JP6237232B2 - 複合半透膜 - Google Patents
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Description
そこで本発明の目的は、圧力が変動する条件下でも、高い塩除去性能および透水性を両立することができる複合半透膜を提供することにある。
<1> 基材および前記基材上に設けられた多孔性支持層を有する多孔性支持膜と、前記多孔性支持膜上に設けられた分離機能層とを備えた複合半透膜であって、
電子顕微鏡を用いて前記複合半透膜の膜面方向における長さが2.0μmである任意の10箇所の断面を観察したときに、各断面において、前記分離機能層における10点平均面粗さの5分の1以上の高さを有する突起の平均数密度が10.0個/μm以上30.0個/μm以下、かつ前記突起の平均高さが100nm未満であり、
さらに、NaClの濃度が3.5重量%、温度が25℃、pHが6.5の水溶液を5.5MPaの圧力で前記複合半透膜に24時間透過させた後の造水量が、1.0m3/m2/日以上、かつ脱塩率が99.5%以上である、複合半透膜。
<2> 前記平均数密度が13.0個/μm以上30.0個/μm以下である、前記<1>に記載の複合半透膜。
<3> 各断面における前記突起の高さの標準偏差が70nm以下である、前記<1>または<2>に記載の複合半透膜。
<4> 前記多孔性支持層が、基材側の第1層とその上に形成される第2層の多層構造を有する、前記<1>〜<3>のいずれか1に記載の複合半透膜。
<5> 前記第1層と前記第2層との界面が連続構造である、前記<4>に記載の複合半透膜。
<6> 前記多孔性支持層が、前記第1層を形成する高分子溶液Aと前記第2層を形成する高分子溶液Bとが基材上に同時に塗布された後に、凝固浴に接触し相分離することで形成される、前記<5>に記載の複合半透膜。
<7> 前記高分子溶液Aと前記高分子溶液Bとが異なる組成である、前記<6>に記載の複合半透膜。
<8> 前記高分子溶液Aの固形分濃度a(重量%)と前記高分子溶液Bの固形分濃度b(重量%)が、a/b≦1.0の関係式を満たす、前記<7>に記載の複合半透膜。
<9> 前記多孔性支持層の平均厚さをdとし、前記分離機能層との界面からの距離が0〜0.1dの部分の前記多孔性支持層の平均空隙率をφ1、前記距離が0.1d〜dの部分の前記多孔性支持層の平均空隙率をφ2としたとき、φ1<0.35かつ、φ2>0.70である、前記<5>〜<8>のいずれか1に記載の複合半透膜。
<10> 前記多孔性支持膜の基材が、ポリエステルを含有する長繊維不織布である、前記<1>〜<9>のいずれか1に記載の複合半透膜。
<11> 前記分離機能層が多官能アミンと多官能酸ハロゲン化物との重縮合により得られるポリアミドであって、前記ポリアミドを構成する前記多官能アミン成分と前記多官能酸ハロゲン化物成分の存在比が下式の関係にある、前記<1>〜<10>のいずれか1に記載の複合半透膜。
多官能アミン成分のモル数/多官能酸ハロゲン化物成分のモル数≧1.6
<12> 前記分離機能層の任意の10箇所において、ナノインデンテーション法による硬さ試験で変位が50nmになるように押し込んだときの平均荷重が0.50μN以上である、前記<1>〜<11>のいずれか1に記載の複合半透膜。
<13> 前記平均荷重が1.00μN以上である、前記<12>に記載の複合半透膜。
<14> NaClの濃度が3.5重量%、温度が25℃、pHが6.5の水溶液を、5.5MPaの操作圧力で複合半透膜に供給することで、24時間に渡ってろ過処理を行った後に、
5.5MPaの操作圧力において1分間保持、次いで30秒間で0MPaまで降圧、さらに1分間保持後、30秒間で5.5MPaまで昇圧するサイクルで前記複合半透膜によるろ過処理を5000回繰り返し、
さらにその後4.0MPaの操作圧力で水溶液を前記複合半透膜に透過させた際の造水量が、1.00m3/m2/日以上、かつ脱塩率が99.80%以上である、前記<1>〜<13>のいずれか1に記載の複合半透膜。
複合半透膜は、基材および前記基材上に設けられた多孔性支持層を含む多孔性支持膜と、前記多孔性支持層上に設けられた分離機能層とを備える。
分離機能層は、複合半透膜において溶質の分離機能を担う層である。分離機能層の組成および厚み等の構成は、複合半透膜の使用目的に合わせて設定される。
一般に、分離機能層上の突起(以下、「ひだ」と称することもある。)の高さを拡大すると、透水性は向上するものの塩透過性も大きくなる。しかも、過度に拡大したひだの存在は、加圧時に変形しやすいので、加圧時に、膜表面積の低下および部分的な破壊により、透水性および塩除去性を低下させる原因となる。特に、比較的高い圧力で運転される海水淡水化用の複合半透膜の場合は、この傾向が性能に現れやすい。
また、分離機能層の突起の平均数密度は、好ましくは30.0個/μm以下である。平均数密度が30.0個/μm以下であることで、突起同士が接触することで実効的な表面積が減少することを抑制できる。
まず電子顕微鏡により、膜面に垂直な方向の断面を下記の倍率で観察する。得られた断面画像には、分離機能層(図1に符号“1”で示す。)の表面が、複合半透膜の膜面方向(膜の表面に平行な方向)に凸部と凹部が連続的に繰り返される、ひだ構造の曲線として表れる。この曲線について、ISO4287:1997に基づき定義される粗さ曲線を求める。
上記粗さ曲線の平均線の方向に2.0μmの幅で断面画像を抜き取る(図1)。ここで、平均線とは、ISO4287:1997に基づき定義される直線であり、測定長さにおいて、平均線と粗さ曲線とで囲まれる領域の面積の合計が平均線の上下で等しくなるように描かれる直線である。
抜き取った幅2.0μmの画像において、上記平均線を基準線として、分離機能層における突起の山頂の高さと、谷底の深さをそれぞれ測定する。最も高い山頂から5番目までの5つの山頂の高さH1〜H5の絶対値について平均値を算出し、最も深い谷底から5番目まで5つの谷底の深さD1〜D5の絶対値について平均値を算出して、さらに、得られた2つの平均値の絶対値の和を算出する。こうして得られた和が、10点平均面粗さである。なお、図1では説明の便宜上、基準線を水平方向に平行に描いている。
分離機能層は、少なくとも実施例に記載の手法で測定された結果として、0.50μNの平均荷重を示せばよいが、特に頻繁かつ高圧の運転・停止が繰り返される運転条件下での物理的耐久性の点から平均荷重が1.00μN以上であることがより好ましい。
多孔性支持膜(以下、単に「支持膜」と称することもある。)は、基材と多孔性支持層とを備えるものであり、実質的にイオン等の分離性能を有さず、実質的に分離性能を有する分離機能層に強度を与えることができる。
多孔性支持層は、下記素材を主成分として含有することが好ましい。多孔性支持層の素材としては、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアミド、ポリエステル、セルロース系ポリマー、ビニルポリマー、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンスルフィドスルホン、ポリフェニレンスルホン、ポリフェニレンオキシドなどのホモポリマーあるいはコポリマーを単独であるいはブレンドして使用することができる。ここでセルロース系ポリマーとしては酢酸セルロース、硝酸セルロースなどが使用され、ビニルポリマーとしてはポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリアクリロニトリルなどが使用される。中でもポリスルホン、ポリアミド、ポリエステル、酢酸セルロース、硝酸セルロース、ポリ塩化ビニル、ポリアクリロニトリル、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンスルフィドスルホン、ポリフェニレンスルホンなどのホモポリマーまたはコポリマーが好ましい。より好ましくは酢酸セルロース、ポリスルホン、ポリフェニレンスルフィドスルホン、またはポリフェニレンスルホンが挙げられる。これらの素材の中では化学的、機械的、熱的に安定性が高く、成型が容易であることからポリスルホンが特に好ましくに使用できる。
そのような構造の例として、多孔性支持層は、多官能アミン水溶液を効率的に移送する第1層と、第1層よりも分離機能層寄りに位置し、突起の数密度を制御する第2層とを備える、多層構造をとることが好ましい。特に、第1層は基材に接することが好ましく、第2層は分離機能層に接するように、多孔性支持層の最表層に位置することが好ましい。
なお、上記第1層と第2層は、いずれも高分子溶液を基材上に塗布することにより形成されるが、その製造方法については後述する。
連続構造とは、層間にスキン層を形成しない構造を指す。ここでいうスキン層とは、高い密度を有する部分を意味する。具体的には、スキン層の表面細孔は、1nm以上50nm以下の範囲内にある。層間にスキン層が形成された場合には、多孔性支持層中に高い抵抗が生じるため、透過流速は劇的に低下する。
分離機能層との界面からの距離が0.1d〜dの部分の多孔性支持層の平均空隙率φ2は0.70よりも大きいことが好ましい。平均空隙率が前記の範囲であることで、反応場へのモノマー供給速度が十分に大きく、かつ均一になる。
10cm四方の多孔性支持層を基材から剥離させる。剥離した多孔性支持層の任意の10箇所の平均膜厚dを、膜厚計を用いて測定することで、剥離した多孔性支持層の体積を求める。剥離した多孔性支持層を6時間真空乾燥させた後の重量を、精密天秤を用いて求める。得られた体積及び重量から、多孔性支持層の空隙率φ0は、次の式を用いて計算される。
φ0=1−{(多孔性支持層の重量)/(多孔性支持層の体積)}/(多孔性支持層を形成する樹脂の比重)
φ2は、剥離した多孔性支持層の断面の電子顕微鏡画像から求める。まず、基材から剥離した多孔性支持層について、クライオミクロトームを用いて超薄切片を作成し、走査透過型電子顕微鏡(STEM)−エネルギー分散型X線分光器(EDX)を用いて元素マッピングの測定を行う。走査透過型電子顕微鏡は日本電子製JEM−ARM200Fなどを、EDX検出器は日本電子製JED−2300などを用いることができる。多孔性支持層の表面から深さ0.1d〜dの部位の像について、樹脂に特徴的な元素(例えばポリスルホンならば硫黄原子)の分布をEDXによるマッピング画像から抽出し、樹脂が占める部位の面積を求める。樹脂が占める部位の面積と、STEMより得られた空隙を含む断面像の面積の比を測定することで、φ2を計算することができる。
φ1=1−{(1−φ0)−0.9×(1−φ2)}/0.1
支持膜を構成する基材としては、例えば、ポリエステル系重合体、ポリアミド系重合体、ポリオレフィン系重合体、あるいはこれらの混合物や共重合体等が挙げられるが、機械的強度、耐熱性、耐水性等により優れた支持膜を得られることから、ポリエステル系重合体であることが好ましい。これらは単独で用いても、複数種を同時に用いてもよい。
以上より、本発明における支持膜を構成する基材としては、ポリエステルを含む、長繊維不織布であることが好ましい。
複合半透膜は、NaCl濃度3.5重量%、温度25℃、pH6.5である水溶液を、5.5MPaの操作圧力で、24時間透過させた後の造水量が、1.0m3/m2/日以上であり、かつ脱塩率が99.5%以上であることが、逆浸透膜エレメントとして水処理プラントにおいて用いられる際に十分な造水量と高水質を実現できる点から好ましい。また、NaCl濃度3.5重量%、温度25℃、pH6.5である水溶液を、4.0MPaの操作圧力で、複合半透膜に24時間透過させた後の造水量が、1.00m3/m2/日以上、かつ脱塩率が99.8%以上であると、より省エネルギーでの運転が可能となるため、さらに好ましい。
(i)NaClの濃度が3.5重量%、温度が25℃、pHが6.5の水溶液を、5.5MPaの操作圧力で複合半透膜に供給することで、24時間に渡ってろ過処理を行った後に、
(ii)5.5MPaの操作圧力において1分間保持、次いで30秒間で0MPaまで降圧、さらに1分間保持した後、30秒間で5.5MPaまで昇圧するサイクルで前記複合半透膜によるろ過処理を5000回繰り返し、
(iii)さらに、その後5.5MPaの操作圧力で水溶液を前記複合半透膜に透過させた際の造水量が、0.85m3/m2/日以上、かつ脱塩率が99.5%以上であることが好ましい。
また、上記(iii)において、操作圧力を4.0MPaとしたときの造水量が、1.00m3/m2/日以上、かつ脱塩率が99.80%以上であるとより省エネルギーでの運転が可能となるため、さらに好ましい。
次に、上記複合半透膜の製造方法について説明する。製造方法は、支持膜の形成工程および分離機能層の形成工程を含む。
支持膜の形成工程は、多孔性基材に高分子溶液を塗布する工程、多孔性基材に高分子溶液を含浸させる工程、および前記溶液を含浸した前記多孔性基材を、高分子の良溶媒と比較して前記高分子の溶解度が小さい凝固浴に浸漬させて前記高分子を凝固させ、三次元網目構造を形成させる工程を含んでもよい。また、支持膜の形成工程は、多孔性支持層の成分である高分子を、その高分子の良溶媒に溶解して高分子溶液を調製する工程を、さらに含んでいてもよい。
また、固形分濃度aは、好ましくは18重量%以下であり、より好ましくは15重量%以下である。固形分濃度aが18重量%以下であることで、高分子の凝固前に相分離が十分に進行するので、多孔性構造が得られやすい。
また、固形分濃度bは、好ましくは35重量%以下であり、より好ましくは30重量%以下である。高分子溶液Bのポリスルホン濃度が35重量%以下であることで、分離機能層形成時のモノマー供給速度が小さくなりすぎない程度に、多孔性支持層の表面細孔径が調整される。よって、分離機能層形成時に、適切な高さを持つ突起が形成される。
高分子溶液塗布時の高分子溶液の温度は、例えばポリスルホンであれば、通常10〜60℃の範囲内が好ましい。この範囲内であれば、高分子溶液が析出することなく、高分子を含む有機溶媒溶液が基材の繊維間にまで充分含浸したのち固化される。その結果、アンカー効果により支持膜が基材に強固に接合し、本発明の支持膜を得ることができる。なお、高分子溶液の温度範囲は、用いる高分子溶液の粘度などによって適宜調整すればよい。
次に、複合半透膜を構成する分離機能層の形成工程の一例として、ポリアミドを主成分とする層(ポリアミド分離機能層)の形成を挙げて説明する。
ポリアミド分離機能層の形成工程は、前述の多官能アミンを含有する水溶液と、多官能酸ハロゲン化物を含有する水と非混和性の有機溶媒溶液とを用い、支持膜の表面で界面重縮合を行うことにより、ポリアミド骨格を形成することを含む。
支持膜と多官能アミン水溶液との接触時間は、5秒以上10分以下の範囲内であることが好ましく、10秒以上3分以下の範囲内であるとさらに好ましい。
液切りの方法としては、例えば、日本国特開平2−78428号公報に記載されているように、多官能アミン水溶液接触後の支持膜を垂直方向に把持して過剰の水溶液を自然流下させる方法や、エアーノズルから窒素などの気流を吹き付け、強制的に液切りする方法などが挙げられる。また、液切り後、膜面を乾燥させて水溶液の水分を一部除去することもできる。
このようにして製造される複合半透膜は、プラスチックネットなどの原水流路材と、トリコットなどの透過水流路材と、必要に応じて耐圧性を高めるためのフィルムと共に、多数の孔を穿設した筒状の集水管の周りに巻回され、スパイラル型の複合半透膜エレメントを形成することができる。さらに、このエレメントは、直列または並列に接続されて圧力容器に収納されることで、複合半透膜モジュールを構成することもできる。
(実施例1)
溶質であるポリスルホンと溶媒であるDMFとを混合し、攪拌しながら90℃で2時間加熱保持することで、ポリスルホン15重量%のDMF溶液(高分子溶液A)およびポリスルホン25重量%のDMF溶液(高分子溶液B)をそれぞれ調製した。
高分子溶液Aとしてポリスルホン18重量%のDMF溶液を調製した以外は、実施例1と同様にして、実施例2における複合半透膜を得た。
高分子溶液Bとしてポリスルホン28重量%のDMF溶液を調製し、浸漬する純水の温度を10℃とした以外は、実施例1と同様にして、実施例3における複合半透膜を得た。
高分子溶液Bとしてポリスルホン30重量%のDMF溶液を調製し、浸漬する純水の温度を10℃とし、高分子溶液Bを25μmの厚みでキャストした以外は、実施例1と同様にして、実施例4における複合半透膜を得た。
実施例1において、高分子溶液Aとしてポリスルホン15重量%のNMP溶液を用い、高分子溶液Bとしてポリスルホン25重量%のNMP溶液を調製した以外は、実施例1と同様にして、実施例5における複合半透膜を得た。
実施例1において、高分子溶液Aとしてポリスルホン18重量%のDMF溶液を用い、高分子溶液Bとしてポリスルホン20重量%のDMF溶液を用いた以外は、実施例1と同様にして、実施例6における複合半透膜を得た。
実施例1において、基材として糸径1デシテックス、厚み約90μm、通気度0.7mL/cm2/secの短繊維不織布を用いた以外は、実施例1と同様にして、実施例7における複合半透膜を得た。
高分子溶液Bは用いず、高分子溶液Aとしてポリスルホン25重量%のDMF溶液のみを、二重スリットダイではなく単スリットダイを用いて、160μmの厚みで不織布上に塗布した以外は、実施例1と同様の手順によって多孔性支持膜を得た。得られた多孔性支持膜上に、実施例1と同様の手順によって分離機能層を形成し、比較例1における複合半透膜を得た。
高分子溶液Aとしてポリスルホン15重量%のDMF溶液を調製した以外は、比較例1と同様にして、比較例2における複合半透膜を得た。
高分子溶液Aとしてポリスルホン15重量%のNMP溶液を用いた以外は、比較例1と同様にして、比較例3における複合半透膜を得た。
高分子溶液Aとしてポリスルホン13重量%のDMF溶液を用い、高分子溶液Bとしてポリスルホン20重量%のDMF溶液を用いた以外は、実施例1と同様にして、比較例4における複合半透膜を得た。
高分子溶液Aとしてポリスルホン25重量%のDMF溶液を用い、高分子溶液Bとしてポリスルホン15重量%のDMF溶液を用いた以外は、実施例1と同様にして、比較例5における複合半透膜を得た。
高分子溶液Aとしてポリスルホン20重量%のDMF溶液を用い、高分子溶液Bとしてポリスルホン18重量%のDMF溶液を用いた以外は、実施例1と同様にして、比較例6における複合半透膜を得た。
高分子溶液Aとしてポリスルホン18重量%のDMF溶液を用いた以外は、比較例1と同様の手順によって多孔性支持膜を得た。
得られた多孔性支持膜上に、m−PDA3.0重量%、ラウリル硫酸ナトリウム0.15重量%、トリエチルアミン3.0重量%、カンファースルホン酸6.0重量%を含有した水溶液を塗布した。1分間静置した後、膜から余分な溶液を除去するために膜面を2分間鉛直に保持して液切りし、エアーノズルから窒素を吹き付け、多孔性支持膜表面から余分な水溶液を取り除いた。その後、トリメシン酸クロリド0.20重量%を含む25℃のヘキサン溶液を、膜表面が完全に濡れるように塗布した。1分間静置した後、膜から余分な溶液を除去するために膜面を1分間鉛直に保持して液切りした。その後120℃の熱風乾燥機の中で3分間保持して分離機能層を形成し、比較例7における複合半透膜を得た。
高分子溶液Aとしてポリスルホン17重量%のDMF溶液を用いた以外は、比較例1と同様の手順によって多孔性支持膜を得た。
得られた多孔性支持膜上に、m−PDA3.0重量%を含有した水溶液を塗布した。1分間静置した後、膜から余分な溶液を除去するために膜面を2分間鉛直に保持して液切りし、エアーノズルから窒素を吹き付け、多孔性支持膜表面から余分な水溶液を取り除いた。その後、トリメシン酸クロリド0.13重量%を含む25℃のIsopar L(エクソンモービル社(ExxonMobil Corp.)から入手可能)溶液を、膜表面が完全に濡れるように噴霧した。1分間静置した後、膜から余分な溶液を除去するために膜面を1分間鉛直に保持して液切りした。その後室温の水での洗浄を経て、比較例8における複合半透膜を得た。
高分子溶液Aとしてポリスルホン15重量%のDMF溶液を110μmの厚みで不織布上に塗布し、以降は比較例1と同様の手順によって単層の多孔性支持層を備える多孔性支持膜を得た。こうして得られた多孔性支持層上に、高分子溶液Bとしてポリスルホン25重量%のDMF溶液を50μmの厚みで塗布し、再び比較例1と同様の手順を経て2層の多孔性支持層を形成した。つまり、多孔性支持層に含まれる第1層および第2層が、同時にではなく、順次塗布および凝固された。
こうして得られた2層の多孔性支持層を備える多孔性支持膜上に、実施例1と同様の手順によって分離機能層を形成し、比較例9における複合半透膜を得た。
得られた複合半透膜中の多孔性支持層サンプルについて、上述の方法でφ0、φ2を測定し、φ1を算出した。
複合半透膜サンプルをエポキシ樹脂で包埋し、断面観察を容易にするためOsO4で染色して、これをウルトラミクロトームで切断し超薄切片を10個作製した。得られた超薄切片について、透過型電子顕微鏡を用いて断面写真を撮影した。観察時の加速電圧は100kVであり、観察倍率は10,000倍であった。
得られた断面写真について、多孔性支持膜の膜面方向の幅2.0μmの距離における突起の数をスケールを用いて測定し、上述した方法で10点平均面粗さを算出した。この10点平均面粗さに基づいて、10点平均面粗さの5分の1以上の高さを有する部分を突起として、その数を数え、分離機能層の突起の平均数密度を求めた。また、断面写真中の全ての突起の高さをスケールで測定し、突起の平均高さを求めると共に、標準偏差を計算した。
複合半透膜から基材を剥離した後、DMF溶液に浸漬させて多孔性支持膜の成分を溶解し、分離機能層を得た。得られた分離機能層を、シリコンウエハ上に広げた状態で乗せて固定したものを、分離機能層のサンプルとした。作製した分離機能層のサンプルについて、ナノインデンテーション法による硬さ試験を行った。具体的な方法を以下に示す。
サンプルに対し、正三角錐型のBerkovich圧子(ダイヤモンド製、稜間角度115°、圧子先端の曲率半径20nm)を分離機能層の任意の10箇所に深さ50nmまで垂直に押し込んだときの荷重を、MTSシステムズ社製 Nanoindenter DCMにより測定した。得られた値を平均して、平均荷重を求めた。なお、測定は室温で行った。
NaClの濃度が3.5重量%、温度が25℃、pHが6.5の水溶液を、5.5MPaの操作圧力で複合半透膜に供給することで、24時間に渡って水処理操作を行った後に、5.5MPaの操作圧力で得られた透過水を用いて、塩除去性の測定を行った。その後、5.5MPaの操作圧力において1分間保持、次いで30秒間で0MPaまで降圧し、さらに1分間保持後、30秒間で5.5MPaまで昇圧するサイクルで複合半透膜によるろ過処理を5000回繰り返した後に、塩除去性能の測定を行った。
塩除去性能測定時の操作圧力は5.5MPaまたは4.0MPaとし、それ以外の条件はサイクル運転時と同様とした。それぞれ得られた透過水を用いて、塩除去性の測定を行った。
TDS除去率(%)=100×{1−(透過水中のTDS濃度/供給水中のTDS濃度)}
24時間の上記ろ過処理により得られた透過水量を、膜面1平方メートルあたり、1日あたりの透水量(立方メートル)に換算し、膜透過流束(m3/m2/日)として表した。
本出願は2012年6月27日出願の日本特許出願(特願2012−143919)、2012年8月31日出願の日本特許出願(特願2012−190730)及び2012年9月26日出願の日本特許出願(特願2012−211935)に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。
H1〜H5 分離機能層のひだ構造における突起の高さ
D1〜D5 分離機能層のひだ構造における谷の深さ
Claims (10)
- 基材および前記基材上に設けられた多孔性支持層を有する多孔性支持膜と、前記多孔性支持膜上に設けられた分離機能層とを備えた複合半透膜であって、
前記基材がポリエステル系重合体を含有する不織布であり、前記多孔性支持層がポリスルホンを主成分として含有し、前記分離機能層がポリアミドを主成分として含有し、
電子顕微鏡を用いて前記複合半透膜の膜面方向における長さが2.0μmである任意の10箇所の断面を観察したときに、各断面において、前記分離機能層における10点平均面粗さの5分の1以上の高さを有する突起の平均数密度が10.0個/μm以上30.0個/μm以下、かつ前記突起の平均高さが100nm未満であり、
さらに、NaClの濃度が3.5重量%、温度が25℃、pHが6.5の水溶液を5.5MPaの圧力で前記複合半透膜に24時間透過させた後の造水量が、1.0m3/m2/日以上、かつ脱塩率が99.5%以上である、複合半透膜。 - 前記平均数密度が13.0個/μm以上30.0個/μm以下である、請求項1に記載の複合半透膜。
- 各断面における前記突起の高さの標準偏差が70nm以下である、請求項1または2に記載の複合半透膜。
- 前記多孔性支持層が、基材側の第1層とその上に形成される第2層の多層構造を有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の複合半透膜。
- 前記第1層と前記第2層との界面が連続構造である、請求項4に記載の複合半透膜。
- 前記多孔性支持層の平均厚さをdとし、前記分離機能層との界面からの距離が0〜0.1dの部分の前記多孔性支持層の平均空隙率をφ1、前記距離が0.1d〜dの部分の前記多孔性支持層の平均空隙率をφ2としたとき、φ1<0.35かつ、φ2>0.70で
ある、請求項1〜5のいずれか1項に記載の複合半透膜。 - 前記分離機能層が多官能アミンと多官能酸ハロゲン化物との重縮合により得られるポリアミドであって、前記ポリアミドを構成する前記多官能アミン成分と前記多官能酸ハロゲン化物成分の存在比が下式の関係にある、請求項1〜6のいずれか1項に記載の複合半透膜。
多官能アミン成分のモル数/多官能酸ハロゲン化物成分のモル数≧1.6 - 前記分離機能層の任意の10箇所において、ナノインデンテーション法による硬さ試験で変位が50nmになるように押し込んだときの平均荷重が0.50μN以上である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の複合半透膜。
- 前記平均荷重が1.00μN以上である、請求項8に記載の複合半透膜。
- NaClの濃度が3.5重量%、温度が25℃、pHが6.5の水溶液を、5.5MPaの操作圧力で複合半透膜に供給することで、24時間に渡ってろ過処理を行った後に、
5.5MPaの操作圧力において1分間保持、次いで30秒間で0MPaまで降圧、さらに1分間保持後、30秒間で5.5MPaまで昇圧するサイクルで前記複合半透膜によるろ過処理を5000回繰り返し、
さらにその後4.0MPaの操作圧力で水溶液を前記複合半透膜に透過させた際の造水量が、1.00m3/m2/日以上、かつ脱塩率が99.80%以上である、請求項1〜
9のいずれか1項に記載の複合半透膜。
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