JP6178569B2 - アクスルの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、アクスルチューブに、機器を取り付けるためのリング状ブラケットを焼き嵌めて固定するアクスルの製造方法に関するものである。
図7に示すように、大型トラックの車軸(アクスル)1は、車幅方向に延びるアクスルケース2と、アクスルケース2の両端に設けられるアクスルチューブ3とを備える。アクスルチューブ3は、車輪を支持するものであり、特に安全性が求められる。このため、アクスルチューブ3は、高強度の炭素鋼にて高精度に製作され、重要保安部品として厳重に品質管理される。また、アクスルチューブ3には、ABS(アンチロック・ブレーキ・システム)、油圧配管及び配線等の各種機器が取り付けられる場合もあるが、各種機器を取り付けるためにアクスルチューブ3に難しい溶接や、割れの原因となるボルト穴等の加工を安易に行うことはない。この場合、機器を取り付けるためのリング状ブラケット10を別途形成し、アクスルチューブ3にリング状ブラケット10を焼き嵌めしている。
特開平4−277321号公報 特許第4266060号公報
ところで、アクスルチューブ3にリング状ブラケット10を焼き嵌めする場合、焼き嵌め位置のアクスルチューブ3よりも内径が小さなリング状ブラケット10を形成し、リング状ブラケット10を加熱して拡径させたのちアクスルチューブ3に挿入し、リング状ブラケット10を熱収縮させてアクスルチューブ3に固定するが、この焼き嵌め構造では、リング状ブラケット10は熱収縮による押し付け力のみで固定されているため、リング状ブラケット10の引抜き力(リング状ブラケットが耐えることが可能な車幅方向外方への力)は嵌合面11のアクスルチューブ外径とリング状ブラケット10の寸法精度に依存し、引抜き力が不安定という課題があった。特にアクスルチューブ3の先端部には、車輪(図示せず)が取り付けられるため、リング状ブラケット10には安全のために十分な引抜き力が求められる。
そこで、本発明の目的は、上記課題を解決し、嵌合面の寸法精度に依存することなくリング状ブラケットの引抜き力を増大できるアクスルの製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するために本発明は、アクスルケースの両端に設けられると共に車幅方向外側に向かって多段の段差で順次縮径されるアクスルチューブの段差間に焼き嵌め部を形成し、前記焼き嵌め部に、機器を取り付けるためのリング状ブラケットを焼き嵌めて固定するに際し、前記焼き嵌め部より長いリング状ブラケットを前記焼き嵌め部に焼き嵌めて固定するアクスルの製造方法において、前記リング状ブラケットが焼き嵌めされるアクスルチューブの焼き嵌め部の外径に対してリング状ブラケットの内径を小さく形成すると共にそのリング状ブラケットの内周縁に面取部を形成し、かつ、前記焼き嵌め部に接触されて焼き嵌められる前記リング状ブラケットの長さL3が前記焼き嵌め部の長さL2より短くなるように前記面取部を形成し、前記リング状ブラケットを前記焼き嵌め部に前記面取部を車幅方向外側に位置させると共に前記面取部に臨む焼き嵌め部を露出させるように挿入し、前記リング状ブラケットを前記焼き嵌め部に焼き嵌めし、この際のリング状ブラケットの熱収縮によって前記焼き嵌め部の外周収縮させると共に前記面取部に臨む焼き嵌め部に前記リング状ブラケットの面取部に向けて突出する隆起部を形成させ、かつ、その隆起部と面取部とを係合させるようにしたことを特徴とするアクスルの製造方法である。
本発明によれば、嵌合面の寸法精度に依存することなくリング状ブラケットの引抜き力を増大できる。
本実施の形態に係るアクスル構造の模式図である。 アクスル構造の概略斜視図である。 アクスルチューブとリング状ブラケットの概略断面図である。 (a)はリング状ブラケットの正面図であり、(b)は(a)のA−A線矢視断面図である。 (a)は本実施の形態に係るアクスル構造の熱影響解析結果を示す図であり、(b)は従来のアクスル構造の熱影響解析結果を示す図である。 本実施の形態に係るアクスル構造で増大した引抜き力を示す線図である。 従来のアクスル構造の模式図である。
本発明に係るアクスル構造を図面に基づいて説明する。
図1はアクスル構造の模式図であり、上段部は正面視右側のアクスルチューブを示し、下段部は一点鎖線で囲まれた部分の断面を示す。図1の下段部は、アクスルチューブの変形を模式的に誇張して示す。
図2に示すように、アクスル1は、車体(図示せず)に懸架され車幅方向に延びるアクスルケース2と、アクスルケース2の両端に設けられるアクスルチューブ3とを備える。
アクスルケース2は、鋼板をプレス加工してなる複数の部品を互いに溶接して形成されており、車幅方向外側の両端を断面円形に形成されている。
図2及び図3に示すように、アクスルチューブ3は、アクスルケース2より高強度の炭素鋼からなり、円筒状に形成されている。アクスルチューブ3は、車幅方向内側の基端をアクスルケース2の先端に溶接等により固定されている。また、アクスルチューブ3は、車幅方向外側に向かって多段の段差4a、4bで順次縮径するように形成されている。隣り合う段差4a、4b間の何れかには、後述するリング状ブラケット5を焼き嵌めするための焼き嵌め部6が形成されている。焼き嵌め部6は、全長に亘って外径が同径となるように形成されている。
図1、図4(a)及び(b)に示すように、アクスルチューブ3に焼き嵌めされるリング状ブラケット5は、焼き嵌め部6の外径より小さな内径の筒状に形成されている。リング状ブラケット5は、ABS、油圧配管及び配線等の各種機器を取り付けるための強度を確保できるように軸方向の長さL1を決定されており、焼き嵌め部6の長さ(焼き嵌め部6両端の段差4a、4b間の長さ)L2よりも長く形成されている。
また、リング状ブラケット5の内周縁には、焼き嵌めしたとき焼き嵌め部6から逃げるように拡径する面取部7が形成されている。面取部7は、リング状ブラケット5の内周縁にC面取りを施してなる。なお、面取部7は、リング状ブラケット5の内周縁に内周を拡径するように形成されるものであればよく、リング状ブラケット5の内周縁にR面取りを施してなるものであってもよい。
また特に、面取部7は、面取部7を除いたリング状ブラケット5の長さL3、すなわち、焼き嵌め部6に接触・焼き嵌めされる長さL3が焼き嵌め部6の長さL2より短くなるように形成されている。これにより、リング状ブラケット5は、面取部7を車幅方向外側に位置させた状態で焼き嵌め部6に挿入され、焼き嵌めされたとき、その熱収縮に伴って焼き嵌め部6の外周を収縮させると共に焼き嵌め部6にリング状ブラケット5の面取部7に向かって突出する隆起部8を形成し、かつ、その隆起部8と面取部7とを係合させるようになっている。
本実施の形態の作用を述べる。
アクスルチューブ3にリング状ブラケット5を焼き嵌めする場合、リング状ブラケット5を加熱して拡径させ、拡径した状態のリング状ブラケット5をアクスルチューブ3の焼き嵌め部6に挿入する。このとき、面取部7が車幅方向外側に位置された状態となるように、かつ、面取部7に臨む焼き嵌め部6が露出されるようにリング状ブラケット5を焼き嵌め部6の奥まで挿入する。
この後、リング状ブラケット5は冷え、熱収縮する。リング状ブラケット5は常温では焼き嵌め部6の外径よりも小さな内径となるように形成されているため、熱収縮したリング状ブラケット5は焼き嵌め部6を径方向内方に押し込み、焼き嵌め部6に固定される。このとき、図1に示すように、焼き嵌め部6は、リング状ブラケット5の熱収縮に伴って押し込まれる部分の外周が収縮すると共に、面取部7に臨む部分が隆起し、この隆起によって形成される隆起部8と面取部7とが係合する。
リング状ブラケット5は、車幅方向外方への力を受けたとき、リング状ブラケット5の熱収縮による押し付け力のみならず、面取部7と係合する隆起部8が抵抗となり、引抜き力が増大される。
このように、焼き嵌め部6の外径に対してリング状ブラケット5の内径を小さく形成し、リング状ブラケット5の内周縁に面取部7を形成しておき、そのリング状ブラケット5を面取部7を車幅方向外側に位置させた状態で焼き嵌め部6に挿入すると共に焼き嵌めし、この際のリング状ブラケット5の熱収縮に伴って焼き嵌め部6の外周が収縮すると共に面取部7に突出する隆起部8を焼き嵌め部6に形成し、かつ、その隆起部8と面取部7とを係合させるようにしたため、嵌合面の寸法精度に依存することなくリング状ブラケット5の引抜き力を増大できる。また、簡易な構造で安価に引抜き力を増大できるため、従来大変であったアクスルチューブ3及びリング状ブラケット5の寸法精度の管理を、引抜き力を落とすことなく緩めることもできる。この場合、製造コストを低減できる。
アクスルチューブ3の焼き嵌め部6を形成する段差4a、4b間の長さに対してリング状ブラケット5が長く形成され、リング状ブラケット5は、面取部7を除いたリング状ブラケット5と焼き嵌め部6との接触長さが焼き嵌め部6の長さより短くなるように形成され、これにより、外側の焼き嵌め部6に隆起部8が形成されるものとしたため、車幅方向外側に向かって多段の段差4a、4bで順次縮径されたアクスルチューブ3に対しても嵌合面の寸法精度に依存することなくリング状ブラケット5の引抜き力を増大できる。
また、面取部7は、リング状ブラケット5の内周縁にC面取り又はR面取りを施して形成されるものとしたため、汎用の工作機器を用いて安価に形成できる。
次に、本実施の形態に係るアクスル構造の有用性を検証した熱影響解析と試験について述べる。
図5は、所定の条件で本実施の形態に係るアクスル構造と従来のアクスル構造とについて熱影響解析を行った結果を示すものである。図5(a)は本実施の形態に係るアクスル構造の熱影響解析結果であり、図5(b)は従来のアクスル構造の熱影響解析結果である。また、図中の一点鎖線はリング状ブラケット5が熱収縮する前の状態を示し、実線はリング状ブラケット5が熱収縮した後の状態を示す。なお、熱収縮したリング状ブラケット5は図示省略する。
図5(a)に示すように、本実施の形態に係るアクスル構造の熱影響解析結果では、焼き嵌め部6の最小径と面取部7に臨む焼き嵌め部6の最大径との差が0.023mm(参考値)であったのに対し、図5(b)に示す従来のアクスル構造の熱影響解析結果では、焼き嵌め部6の最小径と最大径との差が0.016mm(参考値)であった。これにより、面取部7に臨む焼き嵌め部6に隆起部8が形成されていることが確認された。
また、図6は、従来のアクスル構造とした場合、F1(N)の引抜き力が得られる条件の試験用アクスルチューブと試験用リング状ブラケットを作成し、その試験用リング状ブラケットに変更を加えて本実施の形態に係るアクスル構造とし、このアクスル構造の試験用リング状ブラケットに引抜き方向の力を加えたときの変位を試験した結果を示すものである。
図示するように、引抜き力のピークはF2(N)であり、F1(N)よりも約1.4倍の引抜き力に増大していることが確認された。
1 アクスル
2 アクスルケース
3 アクスルチューブ
4a 段差
4b 段差
5 リング状ブラケット
6 焼き嵌め部
7 面取部
8 隆起部

Claims (2)

  1. アクスルケースの両端に設けられると共に車幅方向外側に向かって多段の段差で順次縮径されるアクスルチューブの段差間に焼き嵌め部を形成し、前記焼き嵌め部に、機器を取り付けるためのリング状ブラケットを焼き嵌めて固定するに際し、前記焼き嵌め部より長いリング状ブラケットを前記焼き嵌め部に焼き嵌めて固定するアクスルの製造方法において、
    前記リング状ブラケットが焼き嵌めされるアクスルチューブの焼き嵌め部の外径に対してリング状ブラケットの内径を小さく形成すると共にそのリング状ブラケットの内周縁に面取部を形成し、かつ、前記焼き嵌め部に接触されて焼き嵌められる前記リング状ブラケットの長さL3が前記焼き嵌め部の長さL2より短くなるように前記面取部を形成し、前記リング状ブラケットを前記焼き嵌め部に前記面取部を車幅方向外側に位置させると共に前記面取部に臨む焼き嵌め部を露出させるように挿入し、前記リング状ブラケットを前記焼き嵌め部に焼き嵌めし、この際のリング状ブラケットの熱収縮によって前記焼き嵌め部の外周収縮させると共に前記面取部に臨む焼き嵌め部に前記リング状ブラケットの面取部に向けて突出する隆起部を形成させ、かつ、その隆起部と面取部とを係合させるようにしたことを特徴とするアクスルの製造方法。
  2. 前記面取部は、前記リング状ブラケットの内周縁にC面取り又はR面取りを施して形成された請求項1記載のアクスルの製造方法。
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