JP6338367B2 - 水晶振動子 - Google Patents

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Description

本発明は、水晶振動子に関する。
周波数や時間の基準源として用いられる水晶振動子は、水晶振動子を構成する振動板すなわち水晶板を水晶の単結晶から切り出すときの結晶学的な方位にしたがって、何種類かの“カット”に分類される。そのようなカットとしては、従来から、例えば、ATカット、SCカットなどが広く知られている。中でもGTカットの水晶板は、優れた周波数温度特性を有し、周囲温度が変化した場合における共振周波数の変化が非常に小さいので、高精度高安定の水晶発振器への適用などが期待されている。長方形状のGTカットの水晶振動子は、低周波数帯(例えば、2〜10MHz)において小型化が可能であり、常温(25℃近傍)で一次の温度係数が0となるような周波数温度特性を有している。
水晶においては、周知なように、結晶学的にX軸、Y軸及びZ軸の3本の結晶軸が定められている。Y軸に直交する面(すなわち、X軸とZ軸に平行な面)に沿って切り出される水晶板をY板と呼ぶが、Y板をX軸の周りに+51.5°回転させ(すなわちθ=+51.5°)、さらにその板の面内で板を+45°回転させる(すなわちβ=+45°)ことによって形成される水晶板からなるカットがGTカットである(例えば、特許文献1参照)。θ及びβは、水晶におけるカット方位を特定するために一般的に用いられるパラメータである。GTカットの水晶板内での方位を指定するために、X軸、Y軸及びZ軸をX軸の周りで上記の+51.5°回転させて得られる軸をそれぞれX’軸、Y’軸及びZ’軸とする。X軸周りの回転であるので、当然のことながらX’軸はX軸に一致する。そして、X’軸及びZ’軸をY’軸の周りでZ’軸からX’軸に向かう方向に45°回転させて得られる軸をそれぞれX”軸及びZ”軸とする。
ここでGTカットの水晶板における振動モードを説明する。図1に示すように、GTカットの水晶板11における振動モードは、X”軸方向の縦振動(伸縮振動)モードとZ”軸方向の縦振動モードとが結合した振動モード(幅・長さ縦結合振動モードともいう)である。図において、伸縮振動の方向が矢印で示されており、振動によって変位した輪郭が破線によって示されている。ただし、説明のために、変位した輪郭は、水晶板11における実際の変位量よりもはるかな大きな変位をしたものとして描かれている。2つの縦振動モードが結合した振動モードであるため、従来、GTカットの水晶板は、1対の辺がX”軸に平行となりもう1対の辺がZ”軸に平行になるような長方形あるいは角型の形状にして、水晶振動子における振動板すなわち水晶片として用いられていた。振動板としての水晶板を励振するための励振電極は、水晶板の両方の主面にそれぞれ設けられる。縦振動モードを主振動として利用することから、GTカットの水晶板は、共振周波数が低周波帯にあるときであっても、小型に形成することができる。なお、GTカットの振動子は、各辺の長さを等しくし正方形の振動板とした場合には、幅・長さ縦結合振動モードとは異なるラーメ振動モードと呼ばれる振動モードで振動するので、原則として、GTカットの振動子の平面形状は正方形とはしない。
水晶板の振動モードは、カットごとに異なっている。例えば、従来から広く用いられているATカットの水晶板の場合、振動モードは厚み滑り振動モードであって、その厚さのみによって共振周波数が決定する。そのためATカットの水晶板では、平面形状を任意に設定することができ、これにより、厚み滑り振動での不動点となる位置で水晶片を支持する構成とすることができる。しかしながらGTカットの水晶片の場合、振動モードが幅・長さ縦結合振動モードであって幅や長さなどの平面形状やサイズに応じて共振周波数が変化し、かつ、相互に結合する2つの振動モードの振動が両方とも確実に起きるようにしなければならないから、平面形状を任意に設定したり、任意の位置に支持部を配置したりすることはできない。特に、長方形状のGTカットの水晶板の外周部には、一般的には、振動変位における不動点は存在しない。
水晶振動子を構成する振動板すなわち水晶片としてGTカットの水晶板を使用する場合には、水晶振動子の容器の壁面などと接触しないように水晶板を容器内に保持する必要があるが、長方形状のGTカットの水晶板の外周部には振動変位における不動点は存在しないから、できるだけ、振動を妨げないような位置と形状で、水晶片に対する支持部を設ける必要がある。そこで、特許文献2に示されるように、フォトリソグラフィ技術を用いることにより、振動板の本体部分(振動部)とそれに対する支持部とを水晶の板状部材から一体的に形成してしまうことが提案されている。その場合、図2に示すように、振動板としての水晶板11における長方形状の本体部分における対向する1対の辺の各々の中点の位置に対し、支持部12が接続するようにする。このとき、クランク状の折れ曲がり部を設けるなどして支持部12が水晶板11の振動に影響を及ぼさないようにする。さらに、有限要素法などの手法を用いることによって、振動部単独での共振周波数と、支持部12までを含めた共振系全体としての共振周波数とがほぼ同じになるように、支持部12の形状を設計する。
しかしながら、図2に示したような支持部を備えるGTカットの水晶振動子は、構造が複雑であって製造が難しく、また支持部自体の大きさが振動板の本体部分に比べて無視できないので、支持部における寸法ばらつきが水晶板の振動特性に大きな影響を及ぼすとともに、水晶振動子の小型化を阻害する、という課題を有する。
そこで本発明者らは、GTカットの水晶振動子として、楕円形状の水晶板を振動板として用いることを提案した(特許文献3)。GTカットにおける直交する2つの縦振動モードの振動方向をそれぞれ長軸と短軸とする楕円形に形成された水晶板では、2つの縦振動モードが結合したときに水晶板の外周において振動変位が極小となる位置が4点存在するようになるので、そのような点で水晶板を支持する構成とすることによって、簡単な構造の支持部を用いた場合であっても、水晶振動子としての振動特性に悪影響を与えることなく、水晶板を支持できるようになる。
特開平8−213872号公報 特開昭58−159014号公報 特開2012−175520号公報
GTカットの水晶振動子では、その形状によって、周波数、振動特性及び周波数温度特性が決まる。特許文献3に示したような楕円形状のGTカットの水晶板を用いた場合、楕円としての形状(特に、長軸と短軸の長さの比)によって周波数温度特性が決まるため、所望の諸特性を有する水晶振動子を得ようとした場合に、設計の自由度が限られてしまう、という課題がある。
本発明の目的は、振動特性に悪影響を及ぼすことなく小型で簡単な構造の支持部を設けることができ、かつ、周波数、振動特性及び周波数温度特性を含む各種の特性に関する設計の自由度が高い水晶振動子を提供することにある。
本発明の水晶振動子は、水晶の結晶学的なX軸、Y軸及びZ軸をX軸の周りに+37°以上+51.5°以下の角度だけ回転して得られた軸をそれぞれX’軸、Y’軸及びZ’軸とし、X’軸及びZ’軸をY’軸の周りでZ’軸からX’軸に向かう方向に45°回転させて得られる軸をぞれぞれX”軸及びZ”軸として、X”軸及びZ”軸を含む面に平行に水晶から切り出された水晶板と、水晶板を支持する支持部と、を有し、水晶板は、X”軸及びZ”軸にそれぞれ平行な辺を有する長方形を基準長方形として、基準長方形の少なくとも1対の対向する辺を基準長方形の外方に膨らませた形状を有して、X”軸方向及びZ”軸方向をぞれぞれ振動方向とする直交する2つの縦振動モードを有し、支持部は、基準長方形の頂点の近傍の位置であって2つの縦振動モードが結合したときにX”軸方向またはZ”軸方向の振動変位が極小となる位置において、水晶板の外周に接続する。
本発明の水晶振動子は、GTカットの水晶振動子と同様に、いわゆるY板を水晶のX軸の周りに回転させ、さらに、面内で45°回転させた水晶板を振動板として用いるものである。本発明の水晶振動子がGTカットの水晶振動子と異なるところは、水晶のY板をX軸の周りで回転するときの回転角θを+37°≦θ≦+51.5°の範囲で定めることである。θ=+51.5°とすると通常のGTカットの水晶板となる。長方形状のGTカットの水晶板では、θ=+51.5°とすることによって周波数温度特性における一次の温度係数が常温近傍でゼロとなるが、本発明では水晶板の形状を以下に述べるように単純な長方形とはしないので、好ましい特性を得るためにθの値を+51.5°よりも小さくすることができる。θの値が小さくなると圧電定数が大きくなるので、良好な振動子の特性を得ることが容易になる。
さらに本発明では、水晶板の形状を、X”軸及びZ”軸にそれぞれ平行な辺を有する長方形(これを基準長方形と呼ぶ)とするのではなく、この基準長方形の少なくとも1対の対向する辺を基準長方形の外方に膨らせた形状とする。好ましくは、水晶板の形状は、基準長方形の4つの辺の各々をその基準長方形の外方に膨らませた形状とする。基準長方形自体は、水晶板の形状を定義するために導入された仮想的なものであり、実際の水晶板では、基準長方形の内部であるか外部であるかによって性状等に格別の相違があるわけではない。また、基準長方形の形状は正方形であってもよいが、ラーメ振動モードが励起されることを防ぐためには、水晶板におけるX”軸方向の最大寸法とZ”軸方向の最大寸法とが異なるか、または、膨らみの形状が異なる必要がある。
本発明によれば、Y板をX軸の周りに回転させた上で面内で45°回転させて得られる水晶板であって、X”軸及びZ”軸にそれぞれ平行な辺を有する長方形(基準長方形)からさらに基準長方形の各辺を外方に膨らませた形状の水晶板を用いることによって、振動特性や周波数温度特性を所望のものとすることが可能となり、水晶振動子の設計の自由度が高くなる。この場合、単純な楕円形状のGTカットの水晶板に比べ、良好な周波数温度特性を得ながら、X”軸方向の最大寸法とZ”軸方向の最大寸法との比を1に近づけることが可能となり、振動子のさらなる小型化が可能になる。また、振動変位が極小となる点で水晶板を保持することが可能となって、振動特性に影響を及ぼすことなく、小型で簡単な構造の支持部を使用した水晶振動子を構成することができる。本発明の水晶振動子は、縦振動モードを主振動として利用するため、低周波帯においても小型化することができる。
GTカットの水晶板の振動モードを説明する平面図である。 支持部が設けられている従来の長方形状のGTカット水晶振動子を説明する平面図である。 (a)〜(d)は、本発明の実施の一形態の水晶振動子における水晶板の平面形状の例を示す上面図である。 振動子の振動変位におけるZ”軸方向の変位量の分布を示す図である。 振動子の振動変位におけるX”軸方向の変位量の分布を示す図である。 本発明の実施の一形態の水晶振動子の具体的構成の一例を示す平面図である。 のC−C’線での断面図である。 (a),(b)は水晶板を面内で回転させてX”軸方向の寸法とZ”軸方向の寸法を入れ替えることを説明する図である。 基準長方形からの膨らみの度合いに応じた、辺比と周波数温度特性における一次の温度係数との関係を示すグラフである。 種々の回転角θに対する、辺比と周波数温度特性における一次の温度係数との関係を示すグラフである。
次に、本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照して説明する。
図3(a)〜(d)は、いずれも、本発明に基づく水晶振動子において振動板として用いられる水晶板31の平面形状の例を示している。これらの水晶板31は、いずれも、Y板(水晶の結晶学的なY軸に垂直な面)を水晶のX軸の周りに角度θだけ回転させ、さらに、面内で45°回転させた水晶板である。ここで回転角θは+37°≦θ≦+51.5°の範囲にある。ここで水晶のX軸、Y軸、Z軸をX軸の周りに角度θだけ回転して得られる座標軸をX’軸、Y’軸、Z’軸とし(したがって、X’軸はX軸に一致する)、さらにX’軸及びZ’軸をY’軸の周りにZ’軸からX’軸に向かう方向に45°回転させて得られる軸をぞれぞれX”軸及びZ”軸とすると、水晶板31は、X”軸及びZ”軸に平行な面を有する水晶板31ということになる。水晶板31は、X”軸方向及びZ”軸方向をぞれぞれ振動方向とする直交する2つの縦振動モードを有し、かつこれらの縦振動モードが結合して、X”軸方向とZ”軸方向とに交互に伸縮する幅・長さ縦結合振動モードを有することになる。
ここで、仮想的にX”軸及びZ”軸にそれぞれ平行な辺を有する長方形を基準長方形30として考えると、本実施形態に基づく水晶板31は、基準長方形30の4つの辺の各々を基準長方形30の外方に膨らませた形状を有する。したがって、基準長方形30は、その各頂点が水晶板31の外周上にあるようにして、水晶板31の外周に対して内接することになる。ここで基準長方形30のX”軸方向での長さをLxとし、Z”軸方向での長さをLzとする。また、水晶板31のX”軸方向での最大長さをaとし、Z”軸方向での最大長さをbとする。本実施形態では、Lx=Lzであってもよいが、ラーメ振動モードなどの意図しない振動モードによる振動を抑制するために、a≠bである必要がある。もっとも、X”軸方向とZ”軸方向の2つの縦振動モードを結合させて幅・長さ縦結合振動モードとするために、aとbとは比較的近い値である必要がある。以下では説明のため、Lx>Lz、a>bとしているが、X”軸方向の弾性係数C'11とZ”軸方向の弾性係数C'33とが等しいので、X”軸方向の寸法とZ”軸方向の寸法とを入れ替えても全く同じ振動特性が得られる。水晶板31におけるX”軸方向の長さとZ”軸方向の長さとの比を辺比と呼ぶが、a>bである場合には、0.84≦b/a≦0.96とすることが好ましい。X”軸方向の寸法とZ”軸方向の寸法とを入れ替えても全く同じ振動特性が得られることから、b>aの場合には、0.84≦a/b≦0.96とすることが好ましい。
図3(a)に示した水晶板31は、基準長方形30の隣接する頂点間がそれぞれ楕円弧で結ばれるように、基準長方形30の各辺をその外方に膨らませた形状を有する。このとき、基準長方形30の頂点の位置で相互に接続する2つの楕円弧は、異なる楕円から切り出された楕円弧であるようにする。すなわち、水晶板31は、全体として単一の楕円で表されるような形状とはなっていない。各楕円弧のもととなるそれぞれの楕円は、例えば、その長軸の長さに対する短軸の長さが0.3以上0.6以下のものである。
図3(b)に示した水晶板31は、基準長方形30の各辺をそれぞれ底辺とする4つの三角形によって、基準長方形30を外方に膨らませた形状を有する。したがってこの水晶板31は、凸八角形に構成されていることになる。ここでは図示しないが、基準長方形30の対向する1対の辺だけを三角形によって外方に膨らませることにより、凸六角形の形状の水晶板31としてもよい。
図3(c)に示した水晶板31は、基準長方形30の各辺を余弦(コサイン)曲線によって外方に膨らませた形状を有する。基準長方形30の各辺を曲線によって外方に膨らませる場合、使用する曲線は余弦曲線に限られるものではなく、任意の曲線を用いることができる。
図3(d)に示した水晶板31は、基準長方形30の各辺をそれぞれ4つの線分からなる折れ線で置き換えて、全体として十六角形に形成されている。このとき、必ずしも凸十六角形とする必要はなく、図示するように凹十六角形としてもよい。基準長方形30の各辺をそれぞれ外方に膨らませて多角形状の水晶板31とする場合、図3(b)に示した八角形や図3(d)に示した十六角形に限られるものではなく、六角形以上の任意の角数の多角形とすることができる。図3(a)、図3(c)及び図3(d)に示したものにおいても、図3(b)の場合と同様に、基準長方形30の対向する1対の辺だけを外方に膨らませた形状としてもよい。
次に、本実施形態の水晶振動子において水晶板31を支持するための支持部の接続位置について検討する。
図4及び図5は、それぞれ、図3(a)に示す水晶板31が幅・長さ縦結合振動モードで振動したときの水晶板31の板面内でのZ”軸方向の変位量の分布とX”軸方向の変位量の分布とをシミュレーションによって求めた結果を示している。これらの図において、正の変位量は各軸の正方向への変位であることを示し、負の変位量は負方向への変位であることを示している。Z”軸方向の振動変位に関しては、水晶板31のZ”軸方向に伸びる中心線上では変位が小さいが、この中心線と水晶板31の外周とが交わる位置において、X”軸方向の振動変位の変位量の絶対値が極大となる。一方、X”軸方向の振動変位に関しては、水晶板31のX”軸方向に伸びる中心線上では変位が小さいが、この中心線と水晶板31の外周とが交わる位置において、Z”軸方向の振動変位の変位量の絶対値が極大となる。したがって、水晶板31のX”軸方向に伸びる中心線の位置、あるいはZ”軸方向に伸びる中心線の位置、言い換えれば、基準長方形30の各辺の中点に対応する位置において、水晶板31の外周に対して支持部を接続することは好ましくない。ところで、図5を参照すると、基準長方形30の頂点の近傍であって水晶板31の外周上に、X”軸方向の変位がほぼ0となる点がある。図では、これらの点をP1〜P4で表している。図4を参照すると、点P1〜P4では、Z”軸方向の変位も比較的小さい。そこで、これらの点P1〜P4のうちのいくつかの点に対し細い棒状の支持部32を接続することにより、水晶板31を支持することができる。
一般に棒状の支持部材を水晶板の外周に接続して水晶板を保持する場合、振動変位が0の位置で保持することが好ましい。しかしながら、振動モードによっては振動変位が0となる位置が水晶板に存在しない場合もある。棒状の部材は、圧縮/伸張応力に対してよりも曲げ応力に対して「柔らかい」挙動を示すから、振動変位が0となる位置が存在しない場合には、振動変位によって支持部材に加わる応力が圧縮/伸張応力となるのではなく曲げ応力となる位置に支持部材を接続することが好ましい。図4及び図5に示す例の場合、点P1〜P4は基準長方形30におけるZ”軸方向に平行な辺上にあるから、この辺に対して直交する方向に伸びるように棒状の支持部32を設けるとすると、支持部32にはZ”軸方向の振動変位による曲げ応力のみが加わることとなり、またその振動変位の絶対値も比較的小さいので、支持部32は、水晶板31の振動特性に大きな影響を与えることなく水晶板31を支持できることになる。
このように本実施形態の水晶振動子では、水晶板31の外周において、基準長方形30の頂点の近傍であってX”軸方向あるいはZ”軸方向の変位が極小となる位置(図4及び図5に示した例では点P1〜P4の1つまたは複数)に対して支持部32を接続することにより、水晶板31の振動特性に影響を及ぼすことなく、水晶板31を支持することができる。支持部32は、振動変位が極小となる点に対して接続するので、その共振周波数を水晶板31の共振周波数に一致させる必要がなく、簡単な構成のものとすることができる。例えば、水晶板31の外周に接続する単純な棒状部材あるいは梁部材によって支持部32を構成することができる。またこの水晶振動子は、幅・長さ縦結合振動モードで振動する水晶板31を用いていることから、良好な周波数温度特性が得られ、この水晶振動子と発振回路とを組み合わせることによって、高精度高安定な水晶発振器を得ることができる。
図6及び図7は、このようにして構成された本実施形態の水晶振動子の具体的な構成の一例を示している。
この水晶振動子は、略長方形に形成されたフレーム(枠)33を備え、フレーム33の開口部内に上述した水晶板31が保持されたものである。ここで示す例では、図3(a)に示した水晶板31が用いられているのとする。このときフレーム33も、X”軸方向及びZ”軸方向に平行となるように形成されている。水晶板31は、フレーム33の内壁から延びる棒状の2本の支持部32によって支持されている。2本の支持部32は、楕円形の水晶板31の外周にある上述した4つの点P1〜P4のうちの2つにおいて、それぞれ、水晶板31に機械的に接続している。ここでは、水晶板31の中心を挟む一対の点P2,P4(図4及び図5参照)に対して支持部32が接続している。フレーム33の厚さは、水晶板31の厚さよりも十分に厚くなっている。これにより、例えばフレーム33の上面と下面とに蓋部材をそれぞれ配してフレーム33と蓋部材とによって囲まれた空間内に水晶板31が格納されるようにした場合に、水晶板31の蓋部材への接触が防止されるようになっている。
このような水晶振動子は、Y板をX軸の周りに角度θ(ただし、+37°≦θ≦+51.5°)だけ回転させたものに相当する水晶の板状部材を用い、水晶板31、支持部32及びフレーム33となる部分が残存し他の部分は除去されるようにその板状部材に対してフォトリソグラフィ技術を適用することによって形成できる。水晶の板状部材に対してフォトリソグラフィ技術を用いて水晶振動子を形成した場合には、支持部32及びフレーム33も水晶からなり、水晶板31と一体的に構成されていることになる。
さらに、水晶板31の一方の主面のほぼ全面には励振電極34が形成され、この励振電極34に対する電気的接続を実現するための引出電極36が、一方の支持部32の表面に形成されて、フレーム33の上面に形成されている接続パット37にまで延びている。同様に、水晶板32の他方の主面のほぼ全面にも励振電極35が形成され、この励振電極35は、フレーム33の下面に形成されている接続パッド(不図示)に対し、他方の支持部の表面に形成された引出電極(不図示)を介して電気的に接続している。
図6及び図7に示したものでは、水晶板31を2点で支持しているが、基準長方形30の頂点の近傍の位置であって(言い換えれば、基準長方形のX”軸方向の中心線の近傍の位置でもZ”軸方向の中心線の近傍の位置でもない)、幅・長さ縦結合振動モードでのX”軸方向またはZ”軸方向の振動変位が極小となる位置において水晶板31を支持するものである限り、何か所で支持するか、どの点で支持するかは、任意に定めることができる。
上述したように、本実施形態の水晶振動子の水晶板31は、Y板をX軸の周りで回転させた上で、面内で45°回転させているから、X”軸方向の弾性係数C'11とZ”軸方向の弾性係数C'33とが等しくなる。したがって、図8(a),(b)に示すように、水晶板31を面内で90°回転させることによりX”軸方向の寸法とZ”軸方向の寸法とを入れ替えても全く同じ振動特性が得られる。図8(a)は、90°の面内回転を行う前の水晶板31を示しており、ここでは、X”軸方向の長さがZ”軸方向の長さよりも長くなっている。これに対し、図8(b)は、90°の面内回転を行った後の水晶板31を示しており、ここでは、Z”軸方向の長さがX”軸方向の長さよりも長くなっている。
本実施形態では、水晶板31は、基準長方形30の各辺を外方に膨らませた形状を有している。そこで、膨らみの度合いをどの程度にすれば良好な周波数温度特性が得られるかを検討した。ここで、基準長方形30の辺からの膨らみが全体の長さに対してどれだけの比率を占めるかによって、膨らみの度合いを表した。図3(a)に示した水晶板31を考えると、基準長方形30の対向する辺がそれぞれ膨らんでいるから、X”軸方向及びZ”軸方向のそれぞれに対する膨らみの度合いδx,δzは、
δx=(a−Lx)/2a,
δz=(b−Lz)/2b
で表される。種々のδx,δzの組み合わせに対し、辺比(b/a)を変化させたときの周波数温度特性における25℃での一次の温度係数αの変化をシミュレーションによって求めた。結果を図9に示す。
また、水晶板31を水晶結晶から切り出すときの切断方位(回転角θ)を変えたときに周波数温度特性がどのように変化するかを検討した。δx=4.4%、δz=2.6%とし、種々の回転角θに対し、辺比(b/a)を変化させたときの周波数温度特性における25℃での一次の温度係数αの変化をシミュレーションによって求めた。結果を図10に示す。図9及び図10において、円で囲んだ部分は、一次の温度係数αがほぼ0となっていることを示している。
図9及び図10から、切断角度すなわち回転角θが+37°以上+51.5°以下の範囲であって、水晶板の辺比(b/a)が0.84以上0.98以下であるときに、常温(25℃)付近で一次の温度係数αが0となる周波数温度特性が得られることが分かる。
30…基準長方形; 31…水晶板; 32…支持部; 33…フレーム; 34,35…励振電極; 36…引出電極; 37…接続パッド。

Claims (6)

  1. 水晶の結晶学的なX軸、Y軸及びZ軸を前記X軸の周りに+37°以上+51.5°以下の角度だけ回転して得られた軸をそれぞれX’軸、Y’軸及びZ’軸とし、前記X’軸及び前記Z’軸を前記Y’軸の周りで前記Z’軸から前記X’軸に向かう方向に45°回転させて得られる軸をれぞれX”軸及びZ”軸として、
    前記X”軸及び前記Z”軸を含む面に平行に前記水晶から切り出された水晶板と、
    前記水晶板を支持する支持部と、
    を有し、
    前記水晶板は、前記X”軸及び前記Z”軸にそれぞれ平行な辺を有する長方形を基準長方形として、前記基準長方形の少なくとも1対の対向する辺を前記基準長方形の外方に膨らますことによる六角形以上の多角形の形状を有して、前記X”軸方向及び前記Z”軸方向をれぞれ振動方向とする直交する2つの縦振動モードを有し、
    前記支持部は、前記基準長方形の頂点の近傍の位置であって前記2つの縦振動モードが結合したときに前記X”軸方向または前記Z”軸方向の振動変位が極小となる位置において、前記水晶板の外周に接続する、水晶振動子。
  2. 水晶の結晶学的なX軸、Y軸及びZ軸を前記X軸の周りに+37°以上+51.5°以下の角度だけ回転して得られた軸をそれぞれX’軸、Y’軸及びZ’軸とし、前記X’軸及び前記Z’軸を前記Y’軸の周りで前記Z’軸から前記X’軸に向かう方向に45°回転させて得られる軸をそれぞれX”軸及びZ”軸として、
    前記X”軸及び前記Z”軸を含む面に平行に前記水晶から切り出された水晶板と、
    前記水晶板を支持する支持部と、
    を有し、
    前記水晶板は、前記X”軸及び前記Z”軸にそれぞれ平行な辺を有する長方形を基準長方形として、前記基準長方形の4つの辺の各々を該基準長方形の外方に膨らませた形状であって前記基準長方形の隣接する頂点間をそれぞれ楕円弧で接続した形状を有して、前記X”軸方向及び前記Z”軸方向をそれぞれ振動方向とする直交する2つの縦振動モードを有し、前記基準長方形の頂点ごとに、当該頂点で相互に接続する2つの楕円弧は、異なる楕円から切り出された楕円弧であり、
    前記支持部は、前記基準長方形の頂点の近傍の位置であって前記2つの縦振動モードが結合したときに前記X”軸方向または前記Z”軸方向の振動変位が極小となる位置において、前記水晶板の外周に接続する、水晶振動子。
  3. 水晶の結晶学的なX軸、Y軸及びZ軸を前記X軸の周りに+37°以上+51.5°以下の角度だけ回転して得られた軸をそれぞれX’軸、Y’軸及びZ’軸とし、前記X’軸及び前記Z’軸を前記Y’軸の周りで前記Z’軸から前記X’軸に向かう方向に45°回転させて得られる軸をそれぞれX”軸及びZ”軸として、
    前記X”軸及び前記Z”軸を含む面に平行に前記水晶から切り出された水晶板と、
    前記水晶板を支持する支持部と、
    を有し、
    前記水晶板は、前記X”軸及び前記Z”軸にそれぞれ平行な辺を有する長方形を基準長方形として、前記基準長方形の4つの辺の各々を余弦曲線によって前記基準長方形の外方に膨らませた形状を有して、前記X”軸方向及び前記Z”軸方向をそれぞれ振動方向とする直交する2つの縦振動モードを有し、
    前記支持部は、前記基準長方形の頂点の近傍の位置であって前記2つの縦振動モードが結合したときに前記X”軸方向または前記Z”軸方向の振動変位が極小となる位置において、前記水晶板の外周に接続する水晶振動子。
  4. 前記支持部は水晶からなり、前記水晶板と一体的に形成されている、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の水晶振動子。
  5. 前記X”軸方向での前記水晶板の最大寸法と前記Z”軸方向での前記水晶板の最大寸法とのうちの大きい方をa、小さい方をbとして、b/aが0.84以上0.98以下である、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の水晶振動子。
  6. 前記水晶板の各主面に形成された励振電極をさらに備える、請求項1乃至のいずれか1項に記載の水晶振動子。
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