JP6314601B2 - 芳香族ポリカーボネート樹脂組成物 - Google Patents
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Description
前記芳香族ポリカーボネート樹脂と前記スチレン系樹脂との割合(質量比)が95:5〜1:99であり、且つ前記環状カーボネートが、前記芳香族ポリカーボネート樹脂に対して3000ppm以下で存在する、芳香族ポリカーボネート樹脂組成物:
一般式(I):
(式中、R1及びR2は、各々独立して、ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜20のシクロアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数6〜20のシクロアルコキシ基、又は炭素数6〜20のアリールオキシ基を表し、p及びqは、0〜4の整数を表し、Xは、単結合又は下記(Ia)の群から選択される基を表す)
(ここで、R3及びR4は、各々独立して、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、又は炭素数6〜10のアリール基を表すか、あるいはR3とR4は、相互に結合して脂肪族環を形成していてもよい)
一般式(II):
(式中、Ra及びRbは、各々独立して、水素原子、ハロゲン原子、酸素原子もしくはハロゲン原子を含んでいてもよい炭素数1〜30の直鎖もしくは分岐のアルキル基、酸素原子もしくはハロゲン原子を含んでいてもよい炭素数3〜30のシクロアルキル基、酸素原子もしくはハロゲン原子を含んでいてもよい炭素数6〜30のアリール基、又は酸素原子もしくはハロゲン原子を含んでいてもよい炭素数1〜15のアルコキシ基を表すか、あるいはRa及びRbは、相互に結合して環を形成していてもよく、R5〜R8は、各々独立して、水素原子、ハロゲン原子又は炭素数1〜5の直鎖もしくは分岐のアルキル基を表し、nは0〜30の整数を表す)。
一般式(IIa):
(式中、Ra及びRbは、各々独立して、水素原子、ハロゲン原子、酸素原子もしくはハロゲン原子を含んでいてもよい炭素数1〜30の直鎖もしくは分岐のアルキル基、酸素原子もしくはハロゲン原子を含んでいてもよい炭素数3〜30のシクロアルキル基、酸素原子もしくはハロゲン原子を含んでいてもよい炭素数6〜30のアリール基、又は酸素原子もしくはハロゲン原子を含んでいてもよい炭素数1〜15のアルコキシ基を表すか、あるいはRa及びRbは、相互に結合して環を形成していてもよい)。
一般式(III):
(式中、Xは、前記1)と同義である。)。
N値=(log(Q160値)-log(Q10値))/(log160−log10) ・・・(1)
一般式(IV):
(式中、Ra及びRbは、各々独立して、水素原子、ハロゲン原子、酸素原子もしくはハロゲン原子を含んでいてもよい炭素数1〜30の直鎖もしくは分岐のアルキル基、酸素原子もしくはハロゲン原子を含んでいてもよい炭素数3〜30のシクロアルキル基、酸素原子もしくはハロゲン原子を含んでいてもよい炭素数6〜30のアリール基、又は酸素原子もしくはハロゲン原子を含んでいてもよい炭素数1〜15のアルコキシ基を表すか、あるいはRa及びRbは、相互に結合して環を形成していてもよく、R5〜R8は、各々独立して、水素原子、ハロゲン原子又は炭素数1〜5の直鎖もしくは分岐のアルキル基を表し、nは、0〜30の整数を表す)。
一般式(IVa):
(式中、Ra及びRbは、各々独立して、水素原子、ハロゲン原子、酸素原子もしくはハロゲン原子を含んでいてもよい炭素数1〜30の直鎖もしくは分岐のアルキル基、酸素原子もしくはハロゲン原子を含んでいてもよい炭素数3〜30のシクロアルキル基、酸素原子もしくはハロゲン原子を含んでいてもよい炭素数6〜30のアリール基、又は酸素原子もしくはハロゲン原子を含んでいてもよい炭素数1〜15のアルコキシ基を表すか、あるいはRa及びRbは、相互に結合して環を形成していてもよい)。
(1)芳香族ポリカーボネート樹脂
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物は、下記一般式(I)で表される構造単位を主たる構造単位として有する、芳香族ポリカーボネート樹脂を含む。ここで「主たる」とは、芳香族ポリカーボネート樹脂中の全構造単位中における一般式(I)で表される構造単位の含有率が60モル%以上であることを意味し、80モル%以上であることが好ましく、90モル%以上であることがより好ましい。
一般式(I):
一般に芳香族ポリカーボネート樹脂における末端部分は、フェノール等の芳香族モノヒドロキシ化合物で封止された構造となっているが、一部が水酸基となっている場合がある。したがって、芳香族ポリカーボネート樹脂の末端水酸基濃度とは、芳香族ポリカーボネート樹脂における水酸基の含有割合である。末端水酸基濃度は、例えば、1H−NMR解析により測定することができる。
なお、数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)は、GPCを用いてポリスチレン換算値として測定される。
N値=(log(Q160値)-log(Q10値))/(log160−log10) ・・・(1)
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物は、スチレン系樹脂を含む。本発明で使用されるスチレン系樹脂としては、スチレン系単量体を重合してなる重合体、スチレン系単量体及びスチレン系単量体と共重合可能な単量体の共重合体、ゴムの存在下少なくともスチレン系単量体を重合してなるグラフト共重合体、ゴムの存在下少なくともスチレン系単量体及びスチレン系単量体と共重合可能な単量体を重合してなるグラフト共重合体等が挙げられる。スチレン系単量体と共重合可能な単量体としては、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸アルキルエステル等が挙げられる。
。
ジエン系ゴムとしては、例えば、ポリブタジエン、ブタジエン/スチレン共重合体、ポリイソプレン、ブタジエン/(メタ)アクリル酸の低級アルキルエステル共重合体、ブタジエン/スチレン/(メタ)アクリル酸の低級アルキルエステル共重合体等が挙げられる。(メタ)アクリル酸の低級アルキルエステルとしては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル等が挙げられる。ブタジエン/(メタ)アクリル酸の低級アルキルエステル共重合体又はブタジエン/スチレン/(メタ)アクリル酸の低級アルキルエステル共重合体における(メタ)アクリル酸の低級アルキルエステルの割合は、ゴム重量の30重量%以下であることが好ましい。
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物には、一般式(I)で表される構造単位を有する芳香族ポリカーボネート樹脂に対して、下記一般式(II)で表される環状カーボネートが3000ppm以下で存在している。下記一般式(II)で表される環状カーボネートは、従来公知の化合物であり、試薬供給業者等より入手できるか、又は従来公知の任意の方法により容易に合成することができ、そのような化合物を本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物に添加してもよい。あるいは、下記一般式(II)で表される環状カーボネートは、芳香族ポリカーボネート樹脂の製造工程で副生したものであってもよい。例えば、芳香族ポリカーボネート樹脂は、製造工程で連結剤としてジオール化合物を使用すると、対応する環状カーボネートが副生する場合がある。これを反応系外へ除去したのちでも少量の環状ポリカーボネートが残存し、最終的に得られる芳香族ポリカーボネート樹脂組成物中にかかる環状ポリカーボネートが含まれることとなる。かかる環状カーボネートが3000ppm以下で存在することにより、芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の流動性が向上する場合がある。また、芳香族ポリカーボネート樹脂組成物を構成する各成分がより均一に混合され、成形性及び機械的強度が向上する傾向がある。なお、環状カーボネートが3000ppmを超えて存在すると、樹脂組成物の機械的強度の低下等のデメリットがある場合がある。
R5〜R8は、各々独立して、水素原子、ハロゲン原子又は炭素数1〜5の直鎖もしくは分岐のアルキル基を表す。ハロゲン原子としては、フッ素原子が好ましい。
nは0〜30の整数、好ましくは1〜6の整数、より好ましくは1〜3の整数、特に好ましくは1を表す。
R5〜R8は、好ましくは、各々独立して、水素原子、フッ素原子又はメチル基を表す。nは、好ましくは、1〜6の整数を表す。
一般式(IIa):
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物においては、前記必須成分以外に、種々の成分を配合することができる。典型的には、ポリフェニレンエーテル及び飽和ポリエステルを含む溶融混練樹脂組成物、難燃剤、ポリテトラフロオロエチレン等が挙げられる。
ポリフェニレンエーテル及び飽和ポリエステルを含む溶融混練樹脂組成物としては、例えば、特開平11−246720号公報、特開平11−246721号公報、特開2000−109670公報に記載のものが好ましく用いられる。
(a)ポリフェニレンエーテル
ポリフェニレンエーテルとしては、下記一般式(VI)で示される構造を有する単独重合体又は共重合体が挙げられる。
Q1及びQ2の第一級アルキル基の好適な例は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、アミル、イソアミル、2−メチルブチル、ヘキシル、2,3−ジメチルブチル、2−、3−若しくは4−メチルペンチル又はヘプチルである。第二級アルキル基の好適な例は、イソプロピル、sec−ブチル又は1−エチルプロピルである。多くの場合、Q1はアルキル基又はフェニル基、特に炭素数1〜4のアルキル基であり、Q2は水素原子である。
使用するポリフェニレンエーテルは、クロロホルム中で、30℃の温度で測定した固有粘度が0.2〜0.8dl/gであるものが好ましい。さらに好ましくは、固有粘度が0.25〜0.7dl/gのものであり、とりわけ好ましくは、固有粘度が0.3〜0.6dl/gのものである。固有粘度が0.2dl/g未満では組成物の耐衝撃性が不足し、0.8dl/g以上ではゲル分が多く、成形品外観に難が生じる。
本発明で使用する飽和ポリエステルは、ポリマー主鎖に−CO−O−結合を有し、加熱溶融できるものである。種々のポリエステルが使用可能である。
例えば、ジカルボン酸又はその低級アルキルエステル、酸ハライド若しくは酸無水物誘導体と、グリコール又は二価フェノールとを、重縮合させて得られるポリエステルがある。
ここで、ジカルボン酸の具体例としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スべリン酸、アゼライン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、p,p’−ジカルボキシジフェニルスルホン、p−カルボキシフェノキシ酢酸、p−カルボキシフェノキシプロピオン酸、p−カルボキシフェノキシ酪酸、p−カルボキシフェノキシ吉草酸、2,6−ナフタリンジカルボン酸又は2,7−ナフタリンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸あるいはこれらのカルボン酸の混合物が挙げられる。一方、グリコールとしては、炭素数2〜12の直鎖アルキレングリコール、例えばエチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブテングリコール、1,6−ヘキセングリコール、1,12−ドデカメチレングリコール等の脂肪族グリコールのほか、1,4−シクロヘキサンジメタノール等の脂環族グリコールや、p−キシリレングリコール等の芳香族グリコールが挙げられる。また、二価フェノールとしては、ピロカテコール、レゾルシノール、ヒドロキノン又はこれらの化合物のアルキル置換誘導体が挙げられる。
その他、ラクトン、例えば、ポリピバロラクトン、ポリ(ε−カプロラクトン)等の開環重合によるポリエステルを使用することもできる。また、溶融状態で液晶を形成するポリマー(Thermotropic Liquid Crystal Polymer;TLCP)としてのポリエステルを使用することもできる。この液晶性ポリエステルとしては、イーストマンコダック社のX7G、ダートコ社のXydar(ザイダー)、住友化学社のエコノール、セラニーズ社のベクトラ等が代表的な商品である。
難燃剤としては、例えば、赤リン、ポリリン酸塩、リン酸エステル、ホスファゼン等のリン系化合物やハロゲン系化合物の他、有機スルホン酸金属塩、シリコーンワニス、ポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体等のシリコーン系化合物、金属酸化物、シアヌル酸、シアヌル酸メラミン等の窒素含有化合物、水酸化マグネシウム等の無機化合物、膨張黒鉛、低融点ガラス等が挙げられ、好ましくは、リン系化合物、有機スルホン酸金属塩及び金属酸化物が挙げられ、特に好ましくは、下記式(4)で示されるリン酸エステル系化合物、並びに下記一般式(VII)で示されるリン酸エステル系化合物と有機スルホン酸塩及び/又は金属酸化物とを併用した難燃剤が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。
R9、R10、R11及びR12が表す有機基は、例えば、置換されていてもよいアルキル基、シクロアルキル基、アリール基等が挙げられる。置換されている場合の置換基としては、例えば、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、ハロゲン原子、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、ハロゲン化アリール基等が挙げられ、またこれらの置換基を組み合わせた基(例えば、アリールアルコキシアルキル基等)、又はこれらの置換基を酸素原子、イオウ原子、窒素原子等により結合して組み合わせた基(例えば、アリールスルホニルアリール基等)が置換基であってもよい。
Rが表す2価以上の有機基としては、例えばアルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基が挙げられ、アリーレン基としては、例えば、置換基を有していてもよいフェニレン基、ビスフェノール類、多核フェノール類から誘導される基等が挙げられ、2以上の遊離原子価の相対的位置は任意である。2価以上の有機基として特に好ましいものとしては、ヒドロキノン、レゾルシノール、2,2−ビス(4−ヒドキシフェニル)メタン(=ビスフェノールF)、2,2−ビス(4−ヒドキシフェニル)プロパン(=ビスフェノールA)、ジヒドロキシビフェニル、p,p’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、ジヒドロキシナフタレン等から誘導される基が挙げられる。bは、好ましくは1〜30の整数であり、cは、好ましくは1〜10の整数又はその平均値(いわゆる、縮合リン酸エステル)である。
ポリテトラフルオロエチレンは、滴下防止剤であり、芳香族ポリカーボネート樹脂組成物中に容易に分散し、かつ、せん断力等の外的作用により樹脂同士を結合して繊維状構造を作る傾向を示すことから、接炎時の樹脂の燃え垂れを防止し、難燃性を向上させる。ポリテトラフルオロエチレンは、ASTM規格でタイプ3に分類されるものが挙げられ、例えば三井・デュポンフロロケミカル(株)より、テフロン6J又はテフロン30Jとして、あるいはダイキン化学工業(株)よりポリフロンF201Lとして市販されているものを用いることができる。
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の製造方法としては、従来公知の樹脂組成物の製造方法を採用することができる。例えば、前記必須成分及び任意成分を、ターンブルミキサー、ヘンシェルミキサー、リボンブレンダー、スーパーミキサー等で代表される高速ミキサーで分散混合した後、押出機、バンバリーミキサー、ロール等で溶融混練する方法が挙げられる。なお添加剤は、分散混合前に、各必須成分に添加してもよい。
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物は、射出成形、ブロー成形、押出成形、回転成形、圧縮成形などで得られる様々な成形品、各種部材などの用途に好ましく利用することができる。これらの用途に用いるときは、本発明の樹脂組成物単独であってもさらに他のポリマーとのブレンド品であっても差し支えない。用途に応じてハードコートなどの加工も好ましく使用しうる。
本発明で使用する芳香族ポリカーボネート樹脂の製造方法は特に制限されず、公知の任意の製造方法で得られたものを使用できるが、以下に示す製造方法で得られるものを使用するのが好ましい。かかる製造方法を採用することにより、分岐化度が低く、異種構造の含有率が低く、末端水酸基濃度が低く、且つ特定構造の環状カーボネートを所望の含有率で含む芳香族ポリカーボネート樹脂を効率的に製造することができる。
好ましい製造方法で用いられるジオール化合物は、下記一般式(IV)で表されるものである。
R5〜R8は、各々独立して、水素原子、ハロゲン原子又は炭素数1〜5の直鎖もしくは分岐のアルキル基を表す。ハロゲン原子としては、フッ素原子が好ましい。
nは0〜30の整数、好ましくは1〜6の整数、より好ましくは1〜3の整数、特に好ましくは1を表す。
R5〜R8は、好ましくは、各々独立して、水素原子、フッ素原子又はメチル基を表す。nは、好ましくは、1〜6の整数を表す。
好ましい製造方法で用いられる芳香族ポリカーボネートプレポリマーは、本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂を構成する前記一般式(I)で表される構造を主たる繰り返し単位とする重縮合ポリマーである。
すなわち、前記芳香族ポリカーボネートプレポリマーは、その少なくとも一部が芳香族モノヒドロキシ化合物由来の末端基あるいは末端フェニル基(以下、併せて「封止末端基」ともいう)で封止されていることが好ましい。
好ましい製造方法においては、末端封止された芳香族ポリカーボネートプレポリマーにジオール化合物をエステル交換触媒存在下、減圧条件にて作用させることにより、芳香族ポリカーボネートプレポリマーから高分子量化された芳香族ポリカーボネート樹脂が得られる。この反応は温和な条件で高速に進み、高分子量化された高品質の芳香族ポリカーボネート樹脂が得られる。
以下に、本発明で使用する芳香族ポリカーボネート樹脂の好ましい製造方法の詳細な条件を説明する。
(i)ジオール化合物の添加
好ましい製造方法においては、芳香族ポリカーボネートプレポリマーに前記一般式(IV)で表されるジオール化合物を添加混合し、高分子量化反応器内で高分子量化反応(エステル交換反応)を行う。
芳香族ポリカーボネートプレポリマーとジオール化合物とのエステル交換反応(高分子量化反応)に使用する温度としては、240℃〜320℃の範囲が好ましく、より好ましくは260℃〜310℃、さらに好ましくは280℃〜310℃である。
前記高分子量化反応によって芳香族ポリカーボネートプレポリマーが高分子量化され、所望の分子量を有する芳香族ポリカーボネート樹脂が得られると同時に、該反応で副生する環状カーボネートの少なくとも一部を反応系外へ除去される。副生する環状カーボネートの少なくとも一部を反応系外へ除去することによって芳香族ポリカーボネートプレポリマーの高分子量化反応がさらに進行する。
なお、環状カーボネートの含有割合は、GC−MSで測定した値である。
本発明においては、芳香族ポリカーボネートプレポリマーとジオール化合物とのエステル交換反応により、反応後の芳香族ポリカーボネート樹脂の重量平均分子量(Mw)が前記芳香族ポリカーボネートプレポリマーの重量平均分子量(Mw)よりも5,000以上高めることが好ましく、より好ましくは10,000以上、さらに好ましくは15,000以上高めるのが好ましい。
さらに好ましくは、ポリマーシールを有し、脱揮構造をもつ2軸押出機あるいは横型反応機が好適である。
触媒失活剤の添加は、前記高分子量化反応終了後に従来公知の方法でポリカーボネート樹脂に混合することができる。例えば、ターンブルミキサーやヘンシェルミキサー、リボンブレンダー、スーパーミキサーで代表される高速ミキサーで分散混合した後、押出機、バンバリーミキサー、ロール等で溶融混練する方法が適宜選択される。
GPCを用い、クロロホルムを展開溶媒として、分子量既知(分子量分布=1)の標準ポリスチレン(東ソー株式会社製、“PStQuick MP-M”)を用いて検量線を作成した。測定した標準ポリスチレンから各ピークの溶出時間と分子量値をプロットし、3次式による近似を行い、較正曲線とした。重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、以下の計算式より求めた。
Mw=Σ(Wi×Mi)÷Σ(Wi)
Mn=Σ(Ni×Mi)÷Σ(Ni)
ここで、iは分子量Mを分割した際のi番目の分割点、Wiはi番目の重量、Niはi番目の分子数、Miはi番目の分子量を表す。また分子量Mとは、較正曲線の同溶出時間でのポリスチレン分子量値を表す。
ポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)及びポリスチレン換算数平均分子量(Mn)より以下の計算式より求めた。
分子量分布=Mw/Mn
装置;東ソー株式会社製、HLC−8320GPC
カラム;ガードカラム:TSKguardcolumn SuperMPHZ-M×1本
分析カラム:TSKgel SuperMultiporeHZ-M×3本
溶媒;HPLCグレードクロロホルム
注入量;10μL
試料濃度;0.2w/v% HPLCグレードクロロホルム溶液
溶媒流速;0.35ml/min
測定温度;40℃
検出器;RI
1H−NMRによるプレポリマー(PP)中の末端水酸基濃度は、樹脂サンプル0.05gを1mlの重水素置換クロロホルム(0.05w/v%TMS含有)に溶解し、23℃で1H−NMRを測定することで求めた。具体的には、4.7ppmの水酸基ピークと7.0〜7.5ppm付近のフェニル及びフェニレン基(末端フェニル基及びBPA骨格由来のフェニレン基)の積分比より、PP中の末端水酸基濃度(OH濃度)を算出した。なお、芳香族ポリカーボネート樹脂中の末端水酸基濃度も、同様に測定し、算出することができる。
装置:日本電子社製 LA-500 (500MHz)
測定核:1H
relaxation delay : 1s
x_angle : 45deg
x_90_width : 20μs
x_plus : 10μs
scan : 500times
樹脂サンプル0.05gを1mlの重水素置換クロロホルム(0.05w/v%TMS含有)に溶解し、23℃で核磁気共鳴分析装置1H−NMRを用いて高分子量化されたポリカーボネート(PC)中の異種構造量を測定した。文献Polymer 42 (2001)7653-7661中のP.7659に記載されたHa及びHbの1H−NMRの帰属により、以下の異種構造ユニット量を測定した。なお、1H−NMRの測定条件の詳細は前記と同様である。
前記異種構造ユニット中のHa(8.01ppm付近)及びHb(8.15ppm付近)のシグナルと7.0〜7.5ppm付近のフェニル及びフェニレン基(末端フェニル基及びBPA骨格由来のフェニレン基)のシグナルの積分比より、異種構造量を算出した。
JIS K7210付属書Cに記載の方法にて芳香族ポリカーボネート樹脂組成物のペレットの流れ値(Q値)を評価した。測定は島津製作所社製フローテスターCFD500Dを用いて、穴径1.0mmφ、長さ10mmのダイを用い、試験温度280℃、試験力160kg/cm2、余熱時間420secの条件で排出された溶融樹脂量(×0.01cm3/sec)を測定した。
高化式フローテスターCFT-500D(島津製作所(株)製)を用いて、120℃で5時間乾燥した芳香族ポリカーボネート(試料)について、穴径1.0mmφ、長さ10mmのダイを用い、280℃、荷重160kgで測定した単位時間当たりの溶融流動体積をQ160値とし、同様に280℃、荷重10kgで測定した単位時間当たりの溶融流動体積をQ10値として、これらを用いて下式(1)により求めた。
N値=(log(Q160値)-log(Q10値))/(log160−log10) ・・・(1)
芳香族ポリカーボネート樹脂組成物のペレットを100℃、5時間乾燥した後、射出成形機(住友重機械工業社製「SG75Mk−II」)にて、シリンダ温度260℃、金型温度80℃、成形サイクル50秒の条件で射出成形を行い、ISO多目的試験片(3mm厚)を成形し、23℃、0℃、−30℃の各温度条件下で、ISO−179規格に基づき、シャルピー衝撃試験(ノッチ有、単位:kJ/m2)を実施した。
サンプル樹脂10gをジクロロメタン100mlに溶解し、1000mlのメタノール中へ攪拌しながら滴下した。沈殿物を濾別し、濾液中の溶媒を除去した。得られた固体をGC-MSにより以下の測定条件で分析した。なお、この測定条件での検出限界値は0.0005ppmである。
[GC-MS測定条件]
測定装置:Agilent HP6890/5973MSD
カラム:キャピラリーカラムDB-5MS,30m×0.25mm I.D., 膜厚0.5μm
昇温条件:50℃(5min hold)−300℃(15min hold),10℃/min
注入口温度:300℃、打ち込み量:1.0μl(スプリット比25)
イオン化法:EI法
キャリアーガス:He,1.0ml/min
Aux温度:300℃
質量スキャン範囲:33−700
溶媒:HPLC用クロロホルム
内部標準物質:2,4,6−トリメチロールフェノール
以下の実施例で、2,2−ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパンを「BPA」、プレポリマーを「PP」、水酸基を「OH基」、フェニル基を「Ph」と略すことがある。
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン66.480kg(291.209モル)、ジフェニルカーボネート70.179kg(327.610モル)及び触媒として炭酸セシウム0.17μモル/モル(BPAに対してのモル数)を攪拌機及び留出装置付の300Lの反応に入れ、系内を窒素雰囲気下に置換した。減圧度を0.046MPa(345torr)に調整し、160℃にて原料を加熱溶融し、1間攪拌した。
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン64.662kg(283.245モル)、ジフェニルカーボネート63.710kg(297.41モル)及び触媒として炭酸セシウム1.0μモル/モル(BPAに対してのモル数)を攪拌機及び留出装置付の300Lの反応に入れ、系内を窒素雰囲気下に置換した。減圧度を0.046MPa(345torr)に調整し、160℃にて原料を加熱溶融し、1間攪拌した。
前記製造例により作製したPC−1及びPC−2と各種添加剤を表1に示す質量比で配合し、タンブラーにて20分混合した後、1ベントを備えた日本製鋼所社製(TEX30HSST)に供給し、スクリュー回転数200rpm、吐出量20kg/時間、バレル温度280℃の条件で混練し、ストランド状に押出した溶融樹脂を水槽にて急冷し、ペレタイザーを用いてペレット化して、芳香族ポリカーボネート樹脂組成物のペレットを得た。
前記製造例により作製したPC−2及びPC−2と各種添加剤を表1に示す質量比で配合し、タンブラーにて20分混合した後、1ベントを備えた日本製鋼所社製(TEX30HSST)に供給し、スクリュー回転数200rpm、吐出量20kg/時間、バレル温度280℃の条件で混練し、ストランド状に押出した溶融樹脂を水槽にて急冷し、ペレタイザーを用いてペレット化して、芳香族ポリカーボネート樹脂組成物のペレットを得た。
エラストマー: ポリブタジエンコア/ポリメチルメタクリレートシェル系共重合体(パラロイド EXL2633、呉羽化学工業(株)製)
CB: カーボンブラックのポリスチレンマスターバッチ。カーボンブラック40%、 越谷化成(株) 製 RB904G
難燃剤: 縮合リン酸エステル(アデカスタブ FP500、旭電化(株)製)
PTFE: 滴下防止用ポリテトラフルオロエチレン(テフロン 6J、三井・デュポンフロロケミカル(株)製)
PTS: ペンタエリスリトールテトラステアレート(ロキシオールVPG861、コグニスジャパン(株)製)/離型剤
ADK2112: トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト(アデカスタブ2112、旭電化(株)製)/酸化防止安定剤
Claims (14)
- 下記一般式(I)で表される構造単位を有する芳香族ポリカーボネート樹脂、スチレン系樹脂、及び下記一般式(II)で表される環状カーボネートを含有し、
前記芳香族ポリカーボネート樹脂と前記スチレン系樹脂との割合(質量比)が95:5〜1:99であり、且つ前記環状カーボネートが、前記芳香族ポリカーボネート樹脂に対して3000ppm以下で存在する、芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
一般式(I):
(式中、R1及びR2は、各々独立して、ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜20のシクロアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数6〜20のシクロアルコキシ基、又は炭素数6〜20のアリールオキシ基を表し、p及びqは、0〜4の整数を表し、Xは、単結合又は下記(Ia)の群から選択される基を表す)
(ここで、R3及びR4は、各々独立して、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、又は炭素数6〜10のアリール基を表すか、あるいはR3とR4は、相互に結合して脂肪族環を形成していてもよい)
一般式(II):
(式中、Ra及びRbは、各々独立して、水素原子、ハロゲン原子、酸素原子もしくはハロゲン原子を含んでいてもよい炭素数1〜30の直鎖もしくは分岐のアルキル基、酸素原子もしくはハロゲン原子を含んでいてもよい炭素数3〜30のシクロアルキル基、酸素原子もしくはハロゲン原子を含んでいてもよい炭素数6〜30のアリール基、又は酸素原子もしくはハロゲン原子を含んでいてもよい炭素数1〜15のアルコキシ基を表すか、あるいはRa及びRbは、相互に結合して環を形成していてもよく、R5〜R8は、各々独立して、水素原子、ハロゲン原子又は炭素数1〜5の直鎖もしくは分岐のアルキル基を表し、nは0〜30の整数を表す)。 - 前記スチレン系樹脂が、ゴムの存在下少なくともスチレン系単量体を重合してなるグラフト共重合体を含む、請求項1記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
- 前記スチレン系樹脂が、ゴムの存在下少なくともスチレン系単量体と(メタ)アクリロニトリルを重合してなるグラフト共重合体を含む、請求項1又は2記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
- 前記芳香族ポリカーボネート樹脂と前記スチレン系樹脂との合計100質量部に対し、ポリフェニレンエーテル及び飽和ポリエステルを含有する溶融混練樹脂組成物1〜50質量部を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
- 前記芳香族ポリカーボネート樹脂と前記スチレン系樹脂との合計100質量部に対し、難燃剤0.01〜30質量部を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
- 前記芳香族ポリカーボネート樹脂と前記スチレン系樹脂との合計100質量部に対し、ポリテトラフルオロエチレン0.01〜2質量部を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
- 前記芳香族ポリカーボネート樹脂の末端水酸基含有量が、1000ppm以下である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
- 前記環状カーボネートが、下記一般式(IIa)で表される化合物である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物:
一般式(IIa):
(式中、Ra及びRbは、各々独立して、水素原子、ハロゲン原子、酸素原子もしくはハロゲン原子を含んでいてもよい炭素数1〜30の直鎖もしくは分岐のアルキル基、酸素原子もしくはハロゲン原子を含んでいてもよい炭素数3〜30のシクロアルキル基、酸素原子もしくはハロゲン原子を含んでいてもよい炭素数6〜30のアリール基、又は酸素原子もしくはハロゲン原子を含んでいてもよい炭素数1〜15のアルコキシ基を表すか、あるいはRa及びRbは、相互に結合して環を形成していてもよい)。 - 前記芳香族ポリカーボネート樹脂が、下記一般式(III)で表わされる構造単位を含み、その含有量が、前記芳香族ポリカーボネート樹脂中に2000ppm未満である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物:
一般式(III):
(式中、Xは、請求項1と同義である。)。 - 前記芳香族ポリカーボネート樹脂のN値(構造粘性指数)が、下記数式(1)で表した場合、1.25以下である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
N値=(log(Q160値)-log(Q10値))/(log160−log10) ・・・(1) - 前記芳香族ポリカーボネート樹脂及び前環状カーボネートが、芳香族ポリカーボネートプレポリマーと下記一般式(IV)で表されるジオール化合物とをエステル交換触媒の存在下に反応させて高分子量化する高分子量化工程と、前記高分子量化工程で副生する環状カーボネートの少なくとも一部を反応系外へ除去する環状カーボネート除去工程とを含む方法により得られる、請求項1〜10のいずれか1項に記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物:
一般式(IV):
(式中、Ra及びRbは、各々独立して、水素原子、ハロゲン原子、酸素原子もしくはハロゲン原子を含んでいてもよい炭素数1〜30の直鎖もしくは分岐のアルキル基、酸素原子もしくはハロゲン原子を含んでいてもよい炭素数3〜30のシクロアルキル基、酸素原子もしくはハロゲン原子を含んでいてもよい炭素数6〜30のアリール基、又は酸素原子もしくはハロゲン原子を含んでいてもよい炭素数1〜15のアルコキシ基を表すか、あるいはRa及びRbは、相互に結合して環を形成していてもよく、R5〜R8は、各々独立して、水素原子、ハロゲン原子又は炭素数1〜5の直鎖もしくは分岐のアルキル基を表し、nは、0〜30の整数を表す)。 - 前記ジオール化合物が、下記一般式(IVa)で表される化合物である、請求項11記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物:
一般式(IVa):
(式中、Ra及びRbは、各々独立して、水素原子、ハロゲン原子、酸素原子もしくはハロゲン原子を含んでいてもよい炭素数1〜30の直鎖もしくは分岐のアルキル基、酸素原子もしくはハロゲン原子を含んでいてもよい炭素数3〜30のシクロアルキル基、酸素原子もしくはハロゲン原子を含んでいてもよい炭素数6〜30のアリール基、又は酸素原子もしくはハロゲン原子を含んでいてもよい炭素数1〜15のアルコキシ基を表すか、あるいはRa及びRbは、相互に結合して環を形成していてもよい)。 - 前記ジオール化合物が、2−ブチル−2−エチルプロパン−1,3−ジオール、2,2−ジイソブチルプロパン−1,3−ジオール、2−エチル−2−メチルプロパン−1,3−ジオール、2,2−ジエチルプロパン−1,3−ジオール、及び2−メチル−2−プロピルプロパン−1,3−ジオールからなる群から選択される、請求項11又は12記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
- 請求項1〜13のいずれか1項に記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物を成形してなる、成形品。
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