JP6238366B2 - 非極性溶媒に分散性を有する細菌菌体成分を内封する脂質膜構造体およびその製造方法 - Google Patents
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Description
(i)目的物質を内封しない脂質膜構造体を含む極性溶媒溶液を調製する工程、
(ii)目的物質が分散した非極性溶媒溶液を調製する工程、
(iii)前記目的物質を内封しない脂質膜構造体を含む極性溶媒溶液と前記目的物質が分散した非極性溶媒溶液とを混合して水中油型エマルションを調製する工程、
(iv)前記水中油型エマルションから非極性溶媒を減圧留去する工程。
以上(i)〜(iv)の工程を有する。なお、本発明に係る非極性溶媒に分散性を有する目的物質を内封する脂質膜構造体の製造方法において、上述した非極性溶媒に分散性を有する細菌菌体成分を内封する脂質膜構造体または本発明に係る脂質膜構造体を含有する医薬組成物と同等または相当する構成については再度の説明を省略する。
(1)BCG−CWS内封リポソーム
[1−1]空リポソームを含むHBSの調製
8個のアルギニン残基からなるペプチド(配列番号1;以下「R8」という。)と結合したステアリン酸(STR−R8;クラボウ社)を用意した。R8はリポソームに一定の細胞内移行能を付与することが知られているペプチドであり(国際公開WO2005/032593号パンフレット;小暮健太郎、薬学雑誌、第127巻、第10号、第1685−1691頁、2007年)、STR−R8はR8のN末にステアリン酸(STR)が結合した構造を有する。続いて、卵黄フォスファチジルコリン(EPC)、コレステール(Chol)およびSTR−R8を用いて、水和法によりリポソームを調製した。具体的には、これらの脂質を、モル比がEPC:Chol:STR−R8=70:30:2の割合でクロロホルムに溶解して、これを脂質クロロホルム溶液(総脂質濃度10mmol/L)とした。脂質クロロホルム溶液をナスフラスコに入れて、エバポレーターを用いて減圧乾燥させることにより脂質フィルムを得た。pHが7.4である5mmol/LのHEPES緩衝生理食塩水(HEPES 5mmol/L、NaCl 0.9w/v%;以下「HBS」という。)を脂質フィルムに添加して水和させ、撹拌または超音波処理をすることによりリポソームを調製し、これを空リポソームとした。空リポソームは、目的物質を内封せず、その内腔はHBSで満たされている。続いて、空リポソームをミニエクストルーダー(Avanti Polar lipids社)を用いて孔径400nmのポリカーボネート製メンブレンフィルター(Nucleopore社)に通過させて濾過処理することにより、孔径400nm以下の空リポソームを含むHBSを調製した。
既報(特許文献2)に記載の方法に従い、牛型結核菌の細胞壁骨画分(BCG−CWS)を得た。続いて、予備実験として、各300μLのHBS、エタノールおよびペンタンそれぞれにBCG−CWS1mgを入れて攪拌し、外観を確認した。その結果を図2に示す。図2に示すように、HBS中では、BCG−CWSは凝集し、視認できる程大きい粒子を形成した。これに対し、エタノールおよびペンタン中では、BCG−CWSは凝集せずに分散した状態となった。すなわち、BCG−CWSは、有機溶媒中では、凝集せずに分散することが確認された。
本実施例1(1)[1−2]のBCG非極性溶媒溶液300μLに、本実施例1(1)[1−1]の空リポソームを含むHBSを700μLずつ添加し、プローブ型ソニケーターを用いて超音波処理を行うことにより混合して、水中油型エマルション(O/Wエマルション)を調製した。続いて、O/Wエマルションをナスフラスコに移し、エバポレーターを用いてエバポレーションを行い、ペンタン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテルおよびヘキサンを減圧留去することによりリポソームを調製して、これをBCG−CWS内封リポソームとした。続いて、BCG−CWS内封リポソームをミニエクストルーダー(Avanti Polar lipids社)を用いて孔径200nmのポリカーボネート製メンブレンフィルター(Nucleopore社)に通過させて濾過処理した。BCG−CWS内封リポソームを含むHBSの外観を、BCG−CWSを含むHBSと比較して図3に示す。上述した様に、BCG−CWSはHBS中で凝集して視認できる程大きい粒子を形成するのに対して、図3に示すように、BCG−CWS内封リポソームはHBS中で分散した状態であることが確認された。本実施例1(1)[1−1]〜[1−3]のBCG−CWS内封リポソームの調製方法を図4に模式的に示す。
本実施例1(1)[1−1]〜[1−3]に記載の方法によりリポソームを調製し、これを比較用リポソームとした。ただし、BCG非極性溶媒溶液に代えて、モル比がEPC:Chol:STR−R8=70:30:2かつ総脂質濃度23.3mmol/LとなるようにEPC、CholおよびSTR−R8を含み、かつ1mg/300μLとなるようにBCG−CWSを含むペンタンを用い、空リポソームを含むHBSに代えてHBSを用いて行った。
本実施例1(1)[1−1]に記載の方法において、脂質クロロホルム溶液における脂質の割合をEPC:Chol:STR−R8=70:30:2に代えて、EPC:Chol:STR−R8=70:30:0、1、2、3、4および5としてリポソームを調製した。すなわち、R8と結合した脂質を構成脂質として含む量が、他の構成脂質総量に対して0、1、2、3、4および5%である空リポソームを調製し、これらをR8/0〜5%空リポソームとした。次に、本実施例1(1)[1−2]〜[1−3]に記載の方法において、非極性溶媒としてペンタンを、空リポソームに代えてR8/0〜5%空リポソームを、それぞれ用いてリポソームを調製し、これらをR8/0〜5%リポソームとした。
既報(国際公開WO2007/132790号パンフレット)に記載の方法に従い、BCG−CWSを含む脂質膜を有するリポソームを調製し、これをBCG−CWS含有脂質膜リポソームとした。具体的には、まず、EPCおよびCholをモル比がEPC:Chol=7:3の割合でクロロホルムに溶解してEPC/Chol溶液(総脂質濃度10mmol/L)を得た。また、STR−R8を10mmol/Lとなるよう水に溶解してSTR−R8水溶液を得た。また、BCG−CWS1mgをクロロホルム:エタノール=2:1(v:v)のクロロホルム/エタノールに懸濁してBCG−CWS懸濁液を得た。続いて、BCG−CWS懸濁液全量(BCG−CWS量1mg)に、EPC/Chol溶液およびSTR−R8水溶液を100:2(v:v)の割合で混合して、BCG混合脂質液を得た。BCG混合脂質液をエバポレーターに供して減圧乾燥させることにより脂質フィルムを調製した。脂質フィルムに700μLのHBSを添加して水和させた後、ガラスビーズを加えて、65℃で20分間、減圧せずにロータリーエバポレーターを回転させることにより攪拌してBCG−CWS含有脂質膜リポソームを調製した。続いて、孔径1,000nmおよび400nmのメンブレンフィルターに通過させて濾過処理した。本実施例1(4)のBCG−CWS含有脂質膜リポソームの調製方法を図5に模式的に示す。
(1)粒子径、PDI、ゼータ電位およびBCG−CWS内封/含有率
[1−1]測定方法
リポソームの粒子径、PDIおよびゼータ電位は、ZETASIZER Nano ZEN3600(Malvern Instruments社)を用いて、動的光散乱法により粒子径およびPDIを、電気泳動法によりゼータ電位をそれぞれ測定した。
式1;BCG−CWS内封/含有率(%)=100×(リポソーム全量におけるBCG−CWS量/リポソーム調製時に用いたBCG−CWS量)。
すなわち、BCG−CWS内封/含有率は、リポソームを調製する際に用いたBCG−CWSのうち、実際にリポソームに内封またはその脂質膜に含有されたBCG−CWSの割合を示す値である。
実施例1(1)のBCG−CWS内封リポソームおよび実施例1(4)のBCG−CWS含有脂質膜リポソームについて、本実施例2(1)[1−1]に記載の方法により粒子径、PDI、ゼータ電位およびBCG−CWS内封/含有率を測定した。その結果を表2に示す。表2に示すように、PDIおよびゼータ電位は、BCG−CWS内封リポソームと、BCG−CWS含有脂質膜リポソームとで、同等であった。これに対し、粒子径は、BCG−CWS内封リポソームでは、BCG−CWS含有脂質膜リポソームと比較して顕著に小さかった。また、BCG−CWS内封リポソームの粒子径は、ペンタン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテルおよびヘキサンのいずれを用いて調製した場合も180nm以下であった。この結果から、実施例1(1)[1−1]〜[1−3]に示す方法により調製した脂質膜構造体は、濾過滅菌処理が可能な粒子径を有することが示された。また、BCG−CWS内封/含有率は、ペンタンやジイソプロピルエーテルを用いて調製したBCG−CWS内封リポソームの方が、BCG−CWS含有脂質膜リポソームと比較して顕著に大きかった。この結果から、実施例1(1)[1−1]〜[1−3]に示す方法により、脂質膜構造体に目的物質を効率的に内封させることができることが明らかになった。
実施例1(2)の比較用リポソームについて、本実施例2(1)[1−1]に記載の方法により粒子径、PDI、ゼータ電位およびBCG−CWS内封/含有率を測定した。その結果を実施例1(1)のBCG−CWS内封リポソームと比較して表3に示す。表3に示すように、粒子径、PDIおよびゼータ電位は、BCG−CWS内封リポソームと比較用リポソームとで、同等であった。一方、BCG−CWS内封/含有率は、BCG−CWS内封リポソームの方が、比較用リポソームと比較して顕著に大きかった。すなわち、リポソームにBCG−CWSを効率的に内封させるためには、空リポソームを含むHBSとBCG非極性溶媒溶液とを混合する必要があることが明らかになった。この結果から、脂質膜構造体に目的物質を効率的に内封させるためには、目的物質を内封しない脂質膜構造体を含む極性溶媒溶液と目的物質が分散した非極性溶媒溶液とを混合して水中油型エマルションを調製する必要があることが示された。
実施例1(3)のR8/0〜5%リポソームについて、本実施例2(1)[1−1]に記載の方法により粒子径、PDI、ゼータ電位およびBCG−CWS内封/含有率を測定した。その結果を図6に示す。図6に示すように、粒子径は、R8/0〜5%リポソームのいずれもほぼ同等であったが、R8/2%リポソームが特に小さかった。これらの結果から、複数個のアルギニン残基からなるペプチドと結合した脂質の含有量が、他の構成脂質総量に対して1%以上3%未満である場合に、脂質膜構造体の粒子径が特に小さくなることが示された。
実施例1(1)のBCG−CWS内封リポソームを含むHBSを用意した。これを、2%(v/v)タングステン酸水溶液と混合した後、カーボン蒸着した400メッシュのグリッドに滴下した。過剰な水分を除去して風乾させた後、透過型電子顕微鏡JEM−1200EX(日本電子社)を用いて、加速電圧80kVで観察し、CCDカメラ(Olympus Soft Imaging Solutions社)を用いて写真撮影した。なお、BCG−CWSは、透過型電子顕微鏡による観察では、不規則な紐状またはシート状(コントラストがほとんど無く、一様な面状)の構造体として観察される(Y.Uenishiら、Journal of Microbiological Methods、第77巻、第139〜144頁、2009年)。これは、BCG−CWSが、溶媒中で長く伸びた構造や折りたたまれた構造などの不均一な構造をとるためと考えられる。一方、リポソームは均一な小胞構造であるため、同心円状の構造体として観察されると考えられる。
実施例1(1)[1−1]に記載の方法により空リポソームを、実施例1(1)[1−1]〜[1−3]に記載の方法によりBCG−CWS内封リポソームを、それぞれ調製した。ただし、HBSに代えて0.1mmol/Lのカルセインを含むHBSを用いることにより、リポソームの内外に存在するHBSを蛍光染色した。また、空リポソームの濾過処理においてメンブレンフィルターは孔径400nmおよび孔径200nmのものを用い、前者を通過させた空リポソームを大径空リポソーム、後者を通過させた空リポソームを小径空リポソームとした。調製したリポソームの粒子径をZetasizer Nano ZS(Malvern Instruments社)を用いて測定したところ、大径空リポソームは248nm、小径空リポソームは160nm、BCG−CWS内封リポソームは161nmであった。
式2;含有HBS由来蛍光強度(RFI)=蛍光強度A−蛍光強度B。
次に、含有HBS由来蛍光強度の値を総脂質量で除することにより、脂質1nmolあたりの含有HBS由来蛍光強度(RFI/nmol)を求めた。以上の本実施例2(3)の実験を4回行い、RFI/nmolについて、平均値および標準偏差を求めた。また、BCG−CWS内封リポソームのRFI/nmolについて、大径空リポソームおよび小径空リポソームに対して有意差検定(反復測定2元配置分散分析、Tukey−Kramer法)を行った。その結果を図8に示す。
リポソームがTritonX−100により破壊されると、リポソームが含有する極性溶媒によりリポソームの外液が希釈されてカルセインの濃度が低下するため、蛍光強度が低下する。このことに基づき、リポソームが含有する極性溶媒の量を測定した。具体的には、実施例1(1)[1−1]に記載の方法により空リポソームを、実施例1(1)[1−1]〜[1−3]に記載の方法によりBCG−CWS内封リポソームを、それぞれ調製した。リポソームを含むHBS10μLに、970μLのHBSおよび20μLの0.1mmol/Lカルセイン溶液を添加した。これを、500μLずつ2等分して、一方に終濃度0.1%(v/v)となるよう10%(v/v)TritonX−100を5μL添加し、これをB液とした。残りの一方にはHBSを5μL添加し、これをA液とした。A液およびB液のうちおよそ300μLを100kDaのマイクロコン(ミリポア社)に添加し、5000rpm、4℃の条件下で10分間遠心分離を行うことにより限外ろ過を行った。限外ろ過を行っていないサンプルと限外ろ過を行ったサンプルとから、それぞれ100μL分取し、蛍光強度を測定した。
実施例1(1)[1−1]〜[1−3]に記載の方法によりBCG−CWS内封リポソームを調製した。続いて、凍結乾燥を行い、凍結乾燥物を得た。凍結乾燥物の重量を測定した後、1mLのDDWを添加して再懸濁し、これを再懸濁リポソームとした。続いて、43000rpm、4℃の条件下で30分間超遠心分離を行うことにより、再懸濁リポソームと外水層とを分離した後、再懸濁リポソームの湿重量を測定した。また、リン脂質定量キット(和光純薬社)を用いて脂質濃度を測定し、測定結果に基づいて再懸濁リポソームの湿重量の補正を行った。続いて、次式3により、BCG−CWS内封リポソームが含有する水溶液の重量を測定した。
式3;補正後の再懸濁リポソーム湿重量−凍結乾燥物重量。
(1)リポソームの調製
実施例1(1)[1−1]〜[1−3]に記載の方法によりBCG−CWS内封リポソームを調製し、実施例1(4)に記載の方法によりBCG−CWS含有脂質膜リポソームを調製した。ただし、脂質クロロホルム溶液およびBCG混合脂質液に、Nitro−2−1,3−Benzoxadiazol−4−yl(NBD)が結合したDOPE(NBD標識DOPE;Avanti Polar Lipids社)を他の構成脂質総量に対して、モル比1%となるようそれぞれ添加することにより、リポソームの表面をNBDで標識した。
マウス膀胱癌細胞株である、MBT−2細胞(理化学研究所)を2×105個の濃度でプレートに播き、10%仔牛胎児血清(FCS)を添加したRPMI1640培地(FCS添加RPMI培地)を用いて、37℃、5%(v/v)CO2雰囲気下で1日間培養した。培地を除去してリン酸緩衝生理食塩水(PBS)1mLを用いて細胞を洗浄した。続いて、本実施例3(1)のBCG−CWS内封リポソームおよびBCG−CWS含有脂質膜リポソームを、それぞれ総脂質濃度75μmol/Lで含むRPMI1640培地を1mLずつ加えた。これを同条件下で1時間インキュベートすることにより、MBT−2細胞にリポソームを取り込ませた。培地を除去して、20U/mLのヘパリンを含むPBS1mLを用いて洗浄することを2回繰り返した後、FCS添加RPMI培地1mLを用いて1回洗浄した。続いて、FCS添加RPMI培地1mLを加えて、同条件下で45分間インキュベートした。次に、100μmol/LのLysoTracker Red5μLを添加してさらに15分間インキュベートすることにより、MBT−2細胞の酸性コンパートメントを染色した。その後、FCS添加RPMI培地1mLを用いて洗浄することを2回繰り返した後、FCS添加RPMI培地1mLを加えて、共焦点レーザースキャン顕微鏡(LSM510;Carl Zeiss社)を用いてNBD(緑色)およびLysoTracker Red(赤色)の蛍光を観察した。その結果を図9に示す。
MBT−2細胞に、本実施例3(2)に記載の方法により、BCG−CWS内封リポソームを取り込ませた後、細胞を洗浄した。ただし、リポソームを加えた後のインキュベート時間は2時間に代えて1時間とした。続いて、FCS添加RPMI培地1mLを加えて、同条件下で1時間インキュベートし、これをサンプル群とした。また、BCG−CWS内封リポソームを取り込ませていない、同数のMBT−2細胞をコントロール群とした。サンプル群およびコントロール群の細胞におけるNBDの蛍光強度および細胞数を、フローサイトメトリー(FACSCalibur;日本BD社)を用いて測定した。また、サンプル群全体の蛍光強度については、コントロール群全体の蛍光強度に対して有意差検定(独立t検定)を行った。各群全体の蛍光強度を図10左図に、各細胞の蛍光強度と細胞数との関係を図10右図にそれぞれ示す。
(1)移植癌細胞における効果
[1−1]腫瘍体積
8週齢の雌のC3H/HeNマウス(日本エスエルシー社)を、4〜6匹ずつ、A〜Fの6群に分けた。MBT−2細胞を、FCS添加RPMI培地を用いて37℃、5%(v/v)CO2雰囲気下で培養した後、培地を除去して3.5×106個ずつPBSに懸濁して、細胞懸濁液とした。細胞懸濁液と下記のリポソームとをマイクロチューブに入れて混合し、移植液を得た。26G針とツベルクリンシリンジとを用いて、各群のマウスの右腹皮下に移植液を皮下注射することにより、MBT−2細胞を移植した。その後、各群のマウスを25日間飼育した。飼育は、標準的な温度および湿度ならびに明期および暗期のいずれも12時間の条件下で行い、食餌および飲料水は自由摂取させた。移植後14、19、21および25日目に各群から1〜数匹ずつ任意に選択し、ノギスを用いて移植部位における腫瘍の長径および短径を測定した。ここで、腫瘍は、盛り上がった細胞塊として目視で容易に判別可能である。続いて、長径および短径の測定結果を基に、次式4を用いて腫瘍体積を算出した。
式4;腫瘍体積(mm3)=0.52×長径×(短径)2。
また、移植後25日目のC群〜F群の腫瘍体積について、A群およびB群に対して有意差検定(反復測定2元配置分散分析、Dunnett法)を行った。その結果を図11に示す。
A群(5匹);(細胞懸濁液のみ)
B群(5匹);実施例1(1)[1−1]の空リポソーム(脂質量2.56mg)
C群(5匹);実施例1(1)[1−3]のBCG−CWS内封リポソーム(BCG−CWS量0.3mg、脂質量2.56mg)
D群(4匹);実施例1(1)[1−3]のBCG−CWS内封リポソーム(BCG−CWS量0.1mg、脂質量0.85mg)
E群(6匹);実施例1(4)のBCG−CWS含有脂質膜リポソーム(BCG−CWS量0.3mg、脂質量2.56mg)
F群(4匹);実施例1(4)のBCG−CWS含有脂質膜リポソーム(BCG−CWS量0.1mg、脂質量0.85mg)
8週齢の雌のC3H/HeNマウス(日本エスエルシー社)を、10匹ずつ2群に分け、BCG−CWS内封リポソーム投与群および空リポソーム投与群とした。各群のマウスに本実施例4(1)[1−1]に記載の方法によりMBT−2細胞を移植して、およそ60日間飼育し、生存マウスの数を数えた。ただし、移植液において、細胞懸濁液と混合したリポソームは下記の通りとした。また、BCG−CWS内封リポソーム投与群の生存マウスの数について、空リポソーム投与群に対して有意差検定(ログランク検定)を行った。その結果を図12に示す。図12に示すように、BCG−CWS内封リポソーム投与群の生存マウスの数は、空リポソーム投与群と比較して、有意に大きかった。すなわち、MBT−2細胞を移植するとともにBCG−CWS内封リポソームを投与すると、生存率が上昇することが明らかになった。
BCG−CWS内封リポソーム投与群;実施例1(1)[1−3]のBCG−CWS内封リポソーム(BCG−CWS量0.3mg、脂質量2.56mg)
空リポソーム投与群;実施例1(1)[1−1]の空リポソーム(脂質量2.56mg)
1.0×106個の細胞につき、実施例1(1)[1−3]のBCG−CWS内封リポソーム(BCG−CWS量0.1mg、脂質量0.85mg)を添加したFCS添加RPMI培地を用いて、37℃、5%(v/v)CO2雰囲気下で、MBT−2細胞を1時間培養した。その後、20U/mLのヘパリンを含むPBSを用いて細胞を洗浄することにより、細胞に取り込まれていないリポソームを除去した。この処理により、BCG−CWS内封リポソームを取り込ませたMBT−2細胞を得て、これをlipo取り込み細胞とした。
マウスb;MBT−2細胞と実施例1(1)[1−3]のBCG−CWS内封リポソーム(BCG−CWS量0.1mg、脂質量0.85mg)を混合した移植液を皮下注射。
マウスc;lipo取り込み細胞を含む細胞懸濁液を皮下注射。
マウスd;MBT−2細胞を含む細胞懸濁液と実施例1(1)[1−3]のBCG−CWS内封リポソーム(BCG−CWS量0.1mg、脂質量0.85mg)を含むPBSを、互いに離れた部位に皮下注射。
6週齢の雄のF344/DuCrlCrljラット(日本チャールズリバー社)54匹を用意した。これらのラットを、発癌物質であるN−butyl−N−(4−hydroxybutyl)nitrosamineを0.05%含む飲料水および発癌促進物質であるアスコルビン酸ナトリウムを5%含む飼料を自由摂取させながら8週間飼育することにより膀胱癌を誘発して、膀胱癌モデルラットを作製した。膀胱癌モデルラットを9匹ずつG〜Lの6群に分け、下記のリポソームを含むリン酸緩衝液を、1週間ごとに計8回、膀胱内に投与しながら飼育した。膀胱内投与は、エーテルによる軽麻酔下でラットを仰臥位にし、圧迫により排尿させた後、24G×3/4インチの留置針を装着した外套カテーテルを外尿道口より挿入し、これを用いて投与することにより行った。また、リポソーム投与中の飼育期間は、通常の食餌および飲料水を自由摂取させ、標準的な温度および湿度ならびに明期および暗期のいずれも12時間の条件下で飼育した。
G群;(何も投与しない)
H群;実施例1(1)[1−1]の空リポソーム〈脂質量(BCG−CWS量換算)0.1mg/1mL×ラット個体の体重(kg)〉
I群;実施例1(1)[1−3]のBCG−CWS内封リポソーム〈BCG−CWS量0.1mg/1mL×ラット個体の体重(kg)〉
J群;実施例1(1)[1−3]のBCG−CWS内封リポソーム〈BCG−CWS量0.03mg/1mL×ラット個体の体重(kg)〉
K群;実施例1(4)のBCG−CWS含有脂質膜リポソーム〈BCG−CWS量0.1mg/1mL×ラット個体の体重(kg)〉
L群;実施例1(4)のBCG−CWS含有脂質膜リポソーム〈BCG−CWS量0.03mg/1mL×ラット個体の体重(kg)〉
(1)ナイーブCD4陽性T細胞の単離
4名の健康な被験者から血液を採取し、Ficol−Paque(Pharmacia Upjohn社)を用いて末梢血単核球を単離した。続いて、FITC標識抗CD8/CD45RO抗体を反応させることにより、ナイーブCD4陽性T細胞をFITC標識した。次に、抗FITCマグネティックビーズ(Miltenyi Biotec社)およびAuto−MACSセルソーター(Miltenyi Biotec社)を用いてFITC標識した細胞を単離し、ナイーブCD4陽性T細胞を得た。
本実施例5(1)のナイーブCD4陽性T細胞の培地に、PBSに懸濁した牛型結核菌の細胞壁画分(BCG−CW)、実施例1(1)[1−1]の空リポソームおよび実施例1(1)[1−3]のBCG−CWS内封リポソームを添加し、それぞれポジティブコントロール群、ネガティブコントロール群および試験群とした。添加量は、BCG−CWまたはBCG−CWSの量で、終濃度が1、3、10および30μg/mLとした。また、何も添加しないナイーブCD4陽性T細胞を基準群とした。続いて、これらの細胞群を、Th1細胞またはTh2細胞の分化誘導用培地を用いて、37℃のCO2インキュベーター内で1週間培養した。この1週間の培養期間のうち、始めの2日間は20μg/mLのanti−CD3抗体を各培地に添加して培養し、残りの5日間はanti−CD3抗体を添加しない培地で培養した。Th1細胞の分化誘導用培地としては、50U/mLのIL−2(Shionogi&Co社)、1ng/mLのIL−12(R6D systems社)および5μg/mLのanti−IL−4抗体(BD Bioscience社)を含む10%血清入RPMI1640培地を、Th2細胞の分化誘導用培地としては、50U/mLのIL−2(Shionogi&Co社)、1ng/mLのIL−4(R&D systems社)および5μg/mLのanti−IFN−γ抗体(BD Bioscience社)を含む10%血清入RPMI1640培地を、それぞれ用いた。その後、抗IFN−γ抗体および抗IL−4抗体を反応させ、IFN−γおよびIL−4を産生する細胞を、フローサイトメトリー(FACSCalibur;日本BD社)により検出した。4名の被験者のうち、任意に選択した1名の結果を図17に示す。
Claims (8)
- 構成脂質として、2〜20個のアルギニン残基からなるペプチドと結合した脂質を、構成脂質総量に対して0%超5%以下のモル比で含み、かつミコバクテリウム属細菌、ノカルジア属細菌、コリネバクテリウム属細菌およびロドコッカス属細菌からなる群から選択される1または2以上の細菌の細胞壁骨画分(CWS;cell−wall skeleton)を内封する脂質膜構造体。
- 細菌が牛型結核菌(BCG;Mycobacterium Bovis bacillus Calmette−Guerin)である、請求項1に記載の脂質膜構造体。
- 請求項1または請求項2に記載の脂質膜構造体を含有する免疫賦活剤。
- 請求項1または請求項2に記載の脂質膜構造体を含有する癌の治療剤および/または進行抑制剤。
- 癌が膀胱癌である、請求項4に記載の癌の治療剤および/または進行抑制剤。
- 細菌菌体成分を内封する脂質膜構造体を製造する方法であって、下記(i)〜(iv)の工程を有する前記方法;
(i)構成脂質として、2〜20個のアルギニン残基からなるペプチドと結合した脂質を、構成脂質総量に対してモル比で0%超5%以下含み、かつ、細菌菌体成分を内封しない脂質膜構造体を含む極性溶媒溶液を調製する工程、
(ii)細菌菌体成分が分散した非極性溶媒溶液を調製する工程、
(iii)前記細菌菌体成分を内封しない脂質膜構造体を含む極性溶媒溶液と前記細菌菌体成分が分散した非極性溶媒溶液とを混合して水中油型エマルションを調製する工程、
(iv)前記水中油型エマルションから非極性溶媒を減圧留去する工程。 - 細菌菌体成分がミコバクテリウム属細菌、ノカルジア属細菌、コリネバクテリウム属細菌およびロドコッカス属細菌からなる群から選択される1または2以上の細胞壁画分(CW;cell−wall)または細胞壁骨画分(CWS;cell−wall skeleton)である、請求項6に記載の方法。
- ミコバクテリウム属細菌が牛型結核菌(BCG;Mycobacterium Bovis bacillus Calmette−Guerin)である、請求項7に記載の方法。
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