JP4601122B2 - 芳香族ポリカーボネート樹脂組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリカーボネート樹脂組成物に関し、詳しくは色相および耐熱性の改良されたポリカーボネート樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリカーボネート樹脂は、耐衝撃性、透明性等に優れた樹脂として多くの分野で幅広く用いられているが、溶融粘度が高く流動性が不十分である。流動性を確保するには、分子量が低いポリカーボネートを用いる方法や各種流動性改質剤を配合する方法などが挙げられるが、いずれもポリカーボネート本来の耐衝撃性を犠牲にすること、耐薬品性が低下すること等の不具合があった。
【0003】
これらの不具合を改良するために、例えば、流動性を改良するためにABS樹脂を配合する方法、比較的低分子量のポリカーボネートの耐衝撃性を改良するために各種エラストマーを配合する方法、耐薬品性を改良するためにポリブチレンテレフタレートを配合する方法などにより各種の樹脂とのポリマーブレンド物の開発がなされてきている。
【0004】
しかしながら、上記の様な流動性の改良等を施しても、250〜350℃という比較的高温で混練、成形しなければならず、混練時および成形時に着色し易いこと、また、高温の使用条件下で着色し易い等の問題を有していた。こうした問題に対して、芳香族ジヒドロキシ化合物とホスゲンを反応させて重合を行う界面法で製造されたポリカーボネートでは、溶媒として使用される塩化メチレン量の低減、ホスゲン由来の塩素成分量の低減等により耐熱性の改良が試みられたり、芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステル化合物とを加熱減圧下反応させるエステル交換法においては、原料である炭酸ジエステル等の含有量の低減、触媒の失活等による改良(特開平7ー126374号公報)が試みられているが、必ずしも十分な色調や熱安定性は得られていなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、機械的強度や耐熱性に優れ、且つ初期色調、滞留熱安定性及び熱老化後の色調に優れたポリカーボネート樹脂組成物を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記問題を解決するためにポリカーボネート樹脂の色調、耐熱性等の鋭意改良検討を行った結果、特定条件で製造し、生成する環状オリゴマー含有量を、特定量かつ特定の割合以下に減少させたポリカーボネート樹脂と、該ポリカーボネート樹脂以外の熱可塑性樹脂を組み合わせることで、色調及び熱安定性を大幅に改善できるこを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
即ち、本発明は、芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとのエステル交換反応により製造される、粘度平均分子量12000〜40000、末端水酸基の含有量が300〜1000ppmの芳香族ポリカーボネートであって、式(I)で表される環状オリゴマーの含有量が550ppm以下であり、かつ、式(I)、式(II)及び式(III)で表されるオリゴマーの総量に対する割合が関係式(1)を満たす芳香族ポリカーボネート(A)に該芳香族ポリカーボネート(A)以外の熱可塑性樹脂(B)を配合してなり、芳香族ポリカーボネート(A)と熱可塑性樹脂(B)との重量比が99/1〜1/99である芳香族ポリカーボネート樹脂組成物に存する。
【化4】
(式(I)中、Bは1〜15の炭素数を有するハロゲン置換されてもよい炭化水素基、O、S、CO、SO及びSO2より選ばれる2価の基である。Xはハロゲン原子、炭素数1〜14の脂肪族基もしくは置換脂肪族基、炭素数6〜18の芳香族基もしくは置換芳香族基、炭素数1〜8のオキシアルキル基および炭素数6〜18のオキシアリール基から選ばれる1価の基を示す。mは2〜8の整数、pは0〜4の整数であり、sは0または1である。また、X及びpはそれぞれ同一または異なるものであってもよい。)
【化5】
(式(II)中、A、A’はそれぞれ同一または異なるものであって、炭素数1〜18の脂肪族基、置換脂肪族基、芳香族基、又は置換芳香族基を示す。nは1〜7の整数、B、X、p及びsは式(I)と同じ定義である。)
【化6】
(式(III)中、A”は炭素数1〜18の脂肪族基、置換脂肪族基、芳香族基、又は置換芳香族基を示す。n’は1〜7の整数、B、X、p及びsは式(I)と同じ定義である。)
【数2】
(式(1)中、 [I]、[II]、[III]はそれぞれ各式に対応するオリゴマーの含有量を表し、Mvは芳香族ポリカーボネートの粘度平均分子量を表す。)
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について具体的に説明する。
本発明に関わる芳香族ポリカーボネートは、原料として芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸結合を導入し得る化合物等とを用い、公知の方法である、界面重縮合法、エステル交換法等により製造できる。このうち、エステル交換法での製造が好ましい。炭素結合を導入し得る化合物としては、ホスゲン、炭酸ジエステル等が挙げられ、好ましくは炭酸ジエステルが挙げられる。炭酸ジエステルは、下記の式(IV)で表される。
【0009】
【化7】
【0010】
(式(IV)中 、A及びA’は炭素数1〜18の脂肪族基、置換脂肪族基、芳香族基、又は置換芳香族基であり、同一であっても異なっていてもよい。)
上記式(IV)で表される炭酸ジエステルは、例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ−t−ブチルカーボネート、ジフェニルカーボネート、およびジトリルカーボネートなどの置換ジフェニルカーボネートなどが例示されるが、好ましくはジフェニルカーボネート、置換ジフェニルカーボネートであり、特にジフェニルカーボネートが好ましい。これらの炭酸ジエステルは単独、あるいは2種以上を併用してもよい。
【0011】
また、上記のような炭素結合を導入し得る化合物と共に、好ましくは50%以下、さらに好ましくは30モル%以下の量でジカルボン酸、あるいはジカルボン酸エステルを使用してもよい。このようなジカルボン酸あるいはジカルボン酸エステルとしては、テレフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸ジフェニル、イソフタル酸ジフェニルなどが用いられる。このようなカルボン酸、あるいはカルボン酸エステルを炭酸ジエステルと併用した場合には、ポリエステルカーボネートが得られる。
もう一つの原料である芳香族ジヒドロキシ化合物は、式(V)で示される。
【0012】
【化8】
【0013】
(式(V)中、Bは1〜15の炭素数を有するハロゲン置換されてもよい炭化水素基、または、O、S、CO、SO及びSO2より選ばれる2価の基である。Xはハロゲン原子、炭素数1〜14の脂肪族基もしくは置換脂肪族基、炭素数6〜18の芳香族基もしくは置換芳香族基、炭素数1〜8のオキシアルキル基および炭素数6〜18のオキシアリール基より選ばれる1価の基を示す。pは0〜4の整数であり、sは0または1である。また、X及びpは、それぞれ同一または異なるものであってもよい。)
【0014】
上記式(V)で表される芳香族ジヒドロキシ化合物は例えば、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン[=ビスフェノールA]、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジエチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−(3,5−ジフェニル)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,4’−ジヒドロキシ−ジフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシ−5−ニトロフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、2,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジクロロジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシ−2,5−ジエトキシジフェニルエーテルなどが例示される。これらの中でも2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン[=ビスフェノールA]が好ましい。また、これらの芳香族ジヒドロキシ化合物は単独で、あるいは2種以上を併用することができ、必要に応じて共重合体とすることもできる。
【0015】
炭酸ジエステルと芳香族ジヒドロキシ化合物との混合比率は、所望の芳香族ポリカーボネートの分子量と末端ヒドロキシル基量により決められる。末端ヒドロキシル基量は、製品ポリカーボネートの熱安定性、加水分解安定性、色調等に大きな影響を及ぼし、実用的な物性を持たせるためには好ましくは1,000ppm以下であり、さらに好ましくは800ppm以下であり、700ppm以下が特に好ましい。また、エステル交換法で製造するポリカーボネートでは、末端ヒドロキシル基量が少なくなりすぎると、分子量が上がらず、色調も悪くなるので、100ppm以上が好ましく、200ppm以上がより好ましく、300ppm以上が特に好ましい。従って、芳香族ジヒドロキシ化合物1モルに対して炭酸ジエステルを等モル量以上用いるのが一般的であり、好ましくは1.01〜1.30モル、特に好ましくは1.01〜1.20モルの量で用いられる。
【0016】
エステル交換法により芳香族ポリカーボネートを製造する際には、通常エステル交換触媒が使用される。エステル交換触媒としては特に制限はないが、主としてアルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物が使用され、補助的に塩基性ホウ素化合物、塩基性リン化合物、塩基性アンモニウム化合物、あるいはアミン系化合物などの塩基性化合物を併用することも可能である。これらの触媒は、1種類で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0017】
触媒量としては芳香族ジヒドロキシ化合物1モルに対して、1×10-9〜1×10-3モルの範囲で用いられる。特にアルカリ金属化合物、アルカリ土類化合物では、通常は芳香族ジヒドロキシ化合物1モルに対して1×10-9〜1×10-4モル、好ましくは1×10-8〜1×10-5モルの範囲で用いられ、塩基性ホウ素化合物、塩基性リン化合物、塩基性アンモニウム化合物或いはアミン系化合物等の塩基性化合物では、芳香族ジヒドロキシ化合物1モルに対して1×10-9〜1×10-3モル、好ましくは1×10-7〜1×10-4モルの範囲で用いられる。触媒量がこれらの量より少なければ、所定の分子量、末端ヒドロキシ基量のポリカーボネートを製造するのに必要な重合活性が得られず、この量より多い場合は、後述の環状オリゴマー量の増加、ポリマー色調の悪化、耐熱性の低下、耐加水分解性の低下や、ゲルの発生による異物量の増大等が発生し好ましくない。
【0018】
アルカリ金属化合物としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウムの水酸化物、炭酸水素塩、炭酸塩、酢酸塩、リン酸水素塩、フェニルリン酸塩等の無機アルカリ金属化合物や、ステアリン酸、安息香酸等の有機酸類、メタノール、エタノール等のアルコール類,石炭酸、ビスフェノールA等のフェノール類との塩などの有機アルカリ金属化合物等が挙げられる。
アルカリ土類金属化合物としては、ベリリウム、カルシウム、マグネシウム、ストロンチウム、バリウムの水酸化物、炭酸水素塩、炭酸塩、酢酸塩等の無機アルカリ土類金属化合物や、有機酸類、アルコール類、フェノール類との塩などの有機アルカリ土類金属化合物などが挙げられる。
【0019】
塩基性ホウ素化合物の具体例としては、テトラメチルホウ素、テトラエチルホウ素、テトラプロピルホウ素、テトラブチルホウ素、トリメチルエチルホウ素、トリメチルベンジルホウ素、トリメチルフェニルホウ素、トリエチルメチルホウ素、トリエチルベンジルホウ素、トリエチルフェニルホウ素、トリブチルベンジルホウ素、トリブチルフェニルホウ素、テトラフェニルホウ素、ベンジルトリフェニルホウ素、メチルトリフェニルホウ素、ブチルトリフェニルホウ素、等のナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、バリウム塩、或いはストロンチウム塩等が挙げられる。
【0020】
塩基性リン化合物としては、例えば、トリエチルホスフィン、トリ−n−プロピルホスフィン、トリイソプロピルホスフィン、トリ−n−ブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン、あるいは四級ホスホニウム塩などが挙げられる。
【0021】
塩基性アンモニウム化合物としては、例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルエチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルメチルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、トリブチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリブチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、テトラフェニルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド、メチルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド、ブチルトリフェニルアンモニウムヒドロキシドなどが挙げられる。
【0022】
アミン系化合物としては、例えば、4−アミノピリジン、2−アミノピリジン、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン、4−ジエチルアミノピリジン、2−ヒドロキシピリジン、2−メトキシピリジン、4−メトキシピリジン、2−ジメチルアミノイミダゾール、2−メトキシイミダゾール、イミダゾール、2−メルカプトイミダゾール、2−メチルイミダゾール、アミノキノリンなどが挙げられる。
これらの触媒のうち、実用的にはアルカリ金属化合物、塩基性アンモニウム化合物、塩基性リン化合物が望ましく、特にアルカリ金属化合物が好ましい。
【0023】
本発明のポリカーボネートは、上記炭素結合を導入し得る化合物と芳香族ジヒドロキシ化合物とを用い、通常は上記エステル交換触媒を用いて製造され、粘度平均分子量が12000〜40000のものである。粘度平均分子量が12000未満であると機械強度が低下し、40000を超えると成形性が低下するため好ましくない。
【0024】
本発明における芳香族ポリカーボネートでは、式(1)で示される環状オリゴマーの含有量の総和が1000ppm以下であることが必要で、好ましくは700ppm以下、さらに好ましくは550ppm以下である。環状オリゴマー量が1000ppmを超えると、着色し、耐熱性、耐加水分解性等が低下する。この理由は必ずしも明確ではないが、環状オリゴマーが反応性に富み、高温下で着色成分を生成したり、加水分解を促したりし易いものと推測している。
さらに本発明においては、該環状オリゴマー(I)の量が、これに前記式(II)及び式(III)で表されるオリゴマーを加えた総量に対する割合が下記関係式(1)を満たさなければならない。
【0025】
【数3】
【0026】
(式(1)中、 [I],[II],[III]はそれぞれ各式に対応するオリゴマーの含有量を表し、Mvは芳香族ポリカーボネートの粘度平均分子量を表す。)
前記式(I)で示される環状オリゴマーも、前記式(II)及び前記式(III)で表される直鎖状オリゴマーも、いずれもポリカーボネート製造中に生成する成分であると考えられ、従って、該式中のカッコで括られた繰り返し単位部分の構造は、ポリカーボネート製造に使用された芳香族ジヒドロキシ化合物に由来するものである。また、末端基A、A’及び A”で表わされるものは、式(IV)で示される炭酸結合を導入し得る化合物の末端基に由来するものであり、またホスゲンを用いて界面重縮合で製造した場合には、用いた末端停止剤に由来するものである。
【0027】
該環状オリゴマー(I)は反応性が高いため、芳香族ポリカーボネート中の含有量が1000ppm以上では物性に悪影響を与える。さらに1000ppm以下であっても、該環状オリゴマー(I)の割合が、上記関係式(1)の範囲を越えると、物性に悪影響を与えることがわかった。物性の悪くなる理由は1000ppmより多いときと同様に、環状オリゴマー(I)の反応性が高いからと思われる。
【0028】
環状オリゴマー(I)の生成機構は定かではないが、ポリマー製造時の熱履歴、触媒種・量の影響、ポリマー製造途中でのモノマーや、副生する芳香族ヒドロキシ化合物の濃度等の影響で生成量は変化する。一般に、ある分子鎖が環状体になるには、該分子鎖の末端基同士が反応する必要がある。しかしこれは通常起こりにくく、一般に重合初期には隣接した分子間の末端基同士が反応し重合が進行する。しかし重合が進行し、系内の末端基の比率が変化すると、分子間の反応が低減し、分子内の反応が起こりやすくなるものと考えられる。特に末端水酸基が少ない状態で、高温に保つと環状オリゴマーが出来やすくなる。従って製造途中においては、末端水酸基の割合を極端に低下させないようにすることが好ましい。
【0029】
環状オリゴマー(I)の含有量を低減させるだけの目的であれば、ヘキサン、ヘプタン、メタノール、アセトン等の、ポリカーボネートを溶解する力が弱い溶媒で抽出処理することもできる。しかし、抽出操作では、環状オリゴマー以外の直鎖状オリゴマー量も一緒に低減し、オリゴマー総量中の環状オリゴマー量の割合が変わらず、関係式(1)のような範囲とするのが困難な場合が多い。さらに抽出操作による溶剤の残存等の影響により耐熱性が改良されなくなる場合もあるので好ましくない。
【0030】
該式(I)、式(II)、式(III)で表されるオリゴマーの含有量の測定は、例えばゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、マススペクトル、NMR等を用いて測定すること出来る。しかし、一般に高分子量部と低分子量部を分取する必要があるので、MALDI−TOFMS(Matrix Assisted Lazer Desorption Ionization Time of Flight Mass Spectrometory)等の測定器を使用し、高分子量部から低分子量部までを一括して測定することが好ましい。
【0031】
本発明のポリカーボネートの製造は、上記原料を用いたエステル交換反応では、100〜320℃の温度で、常圧または減圧下反応を行い、芳香族ヒドロキシ化合物等の副生成物を除去しながら溶融重縮合反応を行う方法が挙げられる。 溶融重縮合は、バッチ式または連続的に行うことができるが、本発明では製品の安定性等から連続式で行うことが好ましい。反応は通常、温度、圧力条件を変化させた2段以上の多段工程で実施される。各段階の反応温度は、上記範囲内で重合物が溶融状態にあれば特に制限はなく、また反応時間も、反応の進行の程度により適宜定められるが、0.1〜10時間であることが好ましい。これらの条件はポリマーの分子量、色相および環状オリゴマー含有量の観点から決定される。
具体的には、第1段目の反応は常圧あるいは減圧下で140〜260℃、好ましくは180〜240℃の温度で0.1〜5時間、好ましくは0.5〜3時間反応させる。ついで反応系の減圧度を上げながら反応温度を高め、最終的には2mmHg以下の減圧下、240〜320℃の温度で重縮合反応を行う。
【0032】
上記環状オリゴマーの含有量を低減するための製造法として有効な方法は、特に分子量を5%以上増加させる最終段の重合工程においては、250℃以上、特には260℃以上で反応させ、当該反応で用いる重合装置入り口の末端水酸基の割合が100ppm以上となるような条件で重合することが好ましく、200ppm以上で重合することがさらに好ましい。環状オリゴマー生成の活性化エネルギーは高く、温度が高くなるほど急激に生成するようになるので、該最終段の重合温度は、好ましくは310℃以下で行うと良い。
また触媒についてはその量が多すぎると、カーボネート結合が活性化され易くなり、通常では起こりにくいカーボネート末端同士の反応が起こり、環状オリゴマーも出来やすくなるものと考えられる。
これら各反応槽の条件は、可能な限り変動しないように制御するほうが、環状オリゴマー量を抑制できる。
【0033】
使用する装置は、槽型、管型、又は塔型のいずれの形式であってもよく、各種の攪拌翼を具備した竪型重合槽、横型1軸又は横型2軸タイプの重合槽等を使用することができる。装置中の雰囲気は特に制限はないが、重合物の品質の観点から、窒素ガス等の不活性ガス中、常圧または減圧下で重合が行われるのが好ましい。
このような製造方法の一例を図1に模式的に示した。
重合終了後、製造された芳香族ポリカーボネートは通常、ペレットとして回収されるが、その際、樹脂中に残存するモノマーや副生物等の低分子量成分を除去するため、ベント式押出機を通すことも可能である。
製造工程において通常最も温度が高くなる押出機条件は、環状オリゴマーの発生を低く抑えるために、温和な条件とすべきである。触媒が活性な状態で高温にすると、環状オリゴマーが生成するので、適当な失活剤を用いて触媒を失活させることが好ましい。
【0034】
触媒、特にアルカリ金属化合物触媒を用いた場合には、エステル交換法ポリカーボネート中の触媒の失活剤として、該触媒を中和する化合物、例えばイオウ含有酸性化合物またはそれより形成される誘導体を使用することが好ましく、その量は触媒のアルカリ金属に対して0.5〜10当量、好ましくは1〜5当量の範囲であり、生成するポリカーボネートに対して通常1〜100ppm、好ましくは1〜20ppmの範囲で添加する。
【0035】
イオウ含有酸性化合物またはそれより形成される誘導体の例としてはスルホン酸、スルフィン酸、硫酸またはそれらのエステルであり、具体的にはジメチル硫酸、ジエチル硫酸、p−トルエンスルホン酸、そのメチル、エチル、ブチル、オクチル及びフェニルエステル類、ベンゼンスルホン酸、そのメチル、エチル、ブチル、オクチル、フェニル、及びドデシルエステル類、ベンゼンスルフィン酸、トルエンスルフィン酸、ナフタレンスルホン酸等が挙げられる。これらの化合物の内、p−トルエンスルホン酸のエステルまたはベンゼンスルホン酸のエステルが好ましく、これらの化合物を2種以上使用しても良い。
【0036】
イオウ含有酸性化合物、またはそれより形成される誘導体のポリカーボネートへの添加方法は、任意の方法により行うことができる。例えばイオウ含有酸性化合物、またはそれより形成される誘導体を直接もしくは希釈剤で希釈して、溶融または固体状態にあるポリカーボネートに添加し、分散させることができる。具体的には重縮合反応器中、反応器からの移送ライン中、又は押出機中に供給して混合することができる。また、ミキサー等で生成したポリカーボネートのペレット、フレーク、粉末等と混合後、押出機に供給して混練することもできる。また押出機でベントによる減圧処理を行う場合、又は水を添加する場合、さらには、ヒンダードフェノール化合物及びリン化合物から選ばれる酸化防止剤、及びそれ以外の熱安定剤、離型剤、染料、顔料、紫外線吸収剤、帯電防止剤、防曇剤、有機・無機充填剤などを添加する際には、これらの各種添加剤の添加および処理は、イオウ含有酸性化合物またはそれより形成される誘導体と同時に行ってもよいが、これらの添加または処理に先立ち、イオウ含有酸性化合物またはそれより形成される誘導体を添加し、さらに混練することが好ましい。
【0037】
本発明における芳香族ポリカーボネート(A)以外の熱可塑性樹脂(B)としては、例えば、スチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、熱可塑性エラストマーなどが挙げられ、好ましくはスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、熱可塑性エラストマーなどが挙げられる。
【0038】
本発明におけるスチレン系樹脂としては、スチレン系単量体を重合してなる重合体、スチレン系単量体及びスチレン系単量体と共重合可能な単量体との共重合体、ゴムの存在下少なくともスチレン系単量体を重合してなるグラフト共重合体を含むスチレン系樹脂、ゴムの存在下少なくともスチレン系単量体及びスチレン系単量体と共重合可能な単量体を重合してなるグラフト共重合体などが挙げられる。スチレン系単量体と共重合可能な単量体としては、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸アルキルエステルなどが挙げられる。
【0039】
スチレン系樹脂としては、例えば、スチレンと(メタ)アクリロニトリルとの共重合体、スチレンと(メタ)アクリロニトリルと他の共重合可能な単量体との共重合体、ゴムの存在下スチレン系と(メタ)アクリロニトリルとをグラフト重合してなるグラフト共重合体、及びゴム成分の存在下にスチレン等を重合させたスチレン系グラフト共重合体等が挙げられ、具体例としては、AS樹脂、HIPS樹脂、ABS樹脂、AES樹脂、AAS樹脂等が挙げられる。本発明におけるスチレン系共重合体の製造方法としては、乳化重合法、溶液重合法、懸濁重合法あるいは塊状重合法等の公知の方法が挙げられる。
【0040】
スチレン/(メタ)アクリロニトリル系共重合体としては、好ましくは、ゴムの存在下少なくともスチレン系単量体と(メタ)アクリロニトリルとをグラフト重合してなるグラフト共重合体、およびゴムの存在下少なくともスチレン系単量体と(メタ)アクリロニトリルとを重合してなるグラフト共重合体と少なくともスチレン系単量体と(メタ)アクリロニトリルとを重合してなる共重合体とからなるスチレン/(メタ)アクリロニトリル系共重合体等が挙げられる。
【0041】
スチレン系単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン等が挙げられ、好ましくはスチレンが挙げられる。スチレン系単量体と共重合可能な単量体としては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、マレイミド、N−フェニルマレイミド等が挙げられ、好ましくは、(メタ)アクリル酸アルキルエステルが挙げられる。スチレン系単量体および(メタ)アクリロニトリルと共重合可能な単量体としては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、マレイミド、N−フェニルマレイミド等が挙げられ、好ましくは、(メタ)アクリル酸アルキルエステルが挙げられる。
【0042】
ゴムとしては、好ましくはガラス転移温度が10℃以下のゴムである。ゴムの具体例としては、ジエン系ゴム、アクリル系ゴム、エチレン/プロピレンゴム、シリコンゴム等が挙げられ、好ましくは、ジエン系ゴム、アクリル系ゴム等が挙げられる。
ジエン系ゴムとしては、例えば、ポリブタジエン、ブタジエン/スチレン共重合体、ポリイソプレン、ブタジエン/(メタ)アクリル酸の低級アルキルエステル共重合体、ブタジエン/スチレン/(メタ)アクリル酸の低級アルキルエステル共重合体等が挙げられる。(メタ)アクリル酸の低級アルキルエステルとしては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル等が挙げられる。ブタジエン/(メタ)アクリル酸の低級アルキルエステル共重合体またはブタジエン/スチレン/(メタ)アクリル酸の低級アルキルエステル共重合体における(メタ)アクリル酸の低級アルキルエステルの割合は、ゴム重量の30重量%以下であることが好ましい。
【0043】
アクリル系ゴムとしては、例えば、アクリル酸アルキルゴムが挙げられ、アルキル基の炭素数は好ましくは1〜8である。アクリル酸アルキルゴムの具体例としては、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸エチルヘキシル等が挙げられる。アクリル酸アルキルゴムには、任意に、架橋性のエチレン性不飽和単量体が用いられていてもよく、架橋剤としては、例えば、アルキレンジオール、ジ(メタ)アクリレート、ポリエステルジ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン、シアヌル酸トリアリル、(メタ)アクリル酸アリル、ブタジエン、イソプレン等が挙げられる。アクリル系ゴムとしては、更に、コアとして架橋ジエン系ゴムを有するコア−シェル型重合体が挙げられる。
【0044】
芳香族ポリカーボネートとスチレン系樹脂とを含む熱可塑性樹脂組成物においては、更に、芳香族ポリカーボネート95〜5重量%とスチレン系樹脂5〜95%からなる樹脂100重量部に、ポリフェニレンエーテル、飽和ポリエステル及び燐系難燃剤を含む溶融混練樹脂組成物5〜50重量部を配合することができ、更に、100重量部以下の燐系難燃剤、5重量部以下のポリテトラフロオロエチレンを配合することもできる。
【0045】
ポリフェニレンエーテル、飽和ポリエステル及び燐系難燃剤を含む溶融混練樹脂組成物としては、例えば、ポリフェニレンエーテル95〜20重量%、飽和ポリエステル5〜80重量%からなる樹脂組成物100重量部に、燐系難燃剤5〜200重量部、下記式で示される亜燐酸エステル化合物0.1〜10重量部を配合し溶融混練してなる溶融混練樹脂組成物が好ましい。
【0046】
【化9】
【0047】
(式中、Arは、炭素数6〜30の芳香族基または置換芳香族基を表し、rは、1または2の数を表す。Rは、rが1の場合、炭素数2〜18のアルキレン基またはアリーレン基を表し、rが2の場合、炭素数4〜18のアルキルテトライル基を表す。Arは、各々、同じでも異なっていてもよく、また、ArおよびRの置換基は、酸素原子、窒素原子、硫黄原子またはハロゲン原子を含む置換基であってもよい。)
【0048】
本発明におけるポリエステル系樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリブチレンテレフタレート系樹脂、ポリエチレンナフタレート系樹脂などが挙げられ、またポリシクロヘキサンジメタノールテレフタレート、ポリアリレート、ブロックコポリアミドエーテルエステル及び/又それらの共重合体が挙げられ、好ましくは、ポリブチレンテレフタレート系樹脂が挙げられる。
【0049】
ポリブチレンテレフタレート系樹脂は、主成分がテレフタル酸もしくはそのエステル誘導体であるジカルボン酸成分と主成分がテトラメチレングリコールであるグリコール成分を縮重合して得られるポリブチレンテレフタレート系樹脂であり、好ましくは、テレフタル酸又はそのエステル誘導体が70モル%以上のジカルボン酸成分とテトラメチレングリコール70モル%以上のグリコール成分とを縮重合してなるポリブチレンテレフタレート系樹脂である。
【0050】
テレフタル酸以外のジカルボン酸成分としては、テレフタル酸以外の芳香族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸および脂環族ジカルボン酸などが挙げられる。テレフタル酸以外の芳香族ジカルボン酸としては、イソフタル酸、フタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、ビス(4,4′−カルボキシフェニル)メタン、アントラセンジカルボン酸、4,4′−ジ゛フェニルエーテルジカルボン酸、およびこれらのエステル誘導体が挙げられる。脂肪族ジカルボン酸としては、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ダイマー酸等およびこれらのエステル誘導体等が挙げられる。脂環族ジカルボン酸として、1,4シクロヘキサンジカルボン酸、4,4′−ジシクロヘキシルジカルボン酸およびこれらのエステル誘導体等が挙げられる。
【0051】
テトラメチレングリコール以外のグリコール成分としては、エチレングリコール、トリメチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、デカメチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、4,4′−ジシクロヘキシルヒドロキシメタン、4,4′−ジシクロヘキシルヒドロキシプロパン、ビスフェノールAエチレンオキシド付加ジオール、ハロゲン化ビスフェノールAエチレンオキシド付加ジオール、ポリエチレンオキシドグリコール、ポリプロピレンオキシドグリコール、ポリテトラメチレンオキシドグリコール等が挙げられ、また、グリセリン、トリメチロールプロパン等のトリオールなども挙げられ、更にこれらの混合系も挙げられる。
【0052】
本発明における熱可塑性エラストマーとしては、ゴム状重合体に該ゴム状重合体に共重合可能なビニル系重合体をグラフト重合して得られるグラフト共重合体、部分水素添加芳香族アルケニル化合物−共役ジエンブロック共重合体、ポリオルガノシロキサンゴム成分とポリアルキル(メタ)アクリレートゴム成分から構成され両ゴム成分が相互に絡み合い事実上分離できない構造を有し、且つその平均径が0.08〜0.6μmである複合ゴムに、芳香族アルケニル化合物とシアン化ビニル化合物がグラフト重合されてなる複合ゴム系グラフト共重合体等が挙げられる。
【0053】
本発明における熱可塑性エラストマーの具体例としては、メタクリル酸メチル−ブタジエン−スチレン共重合体(MBS樹脂)、アクリレート系ゴム、SEBSと呼ばれているスチレン−ブタジエン系トリブロック共重合体の水添物、SEPSと呼ばれているスチレン−イソプレン系トリブロック共重合体の水添物、シリコーン系ゴムとアクリレート系ゴム成分とからなる複合ゴムにビニル系単量体がグラフト重合されてなる複合ゴム系グラフト共重合体等が挙げられる。
【0054】
複合ゴム系グラフト共重合体は、詳しくはポリオルガノシロキサンゴム成分10〜90重量%とポリアルキル(メタ)アクリレートゴム成分90〜10重量%(両ゴム成分の合計量は100重量%)から構成され両ゴム成分が相互に絡み合い事実上分離できない構造を有し、且つその平均径が0.08〜0.6μmである複合ゴムに、芳香族アルケニル化合物とシアン化ビニル化合物がグラフト重合されてなる複合ゴム系グラフト共重合体である。この複合ゴム系グラフト共重合体の製造においては、特開平1−230664号公報等に記載の方法を用いることが出来る。この様な複合ゴム系グラフト共重合体は、例えば三菱レイヨン(株)より、メタブレンS−2001あるいはSRK−200として商業的に入手可能である。
【0055】
アクリル樹脂としては、例えば、ポリメチルメタクリレート等が挙げられ、ポリオレフィン樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリ4−メチルペンテン、エチレン・プロピレンコポリマー等が挙げられ、ポリアミド樹脂には、6ナイロン、66ナイロン等が挙げられる。
【0056】
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物においては、難燃剤を配合することができる。難燃剤としては、例えば、リン酸エステル系化合物、無機系リン化合物等のリン系化合物やハロゲン系有機化合物の他、有機スルホン酸塩、ポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体などのシリコーン系化合物、金属酸化物、シアヌル酸等の窒素含有化合物、水酸化マグネシウム等の無機化合物、膨張黒鉛、低融点ガラス等が挙げられ、好ましくは、リン系化合物、有機スルホン酸塩および金属酸化物が挙げられ、特に好ましくは、リン酸エステル系化合物、並びにリン酸エステル系化合物と有機スルホン酸塩および/または金属酸化物とを併用した難燃剤が挙げられる。
【0057】
難燃剤の配合量は、芳香族ポリカーボネート(A)と熱可塑性樹脂(B)との合計100重量部に対し、好ましくは0.01〜30重量部であり、より好ましくは0.1〜25重量部である。難燃剤を配合することにより、難燃性に優れた芳香族ポリカーボネート樹脂組成物が得られる。
【0058】
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物においては、ポリテトラフルオロエチレンを配合することができる。ポリテトラフルオロエチレンは、フィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレンであり、重合体中に容易に分散し、かつ重合体同士を結合して繊維状構造を作る傾向を示すものであり、滴下防止剤としての作用を有する。フィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレンはASTM規格でタイプ3に分類される。フィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレンとしては、例えば三井・デュポンフロロケミカル(株)より、テフロン6Jまたはテフロン30Jとして、あるいはダイキン化学工業(株)よりポリフロンF201Lとして市販されている。
【0059】
ポリテトラフルオロエチレンの配合量は、芳香族ポリカーボネート(A)と熱可塑性樹脂(B)との合計100重量部に対し、好ましくは0.01〜2重量部であり、より好ましくは0.05〜1重量部である。ポリテトラフルオロエチレンを配合することにより、燃焼時の滴下防止にに優れた芳香族ポリカーボネート樹脂組成物が得られる。
【0060】
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物においては、無機充填剤を配合することができる。本発明における無機充填剤としては、ガラス繊維、ガラスフレーク、ガラスビーズ、炭素繊維、ワラストナイト、珪酸カルシウム、硼酸アルミニウムウィスカー等が挙げられる。無機充填剤の配合量は、芳香族ポリカーボネート(A)と熱可塑性樹脂(B)との合計100重量部に対し、好ましくは1〜300重量部であり、より好ましくは5〜250重量部である。
【0061】
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、その効果が発現する量の種々の添加剤、例えば安定剤、離型剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、染顔料などを適宜選択し含有させることができる。
【0062】
本発明における芳香族ポリカーボネート(A)、芳香族ポリカーボネート(A)以外の熱可塑性樹脂(B)及び必要に応じ配合される各種助剤の混合方法、混合時期については特に制限は無く、例えば、重合反応の途中または重合反応終了時の混合する方法、混練途中等の樹脂が溶融した状態で添加する方法、ペレットまたは粉末等の固体状態の樹脂とブレンド後、押出機等で混練する方法などが挙げられる。
【0063】
【実施例】
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明は、これら実施例に限定されるものではない。なお、以下の実施例において、芳香族ポリカーボネート樹脂の製造は、図1に示すような工程を用いて行った。また、本発明により得られた芳香族ポリカーボネートの分析は、以下の測定法により行った。
(1)粘度平均分子量
ウベローデ粘度計を用いて塩化メチレン中20℃の極限粘度[η]を測定し、以下の式より求めた。
【0064】
【数4】
[η]=1.23×10-4×(Mv)0.83
【0065】
(2)オリゴマー含有量
MALDI−TOFMS(フィニガンマット社製VISION2000;レーザー(N2レーザー=337nm)、測定質量範囲(m/z=0〜35000))を測定に使用した。ジクロロメタン10ml中にポリカーボネート0.10gと内標としてトリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート0.01gとを溶解したポリマー溶液と、THF1ml中に2,4,6−トリヒドロキシアセトフェノン80mgを溶解したマトリクス溶液を調製し、ポリマー溶液とマトリクス溶液を、体積比1:1の割合で混合し、試料溶液として用いた。
【0066】
(3)基礎物性
樹脂組成物を120℃で4時間以上乾燥した後、(株)名機製作所M150AII−SJ射出成形機を用いて引張、曲げ、アイゾット衝撃強度、DTUL測定用の試験片を280℃、成形サイクル1分間の条件で成形し、下記規格に則って物性を測定した。引張破断強度及び伸度:ASTM D638、曲げ強度及び弾性率:ASTM D790、アイゾット衝撃強度(0.25Rノッチ付き、3.2mm):ASTM D256、熱変形温度、DTUL(1.82MPa):ASTM D648。
(4)初期色調
樹脂組成物を120℃、4時間乾燥した後、(株)名機製作所製M150AII−SJ射出成形機を用いて3mm厚成型品を、300℃、成形サイクル1分間の条件で成形し、分光式色彩計(日本電色工業機株式会社製、SE2000)でYI値を測定した。このYI値が大きいほど着色していることを示す。
【0067】
(5)滞留安定性(300℃耐熱試験)
樹脂組成物を120℃、4時間乾燥した後、(株)名機製作所製M150AII−SJ射出成形機を用いて3mm厚成型品を、300℃、成形サイクル10分間の条件で成形し、この条件の5ショット目の成型品について、日本電色工業機株式会社製、SE2000により透過法でYIを測定した。
(6)耐熱老化試験
初期色調を測定した成形片を、100℃の熱風乾燥機中で2000時間熱老化試験を行い、処理後のYIを測定した。
(7)末端水酸基量
四塩化チタン/酢酸法(Macromol.Chem.88 215(1965)に記載の方法)により比色定量を行った。
【0068】
以下の実施例及び比較例においては次の熱可塑性樹脂を用いた。
(8)ABS樹脂:三井化学株式会社製、サンタックAT−05。
(9)ポリブチレンテレフタレート(PBT):三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社製、ノバドゥール5010。
(10)熱可塑性エラストマー:三菱レーヨン株式会社製、メタブレンSRK200。
(11)ハイインパクトポリスチレン(HIPS):エー・アンド・エムスチレン株式会社製、ダイヤレックスHT478。
(12)難燃剤:旭電化株式会社製、アデカスタブFP500。
(13)PTFE:ダイキン化学工業株式会社製、ポリフロンF201L。
(14)ポリカーボネート樹脂は、以下の製造例により得た。
【0069】
〔製造例1〕
窒素ガス雰囲気下、135℃で、ビスフェノールA(BPA)とジフェニルカーボネート(DPC)とを一定のモル比(DPC/BPA=1.045)で溶融混合し、135℃に加熱した原料導入管を介して常圧、窒素雰囲気下、205℃に制御した縦型第1攪拌重合槽内に連続供給し、平均滞留時間が70分になるように槽底部のポリマー排出ラインに設けられたバルブ開度を制御して、液面レベルを一定に保った。また、上記原料混合物の供給を開始すると同時に、触媒として、水溶液とした水酸化セシウムをビスフェノールA1モルに対し、1×10-6モルの流量で連続供給した。槽底より排出された重合液は、引き続き第2、3、4の縦型重合槽並びに横型第5重合槽に逐次連続供給された。反応の間、各槽の平均滞留時間が下表1に示すような所定の時間になるように、液面レベルを制御し、また同時に副生するフェノールの留去も行った。縦型第2重合槽より横型第5重合槽での、各反応槽の重合条件、およびモノマー含量等を表1に示した。50kg/Hrの製造速度で連続して得られるポリカーボネートを、溶融状態のまま、混練部に内部温度測定用の温度計を設置し、3段ベント口を具備した2軸押し機(神戸製鋼所(株)製、スクリュー径0.046m、L/D=36)に導入し、p−トルエンスルホン酸ブチルを5ppm添加し、水を添加し、該水とモノマー成分とを揮発させた後、ペレット化した。押し出し機条件は、吐出量=50kg/hr、回転数=150rpm、最高樹脂温度=278℃であった。
得られたポリカーボネート樹脂についての評価結果を表−1に示す。得られたポリカーボネート樹脂を「PC−1」と称する。
【0070】
〔製造例2〕
製造例1において、触媒を水酸化ナトリウムに変更し、表−1に示すように重合条件等を変更した以外は、同様に製造を行ってポリカーボネート樹脂を得た。
得られたポリカーボネート樹脂を「PC−2」と称する。
【0071】
〔製造例3〕
製造例1において、触媒を炭酸セシウムに変更し、横型重合槽を用いず、表−1に示すような重合条件に変更し、同様に製造を行ってポリカーボネート樹脂を得た。得られたポリカーボネート樹脂を「PC−3」と称する。
〔製造例4〕
製造例2において、押出機条件を表−1に示すように変更した以外は、同様に製造を行ってポリカーボネート樹脂を得た。得られたポリカーボネート樹脂を「PC−4」と称する。
【0072】
〔実施例1〜5〕、比較例1、2
表−2に示すように、ポリカーボネート樹脂と熱可塑性樹脂を配合混合し、単軸押出機(田辺プラスチック株式会社製、商品名VS−40)によりバレル温度280℃で混練後、300℃で射出成形を行い、各種評価を行った。評価結果をを表−2に示した。
【0073】
〔実施例6〕
以下に示す方法で溶融混練樹脂組成物を製造した。
ポリフェニレンエーテル(30℃におけるクロロホルム中で測定した固有粘度0.53dl/g)57重量部、ポリブチレンテレフタレート(鐘紡(株)製、商品名PBT124、射出成形グレード、フェノール/1,1,2,2−テトラクロルエタン=60/40重量%混合液中、20℃で測定した固有粘度2.4dl/g)14重量部、リン酸トリフェニル(大八化学工業(株)製)29重量部、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト(旭電化(株)製、商品名MARK PEP−36)0.1重量部を、スーパーミキサーにて十分混合撹拌し、次いでこれをベント口付の日本製鋼(株)製TEX44二軸型押出機に供給し、第1ホッパーより下流に設置したベント口より10トールの減圧にし、設定温度210℃、スクリュー回転数250rpmの混練条件下で、溶融混練し、溶融混練樹脂組成物を得た。
得られた溶融混練樹脂組成物を表−2に示す配合処方で、実施例1と同様に混練後、射出成形を行い、各種評価を行った。評価結果をを表−2に示した。
【0074】
〔比較例1、2〕
表−2に示すように、ポリカーボネート樹脂と熱可塑性樹脂を配合混合し、単軸押出機(田辺プラスチック株式会社製、商品名VS−40)によりバレル温度280℃で混練後、300℃で射出成形を行い、各種評価を行った。評価結果をを表−2に示した。
【0075】
【表1】
【0076】
【表2】
【0077】
【発明の効果】
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物は、機械的強度や耐熱性に優れ、且つ初期色調や滞留熱安定性や熱老化後の色調に優れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のポリカーボネートを得るための製造方法の1例を示したフローシート。
【符号の説明】
1.原料混合槽
2.縦型重合槽
3.攪拌翼
4.副生物排出管
5.横型重合槽
6.攪拌翼
7.触媒導入管
Claims (8)
- 芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとのエステル交換反応により製造される、粘度平均分子量12000〜40000、末端水酸基の含有量が300〜1000ppmの芳香族ポリカーボネートであって、式(I)で表される環状オリゴマーの含有量が550ppm以下であり、かつ、式(I)、式(II)及び式(III)で表されるオリゴマーの総量に対する割合が関係式(1)を満たす芳香族ポリカーボネート(A)に該芳香族ポリカーボネート(A)以外の熱可塑性樹脂(B)を配合してなり、芳香族ポリカーボネート(A)と熱可塑性樹脂(B)との重量比が99/1〜1/99である芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
(式(I)中、Bは1〜15の炭素数を有するハロゲン置換されてもよい炭化水素基、O、S、CO、SO及びSO2より選ばれる2価の基である。Xはハロゲン原子、炭素数1〜14の脂肪族基もしくは置換脂肪族基、炭素数6〜18の芳香族基もしくは置換芳香族基、炭素数1〜8のオキシアルキル基および炭素数6〜18のオキシアリール基から選ばれる1価の基を示す。mは2〜8の整数、pは0〜4の整数であり、sは0または1である。また、X及びpはそれぞれ同一または異なるものであってもよい。)
(式(II)中、A、A’はそれぞれ同一または異なるものであって、炭素数1〜18の脂肪族基、置換脂肪族基、芳香族基、又は置換芳香族基を示す。nは1〜7の整数、B、X、p及びsは式(I)と同じ定義である。)
(式(III)中、A”は炭素数1〜18の脂肪族基、置換脂肪族基、芳香族基、又は置換芳香族基を示す。n’は1〜7の整数、B、X、p及びsは式(I)と同じ定義である。)
(式(1)中、 [I]、[II]、[III]はそれぞれ各式に対応するオリゴマーの含有量を表し、Mvは芳香族ポリカーボネートの粘度平均分子量を表す。) - 芳香族ポリカーボネート(A)以外の熱可塑性樹脂が、スチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、及び熱可塑性エラストマーから選ばれる少なくとも1種の熱可塑性樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
- スチレン系樹脂が、ゴムの存在下少なくともスチレン系単量体を重合してなるグラフト共重合体を含むスチレン系樹脂であることを特徴とする請求項2に記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
- スチレン系樹脂が、ゴムの存在下少なくともスチレン系単量体と(メタ)アクリロニトリルを重合してなるグラフト共重合体を含むスチレン系樹脂であることを特徴とする請求項2に記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
- ポリエステル系樹脂が、ポリブチレンテレフタレート系樹脂であることを特徴とする請求項2に記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
- 熱可塑性エラストマーが、ポリオルガノシロキサンゴム成分とポリアルキル(メタ)アクリレートゴム成分から構成され両ゴム成分が相互に絡み合い事実上分離できない構造を有し、且つその平均径が0.08〜0.6μmである複合ゴムに、芳香族アルケニル化合物とシアン化ビニル化合物がグラフト重合されてなる複合ゴム系グラフト共重合体であることを特徴とする請求項2記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物
- 芳香族ポリカーボネート(A)と熱可塑性樹脂(B)との合計100重量部に対し、難燃剤0.01〜30重量部を配合してなることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
- 芳香族ポリカーボネート(A)と熱可塑性樹脂(B)との合計100重量部に対し、ポリテトラフルオロエチレン0.01〜2重量部を配合してなることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
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