JP6734745B2 - 偏光子およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、偏光子およびその製造方法に関する。
樹脂基材上にポリビニルアルコール水溶液を塗工して樹脂層を形成し、この積層体を延伸、染色することにより偏光子を得る方法が提案されている(例えば、特許文献1)。このような方法によれば、厚みの薄い(例えば、8μm以下)偏光子が得られるため、例えば、画像表示装置の薄型化に寄与し得るとして注目されている。
特開2000−338329号公報
しかし、上記方法では、樹脂基材を用いるため、製造プロセスにおいて制約を受けやすいという問題がある。例えば、上記溶液の塗工温度が樹脂基材のガラス転移温度Tgに応じて制限されてしまうため、高温での塗工が困難である。一方で、塗工温度を下げると、ポリビニルアルコールのゲル化が促進されて、塗膜に異物が発生しやすくなる。また、溶液の粘度が上がるため、スジなどの塗工不良の発生も多くなる。このように、製造プロセスにおいて制約を受けやすいため、得られる偏光子の品質(例えば、加湿信頼性)が不十分であるという問題がある。
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、その主たる目的は、薄型でありながら、優れた品質を有する偏光子を提供することにある。
本発明の偏光子は、ポリビニルアルコール系樹脂を含む樹脂フィルムから構成される。ポリビニルアルコール系樹脂のケン化度は99.5モル%以上であり、樹脂フィルムの厚みは8μm以下である。
本発明の別の局面によれば、偏光子の製造方法が提供される。この製造方法は、樹脂基材上にポリビニルアルコール系樹脂を含む塗布液を塗布して樹脂層を形成し、積層体を作製する工程と、樹脂層に含まれるポリビニルアルコール系樹脂のケン化度を高める工程と、樹脂層を染色する工程とをこの順で含む。
1つの実施形態においては、上記塗布液に含まれるポリビニルアルコール系樹脂のケン化度は99.5モル%未満である。
1つの実施形態においては、ケン化により上記樹脂層に含まれるポリビニルアルコール系樹脂のケン化度を高める。
1つの実施形態においては、上記ケン化によりポリビニルアルコール系樹脂のケン化度を0.1モル%以上増加させる。
1つの実施形態においては、上記ケン化を、上記樹脂層に塩基性溶液を接触させることにより行う。
1つの実施形態においては、上記製造方法は、上記積層体を延伸する工程をさらに含む。
1つの実施形態においては、上記延伸は水中延伸を含む。
1つの実施形態においては、上記水中延伸を、上記染色工程の後に行う。
本発明によれば、薄型、かつ、品質に優れた偏光子を得ることができる。
本発明の1つの実施形態による積層体の部分断面図である。
以下、本発明の1つの実施形態について説明するが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。
A.偏光子
本発明の偏光子は、ポリビニルアルコール系樹脂(以下、「PVA系樹脂」と称する)を含む樹脂フィルムから構成される。PVA系樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体が挙げられる。ポリビニルアルコールは、ポリ酢酸ビニルをケン化することにより得られる。エチレン−ビニルアルコール共重合体は、エチレン−酢酸ビニル共重合体をケン化することにより得られる。
上記PVA系樹脂のケン化度は、99.5モル%以上、好ましくは99.8モル%以上である。ケン化度の上限値は、100モル%である。偏光子に含まれるPVA系樹脂がこのようなケン化度を満足することにより、優れた加湿信頼性を達成し得る。なお、ケン化度は、JIS K 6726−1994に準じて求めることができる。
PVA系樹脂の平均重合度は、目的に応じて適切に選択され得る。平均重合度は、通常1000〜10000であり、好ましくは1200〜6000、さらに好ましくは2000〜5000である。なお、平均重合度は、JIS K 6726−1994に準じて求めることができる。
本発明の偏光子(樹脂フィルム)の厚みは、8μm以下であり、好ましくは5μm以下である。一方、偏光子の厚みは、好ましくは1.0μm以上、さらに好ましくは2.0μm以上である。
偏光子は、代表的には、二色性物質を含む。二色性物質の具体例としては、ヨウ素、有機染料が挙げられる。これらは単独で、または、二種以上組み合わせて用いることができる。二色性物質としては、好ましくは、ヨウ素が用いられる。
偏光子は、好ましくは、波長380nm〜780nmのいずれかの波長で吸収二色性を示す。偏光子の単体透過率は、好ましくは40.0%以上、より好ましくは42.0%以上、さらに好ましくは42.5%以上、特に好ましくは43.0%以上である。偏光子の偏光度は、好ましくは99.8%以上、より好ましくは99.9%以上、さらに好ましくは99.95%以上である。なお、偏光度(P)は、単体透過率(Ts)、平行透過率(Tp)および直交透過率(Tc)を測定し、次式により算出される。ここで、Ts、TpおよびTcは、JIS Z 8701の2度視野(C光源)により測定し、視感度補正を行ったY値である。
偏光度(P)(%)={(Tp−Tc)/(Tp+Tc)}1/2×100
B.偏光子の製造方法
本発明の偏光子の製造方法は、樹脂基材上にPVA系樹脂を含む樹脂層を形成して積層体を作製する工程と、樹脂層に含まれるPVA系樹脂のケン化度を高める工程とを含む。具体的には、積層体を作製する工程後にPVA系樹脂のケン化度を高める工程を行う。これにより、PVA系樹脂層の製膜性を確保(例えば、異物、スジの発生を防止)しながら、優れた品質(例えば、加湿信頼性)を有する偏光子を製造することができる。
B−1.積層体の作製
図1は、本発明の1つの実施形態による積層体の部分断面図である。積層体10は、樹脂基材11と樹脂層12とを有する。積層体10は、代表的には、長尺状の樹脂基材11に樹脂層12を形成することにより作製される。樹脂層12は、樹脂基材11上に、PVA系樹脂を含む塗布液を塗布し、必要に応じて乾燥することにより形成される。
上記樹脂基材の形成材料としては、任意の適切な材料が採用され得る。例えば、ポリエチレンテレフタレート系樹脂等のエステル系樹脂、シクロオレフィン系樹脂、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、これらの共重合体樹脂が挙げられる。
樹脂基材のガラス転移温度(Tg)は、好ましくは120℃以下、さらに好ましくは100℃以下である。積層体を延伸する場合、樹脂層(PVA系樹脂)の結晶化を抑制しながら、延伸性を十分に確保することができるからである。その結果、優れた偏光特性を有する偏光子を製造することができる。一方、樹脂基材のガラス転移温度は、好ましくは60℃以上である。なお、ガラス転移温度(Tg)は、JIS K 7121に準じて求められる値である。
樹脂基材の厚みは、好ましくは20μm〜300μm、さらに好ましくは50μm〜200μmである。樹脂基材表面には、表面改質処理(例えば、コロナ処理等)が施されていてもよいし、易接着層が形成されていてもよい。このような処理によれば、樹脂基材と樹脂層との密着性に優れた積層体が得られ得る。
上述のとおり、塗布液はPVA系樹脂を含む。塗布液に含まれるPVA系樹脂のケン化度は、好ましくは99.5モル%未満、さらに好ましくは99.0モル%以下である。このようなケン化度のPVA系樹脂を用いることにより、樹脂基材に対する製膜性を十分に確保し得る。具体的には、樹脂基材に塗布液を塗布する際、塗布温度が高すぎると樹脂基材が変形する等の不具合が生じ得るが、PVA系樹脂のケン化度を下げることにより、塗布液の温度を上げずに塗布液の粘度が下げることができ、PVA系樹脂のゲル化を防止し得る。
上記塗布液は、代表的には、上記PVA系樹脂を溶媒に溶解させた溶液である。塗布液に用いられる溶媒としては、例えば、水、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、各種グリコール類、トリメチロールプロパン等の多価アルコール類、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン等のアミン類が挙げられる。これらは単独で、または、二種以上組み合わせて用いることができる。これらの中でも、好ましくは、水である。溶液のPVA系樹脂濃度は、任意の適切な値に設定され得る。例えば、PVA系樹脂の重合度やケン化度等に応じて設定される。溶液のPVA系樹脂濃度は、例えば、溶媒100重量部に対して3重量部〜20重量部である。
上記塗布液には、添加剤が含まれていてもよい。添加剤としては、例えば、可塑剤、界面活性剤等が挙げられる。可塑剤としては、例えば、エチレングリコールやグリセリン等の多価アルコールが挙げられる。界面活性剤としては、例えば、非イオン界面活性剤が挙げられる。これらは、得られる樹脂層の均一性や染色性、延伸性をより一層向上させる目的で使用され得る。また、添加剤としては、例えば、易接着成分が挙げられる。易接着成分を用いることにより、樹脂基材と樹脂層との密着性を向上させ得る。その結果、例えば、樹脂基材から樹脂層が剥がれる等の不具合を抑制して、後述の染色を良好に行うことができる。易接着成分としては、例えば、アセトアセチル変性PVAなどの変性PVAが用いられる。
塗布液の塗布方法としては、任意の適切な方法が採用され得る。例えば、ロールコート法、スピンコート法、ワイヤーバーコート法、ディップコート法、ダイコート法、カーテンコート法、スプレーコート法、ナイフコート法(コンマコート法等)等が挙げられる。
塗布温度(例えば、塗布液を塗布する際の塗布液の温度)は、用いる樹脂基材に応じて、任意の適切な値に設定され得る。塗布温度は、例えば20℃以上、好ましくは50℃以上である。一方、塗布温度は、樹脂基材のガラス転移温度(Tg)に対し、例えばTg未満、好ましくはTg(℃)−20℃以下、さらに好ましくはTg(℃)−30℃以下である。
塗布された塗布膜を乾燥する場合、その乾燥温度は、例えば20℃以上、好ましくは50℃以上である。一方、乾燥温度は、樹脂基材のガラス転移温度(Tg)未満であることが好ましく、さらに好ましくはTg(℃)−10℃以下である。
樹脂層(延伸前)の厚みは、好ましくは3μm〜40μm、さらに好ましくは3μm〜20μm、特に好ましくは3μm〜15μmである。
B−2.ケン化度の調整
上記PVA系樹脂のケン化度を高める方法としては、任意の適切な方法が採用され得る。好ましくは、樹脂基材上に形成された樹脂層に含まれるPVA系樹脂に対してケン化処理を施す方法が採用される。ケン化処理により、PVA系樹脂の未ケン化基はケン化され、ケン化度が上昇し得る。その結果、得られる偏光子は薄型でありながら、加湿信頼性に優れ得る。
ケン化処理により、樹脂層に含まれるPVA系樹脂のケン化度を0.1モル%以上増加させることが好ましく、さらに好ましくは0.5モル%以上、特に好ましくは1.0モル%以上増加させる。ケン化処理後のPVA系樹脂のケン化度は、代表的には99.0モル%を超え、例えば99.3モル%以上、好ましくは99.5モル%以上、より好ましくは99.8モル%以上である。
1つの実施形態においては、上記樹脂層に塩基性溶液を接触させることによりケン化処理を施す。塩基性溶液の接触方法としては、任意の適切な方法が採用され得る。例えば、樹脂層に対し、塩基性溶液を滴下、塗工、スプレーする方法や、樹脂層(積層体)を塩基性溶液に浸漬する方法が挙げられる。
上記塩基性溶液に含まれる塩基性化合物としては、任意の適切な塩基性化合物が用いられ得る。塩基性化合物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等のアルカリ金属の水酸化物、水酸化カルシウム等のアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸ナトリウム等の無機アルカリ金属塩、酢酸ナトリウム等の有機アルカリ金属塩、アンモニア水等が挙げられる。これらは単独で、または、二種以上組み合わせて用いることができる。これらの中でも、好ましくはアルカリ金属の水酸化物であり、さらに好ましくは水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムであり、特に好ましくは水酸化ナトリウムである。
塩基性溶液に用いられる溶媒としては、例えば、水、エタノール、メタノール等のアルコール、エーテル、ベンゼン、クロロホルム、および、これらの混合溶媒が挙げられる。これらの中でも、水、アルコールが好ましく用いられる。
塩基性溶液の濃度は、例えば0.01N〜5Nであり、好ましくは0.05N〜3Nであり、さらに好ましくは0.1N〜2.5Nである。塩基性溶液が水酸化ナトリウム水溶液の場合、その濃度は1.0w%以上であることが好ましく、さらに好ましくは2w%〜8w%である。
塩基性溶液の液温は、例えば20℃以上であり、好ましくは25℃〜50℃である。塩基性溶液の接触時間は、例えば、樹脂層の厚み、塩基性溶液に含まれる塩基性化合物の種類や濃度に応じて設定される。接触時間は、例えば5秒〜30分であり、好ましくは5秒〜5分である。
上記塩基性溶液は、樹脂層と接触後、任意の適切な方法により樹脂層から除去され得る。塩基性溶液の除去方法としては、例えば、洗浄、拭き取り、吸引、乾燥等が挙げられる。好ましくは、洗浄による除去が採用される。洗浄に用いる洗浄液としては、例えば、水、メタノール、エタノール等のアルコールが用いられる。
B−3.染色
上記樹脂層は、染色処理が施され得る。染色の方法としては、例えば、上記二色性物質を含む染色液に樹脂層(積層体)を浸漬する方法、樹脂層に当該染色液を塗工する方法、当該染色液を樹脂層に噴霧する方法が挙げられる。好ましくは、染色液に樹脂層を浸漬する方法が用いられる。
上記染色液は、好ましくは、ヨウ素水溶液である。ヨウ素の配合量は、水100重量部に対して、好ましくは0.1重量部〜0.5重量部である。ヨウ素の水に対する溶解度を高めるため、ヨウ素水溶液にヨウ化物を配合することが好ましい。ヨウ化物としては、例えば、ヨウ化カリウム、ヨウ化リチウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化亜鉛、ヨウ化アルミニウム、ヨウ化鉛、ヨウ化銅、ヨウ化バリウム、ヨウ化カルシウム、ヨウ化錫、ヨウ化チタン等が挙げられる。これらの中でも、好ましくは、ヨウ化カリウムである。ヨウ化物の配合量は、水100重量部に対して、好ましくは0.02重量部〜20重量部、さらに好ましくは0.1重量部〜10重量部である。
染色液の染色時の液温は、好ましくは20℃〜50℃である。浸漬時間は、好ましくは5秒〜5分である。なお、染色条件(濃度、液温、浸漬時間)は、最終的に得られる偏光子の偏光度もしくは単体透過率が所定の範囲となるように、設定することができる。
好ましくは、上記ケン化は、樹脂層の染色の前に行う。得られる偏光子に十分な偏光特性を付与するためである。
B−4.延伸
上記積層体は、延伸され得る。積層体の延伸方法としては、任意の適切な方法が採用され得る。具体的には、固定端延伸(例えば、テンター延伸機を用いる方法)でもよいし、自由端延伸(例えば、周速の異なるロール間に積層体を通して一軸延伸する方法)でもよい。また、同時二軸延伸(例えば、同時二軸延伸機を用いる方法)でもよいし、逐次二軸延伸でもよい。積層体の延伸は、一段階で行ってもよいし、多段階で行ってもよい。多段階で行う場合、後述の積層体の延伸倍率は、各段階の延伸倍率の積である。
積層体の延伸方向としては、任意の適切な方向が選択され得る。1つの実施形態においては、長尺状の積層体の長手方向に延伸する。具体的には、積層体を長手方向に搬送し、その搬送方向(MD)である。別の実施形態においては、長尺状の積層体の幅方向に延伸する。具体的には、積層体を長手方向に搬送し、その搬送方向(MD)と直交する方向(TD)である。
積層体は元長から4.0倍以上に延伸されることが好ましく、さらに好ましくは5.0倍以上である。
延伸方式は特に限定されず、例えば、空中延伸方式であってもよいし、積層体を延伸浴に浸漬しながら行う水中延伸方式であってもよい。
積層体の延伸温度は、樹脂基材の形成材料、延伸方式等に応じて、任意の適切な値に設定され得る。空中延伸方式を採用する場合、延伸温度は、好ましくは樹脂基材のガラス転移温度(Tg)以上であり、さらに好ましくは樹脂基材のガラス転移温度(Tg)+10℃以上、特に好ましくはTg+15℃以上である。一方、積層体の延伸温度は、好ましくは170℃以下である。このような温度で延伸することで、PVA系樹脂の結晶化が急速に進むのを抑制して、当該結晶化による不具合(例えば、延伸によるPVA系樹脂の配向を妨げる)を抑制することができる。
延伸方式として水中延伸方式を採用する場合、延伸浴の液温は、好ましくは40℃〜85℃、さらに好ましくは50℃〜85℃である。このような温度であれば、PVA系樹脂の溶解を抑制しながら高倍率に延伸することができる。具体的には、上述のように、樹脂基材のガラス転移温度(Tg)は、樹脂層の形成との関係で、好ましくは60℃以上である。この場合、延伸温度が40℃を下回ると、水による樹脂基材の可塑化を考慮しても、良好に延伸できないおそれがある。一方、延伸浴の温度が高温になるほど、PVA系樹脂の溶解性が高くなって、優れた偏光特性が得られないおそれがある。積層体の延伸浴への浸漬時間は、好ましくは15秒〜5分である。
水中延伸方式を採用する場合、積層体をホウ酸水溶液中に浸漬させて延伸することが好ましい(ホウ酸水中延伸)。延伸浴としてホウ酸水溶液を用いることで、PVA系樹脂に、延伸時にかかる張力に耐える剛性と、水に溶解しない耐水性とを付与することができる。ホウ酸水溶液は、好ましくは、溶媒である水にホウ酸および/またはホウ酸塩を溶解させることにより得られる。ホウ酸濃度は、水100重量部に対して、好ましくは1重量部〜10重量部である。ホウ酸濃度を1重量部以上とすることにより、PVA系樹脂の溶解を効果的に抑制することができる。
好ましくは、水中延伸は上記樹脂層の染色の後に行う。延伸性により優れ得るからである。この場合、上記ホウ酸水溶液にヨウ化物を配合するのが好ましい。樹脂層に含まれるヨウ素の溶出を抑制することができるからである。ヨウ化物の濃度は、水100重量部に対して、好ましくは0.05重量部〜15重量部、さらに好ましくは0.5重量部〜8重量部である。
好ましくは、水中延伸を少なくとも1回行うことが好ましい。水中延伸を採用することにより、樹脂層に含まれるPVA系樹脂が高いケン化度(例えば、99.0モル%以上)を有しながら、染色性を確保することができる。具体的には、高いケン化度を有するPVA系樹脂を高温(例えば、120℃以上)で延伸した場合、延伸後に十分な染色性が確保できないおそれがある。1つの実施形態においては、積層体は、例えば95℃〜150℃で空中延伸された後に染色工程に供され、その後、水中延伸により延伸される。この場合、積層体の空中延伸による延伸倍率は、例えば1.5倍〜3.5倍であり、好ましくは2.0倍〜3.0倍である。また、積層体の水中延伸による延伸倍率は、好ましくは2.0倍以上である。
上記ケン化は、延伸工程の前に行ってもよいし延伸工程の後に行ってもよい。好ましくは、ケン化は、空中延伸の後に行う。十分な延伸性、染色性を確保するためである。
B−5.その他
上記樹脂層(積層体)には上記以外にも任意の適切な処理が施され得る。例えば、不溶化処理、架橋処理、洗浄処理、乾燥処理が挙げられる。
(不溶化処理)
上記不溶化処理は、代表的には、ホウ酸水溶液に樹脂層を浸漬することにより行う。特に水中延伸方式を採用する場合、不溶化処理を施すことで、PVA系樹脂に耐水性を付与することができる。当該ホウ酸水溶液の濃度は、水100重量部に対して、好ましくは1重量部〜4重量部である。不溶化浴(ホウ酸水溶液)の液温は、好ましくは20℃〜40℃である。好ましくは、不溶化処理は、染色や水中延伸の前に行う。
(架橋処理)
上記架橋処理は、代表的には、ホウ酸水溶液に樹脂層を浸漬することにより行う。架橋処理を施すことで、PVA系樹脂に耐水性を付与することができる。当該ホウ酸水溶液の濃度は、水100重量部に対して、好ましくは1重量部〜4重量部である。また、上記染色後に架橋処理を施す場合、さらに、ヨウ化物を配合することが好ましい。ヨウ化物を配合することで、樹脂層に吸着させたヨウ素の溶出を抑制することができる。ヨウ化物の配合量は、水100重量部に対して、好ましくは1重量部〜5重量部である。ヨウ化物の具体例は、上述のとおりである。架橋浴(ホウ酸水溶液)の液温は、好ましくは20℃〜50℃である。好ましくは、架橋処理は水中延伸の前に行う。1つの実施形態においては、染色、架橋および水中延伸をこの順で行う。
(洗浄処理)
上記洗浄処理は、代表的には、ヨウ化カリウム水溶液に樹脂層を浸漬することにより行う。
(乾燥処理)
上記乾燥処理の乾燥温度は、例えば30℃〜100℃である。
C.偏光板
本発明の偏光板は、上記偏光子を有する。偏光板は、代表的には、偏光子と、この偏光子の少なくとも片側に配置された保護フィルムとを有する。この保護フィルムとしては、上記樹脂基材をそのまま用いてもよいし、上記樹脂基材とは別のフィルムを用いてもよい。保護フィルムの形成材料としては、例えば、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース(TAC)等のセルロース系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ノルボルネン系樹脂等のシクロオレフィン系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂等のエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、これらの共重合体樹脂等が挙げられる。なお、「(メタ)アクリル系樹脂」とは、アクリル系樹脂および/またはメタクリル系樹脂をいう。
保護フィルムの厚みは、代表的には10μm〜100μmである。保護フィルムには、各種表面処理が施されていてもよい。保護フィルムは、偏光子の保護フィルムとしてだけでなく、位相差フィルム等としても機能し得る。
保護フィルムは、代表的には、接着層(具体的には、接着剤層、粘着剤層)を介して偏光子に積層されている。接着剤層は、代表的にはPVA系接着剤や活性化エネルギー線硬化型接着剤で形成される。粘着剤層は、代表的にはアクリル系粘着剤で形成される。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。なお、各特性の測定方法は以下の通りである。
1.厚み
デジタルマイクロメーター(アンリツ社製、製品名「KC−351C」)を用いて測定した。
2.ガラス転移温度(Tg)
JIS K 7121に準じて測定した。
[実施例1]
(積層体の作製)
樹脂基材として、Tg75℃の非晶質のイソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレート(IPA共重合PET)フィルム(厚み:100μm)を用いた。
樹脂基材の片面にコロナ処理を施し、このコロナ処理面に、ポリビニルアルコール(重合度4200、ケン化度99.2モル%)およびアセトアセチル変性PVA(重合度1200、ケン化度99.0モル%以上、日本合成化学工業社製、商品名「ゴーセファイマーZ200」)を9:1の比で含む水溶液を23℃で塗布および乾燥して、厚み12μmのPVA系樹脂層を形成し、積層体を作製した。なお、水溶液に含まれるPVA系樹脂のケン化度は99.3モル%である。
(偏光板の作製)
得られた積層体を、120℃のオーブン内で周速の異なるロール間で縦方向に2.0倍に自由端一軸延伸した(空中補助延伸)。
次いで、積層体を1mol/L(1N、4w%)の水酸化ナトリウム水溶液に10秒浸漬させた(ケン化処理)。
次いで、積層体を、液温30℃の不溶化浴(水100重量部に対して、ホウ酸を4重量部配合して得られたホウ酸水溶液)に30秒間浸漬させた(不溶化処理)。
次いで、液温30℃の染色浴に、得られる偏光板が所定の透過率となるようにヨウ素濃度、浸漬時間を調整しながら浸漬させた。本実施例では、水100重量部に対して、ヨウ素を0.2重量部配合し、ヨウ化カリウムを1.5重量部配合して得られたヨウ素水溶液に60秒間浸漬させた(染色処理)。
次いで、液温30℃の架橋浴(水100重量部に対して、ヨウ化カリウムを3重量部配合し、ホウ酸を3重量部配合して得られたホウ酸水溶液)に30秒間浸漬させた(架橋処理)。
その後、積層体を、液温70℃のホウ酸水溶液(水100重量部に対して、ホウ酸を4重量部配合し、ヨウ化カリウムを5重量部配合して得られた水溶液)に浸漬させながら、周速の異なるロール間で縦方向に総延伸倍率が5.5倍となるように一軸延伸を行った(水中延伸)。
その後、積層体を液温30℃の洗浄浴(水100重量部に対して、ヨウ化カリウムを4重量部配合して得られた水溶液)に浸漬させた(洗浄処理)。
洗浄後、積層体のPVA系樹脂層表面に、PVA系樹脂水溶液(日本合成化学工業社製、商品名「ゴーセファイマー(登録商標)Z−200」、樹脂濃度:3重量%)を塗布し、アクリルフィルム(厚み40μm、透湿度80g/m/24H)を貼り合わせ、これを60℃に維持したオーブンで5分間加熱し、厚み5μmの偏光子を有する偏光板を作製した。
[実施例2]
(積層体の作製)
樹脂基材として、Tgが約135℃のシクロオレフィン系樹脂フィルム(JSR社製、ARTON)を用いた。
樹脂基材の片面に、重合度2400、ケン化度98.0%のポリビニルアルコールの水溶液を80℃で塗布および乾燥して、厚み12μmのPVA系樹脂層を形成し、積層体を作製した。
(偏光板の作製)
得られた積層体を、160℃の加熱下で、自由端一軸延伸により延伸倍率5.0倍まで延伸した。延伸処理後のPVA系樹脂層の厚みは5μmであった(空中延伸)。
次いで、積層体を1mol/L(1N、4w%)の水酸化ナトリウム水溶液に10秒浸漬させた(ケン化処理)。
次いで、積層体を、液温30℃の染色浴(水100重量部に対して、ヨウ素を0.5重量部配合し、ヨウ化カリウムを3.5重量部配合して得られたヨウ素水溶液)に60秒間浸漬させた(染色処理)。
次いで、積層体を液温60℃の架橋浴(水100重量部に対して、ヨウ化カリウムを5重量部配合し、ホウ酸を5重量部配合して得られたホウ酸水溶液)に60秒間浸漬させた(架橋処理)。
その後、積層体を洗浄浴(水100重量部に対して、ヨウ化カリウムを3重量部配合して得られた水溶液)に浸漬させた(洗浄処理)。
洗浄後、積層体のPVA系樹脂層表面に、PVA系樹脂水溶液(日本合成化学工業社製、商品名「ゴーセファイマー(登録商標)Z−200」、樹脂濃度:3重量%)を塗布し、アクリルフィルム(厚み40μm、透湿度80g/m/24H)を貼り合わせ、これを80℃に維持したオーブンで5分間加熱し、厚み5μmの偏光子を有する偏光板を作製した。
[比較例1]
積層体にケン化処理を施さなかったこと以外は実施例1と同様にして、偏光板を得た。
[比較例2]
積層体にケン化処理を施さなかったこと以外は実施例2と同様にして、偏光板を得た。
[比較例3]
PVA系樹脂層の形成に際し、重合度4200、ケン化度99.2モル%のポリビニルアルコールのかわりに、重合度4200、ケン化度99.9モル%のポリビニルアルコールを用いたこと(水溶液に含まれるPVA系樹脂のケン化度を99.9モル%としたこと)以外は実施例1と同様にして、偏光板の作製を試みた。
[比較例4]
PVA系樹脂層の形成に際し、重合度2400、ケン化度98.0%のポリビニルアルコールのかわりに、重合度4200、ケン化度99.9モル%のポリビニルアルコールを用いたこと以外は実施例2と同様にして、偏光板の作製を試みた。
(参考例1)
ポリビニルアルコール(重合度4200、ケン化度99.9モル%)およびアセトアセチル変性PVA(重合度1200、ケン化度99.0モル%以上、日本合成化学工業社製、商品名「ゴーセファイマーZ200」)を9:1の比で含む水溶液(80℃)を、80℃に加熱された金属板上に、乾燥後の厚みが12μmとなるように、80℃雰囲気下で塗布し、PVA系樹脂膜を得た。
得られたPVA系樹脂膜に対して各種処理を施し偏光子の作製を試みたが、水中延伸時に樹脂膜が破断した。
各実施例および比較例の偏光子のケン化度および加湿信頼性を評価した。評価結果を作製条件とともに表1に示す。
1.ケン化度の測定方法
得られた偏光子(PVA)の所定の部分を切り出した切断片を重水に浸して加熱し、切断片を溶解させて得られた測定用サンプルをH−NMR測定に供した。測定条件は、以下のとおりである。
・装置:H−NMR(Bruker Biospin、AVANCE III−400)
・観測周波数:400MHz
・ケミカルシフト基準:TSP−d(0.00ppm)
・測定溶媒:重水
・測定温度:80℃
帰属同定された各ピーク面積を用いて、未ケン化基強度[VAc]およびケン化基強度[VOH]を求め、下記式によりケン化度を求めた
100:(ケン化度)=[VOH]+[VAc]:[VOH
2.加湿信頼性の評価方法
得られた偏光子から樹脂基材を剥離し、樹脂基材の剥離面をガラス板に粘着剤を介して貼りわせてサンプルを得た。貼り合わせ直後の透過率(Ts)は42.5%であった。このサンプルを、温度85℃、湿度85%の環境下に240時間放置し、加湿環境下に放置前後の偏光子の偏光度の変化量(ΔP)を測定した。なお、測定機として、分光透過率計(村上色彩技術研究所製、製品名「DOT−3C」)を用いた。
Figure 0006734745
実施例1と比較例1および実施例2と比較例2をそれぞれ比較すると、実施例の偏光子は、薄型かつ加湿信頼性に優れている。
比較例3,4では、樹脂基材にPVA系樹脂を含む水溶液を塗布する際にゲル化が生じ、後の延伸工程で破断の起因となるような欠点が多数発生して樹脂層を良好に形成することができなかった。
なお、表中の「染色性」は、別途、染色浴のヨウ素濃度を0.5重量%とし、染色浴への浸漬時間を60秒とした場合に、得られる偏光子の単体透過率(Ts)を42.0%以下にできれば「良好」と判断した。
本発明の偏光子は、液晶テレビ、液晶ディスプレイ、携帯電話、デジタルカメラ、ビデオカメラ、携帯ゲーム機、カーナビゲーション、コピー機、プリンター、ファックス、時計、電子レンジ等の液晶パネル、有機ELデバイスの反射防止膜として好適に用いられる。
10 積層体
11 樹脂基材
12 樹脂層(偏光子)

Claims (8)

  1. 樹脂基材上にポリビニルアルコール系樹脂を含む塗布液を塗布して樹脂層を形成し、積層体を作製する工程と、
    前記樹脂層に含まれるポリビニルアルコール系樹脂のケン化度を高める工程と、
    前記樹脂層を染色する工程と
    をこの順で含む、偏光子の製造方法。
  2. 前記塗布液に含まれるポリビニルアルコール系樹脂のケン化度が99.5モル%未満である、請求項1に記載の製造方法。
  3. ケン化により前記樹脂層に含まれるポリビニルアルコール系樹脂のケン化度を高める、請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 前記ケン化によりポリビニルアルコール系樹脂のケン化度を0.1モル%以上増加させる、請求項3に記載の製造方法。
  5. 前記ケン化を、前記樹脂層に塩基性溶液を接触させることにより行う、請求項3または4に記載の製造方法。
  6. 前記積層体を延伸する工程をさらに含む、請求項1から5のいずれかに記載の製造方法。
  7. 前記延伸が水中延伸を含む、請求項6に記載の製造方法。
  8. 前記水中延伸を、前記染色工程の後に行う、請求項7に記載の製造方法。

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