JP6302995B2 - 有機トランジスタ - Google Patents
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Description
特許文献2には、有機半導体膜を形成した後に洗浄溶液によって洗浄処理を行うことで、有機半導体膜などの有機膜における不純物を低減することが可能と記載されている。ただし、特許文献2には実施例で具体的に洗浄した場合について詳細な記載が無い。
特許文献3には、半導体材料として液晶性有機半導体材料を用い、不純物はチオフェン系材料である場合に、不純物を電気泳動で除くことにより、液晶系が本来的に有する電子電導特性を効果的に発現させ得ると記載されている。
特許文献4には、π共役系ポリマーからなり、含有される不純物の量が100ppm以下である有機半導体材料により、リーク電流の発生を抑え、良好なオン−オフ比を得ることが記載されている。特に特許文献4では、不純物として金属イオンが挙げられている。
特許文献5には、製膜時の濃縮を利用して再結晶を行う方法が記載されている。具体的には、縮合多環芳香族化合物溶液を、60〜230℃のベース上に配し、濃縮により縮合多環芳香族化合物膜を形成する方法により、高い移動度を発現する有機半導体膜を提供することが記載されている。
特に、特許文献4に記載の有機半導体材料を用いた有機トランジスタは、移動度が低いものであることがわかった。また、特許文献6に記載の有機トランジスタは、性能のバラツキが大きいことがわかった。
また、繰り返し駆動後の閾値電圧変化についても、素子ごとに性能のバラツキが大きいことがわかった。
上記課題を解決するための具体的な手段である本発明は、以下の構成を有する。
絶縁体層を有し、
絶縁体層の片側にお互いに離間したソース電極およびドレイン電極を有し、
絶縁体層のもう片側にゲート電極を有し、
ソース電極、ドレイン電極および絶縁体層に接した半導体活性層を有し、
基板、ゲート電極、絶縁体層および半導体活性層は積層した構造の有機トランジスタであり、
半導体活性層が
縮環芳香族化合物である有機半導体材料、ならびに、
成分Aとして、0.1〜10ppmのイオン性物質、水、酸素および0.5〜4000ppmの有機半導体材料と芳香族構造が同一である化合物のいずれかを含有する有機トランジスタ。
[2] [1]に記載の有機トランジスタは、成分Aとして有機半導体材料と芳香族構造が同一である縮環芳香族化合物を0.5〜4000ppm含有することが好ましい。
[3] [1]または[2]に記載の有機トランジスタは、有機半導体材料がチオフェン環を縮環中に含む縮環芳香族化合物であることが好ましい。
[4] [1]〜[3]のいずれか一つに記載の有機トランジスタは、有機半導体材料が下記一般式1で表される縮環芳香族化合物であることが好ましい;
一般式1
A1、B1およびC1はそれぞれ独立にベンゼン環、アゾール環、フラン環またはチオフェン環であり、複数のB1は同一であっても異なってもよい;
R11およびR12はそれぞれ独立にアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基またはヘテロアリール基であり;
R11とA1、または、R12とC1は、それぞれ独立に酸素原子、硫黄原子、二価の置換アミノ基、カルボニル基、スルホキシド基、スルホン基およびこれらの組み合わせのいずれかを介して結合してもよい;
n1は1〜5の整数である;
n11およびn12はそれぞれ独立に1〜3の整数である。
[5] [4]に記載の有機トランジスタは、成分Aが下記一般式3で表される化合物であることが好ましい;
一般式3
A3、B3およびC3はそれぞれ独立にベンゼン環、アゾール環、フラン環またはチオフェン環であり、複数のB3は同一であっても異なってもよい;
R31はアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基またはヘテロアリール基であり;
R32は水素原子、ハロゲン原子、置換リン原子または置換酸素原子であり;
R31とA3は、酸素原子、硫黄原子、二価の置換アミノ基、カルボニル基、スルホキシド基、スルホン基およびこれらの組み合わせのいずれかを介して結合してもよい;
n3は1〜5の整数である;
n31およびn32はそれぞれ独立に1〜3の整数である。
[6] [1]〜[3]のいずれか一つに記載の有機トランジスタは、有機半導体材料が下記一般式2で表される縮環芳香族化合物であることが好ましい;
一般式2
A2およびB2はそれぞれ独立に炭素数6〜14の芳香族炭化水素環または炭素数4〜12の芳香族ヘテロ環であり;
R21およびR22はそれぞれ独立にアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基またはヘテロアリール基であり;
R21とベンゼン環、または、R22とベンゼン環は、それぞれ独立に酸素原子、硫黄原子、二価の置換アミノ基、カルボニル基、スルホキシド基、スルホン基およびこれらの組み合わせを介して結合してもよい。
[7] [6]に記載の有機トランジスタは、成分Aが下記一般式4で表される化合物であることが好ましい;
一般式4
A4およびB4はそれぞれ独立に炭素数6〜14の芳香族炭化水素環、炭素数4〜12の芳香族ヘテロ環であり;
R41はアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基またはヘテロアリール基であり;
R41とベンゼン環は、酸素原子、硫黄原子、二価の置換アミノ基、カルボニル基、スルホキシド基、スルホン基およびこれらの組み合わせを介して結合してもよい;
R42は水素原子、ハロゲン原子、置換リン原子、置換酸素原子または有機半導体材料のR22と同一構造ではないアルキニル基である。
[8] [2]〜[7]のいずれか一つに記載の有機トランジスタは、成分Aが有機半導体層に0.5〜50ppm含まれることが好ましい。
[9] [1]に記載の有機トランジスタは、成分Aとして、イオン性物質を0.1〜10ppm含有することが好ましい。
[10] [1]に記載の有機トランジスタは、成分Aとして、水または酸素を含有することが好ましい。
[11] [10]に記載の有機トランジスタは、少なくとも1時間以上、酸素含率25%以下、かつ、相対湿度10%以下のガス雰囲気下で、保管されてなることが好ましい。
本発明において、各一般式の説明において特に区別されずに用いられている場合における水素原子は同位体(重水素原子等)も含んでいることを表す。さらに、置換基を構成する原子は、その同位体も含んでいることを表す。
本発明において、「芳香族構造」とは、有機化合物における芳香族性をもつ構造のことを言う。分子が芳香族性をもつためには、環状(4n+2)π電子系(Huckel則)であり、かつ、平面構造をもつという二つの条件を満たすことが必要となる。
本発明の有機トランジスタは、基板上に絶縁体層を有し、絶縁体層の片側にお互いに離間したソース電極およびドレイン電極を有し、絶縁体層のもう片側にゲート電極を有し、ソース電極、ドレイン電極および絶縁体層に接した半導体活性層を有し、基板、ゲート電極、絶縁体層および半導体活性層は積層した構造の有機トランジスタであり、半導体活性層が縮環芳香族化合物である有機半導体材料、ならびに、成分Aとして、0.1〜10ppmのイオン性物質、水、酸素および0.5〜4000ppmの有機半導体材料と芳香族構造が同一である化合物のいずれかを含有する。
このような構成により、本発明の有機トランジスタは、キャリア移動度、キャリア移動度ばらつき、繰り返し駆動後の閾値電圧変化および繰り返し駆動後の閾値電圧変化ばらつきのいずれかが改善される。
また、本発明の有機トランジスタは、繰り返し駆動後の閾値電圧変化ばらつきも小さいことが好ましい。
また、同様に有機光電変換素子として有用なものも、ただちには、求められるキャリア移動度が格段に高い有機トランジスタ用半導体材料として有用であると言うことはできない。
本発明の有機トランジスタは、後述の半導体活性層が縮環芳香族化合物である有機半導体材料を含む。
本発明に用いることができる縮環芳香族化合物はp型有機半導体材料、n型の有機半導体材料のどちらとして用いてもよいが、p型として用いることがより好ましい。有機半導体中のキャリアの流れやすさはキャリア移動度μで表される。キャリア移動度μは高い方がよく、1×10−4cm2/Vs以上であることが好ましく、1×10−2cm2/Vs以上であることがより好ましく、5×10−2cm2/Vs以上であることが特に好ましく、1×10−1cm2/Vs以上であることがより特に好ましく、2×10−1cm2/Vs以上であることがよりさらに特に好ましい。キャリア移動度μは電界効果トランジスタ(FET)素子を作製したときの特性や飛行時間計測(TOF)法により求めることができる。
本発明に用いることができる縮環芳香族化合物は、有機半導体材料がチオフェン環を縮環中に含む縮環芳香族化合物であることが、キャリア移動度を改善する観点から、より好ましい。
本発明に用いることができる縮環芳香族化合物の縮環芳香族構造は、後述の一般式1におけるA1、B1およびC1ならびにn1で表される縮環芳香族構造、あるいは、後述の一般式2におけるA2およびB2で表される縮環芳香族構造であることが特に好ましい。
以下において、一般式1で表される縮環芳香族化合物と、一般式2で表される縮環芳香族化合物について、この順に説明する。
一般式1
A1、B1およびC1はそれぞれ独立にベンゼン環、アゾール環、フラン環またはチオフェン環であり、複数のB1は同一であっても異なってもよい;
R11およびR12はそれぞれ独立にアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基またはヘテロアリール基であり;
R11とA1、または、R12とC1は、それぞれ独立に酸素原子、硫黄原子、二価の置換アミノ基、カルボニル基、スルホキシド基、スルホン基およびこれらの組み合わせのいずれかを介して結合してもよい;
n1は1〜5の整数である;
n11およびn12はそれぞれ独立に1〜3の整数である。
一般式1中、A1、B1およびC1はさらなる置換基を有していてもよく、この置換基としてはハロゲン原子を挙げることができ、フッ素原子が好ましい。一般式1中、A1、B1およびC1はさらなる置換基を有さないことが好ましい。
R11およびR12が表すアルキル基は、炭素数1〜30であることが好ましく、炭素数3〜18であることがより好ましく、炭素数5〜14であることが特に好ましい。また、R11およびR12が表すアルキル基は直鎖であっても、分枝であっても、環状であってもよいが、直鎖または分枝であることが好ましく、直鎖であることがより好ましい。
R11およびR12が表すアルケニル基は、炭素数2〜30であることが好ましく、炭素数3〜18であることがより好ましく、炭素数5〜14であることが特に好ましい。
R11およびR12が表すアルキニル基は、炭素数2〜30であることが好ましく、炭素数3〜18であることがより好ましく、炭素数5〜14であることが特に好ましい。R11およびR12が表すアルキニル基はさらに置換基を有していることも好ましく、この置換基としてはトリアルキルシリル基(好ましくは炭素数1〜3のアルキル基で3置換されたシリル基)、置換または無置換のフェニル基を挙げることができ、トリアルキルシリル基が好ましい。
R11およびR12が表すアリール基は、炭素数6〜30であることが好ましく、炭素数6〜14であることがより好ましく、フェニル基であることが特に好ましい。
R11およびR12が表すヘテロアリール基は、炭素数3〜12であることが好ましく、炭素数4〜8であることがより好ましく、炭素数4であることが特に好ましく、チエニル基であることがより特に好ましい。
本発明の有機トランジスタは、有機半導体材料が下記一般式2で表される縮環芳香族化合物であることが好ましい。
一般式2
A2およびB2はそれぞれ独立に炭素数6〜14の芳香族炭化水素環または炭素数4〜12の芳香族ヘテロ環であり;
R21およびR22はそれぞれ独立にアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基またはヘテロアリール基であり;
R21とベンゼン環、または、R22とベンゼン環は、それぞれ独立に酸素原子、硫黄原子、二価の置換アミノ基、カルボニル基、スルホキシド基、スルホン基およびこれらの組み合わせを介して結合してもよい。
A2およびB2が表す炭素数6〜14の芳香族炭化水素環としては、ベンゼン環、ナフチレン環が特に好ましく、ナフチレン環がより特に好ましい。
A2およびB2が表す炭素数4〜12の芳香族ヘテロ環としては、炭素数6〜12の芳香族ヘテロ環、アゾール環、フラン環またはチオフェン環が好ましく、炭素数6〜12の芳香族ヘテロ環がより好ましく、炭素数8〜12の芳香族ヘテロ環が特に好ましく、チエノベンゼン環、チエノチオフェン環がより特に好ましく、チエノベンゼン環がさらにより特に好ましい。
一般式2中、A2およびB2はさらなる置換基を有していてもよく、この置換基としてはハロゲン原子を挙げることができる。一般式2中、A2およびB2はさらなる置換基を有さないことが好ましい。
R21およびR22が表すアルキル基は、炭素数1〜30であることが好ましく、炭素数3〜18であることがより好ましく、炭素数4〜14であることが特に好ましい。また、R21およびR22が表すアルキル基は直鎖であっても、分枝であっても、環状であってもよいが、直鎖または分枝であることが好ましく、直鎖であることがより好ましい。
R21およびR22が表すアルケニル基は、炭素数2〜30であることが好ましく、炭素数3〜18であることがより好ましく、炭素数4〜14であることが特に好ましい。
R21およびR22が表すアルキニル基は、炭素数2〜30であることが好ましく、炭素数2〜18であることがより好ましく、炭素数2〜14であることが特に好ましい。R21およびR22が表すアルキニル基はさらに置換基を有していることも好ましく、この置換基としてはトリアルキルシリル基(好ましくは炭素数1〜3のアルキル基で3置換されたシリル基)、トリアルキルアルキル基(好ましくは炭素数1〜3のアルキル基で3置換されたメチル基)置換または無置換のフェニル基を挙げることができ、トリアルキルシリル基が好ましい。
R11およびR12が表すアリール基は、炭素数6〜30であることが好ましく、炭素数6〜18であることがより好ましく、フェニル基であることが特に好ましい。
R11およびR12が表すヘテロアリール基は、炭素数2〜12であることが好ましく、炭素数3〜8であることがより好ましく、炭素数4であることが特に好ましい。
本発明における有機半導体材料として用いることができる縮環芳香族化合物の具体的化合物例を以下に示す。
下記表中「*」は結合位置を表し、Meはメチル基を表し、Etはエチル基を表し、Phはフェニル基を表し、SiMe3はトリエチルシリル基を表し、SiEt3はトリエチルシリル基を表す。
一方で、膜の膜質安定性の観点からは、分子量は400以上であることが好ましく、450以上であることがより好ましく、500以上であることがさらに好ましい。
また、縮環芳香族縮環芳香族化合物が繰り返し構造を有する高分子化合物の場合は、重量平均分子量が3万以上であることが好ましく、5万以上であることがより好ましく、10万以上であることがさらに好ましい。縮環芳香族縮環芳香族化合物が繰り返し構造を有する高分子化合物である場合に、重量平均分子量を上記下限値以上とすることにより、分子間相互作用を高めることができ、高い移動度が得られるため好ましい。
繰り返し構造を有する高分子化合物としては、縮環芳香族縮環芳香族化合物が少なくとも1つ以上のアリーレン基、ヘテロアリーレン基(チオフェン、ビチオフェン)を表して繰り返し構造を示すπ共役ポリマーや、縮環芳香族縮環芳香族化合物が高分子主鎖に側鎖を介して結合したペンダント型ポリマーがあげられ、高分子主鎖としては、ポリアクリレート、ポリビニル、ポリシロキサンなどが好ましく、側鎖としては、アルキレン基、ポリエチレンオキシド基などが好ましい。
縮環芳香族縮環芳香族化合物の合成において、いかなる反応条件を用いてもよい。反応溶媒としては、いかなる溶媒を用いてもよい。また、環形成反応促進のために、酸または塩基を用いることが好ましく、特に塩基を用いることが好ましい。最適な反応条件は、目的とする化合物の構造により異なる。
本発明の有機トランジスタは、後述の半導体活性層が成分Aとして、0.1〜10ppmのイオン性物質、水、酸素および0.5〜4000ppmの有機半導体材料と芳香族構造が同一である化合物のいずれかを含有する。
これらの成分Aの中でも、本発明の有機トランジスタは、半導体活性層が成分Aとして0.1〜10ppmのイオン性物質および0.5〜4000ppmの有機半導体材料と芳香族構造が同一である縮環芳香族化合物のいずれかを含有することが好ましく、成分Aとして0.5〜4000ppmの有機半導体材料と芳香族構造が同一である縮環芳香族化合物を含有することがより好ましい。
以下、成分Aの好ましい態様について説明する。
半導体活性層中に含まれる上述の成分Aが、有機半導体材料と芳香族構造が同一である縮環芳香族化合物である場合について説明する。この場合、これらの構造類似性のため、成分Aが有機半導体材料の結晶表面に吸着し、結晶成長速度を制御することにより、結晶サイズを均一化させることができるために、キャリア移動度ばらつき、および、繰り返し駆動後の閾値電圧変化ばらつきが安定化すると考えられる。
半導体活性層中に含まれる上述の成分Aとしての有機半導体材料と芳香族構造が同一である縮環芳香族化合物の含有量は、0.5〜4000ppmであることが好ましく、0.5〜500ppmであることがより好ましく、0.5〜50ppmであることが特に好ましい。
半導体活性層中、上述の成分Aとしての有機半導体材料と芳香族構造が同一である縮環芳香族化合物の含有量は、繰り返し駆動後の閾値電圧変化ばらつきを改善する観点からは、0.5〜5ppmであることがより特に好ましく、0.5〜1ppmであることがさらにより特に好ましい。
一方、半導体活性層中、上述の成分Aとしての有機半導体材料と芳香族構造が同一である縮環芳香族化合物の含有量は、キャリア移動度ばらつきを改善する観点からは、1.5〜50ppmであることがより特に好ましく、5〜50ppmであることがさらにより特に好ましい。
本発明に用いることができる有機半導体材料と同一である芳香族構造は、後述の一般式3におけるA1、B1およびC1ならびにn1で表される縮環芳香族構造、あるいは、後述の一般式4におけるA2およびB2で表される縮環芳香族構造であることが特に好ましい。
一般式3
A3、B3およびC3はそれぞれ独立にベンゼン環、アゾール環、フラン環またはチオフェン環であり、複数のB3は同一であっても異なってもよい;
R31はアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基またはヘテロアリール基であり;
R32は水素原子、ハロゲン原子、置換リン原子または置換酸素原子であり;
R31とA3は、酸素原子、硫黄原子、二価の置換アミノ基、カルボニル基、スルホキシド基、スルホン基およびこれらの組み合わせのいずれかを介して結合してもよい;
n3は1〜5の整数である;
n31およびn32はそれぞれ独立に1〜3の整数である。
一般式3中におけるR31の好ましい範囲は、一般式1中におけるR11の好ましい範囲と同様である。
一般式3中におけるR31とA3の結合様式の好ましい範囲は、一般式1中におけるR11とA1の結合様式の好ましい範囲と同様である。
一般式3中におけるn3の好ましい範囲は、一般式1中におけるn1の好ましい範囲と同様である。
一般式3中におけるn31の好ましい範囲は、一般式1中におけるn11の好ましい範囲と同様である。
R32が表すハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子を挙げることができ、塩素原子または臭素原子が好ましい。
R32が表す置換リン原子としては、ジフェニルホスフィノ基、ジーt−ブチルフォスフィノ基、ジアリールホスフィノ基を挙げることができる。
R32が表す置換酸素原子としては、ヒドロキシル基、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜18のアルコキシ基、より好ましくはメチル基)、パーフルオロアルキルスルホニルオキシ基(好ましくはトリフルオロメチルスルホニルオキシ基)を挙げることができ、ヒドロキシル基、アルコキシ基、トリフルオロメチルスルホニルオキシ基が好ましい。
一般式4
A4およびB4はそれぞれ独立に炭素数6〜14の芳香族炭化水素環または炭素数4〜14の芳香族ヘテロ環であり;
R41はアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基またはヘテロアリール基であり;
R41とベンゼン環は、酸素原子、硫黄原子、二価の置換アミノ基、カルボニル基、スルホキシド基、スルホン基およびこれらの組み合わせを介して結合してもよい;
R42は水素原子、ハロゲン原子、置換リン原子、置換酸素原子または有機半導体材料のR22と同一構造ではないアルキニル基である。
一般式4中におけるR41の好ましい範囲は、一般式2中におけるR21の好ましい範囲と同様である。
一般式4中におけるR41とベンゼン環の結合様式の好ましい範囲は、一般式2中におけるR21とベンゼン環の結合様式の好ましい範囲と同様である。
R42が表すハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子を挙げることができ、塩素原子または臭素原子が好ましい。
R42が表す置換リン原子としては、ジフェニルホスフィノ基、ジーt−ブチルフォスフィノ基、ジアリールホスフィノ基を挙げることができる。
R42が表す置換酸素原子としては、ヒドロキシル基、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜18のアルコキシ基、より好ましくはメチル基)、パーフルオロアルキルスルホニルオキシ基(好ましくはトリフルオロメチルスルホニルオキシ基)を挙げることができ、ヒドロキシル基、アルコキシ基、トリフルオロメチルスルホニルオキシ基が好ましい。
R42が表す有機半導体材料のR22と同一構造ではないアルキニル基としては、炭素数2〜18のアルキニル基が好ましく、炭素数2〜14のアルキニル基がより好ましく、炭素数2のアルキニル基が特に好ましい。R42が表す有機半導体材料のR22と同一構造ではないアルキニル基はさらに置換基を有していてもよいが、無置換であることが好ましい。
下記表中「*」は結合位置を表し、Meはメチル基を表し、Etはエチル基を表し、Phはフェニル基を表し、SiMe3はトリエチルシリル基を表し、SiEt3はトリエチルシリル基を表す。
半導体活性層中に含まれる上述の成分Aが、イオン性物質である場合について説明する。この場合、キャリア散乱量が少ない状態への収斂が起こるためにキャリア移動度ばらつきが安定化すると考えられ、ドープ量が少ない状態への収斂が起こるために繰り返し駆動後の閾値電圧変化ばらつきが安定化すると考えられる。
本発明の有機トランジスタは、半導体活性層が、成分Aとして、0.1〜10ppmのイオン性物質を含む態様が好ましく、0.3〜5ppmのイオン性物質を含む態様がより好ましく、0.5〜4ppmのイオン性物質を含む態様が特に好ましい。
半導体活性層中に含まれる、成分Aとしてのイオン性物質が複数種である場合、成分Aとしてのイオン性物質の含有量は、複数種のイオン性物質の合計含有量が上述の範囲であることが好ましい。
半導体活性層中に含まれる上述の成分Aが、水および酸素のいずれかである場合について説明する。この場合、トラップ量が少ない状態への収斂が起こるためにキャリア移動度ばらつきが安定化すると考えられ、ドープ量が少ない状態への収斂が起こるために繰り返し駆動後の閾値電圧変化ばらつきが安定化すると考えられる。
本発明の有機トランジスタは、半導体活性層が、成分Aとして、水および酸素のいずれかを含む態様が好ましい。
半導体活性層が成分Aとして水を含む態様では、半導体活性層が成分Aとして水を0.1〜10ppm含むことが好ましく、0.3〜5ppm含むことがより好ましく、0.5〜4ppm含むことが特に好ましい。
半導体活性層が成分Aとして酸素を含む態様では、半導体活性層が成分Aとして酸素を0.1〜10ppm含むことが好ましく、0.3〜5ppm含むことがより好ましく、0.5〜4ppm含むことが特に好ましい。
本発明の有機トランジスタの構造は、基板上に絶縁体層を有し、絶縁体層の片側にお互いに離間したソース電極およびドレイン電極を有し、絶縁体層のもう片側にゲート電極を有し、ソース電極、ドレイン電極および絶縁体層に接した半導体活性層を有し、基板、ゲート電極、絶縁体層および半導体活性層は積層した構造の有機トランジスタである。
本発明の有機トランジスタは、有機電界効果トランジスタ(Field Effect Transistor、FET)として用いられることが好ましく、ゲート−チャンネル間が絶縁されている絶縁ゲート型FETとして用いられることがより好ましい。
以下、本発明の有機トランジスタの好ましい構造の態様について、図面を用いて詳しく説明するが、本発明はこれらの態様に限定されるものではない。
有機電界効果トランジスタの積層構造としては特に制限はなく、公知の様々な構造のものとすることができる。
本発明の有機トランジスタの構造の一例としては、最下層の基板の上面に、電極、絶縁体層、半導体活性層(有機半導体層)、2つの電極を順に配置した構造(ボトムゲート・トップコンタクト型)を挙げることができる。この構造では、最下層の基板の上面の電極は基板の一部に設けられ、絶縁体層は、電極以外の部分で基板と接するように配置される。また、半導体活性層の上面に設けられる2つの電極は、互いに隔離して配置される。
ボトムゲート・トップコンタクト型素子の構成を図1に示す。図1は、本発明の有機トランジスタの一例の構造の断面を示す概略図である。図1の有機トランジスタは、最下層に基板11を配置し、その上面の一部に電極12を設け、さらにこの電極12を覆い、かつ電極12以外の部分で基板11と接するように絶縁体層13を設けている。さらに絶縁体層13の上面に半導体活性層14を設け、その上面の一部に2つの電極15aと15bとを隔離して配置している。
図1に示した有機トランジスタは、電極12がゲートであり、電極15aと電極15bはそれぞれドレインまたはソースである。また、図1に示した有機トランジスタは、ドレイン−ソース間の電流通路であるチャンネルと、ゲートとの間が絶縁されている絶縁ゲート型FETである。
ボトムゲート・ボトムコンタクト型素子の構成を図2に示す。図2は実施例でFET特性測定用基板として製造した有機トランジスタの構造の断面を示す概略図である。図2の有機トランジスタは、最下層に基板31を配置し、その上面の一部に電極32を設け、さらにこの電極32を覆い、かつ電極32以外の部分で基板31と接するように絶縁体層33を設けている。さらに絶縁体層33の上面に半導体活性層35を設け、電極34aと34bが半導体活性層35の下部にある。
図2に示した有機トランジスタは、電極32がゲートであり、電極34aと電極34bはそれぞれドレインまたはソースである。また、図2に示した有機トランジスタは、ドレイン−ソース間の電流通路であるチャンネルと、ゲートとの間が絶縁されている絶縁ゲート型FETである。
本発明の有機トランジスタは、より薄いトランジスタとする必要がある場合には、例えばトランジスタ全体の厚さを0.1〜0.5μmとすることが好ましい。
有機トランジスタ素子を大気や水分から遮断し、有機トランジスタ素子の保存性を高めるために、有機トランジスタ素子全体を金属の封止缶やガラス、窒化ケイ素などの無機材料、パリレンなどの高分子材料や、低分子材料などで封止してもよい。
以下、本発明の有機トランジスタの各層の好ましい態様について説明するが、本発明はこれらの態様に限定されるものではない。
(材料)
本発明の有機トランジスタは、基板を含む。
基板の材料としては特に制限はなく、公知の材料を用いることができ、例えば、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレンテレフタレート(PET)などのポリエステルフィルム、シクロオレフィンポリマーフィルム、ポリカーボネートフィルム、トリアセチルセルロース(TAC)フィルム、ポリイミドフィルム、およびこれらポリマーフィルムを極薄ガラスに貼り合わせたもの、セラミック、シリコン、石英、ガラス、などを挙げることができ、シリコンが好ましい。
(材料)
本発明の有機トランジスタは、ソース電極、ドレイン電極およびゲート電極などの電極を含む。
電極の構成材料としては、例えば、Cr、Al、Ta、Mo、Nb、Cu、Ag、Au、Pt、Pd、In、NiあるいはNdなどの金属材料やこれらの合金材料、あるいはカーボン材料、導電性高分子などの既知の導電性材料であれば特に制限することなく使用できる。
電極の厚さは特に制限はないが、10〜50nmとすることが好ましい。
ゲート幅(またはチャンネル幅)Wとゲート長(またはチャンネル長)Lに特に制限はないが、これらの比W/Lが10以上であることが好ましく、20以上であることがより好ましい。
(材料)
絶縁層を構成する材料は必要な絶縁効果が得られれば特に制限はないが、例えば、二酸化ケイ素、窒化ケイ素、PTFE、CYTOP等のフッ素ポリマー系絶縁材料、ポリエステル絶縁材料、ポリカーボネート絶縁材料、アクリルポリマー系絶縁材料、エポキシ樹脂系絶縁材料、ポリイミド絶縁材料、ポリビニルフェノール樹脂系絶縁材料、ポリパラキシリレン樹脂系絶縁材料などが挙げられる。
絶縁層の上面は表面処理がなされていてもよく、例えば、二酸化ケイ素表面をヘキサメチルジシラザン(HMDS)やオクタデシルトリクロロシラン(OTS)の塗布により表面処理した絶縁層を好ましく用いることができる。
絶縁層の厚さに特に制限はないが、薄膜化が求められる場合は厚さを10〜400nmとすることが好ましく、20〜200nmとすることがより好ましく、50〜200nmとすることが特に好ましい。
(材料)
本発明の有機トランジスタは、半導体活性層が縮環芳香族化合物である有機半導体材料、ならびに、成分Aとして、0.1〜10ppmのイオン性物質、水、酸素および0.5〜4000ppmの有機半導体材料と芳香族構造が同一である化合物のいずれかを含有する。
半導体活性層は、縮環芳香族化合物である有機半導体材料および成分Aからなる層であってもよく、環芳香族化合物である有機半導体材料および成分Aに加えて後述のポリマーバインダーがさらに含まれた層であってもよい。また、成膜時の残留溶媒が含まれていてもよい。
半導体活性層中におけるポリマーバインダーの含有量は、特に制限はないが、好ましくは0〜95質量%の範囲内で用いられ、より好ましくは10〜90質量%の範囲内で用いられ、さらに好ましくは20〜80質量%の範囲内で用いられ、特に好ましくは30〜70質量%の範囲内で用いられる。
半導体活性層の厚さに特に制限はないが、薄膜化が求められる場合は厚さを10〜400nmとすることが好ましく、10〜200nmとすることがより好ましく、10〜100nmとすることが特に好ましい。
ポリマーバインダーは、単独で使用してもよく、あるいは複数併用してもよい。
また、有機半導体材料とポリマーバインダーとは均一に混合していてもよく、一部または全部が相分離していてもよいが、電荷移動度の観点では、膜中で膜厚方向に有機半導体とバインダーが相分離した構造が、バインダーが有機半導体の電荷移動を妨げず最も好ましい。
膜の機械的強度を考慮するとガラス転移温度の高いポリマーバインダーが好ましく、電荷移動度を考慮すると極性基を含まない構造のポリマーバインダーや光伝導性ポリマー、導電性ポリマーが好ましい。
ポリマーバインダーの使用量は、特に制限はないが、非発光性有機半導体デバイス用有機半導体膜中、好ましくは0〜95質量%の範囲内で用いられ、より好ましくは10〜90質量%の範囲内で用いられ、さらに好ましくは20〜80質量%の範囲内で用いられ、特に好ましくは30〜70質量%の範囲内で用いられる。
縮環芳香族化合物を基板上に成膜する方法はいかなる方法でもよい。
成膜の際、基板を加熱または冷却してもよく、基板の温度を変化させることで膜質や膜中での分子のパッキングを制御することが可能である。基板の温度としては特に制限はないが、0℃から200℃の間であることが好ましく、15℃〜100℃の間であることがより好ましく、20℃〜95℃の間であることが特に好ましい。
縮環芳香族化合物を基板上に成膜するとき、真空プロセスあるいは溶液プロセスにより成膜することが可能であり、いずれも好ましい。
非発光性有機半導体デバイス用有機半導体膜は、溶液塗布法により作製されたことが好ましい。また、非発光性有機半導体デバイス用有機半導体膜がポリマーバインダーを含有する場合、層を形成する材料とポリマーバインダーとを適当な溶媒に溶解させ、または分散させて塗布液とし、各種の塗布法により形成されることが好ましい。
以下、溶液プロセスによる成膜に用いることができる、非発光性有機半導体デバイス用塗布溶液について説明する。
また、非発光性有機半導体デバイス用塗布溶液は、縮環芳香族化合物とポリマーバインダーを含有してもよい。この場合、層を形成する材料とポリマーバインダーとを前述の適当な溶媒に溶解させ、または分散させて塗布液とし、各種の塗布法により膜を形成することができる。ポリマーバインダーとしては、上述したものから選択することができる。
下記原料2−1 1gにTHF/水混合溶媒30ml、Organic Synthesis. 1993年, 71号, 89項に従って調製した1−デセンの9−BBN(9−borabicyclo[3.3.1]nonane)付加体過剰量、PdCl2(dppf)塩化メチレン錯体 0.02等量、NaOH 1等量を加え、75℃で20時間攪拌した。反応液を水洗、濃縮後シリカゲルカラムクロマトグラフィー(塩化メチレン−へキサン混合溶媒)により精製し、固体を得た。このうち500mgを、Pd/C 100mg、トルエン−酢酸混合溶媒20mLに加え、水素雰囲気下で、14時間攪拌した。反応液をろ過、濃縮、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(塩化メチレン−ヘキサン混合溶媒)により精製し、下記化合物2を主成分とする比較サンプル2を得た。
Organic Letters, 2005年, 7巻, 5301頁を参考に合成した下記原料3−1 3gに塩化メチレン100mlを加え、BF3エーテル錯体溶液を加え、室温で14時間攪拌し、反応液を水洗、濃縮することで固体物を得た。これを、メタノールで洗浄し、真空乾燥後、ALSテクノロジー製昇華精製装置ALS−160Hで精製し、対応する脱メチル体を得た。この脱メチル体2gに塩化メチレン100mlを加え氷水で冷却した。これに過剰量の無水トリフルオロメタンスルホン酸とピリジンを加え、14時間攪拌し、反応液を水洗、濃縮することで固体物を得た。これを、塩化メチレンに溶解し、エタノールを加えることで結晶を析出させ、濾別、洗浄、乾燥することで対応するトリフラート体を得た。得られたトリフラート体に比較サンプル2と同様に1−ヘキシンの9−BBN付加体と反応させることで、下記化合物3を主成分とする比較サンプル3を得た。
WO2012/090462号の記載を参考に下記原料4−1を合成し、これを原料に比較サンプル3と同様にメトキシ基をヘプチル基に官能基変換を行い、対応する下記化合物4を主成分とする比較サンプル4を得た。
比較サンプル1〜6(各1mg)とトルエン(1mL)を混合し、100℃に加熱したものを、非発光性有機半導体デバイス用塗布溶液とした。この塗布溶液を窒素雰囲気下、90℃に加熱したFET特性測定用基板上にキャストすることで、非発光性有機半導体デバイス用有機半導体膜を形成し、FET特性測定用の比較例1〜6の有機トランジスタ素子を得た。FET特性測定用基板としては、ソースおよびドレイン電極としてくし型に配置されたクロム/金、絶縁体層としてSiO2(膜厚180nm)を備えたボトムゲート・ボトムコンタクト構造のシリコン基板(図2に構造の概略図を示した)を用いた。各基板にはゲート幅W=100μm、200μm、400μm、ゲート長L=100μm、75μm、50μmの3x3の組み合わせからなる9素子のセットを二組用意し、1基板で18素子を持つものである。
得られた有機トランジスタ素子を、比較例1〜6の有機トランジスタとした。
比較例1〜6および後述の各実施例の有機トランジスタ素子のFET特性は、セミオートプローバー(ベクターセミコン製、AX−2000)を接続した半導体パラメーターアナライザー(Agilent製、4156C)を用いて常圧・窒素雰囲気下で、下記の各特性について測定を行った。
得られた結果を下記表に示す。
各有機トランジスタ素子(FET素子)のソース電極−ドレイン電極間に−70Vの電圧を印加し、ゲート電圧を20V〜−100Vの範囲で変化させ、ドレイン電流Idを表わす下記式を用いてキャリア移動度μを算出した。
Id=(w/2L)μCi(Vg−Vth)2
式中、Lはゲート長、Wはゲート幅、Ciは絶縁層の単位面積当たりの容量、Vgはゲート電圧、Vthは閾値電圧を表す。基板上すべての素子の値の平均値を平均キャリア移動度とした。
基板ごとに、個々の素子について得られた値(合計50個)の上位から10番目のキャリア移動度値と、下位から10番目のキャリア移動度値の差をデータ幅とし、このデータ幅の平均キャリア移動度値に対する相対値を、キャリア移動度ばらつきとした。
各有機トランジスタ素子(FET素子)のソース電極−ドレイン電極間に−70Vの電圧を印加し、ゲート電圧を+20V〜−100Vの範囲で100回スイープし、その前後の閾値電圧V後の差(繰り返し駆動前の閾値電圧V前と繰り返し駆動後の閾値電圧V後の差、|V後−V前|)を基板上の全ての素子の値の平均の平均値を求めた。この値は小さいほど良い。
基板ごとに、個々の素子について得られた値(合計50個)の上位から10番目の繰り返し駆動後の閾値電圧変化値と、下位から10番目の値の繰り返し駆動後の閾値電圧変化差をデータ幅とし、このデータ幅の平均値繰り返し駆動後の閾値電圧変化に対する相対値を、繰り返し駆動後の閾値電圧変化ばらつきとした。
比較サンプル1を、山善(株)製の分取クロマト装置FR−360を使用し、溶離液としてヘキサン−塩化メチレン混合溶媒を用いて精製した。精製度の異なるフラクションが得られたため、各フラクションをそれぞれ1−1a、1−1b、1−1cおよび1−1dのサンプルとした。これらの1−1a、1−1b、1−1cおよび1−1dのサンプルを用いた以外は比較サンプル1と同様にして、FET特性測定用の実施例1−1a、実施例1−1b、実施例1−1cおよび実施例1−1dの有機トランジスタ素子を得た。これらの各実施例の有機トランジスタ素子のトランジスタ特性を比較例1と同様に評価した。
その結果、下記表より、キャリア移動度ばらつきおよび繰り返し駆動後の閾値電圧変化ばらつきに関しては大きな差が見られた。各フラクションの成分分析および不純物の同定を行ったところ、下記の特定化合物1Aが含まれることがわかった。また、下記特定化合物1Aの含率が一定量以下である場合、より良好な結果が得られることが分かった。
下記特定化合物1Aの含率は、各実施例に用いた非発光性有機半導体デバイス用有機半導体膜をHPLC用テトラヒドロフランに溶解し、島津製作所(株)社製、高速液体クロマトグラフィープロミネンスシステムを用いて、以下の測定条件で測定した。
溶離液:テトラヒドロフランー水グラジエント、検出波長254nm、送液速度1.0ml/分、分析カラム:東ソー(株)製TSKGel ODS−100Z。
A:基準値に対し1.2倍以上(良化)
B:基準値に対し0.5倍以上、1.2倍未満
C:基準値に対し0.5倍未満
キャリア移動度ばらつきおよび繰り返し駆動後の閾値電圧変化ばらつきに対する特定化合物1Aの効果は、主成分と構造および性質が酷似しているため、半導体層の結晶形成時に結晶表面に吸着し、結晶成長制御材としての効果を奏したと考えられる。
実施例1−1において、比較サンプル1を比較サンプル2に置き換えた以外は実施例1−1と同様な実験を行い、精製度の異なるフラクション1−2a、1−2b、1−2cおよび1−2dのサンプルを得て、これらを用いたFET特性測定用の実施例1−2a、実施例1−2b、実施例1−2cおよび実施例1−2dの有機トランジスタ素子を得た。これらの各実施例の有機トランジスタ素子のトランジスタ特性を比較例1と同様に評価した。以下に結果を示す。
下記表より、キャリア移動度ばらつきおよび繰り返し駆動後の閾値電圧変化ばらつきに関しては大きな差が見られた。各フラクションの成分分析および不純物の同定を行ったところ、主成分である化合物2と芳香族構造が同一である下記の特定化合物2Aが含まれることがわかった。また、下記特定化合物2Aの含率が一定量以下である場合、より良好な結果が得られることが分かった。
下記特定化合物2Aの含率は、特定化合物1Aと同様に測定した。
A:基準値に対し1.2倍以上(良化)
B:基準値に対し0.5倍以上、1.2倍未満
C:基準値に対し0.5倍未満
実施例1−1において、比較サンプル1を比較サンプル3に置き換えた以外は実施例1−1と同様な実験を行い、精製度の異なるフラクション1−3a、1−3b、1−3cおよび1−3dのサンプルを得て、これらを用いたFET特性測定用の実施例1−3a、実施例1−3b、実施例1−3cおよび実施例1−3dの有機トランジスタ素子を得た。これらの各実施例の有機トランジスタ素子のトランジスタ特性を比較例1と同様に評価した。以下に結果を示す。
下記表より、キャリア移動度ばらつきおよび繰り返し駆動後の閾値電圧変化ばらつきに関しては大きな差が見られた。各フラクションの成分分析および不純物の同定を行ったところ、主成分である化合物3と芳香族構造が同一である下記の特定化合物3Aが含まれることがわかった。また、下記特定化合物3Aの含率が一定量以下である場合、より良好な結果が得られることが分かった。
下記特定化合物3Aの含率は特定化合物1Aと同様に測定した。
A:基準値に対し1.2倍以上(良化)
B:基準値に対し0.5倍以上、1.2倍未満
C:基準値に対し0.5倍未満
実施例1−1において、比較サンプル1を比較サンプル4に置き換えた以外は実施例1−1と同様な実験を行い、精製度の異なるフラクション1−4a、1−4b、1−4cおよび1−4dのサンプルを得て、これらを用いたFET特性測定用の実施例1−4a、実施例1−4b、実施例1−4cおよび実施例1−4dの有機トランジスタ素子を得た。これらの各実施例の有機トランジスタ素子のトランジスタ特性を比較例1と同様に評価した。以下に結果を示す。
下記表より、キャリア移動度ばらつきおよび繰り返し駆動後の閾値電圧変化ばらつきに関しては大きな差が見られた。各フラクションの成分分析および不純物の同定を行ったところ、主成分である化合物4と芳香族構造が同一である下記の特定化合物4Aが含まれることがわかった。また、下記特定化合物4Aの含率が一定量以下である場合、より良好な結果が得られることが分かった。
下記特定化合物4Aの含率は特定化合物1Aと同様に測定した。
A:基準値に対し1.2倍以上(良化)
B:基準値に対し0.5倍以上、1.2倍未満
C:基準値に対し0.5倍未満
実施例1−1において、比較サンプル1を比較サンプル5に置き換えた以外は実施例1−1と同様な実験を行い、精製度の異なるフラクション1−5a、1−5b、1−5cおよび1−5dのサンプルを得て、これらを用いたFET特性測定用の実施例1−5a、実施例1−5b、実施例1−5cおよび実施例1−5dの有機トランジスタ素子を得た。これらの各実施例の有機トランジスタ素子のトランジスタ特性を比較例1と同様に評価した。以下に結果を示す。
下記表より、キャリア移動度ばらつきおよび繰り返し駆動後の閾値電圧変化ばらつきに関しては大きな差が見られた。各フラクションの成分分析および不純物の同定を行ったところ、主成分である化合物5と芳香族構造が同一である下記の特定化合物5Aが含まれることがわかった。また、下記特定化合物5Aの含率が一定量以下である場合、より良好な結果が得られることが分かった。
下記特定化合物5Aの含率は特定化合物1Aと同様に測定した。
A:基準値に対し1.2倍以上(良化)
B:基準値に対し0.5倍以上、1.2倍未満
C:基準値に対し0.5倍未満
実施例1−1において、比較サンプル1を比較サンプル6に置き換えた以外は実施例1−1と同様な実験を行い、精製度の異なるフラクション1−6a、1−6b、1−6cおよび1−6dのサンプルを得て、これらを用いたFET特性測定用の実施例1−6a、実施例1−6b、実施例1−6cおよび実施例1−6dの有機トランジスタ素子を得た。これらの各実施例の有機トランジスタ素子のトランジスタ特性を比較例1と同様に評価した。以下に結果を示す。
下記表より、キャリア移動度ばらつきおよび繰り返し駆動後の閾値電圧変化ばらつきに関しては大きな差が見られた。各フラクションの成分分析および不純物の同定を行ったところ、主成分である化合物6と芳香族構造が同一である下記の特定化合物6Aが含まれることがわかった。また、下記特定化合物6Aの含率が一定量以下である場合、より良好な結果が得られることが分かった。
下記特定化合物6Aの含率は特定化合物1Aと同様に測定した。
A:基準値に対し1.2倍以上(良化)
B:基準値に対し0.5倍以上、1.2倍未満
C:基準値に対し0.5倍未満
イオン性物質の影響を調査するために、比較サンプル1を市販のガラス製クロマト用カラムを使用し、溶離液にクロロホルム−テトラヒドロフラン−n−ヘキサングラジエントを用いてカラムクロマトグラフィーを用いて精製度の異なるサンプルを得た。特に精製回数2回目以降は使用する全ての器具をあらかじめ希塩酸で洗浄し、さらに超純粋で洗浄したものを用いた。
比較サンプル1および各精製回数のサンプル中のイオン性物質の量は、各実施例に用いた非発光性有機半導体デバイス用有機半導体膜を灰化・酸溶解し、アジレント社製ICP−MS HP7700を用いて定量した。具体的には、ナトリウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオンの総和をppm単位で求めた。
これらの各精製回数のサンプルを用いた以外は比較サンプル1を用いた比較例1〜6と同様にして、FET特性測定用の実施例2−1の有機トランジスタ素子を得た。これらの各実施例の有機トランジスタ素子のトランジスタ特性を比較サンプル1と同様に評価した。
実施例2−1および後述の実施例2−2〜2−6において、キャリア移動度そのものは主成分である化合物によって異なるため、対応する主成分である化合物を含む未精製の比較サンプルを用いた比較例1〜6の有機トランジスタ素子のキャリア移動度を、各実施例の有機トランジスタ素子のキャリア移動度の基準値とした。
実施例2−1において、比較サンプル1の代わりに比較サンプル2〜6を用い、精製は2回とした以外は実施例2−1と同様にして、実施例2−2〜2−6の有機トランジスタ素子とした。
比較サンプル2〜6および実施例2−2〜2−6で用いた精製回数2回のサンプル中のイオン性物質の量を、実施例2−1と同様に測定した。
これらの各実施例の有機トランジスタ素子のトランジスタ特性を比較サンプル1と同様に評価した。
得られた結果を下記表に示した。
水および酸素の影響を調査するために、有機トランジスタの24時間保管および特性評価を下記表に示すようなガス雰囲気下で行った。酸素含率はガス雰囲気における酸素の相対量(%)である。雰囲気ガスはガスボンベを用いて窒素−酸素混合ガスを調製し、これに一定量の加湿を行うことで調製した。トランジスタの保管はガス雰囲気下で24時間とした。
これらの各精製回数のサンプルを用いた以外は比較サンプル1を用いた比較例1〜6と同様にして、FET特性測定用の実施例3−1a、実施例3−1b、実施例3−1c、実施例3−1d、実施例3−1eおよび実施例3−1fの有機トランジスタ素子を得た。これらの各実施例の有機トランジスタ素子のトランジスタ特性を比較サンプル1と同様に評価した。
実施例3−1および後述の実施例3−2〜3−6において、繰り返し駆動後の閾値電圧変化そのものは主成分である化合物によって異なるため、対応する主成分である化合物を含む未精製の比較サンプルを用いた比較例1〜6の有機トランジスタ素子の繰り返し駆動後の閾値電圧変化を、各実施例の有機トランジスタの繰り返し駆動後の閾値電圧変化の基準値とした。
実施例3−1fにおいて、比較サンプル1の代わりに比較サンプル2〜6を用い、その他は実施例3−1fと同様にして実施例、3−2〜3−6の有機トランジスタ素子とした。
これらの各実施例の有機トランジスタ素子のトランジスタ特性を比較サンプル1と同様に評価した。
得られた結果を下記表に示した。
有機トランジスタ素子の保管時のガス雰囲気における酸素含率は低い方が好ましいことがわかる。
有機トランジスタ素子の保管時のガス雰囲気における相対湿度は低い方が好ましいことがわかる。
12 ゲート電極
13 絶縁体層
14 半導体活性層(有機物層、有機半導体層)
15a、15b ソース電極およびドレイン電極
31 基板
32 ゲート電極
33 絶縁体層
34a、34b ソース電極およびドレイン電極
35 半導体活性層(有機物層、有機半導体層)
Claims (1)
- 基板上に
絶縁体層を有し、
前記絶縁体層の片側にお互いに離間したソース電極およびドレイン電極を有し、
前記絶縁体層のもう片側にゲート電極を有し、
前記ソース電極、前記ドレイン電極および前記絶縁体層に接した半導体活性層を有し、
前記基板、前記ゲート電極、前記絶縁体層および前記半導体活性層は積層した構造の有機トランジスタであり、
前記半導体活性層が
縮環芳香族化合物である有機半導体材料、ならびに、
成分Aとして、7〜50ppmの前記有機半導体材料と芳香族構造が同一である化合物を含有し、
前記有機半導体材料が下記一般式1で表される縮環芳香族化合物であり、
前記成分Aが下記一般式3で表される化合物である有機トランジスタ;
一般式1
一般式1中、
A 1 、B 1 およびC 1 はそれぞれ独立にベンゼン環、アゾール環、フラン環またはチオフェン環であり、A 1 、B 1 およびC 1 のうち少なくとも1つはチオフェン環であり、複数のB 1 は同一であっても異なってもよい;
R 11 およびR 12 はそれぞれ独立にアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基またはヘテロアリール基であり;
R 11 とA 1 、または、R 12 とC 1 は、それぞれ独立に酸素原子、硫黄原子、二価の置換アミノ基、カルボニル基、スルホキシド基、スルホン基およびこれらの組み合わせのいずれかを介して結合してもよい;
n1は1〜5の整数である;
n11およびn12はそれぞれ独立に1〜3の整数である;
一般式3
一般式3中、
A 3 、B 3 およびC 3 はそれぞれ独立にベンゼン環、アゾール環、フラン環またはチオフェン環であり、A 3 、B 3 およびC 3 のうち少なくとも1つはチオフェン環であり、複数のB 3 は同一であっても異なってもよい;
R 31 はアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基またはヘテロアリール基であり;
R 32 は水素原子、ハロゲン原子、置換リン原子または置換酸素原子であり;
R 31 とA 3 は、酸素原子、硫黄原子、二価の置換アミノ基、カルボニル基、スルホキシド基、スルホン基およびこれらの組み合わせのいずれかを介して結合してもよい;
n3は1〜5の整数である;
n31およびn32はそれぞれ独立に1〜3の整数である;
但しA 3 、B 3 、C 3 、R 31 およびn3はそれぞれ前記一般式(1)のA 1 、B 1 、C 1 、R 11 およびn1と同じである。
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