JP6119476B2 - 隊列走行制御装置、隊列走行制御方法 - Google Patents

隊列走行制御装置、隊列走行制御方法 Download PDF

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Description

本発明は、隊列走行制御装置、及び隊列走行制御方法に関するものである。
特許文献1に記載された従来技術では、隊列走行をする際に、車車間通信を介して先頭車両から順に識別番号IDを付与し、付与された識別番号IDに応じて各車両の走行を制御し、先頭車両に後続車両を追従させることを提案している。
特開平9−81899号公報
隊列走行として先行車両に追従する際に、例えば車間時間に応じて自車両の加減速度を制御することが考えられる。しかしながら、単に車間時間だけに応じて先行車両に追従すると、例えば先行車両が減速してから自車両が減速するまでの時間差が大きくなるなどして、隊列走行を乱してしまう可能性がある。
本発明の課題は、先行車両に追従する際に、より適切なタイミングで減速させ、良好な隊列走行を維持することである。
本発明の一態様に係る隊列走行制御装置は、同一車線上の複数の車両と隊列を形成して走行するものにおいて、先行車両に対する目標車間時間を設定し、この目標車間時間を実現するために、自車両の加減速度を制御する車間時間制御を実行可能にする。一方、先行車両の減速状態を検出し、先行車両との車間距離を検出し、先行車両が減速を開始したことを検出した時点の車間距離を、目標車間距離として設定し、この目標車間距離を実現するために、自車両の加減速度を制御する車間距離制御を実行可能にする。また、自車速を検出し、自車速、及び車間距離に応じて、先行車両に対する車間時間を検出し、この車間時間が目標車間時間を維持しているときは車間時間制御を行う。また、目標車間時間よりも小さな範囲に予め定めた下限閾値を設定し、目標車間時間から下限閾値までの範囲を、車間時間制御を維持するための不感帯として設定する。そして、車間時間制御を行っている状態で、車間時間が下限閾値を下回ったときには、車間時間制御から車間距離制御に切り替える。
本発明によれば、車間時間が目標車間時間を維持できているような状況では、車間時間制御を実行し、例えば先行車両が減速し、車間時間が目標車間時間を下回っても、目標車間時間から下限閾値までの範囲にあるときには車間時間制御を維持する。そして、さらに車間時間が下限閾値を下回るような状況では、車間時間制御から車間距離制御へと切り替える。このように、車間時間制御だけで対応するのではなく、必要に応じて車間距離制御を実行することにより、先行車両に追従する車両に、より適切なタイミングで減速させ、良好な隊列走行を維持することができる。
隊列走行制御装置を示す概略構成図である。 隊列走行制御処理を示すフローチャートである。 第1実施形態の制御切り替え判断処理を示すフローチャートである。 隊列走行における車速の乱れを説明する図である。 隊列走行における車間時間の乱れを説明する図である。 第1実施形態の動作を示すタイムチャートである。 第2実施形態の制御切り替え判断処理を示すフローチャートである。 第2実施形態の動作を示すタイムチャートである。 第3実施形態の制御切り替え判断処理を示すフローチャートである。 第3実施形態の動作を示すタイムチャートである。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
《第1実施形態》
《構成》
同一車線上の複数の車両で隊列を形成して走行するために、先行車両との相対関係に応じて自車両の走行を制御する技術として、ACC(Adaptive Cruise Control)やCACC(Cooperative Adaptive Cruise Control)等がある。先ずACCは、車両の前方に搭載したレーダを用いて、前方を走行する車両との車間距離を一定に保ち、必要に応じてドライバーへの警告を行うシステムである。一方、CACCは、車車間通信によって他車の加減速情報を共有することで、より的確な走行制御を行うシステムであり、ACCより短い車間距離での走行や、制御の遅れによるハンチング(車間の変動)の少ない安定した走行が可能となる。本実施形態では、CACCを利用した隊列走行を例に説明する。
本実施形態では、同一車線上を走行し、先行車両との相対関係に応じて自車両の走行を制御する車両の全てを隊列と称する。そして、この隊列内で、例えば3〜5台程度の車両によって車群を編成し、車群同士の車間距離を、車群内における各車両同士の車間距離よりも広くするものとする。なお、自車両の前に先行車両が存在しない場合は、予め定めた設定車速を維持するものとする。
図1は、隊列走行制御装置を示す概略構成図である。
本実施形態における隊列走行制御装置は、CACCスイッチ11と、車輪速センサ12と、周辺状況認識装置13と、通信装置14と、ナビゲーションシステム15と、コントローラ16と、を備える。
CACCスイッチ11は、メインスイッチ、キャンセルスイッチ、リジューム/アクセラレートスイッチ、セット/コーストスイッチ、車間時間設定スイッチ等のスイッチ群からなり、運転者が操作可能となるように、例えばステアリングホイールのスポーク部に設けてある。メインスイッチは、CACCのON/OFFを切り替え、キャンセルスイッチは、CACCの設定を一時的に解除する。リジューム/アクセラレートスイッチは、一時的に解除されたCACCを復帰させる、又は設定車速を例えば5km/h刻みで増加させる。セット/コーストスイッチは、現在の車速を設定車速としてセットする、又は設定車速を例えば5km/h刻みで減少させる。車間時間設定スイッチは、スイッチを押すごとに目標車間時間Ttを例えば長・中・短の三段階に切り替える。これらCACCスイッチ11は、各種操作状況に応じた電圧信号をコントローラ16に出力する。コントローラ16は、入力された電圧信号から各種操作状況を判断する。
なお、自車両が車群内で先頭車両を除く後続車両になる場合と、車群内で先頭車両になる場合とで、先行車両に対する目標車間時間を異ならせる必要がある。例えば、後続車両用の目標車間時間を0.7sec程度とすると、先頭車両用の目標車間時間を1.8sec程度にすることが望ましい。そこで、車間時間設定スイッチの操作により、後続車両用の目標車間時間、及び先頭車両用の目標車間時間の双方を個別に設定できる構成としてもよい。また、車間時間設定スイッチの操作により、後続車両用の目標車間時間、及び先頭車両用の目標車間時間の何れか一方を設定すると、予め定めた車間時間だけ加算又は減算することにより、他方が設定される構成としてもよい。
車輪速センサ12は、各車輪の車輪速度VwFL〜VwRRを検出する。この車輪速センサ12は、例えば車輪と共に回転し円周に突起部(ギヤパルサ)が形成されたセンサロータと、このセンサロータの突起部に対向して設けられたピックアップコイルを有する検出回路と、を備える。そして、センサロータの回転に伴う磁束密度の変化を、ピックアップコイルによって電圧信号に変換してコントローラ16に出力する。コントローラ16は、入力された電圧信号から車輪速度VwFL〜VwRRを判断し、例えば非駆動輪(従動輪)の車輪速平均値や全輪の車輪速平均値を車速として演算する。
周辺状況認識装置13は、レーダ装置やステレオカメラからなり、自車両前方の状況を認識する。
レーダ装置は、自車両前方に存在する前方物体までの距離、相対速度、及び方位を検出する。このレーダ装置は、フロントグリル内に設けられたミリ波レーダからなり、検出した各種データをコントローラ16に出力する。距離及び相対速度については、例えばFM‐CW(Frequency Modulation-Continuous Wave)方式を利用し、ドップラ効果による周波数差に応じて距離及び相対速度を検出し、方位については、例えばDBF(Digital Beam Forming)方式を利用し、複数のチャンネルで受信した反射波の位相差に応じて方位を検出する。
ステレオカメラは、車体の前方を撮像する。このステレオカメラは、同一の仕様の2台のカメラからなり、車室内のフロントウィンドウ上部で車幅方向に沿って配置され、且つ光軸及びカメラ座標を平行にしてある。ステレオカメラで撮像した車体前方の画像データは、画像処理装置に入力され、ステレオ画像処理される。すなわち、左カメラ画像と右カメラ画像との視差から画面領域全域にわたって距離分布画像を生成し、この距離分布画像と元画像とに基づいて、前方物体の位置や走行区分線(白線)の検出を行い、検出した各種データをコントローラ16に出力する。
通信装置14は、車群内の車両や車群に加わろうとする他車両との間で、隊列管理のための情報を、車車間通信を介して送受信する。隊列管理のための情報とは、自車両のID番号、自車両の現在位置、先行車両との車間距離、先行車両との相対車速、自車速、加減速度、ブレーキ信号、アクセル信号、ウィンカ信号、各種制御システムの作動信号、異常信号等である。各種制御システムの動作信号には、CACCの作動状態やCC(Cruise Control)の動作状態も含まれる。なお、CCは、予め定めた車速を維持するために、自車両の加減速度を制御するシステムである。
車車間通信には、電波通信や光通信を用いる。電波通信では、例えば5.8GHz帯や700MHz帯の周波数帯を用い、直交周波数分割多重方式(OFDM:Orthogonal Frequency Division Multiplex)によって通信を行う。なお、車群内における先頭車両と最後尾車両との間では、直接通信するよりも、中継車両を経由して間接的に通信するマルチホップ通信(アドホック通信)を行うことにより、通信エラーを低減し、通信品質を向上させることができる。光通信では、例えば880nm程度の近赤外線を用い、周波数偏移変調(FSK:Frequency Shift Keying)や振幅偏移変調(ASK:Amplitude Shift Keying)によって通信を行う。
ナビゲーションシステム15は、自車両の現在位置と、その現在位置における道路地図情報を認識する。このナビゲーションシステム15は、GPS受信機を有し、四つ以上のGPS衛星から到着する電波の時間差に基づいて自車両の位置(緯度、経度、高度)と進行方向とを認識する。そして、DVD‐ROMドライブやハードディスクドライブに記憶された道路種別、道路線形、車線幅員、車両の通行方向等を含めた道路地図情報を参照し、自車両の現在位置における道路地図情報を認識しコントローラ16に出力する。なお、安全運転支援システム(DSSS:Driving Safety Support Systems)として、双方向無線通信(DSRC:Dedicated Short Range Communication)を利用し、各種データをインフラストラクチャから受信してもよい。
コントローラ16は、例えばマイクロコンピュータからなり、各センサからの検出信号に基づいて後述する隊列走行制御処理を実行し、駆動力制御装置20と、ブレーキ制御装置50と、を駆動制御する。
駆動力制御装置20は、回転駆動源の駆動力を制御する。例えば、回転駆動源がエンジンであれば、スロットルバルブの開度、燃料噴射量、点火時期などを調整することで、エンジン出力(回転数やエンジントルク)を制御する。回転駆動源がモータであれば、インバータを介してモータ出力(回転数やモータトルク)を制御する。
次に、ブレーキ制御装置50について説明する。
ブレーキ制御装置50は、各車輪の制動力を制御する。例えば、アンチスキッド制御(ABS)、トラクション制御(TCS)、スタビリティ制御(VDC:Vehicle Dynamics Control)等に用いられるブレーキアクチュエータにより、各車輪に設けられたホイールシリンダの液圧を制御する。
次に、コントローラ16で所定時間(例えば10msec)毎に実行する隊列走行制御処理について説明する。
ここでは、自車両の属する車群だけが存在するものとし、便宜的にこれを隊列と称して説明する。
図2は、隊列走行制御処理を示すフローチャートである。
先ずステップS101では、各種データを読込む。
続くステップS102では、例えば非駆動輪(従動輪)の車輪速平均値を自車速Vsとして算出する。
続くステップS103では、自車両が隊列内の先頭車両であるか、又は後続車両であるか、つまりID番号が#1であるか、又はそれ以外であるかに応じて目標車間時間Ttを設定する。具体的には、自車両が先頭車両であるときには、車間時間設定スイッチによって設定された先頭車両用の目標車間時間Ttを目標車間時間Ttとして設定する。一方、自車両が後続車両であるときには、車間時間設定スイッチによって設定された後続車両用の目標車間時間Ttを目標車間時間Ttとして設定する。
続くステップS104では、目標車間時間Ttを実現するための第一の目標車間距離Dt1を、下記の数式に示すように、目標車間時間Tt、及び先行車両の車速Vaに応じて算出する。先行車両の車速Vaは、先行車両との相対速度Vrと自車速Vsとの差分によって算出する。
Dt1=Va×Tt
続くステップS105では、第一の目標車間距離Dt1を実現するための目標車速Vtを算出する。
先ず、下記の数式に示すように、先行車両の車速Va、第一の目標車間距離Dt1と車間距離Drとの偏差ΔD(=Dt1−Dr)、及び先行車両との相対速度Vrに応じて、基礎目標車速Vb算出する。ここで、K1はVaに乗じるゲインであり、K2はΔDに乗じるゲインであり、K3はVrに乗じるゲインであり、f{ }は、K1×Va、K2×ΔD、及びK3×Vrに応じて基礎目標車速Vbを演算するための関数を表している。
Vb=f{K1×Va、K2×ΔD、K3×Vr}
そして、下記の数式に示すように、予め定めた伝達特性に従い、基準目標車速Vbに一次遅れ系のフィルタ処理を施すことにより、最終的な目標車速Vtを算出する。
Figure 0006119476
続くステップS106では、目標車速Vtを実現するための目標加減速度Gtを、予め定めた応答特性に従い、下記の数式に示すように、自車速Vs、及び目標車速Vtに応じて算出する。ここで、f{ }は、Vs及びVtに応じて目標加減速度Gtを演算するための関数を表している。なお、自車速Vsが目標車速Vtよりも高いときは、目標加減速度Gtが減速の負値となり、自車速Vsが目標車速Vtよりも低いときは、目標加減速度Gtが加速の正値となる。
Gt=f{Vs、Vt}
続くステップS107では、目標加減速度Gtに対してレートリミッタ処理を行う。すなわち、目標加減速度Gtの単位時間当たりの変化量、ここでは前回値Gt(n−1)からの変化量ΔGtが、予め定めた上限値ΔG1以下であるときには、目標加減速度Gtをそのまま維持する。一方、前回値Gt(n−1)からの変化量ΔGtが、上限値ΔG1よりも大きいときには、前回値Gt(n−1)からの変化量ΔGtが上限値ΔG1となるように、目標加減速度Gtを補正し、その変化率を制限する。
続くステップS108では、下記の数式に示すように、車間時間制御として、目標加減速度Gtを実現するための第一の加減速度指令値Gc1を、目標加減速度Gtに応じて算出する。ここで、Tsは予め定めた設定時間であり、f{ }は、Gtに応じて第一の制御指令値Gc1を演算するための関数を表している。なお、第一の加減速度指令値Gc1は、加速指令となるときに正の値となり、減速指令となるときに負の値となる。
Gc1=f{Gt}×Ts
続くステップS109では、先行車両の走行状態を判断する。ここでは、通信装置14を介した先行車両との車車間通信により、先行車両の減速開始を判断する。先行車両が減速を開始するか否かは、例えばブレーキスイッチがOFFからONに切り替わったり、トランスミッションをシフトダウンしたりする等の減速操作から判断する。なお、減速操作とは、運転者による入力だけではなく、障害物との接触回避のために制御介入したり、又は自動運転したりする等、アクセル制御やブレーキ制御を行う際のアクチュエータによる入力をも含む。
続くステップS110では、車間距離制御として、先行車両の減速開始を検出した時点の、先行車両との車間距離Drを、第二の目標車間距離Dt2として設定し、且つこの第二の目標車間距離Dt2を維持するための第二の加減速度指令値Gc2を設定する。この第二の加減速度指令値Gc2は、例えば第二の目標車間距離Dt2と車間距離Drとの偏差ΔDに応じた減速度を発生させる設定値であり、減速指令となるので負の値となる。また、予め定めた減速度を発生させる固定値を用いたり、固定値と設定値のセレクトハイ値を用いたりしてもよい。
続くステップS111では、後述する制御切り替え判断処理を実行し、車間時間制御、又は車間距離制御の何れか一方を選択し、最終的な減速度指令値Gcを設定する。
続くステップS112では、最終的な減速度指令値Gcに実現に応じて、制御指令値としてのエンジントルク指令値及びブレーキ液圧指令値を設定する。減速度指令値Gcが加速指令であるときには、エンジントルク指令値を増加させ、ブレーキ液圧指令値を0にする。また、減速度指令値Gcが減速指令であるときには、エンジントルク指令値を0にして、ブレーキ液圧指令値を増加させる。
続くステップS113では、エンジントルク指令値に応じて駆動力制御装置20を駆動制御すると共に、ブレーキ液圧指令値に応じてブレーキ制御装置50を駆動制御してから所定のメインプログラムに復帰する。
上記が本実施形態の隊列走行制御処理である。
次に、制御切り替え判断処理について説明する。
図3は、制御切り替え判断処理を示すフローチャートである。
先ずステップS121では、先行車両の走行状態を判断する。ここでは、通信装置14を介した先行車両との車車間通信により、先行車両の減速終了を判断する。先行車両が減速を終了するか否かは、例えばブレーキスイッチがONからOFFに切り替わったり、トランスミッションをシフトアップしたりする等の減速終了操作から判断する。なお、減速終了操作とは、運転者による入力だけではなく、障害物との接触回避のための制御介入を終了したり、又は自動運転したりする等、アクセル制御やブレーキ操作を行う際のアクチュエータによる入力をも含む。
続くステップS122では、先行車両に対する車間時間THW(Time Headway)を算出し、この車間時間THWが予め定めた下限閾値TthMINよりも短いか否かを判定する。
ここで、車間時間THWとは、下記の数式に示すように、先行車両との車間距離Drを自車速Vsで除算した値である。
THW=Dr/Vs
また、下限閾値TthMINとは、下記の数式に示すように、車間時間設定スイッチで設定された目標車間時間Ttから予め定めた余裕代Tmを減算した値である。余裕代Tmは、例えば0.1[sec]程度とする。したがって、目標車間時間Ttが例えば0.7[sec]であるときには、下限閾値TthMINは0.6[sec]程度となる。
TthMIN=Tt−Tm
ここで、判定結果が車間時間THWが下限閾値TthMIN以上であるときには、先行車両への接近傾向はほぼないと判断してステップS123に移行する。一方、判定結果が車間時間THWが下限閾値TthMINよりも短いときには、先行車両への接近傾向にあると判断してステップS125に移行する。
続くステップS123では、車間距離制御フラグがft=1にセットされているか否かを判定する。車間距離制御フラグは、車間距離制御を車間時間制御に優先して実行するか否かを表すフラグである。すなわち、ft=0のときには、車間距離制御を実行しない、つまり車間時間制御を実行することを表し、ft=1のときには、車間距離制御を車間時間制御に優先して実行することを表す。初期状態では、車間距離制御フラグはft=0にリセットされている。ここで、判定結果がft=0であるときには、車間時間制御を実行中であると判断してステップS124に移行する。一方、判定結果がft=1であるときには、車間距離制御を実行中であると判断してステップS131に移行する。
続くステップS124では、車間時間制御として、第一の加減速度指令値Gc1を最終的な加減速指令値Gcに設定してから所定のメインプログラムに復帰する。
ステップS125では、車間距離制御フラグがft=0にリセットされているか否かを判定する。ここで、判定結果がft=0であるときには、車間時間制御を実行中であると判断してステップS126に移行する。一方、判定結果がft=1であるときには、車間距離制御を実行中であると判断してステップS128に移行する。
ステップS126では、車間時間制御から車間距離制御へと切り替えるために、車間距離制御フラグをft=1にセットする。
続くステップS127では、車間距離制御として、第二の加減速度指令値Gc2を最終的な加減速指令値Gcに設定してから所定のメインプログラムに復帰する。
ステップS128では、先行車両が減速を終了したか否かを判定する。ここで、先行車両が減速を終了しているときには、車間距離制御から車間時間制御に復帰させても、先行車両への接近傾向を抑制できると判断してステップS129に移行する。一方、先行車両が減速を終了していないときには、車間距離制御を維持しないと、先行車両への接近傾向を抑制できないと判断してステップS127に移行する。
ステップS129では、車間距離制御から車間時間制御へと切り替える(復帰させる)ために、車間距離制御フラグをft=0にリセットする。
ステップS130では、車間時間制御として、第一の加減速度指令値Gc1を最終的な加減速指令値Gcに設定してから所定のメインプログラムに復帰する。
ステップS131では、先行車両が減速を終了したか否かを判定する。ここで、先行車両が減速を終了しているときには、車間距離制御から車間時間制御に復帰させても、先行車両への接近傾向を抑制できると判断してステップS132に移行する。一方、先行車両が減速を終了していないときには、車間距離制御を維持しないと、先行車両への接近傾向を抑制できないと判断してステップS134に移行する。
ステップS132では、車間距離制御から車間時間制御へと切り替える(復帰させる)ために、車間距離制御フラグをft=0にリセットする。
ステップS133では、車間時間制御として、第一の加減速度指令値Gc1を最終的な加減速指令値Gcに設定してから所定のメインプログラムに復帰する。
ステップS134では、車間距離制御として、第二の加減速度指令値Gc2を最終的な加減速指令値Gcに設定してから所定のメインプログラムに復帰する。
上記が本実施形態の制御切り替え判断処理である。
《作用》
次に、第1実施形態の作用について説明する。
先ず、比較例について説明する。
隊列走行として先行車両に追従する場合、車間時間に応じて自車両の加減速度を制御することが考えられる。しかしながら、単に車間時間だけに応じて先行車両に追従すると、例えば先行車両が減速してから自車両が減速するまでの時間差が大きくなるなどして、隊列走行を乱してしまう可能性がある。特に、車間時間を短く設定しているときほど、運転者に違和感を与え、さらに隊列走行の乱れを助長することになる。また、実際の隊列走行では、小型車両や大型車両等が混在することになるので、こうした車両毎に異なる加減速性能の差も、隊列走行の乱れを招く要因となる。
図4は、隊列走行における車速の乱れを説明する図である。
図中の(a)は、3台の隊列走行を示しており、図中の(b)は、各車両の車速を示すタイムチャートである。
ここでは、#1が先頭の車両であり、#1の車両に#2の車両が追従し、#2の車両に#3の車両が追従している。そして、#1の車両が減速しても、遅れて#2の車両が減速し、さらに遅れて#3の車両が減速することになり、こうして隊列走行が乱れてゆく。また、#1の車両の減速に対して、#2や#3の車両の減速が遅れることにより、#2や#3の減速量を増加させなければならない。したがって、先頭車両の車速を目標車速としたときに、後続車両になるほど、目標車速に対するオーバーシュート量が大きくなってしまう。
図5は、隊列走行における車間時間の乱れを説明する図である。
図中の(a)は、3台の隊列走行を示しており、図中の(b)は、目標車間距離と各車両間の車間距離とを示すタイムチャートである。
ここでも、#1が先頭の車両であり、#1の車両に#2の車両が追従し、#2の車両に#3の車両が追従している。そして、#1の車両の減速により、目標車間時間を実現するための目標車間距離が減少しても、遅れて#1〜#2間が減少し、さらに遅れて#2〜#3間が減少することになり、こうして隊列走行が乱れてゆく。また、目標車間距離の減少に対して、#1〜#2間や#2〜#3間の車間距離の減少が遅れることで、#2や#3の減速量を増加させなければならない。したがって、後続車両になるほど、目標車間距離に対するオーバーシュート量が大きくなってしまう。
次に、本実施形態について説明する。
本実施形態では、車間時間THWが目標車間時間Ttを維持できているような状況では、車間時間制御を実行し、例えば先行車両が減速し、車間時間THWが目標車間時間Ttに対して下方乖離するような状況では、車間時間制御から車間距離制御へと切り替える。
ここで、車間時間制御と車間距離制御とについて説明する。
車間時間制御とは、目標車間時間Ttを実現するために、自車両の加減速度を制御するモードである。
先ず、車群の中で、自車両が先頭車両であるか後続車両であるかに応じて目標車間時間Ttを設定し、自車両が先頭車両であるときには、後続車両であるときよりも長い目標車間時間Ttを設定する(ステップS103)。そして、目標車間時間Ttを実現するための第一の目標車間距離Dt1を算出し(ステップS104)、この第一の目標車間距離Dt1を実現するための目標車速Vtを算出する(ステップS105)。そして、目標車速Vtを実現するための目標加減速度Gtを算出し(ステップS106)、この目標加減速度Gtに対してレートリミッタ処理を行う(ステップS107)。そして、目標加減速度Gtを実現するための第一の加減速度指令値Gc1を算出し(ステップS108)、この第一の加減速度指令値Gc1を最終的な減速度指令値Gcとして設定する(ステップS111)。そして、最終的な減速度指令値Gcに応じて、制御指令値としてのエンジントルク指令値及びブレーキ液圧指令値を設定し(ステップS112)、これらに応じて駆動力制御装置20及びブレーキ制御装置50を駆動制御する(ステップS113)。このような手順で実行されるのが車間時間制御である。
一方、車間距離制御とは、第二の目標車間距離Dt2を実現するために、自車両の加減速度を制御するモードである。
先ず、先行車両が減速を開始するか否かを判断する(ステップS109)。そして、先行車両の減速開始を検出した時点の、先行車両との車間距離Drを、第二の目標車間距離Dt2として設定し、且つこの第二の目標車間距離Dt2を維持するための第二の加減速度指令値Gc2を設定する(ステップS110)。この第二の加減速度指令値Gc2は、第二の目標車間距離Dt2と車間距離Drとの偏差ΔDに応じた減速度を発生させる減速指令であり、この第二の加減速度指令値Gc2を最終的な減速度指令値Gcとして設定する(ステップS111)。そして、最終的な減速度指令値Gcに応じて、制御指令値としてのエンジントルク指令値及びブレーキ液圧指令値を設定し(ステップS112)、これらに応じて駆動力制御装置20及びブレーキ制御装置50を駆動制御する(ステップS113)。このような手順で実行されるのが車間距離制御である。
車間時間制御では、目標車間時間Ttを実現するために、自車両の加減速度を制御しているので、車間距離Drや自車速Vsのある程度の変動を許容(吸収)しながら、スムーズで安定した追従走行を行うことができる。したがって、先行車両が概ね定速走行しており、車間時間THWが目標車間時間Ttを維持できているような状況では、この車間時間制御が適している。一方、車間距離制御では、先行車両が減速を開始した時点の車間距離Drを、第二の目標車間距離Dt2として設定し、この第二の目標車間距離Dt2を実現するために、自車両の加減速度を制御している。すなわち、先行車両の減速開始を検知すると、車間距離Drの減少に応じて、自車両でも直ちに減速が開始されるので、高応答で先行車両への接近を抑制することができる。したがって、例えば先行車両が減速し、車間時間THWが目標車間時間Ttに対して下方乖離するような状況では、車間距離制御が適している。
このように、車間時間制御だけで対応するのではなく、必要に応じて車間距離制御を実行することにより、先行車両に追従する車両に、より適切なタイミングで減速させ、良好な隊列走行を維持することができる。
但し、車間時間THWが目標車間時間Ttを下回った時点で、直ちに車間時間制御から車間距離制御へと切り替えると、車両挙動の急変を招く可能性がある。そのため、目標車間時間Ttよりも小さな範囲に予め定めた下限閾値TthMINを設定し、目標車間時間Ttから下限閾値TthMINまでの範囲を、車間時間制御を維持するための不感帯として設定する。
すなわち、車間時間THWが目標車間時間Ttを下回った時点で、直ちに車間時間制御から車間距離制御へと切り替えるのではなく、車間時間制御において、車間距離制御へと切り替えるための車間時間THWに余裕を持たせている。したがって、車間時間THWが下限閾値TthMIN以上であるときには(ステップS122の判定が“No”)、車間時間制御を維持する(ステップS124)。そして、車間時間THWが下限閾値TthMINを下回ったときに(ステップS122の判定が“Yes”)、車間距離制御フラグをft=1にセットし(ステップS126)、車間時間制御から車間距離制御へと切り替える(ステップS127)。
このように、先ずは車間時間制御を実行しながら、車間距離制御を実行したときのような車両挙動へと近づけてゆき、それから車間距離制御へと移行させている。すなわち、第一の加減速度指令値Gc1が第二の加減速度指令値Gc2に近づくまで待ち、その後、第一の加減速度指令値Gc1から第二の加減速度指令値Gc2へと切り替えて、自車両の加減速度を制御する。これにより、スムーズに制御モードを切り替え、且つ車両挙動の急変を抑制することができる。こうして、先行車両の減速開始を検知した後に、車間時間制御から車間距離制御へと切り替わると、第二の目標車間距離Dt2を実現するための減速度を発生させ、高応答で先行車両への接近を抑制することができる。
一方、車間距離制御を実行している状態で、先行車両が減速を解除した場合、この減速解除に対して自車両の減速解除が遅れると、先行車両への追従が遅れ、やはり隊列走行を乱してしまうことになる。そこで、先行車両が減速を終了するか否かを判断する(ステップS121)。そして、先行車両の減速終了を検出したときに(ステップS128、又はS131の判定が“Yes”)、車間距離制御フラグをft=0にリセットし(ステップS129、又はS132)、車間時間制御へと復帰させる(ステップS130、又はS133)。こうして、先行車両が減速を解除した時点で、車間距離制御から車間時間制御に切り替えることで、先行車両との車間距離Drが不必要に拡大することを抑制し、良好な隊列走行を維持することができる。
また、先行車両が減速を開始したか否か、及び先行車両が減速を終了したか否かは、通信装置14を介して先行車両の減速状態を検出することにより判断する。これは、車車間通信を介さずに、先行車両との相対速度Vrに応じて先行車両の減速状態を検出すると、判断に遅れが生じる可能性があるからである。また、減速操作から車両挙動に実際に変化が生じるまでには、ある程度の応答差もある。したがって、先行車両との車車間通信により、ブレーキスイッチのON/OFF信号や、トランスミッションのシフト操作信号を入力すれば、先行車両の挙動が実際に変化する前に、先行車両の減速状態を判断することができる。このように、通信装置14を介した先行車両との車車間通信により、先行車両の減速状態を判断することで、より適切なタイミングで自車両の加減速度を制御でき、良好な隊列走行を維持することができる。
また、車間距離制御を行うための第二の目標車間距離Dt2には、先行車両が減速を開始した時点の車間距離Drを設定する。したがって、第二の目標車間距離Dt2は、先行車両の減速によって車間距離Drが縮まり始める時点の値に相当する。さらには、上記のように、先行車両のブレーキスイッチのON/OFF信号や、トランスミッションのシフト操作信号を入力することで、先行車両の減速によって車間距離Drが縮まるよりも前の時点の値に相当する。したがって、減速開始時点の車間距離Drを車間距離制御の目標値とすることで、先行車両が減速を開始する前の状態を維持しようと自車両の加減速度を制御することになる。これにより、先行車両への接近を可及的に抑制し、良好な隊列走行を維持することができる。
図6は、第1実施形態の動作を示すタイムチャートである。
ここでは、車間時間THWと、先行車両の減速信号と、車間距離制御フラグの動きについて説明する。
先ず、車間時間THWが目標車間時間Ttを概ね維持しており、車間距離制御フラグがft=0にリセットされていることで、車間時間制御が実行されている。このとき、時点t11で先行車両が減速を開始し、時点t12で先行車両が減速を終了する。この先行車両の一時的な減速により、車間時間THWが僅かに減少するものの、下限閾値thMIN以上の状態を維持しているため、車間距離制御フラグもft=0を維持し、車間時間制御を継続する。
その後の時点t13で先行車両が減速を開始すると、車間時間THWが減少しゆき、時点t14で車間時間THWが下限閾値thMINを下回ると、車間距離制御フラグがft=1にセットされるので、車間時間制御から車間距離制御へと切り替わる。この車間距離制御により、先行車両が減速を開始した時点の車間距離Drを維持しようと減速するので、車間時間THWは増加に転じ、直ぐに下限閾値thMINを上回るが、そのまま車間距離制御を維持する。その後の時点t15で先行車両が減速を終了すると、車間距離制御フラグがft=0にリセットされ、車間距離制御から車間時間制御へと復帰する。
このように、車間時間制御だけで対応するのではなく、必要に応じて車間距離制御を実行することにより、先行車両に追従する車両に、より適切なタイミングで減速させ、良好な隊列走行を維持することができる。
《対応関係》
以上より、車輪速センサ12、ステップS102の処理が「車速検出部」に対応し、周辺状況認識装置13が「車間距離検出部」に対応する。また、CACCスイッチ11、ステップS103の処理が「目標車間時間設定部」に対応し、ステップS104〜S108、S112、S113の処理が「車間時間制御部」に対応する。また、通信装置14、ステップS109、S121の処理が「減速状態検出部」に対応し、ステップS110の処理が「目標車間距離設定部」及び「車間距離制御部」に対応する。また、ステップS111の処理、つまりステップS122〜S134の処理が「制御切り替え部」に対応する。
《効果》
次に、第1実施形態における主要部の効果を記す。
(1)本実施形態に係る隊列走行制御装置は、同一車線上の複数の車両と隊列を形成して走行するものにおいて、先行車両に対する目標車間時間Ttを設定し、目標車間時間Ttを実現するために、自車両の加減速度を制御する車間時間制御を実行可能にする。また、先行車両の減速状態を検出し、先行車両との車間距離Drを検出し、先行車両が減速を開始したことを検出した時点の車間距離Drを、第二の目標車間距離Dt2として設定する。そして、第二の目標車間距離Dt2を実現するために、自車両の加減速度を制御する車間距離制御を実行可能にする。また、自車速Vsを検出し、自車速Vs及び先行車両との車間距離Drに応じて、先行車両に対する車間時間THWを検出する。この車間時間THWに応じて、車間時間制御を行うか車間距離制御を行うか何れか一方に切り替える。このとき、車間時間THWが目標車間時間Ttを維持しているときは車間時間制御を行う。また、目標車間時間Ttよりも小さな範囲に予め定めた下限閾値TthMINを設定し、目標車間時間Ttから下限閾値TthMINまでの範囲を、車間時間制御を維持するための不感帯として設定する。そして、車間時間制御を行っている状態で、車間時間THWが下限閾値TthMINを下回ったときに、車間時間制御から車間距離制御に切り替える。
このように、車間時間制御だけで対応するのではなく、必要に応じて車間距離制御を実行することにより、先行車両に追従する車両に、より適切なタイミングで減速させ、良好な隊列走行を維持することができる。さらに、目標車間時間Ttから下限閾値TthMINまでの範囲を、車間時間制御を維持するための不感帯として設定することで、スムーズに制御モードを切り替え、且つ車両挙動の急変を抑制することができる。また、車間時間THWが下限閾値TthMINを下回ったときに、車間時間制御から車間距離制御に切り替えることにより、第二の目標車間距離Dt2を実現するために、速やかに先行車両への接近を抑制することができる。
(2)本実施形態に係る隊列走行制御装置は、先行車両が減速を終了した時点で、車間距離制御から車間時間制御に切り替える。
このように、先行車両が減速を終了した時点で、車間距離制御から車間時間制御に切り替えることにより、先行車両との車間距離Drが不必要に拡大することを抑制し、良好な隊列走行を維持することができる。
(3)本実施形態に係る隊列走行制御装置は、先行車両との通信により、先行車両の減速状態を検出する。
このように、先行車両との通信により、先行車両の減速状態を検出することにより、より適切なタイミングで自車両の加減速度を制御でき、良好な隊列走行を維持することができる。
(4)本実施形態に係る隊列走行制御方法は、同一車線上の複数の車両と隊列を形成して走行する際に、先行車両に対する目標車間時間Ttを設定し、この目標車間時間Ttを実現するために、自車両の加減速度を制御する車間時間制御を実行可能にする。また、先行車両の減速状態を検出し、先行車両との車間距離Drを検出し、先行車両が減速を開始したことを検出した時点の車間距離Drを、第二の目標車間距離Dt2として設定する。そして、第二の目標車間距離Dt2を実現するために、自車両の加減速度を制御する車間距離制御を実行可能にする。また、自車速Vsを検出し、自車速Vs及び車間距離Drに応じて、先行車両に対する車間時間THWを検出する。この車間時間THWが目標車間時間Ttを維持しているときは、車間時間制御を行う。また、目標車間時間Ttよりも小さな範囲に予め定めた下限閾値TthMINを設定し、目標車間時間Ttから下限閾値TthMINまでの範囲を、車間時間制御を維持するための不感帯として設定する。そして、車間時間制御を行っている状態で、車間時間THWが下限閾値TthMINを下回ったときに、車間時間制御から車間距離制御に切り替える。
このように、車間時間制御だけで対応するのではなく、必要に応じて車間距離制御を実行することにより、先行車両に追従する車両に、より適切なタイミングで減速させ、良好な隊列走行を維持することができる。さらに、目標車間時間Ttから下限閾値TthMINまでの範囲を、車間時間制御を維持するための不感帯として設定することで、スムーズに制御モードを切り替え、且つ車両挙動の急変を抑制することができる。また、車間時間THWが下限閾値TthMINを下回ったときに、車間時間制御から車間距離制御に切り替えることにより、第二の目標車間距離Dt2を実現するために、速やかに先行車両への接近を抑制することができる。
《第2実施形態》
《構成》
本実施形態は、車間距離制御を行っている状態で、車間時間THWが目標車間時間Ttを上回ったときには、車間距離制御を維持するものである。また、車間時間THWに対する上限閾値TthMAXを設定し、車間時間THWが上限閾値TthMAXを上回ったときには、上限閾値TthMAXに対応する車間距離DthMAXの維持を実現するために、自車両の加減速度を制御するものである。
装置構成は、前述した第1実施形態と同様である。
次に、本実施形態の制御切り替え判断処理について説明する。
図7は、第2実施形態の制御切り替え判断処理を示すフローチャートである。
ここでは、前述した第1実施形態において、新たなステップS201、S202の処理を追加してあり、このステップS201の処理は、ステップS123からS131へ移行するときに実行される。なお、ステップS121〜S134の処理については、前述した第1実施形態と同様であるため、共通部分については詳細な説明を省略する。
ステップS201では、車間時間THWが予め定めた上限閾値TthMAXよりも短いか否かを判定する。
ここで、上限閾値TthMAXとは、下記の数式に示すように、車間時間設定スイッチで設定された目標車間時間Ttから予め定めた余裕代Tmを加算した値である。余裕代Tmは、例えば0.1[sec]程度とする。したがって、目標車間時間Ttが例えば0.7[sec]であるときには、上限閾値TthMAXは0.8[sec]程度となる。
TthMAX=Tt+Tm
ここで、判定結果が車間時間THWが上限閾値TthMAXよりも短いときには、先行車両との離間傾向はほぼないと判断してステップS131に移行する。一方、判定結果が車間時間THWが上限閾値TthMAX以上であるときには、先行車両との離間傾向にあると判断してステップS202に移行する。
ステップS202では、車間距離制御として、上限閾値TthMAX相当の車間距離DthMAXを、第二の目標車間距離Dt2として設定し、且つこの第二の目標車間距離Dt2を維持するための第二の加減速度指令値Gc2を設定する。ここで、上限閾値TthMAX相当の車間距離DthMAXとは、下記の数式に示すように、上限閾値TthMAXに自車速Vsを乗算した値である。
DthMAX=TthMAX×Vs
そして、この第二の加減速度指令値Gc2を最終的な加減速指令値Gcに設定してから所定のメインプログラムに復帰する。
上記が本実施形態の制御切り替え判断処理である。
《作用》
次に、第2実施形態の作用について説明する。
車間距離制御を実行しており、且つ先行車両が減速を終了していない状態で、例えば自車両の減速度が先行車両の減速度よりも相対的に高いと、車間時間THWが徐々に増加してゆく。そして、車間時間THWが目標車間時間Ttを上回ったとしても、先行車両が減速を解除していないので、そのまま車間距離制御を維持する。
但し、車間時間THWが目標車間時間Ttに対して上方乖離し、目標車間時間Ttとの差が大きくなり過ぎると、先行車両が減速を解除した後に、車間時間THWを目標車間時間Ttに復帰させるまでに時間を要してしまう。
そのため、目標車間時間Ttよりも大きな範囲に予め定めた上限閾値TthMAXを設定し、車間時間THWが上限閾値TthMAX以上であるときには(ステップS201の判定が“No”)、車間距離制御における第二の目標車間距離Dt2を調整する。すなわち、上限閾値TthMAX相当の車間距離DthMAXを、第二の目標車間距離Dt2として設定し直し、この第二の目標車間距離Dt2の維持を実現するために、自車両の加減速度を制御する(ステップS202)。このように、車間距離制御を実行しながら、車間時間THWが大きくなり過ぎることを抑制する。これにより、先行車両が減速を解除した後に、車間時間THWを速やかに目標車間時間Ttへと収束させることができる。
図8は、第2実施形態の動作を示すタイムチャートである。
ここでは、車間時間THWと、先行車両の減速信号と、車間距離制御フラグの動きについて説明する。
先ず、車間時間THWが目標車間時間Ttを概ね維持しており、車間距離制御フラグがft=0にリセットされていることで、車間時間制御が実行されている。このとき、時点t21で先行車両が減速を開始し、時点t22で先行車両が減速を終了する。この先行車両の一時的な減速により、車間時間THWが僅かに減少するものの、下限閾値thMIN以上の状態を維持しているため、車間距離制御フラグもft=0を維持し、車間時間制御を継続する。
その後の時点t23で先行車両が減速を開始すると、車間時間THWが減少しゆき、時点t24で車間時間THWが下限閾値thMINを下回ると、車間距離制御フラグがft=1にセットされるので、車間時間制御から車間距離制御へと切り替わる。この車間距離制御により、先行車両が減速を開始した時点の車間距離Drを維持しようと減速するので、車間時間THWは増加に転じ、直ぐに下限閾値thMINを上回るが、そのまま車間距離制御を維持する。また、車間時間THWは増加を続け、目標車間時間Ttを上回るが、先行車両が減速を解除していないので、そのまま車間距離制御を維持する。
但し、車間時間THWが上限閾値thMAXを上回ると、車間距離制御を維持したまま、この上限閾値thMAX相当の車間距離DthMAXを、第二の目標車間距離Dt2として設定する。これにより、車間時間THWの上昇が抑制され、上限閾値thMAXを概ね維持するようになる。その後の時点t25で先行車両が減速を終了すると、車間距離制御フラグがft=0にリセットされ、車間距離制御から車間時間制御へと復帰する。
このように、車間距離制御を維持したまま、第二の目標車間距離Dt2を調整することにより、車間時間THWが大きくなり過ぎることを抑制し、良好な隊列走行を維持することができる。
本実施形態において、その他、前述した第1実施形態と共通する部分については、同様の作用効果が得られるものとし、詳細な説明は省略する。
《対応関係》
以上、ステップS201の処理が「制御切り替え部」に含まれ、ステップS202の処理が「車間距離制御部」に含まれる。
《効果》
次に、第2実施形態における主要部の効果を記す。
(1)本実施形態の隊列走行制御装置は、車間距離制御を行っている状態で、車間時間THWが目標車間時間Ttを上回ったときには、車間距離制御を維持する。
このように、車間時間THWが目標車間時間Ttを上回ったとしても、少なくとも先行車両が減速を終了するまでは、車間距離制御を維持することにより、先行車両への接近を抑制することができる。
(2)本実施形態の隊列走行制御装置は、目標車間時間Ttよりも大きな範囲に予め定めた上限閾値TthMAXを設定し、車間時間THWが上限閾値TthMAXを上回ったときは、上限閾値TthMAXに対応する車間距離DthMAXの維持を実現するために、自車両の加減速度を制御する。
このように、車間時間THWが上限閾値TthMAXを上回ったときは、上限閾値TthMAX相当の車間距離DthMAXを維持することにより、車間時間THWが大きくなり過ぎることを抑制し、良好な隊列走行を維持することができる。
《第3実施形態》
《構成》
本実施形態は、先行車両の車速Vaが、予め定めた閾値Vth以下となったときは、車間距離制御として、予め定めた最小車間距離DrMINの維持を実現するために、自車両の加減速度を制御するものである。
装置構成は、前述した第1実施形態と同様である。
次に、本実施形態の制御切り替え判断処理について説明する。
図9は、第3実施形態の制御切り替え判断処理を示すフローチャートである。
ここでは、前述した第1実施形態において、新たなステップS301、S302の処理を追加してあり、このステップS301の処理は、ステップS121の前に実行される。なお、ステップS121〜S134の処理については、前述した第1実施形態と同様であるため、共通部分については詳細な説明を省略する。
ステップS301では、先行車両の車速Vaが、予め定めた閾値Vthより大きいか否かを判定する。ここで、閾値Vthとは、例えば40〜50km/h程度の値である。判定結果が、Va>Vthであるときには、適切な車間時間制御を実行できると判断してステップS121に移行する。一方、判定結果がVa≦Vthであるときには、適切な車間時間制御を実行できないと判断してステップS302に移行する。
ステップS302では、車間距離制御として、予め定めた最小車間距離DrMINを、第二の目標車間距離Dt2として設定し、且つこの第二の目標車間距離Dt2を維持するための第二の加減速度指令値Gc2を設定する。ここで、最小車間距離DrMINとは、例えば10m程度の固定値である。そして、この第二の加減速度指令値Gc2を最終的な加減速指令値Gcに設定してから所定のメインプログラムに復帰する。
上記が本実施形態の制御切り替え判断処理である。
《作用》
次に、第3実施形態の作用について説明する。
車間時間制御では、目標車間時間Ttを実現しようとすると、自車速Vsによって先行車両への車間距離が変化する。すなわち、自車速Vsが高いほど車間距離Drは長くなるが、自車速Vsが低いほど車間距離Drは短くなる。例えば、自車速Vsが50km/h程度のときには車間距離Drが8.3m程度となり、自車速Vsが40km/h程度のときには車間距離Drが6.6m程度となる。しかしながら、いくら自車速Vsが低くても、車間距離Drを短くし過ぎると、運転者に違和感を与える可能性がある。そこで、本実施形態では、自車速Vsが低くなるとしても、最低限の車間距離Drを維持するために、車間時間制御から車間距離制御への切り替えを行う。
なお、隊列走行の場合、自車速Vsは略先行車両の車速Vaであり、先ず先行車両の車速Vaが変化し、それから自車速Vsが変化することになるため、自車速Vsが低いことを検出するよりも、先行車両の車速Vaが低いことを検出する方が好ましい。
そこで、先行車両の車速Vaが閾値Vth以下であるときには(ステップS301の判定が“No”)、車間距離制御における第二の目標車間距離Dt2を調整する。すなわち、予め定めた最小車間距離DrMINを、第二の目標車間距離Dt2として設定し直し、この第二の目標車間距離Dt2の維持を実現するために、自車両の加減速度を制御する(ステップS302)。このように、車間距離制御に切り替え、車間距離Drが小さくなり過ぎることを抑制する。これにより、先行車両に対して必要以上に接近することを抑制し、運転者に違和感を与えることも抑制できる。
図10は、第3実施形態の動作を示すタイムチャートである。
ここでは、先行車両の車速Vaと、車間距離Drの動きについて説明する。
先ず、先行車両の車速Vaが閾値Vthよりも大きい状態を維持しており、このときは車間時間制御が実行されている。この状態から先行車両が減速し、車速Vaが徐々に減少してゆくと、車間時間制御により、車間距離Drも徐々に短くなる。その後、時点t31で先行車両の車速Vaが閾値Vthを下回ると、車間時間制御から車間距離制御へと切り替わる。この車間距離制御により、車間距離Drの減少が制限され、最小車間距離DrMINを維持する。
このように、車間時間制御から車間距離制御へと切り替え、第二の目標車間距離Dt2を調整することにより、先行車両に接近し過ぎることを抑制し、良好な隊列走行を維持することができる。
本実施形態において、その他、前述した第1実施形態と共通する部分については、同様の作用効果が得られるものとし、詳細な説明は省略する。
《対応関係》
以上、ステップS301の処理が「制御切り替え部」に含まれ、ステップS302の処理が「車間距離制御部」に含まれる。
《効果》
次に、第3実施形態における主要部の効果を記す。
(1)本実施形態の隊列走行制御装置は、先行車両の車速Vaが、予め定めた閾値Vth以下となったときは、車間距離制御として、予め定めた最小車間距離DrMINの維持を実現するために、自車両の加減速度を制御する。
このように、先行車両の車速Vaが閾値Vth以下となったときは、車間距離制御によって最小車間距離DrMINの維持することで、先行車両に接近し過ぎることを抑制し、良好な隊列走行を維持することができる。
以上、限られた数の実施形態を参照しながら説明したが、権利範囲はそれらに限定されるものではなく、上記の開示に基づく実施形態の改変は、当業者にとって自明のことである。また、各実施形態は、任意に組み合わせて採用することができる。
11 CACCスイッチ
12 車輪速センサ
13 周辺状況認識装置
14 通信装置
15 ナビゲーションシステム
16 コントローラ
20 駆動力制御装置
50 ブレーキ制御装置

Claims (7)

  1. 同一車線上の複数の車両と隊列を形成して走行する隊列走行制御装置において、
    先行車両に対する目標車間時間を設定する目標車間時間設定部と、
    前記目標車間時間設定部で設定した目標車間時間を実現するために、自車両の加減速度を制御することにより車間時間制御を行う車間時間制御部と、
    前記先行車両の減速状態を検出する減速状態検出部と、
    前記先行車両との車間距離を検出する車間距離検出部と、
    前記減速状態検出部で前記先行車両が減速を開始したことを検出した時点で、前記車間距離検出部で検出した車間距離を、目標車間距離として設定する目標車間距離設定部と、
    前記目標車間距離設定部で設定した目標車間距離を実現するために、自車両の加減速度を制御することにより車間距離制御を行う車間距離制御部と、
    自車速を検出する車速検出部と、
    前記車速検出部で検出した自車速、及び前記車間距離検出部で検出した前記先行車両との車間距離に応じて、前記先行車両に対する車間時間を検出する車間時間検出部と、
    前記車間時間検出部で検出した車間時間に応じて、前記車間時間制御部で車間時間制御を行うか前記車間距離制御部で車間距離制御を行うか何れか一方に切り替える制御切り替え部と、を備え、
    前記制御切り替え部は、
    前記車間時間が前記目標車間時間を維持しているときは、前記車間時間制御部で車間時間制御を行い、前記目標車間時間よりも小さな範囲に予め定めた下限閾値を設定し、前記目標車間時間から前記下限閾値までの範囲を、前記車間時間制御を維持するための不感帯として設定し、前記車間時間制御を行っている状態で、前記車間時間が前記下限閾値を下回ったときには、前記車間時間制御から前記車間距離制御に切り替えることを特徴とする隊列走行制御装置。
  2. 前記制御切り替え部は、
    前記減速状態検出部は、前記先行車両が減速を終了した時点で、前記車間距離制御から前記車間時間制御に切り替えることを特徴とする請求項1に記載の隊列走行制御装置。
  3. 前記減速状態検出部は、
    前記先行車両との通信により、前記先行車両の減速状態を検出することを特徴とする請求項1又は2に記載の隊列走行制御装置。
  4. 前記制御切り替え部は、
    前記車間距離制御を行っている状態で、前記車間時間が前記目標車間時間を上回ったときには、前記車間距離制御を維持することを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の隊列走行制御装置。
  5. 前記車間距離制御部は、
    前記目標車間時間よりも大きな範囲に予め定めた上限閾値を設定し、前記車間時間が前記上限閾値を上回ったときには、前記上限閾値に対応する車間距離の維持を実現するために、自車両の加減速度を制御することを特徴とする請求項4に記載の隊列走行制御装置。
  6. 前記制御切り替え部は、
    前記先行車両の車速が、予め定めた閾値以下となったときは、前記車間距離制御部で車間距離制御を行い、
    前記車間距離制御部は、
    予め定めた最小車間距離の維持を実現するために、自車両の加減速度を制御することを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の隊列走行制御装置。
  7. 同一車線上の複数の車両と隊列を形成して走行する際に、
    先行車両に対する目標車間時間を設定し、前記目標車間時間を実現するために、自車両の加減速度を制御する車間時間制御を実行可能とし、
    前記先行車両の減速状態を検出し、前記先行車両との車間距離を検出し、前記先行車両が減速を開始したことを検出した時点の前記車間距離を、目標車間距離として設定し、前記目標車間距離を実現するために、自車両の加減速度を制御する車間距離制御を実行可能とし、
    自車速を検出し、前記自車速、及び前記車間距離に応じて、前記先行車両に対する車間時間を検出し、前記車間時間が前記目標車間時間を維持しているときは、前記車間時間制御を行い、前記目標車間時間よりも小さな範囲に予め定めた下限閾値を設定し、前記目標車間時間から前記下限閾値までの範囲を、前記車間時間制御を維持するための不感帯として設定し、前記車間時間制御を行っている状態で、前記車間時間が前記下限閾値を下回ったときには、前記車間時間制御から前記車間距離制御に切り替えることを特徴とする隊列走行制御方法。
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