JP6284145B2 - 血栓や血液の凝固の形成その成長を観察する装置 - Google Patents

血栓や血液の凝固の形成その成長を観察する装置

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本発明は、血栓や血液の凝固の形成その成長を観察する方法及びその装置に関し、特に、血液流路内の広い範囲に亘って血栓や血液の凝固の形成を検出しその成長を観察することを可能とする方法及びその装置に関する。
血管中に形成された血栓の引き起こす疾病として、脳梗塞やエコノミー症候群などが知られている。また、人工心肺や血液透析装置などのように体外に血液を導いて処理する装置にあっても、その内部の血液流路内に血液の凝固を生じると、血液を体内に戻したときに血栓となってしまう。また、血液の凝固が成長すると流路内で滞留し機器に不調を生じさせてしまうこともある。そこで、血栓や血液の凝固の形成やその成長について外部観察できる方法が求められている。
例えば、特許文献1では、血管を傷つけることなく、血管の外部から流動中の血液内の血栓を正確かつ簡単に計測する方法として、血液層にこれを比較的通過しやすい600nm〜1200nmのレーザー光又は発光ダイオード光をパルス光として照射し、各パルスに対する反射光又は透過光の光量を計測する方法を開示している。ここでは、レーザー光の光路内に血栓などの通常の組成でない物質が入り込むことで部分的にヘモグロビン密度差や反射率差を生じることから、血栓の存在が光量の変化となって現れることを利用している。一方、ヘマトクリットなどの変化も同様にヘモグロビン密度の変化に関係し光量変化を与えるが、その変化は緩やかであって、血栓の有無のような急激な変化を与えないことから、これとは容易に識別が可能であるとしている。
また、特許文献2では、血液透析装置の如く体外に導かれた血液を透明チューブ内を通過させ、これに光学監視手段と超音波監視手段とを組合わせて与え、血液塊のような固体物を空気泡と区別して測定又は監視する方法を開示している。血液塊を検出する光学監視手段の光学センサには、赤血球のヘモグロビンによる吸収の極めて少なく、含有酸素に影響を受けない約805nmの波長域の光源が最適であるとしている。
ところで、広い範囲に亘って特定物質などの平面分布を測定する方法として、分光画像を利用した方法が提案されている。例えば、白色光を光源として、CCDカメラで撮影された画像を色階調に分けて解析することで、平面内の画素領域毎に分光測定を行うことが出来るのである。
例えば、特許文献3では、生体皮膚の検査表面の反射光から430nmを含む±50nm以内の波長帯域の分光画像を得て血液分布を可視化する方法を開示している。生体組織から反射されて来る光の中で430nmを中心とする波長帯域の光の光量は皮膚表面の酸素化ヘモグロビン量に対応したものであるから、この波長帯域の反射光をCCDカメラで撮像して皮膚表面の酸素化ヘモグロビン量、つまり、血液量の分布を知ることが出来る。ここでは、血液量(酸素化ヘモグロビン)の多い部位では光の吸収量が多くなるので暗く、逆に少ない部位は明るくなり、これらの明度分布によって血液量の分布を知ることが出来るとしている。
特開2002−345787号公報 特開2013−534160号公報 特開平8−327531号公報
狭い血液流路内にセンサープローブを設けたスキャン方式では、ある場所で留まっている血栓や、広い血液流路内での血栓や血液の凝固の形成を検出し、その成長を観察することはできない。そこで広い範囲に亘って平面分布を測定できる上記したような分光画像の利用が考慮される。
本発明は、以上のような状況に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、血液流路内の広い範囲に亘って血栓や血液の凝固の形成を検出しその成長を観察することを可能とする方法及びその装置を提供することにある。
本発明による方法は、血液流路内において血栓や血液の凝固の形成その成長を観察する方法であって、少なくとも600nm以上であって短波長側の参照波長と長波長側の測定波長との2つの波長で前記血液流路を連続的に撮像し、前記参照波長での画像に対する前記測定波長での画像の輝度の差分画像を与えることを特徴とする。
かかる発明によれば、撮像された血液流路内の広い範囲に亘って血栓や血液の凝固の形成を検出しその成長を差分画像によって観察することができるのである。
上記した発明において、前記画像は透過光によって与えられ、前記輝度値の増加を示す画像を与えることを特徴としてもよい。若しくは、前記画像は反射光によって与えられ、前記輝度値の低下を示す画像を与えることを特徴としてもよい。かかる発明によれば、撮像された血液流路内の広い範囲に亘って血栓や血液の凝固の形成を検出しその成長をより明瞭な差分画像によって観察することができるのである。
上記した発明において、前記参照波長及び前記測定波長は670nmを挟んで与えることを特徴としてもよい。かかる発明によれば、血液の凝固により波長670nm以上の光透過性が上がることから、撮像された血液流路内の広い範囲に亘って血栓や血液の凝固の形成を検出しその成長をより明瞭な差分画像によって観察することができるのである。
また、本発明による装置は、血液流路内において血栓や血液の凝固の形成その成長を観察する装置であって、前記血液流路を連続的に撮像するカメラと、少なくとも600nm以上であって短波長側の参照波長と長波長側の測定波長との2つの波長において、前記参照波長での画像に対する前記測定波長での画像の輝度の差分画像を与える画像解析手段と、を有することを特徴とする。
かかる発明によれば、 撮像された血液流路内の広い範囲に亘って血栓や血液の凝固の形成を検出しその成長を差分画像によって観察することができるのである。
上記した発明において、前記参照波長及び前記測定波長のそれぞれを与える光源を更に含むことを特徴としてもよい。若しくは、上記した発明において、白色の光源を有し、更に、画像解析手段は前記参照波長及び前記測定波長のそれぞれを分離する分光手段を有することを特徴としてもよい。かかる発明によれば、撮像された血液流路内の広い範囲に亘って血栓や血液の凝固の形成を検出しその成長をより明瞭な差分画像によって観察することができるのである。
上記した発明において、前記カメラは前記光源からの透過光により撮像し、前記画像解析手段は前記輝度値の増加を示す画像を与えることを特徴としてもよい。若しくは、 上記した発明において、前記カメラは前記光源からの反射光により撮像し、前記画像解析手段は前記輝度値の低下を示す画像を与えることを特徴としてもよい。かかる発明によれば、撮像された血液流路内の広い範囲に亘って血栓や血液の凝固の形成を検出しその成長をより明瞭な差分画像によって観察することができるのである。
上記した発明において、前記参照波長及び前記測定波長は670nmを挟んで与えることを特徴としてもよい。かかる発明によれば、血液の凝固により波長670nm以上の光透過性が上がることから、撮像された血液流路内の広い範囲に亘って血栓や血液の凝固の形成を検出しその成長をより明瞭な差分画像によって観察することができるのである。
本発明による観察方法を用いた実証試験装置の写真である。 図1の装置の要部を示す断面及び平面図である。 図2の装置で得られた写真である。 透過光イメージングの経時変化のグラフである。 図2の装置で得られた写真である。 図5における各点のスペクトル変化を示すグラフである。 スペクトル変化を示すグラフである。 本発明による観察方法を用いた差分画像である。 観察後の装置を分解した様子を示す写真である。 本発明による観察方法を用いた差分画像である。
本発明者は、CCDカメラを光ディテクターとして使用することで、血液流路内において血栓や血液の凝固の形成その成長を観察できないかを検討した。すなわち、カメラで連続的に撮像された映像から血栓などを検出できるなら、広い撮影範囲において、血液の凝固反応を生じて形成される血栓や、外部から撮影場所に飛来してくる血栓等を検出、イメージングできるのである。
発明を大略すると以下の如きである。
まず、波長600〜750nmの範囲内にある少なくとも2つ以上の波長の異なる光源(LED又はレーザー)とCCDカメラを使用した多波長イメージング、若しくは、同様の波長帯を含むハロゲンランプ等の白色光源とハイパースペクトラルカメラ(CCD+分光器)を使用し、血液の満たされたデバイス(場合によっては、血管等)を撮影し、各波長におけるイメージ画像を取得する。
血液が凝固すると、波長670nm以上の光透過性が高まる。このことから、異なる波長でのイメージ像(スペクトル像)を比べたとき、670nm以上のイメージ像に変化が生じる(透過光イメージングの場合、画像の輝度値が増加し、反射光イメージングの場合、逆に低下する)。スペクトル像の比較において、波長670nm以上の輝度値の上がった箇所は血栓と判断し、かかる領域を画像処理によって抽出する。なお、本手法は画像の輝度値とは関係なく、スペクトル形状の変化から領域抽出するため、光源の強度の弱い、又は、血液による光の減衰等で画像の輝度値の低い場合であっても、その影響を受けにくく、ノイズの少ないイメージングを行うことができる。
また、上記以外にも、波長670nm以下の画像(参照波長画像)と波長670nm以上の画像(測定波長画像)の輝度値の比をとり、閾値を設けて血栓と判断する領域を抽出してもよい。イメージング精度は劣るが、簡便で低コストである。
また、ハイパースペクトラルイメージング(CCDと分光光度計の組み合わせによるシステム)を使用することで、連続的なスペクトルイメージを取得でき、血栓等の抽出の精度を高めることもできる。一方、より低コストなイメージングシステムでは、最低670nm以下の画像と波長670nm以上の2つの画像(差分画像)を取得できれば、血栓のイメージングを可能である。
以下に実証実験について説明する。
図1に示すような血液循環路2を含む装置5にウシ血液(Bovine Whole Blood)を循環させる。ここで、血液の活性凝固時間(ACT:Activated Clotting Time)は150秒に調整した。また、連続循環血液ポンプ(Rotary Blood Pump)7を回転数2780rpm、1L/min、121mmHgで駆動し、血液を環流させた。血栓形成によりポンプ流量が0.8L/min以下になったとき、ヘパリンを3000単位回路に注入して実験を終了する。詳細は後述するが、その後、生理食塩水により血液ポンプ7内を洗浄し、ポンプ7内の血栓を撮影してHSIイメージング画像と比較した(図10参照)。
図2を併せて参照すると、血液ポンプ7の上面にはリングライトガイド9が取り付けられ、ハロゲンランプ8の光を光ファイバーでリングライトガイド9に導き、血液ポンプ7の上面(図2左手)から光を照射した。また、血液ポンプ7の下面からは45°の角度でハロゲンランプ8からの光を光ファイバーで導き、血液ポンプ7の下面に向かって照射した。血液ポンプ7を通過する透過光、及び、血液ポンプ7の下面での反射光のそれぞれをハイパースペクトラルイメージング(HSI)カメラ3にてシャッター速度1msecで撮影した。画像は、CCD撮像を分光し、波長600〜750nm(分解能2nm)のスペクトル画像とした。
図3には、(a)実験開始時(t=0min)、(b)96分後(t=96min)、(c)98分後(t=98min)における透過光イメージング(FSI:Forward Scattering Image)及び反射光イメージング(BSI:Backward Scattering Image)を示した。ここでは、波長700nmで撮影している。これによれば、透過光イメージングでは、t=96minでチラつきが生じ、t=98minで透過光強度が明瞭に増加していた。一方、反射光イメージングでは、血液ポンプ7の中心付近がぼやけて観察された。
図4には、透過光イメージングの経時変化を示した。つまり、図3の透過光イメージングの平均輝度値の変化を示している。これによれば、t=96minにかけて輝度値が上昇している。
図5には、ハイパースペクトラルイメージングを示した。ここでは、波長600nm〜750nm、波長間隔2nm、バンド幅2.6nmとした。なお、(a)は実験開始時、(b)は所定時間経過後である。時間の経過前後で、長波長の光強度の占める割合(カラー画像では赤色に変化)が増加していた。
図6には、図5に示した領域ROI1、ROI2、ROI3におけるスペクトル変化を示している。これによれば、スペクトルの重心が長波長側へシフトしている。かかるシフトを表す指標として、τを波長750nmにおける輝度値と等しくなる波長として定義した。
図7には、図6のROI1における、(a)実験開始時の透過光イメージングのスペクトル変化S1、及び、(b)所定時間経過後の透過光イメージングのスペクトル変化S2、及び、酸素化ヘモグロビンの吸光スペクトルS3を示した。ヘモグロビンの吸光スペクトルから、波長750nmと同等の吸収を表す波長τHbは、634nmである。吸収が強いほど、光が吸収されるため受光強度が低下する。従って、透過光強度は吸光スペクトルを反転したような傾向を示す。
また、血液において、τBlood=645nmであって、τHbと異なった値となるが、これは血液では散乱もあってスペクトルが歪むためである。血液の散乱は波長の長くなるほど低くなるため、長波長の方がより透過しやすくなる。つまり、τHb<τBloodの関係が得られる。血液が凝固すると、波長680nm以上の光透過性が向上するが、これはフィブリンが形成され、フィブリンの散乱特性が680nm以上の領域で低いために、さらにスペクトルの重心が長波長へシフトしたものと考えられる。このことから、このスペクトルの重心シフトが起こった領域を抽出すれば、血栓のイメージングが可能である。
図8(a)は、図5(a)の実験開始時の反射光イメージングについてのシフト領域(差分画像)を示している。血液ポンプ7の内側全体が黒く示され、波長750nmと輝度値の等しい波長が共通していることを示している。一方、図8(b)は、図5(b)の所定時間経過後の反射光イメージングについてのシフト領域(差分画像)を示している。τが変化した変化領域は血液ポンプ7内の血栓の形成部と対応する。なお、白実線内領域L1は血栓の明確に確認できた領域、白点線内領域L2は薄い膜状の血栓の確認できた領域である。
なお、血栓の確認された領域以外でもτの変化が認められる。しかし、かかる領域で血栓や血液の凝固を生じていた可能性はあるが、血液ポンプ7の内部が血液で満たされているため、これを外部から確認することは困難である。そこで、血液ポンプを生理食塩水で洗浄して残った血栓を確認した。(しかしながら、接着の弱い血栓は生理食塩水で洗い流されてしまう可能性もある。)
図9には、血液ポンプ内を生理食塩水で洗浄した後の結果である。すなわち、(a)ハイパースペクトラルイメージング、(b)通常のデジタルカメラで撮影した肉眼像、(c)ポンプ分解後のポンプインペラに付着した血栓、(d)取り出された血栓である。ハイパースペクトラルイメージングが血栓の観察を与えていることが確認できる。
図10には、2波長の画像を利用した簡易血栓イメージングを示した。血液が凝固すると、波長680nm以上の光の散乱が抑制される。特に、波長710〜720nm付近の光の散乱に最も影響を与えることから、波長680nmと720nmの2つの波長の画像から、血栓をイメージングすることを考慮した。図7に示すイメージングでは、スペクトルの重心シフトを利用するため、ハイパースペクトラルイメージングカメラ3を用いるが、ここでは、2つの光源、例えば、LEDやレーザー等と、通常のCCDカメラとがあれば観察可能である。
波長680nmと720nmの2つの画像の強度比をTとし、
T=(波長720nmの輝度値)/(波長680nmの輝度値)
とする。差分画像は、波長680nmと720nmの画像と、両者の輝度値の比T=(720nm/680nm)を取り、T≧1を白、T<1を黒で二値化した画像である。これからも血栓の観察を与えていることが確認できる。
以上の方法によれば、人工心肺回路、血液透析回路等において、いつ、どこで血栓が形成されたか、又は、血栓の成長過程のイメージングが可能である。ここではセンサーを固定する必要が無く、通常のカメラ撮影が可能であるため、光を通さない物体で囲まれていない限り、どこでも検出可能である。更に、原理状、深部でなければ血管内、生体組織内の血栓検出も可能となる。また、血管内視鏡等への応用も可能である。血栓の形成の瞬間、血栓の成長をイメージングできるため、人工心臓、人工肺、人工血管、ステント等の心血管系デバイスを開発する際に利用でき、また、血液適合性を評価する方法としても利用可能である。更に、臨床現場においても、人工心肺や血液透析使用下における血液凝固評価を可能とし、血栓症の防止に有効となる。
以上、本発明による実施例及びこれに基づく変形例を説明したが、本発明は必ずしもこれに限定されるものではなく、当業者であれば、本発明の主旨又は添付した特許請求の範囲を逸脱することなく、様々な代替実施例及び改変例を見出すことができるであろう。
2 血液循環路
5 装置
7 循環血液ポンプ
8 ハロゲンランプ
9 リングライトガイド

Claims (6)

  1. 血液流路内において血栓や血液の凝固の形成その成長を観察する装置であって、
    前記血液流路を連続的に撮像するカメラと、
    少なくとも600nm以上であって短波長側の参照波長と長波長側の測定波長との2つの波長において、前記参照波長での画像に対する前記測定波長での画像の輝度の差分画像を与える画像解析手段と、を有することを特徴とする血栓や血液の凝固の形成その成長を観察する装置。
  2. 前記参照波長及び前記測定波長のそれぞれを与える光源を更に含むことを特徴とする請求項記載の装置。
  3. 白色の光源を有し、更に、画像解析手段は前記参照波長及び前記測定波長のそれぞれを分離する分光手段を有することを特徴とする請求項記載の装置。
  4. 前記カメラは前記光源からの透過光により撮像し、前記画像解析手段は前記輝度値の増加を示す画像を与えることを特徴とする請求項又はに記載の装置。
  5. 前記カメラは前記光源からの反射光により撮像し、前記画像解析手段は前記輝度値の低下を示す画像を与えることを特徴とする請求項又はに記載の装置。
  6. 前記参照波長及び前記測定波長は670nmを挟んで与えることを特徴とする請求項乃至のうちの1つに記載の装置。
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