JP6152128B2 - 偏光子の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、偏光子の製造方法に関する。より詳細には、本発明は、非偏光部を有する偏光子の製造方法に関する。
携帯電話、ノート型パーソナルコンピューター(PC)等の画像表示装置には、カメラ等の内部電子部品が搭載されているものがある。このような画像表示装置のカメラ性能等の向上を目的として、種々の検討がなされているが、スマートフォン、タッチパネル式の情報処理装置の急速な普及により、カメラ性能等のさらなる向上が望まれている。また、画像表示装置の形状の多様化および高機能化に対応するために、部分的に非偏光部を有する偏光子が求められている。
通常、上記非偏光部は偏光子に穴あけ加工を施すことで形成されるが、加工の際に偏光子にクラックが発生する等の問題がある。そこで、樹脂基材フィルムの表面にポリビニルアルコール系樹脂層を形成して得られる積層フィルムを延伸した後に、ポリビニルアルコール系樹脂層表面に防染層を形成し、二色性色素で染色して非偏光部を有する偏光子を製造する方法が提案されている(特許文献1参照)。
しかし、上記ポリビニルアルコール系樹脂層表面に形成された防染層は、その形成材料によっては染色後に洗浄除去する必要がある。防染層を除去しない場合であっても、偏光子表面に部分的に防染層が存在するので、例えば、保護フィルムの貼り合わせる際に気泡が発生しやすいという問題がある。また、染色時に防染層の一部がポリビニルアルコール系樹脂層表面からはがれる等の不具合により、所定の形状を有する非偏光部が得られない、精度が悪いなどの問題がある。そこで、非偏光部を有する偏光子の新たな製造方法が望まれている。
特開2014−211548号公報
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、その主たる目的は、非偏光部を有する偏光子を高い生産性で製造する方法を提供することにある。
本発明の偏光子の製造方法は、樹脂基材上にポリビニルアルコール系樹脂層を形成して積層体を得る工程と、上記ポリビニルアルコール系樹脂層をヨウ素で染色する工程と、上記積層体を延伸する工程と、上記染色および延伸後に、上記ポリビニルアルコール系樹脂層に塩基性溶液を接触させて非偏光部を形成する工程とを含む。
1つの実施形態においては、上記非偏光部におけるヨウ素含有量は1.0重量%以下である。
1つの実施形態においては、上記ポリビニルアルコール系樹脂層表面が、その少なくとも一部が露出するように表面保護フィルムで被覆された状態で、上記塩基性溶液を接触させる。
1つの実施形態においては、上記表面保護フィルムに貫通穴が形成されている。
1つの実施形態においては、厚み13μm以下のポリビニルアルコール系樹脂層に上記塩基性溶液を接触させる。
1つの実施形態においては、上記積層体は、上記樹脂基材にポリビニルアルコール系樹脂を含む塗布液を塗布することにより得られる。
1つの実施形態においては、上記染色後に上記積層体を延伸する。
1つの実施形態においては、上記延伸は水中延伸である。
1つの実施形態においては、上記積層体のポリビニルアルコール系樹脂層側に保護フィルムを貼り合わせた後に上記樹脂基材を剥離し、この剥離面に表面保護フィルム剥離可能に貼り合わせて得られた偏光フィルム積層体に、上記塩基性溶液を接触させる。
1つの実施形態においては、上記偏光フィルム積層体は長尺状であり、上記表面保護フィルムには、その長手方向および/または幅方向に所定の間隔で貫通穴が形成されている。
1つの実施形態においては、上記ポリビニルアルコール系樹脂層の上記塩基性溶液を接触させた部位に、酸性溶液を接触させる。
本発明によれば、染色・延伸を施したポリビニルアルコール系樹脂層に塩基性溶液を接触させるという簡便な操作により、非偏光部を有する偏光子を得ることができる。また、本発明によれば、染色後にも積層体を延伸することができ、光学特性に極めて優れた偏光子を得ることができる。
本発明の1つの実施形態による偏光子の平面図である。
以下、本発明の1つの実施形態について説明するが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。
A.偏光子
図1は、本発明の1つの実施形態による偏光子の平面図である。偏光子1は、非偏光部2が形成されている。非偏光部2は、偏光子に含まれる二色性物質の含有量を他の部位3よりも少なくすることにより形成される。このような構成によれば、機械的に(例えば、彫刻刃打抜き、プロッター、ウォータージェット等を用いて機械的に抜き落とす方法により)、貫通穴が形成されている場合に比べて、クラック、デラミ(層間剥離)、糊はみ出し等の品質上の問題が回避される。また、二色性物質自体の含有量を少なくするので、レーザー光等により二色性物質を分解して非偏光部が形成されている場合に比べて、非偏光部の透明性が良好に維持される。
図示例では、小円形の非偏光部2が偏光子1の上端部中央部に形成されているが、非偏光部の数、配置、形状、サイズ等は、適宜設計され得る。例えば、搭載される画像表示装置のカメラホール部の位置、形状、サイズ等に応じて設計される。この場合、非偏光部は、直径10mm以下の略円形とされることが好ましい。
非偏光部の透過率(例えば、23℃における波長550nmの光で測定した透過率)は、好ましくは50%以上、より好ましくは60%以上、さらに好ましくは75%以上、特に好ましくは90%以上である。このような透過率であれば、所望の透明性を確保することができる。例えば、画像表示装置のカメラホール部に非偏光部を対応させた場合に、カメラの撮影性能に対する悪影響を防止することができる。
偏光子(非偏光部を除く)は、好ましくは、波長380nm〜780nmのいずれかの波長で吸収二色性を示す。偏光子(非偏光部を除く)の単体透過率は、好ましくは40.0%以上、より好ましくは42.0%以上、さらに好ましくは42.5%以上、特に好ましくは43.0%以上である。偏光子(非偏光部を除く)の偏光度は、好ましくは99.8%以上、より好ましくは99.9%以上、さらに好ましくは99.95%以上である。
偏光子の厚みは、好ましくは13μm以下、より好ましくは8μm以下、さらに好ましくは5μm以下である。このような厚みとすることにより、高い透明性を有しながら、表面平滑性に優れた(例えば、シワ等の発生が抑制された)非偏光部が形成され得る。その結果、例えば、画像表示装置のカメラホール部に非偏光部を対応させた場合に、カメラの性能に対する悪影響をより効果的に防止することができる。また、上記厚みとすることにより、非偏光部が良好に形成され得る。例えば、後述する塩基性溶液との接触において、短時間で非偏光部を形成することができる。一方、偏光子の厚みは、好ましくは1.0μm以上、より好ましくは2.0μm以上である。
上記二色性物質としては、ヨウ素が好ましく用いられる。ヨウ素を用いることにより、例えば、後述の塩基性溶液との接触により、良好に非偏光部を形成することができる。
上記非偏光部は、上記他の部位よりも二色性物質の含有量が少ない部分である。非偏光部の二色性物質の含有量は、好ましくは1.0重量%以下、より好ましくは0.5重量%以下、さらに好ましくは0.2重量%以下である。非偏光部の二色性物質の含有量がこのような範囲であれば、非偏光部に所望の透明性を付与することができる。例えば、画像表示装置のカメラホール部に非偏光部を対応させた場合に、明るさおよび色味の両方の観点から非常に優れた撮影性能を実現することができる。一方、非偏光部の二色性物質の含有量の下限値は、通常、検出限界値以下である。なお、二色性物質としてヨウ素を用いる場合、非偏光部のヨウ素含有量は、例えば、蛍光X線分析で測定したX線強度から、予め標準試料を用いて作成した検量線により求められる。
他の部位における二色性物質の含有量と非偏光部における二色性物質の含有量との差は、好ましくは0.5重量%以上、さらに好ましくは1重量%以上である。
偏光子の形成材料としては、任意の適切な樹脂が用いられ得る。好ましくは、ポリビニルアルコール系樹脂(以下、「PVA系樹脂」と称する)が用いられる。PVA系樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体が挙げられる。ポリビニルアルコールは、ポリ酢酸ビニルをケン化することにより得られる。エチレン−ビニルアルコール共重合体は、エチレン−酢酸ビニル共重合体をケン化することにより得られる。PVA系樹脂のケン化度は、通常85モル%〜100モル%であり、好ましくは95.0モル%以上、さらに好ましくは99.0モル%以上、特に好ましくは99.93モル%以上である。ケン化度は、JIS K 6726−1994に準じて求めることができる。このようなケン化度のPVA系樹脂を用いることによって、耐久性に優れた偏光子が得られ得る。
PVA系樹脂の平均重合度は、目的に応じて適切に選択され得る。平均重合度は、通常1000〜10000であり、好ましくは1200〜6000、さらに好ましくは2000〜5000である。なお、平均重合度は、JIS K 6726−1994に準じて求めることができる。
B.偏光子の製造方法
上記偏光子は、例えば、樹脂基材上にPVA系樹脂層を形成して積層体を得る工程と、PVA系樹脂層をヨウ素で染色する工程と、積層体を延伸する工程と、染色および延伸後に、PVA系樹脂層に塩基性溶液を接触させて非偏光部を形成する工程とを含む方法により製造される。このような方法によれば、上記厚みおよび上記光学特性(単体透過率、偏光度)を満足する偏光子が得られ得る。
B−1.積層体の作製
上記樹脂基材の形成材料としては、任意の適切な樹脂が用いられ得る。例えば、ポリエチレンテレフタレート系樹脂等のエステル系樹脂、シクロオレフィン系樹脂、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、これらの共重合体樹脂等が挙げられる。好ましくは、ポリエチレンテレフタレート系樹脂が用いられる。中でも、非晶質のポリエチレンテレフタレート系樹脂が好ましく用いられる。非晶質のポリエチレンテレフタレート系樹脂の具体例としては、ジカルボン酸としてイソフタル酸をさらに含む共重合体や、グリコールとしてシクロヘキサンジメタノールをさらに含む共重合体が挙げられる。
樹脂基材のガラス転移温度(Tg)は、好ましくは120℃以下、さらに好ましくは100℃以下である。積層体を延伸する場合、PVA系樹脂層の結晶化を抑制しながら、延伸性(特に、水中延伸における)を十分に確保することができるからである。その結果、優れた光学特性(例えば、偏光度)を有する偏光子を製造することができる。一方、樹脂基材のガラス転移温度は、好ましくは60℃以上である。なお、ガラス転移温度(Tg)は、JIS K 7121に準じて求められる値である。
樹脂基材の吸水率は、好ましくは0.2%以上であり、さらに好ましくは0.3%以上である。このような樹脂基材は水を吸収し、水が可塑剤的な働きをして可塑化し得る。その結果、延伸応力を大幅に低下させることができ、延伸性に優れ得る。一方、樹脂基材の吸水率は、好ましくは3.0%以下、さらに好ましくは1.0%以下である。このような樹脂基材を用いることにより、製造時に樹脂基材の寸法安定性が著しく低下して、得られる偏光子の外観が悪化するなどの不具合を防止することができる。また、水中延伸時に破断したり、樹脂基材からPVA系樹脂層が剥離したりするのを防止することができる。なお、吸水率は、JIS K 7209に準じて求められる値である。
樹脂基材の厚みは、好ましくは20μm〜300μm、さらに好ましくは50μm〜200μmである。樹脂基材表面には、表面改質処理(例えば、コロナ処理等)が施されていてもよいし、易接着層が形成されていてもよい。このような処理によれば、樹脂基材とPVA系樹脂層との密着性に優れた積層体が得られ得る。なお、樹脂基材は、保護フィルムとしてそのまま利用され得る。
上記積層体は、任意の適切な方法により作製され得る。例えば、樹脂基材に上記PVA系樹脂を含む塗布液を塗布し、必要に応じて乾燥することにより作製される。また、樹脂基材に上記PVA系樹脂を含むフィルムを任意の適切な方法で積層することにより作製される。
上記塗布液は、代表的には、上記PVA系樹脂を溶媒に溶解させた溶液が用いられる。この溶媒としては、例えば、水、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、各種グリコール類、トリメチロールプロパン等の多価アルコール類、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン等のアミン類が挙げられる。これらは単独で、または、二種以上組み合わせて用いることができる。これらの中でも、好ましくは、水である。溶液のPVA系樹脂濃度は、任意の適切な値に設定され得る。例えば、PVA系樹脂の重合度やケン化度等に応じて設定される。溶液のPVA系樹脂濃度は、例えば、溶媒100重量部に対して3重量部〜20重量部である。
上記塗布液には、添加剤が含まれていてもよい。添加剤としては、例えば、可塑剤、界面活性剤等が挙げられる。可塑剤としては、例えば、エチレングリコールやグリセリン等の多価アルコールが挙げられる。界面活性剤としては、例えば、非イオン界面活性剤が挙げられる。これらは、得られるPVA系樹脂層の均一性や染色性、延伸性をより一層向上させる目的で使用され得る。また、添加剤としては、例えば、易接着成分が挙げられる。易接着成分を用いることにより、樹脂基材とPVA系樹脂層との密着性を向上させ得る。その結果、例えば、樹脂基材からPVA系樹脂層が剥がれる等の不具合を抑制して、後述の染色、水中延伸を良好に行うことができる。易接着成分としては、例えば、アセトアセチル変性PVAなどの変性PVAが用いられる。
塗布液の塗布方法としては、任意の適切な方法が採用され得る。例えば、ロールコート法、スピンコート法、ワイヤーバーコート法、ディップコート法、ダイコート法、カーテンコート法、スプレーコート法、ナイフコート法(コンマコート法等)等が挙げられる。塗布液の塗布・乾燥温度は、例えば20℃以上である。
PVA系樹脂層(延伸前)の厚みは、好ましくは3μm〜40μm、より好ましくは3μm〜20μm、さらに好ましくは3μm〜15μmである。
B−2.染色
上記染色の方法としては、例えば、ヨウ素を含む染色液にPVA系樹脂層(積層体)を浸漬させる方法、PVA系樹脂層に当該染色液を塗工する方法、当該染色液をPVA系樹脂層に噴霧する方法が挙げられる。好ましくは、染色液にPVA系樹脂層を浸漬させる方法が用いられる。
上記染色液は、好ましくは、ヨウ素水溶液である。ヨウ素の配合量は、水100重量部に対して、好ましくは0.1重量部〜0.5重量部である。ヨウ素の水に対する溶解度を高めるため、ヨウ素水溶液にヨウ化物を配合することが好ましい。ヨウ化物としては、例えば、ヨウ化カリウム、ヨウ化リチウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化亜鉛、ヨウ化アルミニウム、ヨウ化鉛、ヨウ化銅、ヨウ化バリウム、ヨウ化カルシウム、ヨウ化錫、ヨウ化チタン等が挙げられる。これらの中でも、好ましくは、ヨウ化カリウムである。ヨウ化物の配合量は、水100重量部に対して、好ましくは0.1重量部〜20重量部、さらに好ましくは0.5重量部〜10重量部である。
染色液の液温は、好ましくは20℃〜50℃である。浸漬時間は、好ましくは5秒〜5分である。なお、染色条件(濃度、液温、浸漬時間)は、最終的に得られる偏光子の偏光度もしくは単体透過率が所定の範囲となるように、設定することができる。
B−3.延伸
積層体の延伸方法としては、任意の適切な方法が採用され得る。具体的には、固定端延伸(例えば、テンター延伸機を用いる方法)でもよいし、自由端延伸(例えば、周速の異なるロール間に積層体を通して一軸延伸する方法)でもよい。また、同時二軸延伸(例えば、同時二軸延伸機を用いる方法)でもよいし、逐次二軸延伸でもよい。積層体の延伸は、一段階で行ってもよいし、多段階で行ってもよい。多段階で行う場合、後述の積層体の延伸倍率は、各段階の延伸倍率の積である。
積層体の延伸方向としては、任意の適切な方向が選択され得る。1つの実施形態においては、長尺状の積層体の長手方向に延伸する。具体的には、積層体を長手方向に搬送し、その搬送方向(MD)である。別の実施形態においては、長尺状の積層体の幅方向に延伸する。具体的には、積層体を長手方向に搬送し、その搬送方向(MD)と直交する方向(TD)である。
積層体は元長から4.0倍以上に延伸されることが好ましく、さらに好ましくは5.0倍以上である。
延伸方式は特に限定されず、例えば、空中延伸方式であってもよいし、積層体を延伸浴に浸漬させながら行う水中延伸方式であってもよい。好ましくは、水中延伸を少なくとも1回行い、さらに好ましくは、空中延伸と水中延伸とを組み合わせる。水中延伸によれば、上記樹脂基材やPVA系樹脂層のガラス転移温度(代表的には、80℃程度)よりも低い温度で延伸し得、PVA系樹脂層を、その結晶化を抑えながら、高倍率に延伸することができる。その結果、優れた光学特性を有する偏光子を製造することができる。なお、空中延伸と水中延伸とを組み合わせる場合、空中延伸後に水中延伸を行うのが好ましい。
積層体の延伸温度は、樹脂基材の形成材料、延伸方式等に応じて、任意の適切な値に設定することができる。空中延伸方式を採用する場合、延伸温度は、好ましくは樹脂基材のガラス転移温度(Tg)以上であり、さらに好ましくは樹脂基材のガラス転移温度(Tg)+10℃以上、特に好ましくはTg+15℃以上である。一方、積層体の延伸温度は、好ましくは170℃以下である。このような温度で延伸することで、PVA系樹脂の結晶化が急速に進むのを抑制して、当該結晶化による不具合(例えば、延伸によるPVA系樹脂層の配向を妨げる)を抑制することができる。
延伸方式として水中延伸方式を採用する場合、延伸浴の液温は、好ましくは40℃〜85℃、さらに好ましくは50℃〜85℃である。このような温度であれば、PVA系樹脂層の溶解を抑制しながら高倍率に延伸することができる。具体的には、上述のように、樹脂基材のガラス転移温度(Tg)は、PVA系樹脂層の形成との関係で、好ましくは60℃以上である。この場合、延伸温度が40℃を下回ると、水による樹脂基材の可塑化を考慮しても、良好に延伸できないおそれがある。一方、延伸浴の温度が高温になるほど、PVA系樹脂層の溶解性が高くなって、優れた光学特性が得られないおそれがある。積層体の延伸浴への浸漬時間は、好ましくは15秒〜5分である。
水中延伸方式を採用する場合、積層体をホウ酸水溶液中に浸漬させて延伸することが好ましい(ホウ酸水中延伸)。延伸浴としてホウ酸水溶液を用いることで、PVA系樹脂層に、延伸時にかかる張力に耐える剛性と、水に溶解しない耐水性とを付与することができる。ホウ酸水溶液は、好ましくは、溶媒である水にホウ酸および/またはホウ酸塩を溶解させることにより得られる。ホウ酸濃度は、水100重量部に対して、好ましくは1重量部〜10重量部である。ホウ酸濃度を1重量部以上とすることにより、PVA系樹脂層の溶解を効果的に抑制することができる。
好ましくは、上記ホウ酸水溶液にヨウ化物を配合する。予め、PVA系樹脂層が染色されている場合、ヨウ素の溶出を抑制することができるからである。ヨウ化物の濃度は、水100重量部に対して、好ましくは0.05重量部〜15重量部、さらに好ましくは0.5重量部〜8重量部である。
水中延伸は染色後に行うのが好ましい。延伸性により優れ得るからである。上述のとおり、染色後に積層体を延伸できることが本発明の特徴の1つであり、本発明によれば水中延伸を良好に行うことができる。
上述のとおり、水中延伸と空中延伸とを組み合わせるのが好ましい。1つの実施形態においては、積層体は、例えば95℃〜150℃で空中延伸された後に染色工程に供され、その後、水中延伸により延伸される。この場合、積層体の空中延伸による延伸倍率は、例えば1.5倍〜3.5倍であり、好ましくは2.0倍〜3.0倍である。また、積層体の水中延伸による延伸倍率は、好ましくは2.0倍以上である。
B−4.塩基性溶液の接触
上記非偏光部は、好ましくは、PVA系樹脂層に、塩基性溶液を接触させることにより形成される。二色性物質としてヨウ素を用いる場合、PVA系樹脂層の所望の部位に塩基性溶液を接触させることで、接触部のヨウ素含有量を容易に低減させることができる。具体的には、接触により、塩基性溶液はPVA系樹脂層内部へと浸透し得る。PVA系樹脂層に含まれるヨウ素錯体は塩基性溶液に含まれる塩基により還元され、ヨウ素イオンとなる。ヨウ素錯体がヨウ素イオンに還元されることにより、接触部の透過率が向上し得る。そして、ヨウ素イオンとなったヨウ素は、PVA系樹脂層から塩基性溶液の溶媒中に移動する。こうして得られる非偏光部は、その透明性が良好に維持され得る。具体的には、ヨウ素錯体を破壊して透過率を向上させた場合、PVA系樹脂層内に残存するヨウ素が、偏光子の使用に伴い再度ヨウ素錯体を形成して透過率が低下し得るが、ヨウ素含有量を少なくした場合はそのような問題は防止される。
塩基性溶液の接触方法としては、任意の適切な方法が採用され得る。例えば、PVA系樹脂層に対し、塩基性溶液を滴下、塗工、スプレーする方法、PVA系樹脂層を塩基性溶液に浸漬する方法が挙げられる。塩基性溶液の接触に際し、所望の部位以外に塩基性溶液が接触しないように(二色性物質の濃度が低くならないように)、任意の適切な手段(例えば、保護フィルム、表面保護フィルム)でPVA系樹脂層を保護してもよい。保護フィルムは、偏光子の保護フィルムとしてそのまま利用され得るものある。表面保護フィルムは、偏光子の製造時に一時的に用いられるものである。表面保護フィルムは、任意の適切なタイミングで偏光子から取り除かれるため、代表的には、PVA系樹脂層に粘着剤層を介して貼り合わされる。
塩基性溶液に含まれる塩基性化合物としては、任意の適切な塩基性化合物を用いることができる。塩基性化合物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等のアルカリ金属の水酸化物、水酸化カルシウム等のアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸ナトリウム等の無機アルカリ金属塩、酢酸ナトリウム等の有機アルカリ金属塩、アンモニア水等が挙げられる。これらの中でも、好ましくはアルカリ金属の水酸化物であり、さらに好ましくは水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムである。アルカリ金属の水酸化物を含む塩基性溶液を用いることで、ヨウ素錯体を効率良くイオン化することができ、より簡便に非偏光部を形成することができる。これらの塩基性化合物は単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
塩基性溶液の溶媒としては、任意の適切な溶媒を用いることができる。具体的には、水、エタノール、メタノール等のアルコール、エーテル、ベンゼン、クロロホルム、および、これらの混合溶媒が挙げられる。これらの中でも、ヨウ素イオンが良好に溶媒へと移行し得ることから、水、アルコールが好ましく用いられる。
塩基性溶液の濃度は、例えば0.01N〜5Nであり、好ましくは0.05N〜3Nであり、さらに好ましくは0.1N〜2.5Nである。塩基性溶液の濃度がこのような範囲であれば、効率的に非偏光部を形成することができる。
塩基性溶液の液温は、例えば20℃〜50℃であり、好ましくは25℃〜50℃である。このような温度で塩基性溶液を接触させることにより、効率的に非偏光部を形成することができる。
塩基性溶液の接触時間は、例えば、PVA系樹脂層の厚み、塩基性溶液に含まれる塩基性化合物の種類や濃度に応じて設定される。接触時間は、例えば5秒〜30分であり、好ましくは5秒〜5分である。
上記偏光子の厚みは、塩基性溶液の接触の際のPVA系樹脂層の厚みに相当し得る。
1つの実施形態においては、塩基性溶液の接触に際し、PVA系樹脂層表面は、その少なくとも一部が露出するように表面保護フィルムで被覆されている。図示例の偏光子は、例えば、PVA系樹脂層に小円形の貫通穴が形成された表面保護フィルムを貼り合わせ、これに塩基性溶液を接触させることで作製される。その際、PVA系樹脂層のもう片側(表面保護フィルムが配置されていない側)も保護されていることが好ましい。
上記表面保護フィルムの厚みは、代表的には20μm〜250μmであり、好ましくは30μm〜150μmである。表面保護フィルムは、硬度(例えば、弾性率)が高いフィルムが好ましい。上記貫通穴の変形が防止され得るからである。表面保護フィルムの形成材料としては、ポリエチレンテレフタレート系樹脂等のエステル系樹脂、ノルボルネン系樹脂等のシクロオレフィン系樹脂、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、これらの共重合体樹脂等が挙げられる。好ましくは、エステル系樹脂(特に、ポリエチレンテレフタレート系樹脂)である。なお、保護フィルムの詳細については後段で説明する。
好ましい実施形態においては、積層体のPVA系樹脂層側に保護フィルムを貼り合わせた後に樹脂基材を剥離し、この剥離面に表面保護フィルム剥離可能に貼り合わせて得られた偏光フィルム積層体に、塩基性溶液を接触させる。予め、PVA系樹脂層の片側に樹脂基材とは別の保護フィルムを貼り合わせることで、PVA系樹脂層の厚みが上記のように薄い場合であっても、表面保護フィルムを良好に貼り合わせることができる。また、得られる偏光フィルム積層体は搬送性に極めて優れ得る。なお、偏光フィルム積層体が長尺状である場合、表面保護フィルムには、例えば、その長手方向および/または幅方向に所定の間隔で貫通穴が形成されている。
上記実施形態では、PVA系樹脂層の片側にのみ保護フィルムが貼り合わせられている。このような構成ではカールが発生しやすく(特に、PVA系樹脂層の厚みが15μm以上の場合)、表面保護フィルムの貼合せ不良、搬送性の低下等の不具合が起こりやすいが、PVA系樹脂層が上記のように薄い場合、カールの発生は良好に抑制され得る。
B−5.その他
上記塩基性溶液の接触前に、PVA系樹脂層には上記染色・延伸以外にも任意の適切な処理が施され得る。例えば、不溶化処理、架橋処理、洗浄処理、乾燥処理が挙げられる。
(不溶化処理)
上記不溶化処理は、代表的には、ホウ酸水溶液にPVA系樹脂層を浸漬させることにより行う。特に水中延伸方式を採用する場合、不溶化処理を施すことにより、PVA系樹脂層に耐水性を付与することができる。当該ホウ酸水溶液の濃度は、水100重量部に対して、好ましくは1重量部〜4重量部である。不溶化浴(ホウ酸水溶液)の液温は、好ましくは20℃〜40℃である。好ましくは、不溶化処理は、積層体作製後、染色処理や水中延伸処理の前に行う。
(架橋処理)
上記架橋処理は、代表的には、ホウ酸水溶液にPVA系樹脂層を浸漬させることにより行う。架橋処理を施すことにより、PVA系樹脂層に耐水性を付与することができる。当該ホウ酸水溶液の濃度は、水100重量部に対して、好ましくは1重量部〜4重量部である。また、上記染色処理後に架橋処理を行う場合、さらに、ヨウ化物を配合することが好ましい。ヨウ化物を配合することにより、PVA系樹脂層に吸着させたヨウ素の溶出を抑制することができる。ヨウ化物の配合量は、水100重量部に対して、好ましくは1重量部〜5重量部である。ヨウ化物の具体例は、上述のとおりである。架橋浴(ホウ酸水溶液)の液温は、好ましくは20℃〜50℃である。好ましくは、架橋処理は水中延伸処理の前に行う。好ましい実施形態においては、染色処理、架橋処理および水中延伸処理をこの順で行う。
(洗浄処理)
上記洗浄処理は、代表的には、ヨウ化カリウム水溶液にPVA系樹脂層を浸漬させることにより行う。
(乾燥処理)
上記乾燥処理の乾燥温度は、好ましくは30℃〜100℃である。
1つの実施形態においては、上記塩基性溶液は、PVA系樹脂層と接触後、任意の適切な手段によりPVA系樹脂層から除去される。このような実施形態によれば、例えば、偏光子の使用に伴う非偏光部の透過率の低下をより確実に防止することができる。塩基性溶液の除去方法の具体例としては、洗浄、ウエス等による拭き取り除去、吸引除去、自然乾燥、加熱乾燥、送風乾燥、減圧乾燥等が挙げられる。好ましくは、塩基性溶液は洗浄される。洗浄に用いる溶液は、例えば、水(純水)、メタノール、エタノール等のアルコール、酸性水溶液、および、これらの混合溶媒等が挙げられる。好ましくは、水が用いられる。洗浄回数は特に限定されず、複数回行ってもよい。塩基性溶液を乾燥により除去する場合、その乾燥温度は、例えば20℃〜100℃である。
好ましくは、PVA系樹脂層の塩基性溶液を接触させた部位に、酸性溶液を接触させる。酸性溶液と接触させることにより、非偏光部に残存する塩基性溶液をさらに良好なレベルまで除去することができる。また、非偏光部の寸法安定性(耐久性)を向上させることができる。酸性溶液との接触は、上記塩基性溶液の除去後に行ってもよいし、塩基性溶液を除去することなく行ってもよい。
酸性溶液に含まれる酸性化合物としては、任意の適切な酸性化合物を用いることができる。酸性化合物としては、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、フッ化水素等の無機酸、ギ酸、シュウ酸、クエン酸、酢酸、安息香酸等の有機酸等が挙げられる。酸性溶液に含まれる酸性化合物は、これらの中でも、好ましくは無機酸であり、さらに好ましくは塩酸、硫酸、硝酸である。これらの酸性化合物は単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
酸性溶液の溶媒としては、上記塩基性溶液の溶媒として例示したものを用いることができる。酸性溶液の濃度は、例えば0.01N〜5Nであり、好ましくは0.05N〜3Nであり、より好ましくは0.1N〜2.5Nである。
酸性溶液の液温は、例えば20℃〜50℃である。酸性溶液の接触時間は、例えば5秒〜5分である。なお、酸性溶液の接触方法は、上記塩基性溶液の接触方法と同様の方法が採用され得る。また、酸性溶液は、PVA系樹脂層から除去され得る。酸性溶液の除去方法は、上記塩基性溶液の除去方法と同様の方法が採用され得る。
C.偏光板
本発明の偏光板は、上記偏光子を有する。偏光板は、代表的には、偏光子と、この偏光子の少なくとも片側に配置された保護フィルムとを有する。この保護フィルムとしては、上記樹脂基材をそのまま用いてもよいし、上記樹脂基材とは別のフィルムを用いてもよい。保護フィルムの形成材料としては、例えば、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース等のセルロース系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、シクロオレフィン系樹脂、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂等のエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、これらの共重合体樹脂等が挙げられる。
保護フィルムの偏光子を積層させない面には、表面処理層として、ハードコート層や反射防止処理、拡散ないしアンチグレアを目的とした処理が施されていてもよい。表面処理層は、例えば、偏光子の加湿耐久性を向上させる目的で透湿度の低い層であることが好ましい。ハードコート処理は、偏光板表面の傷付き防止などを目的に施されるものである。ハードコート層は、例えば、アクリル系、シリコーン系などの適宜な紫外線硬化型樹脂による硬度や滑り特性等に優れる硬化皮膜を表面に付加する方式などにて形成することができる。ハードコート層としては、鉛筆硬度が2H以上であることが好ましい。反射防止処理は、偏光板表面での外光の反射防止を目的に施されるものであり、従来に準じた、例えば、特開2005−248173号公報に開示されるような光の干渉作用による反射光の打ち消し効果を利用して反射を防止する薄層タイプや、特開2011−2759号公報に開示されるような表面に微細構造を付与することにより低反射率を発現させる構造タイプなどの低反射層の形成により達成することができる。アンチグレア処理は、偏光板表面で外光が反射して偏光板透過光の視認を阻害することの防止等を目的に施されるものであり、例えば、サンドブラスト方式やエンボス加工方式による粗面化方式や透明微粒子の配合方式などの適宜な方式にて保護フィルムの表面に微細凹凸構造を付与することにより施される。アンチグレア層は、偏光板透過光を拡散して視角などを拡大するための拡散層(視角拡大機能など)を兼ねるものであってもよい。
保護フィルムの厚みは、好ましくは10μm〜100μmである。保護フィルムは、代表的には、接着層(具体的には、接着剤層、粘着剤層)を介して偏光子に積層される。接着剤層は、代表的にはPVA系接着剤や活性化エネルギー線硬化型接着剤で形成される。粘着剤層は、代表的にはアクリル系粘着剤で形成される。
D.画像表示装置
本発明の画像表示装置は、上記偏光板を有する。画像表示装置としては、例えば、液晶表示装置、有機ELデバイスが挙げられる。具体的には、液晶表示装置は、液晶セルと、この液晶セルの片側もしくは両側に配置された上記偏光板と有する液晶パネルを備える。有機ELデバイスは、視認側に上記偏光板が配置された有機ELパネルを備える。代表的には、上記偏光子は、その非偏光部が搭載される画像表示装置のカメラホール部に対応するように配置される。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。なお、各特性の測定方法は以下の通りである。
1.厚み
デジタルマイクロメーター(アンリツ社製、製品名「KC−351C」)を用いて測定した。
2.吸水率
JIS K 7209に準じて測定した。
3.ガラス転移温度(Tg)
JIS K 7121に準じて測定した。
[実施例1]
(積層体の作製)
樹脂基材として、長尺状で、吸水率0.75%、Tg75℃の非晶質のイソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレート(IPA共重合PET)フィルム(厚み:100μm)を用いた。
樹脂基材の片面にコロナ処理を施し、このコロナ処理面に、ポリビニルアルコール(重合度4200、ケン化度99.2モル%)およびアセトアセチル変性PVA(重合度1200、アセトアセチル変性度4.6%、ケン化度99.0モル%以上、日本合成化学工業社製、商品名「ゴーセファイマーZ200」)を9:1の比で含む水溶液を25℃で塗布および乾燥して、厚み11μmのPVA系樹脂層を形成し、積層体を作製した。
(偏光板の作製)
得られた積層体を、液温30℃の不溶化浴(水100重量部に対して、ホウ酸を4重量部配合して得られたホウ酸水溶液)に30秒間浸漬させた(不溶化処理)。
次いで、液温30℃の染色浴に、得られる偏光板が所定の透過率となるようにヨウ素濃度、浸漬時間を調整しながら浸漬させた。本実施例では、水100重量部に対して、ヨウ素を0.2重量部配合し、ヨウ化カリウムを1.5重量部配合して得られたヨウ素水溶液に60秒間浸漬させた(染色処理)。
次いで、液温30℃の架橋浴(水100重量部に対して、ヨウ化カリウムを3重量部配合し、ホウ酸を3重量部配合して得られたホウ酸水溶液)に30秒間浸漬させた(架橋処理)。
その後、積層体を、液温70℃のホウ酸水溶液(水100重量部に対して、ホウ酸を4重量部配合し、ヨウ化カリウムを5重量部配合して得られた水溶液)に浸漬させながら、周速の異なるロール間で縦方向(長手方向)に5.0倍に一軸延伸を行った(水中延伸)。
その後、積層体を液温30℃の洗浄浴(水100重量部に対して、ヨウ化カリウムを4重量部配合して得られた水溶液)に浸漬させた(洗浄処理)。
洗浄後、積層体のPVA系樹脂層表面に、PVA系樹脂水溶液(日本合成化学工業社製、商品名「ゴーセファイマー(登録商標)Z−200」、樹脂濃度:3重量%)を塗布し、トリアセチルセルロースフィルム(コニカミノルタ社製、商品名「KC4UY」、厚み40μm)を貼り合わせ、これを60℃に維持したオーブンで5分間加熱し、厚み5μmの偏光子を有する偏光板を作製した。
(非偏光部の形成)
得られた偏光板から上記樹脂基材を剥離し、この剥離面(偏光子面)に直径4mmの円形の貫通穴が形成された表面保護フィルムを貼り合わせ、これを1mol/L(1N)の水酸化ナトリウム水溶液に10秒浸漬し(アルカリ処理)、次いで、0.1Nの塩酸に30秒浸漬した(酸処理)。その後、60℃で乾燥し、表面保護フィルムを剥離して、非偏光部を有する偏光板を得た。なお、表面保護フィルムとして、厚み5μmの粘着剤層が形成されたPETフィルム(厚み38μm、三菱樹脂社製、商品名:ダイアホイル)を用いた。
[実施例2]
得られた積層体を、120℃のオーブン内で周速の異なるロール間で縦方向(長手方向)に2.0倍に自由端一軸延伸した(空中補助延伸)後に上記不溶化処理を行ったこと、水中延伸を総延伸倍率が5.5倍となるように行ったこと以外は実施例1と同様にして、非偏光部を有する偏光板を得た。
[実施例3]
樹脂基材上に厚み12μmの偏光子を形成したこと、および、アルカリ処理において水酸化ナトリウム水溶液への浸漬時間を30秒としたこと以外は実施例1と同様にして、非偏光部を有する偏光板を得た。
[実施例4]
(積層体の作製)
厚み20μmのポリビニルアルコールフィルム(重合度4300、ケン化度99.3モル%)と、樹脂基材とを、接着剤としてPVA系樹脂水溶液(日本合成化学工業社製、商品名「ゴーセファイマー(登録商標)Z−200」、樹脂濃度:3重量%)を用いてラミネートし、積層体を得た。樹脂基材としては、厚み100μmの非晶質イソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレート(IPA共重合PET)フィルム(Tg75℃、吸水率0.75%)の表面にコロナ処理を施したものを用いた。
(偏光板の作製)
得られた積層体を、120℃のオーブン内で周速の異なるロール間で縦方向(長手方向)に2.0倍に自由端一軸延伸した(空中延伸)。
次いで、得られた積層体を液温30℃の膨潤浴(純水)に浸漬させた(膨潤処理)。
次いで、積層体を液温30℃の染色浴に、得られる偏光板が所定の透過率となるようにヨウ素濃度、浸漬時間を調整しながら浸漬させた。本実施例では、水100重量部に対して、ヨウ素を0.15重量部配合し、ヨウ化カリウムを1.0重量部配合して得られたヨウ素水溶液に60秒間浸漬させた(染色処理)。
次いで、液温30℃の架橋浴(水100重量部に対して、ヨウ化カリウムを3重量部配合し、ホウ酸を3重量部配合して得られたホウ酸水溶液)に30秒間浸漬させた(架橋処理)。
その後、積層体を、液温70℃のホウ酸水溶液(水100重量部に対して、ホウ酸を4重量部配合し、ヨウ化カリウムを5重量部配合して得られた水溶液)に浸漬させながら、周速の異なるロール間で長手方向に延伸倍率が5.5倍となるように一軸延伸を行った(水中延伸)。
続いて、積層体のポリビニルアルコールフィルム表面に、PVA系樹脂水溶液(日本合成化学工業社製、商品名「ゴーセファイマー(登録商標)Z−200」、樹脂濃度:3重量%)を塗布し、トリアセチルセルロースフィルム(コニカミノルタ社製、商品名「KC4UY」、厚み40μm)を貼り合わせ、これを60℃に維持したオーブンで5分間加熱し、厚み8μmの偏光子を有する偏光板を作製した。
その後、実施例1と同様にして非偏光部を形成し、非偏光部を有する偏光板を得た。
[実施例5]
厚み30μmのPVAフィルム(クラレ社製、PE3000)を用いたこと、染色浴のヨウ素濃度を0.1重量%としたこと、および、アルカリ処理において水酸化ナトリウム水溶液への浸漬時間を30秒としたこと以外は実施例4と同様にして、非偏光部を有する偏光板を得た。
[実施例6]
(積層体の作製)
厚み20μmのポリビニルアルコールフィルム(重合度4300、ケン化度99.3モル%)と、樹脂基材とを、接着剤としてPVA系樹脂水溶液(日本合成化学工業社製、商品名「ゴーセファイマー(登録商標)Z−200」、樹脂濃度:3重量%)を用いてラミネートし、積層体を得た。樹脂基材としては、厚み100μmの非晶質イソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレート(IPA共重合PET)フィルム(Tg75℃、吸水率0.75%)の表面にコロナ処理を施したものを用いた。
上記積層体を用いたこと、および、染色浴のヨウ素濃度を0.15重量%、ヨウ化カリウム濃度を1.0重量%としたこと以外は実施例1と同様にして、非偏光部を有する偏光板を得た。
[実施例7]
(積層体の作製)
樹脂基材として、Tg約120℃のシクロオレフィン系樹脂フィルム(JSR社製、ARTON)を用いた。
樹脂基材の片面に、重合度4300、ケン化度99.2%のポリビニルアルコール樹脂の水溶液を80℃で塗布および乾燥して、厚み12μmのPVA系樹脂層を形成し、積層体を作製した。
(偏光板の作製)
得られた積層体を、140℃の加熱下で、自由端一軸延伸により延伸倍率4.5倍まで延伸した。延伸処理後のPVA系樹脂層の厚みは5μmであった(空中延伸)。
次いで、液温30℃の染色浴(水100重量部に対して、ヨウ素を0.5重量部配合し、ヨウ化カリウムを3.5重量部配合して得られたヨウ素水溶液)に60秒間浸漬させた(染色処理)。
次いで、液温60℃の架橋浴(水100重量部に対して、ヨウ化カリウムを5重量部配合し、ホウ酸を5重量部配合して得られたホウ酸水溶液)に60秒間浸漬させた(架橋処理)。
その後、積層体を洗浄浴(水100重量部に対して、ヨウ化カリウムを3重量部配合して得られた水溶液)に浸漬させた(洗浄処理)。
洗浄後、積層体のPVA系樹脂層表面に、PVA系樹脂水溶液(日本合成化学工業社製、商品名「ゴーセファイマー(登録商標)Z−200」、樹脂濃度:3重量%)を塗布し、トリアセチルセルロースフィルム(コニカミノルタ社製、商品名「KC4UY」、厚み40μm)を貼り合わせ、これを60℃に維持したオーブンで5分間加熱し、厚み5μmの偏光子を有する偏光板を作製した。
その後、実施例1と同様にして非偏光部を形成し、非偏光部を有する偏光板を得た。
各実施例について以下の評価を行った。評価結果を表1に示す。なお、偏光子の偏光度は単体透過率42.0%における値を示す。
1.光学特性
各実施例において、表面保護フィルムの小穴の直径を20mmに変更したサンプルを別途作製し、これらを測定に供した。
紫外可視分光光度計(日本分光社製、製品名「V7100」)を用いて、偏光子の単体透過率(Ts)、平行透過率(Tp)および直交透過率(Tc)を測定し、偏光度(P)を次式により求めた。なお、Ts、TpおよびTcは、JIS Z 8701の2度視野(C光源)により測定し、視感度補正を行ったY値である。
偏光度(P)(%)={(Tp−Tc)/(Tp+Tc)}1/2×100
2.非偏光部の外観
非偏光部(上記表面保護フィルムの小穴に対応する部位)の外観観察を光学顕微鏡(OLYMPUS社製、MX61、倍率:5倍)により行った。
各実施例において、良好に非偏光部が形成された。なお、実施例7では他に比べて偏光度が低かった。実施例3および実施例5では非偏光部に目視では確認できない程度のシワが確認された。シワはアルカリ処理後(酸処理前)に発生していることから、塩基性溶液の接触部が部分的に吸水され、その後の処理により膨張することで発生していると予測される。
本発明の偏光子は、スマートフォン等の携帯電話、ノート型PC、タブレットPC等のカメラ付き画像表示装置(液晶表示装置、有機ELデバイス)に好適に用いられる。
1 偏光子
2 非偏光部

Claims (10)

  1. 樹脂基材上にポリビニルアルコール系樹脂層を形成して積層体を得る工程と、
    前記ポリビニルアルコール系樹脂層をヨウ素で染色する工程と、
    前記積層体を延伸する工程と、
    前記染色および延伸後に、前記ポリビニルアルコール系樹脂層に塩基性溶液を接触させて非偏光部を形成する工程と
    を含む、偏光子の製造方法であって、
    前記非偏光部を形成する工程が、厚み8μm以下のポリビニルアルコール系樹脂層に塩基性溶液を接触させて非偏光部を形成する工程である、偏光子の製造方法。
  2. 前記非偏光部におけるヨウ素含有量が1.0重量%以下である、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記ポリビニルアルコール系樹脂層表面が、その少なくとも一部が露出するように表面保護フィルムで被覆された状態で、前記塩基性溶液を接触させる、請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 前記表面保護フィルムに貫通穴が形成されている、請求項3に記載の製造方法。
  5. 前記積層体が、前記樹脂基材にポリビニルアルコール系樹脂を含む塗布液を塗布することにより得られる、請求項1から4のいずれかに記載の製造方法。
  6. 前記染色後に前記積層体を延伸する、請求項1から5のいずれかに記載の製造方法。
  7. 前記延伸が水中延伸である、請求項6に記載の製造方法。
  8. 前記積層体のポリビニルアルコール系樹脂層側に保護フィルムを貼り合わせた後に前記樹脂基材を剥離し、該積層体の前記樹脂基材が剥離された面に表面保護フィルム剥離可能に貼り合わせて得られた偏光フィルム積層体に、前記塩基性溶液を接触させる、請求項1から7のいずれかに記載の製造方法。
  9. 前記偏光フィルム積層体が長尺状であり、前記表面保護フィルムには、その長手方向および/または幅方向に所定の間隔で貫通穴が形成されている、請求項8に記載の製造方法。
  10. 前記ポリビニルアルコール系樹脂層の前記塩基性溶液を接触させた部位に、酸性溶液を接触させる、請求項1から9のいずれかに記載の製造方法。
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