾燥し、(f)共栓し、(g)密封し、(h)ラベル貼付した。凍結乾燥した薬物製品は2〜8℃で保管した。
2つの実験設計を実施して、配合プロセス、濾過後の回収率、および凍結乾燥に対する活性および不活性成分の影響を決定した。主要な変数は、rClfAmならびにCP5およびCP8コンジュゲートの濃度であった(標的の±30%)。配合から凍結乾燥までのこれらの構成要素の全体的な回収率は、すべての配合物で95%を超えることが示された。データ分析(DESIGN EXPERTソフトウェアを使用)により、以下のことが示唆された:(a)rClfAmの純度はアッセイ限界内のrClfAmの濃度によって影響されず、低用量(70μg/ml)は約93%の最大の測定純度を示し、高用量(520μg/ml)は約97%の最大の測定純度を示した、(b)CP5およびCP8コンジュゲートの濃度は個々のコンジュゲートの回収率に影響を与える場合があるが、それにもかかわらず、アッセイ能力内に保たれる、および(c)3つの構成要素はすべてPS80の濃度によって影響を受けない。結果を表15に示す。
他の実験では、pH(5.7〜6.3の範囲、標的は6.0)、コハク酸塩(5mM〜15mM、標的は10mM)、ポリソルベート80(0.005%〜0.15%、標的は0.01%)、およびスクロース(3.0%〜6.0%、標的は4.5%)を配合物中で変動させた。表16に示す結果は、活性薬物製品の許容基準(rClfAm(397±6.7μg/mL)、CP5−CRM197コンジュゲート(179.8±64.0μg/mL)、およびCP8−CRM197コンジュゲート(188.2±10.5μg/mL))が制御範囲内にあることを示している。
代表的な配合物ロットのデータを表17および18に示す。3つの代表的なロットを高用量(400μg/mLのrClfAm、それぞれ200μg/mLのCP5−およびCP8−CRM197コンジュゲート)で、2つを低用量(200μg/mLのrClfAm、それぞれ50μg/mLのCP5−およびCP8−CRM197コンジュゲート)で配合、充填および凍結乾燥した。配合物は、純度、強度、水分、外見およびpHについて十分に標的の許容基準内にある。これらのデータを用いて中レベルの用量を一括した。
三抗原薬物製品の安定性
安定性アッセイを6つの凍結乾燥した三抗原配合物のロットで行った。主要なアッセイの一部は、rClfAmの強度および純度のための逆相クロマトグラフィー(たとえばRP−HPLC)、ならびにCP5−CRM197およびCP8−CRM197の強度のための比濁分析であった。凍結乾燥したケークを2℃〜8℃、25℃および37℃に置き、選択された時点で分析した。ケークは試験の直前に再構成した。試験結果では、乾燥した形態で4週間後に、rClfAmの強度(濃度)または純度およびコンジュゲートの強度(抗原性)に変化は見られなかった(図8および9)。また、rClfAmの濃度および純度、ならびにCP5−CRM197/CP8−CRM197の濃度(抗原性)も、3カ月間もの期間の間、それぞれRP−HPLCおよび比濁分析によって決定した。2℃〜8℃で保管した試料で行った直線回帰分析により、試料が最低6カ月間は安定であることが示されている(図8および9)。試料は、高(L36686−3−1およびL36686−25)ならびに低(L36686−3−2およびL360510195−2)用量の両方で試験した(表19〜22)。
また、短期的安定性アッセイも行った。凍結乾燥した三抗原配合物を60mMのNaCl希釈剤で再構成し、室温で様々な時間の間インキュベーションし、t=0、4時間および24時間の時点を、rClfAmの強度および純度、ならびにCP5−CRM197/CP8−CRM197の強度について分析した(表23〜25)。高用量(400μg/mLのrClfAm、200μg/mLのCP5−CRM197および200μg/mLのCP8−CRM197)ならびに低用量(200μg/mLのrClfAm、50μg/mLのCP5−CRM197およびCP8−CRM197)の配合物を検査した。図10に見られるように、どちらの用量も、室温で24時間での構成要素の安定性を示す(再構成後)。
また、凍結融解研究も行った。高用量の三抗原薬物製品(400μg/mLのrClfAm、200μg/mLのCP5−CRM197および200μg/mLのCP8−CRM197)を3回の凍結融解サイクルに供し、rClfAmの強度および純度、ならびにCP5−CRM197/CP8−CRM197の強度について分析した。それぞれの構成要素で濃度の変化は事実上観察されず、これは、薬物製品の活性構成要素が3回のサイクルにわたって安定であることを示唆している(図11、表26)。
ClfA/CP5/CP8/MntC(四抗原)薬物製品:ClfAの特徴づけ
三抗原配合物中のClfAの安定化の成功は、黄色ブドウ球菌(S.aureus)MntCタンパク質をさらに含む配合物の開発に通じた。さらに、クランピング因子Aは、T7タグ付けした型(rClfAm)からタグを有さないもの(rmClfA)へと更新された。CP5−およびCP8−CRM197は、担体タンパク質および糖反復単位に関して同じに保たれた。
薬物製品の構成要素への様々な変化が原因で、4つの活性構成要素すべてに適合した新しい薬物製品を配合するために、系統的かつ合理的な手法を採った。活動には、抗原のプレフォーミュレーション特徴づけ、配合物の構成要素の理論的根拠の開発、配合された薬物製品の安定性および頑健性の実証、ならびに配合プロセスの開発が含まれていた。研究は、以下の用量を中心として設計した:
1.400/400/200/200μg/mLのrmClfA/MntC/CP5−CRM197/CP8−CRM197、および
2.200/200/100/100μg/mLのrmClfA/MntC/CP5−CRM197/CP8−CRM197。
複数の直交法(円二色性、蛍光、毛細示差走査熱量およびOD350)を用いた生物物理学的な特徴づけを、2つのrClfAmのロット(L40184−77およびL40256−26、基質:10mMのコハク酸塩、pH6.0、20mMのNaCl)ならびに2つのrmClfAのロット(L40227−36およびL40256−28、基質:10mMのヒスチジン、pH6.5)で行った。生じるデータにより、1)rClfAmおよびrmClfAの間の比較可能性、2)それぞれのrClfA構築体内のロット間の一貫性が示され、3)pH作業範囲のフレームワークが提供され、先に進めた。
円二色性(CD)は、様々なrClfAのロットをpH6.0および7.0で比較するためのツールとして使用した(図12)。両方のpHでのCD走査により、スペクトルのオーバーレイに基づいて、すべての試験したrClfAmおよびrmClfAのロットが類似の二次構造を有することが示された。さらに、タンパク質のCD融解を行って、ロットの熱安定性をpHの関数として比較した。図13に見られる結果は、すべてのロットが二次構造のコンテキストで比較可能であることを示している。また、結果は、この方法に基づいてpH5.0〜7.0が最適な配合範囲であることも示唆している。
固有のトリプトファン蛍光を用いて、rClfAmおよびrmClfAの三次構造に関する情報を得た。両方のタンパク質のロットをpHの関数としての蛍光融解に供して、熱安定性を評価した。rClfAはタンパク質の同じN3ドメイン上に位置する2つのトリプトファンを保有しており、したがって、この方法によって供給されるデータはこの領域に局在化されていることに注目することが重要である。図14Aは、すべての試験したrClfAのロットが比較可能な熱安定性を保有していることを示しており、構造も類似していることを暗示している。また、外的蛍光融解も、複数のrClfAロットで、疎水性色素、8−アニリノ−1−ナフタレンスルホネート(ANS)を用いて行った。タンパク質構造が温度の増加に伴って展開されるにつれて、ANSが新しく曝露されたタンパク質の疎水性パッチと結合し、発光強度が増加する。図14Bでは、ANSシグナルに基づく融解温度は、試験したすべてのタンパク質ロットにおいてpHの関数として類似である。DSCデータにより、すべての試験したrClfAのロットの融解温度がpHの関数として類似であったこと(図15)、およびpH5〜7が良好な範囲であることが確認され、先に進めた。また、OD350を用いて、凝集も温度およびpHの関数として監視した(図16)。rmClfAロットL40256−29(基質:10mMのヒスチジン、pH6.5)のpHの関数としての融解により、この方法によって検出された凝集現象は、pH4.0でのものだけであったことが示された。
2つの原薬ロット(L40256−28、L40256−29)を使用して、コハク酸塩ではなくヒスチジン中のrmClfAの液体安定性をpHの関数として評価した。この配合物は、400μg/mLのrmClfA、10mMのヒスチジン(5.5〜7.5のpH範囲)、4.5%のスクロースおよび0.01%のポリソルベート80からなっていた。2つの追加の配合物は、ヒスチジン、pH6.5との比較としての10mMのコハク酸塩、pH6.5、および高pHの検査としての10mMのリン酸塩、pH8.0からなっていた(どちらの配合物も、4.5%のスクロースおよび0.01%のPS80も含有していた)。サイズ排除HPLCを用いて、rmClfAの切断を6週間、25℃で監視した。結果により、ヒスチジン、pH約6.5が、−28および−29のどちらのロットにおいても最も遅い分解速度を示したことが示された(図17A)。この速度は、コハク酸塩、pH6.6の配合物のそれと一致しており、ヒスチジンがコハク酸塩と同程度にrmClfAに適合していることを示している。さらに、研究全体にわたってすべての配合物のpHは安定に保たれ、OD350によって凝集は検出可能でなかった(図17B)。
四抗原薬物製品:MntCの特徴づけ
加水分解を介した分解を受けやすいClfAとは異なり、MntCは脱アミド化によって分解される。したがって、一定範囲のpHにわたってMntCの安定性を決定することが重要であった。MntCを用いて行った固有のトリプトファン蛍光実験により2つの主要な現象が起こっていたことが示され、Tm1は40〜55℃であり、Tm2は65〜75℃であった(図18)。Tm1を追跡すると、pH5.0および6.0が最高であり、次いでpH7.0であった。データにより、5.0〜7.0の作業pH範囲が示された。また、代表的なMntCのロットを用いたDSCも行った。代表的な温度記録は2つの主な熱イベントを例示しており、これをさらに逆重畳することができる(図19)。第1の融解温度(Tm1)を追跡すると、pH5.0および6.0が最高の熱安定性を有しており、次いでpH7.0であることが明らかである(図19)。蛍光結果と一致して、これらのデータは5.0〜7.0の作業pH範囲を示唆している。OD350データもこれらの観察を支持している(図20)。IEX−HPLCによる脱アミド化の分析により、高いpHおよび高温がMntCの脱アミド化の速度を増加させたことが確認された。
四抗原薬物製品:配合物の開発(緩衝液)
上述の三抗原配合物中では、CP5およびCP8コンジュゲートの原薬はpH7.0のコハク酸塩中で提供した。しかし、コハク酸塩緩衝系は、より低いpHでは良好な緩衝能力を提供しなかった。したがって、CP5およびCP8コンジュゲートをpH6.7の10mMのヒスチジン中で再配合した実験を行った。コンジュゲートの原薬はpH<6.5で良好に濾過されず、遅い濾過およびコンジュゲートしたタンパク質の損失をもたらすため、6.5よりも高いpHが好ましかった。これが、ヒスチジン中のrmClfA、MntC、および薬物製品の配合物を均質性について評価するための駆動力となった。
プレフォーミュレーション特徴づけ研究から、rmClfAおよびMntCのどちらのpHの作業範囲も5〜7であったことが確認された。コンジュゲートのDS基質をヒスチジンに変えたことで、薬物製品においてこの緩衝系を評価することが必要となった。抗原の分解速度を、四抗原配合物として、時間の関数として評価して、最適な配合pHを確立した。攪拌実験を実施して、配合物中の界面活性剤の必要性を決定した。凍結乾燥に目を向けて、安定化剤および充填剤を抗原との適合性について評価した。
400/400/200/200μg/mLのrmClfA/MntC/CP5−CRM197/CP8−CRM197からなる高用量の四抗原配合物を、pHの関数としてヒスチジン緩衝液中で調製した。RP−HPLCを用いてrmClfAタンパク質の分解を検出し、IEX−HPLCを用いてMntCの脱アミド化を検出した。図21は、2つのタンパク質の代表的なクロマトグラムおよびこれらをどのようにして分解された種について監視したかを例示している。rmClfAでは、切断されたタンパク質断片は主なタンパク質ピークの右側に現れた一方で、MntCでは、脱アミド化されたピークは主ピークの左側に見つけることができる。どちらのタンパク質も、図21中に25℃で経時的に分解されると示されている。
配合物の安定性を、2〜8℃で0、1および2週間、ならびに25℃で0、3および7日間の間監視した。25℃で、rmClfAは、pHの増加がタンパク質の切断の速度を減少させたことを示した(図22AおよびB)。逆に、pHの増加はMntCの脱アミド化の速度を減少させた(図22CおよびD)。どちらの機構も2〜8℃で顕著に抑制されたが、pH依存性の傾向は一貫して保たれたままであった。
CP5−およびCP8−CRM197コンジュゲートの抗原性を、様々なpHで、2〜8℃および25℃で、比濁分析を用いて監視した。2〜8℃では、どちらのコンジュゲートでも、実験の2週間の期間の間抗原性が維持された(図23AおよびB)。25℃では、CP5−CRM197は1週間後に変化を示さなかったが、しかし、CP8−CRM197はpH5.5でおよそ18%の抗原性の減少を示した(図23CおよびD)。
四抗原薬物製品:配合物の開発(充填剤)
400/400/200/200μg/mLのrmClfA/MntC/CP5−CRM197/CP8−CRM197を含み、1)4.5%のスクロース、2)4.5%のトレハロース、3)3%のマンニトール/1%のスクロース、4)3%のマンニトール/1%のトレハロース、5)3%のグリシン/1%のトレハロース、6)3%のグリシン/1%のトレハロースおよび7)4.5%のスクロース、PS80なしを含有する配合物を、安定性について試験した。すべての配合物は、10mMのヒスチジンおよび0.01%のポリソルベート80を含有しており(配合物7は例外)、配合物の測定pHは6.3であった。配合物をFlurotecでコーティングした4432/50共栓を備えたSchott1型2mLのバイアルに分注し、バイアルを6日間、室温で穏やかに遥動した。
すべての遥動後の試料のOD350測定値は、凝集した種の増加を示さなかった(図24B)。重量モル浸透圧濃度の測定値により、グリシン含有配合物が290mOsmの生理的な重量モル浸透圧濃度を超えた値を有していたことが明らかとなった(図24A)。回収率は、ClfAおよびMntCは>98%、CP5−CRM197は>95%、およびCP8−CRM197は>93%であり、これらはすべて、アッセイのばらつきの範囲内であった。MntCの脱アミド化を監視するためのIEX−HPLC分析は、6日間の遥動後に増加を示したが、すべての配合物が同様の速度を示し、どの特定の賦形剤または賦形剤の組合せがプロセスを改善も加速もしないことを示している。最後に、MntCおよびrmClfAのRP−HPLC分析は、クロマトグラムプロフィールの顕著な変化を示さなかった。
高い重量モル浸透圧濃度が原因で、グリシン含有試料は賦形剤候補のリストから排除した。表27中の配合物によって記載されているように、スクロース、トレハロース、マンニトールおよびグリシンを凍結乾燥した生成物として評価した。配合物を凍結乾燥し、それぞれを2〜8℃、25℃、37℃および50℃での安定性について試験した。図25Aの高用量のRP−HPLCデータは、2〜8℃、25℃および37℃で1カ月後に変化を示さなかった。50℃では、rmClfAは前方の肩ピークに増加を示し、マンニトール/スクロースの構成が最も大きな変化を示した。さらに、MntCの前方の肩ピークもマンニトール/スクロースの配合物中で増加した。低用量では、どちらのrmClfAの前方の肩ピークにおいても変化が見られたが、ここでも、マンニトール/スクロースの配合物でより大きな増加が実証された(図25B)。
また、IEX−HPLCを使用してMntCの品質も監視した。図25Cでは、高用量の2〜8℃の安定性試料は、1カ月後にどの配合物でも変化を示さない。25および37℃に保持した試料は同様の結果を生じた(示さず)。しかし、50℃では、高および低用量はどちらも、マンニトール/スクロースの組合せでプロフィールの最大の変化を示した。CP5およびCP8コンジュゲートの比濁分析結果は、1カ月後にどの温度でも抗原性のどのような変化も示さなかった。
スクロースがこれらの実験のリード賦形剤候補であったため、10mMのヒスチジン、pH6.5および0.01%のPS80を一定に保ち、スクロースの濃度を2.0〜7.0%の範囲にわたって変動させた薬物製品基質を配合し、凍結乾燥した。主要な読取り値は、一次乾燥ステップの乾燥時間、外見、および水分であった。試験結果により、三抗原配合物中で使用した3〜6%のスクロース濃度範囲が四抗原配合物でも許容できることが示された。
四抗原薬物製品:配合物の開発(ポリソルベート80)
1)ポリソルベート80の必要性を決定するため、および2)配合物の頑健性を確認するために、攪拌実験を設計した。表28に記載のように、一価およびSA4agの配合物を、0、0.01、および0.03%のPS80を用いて評価した。試料をflurotecでコーティングした4432/50共栓を備えたSchott1型2mLのバイアル内に分注し、24時間、室温で、VWR渦攪拌器(モデルDVX−2500、500RPMのパルスモード)を用いて攪拌した。攪拌した試料と並行して、攪拌していない対照を室温に24時間置いた。それぞれの配合物について複数のバイアルをプールして分析した。
抗原の濃度を、攪拌後の回収率について検査した。4つすべての抗原の攪拌後のデータは濃度の変化を示さず、これは、PS80を含有しない配合物を含めたどの試料でも損失がなかったことが実証されている(図26AおよびB)。RP−HPLCを用いたrmClfAおよびMntCの純度の分析により、攪拌後にどちらのタンパク質でも変化がないことが明らかとなった(図26C)。IEX−HPLCを用いたMntCの純度により、PS80のレベルを比較した場合に一価配合物の攪拌の減少が示された(脱アミド化による)(図26D)。MntCのIEX−HPLCの純度データからの1つの興味深い観察は、一価配合物として、分解の速度(脱アミド化に対応する)が四抗原配合物中のMntCと比較して顕著であることである。すべての配合物が同じ緩衝液基質を共有していたことを考慮すると、MntCが別の抗原と相互作用し、これがタンパク質の脱アミド化速度を遅くした可能性がある。また、配合物のpH値も一定に保たれ(図26E)、OD350測定値により攪拌後の凝集の増加は明らかとならなかった(図26F)。
四抗原薬物製品:凍結乾燥
TA Instrumentsの改変示差走査熱量計(mDSC)を用いて凍結乾燥前の液体配合物のガラス転移を得て、Tg’値を表29中に報告する。ロットL44130−39−1および39−2は、4.5%のスクロースを含有する高および低用量の標的配合物を表す。ロットL44130−45試料は標的スクロース濃度を一括し、3%または6%の賦形剤を含有する。これらの試料は、L44130−39−1の高および低用量(+30%および−30%)を一括したClfA/CP5−CRM197/CP8−CRM197/MntCの濃度を含有する。すべての配合物は−33〜−35℃のTg’値を与え、これは、文献に報告されているようにスクロースに典型的である。
凍結乾燥した試料のTg値を表30に報告する。凍結乾燥したケークが大気から水分を獲得することを防止するために、試料を開封し、乾燥グローブボックス中のアルミニウム気密性DSCパンに移して密封した。測定された値は65〜70℃の範囲内であり、これはスクロース配合物に典型的である。
2つの配合物は類似しており、どちらもスクロースを充填剤として使用しているため、凍結乾燥サイクルは、SA3ag薬物製品で使用したサイクルに基づくものであった。表31は、四抗原配合物の生成に使用した凍結乾燥サイクルの範囲を定義している。
凍結乾燥研究は、以下のパラメータを比較することによって行った:
1.4.5%のスクロース対4%のマンニトール/1%のスクロース、および
2.保守的な凍結乾燥サイクル対より速い積極的なサイクル。
試料を一価の薬物製品の配合物および四抗原配合物のどちらとしても評価した。すべての配合物には、10mMのヒスチジン、pH6.5、および0.01%のPS80が含まれていた。用量は、rmClfAおよびMntCでは400μg/mL、CP5−およびCP8−CRM197コンジュゲートでは200μg/mLであった。凍結乾燥の前および後の配合物を、以下のアッセイを用いて比較した:外見、pH、MntCの脱アミド化のためのCEX−HPLC、MntCおよびrmClfAの純度のためのRP−HPLC、コンジュゲートの回収率のための比濁分析、水分、沈殿物を検出するためのOD350、ならびに構造的評価のための示差走査熱量(DSC)。使用したサイクルは表32および表33に記載されている。
ケークの外見を表34に記載する。すべてのマンニトール含有ケークは、どちらのサイクルでも視覚的に洗練されたケークを与えた。スクロース配合物は、長いサイクルでは予想どおり許容できるケークを示したが、短い積極的なサイクルでは、部分的に崩壊したケークを生じた。ケークの水分含有率のデータにより、すべての配合物が<1%であったことが明らかとなったが、しかし、マンニトール含有試料は、一般にスクロース単独よりも低い水分を有していた。図27AのRP−HPLCのオーバーレイは、凍結乾燥の前および後でrmClfAおよびMntCの純度の変化を示さず、また、比濁分析結果も、サイクルまたは賦形剤にかかわらず、凍結乾燥後のCP5−CRM197(図27B)およびCP8−CRM197(図27C)の抗原性に変化がないことを明らかにした。図27DおよびEは、MntCの脱アミド化された種が四抗原配合物で凍結乾燥後に約2.5%に維持されることを実証している。pHは凍結乾燥後に同じに保たれ、どの凍結乾燥後の試料でも注目に値するOD350増加は検出されず、これは沈殿物の非存在を示している。しかし、OD350では小さな可溶性の凝集体の発生は検出されないことに注目することが重要である。DSCデータにより、融解温度の変化を欠くことによって証明されるように、抗原(rmClfAおよびMntC)の構造的な撹乱は、どちらのサイクルの結果としても促進されないことが示された(図27F)。コンジュゲートは、強力な融解シグナルを生じないため、監視しなかった。最後に、Luminexアッセイを用いて抗原の%in vitro相対的効力を凍結乾燥の前および後で比較した。rmClfAを一価および四抗原の配合物のどちらでもアッセイしたが、四抗原の組合せは干渉を生じたため、コンジュゲートは一価配合物としてのみアッセイした。結果により、すべての分析した試料(マンニトールおよびスクロース)は凍結乾燥の前および後を比較した場合に十分にアッセイの誤差範囲内に(遅いおよび速いサイクルのどちらでも)、また、rmClfA(図27G)およびコンジュゲート(図27H)がこれらの条件下で安定であったことが示された。
四抗原薬物製品:再構成
再構成希釈剤は、注射用水(WFI)中の60mMのNaClであることを選択した。図28は、この希釈剤で再構成した場合に、高用量(400/400/200/200μg/mLのrmClfA/MntC/CP5−CRM197/CP8−CRM197)および低用量(200/200/100/100μg/mLのrmClfA/MntC/CP5−CRM197/CP8−CRM197)がどちらも生理的な範囲の重量モル浸透圧濃度を示すことを実証している。選択した再構成体積は0.7mLであり、その結果、0.73mLの最終体積が生じる。
60mMのNaClで再構成した後、高および低用量の四抗原ワクチンを安定性研究のために2〜8℃および25℃で48時間保持した。図29Aのデータは、RP−HPLCによって検出されたMntCの純度が、2〜8℃および25℃で48時間の間変化せずに保たれたことを示す。rmClfAは2〜8℃で48時間安定であったが、25℃では、純度が24時間の時点で減少した(図29B)。IEX−HPLCを用いてMntCの純度を監視し、その減少は脱アミド化の増加を示す(図29C)。タンパク質は2〜8℃で安定に保たれ、名目上の純度の減少は<2%であった。25℃では、MntCは4時間の間安定に保たれたが、24時間後に純度が顕著に減少した(90%未満)。データの動力学的分析により、以下が示された:MntCでは2〜8℃および25℃でそれぞれ0.03%および0.26%の分解/時(図29D)、ならびにrmClfAでは2〜8℃および25℃でそれぞれ0.01%および0.16%の分解/時(図29E)。追加のデータにより、抗原の濃度が48時間後にいずれの温度でも変化しなかったことが示された(図30A〜D)。また、pHも48時間の間、同じに保たれた(図30E)。
再構成後のワクチンは、4つすべての抗原について、再構成後のワクチンの分析に基づいて、室温で4時間の間および2〜8℃で24時間まで安定であった。
四抗原薬物製品:凍結乾燥後の回収率
四抗原配合物の凍結乾燥プロセス後の回収率は、2組の研究(2つの高用量および2つの低用量)を用いて評価し、プロセスは、配合、濾過、充填、および凍結乾燥からなっていた。図31AおよびBは、凍結乾燥後に抗原のいかなる損失も存在しなかったことを示している。同様に、図31CおよびDは、凍結乾燥後の試料中のrmClfAまたはMntCの純度に変化が存在しなかったことを示している。
四抗原薬物製品:配合物の安定性
1)400/400/200/200μg/mLのrmClfA/MntC/CP5−CRM197/CP8−CRM197、
2)200/200/100/100μg/mLのrmClfA/MntC/CP5−CRM197/CP8−CRM197、または
3)40/40/20/20μg/mLのrmClfA/MntC/CP5−CRM197/CP8−CRM197
を用いた四抗原配合物を、2〜8℃、25℃、および37℃で安定性について試験した。配合物(1)および(2)は3つの温度で6カ月間安定であった。配合物(3)は2〜8℃で5カ月間の安定性を実証した(表35)。この研究に使用した原薬は、rmClfAはL40256−30(四抗原の代表的なロット)、MntCはL44124−64(四抗原の代表的なロット)、CP5−CRM197は7CP5C−1002(三抗原の代表的なロット)およびCP8−CRM197はG−C8−3−9(三抗原の代表的なロット)であった。
表36は、安定性を研究するために使用した四抗原の凍結乾燥した配合物のロットを記載している。
表37および表38は、それぞれ高および低用量の6カ月間の安定性データの要約を示す。6カ月後、どちらの用量も同じケークの外見を維持しており、希釈剤で迅速に再構成され、pHは6.5±0.3に保たれており、水分は<1.5%に保たれていた。rmClfA、MntC、CP5−CRM197およびCP8−CRM197の強度は変化しなかった。さらに、rmClfAおよびMntCの純度値はt=0に対して維持されていた。四抗原の高および低用量の配合物は、長期的および加速の貯蔵条件で3カ月間の間安定であると示される。同様に、2つの用量レベルでの第2の配合物の組は、2〜8℃、25℃、および37℃で6カ月間の間安定を示した(表39および表40)。データに基づいて、これらの試料の提案された貯蔵寿命は12カ月間である。
2〜8℃での凍結乾燥した薬物製品基質の、6カ月間の安定性試験により、試験したすべてのパラメータが研究の期間にわたって保たれたことが示された(表41)。薬物製品基質の提案された貯蔵寿命は12カ月間である。
凍結乾燥した四抗原の毒性学的な高用量(L44130−39−1)および低用量(L44130−39−2)配合物を0.7mLの60mMのNaCl希釈剤で再構成し、2〜8℃および25℃で安定性について試験した。試料をt=0、4および24時間に分析した。重大なアッセイは、pH、RP−HPLCによるrmClfAの純度、IEX−HPLCによるMntCの純度、IEX−HPLCによるrmClfAおよびMntCの強度、ならびに比濁分析によるCP5/CP8コンジュゲートの抗原性であった。監視した分解の主な機構は、rmClfAのタンパク質切断およびMntCの脱アミド化であった。図32AおよびBでは、どちらの組換えタンパク質の純度も、どちらの用量でも2〜8℃で24時間の間維持される。25℃でのインキュベーションでは、どちらのタンパク質の純度も4時間の間変化せずに保たれたが、24時間で減少した。また、タンパク質(図32C、D)およびコンジュゲート(図32E、F)の強度、ならびにpH(図32G)も、2〜8および25℃で24時間後に一定であった。要するに、再構成後の配合物の分析に基づいて、4つすべての抗原の配合物は、再構成後に、室温で4時間の間および2〜8℃で24時間の間安定であった。
四抗原薬物製品:エッジ研究
配合物の頑健性を実証するために高および低配合物の構成要素を一括するために、エッジ研究を設計した。表42に配合物を詳述する。活性構成要素は、高用量(400/400/200/200μg/mLのrmClfA/MntC/CP5−CRM197/CP8−CRM197)よりも30%高い、および低用量(200/200/100/100μg/mLのrmClfA/MntC/CP5−CRM197/CP8−CRM197)よりも30%低いとして変動させた。不活性構成要素は、pHは6.0〜7.0、ヒスチジンは5〜15mM、スクロースは3〜6%、およびPS80は0.005〜0.015%の範囲で変動させた。
エッジ配合物を凍結乾燥し、2〜8℃、25℃および37℃で安定性を保った。表43〜46に示す結果は、すべてのエッジ配合物が3つの温度で3カ月間の間安定であったことを示しており、四抗原配合物の頑健性を確認している。
四抗原薬物製品:凍結融解安定性
四抗原の高用量(L44130−88−1)および低用量(L44130−88−2)の凍結乾燥前の液体配合物を、Schott1型バイアル中で4回のサイクルで凍結融解した。試料を毎回少なくとも24時間、−70℃で凍結し、その後、室温で解凍した。解凍サイクル中、解凍された液体配合物が室温で長時間放置されないように、バイアルを綿密に監視した。これは、配合物が室温でインキュベートされた結果としてのrmClfAおよびMntCの脱アミド化のいかなるクリッピングもデータに反映されないことを確実にするために、行った。それぞれの凍結融解の組(3つ組で行った)をプールし、rmClfAおよびMntCの純度にはRP−HPLC、rmClfAおよびMntCの濃度にはIEX−HPLC、MntCの純度にはIEX−HPLC、ならびにCP5およびCP8コンジュゲートの濃度には比濁分析によって分析した。4回の凍結融解サイクル後、RP−HPLCによるrmClfAおよびMntCの純度(図33A)ならびにIEX−HPLCによるMntCの純度(図33B)は変化しなかった。同様に、抗原の濃度(図33CおよびD)およびpH(図33E)は、4回の凍結融解サイクル後に一貫して保たれた。
四抗原薬物製品:攪拌後の安定性
攪拌後の安定性を測定する研究の目的は、0.01%のポリソルベート80を含有する四抗原配合物が、容器施栓系へのいかなる吸着の問題も示さないことを確実にすることであった。高用量の凍結乾燥前の四抗原配合物(L44130−100)を、0、0.01%、および0.03%のポリソルベート80を用いて調製し、試料を24時間、室温で、凍結乾燥バイアル/共栓容器施栓中で攪拌した。対照試料は、攪拌せずに同じ周囲温度に置いた。攪拌には、VWR DVX−2500マルチチューブ渦攪拌器を500RPMのパルスモードに設定した。ポリソルベート80の濃度は0〜0.03%の範囲にわたって一括した。
主要なアッセイには以下が含まれいた:rmClfAの切断およびMntCの分解(脱アミド化を除く)の検出のためのRP−HPLC、MntCの脱アミド化の監視のためのIEX−HPLC、4つの抗原の濃度、ならびにpHおよびOD350。図34AおよびBは、rmClfAおよびMntCの純度が攪拌後に同様に保たれていたことを示す。また、図34CおよびDには、4つすべての抗原が攪拌後に回収されたことも示されている。pHは維持されており(図34E)、OD350によって監視されるように、攪拌は抗原の凝集を促進しない(図34E)。すべてのデータは、配合物が凍結乾燥の容器施栓系に適合していることを示している。
凍結乾燥の容器施栓はシリコンを含有しないが、配合物は、ワクチンを再構成および送達するために使用されるガラスシリンジの共栓上のシリコンと接触する。
四抗原薬物製品:ISCOMATRIX(商標)研究
高用量の四抗原配合物(400/400/200/200μg/mLのrmClfA/rP305A/CP5−CRM197/CP8−CRM197)の安定性を、20単位/mLのISCOMATRIX(商標)を含む10mMのヒスチジン、pH6.5中で、60mMのNaClを用いてまたは用いずに再構成した後に分析した。安定性を2〜8℃および25℃で24時間にわたって監視した。MntCの純度をCEX−HPLCによって分析した。25℃では、NaClを含むISCOMATRIX(商標)および塩を含む対照NaClは類似の脱アミド化速度を示す(図35B)。塩を含まないISCOMATRIX(商標)は、より遅い脱アミド化速度を示した。5℃では、脱アミド化の速度が劇的に低下した(図35A)。ISCOMATRIX(商標)からの干渉が原因で、rmClfAの純度を直接定量することは可能でなかった(図35C)。代表的な時間経過オーバーレイの分析により、rmClfAの主ピークが変化していなかったことが示され、これは、25℃で24時間にわたる安定性を示している(図35D)。同様の結果がすべての試料について2〜8℃で見られた。2〜8℃(図35E)および25℃(図35F)で24時間後にRP−HPLC(図35C)によってMntCの純度の変化は検出されなかった。2〜8℃(図35G)および25℃(図35H)で24時間後にCP5−CRM197およびCP8−CRM197コンジュゲートの濃度の変化は観察されなかった。2〜8℃(図35I)および25℃(図35J)で24時間後にrmClfAまたはMntCの濃度の変化は観察されなかった。
ISCOMATRIX(商標)の濃度は、2〜8℃(図36A)および25℃(図36B)で24時間にわたって変化しなかった。NaClを含むISCOMATRIX(商標)の粒子径は約50nmまで大きさが増加し、NaClを含まないものは約60nmまで大きさが増加した(図36C)。すべての集団は単分散であった(<0.2)。再構成した配合物のpHは安定性研究の間中ずっと一定に保たれていた(図36D)。
低用量の四抗原配合物低用量(40/40/20/20μg/mLのrmClfA/rP305A/CP5−CRM197/CP8−CRM197)の安定性を、20単位/mLのISCOMATRIX(商標)を含む10mMのヒスチジン、pH6.5中で、60mMのNaClを用いてまたは用いずに再構成した後に分析した。2〜8℃で4時間後にRP−HPLCによってMntCの純度の変化は検出されなかった(図37A)。CEX−HPLCによって2〜8℃で4時間後にMntCの脱アミド化の増加は検出されなかった(図37B)。4つすべての抗原濃度は、研究の間中ずっと一定に保たれていた(図37CおよびD)。
NaClを含むISCOMATRIX(商標)の粒子径は4時間後に増加し、NaClを含まないものは一定に保たれたが、どちらの場合でも、ISCOMATRIX(商標)単独よりも大きかった(図38A)。再構成した試料は多分散であった(約0.3)。再構成した配合物のpHは4時間後に一定に保たれていた(図38B)。
四抗原薬物製品:希釈剤の比較
四抗原配合物中の低、中、および高用量のMntCを用いて短期的安定性研究を実施して、希釈剤としての60mMのNaCl、水中の4.5%のスクロース、および水を比較した。それぞれの配合物は、4.5%のスクロース、0.01%のPS80、および表47中に提供した抗原の濃度をpH6.5で含有していた。
バイアルは、実験の開始前に2〜8℃で保管し、5℃および25℃で2および7日後に安定性について試験した。配合物は以下のアッセイを用いて比較した:MntCの脱アミド化および純度にはCEX−HPLC、MntCおよびClfAの純度にはRP−HPLC、MntCおよびClfAの濃度にはIEX、ならびにコンジュゲートの濃度には比濁分析。結果の詳細を表48〜56に提供する。MntCの脱アミド化速度は、60mMのNaClで再構成した3つすべての配合物でより高く、高用量のMntCが3つの用量レベルのうちで最高の脱アミド化速度を有していた。すべての他の結果は比較できるほどであった。
四抗原薬物製品:代替配合物
表57に示すように、四抗原薬物製品のいくつかの異なる配合物で安定性アッセイを行った。
凍結乾燥した配合物を0.7mLの水で再構成し、5℃および25℃で1、3、および6カ月間後、ならびに40℃で1および3カ月間後に、安定性について試験した。以下のアッセイを用いて配合物を比較した:カールフィッシャー水分、透明性、色、粒子の検出、MntCの脱アミド化および純度にはCEX−HPL、MntCおよびClfAの純度にはRP−HPLC、MntCおよびClfAの濃度にはIEX、ならびにコンジュゲートの濃度には比濁分析。パーセント水分は、45mg/mlのスクロースを用いた配合物中でより高かった。ケーク中の水の量は、ケークの全質量のパーセンテージである。したがって、90mg/mlのスクロースのケークは、スクロースの質量の量が2倍であったため、水分のパーセントにおいてより頑強であった。結果の詳細を表58〜66に提供する。