JP6217059B2 - 有機電界発光素子及び有機電界発光デバイス - Google Patents
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Description
炭化水素芳香族環とは、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、フルオレン等のように炭素と水素のみの原子で構成される芳香族環を表す。
複素芳香族環とはピリジン環、カルバゾール環、ジベンゾフラン環等の様に炭素と水素原子の他に酸素原子、硫黄原子、窒素原子、珪素原子等を含んでなる芳香族環を表す。
芳香族環とは、炭化水素芳香族環と複素芳香族環の全てを表す。
芳香族環集合原子団とは、ビフェニル、ターフェニルのように芳香族環同士が連なって形成される原子団である。
本発明の有機電界発光素子は、基板上に少なくとも陽極、一層もしくは複数層の発光層及び陰極をこの順に有する有機電界発光素子であって、該発光層の少なくとも一層が電荷輸送材料と燐光発光材料を含み、前記電荷輸送材料として下記一般式(1−A)で表される材料及び下記一般式(1−B)で表される材料を各々1種類以上含むことを特徴とする。
(1−A)の化合物は、窒素原子を中心に据え、その周辺に芳香族環原子団が置換した化合物で、芳香族環原子団がアミンの正電荷を保持安定化させていると考えられる。一方、(1−B)の化合物は、周辺に芳香族環原子団基を有するアミンの窒素原子とカルバゾール環の窒素原子がベンゼン環基を介して共役しており、この部分が正電荷を効率よく受け取り、また放出すると考えられ、(1−A)及び(1−B)の化合物を混合することにより、発光層内の正電荷を効率よく発光材料へと届けることが可能となる。
(1−A)の化合物中、Ph1〜Ph3は、各々独立に、置換基を有していてもよい2価のベンゼン環(フェニレン基)であり、1,4−置換体(1,4−フェニレン基)が好ましい。
上記炭素数3から30までの芳香族環の内、ベンゼン環、ナフタレン環、フェナントレン環、ジベンゾチオフェン環、ジベンゾフラン環、カルバゾール環が化合物の安定性の面から好ましく、ベンゼン環、ナフタレン環、カルバゾール環が特に好ましい。
置換基を有していてもよい炭素数3から30までの芳香族環基及び、置換基を有していてもよい炭素数3から60までの2つ以上の芳香族環集合原子団基は、Ar1〜Ar3と同義である。
(1−B)の化合物中、R4〜R7の置換基を有していてもよい炭素数1から20までのアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数3から30までの芳香族環基、置換基を有していてもよい炭素数3から60までの2つ以上の芳香族環集合原子団基は、R1〜R3の置換基を有していてもよい炭素数1から20までのアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数3から30までの芳香族環基、置換基を有していてもよい炭素数3から60までの2つ以上の芳香族環集合原子団基と同様である。
(1−C)の化合物中、Ar9〜Ar11の置換基を有していてもよい炭素数3から30までの芳香族環基、置換基を有していてもよい炭素数3から60までの2つ以上の芳香族環集合原子団基は、遊離原子価を1個を有すること以外は、Ar1〜Ar3の置換基を有していてもよい炭素数3から30までの芳香族環基、置換基を有していてもよい炭素数3から60までの2つ以上の芳香族環集合原子団基と同様である。
(1−C)の化合物中、R8〜R10の置換基を有していてもよい炭素数1から20までのアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数3から30までの芳香族環基、置換基を有していてもよい炭素数3から60までの2つ以上の芳香族環集合原子団基は、R1〜R3の置換基を有していてもよい炭素数1から20までのアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数3から30までの芳香族環基、置換基を有していてもよい炭素数3から60までの2つ以上の芳香族環集合原子団基と同様である。
(1−A)の化合物、(1−B)の化合物及び(1−C)の化合物中、Ar1〜Ar11及びR1〜R10が有していても良い置換基の例としては、特に制限は無いが、例えば、下記置換基群Zから選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。
メチル基、エチル基、n−プロピル基、2−プロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基等の、炭素数1から8までの直鎖又は分岐のアルキル基;
ビニル基、アリル基、1−ブテニル基等の炭素数2から9までのアルケニル基;
エチニル基、プロパルギル基等の炭素数2から9までのアルキニル基;
ベンジル基等の炭素数7から17までのアラルキル基;
メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基等の炭素数1から20までのアルコキシ基;
フェニルオキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基等の炭素数6から12までのアリールオキシ基;
ピリジルオキシ基、チエニルオキシ基等の炭素数3から20までの5又は6員環の複素芳香族環を有するヘテロアリールオキシ基;
ホルミル基、アセチル基、ベンゾイル基等の炭素数1から10までのアシル基;
メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等の炭素数2から10までのアルコキシカルボニル基;
フェノキシカルボニル基等の炭素数7から13までのアリールオキシカルボニル基;
アセトキシ基等の炭素数2から10までのアルキルカルボニルオキシ基;
メチルチオ基、エチルチオ基等の炭素数1から8までのアルキルチオ基;
フェニルチオ基、1−ナフチルチオ基等の炭素数6から12までのアリールチオ基;
トリメチルシリル基、トリフェニルシリル基等の炭素数3から30までのシリル基;
1個の遊離原子価を有する、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ペリレン環、テトラセン環、ピレン環、ベンズピレン環、クリセン環、トリフェニレン環、フルオランテン環等の、5又は6員環の単環又は2〜5縮合環などの炭化水素芳香族環からなる基;
1個の遊離原子価を有する、フラン環、ベンゾフラン環、ジベンゾフラン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ジベンゾチオフェン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、オキサジアゾール環、インドール環、カルバゾール環、ピロロイミダゾール環、ピロロピラゾール環、ピロロピロール環、チエノピロール環、チエノチオフェン環、フロピロール環、フロフラン環、チエノフラン環、ベンゾイソオキサゾール環、ベンゾイソチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、トリアジン環、キノリン環、イソキノリン環、シノリン環、キノキサリン環、ベンゾイミダゾール環、ペリミジン環、キナゾリン環等の、5又は6員環の単環又は2〜4縮合環などの複素芳香族環からなる基
(1−A)、(1−B)および(1−C)の化合物の分子量は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意である。これら化合物の分子量は、通常5000以下、好ましくは3000以下、更に好ましくは2000以下である。また、通常450以上、好ましくは500以上、更に好ましくは600以上である。
本発明においては、発光層中の燐光発光材料は1種類でもよいが、(1−A)の化合物及び(1−B)の化合物を含む電荷輸送材料については2種類以上、好ましくは3種類以上、更に製膜性が良好になることから好ましくは4種類以上である。また、燐光発光材料と電荷輸送材料との合計で3種類以上であり、好ましくは4種類以上、特に好ましくは5種類以上である。
発光層中の燐光発光材料及び電荷輸送材料の種類は、材料の管理、発光層形成用組成物の調製等における手間から、合計で20種類以下であることが好ましく、特に15種類以下であることが好ましい。実用的には、発光層中の燐光発光材料を1種類又は2種類とし、電荷輸送材料を3〜12種類、特に4〜10種類用いることが好ましい。
(1−A)、(1−B)及び(1−C)の化合物の具体例は以下の通りであるが、これらに限定されるものではない。
本発明の有機電界発光素子が有する発光層は、前述の通り、少なくとも1つ以上の燐光発光材料(燐光発光の性質を有する材料)と、電荷輸送材料として少なくとも(1−A)の化合物及び(1−B)の化合物を含み、好ましくは更に(1−C)の化合物を含む。発光層中の電荷輸送材料及び燐光発光材料の種類の好ましい数は前述の通りである。
燐光発光材料としては、通常、有機電界発光素子の燐光発光材料として使用されている任意の公知の燐光発光材料を適用することができる。
燐光発光材料は、いずれか1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
(式(III)中、Mは金属を表し、qは上記金属の価数を表す。また、L及びL’は二座配位子を表す。jは0、1又は2の数を表す。)
また、式(III)中、二座配位子Lは、以下の部分構造を有する配位子を示す。
該炭化水素芳香族環基の具体例としては、1個の遊離原子価を有する、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ペリレン環、テトラセン環、ピレン環、ベンズピレン環、クリセン環、トリフェニレン環、アセナフテン環、フルオランテン環、フルオレン環からなる基などが挙げられる。
該複素芳香族環基としては、1個の遊離原子価を有する、5又は6員環の単環又は2〜4縮合環からなる基などが挙げられる。
該複素芳香族環基の具体例としては、1個の遊離原子価を有する、フラン環、ベンゾフラン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、オキサジアゾール環、インドール環、カルバゾール環、ピロロイミダゾール環、ピロロピラゾール環、ピロロピロール環、チエノピロール環、チエノチオフェン環、フロピロール環、フロフラン環、チエノフラン環、ベンゾイソオキサゾール環、ベンゾイソチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、トリアジン環、キノリン環、イソキノリン環、シノリン環、キノキサリン環、フェナントリジン環、ベンゾイミダゾール環、ペリミジン環、キナゾリン環、キナゾリノン環、アズレン環からなる基などが挙げられる。
該含窒素複素芳香族環基としては、1個の遊離原子価を有する、5又は6員環の単環又は2〜4縮合環などが挙げられる。
該含窒素複素芳香族環基の具体例としては、1個の遊離原子価を有する、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、オキサジアゾール環、インドール環、カルバゾール環、ピロロイミダゾール環、ピロロピラゾール環、ピロロピロール環、チエノピロール環、フロピロール環、チエノフラン環、ベンゾイソオキサゾール環、ベンゾイソチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、トリアジン環、キノリン環、イソキノリン環、キノキサリン環、フェナントリジン環、ベンゾイミダゾール環、ペリミジン環、キナゾリン環、キナゾリノン環などが挙げられる。
なお、これら置換基は互いに連結して環を形成してもよい。具体例には、環A1が有する置換基と環A2が有する置換基とが結合するか、又は、環A1’が有する置換基と環A2’が有する置換基とが結合することにより、一つの縮合環を形成してもよい。このような縮合環としては、7,8−ベンゾキノリン基等が挙げられる。
上記式(III)及び(IIIa)〜(IIIc)で示される有機金属錯体の具体例を以下に示すが、下記の化合物に限定されるものではない。
また、国際公開第2005/019373号に記載の化合物も、燐光発光材料として使用することが可能である。
更に、Tが炭素原子の場合、R94及びR95は、それぞれ独立に、R92及びR93として挙げたものと同様の置換基を表す。また、Tが窒素原子の場合は、R94及びR95は無い。
更に、R92〜R95のうち任意の2つ以上の基が互いに連結して環を形成してもよい。
本発明の発光層の少なくとも一層には、前述のとおり、電荷輸送材料として(1−A)の化合物及び(1−B)の化合物が各々1種以上含まれ、好ましくは更に(1−C)の化合物が含まれるが、これら以外の電荷輸送材料を含んでいてもよい。以下、(1−A)の化合物、(1−B)の化合物及び(1−C)の化合物以外の電荷輸送材料について説明する。
電荷輸送材料の分子量が上記範囲内であると、ガラス転移温度や融点、分解温度等が高く、発光材料及び形成された発光層の耐熱性が良好である点、及び、再結晶化や分子のマイグレーションなどに起因する膜質の低下や、材料の熱分解に伴う不純物濃度の上昇などが起こり難く、素子性能に優れる点、また、精製が容易である点などで好ましい。
本発明に係る発光層は、材料の利用効率が高く、また、その陽極側に通常形成される正孔輸送層と適度に混ざることにより正孔の注入性が良好となりやすいことから、湿式成膜法で形成されるのが好ましい。
溶剤の溶解性としては、25℃、1気圧下で、燐光発光材料及び電荷輸送材料を、各々、通常0.01重量%以上、好ましくは0.05重量%以上、さらに好ましくは0.1重量%以上溶解することが好ましい。
溶剤は、中でも好ましくは、アルカン類や芳香族炭化水素類である。
これらの溶剤は1種類を単独で用いてもよく、また2種類以上を任意の組み合わせ、及び比率で用いてもよい。
本発明における発光層形成用組成物中には、燐光発光材料が通常0.01重量%以上、好ましくは0.05重量%以上、さらに好ましくは0.1重量%以上含有されているのが良い。また、燐光発光材料が通常10重量%以下、好ましくは7重量%以下、さらに好ましくは5重量%以下含有されていることが良い。なお、2種以上の燐光発光材料を併用する場合には、これらの合計の含有量が上記範囲に含まれるようにするのが好ましい。
以下に、本発明の有機電界発光素子の層構成及びその一般的形成方法等の実施の形態の一例を、図1を参照して説明する。
即ち、本発明の有機電界発光素子は、陽極、発光層及び陰極を必須の構成層とするが、必要に応じて、図1に示すように陽極と発光層及び陰極との発光層との間に他の機能層を有していてもよい。
基板1は、有機電界発光素子の支持体となるものである。基板1としては、石英やガラスの板、金属板や金属箔、プラスチックフィルムやシート等が用いられる。特にガラス板;ポリエステル、ポリメタクリレート、ポリカーボネート、ポリスルホン等の透明な合成樹脂の板が好ましい。合成樹脂基板を使用する場合には、ガスバリア性に留意するのが好ましい。基板のガスバリア性は、基板を通過した外気による有機電界発光素子の劣化が起こり難いので、大きいことが好ましい。このため、合成樹脂基板の少なくとも片面に緻密なシリコン酸化膜等を設けてガスバリア性を確保する方法も好ましい方法の一つである。
陽極2は、発光層5側の層への正孔注入の役割を果たす電極である。
この陽極2は、通常、アルミニウム、金、銀、ニッケル、パラジウム、白金等の金属、インジウム及び/又はスズの酸化物等の金属酸化物、ヨウ化銅等のハロゲン化金属、カーボンブラック、或いは、ポリ(3−メチルチオフェン)、ポリピロール、ポリアニリン等の導電性高分子等により構成される。
陽極2の形成は、通常、スパッタリング法、真空蒸着法等の方法により行われることが多い。また、銀等の金属微粒子、ヨウ化銅等の微粒子、カーボンブラック、導電性の金属酸化物微粒子、導電性高分子微粉末等を用いて陽極2を形成する場合には、これらの微粒子などを適当なバインダー樹脂溶液に分散させて、基板1上に塗布することにより、陽極2を形成することもできる。さらに、導電性高分子の場合は、電解重合により直接基板1上に薄膜を形成することもできる。また、基板1上に導電性高分子を塗布して陽極2を形成することもできる(Appl.Phys.Lett.,60巻,2711頁,1992年)。
正孔注入層3は、陽極2から発光層5へ正孔を輸送する層である。正孔注入層3は、本発明の有機電界発光素子に必須の層ではないが、正孔注入層3を設ける場合は、正孔注入層3は、通常、陽極2上に形成される。
正孔注入層3の膜厚は、通常5nm以上、好ましくは10nm以上、また、通常1000nm以下、好ましくは500nm以下の範囲である。
湿式成膜法により正孔注入層3を形成する場合、通常は、正孔注入層3を構成する材料を適切な溶剤(正孔注入層用溶剤)と混合して成膜用の組成物(正孔注入層形成用組成物)を調製し、この正孔注入層3形成用組成物を適切な手法により、正孔注入層の下層に該当する層(通常は、陽極2)上に塗布して成膜し、乾燥することにより正孔注入層3を形成する。
正孔注入層形成用組成物は通常、正孔注入層3の構成材料として正孔輸送材料及び溶剤を含有する。
正孔輸送材料は、通常、有機電界発光素子の正孔注入層3に使用される、正孔輸送性を有する化合物であれば、重合体などの高分子化合物であっても、単量体などの低分子化合物であってもよいが、高分子化合物であることが好ましい。
ノキサリン誘導体、カーボン等が挙げられる。
また、正孔輸送材料としては、ポリチオフェンの誘導体である3,4−ethylenedioxythiophene(3,4−エチレンジオキシチオフェン)を高分子量ポリスチレンスルホン酸中で重合してなる導電性ポリマー(PEDOT/PSS)もまた好ましい。また、このポリマーの末端をメタクリレート等でキャップしたものであってもよい。
正孔注入層形成用組成物は、正孔注入層3の構成材料として、電子受容性化合物を含有していることが好ましい。
正孔注入層3の材料としては、本発明の効果を著しく損なわない限り、上述の正孔輸送材料や電子受容性化合物に加えて、さらに、その他の成分を含有させてもよい。
湿式成膜法に用いる正孔注入層形成用組成物の溶剤のうち少なくとも1種は、上述の正孔注入層3の構成材料を溶解しうる化合物であることが好ましい。
芳香族炭化水素系溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、シクロヘキシルベンゼン、3−イソプロピルビフェニル、1,2,3,4−テトラメチルベンゼン、1,4−ジイソプロピルベンゼン、メチルナフタレン等が挙げられる。
アミド系溶剤としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、等が挙げられる。
その他、ジメチルスルホキシド等も用いることができる。
これらの溶剤は1種類を単独で用いてもよく、また2種類以上を任意の組み合わせ、及び比率で用いてもよい。
真空蒸着法により正孔注入層3を形成する場合には、例えば、以下のようにして正孔輸送層3を形成することができる。正孔注入層3の構成材料(前述の正孔輸送材料、電子受容性化合物等)の1種又は2種以上を真空容器内に設置されたるつぼに入れ(2種以上の材料を用いる場合は各々のるつぼに入れ)、真空容器内を適当な真空ポンプで10−4Pa程度まで排気する。この後、るつぼを加熱して(2種以上の材料を用いる場合は各々のるつぼを加熱して)、蒸発量を制御して蒸発させ(2種以上の材料を用いる場合は各々独立に蒸発量を制御して蒸発させ)、るつぼと向き合って置かれた基板1の陽極2上に正孔
注入層3を形成させる。なお、2種以上の材料を用いる場合は、それらの混合物をるつぼに入れ、加熱、蒸発させて正孔注入層3を形成することもできる。
正孔輸送層4は、陽極2から発光層5へ輸送する層である。正孔輸送層4は、本発明の有機電界発光素子に必須の層ではないが、正孔輸送層4を設ける場合は、通常、正孔輸送層4は、正孔注入層3がある場合には正孔注入層3の上に、正孔注入層3が無い場合には陽極2の上に形成することができる。
正孔輸送層形成用組成物には、上述の正孔輸送材料の他、溶剤を含有する。用いる溶剤は、上記正孔注入層形成用組成物に用いたものと同様である。また、成膜条件、乾燥条件等も正孔注入層3の形成の場合と同様である。
真空蒸着法により正孔輸送層4を形成する場合もまた、その成膜条件等は上記正孔注入層3の形成の場合と同様である。
発光層5は、電界を与えられた電極間において、陽極2から注入された正孔と、陰極9から注入された電子との再結合により励起されて、主たる発光源となる層である。発光層5は、通常、正孔輸送層4がある場合には正孔輸送層4の上に、正孔輸送層4が無く、正孔注入層3がある場合には正孔注入層3の上に、正孔輸送層4も正孔注入層3も無い場合は、陽極2の上に形成することができる。
発光層5の構成材料及び形成方法等については、前述の通りである。
発光層5と後述の電子注入層8との間に、正孔阻止層6を設けてもよい。正孔阻止層6は、電子輸送層のうち、更に陽極2から移動してくる正孔を陰極9に到達するのを阻止する役割をも担う層である。正孔阻止層6は、発光層5の上に、発光層5の陰極9側の界面に接するように積層される層である。本発明の有機電界発光素子においては、正孔阻止層は必須の構成層ではない。
正孔阻止層6を構成する材料に求められる物性としては、電子移動度が高く正孔移動度が低いこと、エネルギーギャップ(HOMO、LUMOの差)が大きいこと、励起三重項エネルギー準位(T1)が高いことなどが挙げられる。このような条件を満たす正孔阻止層6の材料としては、例えば、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(フェノラト)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(トリフェニルシラノラト)アルミニウム等の混合配位子錯体、ビス(2−メチル−8−キノラト)アルミニウム−μ−オキソ−ビス−(2−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム二核金属錯体等の金属錯体、ジスチリルビフェニル誘導体等のスチリル化合物(特開平11−242996号公報)、3−(4−ビフェニルイル)−4−フェニル−5(4−tert−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール等のトリアゾール誘導体(特開平7−41759号公報)、バソクプロイン等のフェナントロリン誘導体(特開平10−79297号公報)などが挙げられる。更に、国際公開第2005/022962号公報に記載の2,4,6位が置換されたピリジン環を少なくとも1個有する化合物も、正孔阻止層6の材料として好ましい。
正孔阻止層6の膜厚は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意である。正孔阻止層6の膜厚は、通常0.3nm以上、好ましくは0.5nm以上、また、通常100nm以下、好ましくは50nm以下である。
電子輸送層7は、発光層5と陰極9の間に設けられた電子を輸送するための層である。なお、本発明の有機電界発光素子においては、電子輸送層は必須の構成層ではない。
電子輸送層の膜厚は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常1nm以上、好ましくは5nm以上、また、通常300nm以下、好ましくは100nm以下の範囲である。
陰極9から注入された電子を効率良く発光層5に注入するために、電子輸送層7と後述の陰極9との間に電子注入層8を設けてもよい。電子注入層8は、無機塩などからなる。なお、本発明の有機電界発光素子においては、電子注入層は必須の構成層ではない。
陰極9は、発光層5側の層に電子を注入する役割を果たす電極である。
本発明に係る有機電界発光素子は、その趣旨を逸脱しない範囲において、別の構成を有していてもよい。具体的には、例えば、その性能を損なわない限り、陽極2と陰極9との間に、上記説明にある層の他に任意の層を有していてもよく、また、上記説明にある層のうち必須でない層が省略されていてもよい。
また、上述した各層には、本発明の効果を著しく損なわない限り、材料として説明した以外の成分が含まれていてもよい。
本発明の有機電界発光デバイスは、互いに異なる色に発光する有機電界発光素子を2つ以上有する有機電界発光デバイスであって、そのうちの少なくとも1つが本発明の有機電界発光素子であることを特徴とするものである。また、この有機電界発光デバイスにおいて、すべての有機電界発光素子が本発明の有機電界発光素子であることが好ましい。その理由は有機電界発光デバイスの駆動電圧が下がり、省電力化になることによる。本発明の有機電界発光デバイスとしては、有機EL表示装置及び有機EL照明などが挙げられる。
本発明の有機EL表示装置は、上述の本発明の有機電界発光素子を用いた表示装置である。本発明の有機EL表示装置の型式や構造については特に制限はなく、本発明の有機電界発光素子を用いて常法に従って組み立てることができる。
例えば、「有機ELディスプレイ」(オーム社、平成16年8月20日発行、時任静士、安達千波矢、村田英幸著)に記載されているような方法で、本発明の有機EL表示装置を形成することができる。
本発明の有機EL照明は、上述の本発明の有機電界発光素子を用いた照明である。本発明の有機EL照明の型式や構造については特に制限はなく、本発明の有機電界発光素子を用いて常法に従って組み立てることができる。
[実施例1]
図1に示す有機電界発光素子を作製した。
まず、ガラス基板1上に、ITO透明導電膜を70nmの厚さに堆積し、2mm幅のストライプにパターニングして、ITOの陽極2を形成した。陽極2を形成したITO成膜基板(ジオマテック社製、スパッタ成膜品)の成膜面に対して、界面活性剤水溶液による超音波洗浄、超純水による水洗、超純水による超音波洗浄、超純水による水洗の順で洗浄を行い、更に圧縮空気で乾燥させ、紫外線オゾン洗浄を施した。
スピンコート雰囲気 大気雰囲気下
ベーク条件 大気雰囲気下,230℃,1時間
スピンコート雰囲気 窒素雰囲気下
ベーク条件 窒素雰囲気下,230℃,1時間
スピンコート雰囲気 窒素雰囲気下
ベーク条件 窒素雰囲気下,120℃,10分
窒素グローブボックス中で、23mm×23mmサイズのガラス板の外周部に、1mmの幅で光硬化性樹脂「30Y−437」(スリーボンド社製)を塗布し、中央部に水分ゲッターシート(ダイニック社製)を設置した。この上に、上述の陰極9の形成まで終了した基板を搬入し、蒸着された面が乾燥剤シートと対向するように貼り合わせた。その後、光硬化性樹脂が塗布された領域のみに紫外光を照射し、樹脂を硬化させた。
発光層形成用組成物に用いる燐光発光材料と電荷輸送材料を、表1に示す組み合わせで調製したこと以外は、実施例1と同様にして実施例2、3、比較例1の有機電界発光素子を作成した。表1においては、各実施例あるいは比較例に対し、発光層形成用組成物に用いた材料の欄に、該材料の含有率(重量%)を記載している。
各実施例及び比較例の有機電界発光素子に、2mA/cm2の電流密度で電流を流した場合の電圧を測定し、比較例1における電圧との差(ΔV(V))を表1に記した。
実施例及び比較例において使用した(D−1)は燐光発光材料である。(h−1)は(1−C)の化合物に、(h−2)は(1−A)の化合物に、(h−3)は(1−B)の化合物に相当する。いずれの実施例においても、(1−A)の化合物と(1−B)の化合物とを組み合わせて用いることにより、(1−B)の化合物を用いない比較例1よりも低電圧化していることがわかる。
2 陽極
3 正孔注入層
4 正孔輸送層
5 発光層
6 正孔阻止層
7 電子輸送層
8 電子注入層
9 陰極
10 有機電界発光素子
Claims (7)
- 基板上に少なくとも陽極、一層もしくは複数層の発光層及び陰極をこの順に有する有機電界発光素子において、前記発光層の少なくとも一層は電荷輸送材料と燐光発光材料を含み、該電荷輸送材料として下記一般式(1−A)で表される材料、下記一般式(1−B)で表される材料及び下記一般式(1−C)で表される材料を各々1種類以上含むことを特徴とする有機電界発光素子(ただし、該発光層の少なくとも一層が、燐光発光材料と、下記一般式(1−A)と下記一般式(1−B)の両方を満たす化合物の1種類と、下記一般式(1−C)で表される材料とを含む場合は、本発明の規定を満たしているものとする。)。
(式(1−A)中、Ph1〜Ph3は、各々独立に、置換基を有していてもよい2価のベンゼン環であり、Ar1〜Ar3は、各々独立に、直接結合、置換基を有していてもよい炭素数3から30までの芳香族環基、若しくは、置換基を有していてもよい炭素数3から60までの2つ以上の芳香族環集合原子団基であり、R1〜R3は、各々独立に、置換基を有していてもよい炭素数1から20までのアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数3から30までの芳香族環基、若しくは、置換基を有していてもよい炭素数3から60までの2つ以上の芳香族環集合原子団基である。)
(式(1−B)中、Ar4〜Ar8は、各々独立に、置換基を有していてもよい炭素数3から30までの芳香族環基であり、R4〜R7は、各々独立に、水素原子、若しくは、置換基を有していてもよい炭素数3から30までの芳香族環基であり、Ar4〜Ar8及びR4〜R7の該芳香族環基の芳香族環は、ベンゼン環、ナフタレン環、フェナントレン環、ジベンゾチオフェン環、ジベンゾフラン環、又はカルバゾール環であり、添字lは1〜3の整数、m、nは、各々独立に0〜2の整数である。)
(式(1−C)中、Ar9〜Ar11は、各々独立に、置換基を有していてもよい炭素数3から30までの芳香族環基、若しくは、置換基を有していてもよい炭素数3から60までの2つ以上の芳香族環集合原子団基であり、R8〜R10は、各々独立に、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1から20までのアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数3から30までの芳香族環基、若しくは、置換基を有していてもよい炭素数3から60までの2つ以上の芳香族環集合原子団基であり、X、Y、Zは、各々独立に炭素原子又は窒素原子であり、少なくともX、Y、Zの何れか1つは窒素原子である。) - 前記燐光発光材料がイリジウム錯体であることを特徴とする請求項1に記載の有機電界発光素子。
- 前記発光層の少なくとも一層が、前記電荷輸送材料を3種以上含むことを特徴とする請求項1または2に記載の有機電界発光素子。
- 互いに異なる色に発光する有機電界発光素子を2つ以上有する有機電界発光デバイスにおいて、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の有機電界発光素子を1つ以上有することを特徴とする有機電界発光デバイス。
- 互いに異なる色に発光する有機電界発光素子を2つ以上有する有機電界発光デバイスにおいて、該2つ以上の有機電界発光素子が請求項1ないし3のいずれか1項に記載の有機電界発光素子のみから構成されることを特徴とする有機電界発光デバイス。
- 請求項4又は5に記載の有機電界発光デバイスである有機EL表示装置。
- 請求項4又は5に記載の有機電界発光デバイスである有機EL照明。
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