JP6283911B2 - ワイプ装置、インクジェット装置、および、ワイプ方法 - Google Patents

ワイプ装置、インクジェット装置、および、ワイプ方法 Download PDF

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Description

本発明は、インクジェットヘッドのワイプ装置、インクジェット装置、および、ワイプ方法に関する。
近年、電子デバイスの製造において、インクジェットヘッドを用いて機能材料を含んだインクを塗布する方法が広く採用されている。インクジェットヘッドは、ノズルプレートに設けられた微細なノズル孔を通して、インクを被印刷材料に対して吐出させる。
このようなインクジェットヘッドでは、吐出されたインクの一部または外気中のゴミなどの異物が、ノズルプレートのノズル面に付着することがあった。ノズルプレートに異物が付着すると、適切なインクの吐出が阻害され、高い精度でインクの塗布ができなくなる。
そこで、インクジェットヘッドを有する印刷装置は、通常、ノズルプレートに付着した異物を除去するためのワイプ装置を備える。ワイプ装置としては、ノズルプレートのノズル面にガス流を噴射して異物を除去する方式を採用したものが知られている。
ガス流により異物を除去するワイプ装置では、ノズルプレートに斜めにガスを噴射した場合、ノズル孔の内部までガスが吹き付けられて、ノズル孔内のインクの乾燥、ひいては、ノズル詰まりが発生するという課題が生じる。
そこで、ノズル詰まりを発生させずに異物を除去できるよう、ノズルプレートに平行にガスを噴射させる幾つかの構成が提案されている。しかしながら、ノズルプレートの下方でガスを平行に噴射および吸引する構成では、ノズルプレートに近い位置ほどガスの流速が低下してしまい、異物を安定的に吹き飛ばせるガス流が得られ難いという課題が生じる。また、ワイプ装置の一部をノズルプレートに接触させて、ノズルプレートのノズル面とワイプ装置の一面との間隙部をガスの流路とすることで、ノズルプレートに平行に且つノズルプレートの直下で高い流速のガスを発生させる構成が検討できる。しかし、この構成では、接触によりノズルプレートの撥水膜を摩耗させてしまうという課題が生じる。
そこで、従来、これらの課題を解決する構成として、コアンダ効果を利用して曲面に沿ってガスを誘導することにより、ノズルプレートに非接触で、且つ、ノズルプレートに対して平行で安定したガス流を形成するワイプ装置が提案されている(例えば特許文献1参照)。「コアンダ効果」とは、粘性を有する流体の中に物体を置いたときにその物体に沿って流体の向きが変わる現象を意味する。
図1は、特許文献1に開示されたワイプ装置210の分解斜視図であり、図2は、図1のワイプ装置がノズルプレート11をワイプしている状態を示した説明図である。図2は、図1の一点鎖線A0に沿った断面を示している。
図2に示されるように、コアンダ効果を利用するワイプ装置では、ガス噴射孔430から噴射されたガスは、ガイド部410の凸状の曲面に沿って、ノズルプレート11に対して平行でかつ安定したガス流が形成される。これにより、ノズルプレート11に付着した異物やインク滴15は吹き飛ばされ、ガス吸引孔450に吸引される。また、コアンダ効果を利用したワイプ装置では、ノズルプレート11に対して斜めにガスが吹き付けられないので、ガスがノズル孔の内部に向かわずに、ノズル孔が詰まらない。また、このワイプ装置はノズルプレート11に接触することがないことから、ノズルプレート11の表面の撥水膜が磨耗することもない。
特開2011−88133号公報
しかしながら、図1に示すようなコアンダ効果を利用した従来のワイプ装置には、次の課題がある。図3は、図1のワイプ装置の各構成部(ガス噴射孔430、ガイド部410、ガス吸引孔450)とノズルプレートとの配置関係を平面的に示した図である。図3において、符号T0は、ガイド部410の曲面においてノズルプレート11に最も近くなる線分(以下では頂線T0と呼ぶ)を表わしている。
図3に示されるように、コアンダ効果を利用した従来のワイプ装置では、ガス噴射孔430およびガス吸引孔450は、頂線T0に沿ったスリット状となり、頂線T0を挟んで互いに平行に配置される。すなわち、スリット状のガス噴射孔430およびガス吸引孔450の長手方向がノズルプレート11の長辺に直交する方向を向く。このため、ノズルプレート11に付着した異物を吹き飛ばすガス流は、ノズルプレート11の長辺に平行な方向を向く。
このような構成では、例えばノズルプレート11の長辺側のエッジ、或いは、長辺方向に形成されるノズルプレート11の繋ぎ目など、長辺に沿ったノズルプレート11の段差又は隙間に付着した異物を除去することが困難になる。なぜなら、このような異物に図3のガス流が吹き付けられた場合、異物は、表面張力により段差又は隙間に沿って移動することでガス流の力を受け流し、ノズルプレート11から脱離されることを回避してしまうからである。
これに対し、ノズルプレート11の長辺に沿った段差又は隙間の異物に対応させて、ガスの流速を高くすることで、これらの異物を除去することが可能となる。しかしながら、ノズルプレート11の長辺に沿った段差又は隙間にガスの流速を合わせた場合、ノズル孔13の近傍ではガスの流速が必要以上に高くなり、ノズル孔13内の乾燥という別の課題が生じてくる。
本発明の目的は、ノズル面に非接触で、且つ、ノズル面に対して平行で安定したガス流を形成できるワイプ装置およびワイプ方法において、ノズル面のエッジ、エッジの辺に沿った段差又は隙間に付着した異物も確実に除去できるようにすることである。
本発明の一態様に係るワイプ装置は、断面がU字形状の柱状体であるガイド部と、前記ガイド部の前記U字形状の頂点を境にして、一方側に位置し、前記U字形状に沿って、前記頂点へガスを噴射するガス噴射孔と、前記ガイド部の前記U字形状の頂点を境にして、他方側に位置し、前記U字形状に沿って、前記頂点から前記ガスを吸引するガス吸引孔と、を含み、前記U字形状の前記頂点を結んだ特定線が、曲線部を含み、前記特定線の両端部分が、ハの字となっていて、前記ガス吸引孔の開口面積は、前記ガス噴射孔の開口面積よりも小さい構成を採る。
本発明の一態様に係るワイプ方法は、上記のワイプ装置を用いてインクジェットヘッドのノズル面を清掃するワイプ方法であって、前記ガイド部の前記頂点と前記ノズル面とが対向するように、前記ワイプ部および前記インクジェットヘッドを配置するステップと、前記ガス噴射孔からガスを噴射させ、前記ガイド部の前記頂点と前記ノズル面との間に一定間隔を保ちながら、前記ワイプ部を前記ノズル面に対して相対移動させ、前記U字形状に沿って誘導されたガス流で、前記ノズル面に付着した異物を除去するステップと、を含むものである。
本発明によれば、ノズル面に非接触で、且つ、ノズル面に対して平行で安定したガス流を発生することができ、さらに、ノズル面のエッジまたはエッジに沿った段差或いは隙間に付着した異物も容易に除去することができる。
従来のワイプ装置の一例を示す分解斜視図 図1の従来のワイプ装置におけるワイプ動作を説明する模式図 図1のワイプ装置の各構成部とノズルプレートとの配置関係を平面的に示した図 本発明の実施の形態1のインクジェット装置を示すブロック図 本発明の実施の形態1のワイプ部を示す分解斜視図 実施の形態1のワイプ部がノズルプレートをワイプしている状態を説明する模式図 実施の形態1のワイプ部の各構成部とノズルプレートとの配置関係を平面的に示した図 実施の形態1に係るワイプ部の口部における特定線の変形例を示した図 実施の形態1におけるノズルプレートが複数ある場合の変形例を示す図 実施の形態1に係るワイプ部の口部の変形例を示した図 複数のワイプ部を組み合わせる場合の変形例を示した図 実施の形態1のワイプ装置を用いたワイプ処理の手順を示す説明図 実施の形態2のワイプ装置を示す模式図 図13の拡散板の作用を説明する模式図
以下、本発明の各実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
(実施の形態1)
図4は、本発明の実施の形態1のインクジェット装置1を示すブロック図である。
実施の形態1のインクジェット装置1は、ワイプ装置2と、インクジェットヘッド10と、搬送ステージ3aに載せられた被印刷物とインクジェットヘッド10とを相対移動させるワーク搬送装置3とを備える。
実施の形態1のワイプ装置2は、ワイプ部100と、ワイプ部100をインクジェットヘッド10に対して相対的に移動させる搬送装置4と、ワイプ部100に対してガスの供給および吸引を行う周辺装置5とを備える。
図5は、本発明の実施の形態1のワイプ部100を示す分解斜視図である。図6は、実施の形態1のワイプ部100がインクジェットヘッド10をワイプしている状態を説明する模式図である。図6は、図5の一点鎖線Aに沿った断面を表わしている。一点鎖線Aは、ワイプ部100をノズル面に垂直に、且つ、ワイプ部100の左右中央で分断する線である。
図5に示されるように、ワイプ部100は、曲面111を有するガイド部110と、ガス噴射孔130と、ガス吸引孔150とを有する。
ガイド110は、断面がU字形状の柱状体である。ガイド部110のU字形状の頂点を境にして、一方側にU字形状に沿って、頂点へガスを噴射するガス噴射孔130が位置する。ガイド110のU字形状の頂点を境にして、他方側にU字形状に沿って、頂点からガスを吸引するガス吸引孔150が位置する。
U字形状の頂点を結んだ線を特定の線Tとする。特定の線Tは、曲線部を含み、両端部分が、ハの字状(truncated V-shape)となっている。
ガイド部110の曲面111は、特定の線に沿って隆起部が続く曲面形状である。曲面111は、ガス噴射孔130とガス吸引孔150との間に配置され、コアンダ効果によりガス噴射孔130からガス吸引孔150へガスを誘導する。曲面111のガスを誘導する部分は、外部に露出し、ノズルプレート11に対向配置される。
曲面111は、図5の特定線Tを有する曲面である。特定線Tは、ノズル面11aに近い側を上方としたときに、曲面の隆起部の上端点の集合である線である。言い換えれば、特定線Tは、隆起に沿った線で且つノズル面11aに最も近い曲面111上の線、ノズルプレート11に近い側を上方としたときの曲面111の分水界、或いは、ノズルプレート11に近い側を上方としたときの曲面111上の尖りのない稜線と表わすこともできる。
ガス噴射孔130は、特定線Tに沿って延在するスリット状の孔である。ガス噴射孔130と特定線Tとは、長手方向の一端から他端に掛けてほぼ等しい間隔を開けて配置されている。図5では、ガス噴射孔130は、ガイド部110と、ガイド部110の片側を覆う部材との間隙として形成されているが、図8(A)に示すように、ガス噴射孔130はガイド部110と独立した構成としてもよい。
ガス吸引孔150は、特定線Tに沿って延在するスリット状の孔であり、特定線Tを挟んでガス噴射孔130の反対側に配置されている。ガス吸引孔150と特定線Tとは、長手方向の一端から他端に掛けてほぼ等しい間隔を開けて配置されている。図5では、ガス吸引孔150は、ガイド部110と、ガイド部110の片側を覆う部材との間隙として形成されているが、図8(A)に示すように、ガス吸引孔150はガイド部110と独立した構成としてもよい。
特に制限されないが、図5のワイプ部100は、ブロック内に、ガス噴射孔130、ガス吸引孔150、およびガイド部110が一体的に形成された構成をしている。そして、ワイプ部100は、ブロックの一面に開口部312を有し、開口部312にガス噴射孔130の開口、ガス吸引孔150の開口、およびガイド部110の特定線Tの周辺が露出されている。
[曲面の特定線とノズルプレート11のエッジとの関係]
図7は、実施の形態1のワイプ部の口部300とノズルプレート11との配置関係を平面的に示した図である。ここで、口部300は、複数の構成部(ガス噴射孔130、ガス吸引孔150、曲面111のガスを誘導する部分)を含む。
曲面111の特定線Tは、ノズルプレート11のノズル面11aにほぼ平行で、且つ、ノズル面11aと垂直な方向に見て、図7に示すように、ノズルプレート11の長辺方向の中央軸に対して対称な放物線状の曲線である。
このような特定線Tの形状により、曲面111の特定線Tは、ノズル面11aに垂直に見て、ノズルプレート11の長辺側のエッジUと、傾いた角度φ(図7参照)で交わる。
角度φは、エッジUに直角な方向から5度以上傾いた角度であることが好ましい。このような角度φにすることで、長辺側のエッジUに付着した異物に対して、エッジUに沿った方向に対して斜めにガス流が当たって、異物を除去しやすくできる。
この時、特定線Tの両端部分をハの字とした場合に、両端部分の接線を結んだ部位の頂角度(図7の角度2φ)は、170度以下となる。
さらに好ましくは、特定線Tとノズルプレート11のエッジUとの角度φは、ガス流がノズル面11aの外側から内側に向くように、90度未満の鋭角になるようにするとよい。ここで、角度φは、図7に示すように、エッジUと特定線Tとの交点を基準にして、エッジUのガス吸引孔150側の線分と、特定線Tのノズル面11aより外側に出た線分とのなす角度である。
このような角度φとすることで、ガスは、エッジUにおいてノズル面11aの外側から内側に斜めに吹き付けられる。ノズルプレート11のノズル面11aには撥水加工がなされているため、異物はノズルプレート11の側面よりもノズル面11aの方が脱離しやすい。このため、上記のガス流により、エッジUに付着した異物は、ノズル面11aの内側へ移動する力が掛けられて、確実に除去される。
つまり、最も好ましい角度φは85度未満である。角度φが85度〜90度では、ノズルプレート11の端部から中央に向かう方向の流速成分が少なくなるため、ノズルプレート端部に付着したインク液滴などの異物を除去できない恐れがある。
なお、特定線T(曲面111)の形状は、図7に示した形状に限定されず、様々な形状であってよい。図8は、実施の形態1に係るワイプ部の口部300における特定線Tの変形例を示した図である。
特定線T(曲面111)の形状は、図8(A)に示すようなV字形状であってもよいし、図8(B)に示すようなU字形状であってもよい。あるいは、図8(C)に示すように、中央と両端に直線部を有し、両端の直線部が中央の直線部に対して折れ曲がった形状であってもよい。
なお、図8(A)、図8(C)において、直線部の全て又は一部が曲線であってもよい。直線部の一部が曲線である場合、特定線Tは、曲線と直線とが混合した線となる。
また、ノズル面11aと垂直な方向に見て、特定線Tは、ノズルプレート11の長辺方向の中央軸に対して非対称な形状であってもよい。また、特定線Tは、ノズル面11aと完全に平行でなく、ノズル面11aからの距離が所々で異なってもよい。
また、図9は、実施の形態1において、ノズルプレート11が複数ある場合の変形例を示す図である。図9では、ワイプ部の口部300とノズルプレート11との配置関係を平面的に示している。
この変形例では、複数のノズルプレート11が、斜めに配置されている。この場合、ワイプ部の口部300は、複数のノズルプレート11の中心を結ぶ線に沿って移動する。そして、複数のノズルプレート11の端部を結ぶ線(図9の点線)が、図7に示したエッジUに対応するエッジU´となる。これにより、複数のノズルプレートを一方向の移動によって効率的に清掃することができる。
また、図10は、実施の形態1に係るワイプ部の口部300の変形例を示した図である。図7に示したワイプ部の口部300と異なり、図10に示すワイプ部の口部300では、ガス吸引孔150の開口長さが、ガス噴射孔130の開口長さよりも短くなっている。
その結果、ガス吸引孔150の開口面積が、ガス噴射孔130の開口面積より小さくなる。例えば、ガス吸引孔150は、ガス噴射孔130よりも半径が小さい扇方形状の孔である。
ここで、好ましくは、図10の点線に示すように、ガス吸引孔150およびガス噴射孔130の同じ側にある端点を結ぶ2つの直線と特定線Tとが、1つの扇形を形成するようにガス吸引孔150が形成される。
この場合、ガス吸引孔150とガス噴射孔130が作る開口面積の大きさの差異により、気圧の差が生じ、ノズルプレート11の内側にガスがより引かれやすくなる。その結果、エッジUの部分をより清掃しやすくなる。特に、エッジUの部分において、この効果が大きい。
また、図11は、複数のワイプ部を組み合わせる場合の変形例を示した図である。特に、この構成は、ノズルプレート11が大きい場合に有効な構成である。
ここで、図11に示すように、エッジUの部分を清掃する口部300は、湾曲しているとよい。また、他の口部300は、真っ直ぐであってよい。
図7、図8で説明した口部300も、複数のワイプ部を組み合わせて形成することとしてもよい。これにより、より大きなノズルプレートの清掃を効率よく行うことが可能となる。
[曲面の曲率およびガス入射角度]
図6に示すように、ガイド部110の曲面111は、ガスの流れに沿った断面で見た場合に、曲率半径112が5mm〜200mmの範囲に含まれるように構成されている。また、曲面111のガス噴射孔130のガスが最初に当たる点と、ガス吸引孔150にガスが吸引される点とを結ぶ弦113の長さは、5mm〜60mmに含まれる。
なお、曲面111の曲率半径112は、一定であってもよいし、上記の範囲でなだらかに変化しても良い。例えば、曲面111のうち、特定線Tよりもガス噴射孔130側の領域の曲率半径が、ガス吸引孔150側の曲率半径以下であっても良く、この構成でも、曲面111はコアンダ効果によってガスを誘導することができる。
また、ガス噴射孔130の短手方向の幅131、およびガス吸引孔150の短手方向の幅151は、0.2mm〜3.0mmに含まれる。
また、コアンダ効果を生じさせるために、ガス噴射孔130は、噴射されたガスの曲面111に対する入射角度θ(=180℃−θ1、図6を参照)が、30度〜90度になるように調整される。ここで、「ガスの入射角度θ」とは、ガス噴射孔130から噴射されたガスが曲面111上に最初に当たる点における曲面111の外向き法線と、ガスが噴射される方向とがなす角度を意味する。
さらに、コアンダ効果を生じさせるために、ガス吸引孔150は、吸引されるガスの曲面111に対する吸引角度θ(180℃−θ2、図6を参照)が、30度〜90度になるように調整される。ここで、「ガスの吸引角度θ」とは、ガス吸引孔150へ吸引されるガスが最後に曲面111から脱離する点における曲面111の外向き法線と、ガスが吸引される方向とがなす角度を意味する。
ガスの入射角度θが90度より大きくなると、曲面111に沿ったガスの流れの成分が弱くなり、曲面に沿ってガスが効率良く流れなくなる。なお、ガス噴射孔130側の入射角度θとガス吸引孔150側の吸引角度θは、必ずしも同一である必要はない。
また、ガスの入射角度θが30度未満となると、曲面111の曲率半径を小さくする必要があり、曲率半径が小さくなると、曲面111に沿ってガスが誘導されにくくなる。
ガスの入射角度θを30度〜90度とすることで、コアンダ効果を安定的に生じさせて、曲面111に沿ってガスを安定的に誘導することができる。
[ワイプ処理]
次に、実施の形態1のワイプ装置を用いたノズルプレート11のワイプ方法について説明する。
図12(A)〜図12(C)は、実施の形態1のワイプ装置を用いたノズルプレート11のワイプ処理の工程をそれぞれ示す説明図である。
本実施の形態のワイプ方法は、先ず、図12(A)に示すように、曲面111とノズルプレート11とが対向するように、ワイプ部100の上にインクジェットヘッド10を配置する第1ステップを有する。
第1ステップでは、ワイプ部100の曲面111と、インクジェットヘッド10のノズルプレート11とが対向するように、ワイプ部100の上にインクジェットヘッド10を配置する。曲面111と、ノズルプレート11とは離間し、両者の間には、間隔D1が形成される。ノズルプレート11には、異物として例えばインク滴15が付着している。
なお、図12(A)では、ワイプ部100が、ノズルプレート11に対して重力方向下方に配置された例を示したが、ワイプ部100は、ノズルプレート11に対して重力方向上方に配置されていてもよい。上述したコアンダ効果は、重力の影響よりも強いからである。
本実施の形態のワイプ方法は、図12(B)、図12(C)に示すように、ガス噴射孔130からガスを噴射させ、曲面111とノズルプレート11との間に一定間隔D1を保ちながら、ワイプ部100をノズルプレート11に対して相対移動させる第2ステップを有する。上述した第1ステップの後に第2ステップの動作が行われる。
第2ステップにおいて、ワイプ部100は、搬送装置4(図4参照)によりノズルプレート11に対して相対移動する。この相対移動は、ワイプ部100を固定してインクジェットヘッド10(ノズルプレート11)を移動させて実現しても良いし、ワイプ部100を移動させて実現しても良い。また、上記相対移動は、ワイプ部100およびインクジェットヘッド10の両方を移動させて実現しても良い。
図12(B)および図12(C)に示されるように、ガス噴射孔130から噴射されたガスは、曲面111の一方の端部E1から曲面111の特定線Tの在る側に向けて吹きつけられ、コアンダ効果によって曲面111に沿って誘導された後、ガス吸引孔150に吸引される。
曲面111と、ノズルプレート11との間隔D1は、曲面111に沿ったガス流が、ノズルプレート11に到達するように設定される。間隔D1は、具体的には約0.2mm〜1.5mmにすると良い。間隔D1が、0.2mm未満であると、ワイプ装置の相対移動中に、曲面とノズルプレートとが接触してしまう恐れがある。一方、間隔D1が1.5mm超であると、ガス流とノズルプレート11とが離れてしまい、インク滴15を吹き飛ばすことが出来なくなる。
第2ステップにおいて、ノズルプレート11の長辺のエッジU(図7を参照)と、曲面111の特定線Tとは、ノズル面11aに垂直な方向からみて、角度φで斜めに交差するように設定されている。これにより、ノズルプレート11の長辺のエッジUには、ノズルプレート11の長辺の外から内に向かう方向のガス流が生じる。そして、このガス流により、エッジUに付着した異物が確実に吹き飛ばされて、ガス吸引孔150に吸引される。
ここで、図1〜図3の従来例と本実施の形態1との比較を行う。図1〜図3のように、単なる円柱状のガイド部110を有する従来のワイプ装置では、ノズルプレート11の長辺のエッジに付着した異物には、長辺に沿ったガス流が吹き付けられる。エッジに付着した異物は表面張力の影響を強く受けるため、ノズルプレート11中央部と比べて排除することが難しい。このため、従来のワイプ装置では、エッジに付着した異物は、エッジに沿って移動するだけで、ノズルプレート11から除去されにくい。
これに対し、実施の形態1におけるノズルプレート11に吹き付けられるガス流は、ノズルプレート11の端部から中央に向かう方向の流速成分を有する。このため、ノズルプレート11のエッジUに付着した異物にはノズル面11aの中央へ向かう力が掛かる。ノズル面11aは、撥水加工がされているため、異物がノズル面11aの中央に向かって少し移動するだけで、異物はノズル面11aから離脱して除去される。
第2ステップにおいて、曲面111に沿って流れるガス流は、ガス流がノズルプレート11に到達する領域において、ノズルプレート11と平行な流れとなる。このため、従来のコアンダ効果を利用したワイプ装置(図1〜図3)と同様に、ノズル孔13の内部にガスが向かうことがなく、ノズル孔13は乾燥し難い。
また、ノズルプレート11に到達するガス流の流速は、ガス噴射孔130から噴射されるガスの流速および、ガス吸引孔150から吸引されるガスの流速によって制御される。
このため、本実施の形態におけるノズルプレート11に到達するガス流の流速は、ノズルプレート11の形状による影響を受けない。したがって、ノズルプレート11の端部や、ノズルプレート11の繋ぎ目などで、ガスの流速が落ちることはない。これにより、インクジェット装置が複数のインクジェットヘッドからなる大型ヘッドを有する場合であっても、ノズルプレート11全域を確実にワイプすることができる。
ガス噴射孔130から噴射されるガスの流速は、15m/sec以上であるとよい。この流速により、ノズルプレート11に付着した異物を確実に除去することができる。
(実施の形態2)
図13は、実施の形態2のワイプ部200の断面を示す模式図である。実施の形態1のワイプ部100と同一の構成要素については同一の符号を付与し、説明を省略する。
図13に示されるように、本実施の形態のワイプ部200は、ガス噴射孔130内部に配置された拡散板501と、ガス吸引孔150の内部に配置された拡散板503とを有する。拡散板501,503は、ガス流路の一断面の全体に渡るように配置される。
拡散板501、503は、多数の直径3〜10mmの穴を有する。拡散板501、503が有する穴は、拡散板501、503全体に亘って均一に分布していてもよいが、不均一に分布していてもよい。
具体的には、拡散板501、503の中央部(ガス供給口315の近傍、ガス排気口317の近傍など)における穴の配置ピッチは、拡散板501、503の端部(ハウジング310の近傍)における穴の配置ピッチよりも小さくしてもよい。
また、拡散板501、503の穴の形状は、上記中央部に比べて、上記端部の方が圧力損失の小さい形状としてもよい。拡散板501、503の穴は、上記中央部に比べて上記端部の方が、開口幅を大きく、あるいは、穴の奥行の長さを短くすることで、上記端部の圧力損失を小さくできる。
これらにより、ガス噴射孔130およびガス吸引孔150におけるガス流速分布をより均一化することができる。その他、ガス供給口315およびガス排気口317に面内の各点でろ過精度の異なるフィルタを配置しても良い。
図14は、拡散板501の作用を示す説明図である。図14に示されるように、ガスは、ガス供給口315からガス噴射孔130にかけて不均一に供給される。しかし、実施の形態2のワイプ装置によれば、拡散板501によって、ガス噴射孔130内のガス流の流速分布を均一にすることができる。これにより、ワイプ部200のガイド部110に誘導されるガス流は、特定線T(図7を参照)の一端から他端にかけてより均一になる。よって、ノズルプレート11の異物の除去をより安定的に行うことができる。
以上、本発明の各実施の形態について説明した。
なお、上記実施の形態で示したガスとしては、空気や窒素、インクジェットヘッドに収容されたインクの溶媒蒸気などを適用することができる。噴射するガスをインクの溶媒蒸気とすることで、ノズル孔13内のインクが乾燥することを、より防止することができる。
また、ガイド部110の曲面111は、ガスの流れに沿った断面で、特定線Tに関してガス噴射側とガス吸引側とが対称的な形状であってもよいし、非対称な形状であってもよい。
[本開示の概要]
以下、本開示の概要を、図5〜図13を参照しながら説明する。各部に対応する実施の形態の構成要素の符号を括弧内に示す。
1.本開示のワイプ装置
本開示1のワイプ装置は、ノズル面(11a)に沿って相対移動するワイプ部(100)を有するワイプ装置であって、前記ワイプ部(100)は、特定線(T)に沿って隆起部が続く形状の曲面(111)を有し、前記隆起部が前記ノズル面に対向した状態で配置されるガイド部(110)と、前記曲面にガスを噴射するガス噴射孔(130)と、前記ガス噴射孔から噴射されて前記曲面に沿って誘導されたガスを吸引するガス吸引孔(150)と、を具備し、前記隆起部の上端点の集合である前記曲面上の前記特定線(T)が、前記ノズル面と垂直な方向から見て、前記ノズル面のエッジ(U)に対して傾きを有する角度(φ)で交差する、構成を採る。
このような構成により、ガス流はノズル面のエッジに対して斜めに吹き付けられることとなり、エッジに付着した異物を容易に除去することができる。
本開示2のワイプ装置は、さらに、前記交差する角度(φ)は、前記エッジに直角な方向から5度以上傾いた角度である構成を採る。
この構成によれば、ノズル面のエッジに確実に斜めのガス流を吹き付けることができる。
本開示3のワイプ装置は、さらに、前記交差する角度(φ)は、前記エッジに垂直な方向から5度以上傾いた角度であり、且つ、前記特定線(T)をまたいで通過するガスの流れが前記ノズル面の外から内へ向くように傾いた角度である構成を採る。
この構成によれば、ノズル面のエッジに吹き付けられるガス流には、ノズル面の外から内へ向かう成分が含まれ、より確実にエッジに付着した異物を除去することができる。
本開示4のワイプ装置は、さらに、前記特定線(T)は、前記ノズル面に垂直な方向から見て、曲線、折れ曲がりを有する直線、又は曲線と直線とが混合した線である構成を採る。
この構成によれば、ノズル面の対向する2つのエッジに対して、互いに対称的な向きのガス流を吹き付けることができる。また、ノズル面の各部に所望の向きのガス流が吹き付けられる構成も実現できる。
本開示5のワイプ装置は、さらに、ガス吸引孔(150)の開口面積は、ガス噴射孔(130)の開口面積よりも小さい構成を採る。
この構成によれば、特にエッジの部分において、ガス吸引孔とガス噴射孔が作る空間により、ノズルプレートの内側にガスがより引かれやすくなる。その結果、エッジの部分をより清掃しやすくなる。
本開示6のワイプ装置は、さらに、前記曲面(111)の曲率半径は、5mm〜200mmである構成を採る。
この構成によれば、より確実にコアンダ効果によりガイド部の曲面にガス流を誘導させることができる。さらに、ワイプ部が過度に大型化することがない。
本開示7のワイプ装置は、さらに、前記ガス噴射孔(130)から前記曲面(111)へのガスの入射角度は、前記曲面の外向き法線ベクトルを基準にして、30度〜90度である構成を採る。
この構成によれば、より確実にコアンダ効果によりガイド部の曲面にガス流を誘導させることができる。
本開示8のワイプ装置は、さらに、前記ガス噴射孔(130)、および、前記ガス吸引孔(150)は、前記特定線(T)に沿ったスリット状である構成を採る。
この構成によれば、ノズル面の短辺方向の全域に及ぶガス流を発生させることができる。よつて、ワイプ部をノズル面に対して長辺方向に搬送するだけで、ノズル面の全域の清掃を行うことができる。
本開示9のワイプ装置は、さらに、前記ワイプ部(200)は、前記ガス噴射孔(130)の内部のガス流路、および、前記ガス吸引孔(150)の内部のガス流路に配置されてガス流の分布を変える拡散板(501,503)、を更に具備する構成を採る。
この構成によれば、特定線Tの一端から他端にかけて適切なガス流を発生させることができる。
2.本開示のインクジェット装置
本開示10のインクジェット装置は、本開示1〜9の何れか一つのワイプ装置を具備するインクジェット装置である。
この構成により、ノズル面の異物によりインクの吐出精度が劣化するということを防いで、精度の高いインクの吐出精度が得られる。
なお、インクジェット装置は、2以上のインクジェットヘッドを有していても良い。また、インクジェット装置は、ワイプ装置およびインクジェットヘッド以外に、被塗布材を相対移動させるための駆動機構、または、制御機構などを含んでいてもよい。
3.本開示のワイプ方法
本開示11のワイプ方法は、本開示1に記載のワイプ装置を用いてインクジェットヘッドのノズル面を清掃するワイプ方法であって、前記ガイド部の前記曲面と前記ノズル面とが対向するように、前記ワイプ部および前記インクジェットヘッドを配置するステップと、前記ガス噴射孔からガスを噴射させ、前記曲面と前記ノズル面との間に一定間隔を保ちながら、前記ワイプ部を前記ノズル面に対して相対移動させ、前記曲面に沿って誘導されたガス流で、前記ノズル面に付着した異物を除去するステップと、を含む。
このような方法によれば、コアンダ効果を利用してノズル面に平行なガス流を流して異物を効率的に除去することができる。また、ノズル面のエッジに付着した異物も効率的に除去することができる。
本開示12のワイプ方法は、前記ガス噴射孔から噴射されるガスの流速は、15m/sec以上である方法である。
この方法によれば、ノズル面およびそのエッジに付着した異物を効率的に除去することができる。
本開示13のワイプ方法は、前記曲面と前記ノズル面との間隔は、0.2mm〜1.5mmである方法である。
この方法によれば、より確実にノズル面およびそのエッジに付着した異物を効率的に除去することができる。
本発明のワイプ装置は、印刷用またはデバイス製造工程で機能材料を含んだインクを吐出するインクジェットヘッド、スリットダイヘッド、並びに、マルチノズル方式のディスペンサー塗布装置等のヘッドのワイピングに利用することができる。
1 インクジェット装置
2 ワイプ装置
3 ワーク搬送装置
4 搬送装置
5 周辺装置
10 インクジェットヘッド
11 ノズルプレート
11a ノズル面
13 ノズル孔
100,200 ワイプ部
110 ガイド部
111 曲面
130 ガス噴射孔
150 ガス吸引孔
300 ワイプ部の口部
312 開口部
501,503 拡散板
T 特定線
U ノズル面のエッジ
U´ ノズル面のエッジ
φ ノズル面のエッジと特定線Tとのなす角度


Claims (12)

  1. 断面がU字形状の柱状体であるガイド部と、
    前記ガイド部の前記U字形状の頂点を境にして、一方側に位置し、前記U字形状に沿って、前記頂点へガスを噴射するガス噴射孔と、
    前記ガイド部の前記U字形状の頂点を境にして、他方側に位置し、前記U字形状に沿って、前記頂点から前記ガスを吸引するガス吸引孔と、を含み、
    前記U字形状の前記頂点を結んだ特定線が、曲線部を含み、前記特定線の両端部分が、ハの字となっていて、
    前記ガス吸引孔の開口面積は、前記ガス噴射孔の開口面積よりも小さい、
    ワイプ装置。
  2. 前記特定線の両端部分の接線を結んだ部位の頂角度は、170度以下である、
    請求項1記載のワイプ装置。
  3. 前記特定線は、曲線、折れ曲がりを有する直線、又は曲線と直線とが混合した線である、 請求項1記載のワイプ装置。
  4. 前記U字形状の前記柱状体の前記頂点での曲率半径は、5mm〜200mmである、
    請求項1記載のワイプ装置。
  5. 前記ガス噴射孔から前記頂点へのガスの入射角度は、前記U字形状の外向き法線ベクトルを基準にして、30度〜90度である、
    請求項1記載のワイプ装置。
  6. 前記ガス噴射孔の内部のガス流路、又は、前記ガス噴射孔の内部のガス流路と前記ガス吸引孔の内部のガス流路との両方に配置されて、ガス流の分布を変える拡散板、
    を更に具備する請求項1記載のワイプ装置。
  7. ノズル面に沿って相対移動するワイプ部を有するワイプ装置であって、
    断面がU字形状の柱状体であるガイド部と、
    前記ガイド部の前記U字形状の頂点を境にして、一方側に位置し、前記U字形状に沿って、前記頂点へガスを噴射するガス噴射孔と、
    前記ガイド部の前記U字形状の頂点を境にして、他方側に位置し、前記U字形状に沿って、前記頂点から前記ガスを吸引するガス吸引孔と、を含み、
    前記U字の頂点を結んだ特定線が、前記ノズル面と垂直な方向から見て、前記ノズル面のエッジに対して傾きを有する角度で交差し、
    前記ガス吸引孔の開口面積は、前記ガス噴射孔の開口面積よりも小さい、
    ワイプ装置。
  8. 請求項1〜7の何れか一項に記載のワイプ装置を具備するインクジェット装置。
  9. 請求項1に記載のワイプ装置を用いてインクジェットヘッドのノズル面を清掃するワイプ方法であって、
    前記ガイド部の前記頂点と前記ノズル面とが対向するように、前記ワイプ装置が有し、前記ノズル面に沿って相対移動するワイプ部、および、前記インクジェットヘッドを配置するステップと、
    前記ガス噴射孔からガスを噴射させ、前記ガイド部の前記頂点と前記ノズル面との間に一定間隔を保ちながら、前記ワイプ部を前記ノズル面に対して相対移動させ、前記U字形状に沿って誘導されたガス流で、前記ノズル面に付着した異物を除去するステップと、
    を含むワイプ方法。
  10. 請求項7に記載のワイプ装置を用いてインクジェットヘッドのノズル面を清掃するワイプ方法であって、
    前記ガイド部の前記頂点と前記ノズル面とが対向するように、前記ワイプ部および前記インクジェットヘッドを配置するステップと、
    前記ガス噴射孔からガスを噴射させ、前記ガイド部の前記頂点と前記ノズル面との間に一定間隔を保ちながら、前記ワイプ部を前記ノズル面に対して相対移動させ、前記U字形状に沿って誘導されたガス流で、前記ノズル面に付着した異物を除去するステップと、
    を含むワイプ方法。
  11. 前記ガス噴射孔から噴射されるガスの流速は、15m/sec以上である、
    請求項9または10に記載のワイプ方法。
  12. 前記頂点と前記ノズル面との間隔は、0.2mm〜1.5mmである、
    請求項9または10に記載のワイプ方法。
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