JP6287331B2 - 粘着付与剤、粘着剤組成物およびその用途 - Google Patents
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Description
一方、近年のエレクトロニクス技術の飛躍的進歩により、液晶ディスプレイ(LCD)やプラズマディスプレイパネル(PDP)などの種々のフラットパネルディスプレイ(FPD)が、様々な分野で表示装置として使用されるようになってきた。
これらの表示装置は、一般的にはガラスや各種透明プラスチック材料から成る光学部材を粘着剤で貼り合せた積層構造を有する。このような用途では、粘着剤には、透明プラスチック基板や光学フィルム等の視認性を損なわない透明性を有することは勿論のこと、高温、又は高温高湿条件下での過酷な耐久性試験後においても、光学部材の寸法変化に追従するための柔軟性と、部材界面からの剥がれや浮きが生じないための接着力が要求されている。
前記の剥がれや浮きは、通常、非常にゆっくりとした剥離挙動の結果生じる現象であるため、一般的には低剥離速度条件下および高温条件下における接着力と相関があり、これらの条件下における接着強度が高いものほど浮きや剥がれを抑制できる傾向にあると考えられる。
特許文献1及び2では、粘着剤に低分子量ポリマー、特にアクリル系粘着性ポリマーとの相溶性及び透明性の点で優れた低分子量アクリルポリマーを添加することにより、基材の変形に対して柔軟に対応できる応力緩和性に優れた粘着剤層を用いることで、浮きや剥がれを抑制する方法が開示されている。
特許文献3には、特定の(メタ)アクリル系共重合体、当該共重合体とのSP値差が1.0以下である特定のアクリル系共重合体オリゴマー、及び架橋剤とからなる粘着剤組成物が、耐久性、接着性、段差追随性、腐食性、透明性等の性能バランスが良好である旨が記載されている。
また、特許文献4には、ビシクロ環構造を含むモノマーを構成単位に含む特定の共重合体を含有する粘着剤組成物が開示され、低剥離速度条件下におけるポリカーボネート板又はアクリル板に対する180°剥離力を一定値以上とすることにより、高温高湿下での浮き剥れを抑制することができる旨が記載されている。
特許文献3に記載された粘着剤組成物もまた、低剥離速度条件下および高温条件下での接着強度は十分ではなく、特にプラスチック基板等を被着体とした場合の浮きや剥がれについては満足できるレベルのものではなかった。
また、特許文献4に記載の粘着剤組成物は、低剥離速度条件下の接着強度は向上しているものの、未だ改善の余地があるものであった。
〔1〕フッ素原子が結合した炭素の数が1〜10であるフルオロアルキル基を備え、ガラス転移温度(Tg)が40〜150℃であり、数平均分子量が500〜10,000であるビニル重合体(A)からなる粘着付与剤。
〔2〕前記ビニル重合体(A)が、フッ素原子が結合した炭素の数が1〜10であるフルオロアルキル基を有する(メタ)アクリル系不飽和単量体を1〜100質量%含有する単量体成分の重合により得られるものである前記〔1〕に記載の粘着付与剤。
〔3〕前記ビニル重合体(A)が、その末端にフッ素原子が結合した炭素の数が1〜10であるフルオロアルキル基を有するものである前記〔1〕又は〔2〕に記載の粘着付与剤。
〔4〕前記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の粘着付与剤及びアクリル系粘着性ポリマー(B)を含む粘着剤組成物であって、前記アクリル系粘着性ポリマー(B)100質量部に対して、前記粘着付与剤を0.5〜60質量部含有する粘着剤組成物。
〔5〕前記〔4〕に記載の粘着剤組成物をセパレーターに塗工、乾燥させて粘着剤層を得た際に、当該粘着剤層のX線光電子分光分析により得られるその表層部分の組成から計算されるTgが、粘着剤組成物のTgよりも30℃以上高いことを特徴とする粘着剤組成物。
〔6〕前記〔4〕又は〔5〕に記載の粘着剤組成物をセパレーターに塗工、乾燥して得られた粘着剤層の片面又は両面に基材を貼り合わせてなる粘着シート
以下、本発明について詳しく説明する。尚、本明細書において、「(メタ)アクリル」とはアクリルおよび/またはメタクリルを意味し、「(メタ)アクリレート」とはアクリレートおよび/またはメタクリレートを意味し、「(メタ)アクリロイル」とはアクリロイルおよび/またはメタクリロイルを意味する。
本発明のビニル重合体(A)は、その分子中にフッ素原子が結合した炭素の数が1〜10であるフルオロアルキル基を備えたものであり、これを粘着付与剤として用いる。上記のフルオロアルキル基は、フッ素原子が結合した炭素の数が1〜10のものであればよいが、低速度剥離条件下および高温条件下における接着強度の観点から、好ましくは3〜10であり、より好ましくは4〜10である。
フッ素原子が結合した炭素の数が1〜10であるフルオロアルキル基は、以下の一般式(1)により表すことができる。
−CXHYFZ (1)
(式(1)において、Y+Z=2X+1であり、かつ、Zは1〜21の整数である。)
上記フルオロアルキル基は、直鎖状或いは分岐状等のいずれの構造であってもよいが、アルキル基における全ての水素原子がフッ素原子に置換されたパーフルオロアルキル基であることが好ましい。
ポリマー分子中にフッ素原子が結合した炭素の数が1〜10のフルオロアルキル基を導入する方法には特に制限はなく、例えば以下に示す方法を挙げることができる。
(1)フッ素原子が結合した炭素の数が1〜10のフルオロアルキル基を有する単量体成分を(共)重合する方法。
(2)フッ素原子が結合した炭素の数が1〜10のフルオロアルキル基を有する連鎖移動剤を用いて重合反応する方法。
(3)末端官能基を有するビニル重合体、並びに、該官能基と反応可能な官能基およびフッ素原子が結合した炭素の数が1〜10のフルオロアルキル基を有する化合物を反応させる方法。
上記の方法は、単独若しくはこれらの2種以上を組み合わせて行うことができるが、これらの内でも、汎用原料を用いて簡便かつ効率よくフッ素原子が結合した炭素の数が1〜10のフルオロアルキル基を導入できる点から、上記(1)又は(2)の方法によることが好ましい。
CH2=C(R1)−COO−(CH2)m−(CF2)n−Z (2)
〔式中、R1は水素原子またはメチル基、Zは水素原子またはフッ素原子、mは1〜4のいずれかの整数、nは1〜10のいずれかの整数を示す。〕
上記した好ましいフッ素原子含有ビニル単量体の実例としては、商品名でケミノックスFAAC−4、ケミノックスFAAC−6、ケミノックスFAMAC−4、FAMAC−6(以上、ユニマテック社製)、R−1110、R−1210、R−1420、R−1620、R−5210、R−5410、R−5610、M−1110、M−1210、M−1420、M−1620、M−5210、M−5410、M−5610(以上ダイキン社製)、ビスコート−3F、ビスコート−3FM、ビスコート−4F、ビスコート−8F、ビスコート8−FM、ビスコート13F(以上、大阪有機化学工業社製)等が挙げられる。これらのうちでも、ガラス転移温度が高くなる傾向があることから、アクリレート型よりもメタクリレート型の方が好ましい。また、フルオロアルキル基含有(メタ)アクリル系不飽和単量体の具体的な使用量は、0.1〜100質量%の範囲が好ましく、フッ素の特性が顕著となる点から1〜40質量%の範囲が好ましい。
これらの中でも、後述するアクリル系粘着性ポリマーとの相溶性が良好となる点から(メタ)アクリル酸エステル化合物を主体とすることが好ましい。ビニル重合体(A)の全構成単量体に対する(メタ)アクリル系化合物の使用量に制限はないが、10〜100質量%の範囲が好ましく、30〜95質量%の範囲がより好ましく、60〜90質量%の範囲がさらに好ましい。
これらの中でも、比較的Tgを高く設定することができ、粘着加工品の浮きや剥がれを抑制する効果が高い点から脂肪族環系ビニル単量体が好ましく、中でも(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニルおよび(メタ)アクリル酸シクロヘキシルが好ましい。
不飽和ジカルボン酸のジアルキルエステルとしては、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸等のジアルキルエステルが挙げられる。
ビニルエステル化合物としては、メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、酪酸ビニル、安息香酸ビニル、ギ酸ビニル、桂皮酸ビニル等が挙げられる。
上記ビニルエーテル化合物としては、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニル−n−ブチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル、ビニルフェニルエーテル、ビニルシクロヘキシルエーテル等が挙げられる。
また、重量平均分子量(Mw)と上記(Mn)との比(Mw/Mn)は、良好な接着強度が得られやすいという観点から、3.0以下が好ましく、2.2以下がより好ましく、1.8以下がさらに好ましい。
ここで、数平均分子量Mnは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて得られた標準ポリスチレン換算値である。
溶液重合法による場合、有機溶剤及びビニル単量体原料を反応器に仕込み、有機過酸化物、アゾ系化合物等の熱重合開始剤を添加して、50〜300℃に加熱して共重合することにより目的とするビニル重合体を得ることができる。この際、重合開始剤は、上記炭素数4以上のアルキル基を有する開始剤を用いることが好ましい。当該ビニル重合体は、有機溶剤に溶解された溶液として使用しても良いし、加熱減圧処理等により溶剤を留去して用いても良い。
単量体を含む各原料の仕込み方法は、すべての原料を一括して仕込むバッチ式の初期一括仕込みでもよく、少なくとも一つの原料を連続的に反応器中に供給するセミ連続仕込みでもよく、全原料を連続供給し、同時に反応器から連続的に生成樹脂を抜き出す連続重合方式でもよい。
また、レドックス型重合開始剤としては、亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート、アスコルビン酸、硫酸第一鉄等を還元剤とし、ペルオキソ二硫酸カリウム、過酸化水素、tert−ブチルハイドロパーオキサイド等を酸化剤としたものを用いることができる。
アクリル系粘着性ポリマーは(メタ)アクリル酸エステル類を主要構成単位として含む重合体である。又、そのガラス転移温度(Tg)は−80〜0℃の範囲にある粘着性を有する重合体であることが好ましく、−80〜−30℃の範囲がより好ましく、−80〜―40℃の範囲がさらに好ましい。Tgが−80℃未満の場合は得られる粘着剤の凝集力が不十分となり、曲面接着性等が悪化する傾向があり、0℃を超える場合は、段差への追随性および低温下での粘着力等が十分でない場合がある。
一方、重量平均分子量が高すぎると段差への追随性等が低下する傾向があり、製造上の扱いも困難となる。よって、上限値は2,000,000以下であることが好ましく、1,500,000以下であることがより好ましく、1,000,000以下であることがさらに好ましい。
本発明の粘着剤組成物は、ビニル重合体(A)からなる粘着付与剤及びアクリル系粘着性ポリマー(B)を含むものであるが、その製造方法に特段の制約はない。例えば、ビニル重合体(A)及びアクリル系粘着性ポリマー(B)を混合する方法であってもよいし、ビニル重合体(A)の存在下にアクリル系粘着性ポリマー(B)を重合することにより得ることもできる。
上記の通り「表層部分の組成から計算されるTg」は、X線光電子分光測定(XPS)から得られるビニル重合体(A)とアクリル系粘着性ポリマー(B)との組成比率から計算によって求められ、粘着剤層の表面から該5nm程度の深さまでの表層を形成する組成物のTgとして捉えることができる。測定方法の詳細は、後述する実施例に記載の操作に従う。
粘着剤層の表層における上記粘着付与剤の濃度が他より高くなる構成を取った場合、各種被着体に粘着シートを貼り付けた際の接着界面近傍の粘着剤層は比較的高いTgを有するため、低剥離速度および高温度条件下において高い接着強度を示すことができる。
上記の相溶性は、得られた粘着剤層の目視又はヘイズ値等を指標に判断することができる。ヘイズ値により判断する場合には、例えば本願実施例において記載する方法により評価することが可能であり、その値が低いほど相溶性が良好であるとすることができる。具体的なヘイズ値としては、2.0以下であることが好ましく、1.6以下であることがより好ましい。
上記イソシアネート化合物としては、芳香族系、脂肪族系、脂環族系の各種イソシアネート化合物、更には、これらのイソシアネート化合物の変性物(プレポリマー等)を用いることができる。
脂肪族イソシアネートとしては、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、リシンジイソシアネート(LDI)、リシントリイソシアネート(LTI)等が挙げられる。
脂環族イソシアネートとしては、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、シクロヘキシルジイソシアネート(CHDI)、水添化XDI(H6XDI)、水添化MDI(H12MDI)等が挙げられる。
また、変性イソシアネートとしては、上記イソシアネート化合物のウレタン変性体、2量体、3量体、カルボジイミド変性体、アロファネート変性体、ビューレット変性体、ウレア変性体、イソシアヌレート変性体、オキサゾリドン変性体、イソシアネート基末端プレポリマー等が挙げられる。
上記溶液型粘着剤組成物及びエマルション型粘着剤組成物の場合、用いられる有機溶剤または水等の媒体は、粘着剤組成物100質量部に対して通常20〜80質量部である。
又、活性エネルギー線による感度を向上させるため、光増感剤を併用することもできる。
光増感剤としては、安息香酸系及びアミン系光増感剤等が挙げられる。これらは、2種以上を組み合わせて用いることもできる。
光開始剤及び光増感剤の使用量は、単官能及び/又は多官能の(メタ)アクリル酸系単量体100質量部に対して0.01〜10質量部が好ましい。
前記乾燥は常温で行っても構わないが、生産性等の観点から、通常は、乾燥機を用いて40〜150℃の加熱条件下にて数秒間から数十分間の時間をかけて乾燥させる方法が一般的である。
また、本発明の粘着剤組成物は、これとは別に、各種光学フィルム等の積層体を構成する際の貼り合せ用途にも好適に用いることができる。
また、本実施例において得られた重合体の各種分析は、以下に記載の方法により実施した。
測定サンプル約1gを秤量(a)し、次いで、通風乾燥機155℃、30分間乾燥後の残分を測定(b)し、以下の式より算出した。測定には秤量ビンを使用した。その他の操作については、JIS K 0067−1992(化学製品の減量及び残分試験方法)に準拠した。
固形分(%)=(b/a)×100
分子量はGPCにて下記の条件で測定した。
GPC:東ソー(HLC−8120)
カラム:東ソー(TSKgel−Super MP−M×4本)
試料濃度:0.1%
流量:0.6ml/分
溶離液:テトラヒドロフラン
カラム温度:40℃
検出器:示差屈折計(RI)
標準物質:ポリスチレン
ビニル重合体(A)、アクリル系粘着性ポリマー(B)及び粘着剤組成物のTgはDSCにて以下の条件で測定した。
DSC:TA Instrument製(Q−100)
昇温温度:10℃/分
測定雰囲気:窒素
ポリマー組成はモノマー仕込量とGC測定によるモノマー消費量から算出した。
GC:Agilent Technolosies製(7820A GC System)
検出器:FID
カラム:100%ジメチルシロキサン(CP−Sil 5CB) 長さ30m、内径0.32mm
算出方法:内部標準法
合成例1(重合体A−1の合成)
内容積500mLの4つ口フラスコに、ジメチル2、2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)(和光純薬社製、商品名「V−601」) 1.3質量部、酢酸ブチル 180質量部からなる混合液を仕込み、この混合液を窒素ガスのバブリングにより十分に脱気し、混合液の内温を90℃に上昇した。別途、メタクリル酸イソボルニル(以下、「IBXMA」という)100質量部、メタクリル酸2−(パーフルオロブチル)エチル(ユニマテック社製、商品名「ケミノックス FAMAC−4」)43質量部、V−601 25.4質量部、酢酸ブチル50質量部からなる混合液を滴下ロートからフラスコ内に5時間かけて滴下することにより重合を行った。滴下終了後、重合溶液をメタノール6000質量部に滴下することにより、重合溶液中のビニル重合体を単離して、重合体A−1を得た。得られた重合体A−1のポリマー組成は、IBXMA 70質量%、ケミノックス FAMAC−4 30質量%からなり、分子量はMw3160、Mn2160、Mw/Mn1.46、Tg65℃であった。
重合体A−1の組成及び分析結果を表1に示す。
内容積500mLの4つ口フラスコに、V−601 1.2質量部、酢酸ブチル 160質量部からなる混合液を仕込み、この混合液を窒素ガスのバブリングにより十分に脱気し、混合液の内温を90℃に上昇した。別途、IBXMA 80質量部、ケミノックス FAMAC−4 20質量部、V−601 22.9質量部、酢酸ブチル50質量部からなる混合液を滴下ロートからフラスコ内に5時間かけて滴下することにより重合を行った。滴下終了後、重合溶液をメタノール6000質量部に滴下することにより、重合溶液中のビニル重合体を単離して、重合体A−2を得た。
重合体A−2の組成及び分析結果を表1に示す。
内容積500mLの4つ口フラスコに、V−601 1.3質量部、酢酸ブチル 180質量部からなる混合液を仕込み、この混合液を窒素ガスのバブリングにより十分に脱気し、混合液の内温を90℃に上昇した。別途、IBXMA 110質量部、ケミノックス FAMAC−4 1.7質量部、V−601 25.4質量部、酢酸ブチル50質量部からなる混合液を滴下ロートからフラスコ内に5時間かけて滴下することにより重合を行った。滴下終了後、重合溶液をメタノール6000質量部に滴下することにより、重合溶液中のビニル重合体を単離して、重合体A−3を得た。
重合体A−3の組成及び分析結果を表1に示す。
内容積500mLの4つ口フラスコに、V−601 1.3質量部、酢酸ブチル 180質量部からなる混合液を仕込み、この混合液を窒素ガスのバブリングにより十分に脱気し、混合液の内温を90℃に上昇した。別途、IBXMA 110質量部、ケミノックス FAMAC−4 0.55質量部、V−601 25.3質量部、酢酸ブチル50質量部からなる混合液を滴下ロートからフラスコ内に5時間かけて滴下することにより重合を行った。滴下終了後、重合溶液をメタノール6000質量部に滴下することにより、重合溶液中のビニル重合体を単離して、重合体A−4を得た。
重合体A−4の組成及び分析結果を表1に示す。
内容積500mLの4つ口フラスコに、V−601 1.3質量部、酢酸ブチル 130質量部からなる混合液を仕込み、この混合液を窒素ガスのバブリングにより十分に脱気し、混合液の内温を90℃に上昇した。別途、IBXMA 100質量部、メタクリル酸2,2,2−トリフルオロエチル(以下、「TFEMA」という) 43質量部、V−601 32.7質量部、酢酸ブチル50質量部からなる混合液を滴下ロートからフラスコ内に5時間かけて滴下することにより重合を行った。滴下終了後、重合溶液をメタノール4800質量部、水1200質量部からなる混合液に滴下することにより、重合溶液中のビニル重合体を単離して、重合体A−5を得た。
重合体A−5の組成及び分析結果を表1に示す。
内容積500mLの4つ口フラスコに、V−601 1.2質量部、酢酸ブチル 160質量部からなる混合液を仕込み、この混合液を窒素ガスのバブリングにより十分に脱気し、混合液の内温を90℃に上昇した。別途、IBXMA 70質量部、メタクリル酸2−(パーフルオロヘキシル)エチル(ユニマテック社製、商品名「ケミノックス FAMAC−6」) 30質量部、V−601 22.9質量部、酢酸ブチル50質量部からなる混合液を滴下ロートからフラスコ内に5時間かけて滴下することにより重合を行った。滴下終了後、重合溶液をメタノール6000質量部に滴下することにより、重合溶液中のビニル重合体を単離して、重合体A−6を得た。
重合体A−6の組成及び分析結果を表1に示す。
内容積300mLの4つ口フラスコに、2−(ヘプタデカフルオロオクチル)エタンチオール1.59質量部、IBXMA 18.4質量部、V−601 0.04質量部、酢酸ブチル80質量部からなる混合液を仕込み、この混合液を窒素ガスのバブリングにより十分に脱気し、混合液の内温を90℃に上昇し、3時間かけて重合を行った。重合終了後、重合溶液をメタノール1000質量部に滴下することにより、重合溶液中のビニル重合体を単離して、末端にヘプタデカフルオロオクチル基を有する重合体A−7を得た。
重合体A−7の組成及び分析結果を表1に示す。
内容積500mLの4つ口フラスコに、V−601 0.2質量部、酢酸ブチル 180質量部からなる混合液を仕込み、この混合液を窒素ガスのバブリングにより十分に脱気し、混合液の内温を90℃に上昇した。別途、IBXMA 90質量部、ケミノックス FAMAC−4 39質量部、V−601 3.7質量部、酢酸ブチル50質量部からなる混合液を滴下ロートからフラスコ内に5時間かけて滴下することにより重合を行った。滴下終了後、重合溶液をメタノール6000質量部に滴下することにより、重合溶液中のビニル重合体を単離して、重合体A−8を得た。
重合体A−8の組成及び分析結果を表1に示す。
内容積500mLの4つ口フラスコに、V−601 1.4質量部、酢酸ブチル 190質量部からなる混合液を仕込み、この混合液を窒素ガスのバブリングにより十分に脱気し、混合液の内温を90℃に上昇した。別途、メタクリル酸ジシクロペンタニル(以下、「DCPMA」という) 80質量部、ケミノックス FAMAC−4 35質量部、V−601 26.1質量部、酢酸ブチル50質量部からなる混合液を滴下ロートからフラスコ内に5時間かけて滴下することにより重合を行った。滴下終了後、重合溶液をメタノール6000質量部に滴下することにより、重合溶液中のビニル重合体を単離して、重合体A−9を得た。
重合体A−9の組成及び分析結果を表1に示す。
内容積500mLの4つ口フラスコに、V−601 1.4質量部、酢酸ブチル 190質量部からなる混合液を仕込み、この混合液を窒素ガスのバブリングにより十分に脱気し、混合液の内温を90℃に上昇した。別途、メタクリル酸シクロヘキシル(以下、「CHMA」という) 80質量部、ケミノックス FAMAC−4 34質量部、V−601 26.1質量部、酢酸ブチル50質量部からなる混合液を滴下ロートからフラスコ内に5時間かけて滴下することにより重合を行った。滴下終了後、重合溶液をメタノール5400質量部と水600質量部からなる混合液に滴下することにより、重合溶液中のビニル重合体を単離して、重合体A−10を得た。
重合体A−10の組成及び分析結果を表1に示す。
内容積500mLの4つ口フラスコに、V−601 3.9質量部、酢酸ブチル 100質量部からなる混合液を仕込み、この混合液を窒素ガスのバブリングにより十分に脱気し、混合液の内温を90℃に上昇した。別途、IBXMA 140質量部、V−601 22.2質量部、酢酸ブチル90質量部からなる混合液を滴下ロートからフラスコ内に5時間かけて滴下することにより重合を行った。滴下終了後、重合溶液をメタノール6000質量部に滴下することにより、重合溶液中のビニル重合体を単離して、重合体A−11を得た。
重合体A−11の組成及び分析結果を表1に示す。
内容積500mLの4つ口フラスコに、V−601 1.4質量部、酢酸ブチル 190質量部からなる混合液を仕込み、この混合液を窒素ガスのバブリングにより十分に脱気し、混合液の内温を90℃に上昇した。別途、メタクリル酸エチル(以下、「EMA」という) 80質量部、ケミノックス FAMAC−4 34質量部、V−601 26.1質量部、酢酸ブチル50質量部からなる混合液を滴下ロートからフラスコ内に5時間かけて滴下することにより重合を行った。滴下終了後、重合溶液をメタノール4200質量部と水1800質量部からなる混合液に滴下することにより、重合溶液中のビニル重合体を単離して、重合体A−12を得た。
重合体A−12の組成及び分析結果を表1に示す。
内容積500mLの4つ口フラスコに、V−601 0.22質量部、酢酸ブチル 200質量部からなる混合液を仕込み、この混合液を窒素ガスのバブリングにより十分に脱気し、混合液の内温を90℃に上昇した。別途、CHMA 80質量部、ケミノックス FAMAC−4 34質量部、V−601 4.3質量部、酢酸ブチル50質量部からなる混合液を滴下ロートからフラスコ内に5時間かけて滴下することにより重合を行った。滴下終了後、重合溶液をメタノール5400質量部と水600質量部からなる混合液に滴下することにより、重合溶液中のビニル重合体を単離して、重合体A−13を得た。
重合体A−13の組成及び分析結果を表1に示す。
IBXMA:メタクリル酸イソボルニル
DCPMA:メタクリル酸ジシクロペンタニル
CHMA:メタクリル酸シクロヘキシル
EMA:メタクリル酸エチル
TFEMA:メタクリル酸2,2,2−トリフルオロエチル
PFBEMA:メタクリル酸2−(パーフルオロブチル)エチル(ユニマテック社製、商品名「ケミノックス FAMAC−4」)
PFHEMA:メタクリル酸2−(パーフルオロヘキシル)エチル(ユニマテック社製、商品名「ケミノックス FAMAC−6」)
合成例14(重合体B−1の合成)
内容積1リットルの4つ口フラスコに、アクリル酸ブチル(以下、「BA」という) 190質量部、アクリル酸ヒドロキシエチル(以下、「HEA」という)10質量部、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(和光純薬社製、商品名「V−65」) 5.2質量部、酢酸エチル370質量部からなる混合液を仕込み、この混合液を窒素ガスのバブリングにより十分に脱気し、混合液の内温を40℃に上昇し、4時間かけて重合を行った。滴下終了後、重合溶液をメタノール7200質量部、水1800質量部からなる混合液に滴下することにより、重合溶液中のビニル重合体を単離して、重合体B−1を得た。得られた重合体B−1を酢酸エチルに溶解し、固形分濃度を30質量%に調整することにより重合体B−1溶液とした。
重合体B−1のポリマー組成は、BA 95質量%、HEA 5質量%からなり、分子量はMw500,000、Mn170,000、Mw/Mn2.94、Tgは−56℃であった。
内容積1リットルの4つ口フラスコに、BA 101質量部、アクリル酸2−エチルヘキシル(以下、「EHA」という)99質量部 、HEA 10質量部、V−65 5.2質量部、酢酸エチル370質量部からなる混合液を仕込み、この混合液を窒素ガスのバブリングにより十分に脱気し、混合液の内温を40℃に上昇し、4時間かけて重合を行った。滴下終了後、重合溶液をメタノール7200質量部、水1800質量部からなる混合液に滴下することにより、重合溶液中のビニル重合体を単離して、重合体B−2を得た。得られた重合体B−2を酢酸エチルに溶解し、固形分濃度を30質量%に調整することにより重合体B−2溶液とした。
重合体B−2のポリマー組成は、BA 48質量%、EHA 47質量部、HEA 5質量%からなり、分子量はMw480,00、Mn160,000、Mw/Mn3.33、Tgは−60℃であった。
実施例1
上記合成例1で得られた重合体(A−1)を酢酸エチルに溶解して固形分濃度30質量%の重合体(A−1)溶液を調整した。当該重合体(A−1)溶液10質量部、上記重合体B−1溶液100質量部、架橋剤としてコロネートL45(日本ポリウレタン工業社製) 0.4質量部を混合し、粘着剤組成物を得た。
粘着フィルム試料から粘着剤を0.2g採取し、粘着剤の初期重量を秤量した。その粘着剤を50gの酢酸エチルに浸漬し、室温で16時間静置する。その後、200メッシュ金網にろ過し、メッシュに残った残分を80℃で3時間乾燥し、秤量した。初期の重量と残分の重量から、ゲル分率を算出した。
粘着フィルム試料を易接着処理したPETフィルム(三菱樹脂社製、DIAFOIL T680 E100、100μm厚)に転写して評価用の粘着シートを得た。被着体をガラス(AGCファブリテック社製、FL11A、1mm厚)もしくはCOP(日本ゼオン社製、ゼオノアZF−14、100mm厚)とし、卓上加圧脱泡装置TBR−200(千代田電気工業社製)を用いて0.5MPa、50℃の条件下で20分間圧着した後、恒温槽付き引張り試験機ストログラフR型(東洋精機社製)を用いて、23℃及び85℃の条件で、JIS Z−0237「粘着テープ・粘着シート試験方法」に準じて剥離速度3mm/min及び300mm/minで、粘着シートの180度剥離強度を測定し、接着強度とした。
粘着フィルム試料を10枚積層することにより0.5mm厚の粘着剤フィルムを作成し、以下の条件で粘弾性測定を行った。
装置:Rheologica Instrument A.B.社製 VISCOANALYZER VAR100
周波数: 1Hz
歪: 0.1%
ジオメトリー: 6mmφパラレルプレート
粘着フィルム試料のX線光電子分光装置(XPS)測定によるC1sとO1sの面積比から、表面から該5nm程度までの表面におけるビニル重合体(A)及びアクリル系粘着性ポリマー(B)の質量比を算出した。
XPS測定は以下の条件で測定した。
装置: アルバック・ファイ社製 PHI5000 VersaProbe
X線: Al−Kα (1486.6eV)
試料へのX線入射角: 0° (試料測定面の法線に対する角度)
光電子検出角: 45° (試料測定面の法線に対する角度)
次いで、測定に得られた表面組成から下記のFOX式に従って、表面Tgを計算した。
1/〔表層のTg〕(K)=WA/TgA+WB/TgB
ここで、
WA:ビニル重合体(A)の重量分率
TgA:ビニル重合体(A)のTg
WB:アクリル系粘着性ポリマー(B)の重量分率
TgB:アクリル系粘着性ポリマー(B)のTg
酢酸エチルにより固形分濃度を30質量%に調整したビニル重合体(A)及びアクリル系粘着性ポリマー(B)をそれぞれ1質量部及び10質量部混合して粘着剤組成物を調製した。次いで、当該粘着剤組成物を離型紙上に適量垂らし、80℃、15時間静置することにより酢酸エチルを除去し、粘着剤組成物の乾燥物を得た。別途、厚さ1mmのガラスプレートを2枚用意し、前記粘着剤組成物の乾燥物を300μm厚のアルミフィルムからなるスペーサーを介した前記2枚のガラスプレートで挟み込むことにより、粘着剤層の厚みが300μmである積層体を得た。得られた積層体を23℃、50%RH条件下で1日静置した後、日本電色社製ヘイズメーター「ヘイズメーターNDH2000」を使用してヘイズ値を測定することにより相溶性を評価した。
実施例1において、アクリル系粘着性ポリマー及び粘着付与剤の種類、比率を表2〜表4に示すように変えて粘着剤組成物を得るとともに、実施例1と同様の測定を行った。結果を表2〜表4に示す。
比較例4では、粘着剤層表面への粘着付与剤の偏析が生じていることが確認できたが、粘着付与剤たるビニル重合体のTgが低いため、低剥離速度条件下および高温条件下における接着強度は十分なものではなかった。
上記の他にも、本発明の粘着剤組成物は、透明性及び低剥離速度条件下および高温条件下における接着強度に優れるため、タッチパネル、液晶表示装置、有機EL表示装置、プラズマディスプレイパネル等のディスプレイ及びこれらに用いられる各種光学フィルムの貼り合せにも好適である。
Claims (6)
- フッ素原子が結合した炭素の数が1〜10であるフルオロアルキル基を備え、ガラス転移温度(Tg)が40〜150℃であり、数平均分子量が500〜10,000であるビニル重合体(A)からなる粘着付与剤。
- 前記ビニル重合体(A)が、フッ素原子が結合した炭素の数が1〜10であるフルオロアルキル基を有する(メタ)アクリル系不飽和単量体を1〜100質量%含有する単量体成分の重合により得られるものである請求項1に記載の粘着付与剤。
- 前記ビニル重合体(A)が、その末端にフッ素原子が結合した炭素の数が1〜10であるフルオロアルキル基を有するものである請求項1又は2に記載の粘着付与剤。
- 請求項3に記載の粘着付与剤及びアクリル系粘着性ポリマー(B)を含む粘着剤組成物であって、前記アクリル系粘着性ポリマー(B)100質量部に対して、前記粘着付与剤を0.5〜60質量部含有する粘着剤組成物。
- 請求項4に記載の粘着剤組成物をセパレーターに塗工、乾燥させて粘着剤層を得た際に、当該粘着剤層のX線光電子分光分析により得られるその表層部分の組成から計算されるTgが、粘着剤組成物のTgよりも30℃以上高いことを特徴とする粘着剤組成物。
- 基材の片面若しくは両面に請求項4又は5に記載の粘着剤組成物から形成される粘着剤層を備えてなる粘着シート。
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