1つの態様では、本明細書中に記載されているのは、非晶質の不均一な(heterogeneous)表面を備えた基質を含む溶液から溶質の結晶を生成する装置であって、非晶質の不均一な表面は、
1)基質の表面上に予め形成された核形成サイトアレイを組込み、
2)静的な、動的な又は流動している、あるいはその組み合わせの条件下で結晶化される溶質を含む溶液と直接接触するように配置され、
及び、3)溶液への溶解に化学的な耐性を有する。
いくつかの実施形態では、基質の表面上の予め形成された核形成サイトアレイは、多くの刻み目(indentations)、くぼみ、狭間(crenels)、隆起(ridge)、チャネル、段、ねじれあるいは段丘(terraces)、あるいはその組み合わせを含む。
本明細書中で使用されるように、「狭間」は、鋭角、鈍角又は直角あるいはその組み合わせを有する特徴を指す。本明細書中で使用されるように、「くぼみ」は、周囲の表面によって規定された平面の上、下又はその組み合わせにあり得る非角度又は丸い特徴を指す。
いくつかの実施形態では、予め形成された核形成サイトアレイを組込んだ非晶質の不均一な表面は、核形成サイトアレイがない非晶質の不均一な表面と比較して、接触角、線張力、濡れ性あるいは表面エネルギーあるいはその組み合わせを溶液で改質する。
いくつかの実施形態では、予め形成された核形成サイトアレイは、表面上で彫る、エッチングする、圧延する(mill)、インプリントをする、リトグラフをする又は追加的に印刷するあるいはその組み合わせができるように、手動、機械的又は化学的な方法あるいはその組み合わせの手段によって表面上で操作された。本明細書に使用されるように、「追加的に印刷する」は、例えば三次元印刷及び当業者によって実行される他の関連する技術によって表面上に材料の1つ以上の層の堆積を含む方法を指す。
いくつかの実施形態では、基質は溶液への溶解に化学的な耐性を有する材料である。いくつかの実施形態では、基質はポリプロピレン、ポリエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリアクリラート、ポリアクリルアミド、ポリスチレン、ジビニルベンゼン又はビニルベンゼン、あるいはその組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、基質はガラス基質である。
いくつかの実施形態では、非晶質の不均一な表面を備えた基質は、第2の基質に付着する。いくつかの実施形態では、第2の基質は溶液への溶解に化学的な耐性を有する材料である。いくつかの実施形態では、第2の基質は非晶質の不均一な表面を備えた基質と同じ材料を含む。いくつかの実施形態では、第2の基質は非晶質の不均一な表面を備えた基質とは異なる材料を含む。
いくつかの実施形態では、非晶質の不均一な表面を備えた基質は、非晶質の不均一な表面を備えていない第2の基質に付着する。
いくつかの実施形態では、基質は、温度を制御する又は温度を調節するあるいはその組み合わせである手段を含む。
いくつかの実施形態では、基質は、溶液にさらされていない温度を制御する又は温度を調節するあるいはその組み合わせである手段を含む。
別の態様では、本明細書中に記載されているのは、溶液からの溶質の結晶を生成するための複数の基質を含むキットであって、各基質は:
1)基質の表面上に予め形成された核形成サイトアレイを組込み、
2)静的な、動的な又は流動している、あるいはその組み合わせの条件下で結晶化される溶質を含む溶液と直接接触するように配置され、
及び、
3)溶液への溶解に化学的な耐性を有し、
ここで、各基質は、キット中の他の予め形成された核形成サイトアレイと同じ又は異なる予め形成された核形成サイトアレイを含む。
本明細書に記載されているキットのいくつかの実施形態では、基質の表面上の予め形成された核形成サイトアレイは、多くの刻み目、くぼみ、狭間、隆起、チャネル、段、ねじれあるいは段丘、あるいはその組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、予め形成された核形成サイトアレイを組込んだ非晶質の不均一な表面は、核形成サイトアレイがない同様の非晶質の不均一な表面と比較して、接触角、線張力、濡れ性あるいは表面エネルギーあるいはその組み合わせを溶液で改質する。いくつかの実施形態では、予め形成された核形成サイトアレイは、表面上で彫る、エッチングする、圧延する(mill)、インプリントをする、リトグラフをする又は追加的に印刷するあるいはその組み合わせができるように、手動、機械的又は化学的な方法あるいはその組み合わせの手段によって表面上で操作された。いくつかの実施形態では、基質は溶液への溶解に化学的な耐性を有する材料である。いくつかの実施形態では、基質はポリプロピレン、ポリエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリアクリラート、ポリアクリルアミド、ポリスチレン、ジビニルベンゼン又はビニルベンゼン、あるいはその組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、複数の基質は同じである。いくつかの実施形態では、複数の基質は異なる。いくつかの実施形態では、基質はガラス基質である。いくつかの実施形態では、非晶質の不均一な表面を備えた各基質は、第2の基質に付着する。いくつかの実施形態では、第2の基質は複数の第2の基質を含む。いくつかの実施形態では、複数の第2の基質は同じである。いくつかの実施形態では、複数の第2の基質は異なる。いくつかの実施形態では、非晶質の不均一な表面を備えた各基質は第2の基質に付着し、この基質は同じ材料を含む。いくつかの実施形態では、非晶質の不均一な表面を備えた各基質は第2の基質に付着し、この基質は異なる材料を含む。いくつかの実施形態では、非晶質の不均一な表面を備えていない第2の基質に非晶質の不均一な表面を備えた各基質にそれぞれ付着する。いくつかの実施形態では、キットは、温度を制御する又は温度を調節するあるいはその組み合わせである手段を含む。いくつかの実施形態では、キットは、溶液にさらされていない温度を制御する又は温度を調節するあるいはその組み合わせである手段を含む。いくつかの実施形態では、溶質の同じ溶液と直接接触するように複数の基質が配置される。いくつかの実施形態では、溶質の異なる溶液と直接接触するように複数の基質が配置される。
また別の態様では、本明細書中に記載されているのは、溶質の溶液からの溶質の結晶の核形成を開始するプロセスであって、溶質の溶液を非晶質の不均一な表面を備えた基質と接触させる工程を含み、ここで基質の非晶質の不均一な表面は:
1)予め形成された核形成サイトアレイを組込み;
2)静的な、動的な又は流動している、あるいはその組み合わせの条件下で結晶化される溶質を含む溶液と直接接触するように配置され、
及び、
3)溶液への溶解に化学的な耐性を有する。
別の態様中で、本明細書中に記載されているのは、溶質の溶液からの溶質の結晶質を生成するプロセスであって、溶質の溶液を非晶質の不均一な表面を備えた基質と接触させる工程を含み、ここで基質の非晶質の不均一な表面は:
1)予め形成された核形成サイトアレイを組込み;
2)静的な、動的な又は流動している、あるいはその組み合わせの条件下で結晶化される溶質を含む溶液と直接接触するように配置され、
及び、
3)溶液への溶解に化学的な耐性を有する。
別の態様中で、本明細書中に記載されているのは、溶質の溶液からの溶質の結晶の核形成を開始する、又は溶質の溶液からの溶質の結晶質を生成する、あるいはその組み合わせであるプロセスであって、溶質の溶液を非晶質の不均一な表面を備えた基質と接触させる工程を含み、ここで基質の非晶質の不均一な表面は:
1)予め形成された核形成サイトアレイを組込み;
2)静的な、動的な又は流動している、あるいはその組み合わせの条件下で結晶化される溶質を含む溶液と直接接触するように配置され、
及び、
3)溶液への溶解に化学的な耐性を有する。
いくつかの実施形態では、溶質の溶液は、溶質で過飽和である又は過飽和になる。
いくつかの実施形態では、プロセスは、基質及び溶質の溶液を周囲温度と異なる温度へ加熱する、冷却する又は熱的に調節する、及び周囲温度と等しい又は異なる温度で過飽和溶液をもたらすためにその後溶質の溶液及び基質を加熱する、冷却する又は熱的に調節する、少なくとも1つの追加の工程を含む。
いくつかの実施形態では、プロセスは、基質の表面が溶液と接触することによって形成された結晶を、基質から又は溶液からあるいはその組み合わせから分離する工程をさらに含む。
いくつかの実施形態では、基質の表面上の予め形成された核形成サイトアレイは、多くの刻み目、くぼみ、狭間、隆起、チャネル、段、ねじれあるいは段丘、あるいはその組み合わせを含む。
いくつかの実施形態では、予め形成された核形成サイトアレイを組込んだ非晶質の不均一な表面は、核形成サイトアレイがない同様の非晶質の不均一な表面と比較して、接触角、線張力、濡れ性あるいは表面エネルギーあるいはその組み合わせを溶液で改質する。
いくつかの実施形態では、予め形成された核形成サイトアレイは、表面上で彫る、エッチングする、圧延する、インプリントをする、リトグラフをする又は追加的に印刷するあるいはその組み合わせができるように、手動、機械的又は化学的な方法あるいはその組み合わせの手段によって表面上で操作された。
いくつかの実施形態では、基質は溶液への溶解に化学的な耐性を有する材料である。
いくつかの実施形態では、基質はポリプロピレン、ポリエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリアクリラート、ポリアクリルアミド、ポリスチレン、ジビニルベンゼン又はビニルベンゼン、あるいはその組み合わせを含む。
いくつかの実施形態では、基質はガラス基質である。
いくつかの実施形態では、非晶質の不均一な表面を備えた基質は第2の基質に付着させる。
いくつかの実施形態では、非晶質の不均一な表面を備えた基質は、非晶質の不均一な表面を備えていない第2の基質に付着する。
1つの態様では、本明細書中に記載されているのは、溶質の溶液からの溶質の結晶を成長させるプロセスであり:
a)過飽和させた溶質の溶液を、非晶質の不均一な表面を備えた基質に接触させる工程であって、基質の表面は:
1)予め形成された核形成サイトアレイを組込み;
2)静的な、動的な又は流動している、あるいはその組み合わせの条件下で結晶化される溶質を含む溶液と直接接触するように配置され、
及び、
3)溶液への溶解に化学的な耐性を有する;
及び、
b)随意に、基質及び溶質の溶液を周囲温度と異なる温度へ加熱する、冷却する又は熱的に調節する、及び周囲温度と等しい又は異なる温度で過飽和溶液をもたらすためにその後溶質の溶液及び基質を加熱する、冷却する又は熱的に調節する工程、を含む。
いくつかの実施形態では、二度以上工程b)を行なう。いくつかの実施形態では、溶質の溶液は、溶質で過飽和である又は過飽和になる。
また、本明細書中に記載されているのは、本明細書中に記載されている任意の結晶化のプロセスから得られた結晶質である。
1つの態様では、本明細書中に記載されているのは、基質の表面上の予め形成された核形成サイトアレイを組み込む工程を含む、結晶化トポグラフィを生成する方法である。
いくつかの実施形態では、基質は、結晶化が生じる溶液への溶解に化学的な耐性を有する材料である。いくつかの実施形態では、基質はポリプロピレン、ポリエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリアクリラート、ポリアクリルアミド、ポリスチレン、ジビニルベンゼン又はビニルベンゼン、あるいはその組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、基質はガラス基質である。いくつかの実施形態では、基質の表面上の予め形成された核形成サイトアレイは、多くの刻み目、くぼみ、狭間、隆起、チャネル、段、ねじれあるいは段丘、あるいはその組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、予め形成された核形成サイトアレイを組込んだ非晶質の不均一な表面は、核形成サイトアレイがない同様の非晶質の不均一な表面と比較して、接触角、線張力、濡れ性あるいは表面エネルギーあるいはその組み合わせを溶液で改質する。いくつかの実施形態では、予め形成された核形成サイトアレイは、表面上で彫る、エッチングする、圧延する、インプリントをする、リトグラフをする又は追加的に印刷するあるいはその組み合わせができるように、手動、機械的又は化学的な方法あるいはその組み合わせの手段によって表面上で操作された。
本明細書中に記載されている発明の他の特徴及び利点は、以下の発明の詳細な説明にて明らかになるだろう。しかしながら、発明の詳細な説明及び特定の実施例は、特定の実施形態を示す一方、これらは単に例証として挙げられたものであり、本明細書の開示の精神及び範囲の中の様々な変更や修正が、発明の詳細な説明から当業者には明らかであることが理解されるべきである。
固体相は、範囲の幅が広くない(no long range order)非晶質から、結晶全体にわたる一貫した原子間の空間分布を備えた広い範囲の幅を示す結晶質の固体までに及ぶ、様々な形態で存在することができる。結晶中の原子、イオン又は分子は、一貫して、便利に、安価で高純度の固体相をもたらすために、結晶格子の全体にわたって一貫した対称に関連する位置を占める。
多くの重要な物理化学的性質が結晶質中の一貫した長距離秩序に由来し、これらの性質は生成と使用の両方に重要であるものを含む:
1.モル体積
2.密度
3.屈折率
4.着色
5.熱と電気伝導率
6.熱容量
7.融解温度及び昇華温度
8.平衡溶解度
9.溶出速度
10.溶媒和物又は水和物形成の傾向
11.化学反応性
12.結晶固体の安定性
13.物理的安定(例えば硬度、脆性、圧縮性など)
14.形態学
15.結晶の粒度分布
16.処理の容易さ
結晶質中の一貫した長距離秩序は、食品、医薬品、化粧品、農業製品、ファインケミカルスおよび生物工学の分野への適用において、営利上重要な予測可能な化学的挙動をもたらす。これらの各適用領域は、特にヒトにおける使用を含む場合、一貫した性能を備えた高純度材料を要求する。結晶質は、複数構成のプロセスの流れからの生成物の回収の容易さに起因した、制御された純度及び性能の条件を有する適用に良く適しており、高純度は単一の分離操作、結晶化プロセス自体のスケーラビリティ及び好ましいプロセスの経済面によって与えられる。最終消費の面から見ると、結晶質は長期の保存の間安定しており、これらは多くの場合再生可能な熱力学的及び動態学的性質を有する。
結晶化プロセスは、結晶質によって示された一貫した性質に起因して長く開発されていた、操作上及び経済的に好ましい技術である。結晶化プロセス自体から結晶質の再生可能な及び予測可能な挙動を分離することは、驚くべきことに後者は機構的な理解が未だに乏しく本質的に予測不能ないくつかの重要の工程を含むので、重要である。結晶質の予測可能な挙動は、商業活動において非常に価値があるので、結晶化プロセス自体の初期の段階についての潜在的な理解の不足は、問題が起きるまで見落とされる。
原子、イオンあるいは分子の任意の組み合わせを含む与えられた結晶は、一貫した長距離秩序を示す一方、同一の又はわずかに異なる化学組成物を有する異なる結晶形態が存在し得、いつでも形成され得る。包括的な現象を固体形態変化と呼び、興味のある化学成分(chamical entity)を含む特定の群を指す場合固体形態変異体と呼ぶ。固体形態変異体においては、構成要素が格子の中で異なる位置を占領する与えられた化学組成物の1つ以上の結晶形態の存在に基づいて厳密に定義された多形性によっていくつかの異なる分類がある。格子中の原子又はイオンの立体構造、方向又は位置が同一の化学組成の2つの結晶で異なる場合、単位セルパッキングが異なり、その結果は新しい多形であり、立体構造的な多形性は高度な柔軟性を有する分子では一般的に発生することである。
格子の間隙における溶媒分子の存在;すなわち興味のある化学成分と相互作用しない溶媒であり、包接化合物をもたらし、このような固体形成変異体は結晶形態に変化をもたらすために溶媒の喪失が容易に生じるため脆い。興味のある原子、イオン又は分子に直接相互作用する溶媒分子の追加によって結晶形態が変化した場合、包接化合物と比較して溶媒の喪失に対してより安定である溶媒和物又は分子付加物(adduct)が形成される。これらの溶媒和物種は多形体とともに、本明細書全体の中で固体形態変異体を指す。
前述から、様々な相が固体材料において存在でき、図1は固体形態変化から発生する複雑さを部分的に説明する。例えば、複雑な有機化合物は、パッキング多形性又は立体構造的多形性をしばしば起こし、これらの異なる結晶形態は開発及び製造プロセスの実質的に任意の部分において現れる。付加物形成が生じるところで、溶媒又は他の分子の意図的な又は意図的ではない包接は、多くの異なる可能性をもたらし、与えられた結晶の性質の選択を改善するためにいくつかは意図的に設計された一方、他は不純物、残渣溶媒又は合成あるいは生成活性から生じる他の成分の偶然の取り込みの結果として変異体をもたらす。結晶質によって示された一貫した内部構造にもかかわらず、図1は多数の固体形態変異体が存在でき、このような変化性は分離技術として結晶化に依拠する製造プロセスの複雑で予測不能な面を示した。
以前に言及された16の物理化学的な性質への固体形態変化の影響は重要になり得る;例えば、炭素要素の2つの固体形態変異体としてのダイアモンド及び黒鉛の異なる性質、使用及び値を考えてほしい。より広く、食物、医薬品、化粧品、農業、ファインケミカルおよび生物工学の分野は、結晶質の最終消費特性の選択に特別な重点を置く。より具体的には、これらの分野での商業用途は、初期及び最終の純度基準の両方、使用前の棚保管及び予測可能な最終消費での性能を有する制御された製品を一般に含む。薬に使用される活性医薬成分(API)は実例とすることができ、APIのインビボの平衡溶解度は使用において決定的に重要である。異なる固体形態変異体に大いに異なる平衡溶解度と溶出速度を含む異なる特性がありえるので、米国及び国際ヘルスケア規制団体は、医薬品に一貫した使用特性を保証するために厳密なガイドラインを強化している。APIの決定的に重要な特性は、高い初期の純度、結晶の粒度分布、固体の貯蔵性、投与の間の物理安定度、結晶の溶出速度および生産の全面的な容易さを含んでいる。これらの特性の多くは相互依存(例えば、広い結晶の粒度分布は広範囲の溶出速度を与え得る)を示し、それは非常に異なる最終消費の条件によってさらに複雑になる:ヒト又は動物での使用における医薬品、異なる地球科学的な環境における農業への適用、又はバイオフィルム形成の増強又は阻害を含みうる生物工学への適用。
固体形態変化から発生する問題の複雑さ及び幅を強調するのは、監督機関によって承認された特定のAPI固体形態のヒトにおける使用の後、製品が固体形態変化によって悪影響を受けたという公表された商業上の経験である。アボットラボラトリーズのリトナビル製品(Norvir(登録商標)と売買されていた)の訓話は、多形性及び商業的な関連において好ましい事例研究として広く使用されている。リトナビルはHIV処置用である98原子の有機分子であり、臨床試験が成功裏に進み、液体のゲルとしてヒトの使用のための規定された承認を受けた。商用着手のおよそ2年後に、リトナビルカプセル剤の1つのロットは、従前知られていなかった溶解するのが遅い多形の発生により、規制された溶解試験に落ちた。リトナビルの世界的な入手可能性は危険にさらされ、薬物が可溶性が低くなる異なる結晶構造を形成し、これによって薬物の正確な用量が患者の体内に放出されないため、この期間組織の在庫は検査された。
新たな薬物動態の研究、製造上の変更、品質管理の改訂、保存要件及び様々な監督機関への再申請を含む、集中した再処方の努力が必要とされ、相当な費用でおおよそ12カ月で完了した。販売損失は、再開発のコスト及びリトナビル及びアボットラボラトリーズのブランドへのダメージに由来する信用の減損処理は含めずに1億2500万ドルを超えると推定された。
分離及び精製の技術として結晶化を複雑にする1つの要因は、食品、医薬品、化粧品、農業、ファインケミカルおよび生物工学への適用において使用される化学成分の多様性である。
化学成分の分類は、原子及び低分子量のイオンから、異なる立体構造的な配置及び複雑な分枝間相互作用が可能な複雑な有機分子及び高分子にまで及びうる。API単独の分子量スペクトルは、小分子から生物学的な高分子までの範囲に及び得、後者は立体構造的な多形性及び溶媒和に基づく固体形態変化にしばしば影響されやすい。APIの非常に異なる取り込み、標的化および治療のメカニズムは、しばしば異なる化学的機能付与を要求し、これは結晶における立体構造、分子内相互作用、分子間相互作用および溶媒和物形成に影響し得る。
最新の薬学研究及び開発は、しばしばAPIの塩形態の調製、製造及び使用を含み、より具体的には、APIは生物学的に許容可能な対イオンによって電荷が中和する、イオン化可能な機能官能性を含む。APIの塩形成の利点は多数あり、非常に異なる分類のAPI分子でさえ特定のインビボでの挙動の単一化を含む。加えて、一般にカルボン酸基であるイオン化可能な官能性の導入は、結晶質としてのAPIの分離を容易にし、結果としてその合成及び分離からインビボでの使用まで及ぶ利点をもたらす。インビボでの使用が目的である場合、塩形成は、製造から薬物動態にわたって利益をもたらすAPIの水溶解度を改善し得る。
塩形成の後、結晶固体の分離は精製及び取り扱いを単純化し、得られたAPIについては、中間あるいは最終生産物のいずれかの保存中の反応への感受性が低くなる。結晶APIは、様々な薬学的な投与方法で優位を占める錠剤及びカプセルにおける使用を容易にする点でも好ましい。これらの研究の結果、今日使用されている全てのAPIのほぼ50%は、水溶解度を与えるために、及び製造、使用及び経済的な利点に付随して材料が結晶固体として分離できるように、塩形態として生成されている。
様々な発展的及び商業的な使用のための塩形成の多数の重要な利点にも関わらず、塩形成は結局固体形態変化の可能性を増加させる。塩共イオンの使用は、それぞれのカチオン及びアニオンの間で異なる分子内又は分子間相互作用(例えば架橋相互作用、分岐相互作用など)が生じる巡回(itinerant)構造的な挙動を生じさせる。塩形成官能性の導入は、さらに分子の分子複雑性(molecular complexity)を増加させて、固体形態変化の可能性を増加させ得る。極性化されたイオン部分の存在は、さらに水和物及び溶媒和物形成の傾向を増加させ、それは保存性、溶解度及び溶出速度に影響し得る様々な電位の変化(図1)へと導く。
最適化された結晶化プロセスさえ固体形態変化によって悪影響を受ける場合がある。例として、研究、開発および生産活動の種結晶の使用は、慣例である。種が1つのバッチから次のバッチへと再結晶を繰り返した後だんだん精製されるにつれ、増加した純度は平衡と系エネルギーを変え得、それによって新しい固体形態変異体がもたらされる。操作上の視点から、異なる人員及び異なる環境条件を伴う広い範囲の地理的な領域における複数のAPI開発及び製造設備を含む企業動向は、多くの再生不可能な変数をもたらす。これらの要因は全体として結晶化操作の予測性を減少させる;しかしながら、これらは新規で改良された結晶化方法の開発を必要とする、今日の標準的な慣習である。
商業上適切な活動における固体形態変化の広汎性を強調して、以下のように報告されている:「…多形性は、すべての薬物物質の半分以上において観察された広範囲の現象である...」
及び:「多形性と偽多形性は医薬品の製造と保存におけるすべての段階に影響を及ぼすと知られている。」(Stahl,P.H.;Wermuth,C.G.Handbook of Pharmaceutical Salts:Properties,Selection,and Use.Wiley−VCH:New York,2002)。
医薬品の製造及び使用の強く規制された性質を前提として、APIの結晶塩形態は合成のスケールアップ、薬物動態学的な研究、臨床試験及び市場周辺での決定は、「不可逆である」と評されるほど非常に重要である:「工業的な薬物開発の今日の状況は、薬物候補の開発の後半の段階における塩形態の変更は、追加の高額な費用及び貴重な時間のロスを必要とするため、塩の決定(salt−decision)をほぼ不可逆なものにしている。」(Stahl,P.H.;Wermuth,C.G.Handbook of Pharmaceutical Salts:Properties,Selection,and Use.Wiley−VCH:New York,2002)。
したがって、製品の有効期間にわたる一貫した化学的挙動を示す、高純度の結晶APIの利益は広く認められており、現在薬物候補の開発から商業的な使用にわたって規制されている。しかしながら、このモデル及びこれに関連する規制は、固体形態変化がもたらす予測性の固有の不足の対象であり、この現象のすでに観察可能な増加が、塩形成を好む現在の開発戦略及び薬剤において使用されるAPI分子の増加する複雑さの結果として成長することが予測されている。この予測性からの逸脱は、結晶化の新しい方法は化学的及び経済的予測性の両方を改良する必要があることを示唆し、任意のこのような改良は、食品、医薬品、化粧品、農業、ファインケミカル及び生物工学上の適用において商業的に使用される、又はこれから使用される化学成分の増加する多様性に適応できなければならない。
結晶設計の1世紀にわたる経験的な研究及び最近の拡大された関心にも関わらず、商業的に適切な結晶化プロセスについての主要な論文は、未だに多くの実務家は結晶化を技術として扱っていると認めている。
結晶化技術の現状が未だに一貫して科学文献中で「技術」を指すように、固体形態変化を識別し制御する新規の合理的な方法が必要であることは明らかである。より速くより容易な固体形態スクリーニングを可能にする新しい能力は、製造に進む前に、理想的には最終消費における危険性及び公衆衛生問題が発生する市場に入る前に多形体、溶媒和物及び他の固体形態変化の識別を容易にすることを意味する。固体形態スクリーニングへのこのアプローチは、合理的な方法の経済的な及び技術的な利点を欠く組み合わせの高処理哲学(combinatorial high throughput philosophy)を使用する。多くの組み合わせのアプローチが大量処理において効果的(mass efficient)ではなく、比較的大きな量の実験材料(典型的に供給不足である)が、異なる化学的条件下の何万ものウェルに分配されることを要求し、回収をほぼ不可能にする。合理的なスクリーニングアプローチは、大量処理における条件が少なく、入手可能な材料においてより効果的であり、初期段階での合成の負担を減らすことによって初期段階でより多くの標的化合物を薬力学的試験に供することを可能にする。ほぼ同様に重要なことに、食品、医薬品、化粧品、農業、ファインケミカル及び生物工学的製品の増加する複雑な性質は、おそらくより多くの固体形態変化を発生させるため、多様な化学種に適用可能な新規の合理的な結晶化方法が必要である。
合理的な方法は製造をより予測可能に、大きさを変更可能に、及び費用効果を高くし経済的に有利であるため、新規の結晶化方法は、ビジネスの観点からも必要である。合理的な結晶化方法は、より多くの変数が実験室規模ではそれ自身に役立つ一方、経済上、操作上及び規制上の制約は製造規模で実際に役立つ変数の範囲を制限するため、探索及び製造活動の異なる条件に対処しなければならない。新しい結晶化ツールは様々な実験室条件下で永続的で有用でなければならない:
1.異なる化学成分(例えば原子、イオン、分子)と化学的分類
2.異なる溶媒
3.温度
4.圧力(蒸発用)
5.溶解度を減少させるための反応物
6.汎用性のある実験的な形成因子
a.容器
b.容器の壁に取り込まれた表面
c.容器の壁に付着した表面
d.溶液と接触した懸濁されたモジュール
e.溶液に接触した自由に浮遊しているモジュール
f.溶液と断続的に接触する任意の上記の手段
製造規模では、多数の操作上の制限が発生し、より多くの操作的及び経済的な要因が重要になる:
1.物理的耐久性
2.化学的安定性
3.せん断条件下の安定性
4.汎用性のある形成因子
a.容器
b.容器の壁に取り込まれた表面
c.容器の壁に付着した表面
d.溶液と接触した懸濁されたモジュール
e.溶液に接触した自由に浮遊しているモジュール
f.溶液と断続的に接触する任意の上記の手段
異なる最終消費要件が伴う製品の大いに異なる規模にわたる様々な化学物質に適応した新規の結晶化方法という要件は、本発明の範囲内に位置する大きな挑戦である。
結晶化プロセスを記載した最新の理論は、結晶化が本質的に壮大な規模で生じる分子認識プロセスである前提に依存する。
この背景において、分子認識は、原子、イオン、分子及び生物学的高分子を含む全ての適切な化学種の識別を含むように本明細書中で定義される。その最も単純な形態では、分子認識は格子上の整然とした分子の堆積と見なされる。よく適合した分子だけが、格子表面上に堆積する。
結晶の一貫した長距離秩序は、好ましいエネルギーを備えた溶質が界面へ移動する及び界面を通る一方、不純物が拒否される、上述した分子認識及び自己集合プロセスに由来する。溶質の多様な化学的分類のための普遍的な認識能力を再現するのは難しいため、結晶化におけるこの認識プロセスのメカニズム及び役割の理解は重要であり、結晶質を生成するのに認識は未だに必須である。
結晶化のプロセスは熱力学的に駆動し動態学的に制御され、これらの観察は重要な意味合いを持つ。結晶固体をもたらすのが比較的早い系においては、最初に得られた結晶形態が最も熱力学的に安定した構造であることは稀である。アボット社のリトナビル製品に関する注目すべき例を含む多くの場合において、初期に得られ患者に投与された結晶質は動態学的に制御された製品であり、熱力学的に安定な結晶質ではなかった。そのような場合、動態学的に制御された製品は、様々な平衡をその形成に向かって駆動するのに十分な化学的ポテンシャルを持っており、そのような条件は熱力学的に安定した形態の分離を阻害し得る。例えば工場規模の移動の結果として生じた冷却速度の予測できなかった違い、異なる粒子状汚染物(空中を浮遊している又は装置における残留物)への暴露、溶液の経年劣化等の系の変数のいくつかの変化に遭遇した後だけ、熱力学的に安定な結晶構造が現れる。
異なる熱力学的な及び動態学的な駆動因子(driver)が結晶化プロセスを異なる段階において影響を与えるため、結晶化のプロセスは2つの段階的なプロセスに分けられる。
結晶生成は核形成と呼ばれ、溶解物又は溶液のいずれかから興味のある種が最初に凝集する一方、残りの可溶物は液相中にある。系依存の臨界サイズに達する際、凝集体は親結晶又は種結晶を形成するためにさらなる自己組織化を経る。核形成後、親結晶は結晶成長と呼ばれる第2段階に入り、続けて興味のある種を結晶の異なる面に加えることで微結晶の種からマクロ結晶固体へと進む。結晶固体の高度に組織化された構造とそれらを研究する容易さの結果として、普及している理論はしばしば逆に推定され、段階的な核形成及び結晶成長モデルをもたらすために個別の種の秩序正しい組織的な追加を含むモデルに依存する。
核形成は結晶化プロセスの重要な第一歩であり、それは新しく改善された結晶化方法の開発の魅力的な出発点である。タンパク質結晶構造は、合理的な薬物設計及び他の生物工学への適用の成功に極めて重要である;しかしながら、高品質な結晶を得ることは、進行のするための主要な問題を提起する。核形成を結晶化プロセスの残りに影響する第一歩と認識され、したがって核形成の制御は、その理解で結晶化に関する多くの問題を解決するだろう。
核形成が2つの重要なメカニズムによって生じる:第1の核形成と第2の核形成。前者が、定義によって、結晶の表面がない状態に生じるが、第2の核形成は、凝集と成長が生じるいくつかの結晶の表面の存在を必要とする。結晶の表面が存在しない状態で、第1の核形成は均質な又は不均一な経路によって生じることがある。均質な第1の核形成は、溶質の凝集体自体が核形成に必要な臨界サイズを達成している自然発生的な事象であり、実験室の外では非常に稀で、商業的な製造設備の中で意図的に又は非意図的に過飽和溶液と接触する様々な材料をもたらす製造規模で観察されるのは事実上不可能である。不均一な第1の核形成は、核形成のエネルギー障壁を低下させる役割を果たす粒子又は化学種(例えば溶媒、添加剤、不純物等)等の外来物質の存在を含む。最も注意深く制御された実験室及び保証された良い製造設備(Certified Good Manufacturing Facility)(cGMP)環境でさえも普遍的に粒子状汚染物がもたらされるため、不均一な第1の核形成は第1の核形成メカニズムの最も頻繁に直面する問題である。
粒子状汚染物、浮遊物質、ダストあるいは化学的な不純物の存在は、核形成に必要とされる臨界サイズの凝集体をもたらすために系エネルギーを低下させ得る。粒子によって汚染された系では、核形成がより低いレベルの過飽和で生じる場合があり、従前の研究は、不均一な第1の核形成は、汚染物のサイズ及び構造が結晶化される種のそれに非常に近い系においてより一般的であることを示す。研究は、汚染物と標的化学成分の間の構造的な相違点は、エネルギー的な利点があるためには15%未満でなければならないことを示しており、この観察は構造的に類似の化学的副産物又はプロセスでの汚染物は結晶化プロセスに悪影響を及ぼし得ることを意味する。
「操作された外来物質」がより低い過飽和比率で不均一な第1の核形成を誘発するという意味では初期には約束されているように見える一方、このような核形成前の「外来物質」の成長する溶質の凝集体との相互作用は予測不可能である。制御された食品、医薬品、化粧品および関連製品のcGMP製造の上では、そのような予測不可能な挙動は許容可能ではない。
第2の核形成は、溶液中に存在する親結晶表面を含み、それは核形成を誘発するために使用した、以前に分離した種結晶を含む実験室での結晶化に断続的に使用される。より大きな規模では、種結晶は以前の結晶化ランの一部を反応器へ保存または「保持(holdback)」することによって導入できる。製造規模の結晶化は、分散して核形成の中心として役立つ断片を生成するための微結晶切断又は「衝突育種(collision breeding)」を剪断条件下でもたらす機械的な撹拌も含む。よく理解されていないが、第2の核形成のいくつかの段階を仮定した:
1.容器又は混合装置を用いた、他の結晶と衝突する結晶を生じさせる機械的撹拌による親結晶からの微結晶断片の生成
2.混合又は拡散による大容量培地への微結晶断片の分散
3.核形成に必要な臨界サイズを有する凝集体を産出するための微結晶断片周辺の溶質の凝集
高剪断条件下での親化合物の種結晶を使用した第2の核形成は便利であり得るが、普遍的に適用可能ではない:適切な親種結晶はほとんどの新規の化学成分に存在しない。種形成による第2の核形成の戦略は、種結晶がまだ入手可能ではない、又は分離するのが難しいことから、新規の化学成分の探索段階では制限される。さらに、製造活動での種結晶の使用は、剪断条件の高額な大規模な経験的キャリブレーションを必要とし、より重要なことに第2の核形成は必要とされている熱力学的に安定な結晶形態よりも、未だに動態学的に制御された製品を産出する。結晶の種形成による第2の核形成は、微量の溶液成分(例えば不純物、粒子等)が徐々に減り、新しい結晶化条件が非意図的に出現したため固体形態変化の増加した可能性をもたらし得る、繰り返される再結晶化の結果として種のストックが段階的な精製を経験し得るので予測不可能な挙動に悩まされる。これらの制限によって、本発明の重点は不均一な第1の核形成上にある。
過飽和は核形成のための推進力であり、溶液での溶質濃度が理想的な熱力学的状態下で決定された平衡溶質溶解度を超過する場合、それが生じる。過飽和比率は核形成のための理論的な構成の重要な構成要素で、次のように定義される:
ここでCは過飽和溶液中の溶質濃度であり、C0は熱力学的溶解限度である。
過飽和は、非理想で準安定的な熱力学的状態で、1分の撹拌(minute pertubations)が非晶質の沈殿物又は結晶固体の形成を含み得る著しい変化をもたらす。過飽和の準安定状態は、エネルギー的な変曲点でしばしば停止し、安定性の浅いエネルギー源(energetic well)は熱力学的な平衡値を超えた濃度の溶質を含む系において存在し得、準安定状態のような脱出するための活性化エネルギー障壁はごく小さく、系の小さな撹拌に相当し得る。準安定領域のサイズと形状は溶液の過飽和比率と関連し、より高い過飽和は実際に準安定性を減少させ、より低い過飽和は比較的より大きな準安定領域を有する。
過飽和を操作する4つの主要な手段があり、それらは次のものを含んでいる:
1.温度変化
2.溶媒蒸発
3.溶質溶解度を減少させるための溶媒組成物への変化
4.化学反応
これらの4つの方法は実験室規模での結晶化に便利であるが、ほとんどの製造規模の操作は追加の費用及び下流における加工が必要な化学物質の追加を必要としないため、熱及び蒸発の技術に重点を置く。実験室及び製造規模は異なるレベルの過飽和も利用する。実験室規模の結晶化は、一般に新規化学成分の分析のための分離に注目し、制限された量の新規化学成分が開発段階で入手可能であるため、低い過飽和で典型的にこれらの研究を行なう。製造規模の結晶化は、しばしば純度、収率および全面的な工程効率を標的とし、それによって中間のレベルの過飽和を使用するものである。不適当な製品品質をもたらす劇的な変化(例えば非晶質の沈殿反応、モノリス形成、手に負えない熱的事象など)に敏感にさせる溶液の減少した準安定性のため、とても高いレベルの過飽和での結晶化操作はそれほど一般的ではない。
準安定性の過飽和溶液は、系の自由エネルギーを減らすために核形成に依存し、それによって、均衡条件へ戻ることが可能となる。核形成に先立って、過飽和溶液中の溶質は、分子間凝集体又はクラスターを産出するのに十分な程度に濃縮されて、この凝集は結晶化に適用されるような認識プロセスの第1段階を表す。凝集体は好ましい溶媒和効果を最大限にするために、好ましくない溶媒和効果を最小限にするために、分子間相互作用を最適化するために及び全面的な系の自由エネルギーを減らすために、溶液で形成される。凝集プロセスの一部として、溶質は合体し、熱力学的に不適当な種は流出する溶液相構造から除外され、その結果として核形成及び結晶成長プロセスを通じて発展する動態学的認識プロセスにおける第1段階になった。凝集の容易に観察可能な結果の1つは、一般に過飽和の増加に伴う増加した粘性であり、溶液の粘性は溶質の凝集の結果として劇的に増加し得る。粘度変化は不十分な飽和状態の溶液より過飽和溶液でより明白であり、過飽和された食塩水を使用したカラム沈降実験は、予備的なクラスターサイズ計算の中で使用された凝集体濃度勾配を報告した。
均質の第1の核形成のための熱力学的駆動因子の試験は、不均一な第1の核形成を理解するための、単純化された有益な根拠を提供し、実際に重要な変数に関して感度分析を可能にする。理想化された球状凝集体の均質の第1の核形成は、過飽和溶液中の核表面の形成に必要な陽性の自由エネルギーと、相転移のための陰性の自由エネルギー変化の間の違い(つまり微視的な結晶に移行する溶液での凝集体の核)を含んでいる:
ここでrが理想的な球状の溶質凝集体の半径であり、σは表面張力であり、ΔGvは相転移のための自由エネルギー変化である。
最初の項は「核形成抵抗」で、過飽和溶液の微小ドメイン中の核表面を形成するのに必要な自由エネルギーに相当し、このエネルギー障壁は、臨界未満の核形態として再配置及び排除に抵抗する、過飽和溶液の密着力のある表面張力によって提供される。ΔGvを含む第2の項は、相転移の好ましいエネルギーを表わし、準安定状態を出て結晶化が始まることによる系エネルギーの減少に相当する。
凝集体の半径rに関する式2の中のΔGを最小限に抑え、凝集体の成長のためのギブス−トムソンの式を導入することによって、核形成の臨界自由エネルギーが得られる:
ここでvが分子体積であり、Tは系温度、及びSは式1からの過飽和比率である。
核形成に必要とされた臨界サイズより小さな凝集体については、クラスターから拡散した溶質が熱力学的に好ましい。溶質−及び系−依存の臨界凝集体サイズを越えて;しかしながら、ΔGcrの傾向は陰性であり、自発的な凝集体成長が生じる。凝集体による溶質の追加が熱力学的に好ましくなり、核形成の臨界自由エネルギーが達成されるのはこの段階であり、準安定性の系におけるエネルギー変曲点の近くで生じる。違った表現をすると、臨界サイズの凝集体は非平衡な過飽和条件を緩和にする必要があるため、過飽和溶液は準安定である。
熱力学的に好ましくなるために凝集体が溶質追加のための臨界サイズを達成した点は、溶質、過飽和溶液の化学的な性質及び巨視的な条件に大きく依存する。式2と3は、凝集体の形成及び臨界サイズへの成長に好ましい自由エネルギーが溶質及び凝集体半径の特定の値を含む変数の数に依存し、両方とも大きく分子−及び系−依存的な値であり、これらの操作は現象的な実験室での研究でのみ実際的であって、商業的な研究又は製造活動には実際的ではないことを示す。製造規模での結晶化のための2つの最も便利な操作された変数は、過飽和率及び系温度であり、これらは可能な場合常に最適化される。核形成及び結晶成長の動態は系の準安定性を減らし、貧弱な結晶の粒度分布、不適当な形態、減少した純度レベル、及び好ましい熱力学的に安定した製品よりも動態学的に制御された製品の分離をもたらす高い過飽和率によって悪影響を受け得るため、これらの制御の実際的な限界は存在する。過飽和状態の温度と過飽和率と非平衡状態の間の複雑な相互依存の結果、これらの変数が与えられた結晶化系にどのように影響するかについての有用な理解を得るように経験的アプローチが一般的に要求される。そのような経験的アプローチは多量集約的であり、温度に感受性があり温度の機能として巡回溶解度をしばしば示す生物学的高分子及びタンパク質を含む開発又は研究あるいは製造活動の開発段階には適していない。
式2及び3の両方に現れる残りの変数は界面張力又は表面エネルギーであり、結晶化プロセスへのその重要性はその有用性を利用する際の困難さとともによく知られている。
最新の実践では、賢明な溶媒選択は界面張力又は表面エネルギーを改質することができる;しかしながら、生産作業、規定されたガイドラインおよびプロセスの経済性は、溶媒系が特に純度基準が最も厳格である食品、医薬品、化粧品、農業及び生物工学的な加工において水性であることがしばしば要求される。
過飽和溶液は非平衡の準安定状態を取り除く、適切に分類された凝集体の形成を要求し、表面エネルギーは凝集体の形成と成長の重要な側面であることを受けて、過飽和溶液中の表面エネルギーの便利で予測可能な操作は有益である。表面エネルギー改質による核形成プロセスの前と最中と後での溶質凝集体の操作は、本発明の1つの重要な側面である。
結晶化は動態学的に制御され熱力学的に駆動するプロセスであることを思い起こせば、時間的要素の理解は保証される。
式3をA及びB0が関連する速度であるアレニウス型反応速度式に置換すると、kの解き方は以下のようになる:
式4のフォーマットは、σ(核形成抵抗)とT(典型的に核形成エンハンサー)の間の比較可能な体積の大きさを示す。増加するSはさらに核形成を増強し加速するが、それは関連する最終消費特性(結晶の粒度分布はその一例である)に対する悪影響で多くの核の形成を生じさせることにより、劇的に系の準安定性を減少させ得る。さらに感度分析を複雑にするのは、異なる種のための温度の機能としての溶質溶解度の巡回挙動である;例えば、タンパク質と他の高分子は温度が増大するにつれ減少する溶解度を示すことがある一方、多くの小さな分子及び単純なイオンなどが、典型的には温度増大によって増加する溶解度を示している。式4は、臨界の過飽和の上に、指数関数的な成長があるに違いないとも予測している;しかしながら、実際上、溶液があまりにも粘着性になるので、核を形成することができない温度が存在する。粘性の機能としてのこの速度の減少は、高粘着性の過飽和溶液中の新しい表面の形成は精力的な挑戦であるという点で、表面エネルギーの項に関し、式5はクエン酸の水性の過飽和溶液に成功裏に適用された:
Gviscを含む第2の項は、高い過飽和レベル及び系依存的な臨界過冷温度が達成された後により重要で、核形成する種の新しい表面形成を排除する、粘性によって制限された拡散による核形成速度の減少を引き起こす。熱力学でそうであるように、動態学的駆動因子はさらに複雑な相互依存を示し、特定の系の領域(regimes)に制限されており、それは最新の結晶化方法の有用性と予測性を全体として制限する。
核形成と結晶成長への技術的な改良は、営利上配備するために既存の生産方式及び結晶化プロセスと互換性を必要がある。結晶化の重要な目的は、高度に精製された製品の効率的な回収であり、結晶化の工程を変更するための任意の改質剤の追加は厳格に討議され、医薬品及び食品関連の実務家並びにその規制監督権威に一般的に嫌がられる。有用性と採用の促進を最大限にするために、プロセスの流れへの付加は、一般的に回避され、回避不可能な場合は追加された要素は製品廃液に関して動かないものでなければならず、又は本発明中に記載されているように巨視的な物理的な方法で容易に回収できるものでなければならない。合理的で不均一な第1の核形成を促進する巨視的な表面との過飽和溶液の接触は、面白いアプローチである。そのようなプロセス(つまり核形成)を制御する能力は、新しい技術又は微構造の開発の中心に位置する。これは、核形成が製品段階の初期構造、タイプ、サイズ、スケール及び空間分布を広い範囲で制御するからである。
表面上の核形成に関する理論は、表面上への個々の溶質の吸着、表面に沿ったこれらの溶質の拡散及び合体した溶質が系依存的な臨界サイズを達成し自発的な成長に好ましく式3からのGcrが陰性に傾いた場合に続いて起こる核形成を含む規律正しく段階的なメカニズムを記載している。この機械的な展望は簡素化され過ぎていて、溶質の自己凝集の役割、溶液中の凝集体への個別の溶質分子の追加、凝集体の合体及び溶液中の不均一な表面への凝集体の追加を無視している。過飽和された濃度領域と溶液構造の変化する性質を受けて、核形成プロセスが個々の溶質の挙動、溶質凝集体及びこれらの溶液相種の組み合わせに由来するプロセスを含み得ることは実現可能である。これらの種の個々の溶質分子及び凝集体の化学的挙動及び物理的性質の違いはよく実証されており、核形成表面の基礎をなす役割は簡便な議論のために要約することができる。核形成を促進又は阻害する表面は、多くの方法において核形成へのエネルギー障壁に影響し得る:
1.液相エピキタシーを含むエピタキシアルな方法におけるように構造上類似にテンプレート格子を提供する
2.溶液中の溶質凝集体及び結晶構造の間の中間体の構造を安定させること
3.核形成の前に凝集体構造から溶媒不純物を排除する又は除去する
4.成長する凝集体及び結晶構造を安定させる分子間(又は原子間)の相互作用の形成を促進すること
5.自発的な成長に必要な臨界サイズを達成するために近接した溶質凝集体クラスターの衝突を促進する
基質上の不均一な核形成についての理論的な論文は、基質表面の構造が核形成プロセスに影響し得るという基礎をなす前提と共に、幾何学的な見方をとっている。この理論の境界的な極度は、平面モデル及び球状のモデルを含み、前者は図2に描かれている。平坦な基質上の核形成の理論的な記載は「転移核」を与える(図2);すなわち、Gcrが陰性に傾く適切なサイズの凝集体であって、核形成をもたらす。このTurnbullモデルにおいて、表面における核形成は凝集体において生じ、基質の大きさは>2r*であり(r*は核形成の臨界半径)凝集体の半径は>2r*sinθであり、図2に示されている。
平坦な表面から異なる理論的な境界への移動は、図3に示す凸面の球状の基質を含み、式6をもたらすために形状係数f(m,x)を含む新しい項が由来し得る:
核形成の自由エネルギーのための式にこのf(m,x)形状係数を組み込むことで式7のフレッチャーモデルをもたらす:
フレッチャーモデルは、大きな球状基質は核形成のためのより熱力学的に好ましい条件を提供し得るように、f(m,x)である形状係数は増加する基質の半径で減少することを予測する(すなわち、f(m,x)は減少し、式7に示されるように系エネルギーを減らす)。
エネルギー的な見方から、球状基質又は平坦な基質のいずれかの上の過飽和溶液のキャップ形状の液体サンプルのための理想的な不均一な核形成事象は、理想的なクラスター半径要件を本質的に与える。より重要なことに、核形成に必要な臨界自由エネルギーは、溶液中の均一な核形成と比較して不均一な基質において減る:
式8の重要性は、低いエネルギー要求は、不均一な表面上の核形成は過飽和の低いレベルで生じ、この観察結果は歴史的に過飽和溶液中の「外来物質」の存在に起因することを意味すると認識することによって理解できる。平坦、球状及び凸面の間の表面の特徴の連続を受け、核形成プロセスを改善する有用な機会が存在し、基質材料のホストはこのような性質又はその組み合わせに適応させるために操作し得る。
表面上の液体の液滴については、固相、液相および気相は、図4に示すような3つの相の界面線を算出するために収束する。図4にσtとして定義された巨視的の接触角は、液滴に接する基質の濡れ性に関する重要な情報をもたらし、線張力を最小限に抑えることによって、核形成への全面的なエネルギー障壁は減少し得る。表面上の核形成の議論における統一のテーマは、核形成の事象をもたらすために過飽和溶液中の凝集体の合体と成長に不均一な基質表面が持つことができる好ましい熱力学的効果である。
修正したアレニウスの式を利用して表面上の核形成の動態は説明でき、線張力の校正を説明し、線張力における任意の増加は、基質表面上の核形成速度を促進し、同様に線張力における減少は全面的な基質で誘発された核形成速度を減少させる。核形成熱力学(ここで減少した線張力は、核形成の自由エネルギーを減少させる)と核形成動態学(ここで減少した線張力は核形成速度を減少させる)に対する線張力の効果間の逆相関は、重要な点である。
この一般化された関係は、最初に得られた結晶が熱力学的に安定した製品であることは稀であり、動態学的に好ましい製品であることを述べたオストワルトの法則も保持している。そのため、核形成及び結晶成長の熱力学、動態学及び生産活動の操作上の要件の注意深いバランスを確立しなければならない。
熱力学的に安定した結晶質の同定及び分離は結晶化の重要な商用目的であり、これは厳格に規制された食品、医薬品、化粧品、農業、ファインケミカル及び生物工学分野において特にそうである。これらのニーズを満たすために、新しい核形成方法は最も熱力学的に安定した結晶形態の形成と分離を開発プロセスのできるだけ早い段階で促進するために必要である。この目的のために、核形成と結晶成長の間の相互依存についてのいくつかの理解は必要である。
結晶成長は、凝集体が核形成に必要な臨界サイズを達成した直後に開始され、溶質保持の熱力学がエネルギー的に好ましくなる。多数の観察結果は、結晶成長の熱力学的及び動態学的な側面が表面不均一性によって増強されることを示し、結晶基質上の「表面の粗さ」を全体として指す。この観察は、「最近傍領域」効果を使用して機械論的に合理化することができ、隣接した同様の種の相互作用の増加が好ましい熱力学的な効果をもたらす。動態学的な見方から、増加した表面不均一性は、好ましい相互作用間の表面拡散距離を減らし、これによってより速い核形成及び結晶成長が見られ得る。
凝集体が核形成によって結晶成長相まで成熟した後、普及している理論は4つの基本位置又は吸着された溶質が成長する結晶の中(:段丘、段又は段面、ねじれ及び螺旋転移)に組み込まれる表面不均一性を示唆する。これら4つの基本的な性質は、溶液における成長のためのメカニズムに至る既知の結晶構造から後ろ向きに機能することに由来する溶質追加の便利な「1度に1つ」のメカニズムに依存する結晶成長の記載に使用される。この段階的な記載をさらに複雑にしているのは、段丘、段、ねじれ及び螺旋転移が一時的であるという事実である:成長が(任意のメカニズムで)進むほど、これらの性質は構造において及び位置において劇的であり、静的な観点で見られるべきではない。そのようなバイアスは故意でないが、制限する必要のない核形成と結晶成長の機構をそれにもかかわらず制約する。両方とも溶質凝集体の追加及び「1度に1溶質」の成長によってほぼ臨界的な核の成長及び結晶成長自体を含むための基本的なメカニズムの拡張は、核形成と結晶成長のプロセスの改善のための新しいオプションを作成し得る。本明細書中に記載されている様々な劇的な表面不均一性は、式3、7及び8に示すように成長する溶質凝集体の表面エネルギーに影響し得、このような表面特性は、核形成及び結晶成長への新しいアプローチを設計するのに重要である。
ほとんどの議論は、結晶表面への溶質の吸着、段丘に沿った溶質の拡散、そしてその後最近傍相互作用を増加させ、及び熱力学的に好ましい環境を提供する、不均一な位置での成長する結晶への取り込み(すなわち段面、ねじれ又は螺旋転位)を含む結晶成長のための段階的なプロセスを示す。多くのモデルは、概念的に直接的なメカニズムを使用して結晶成長の動態を説明すること(例えばBCF理論)を試みるが、そのようなモデルは蒸気蒸着による結晶成長に、とても稀なケースでは結晶/溶液界面が静止している及び溶質/溶媒相互作用が採用されるとても低い過飽和での溶液結晶化にのみ重要である。このような条件には実験室では稀に遭遇し、製造規模では極めて稀であり、よってこのようなモデルの適用は制限される。
実験室及び製造規模での結晶化で典型的な混合条件を適用するのが可能な、より広く適用可能な拡散メカニズムが開発された。溶液との接触において、成長する結晶は、興味のある溶質を溶液から除去し結晶(又は核形成前の凝集体)中に取り込まれるため、溶質濃度勾配を作る。結晶表面に接する溶液層は、次第に溶質を失い、大量の溶液における濃度勾配を作成する。この領域を「濃度境界層」と呼ぶあるいはより一般に「表面拡散層」と呼ぶ。この濃度勾配と表面拡散層の物理化学的な性質が拡散層モデルの基礎であり、これは混合工程を含む小規模及び大規模の両方の結晶化システムに一般的に適用可能である。
拡散層モデルは、様々な混合条件下の異なる表面拡散層の高さを説明し、このモデルの速度を決定する工程であるこの表面拡散層を通じた大容量溶液からの溶質の拡散である。表面拡散層における溶質拡散及び境界層の高さは、結晶成長速度に影響することを実証した表面拡散層は、成長した結晶を囲む凝集した溶質の層として代替的に見ることができ、凝集した溶質がすでに豊富で、認識プロセスに含まれているのがこの層である。
結晶成長動態学に由来する重要な2つの物理的特性は、粒度分布と結晶形態である。固体の溶解の構成要素である表面領域があるため、溶解した結晶質のサイズ及び形状は商業的使用において注意深くモニターされ、APIのための意図的に規制された性質である。例として、結晶のサイズ及び形態は、口での感触が成功の目盛になり得る食品関連の適用、肌での感触又は剥脱特性が必要な化粧品の適用、及び時間依存的な溶解が有利である農業製品において重要である。結晶成長が核形成に依存することを受けて、核形成プロセス及び核形成の条件が結晶の粒度分布及び形態に劇的に影響するようによく確立されている:最終消費で重要な結晶成長段階からの性質。この相互依存の重要性を認めて、新しい核形成技術は、結果的に最終消費性質に影響する結晶成長の変化を説明しなければならない。
結晶化を「分子識別プロセス」として記載する場合、溶質の化学的な多様性のため、厳格な制約が新しい技術に課せられるので、結晶化が分離、精製、回収又はその任意の組み合わせの好ましい方法である。原子、イオン、小分子、生物学的高分子又はその組み合わせを含む固体の広い範囲は、核形成の方法がこのような様々な化学種にわたって1つも普遍的に成功しないことが起こりうるように、新しい核形成方法の利用に対する巨大な挑戦を作る。この化学的多様性と、核形成を合理的に誘発し、阻害し又は他の方法で制御する適切なツールの一般的な欠失は、試行錯誤の実験、コンビナトリアルケミストリー及びコンビナトリアルハイスループットスクリーニング方法にますます重度に依存する固体形態スクリーニングのための現在の経験に基づくアプローチの優位を説明する。
しかしながら、新規化学成分に関してそれらの有用性を制限するエピタキシアル方法を備えた基本の根本的な問題がある。エピタクシーは、結晶成長を支持するために以前に形成された結晶の表面に依存する第2の核形成メカニズムを含んでいる。不運にも、与えられたエピタキシアル表面の構造は、新しい化学成分のための適切な構造的な又はエネルギー的な一致にはならず、新しい化学成分の結晶化で試みる時に使用するエピタキシアル表面は現在知ることができない。そのような構造的及びエネルギー的な誤った組合せは、結晶化を完全に抑制し得、あるいは、それらは、好ましい熱力学的に安定した結晶ではなく動態学的に制御された製品の分離に結びつくことがある。
エネルギー的な用語として、エピタキシアル表面は、過飽和溶液に狭く定義された表面エネルギーがある結晶面を提示し、そのエネルギー的な状態は溶液からの結晶化を促進する適切な一致ではないことがある。理論上、標的の系のための認識と組立て駆動因子の両方として役立つようにエピタキシアル表面は意図されるが、未知の溶液挙動と新しい化学部分の未知の固体形態構造が先天的にエピタキシアル表面を適切な選択することを不可能にするように組み合わせられた。結晶化のための化学的な挙動における多様性と組み合わせた基本的な制限は重要であり、化学的な探索活動におけるエピタキシアル方法の利用を厳しく制限する。
結晶化される化学種の多様性によって課せられた挑戦が説明するのは、本発明は表面エネルギーの比較的多様なセットを提示できる、表面を使用する核形成を改善する溶質及び溶質の凝集体の合体を容易にする。この戦略は、エピタクシー及びその誘導体の目的であるように、認識及び組み立てを先在する格子と置換しようとするよりも決定的に重要な認識及び組み立てプロセスをそれぞれの溶質及びその凝集体に残す。本発明のアプローチは、認識は核形成の前に溶質凝集体表面及び成長した結晶の拡散層モデルの凝集した溶質の表面拡散層で生じるという観察を踏まえたものである。新しい化学成分の認識及び組み立てプロセスを代用し、既存のエピタキシアル格子によって狭く規定されたエネルギー的状態の中へ強要するよりも、本発明は、凝集体の合体、成長及び核形成を促進するために、エネルギースペクトルを過飽和溶液中の溶質及び溶質凝集体に提示するために適切に改質された表面特性を有する非晶質表面を使用する。核形成と結晶成長にとって重要な認識プロセスを代用することによってではなく、溶質とそれらの凝集体にこれらのプロセスを残すことにより、広い有用性が達成され、そうすることで新規化学成分の熱力学的に安定した結晶形態を分離する全面的な可能性が改善される。
これは多様な化学種にわたる利用を維持する一方、核形成プロセスの改善の最適な手段を示すのは、不均一な基質とのインターフェイスでの溶質及び溶質凝集体の表面エネルギーの一致である。
結晶化は、多数の商業的活動、食品、医薬品、化粧品、農業、ファインケミカル及び生物工学の産業における生産に及ぶ研究及び開発、において重要である。プロセスとして、拡張可能な生産及び一貫性のある最終消費製品の挙動の点から、その信頼度のために結晶化は価値があり、これらの因子から予想可能な費用効果がある。その全ての形態における固体形態変化(図1)、及び特に多形性は、研究及び開発並びに製造規模の結晶化に対して著しい挑戦を示し、アボットのリトナビルの薬学的多形性の問題でも実証されたように、固体形態変化によって導入された予想可能性の欠失は非常に高価な結果を生む。固体形態変化と汚染物質の結果は、結晶化プロセスの予測可能性を減少させる不均一な第1の核形成を誘発し、その後技術的及びビジネス上の利点を減少させる又は除去する。結晶化の2つの段階において、流出される溶質凝集体は、核形成及び結晶成長に不可欠な認識及び組み立てプロセスに悪影響がない操作された表面エネルギー改質とともに非晶質な不均一な基質を使用して核形成に合理的に事前に配置できるため、核形成は成果に合理的に影響するための最良の機会を示す。
本明細中書に議論されるように、均一な核形成と比較して、不均一な表面上の核形成の自由エネルギーの減少は有利である。不均一な表面の使用は、新しい核形成系の合理的なデザイン、核形成の合理的な制御およびその後の結晶成長工程のために機会を提供する。異なる表面エネルギーを与える様々な特徴を備えた操作された不均一な表面の構想を描くことができる。
結晶の設計に関する同時代の理論と試みは、過飽和溶液とのインターフェイスでの標的溶質の秩序を強化するための結晶のテンプレートの使用に基づくエピタキシアル方法にしばしば依存する。理論上および実際上、エピタキシアルテンプレートは、標的溶質と化学上関することがある場合とない場合がある。核形成メカニズムの点では、結晶の設計のための最新の戦略は、個々の溶質が吸着し、基礎をなす格子のエネルギー的な影響の下化学上関連する結晶のテンプレートを使用する第2の核形成に依存する。このような方法が、実験室での系の選択のために示され、気相からの結晶化は慣例である電子機器による製作(electronics fabrication)における商業的な使用も見えている。溶液からの結晶化のためのそのようなエピタクシー型成長の広い使用は、多数の挑戦を招き続け、新しい化学成分を含む探索段階研究に適用されるような第2の核形成の制限が本明細書で議論される。
有用にするために、エピタキシアルテンプレートは、エピタキシアルテンプレートの格子エネルギー及び凝集した溶質の表面エネルギーの間に近い一致があるように、溶質及びそれぞれの凝集体にとってエネルギー的に好ましい表面を示さなければならない。より具体的には、式9によって定義されるように、エピタキシアル表面の付着エネルギー(Eatt)と標的溶質凝集体の表面エネルギーの間に近い一致がなければならない:
ここで、
Elatt=結晶の格子エネルギー、
Esl=結晶のスライス又は断片の組み立てのためのスライスエネルギー、
Eatt=成長する結晶にスライスが付着した時の放出される付着エネルギーである。
任意の溶質の結晶形態を受けて、Elattは定数であり、Eslは与えられた一連の条件下で与えられた溶液において「スライス」(すなわち凝集体表面)を形成するための前記溶質の凝集のための特徴である。したがって、式9は、任意の溶質のための付着エネルギーEattは、狭く定義された値であり、エピタキシアルテンプレートはエネルギー的な利点を示すためにEattに近く一致するエネルギーを有さなければならないことを示す。この狭いエネルギーウインドウは、核形成プロセスにおいてエネルギー的な利点があるように、汚染物質の表面は標的溶質のサイズ及び構造に15%以下の不一致である良く類似していなければならない不均一な第1の核形成についての以前の議論によってさらに支持される。新規化学成分に関するほとんどの研究開発プロジェクトは、経験的に格子エネルギーは知られておらず、さらにスライスと付着エネルギーは未知である;したがって、適切なエピタキシアル表面のテンプレートの識別に対する予測的な能力は引き続き制限されている。
エピタキシアル方法の広い適用の不足のための多数の理由について議論したが、主要な基本のハードルは、結晶のエピタキシアルテンプレートの表面と標的溶質凝集体表面のEattの間のエネルギー的に誤った組合せである。エピタキシアルテンプレートによって示された格子は、このような有用性も共に狭い、狭い分類の化合物とエネルギー的に一致させた。したがって、限定されないが、食品、医薬品、化粧品、農業及び生物工学産業において使用される原子、イオン及び分子を含む化学種の多様な分類のEattにより広く一致させることができる新しい方法が必要である。
本発明は、熱力学、動態学、純度、形態、結晶の粒度分布、処理の容易さあるいは溶液結晶化プロセスの経済性を改善するために、核形成サイト密度、空間的方向、形状、サイズ、多価さ及びその組み合わせが多様な表面核形成サイトを備えた合理的に改質された非晶質の不均一な基質を使用する。過飽和溶液中の溶質とそれらの凝集体の表面のエネルギー的な特性に注目することによって、及び非晶質の基質材料、核形成サイトの形状及び製造方法の選択による表面エネルギースペクトルの賢明な調節によって、本発明は食品、医薬品、化粧品、農業及び生物工学における使用に適合し得る溶質の広い範囲に広く適用可能である。好ましい非晶質の基質表面の非晶質の特性、溶解に対する抵抗、耐久性および商品特性は、溶液結晶化におけるエピタキシアルに基づく第2の核形成方法が直面した挑戦を克服する。さらに、表面エネルギーが既知又は未知の挙動の系の上に先在する厳密な構造的な及びエネルギー的なモチーフ(つまり格子)を強化することではなく与えられた化学の系のエネルギーな駆動因子に適応させ得るように、非晶質の不均一な基質核形成サイトアレイへある程度の空間の変化を導入することができる。エネルギーを使用して核形成の熱力学と動態学の改善するためのこの合理的なアプローチは、非晶質基質を含む表面を一致させ、核形成及び結晶成長しやすい溶質凝集体における結果的な有用性は、限定されないが形態、結晶の粒度分布、処理の容易さ、取り扱いおよびプロセスの経済性を含む結晶化及びその性質の改善するための新規のアプローチである。
適切に改質された非晶質は、エネルギー的、化学的、製造及び経済的因子を含む多数の理由で核形成基質として期待できる。表面エネルギーの重要性については本明細書中で既に議論され、Eattの表面付着と狭く定義された値に依存するエピタキシアルと他の第2の核形成方法の制限についてもされている。定義による非晶質は長距離秩序を欠き、このように付着エネルギーを厳密に定義していない;したがって、非晶質は、核形成、結晶成長又は相変化プロセスの間異なる、低いエネルギー状態を要求する、新しい化学成分上に狭いエネルギー状態を課さないエネルギースペクトル(狭い又は広い範囲で適切に操作された)を示すための改質した非晶質の基質の使用によって、Eatt値は、新規化学成分に応じて変わることが可能となるため、新規化学成分の熱力学的に好ましい結晶形態の代表であるEattとの一致を達成する可能性を改善する。
濡れ性と表面の接触角を含む様々な物理的特性を変更し改善するために、非晶質は、表面改質に非常によく適している。濡れ性、及びより正確には接触角は、表面エネルギーに関連し、核形成プロセスの熱力学と動態学は、表面エネルギー相互作用に依存することを実証された。
様々な固体のためのエンタルピー分布と確率関数の検討は、図5にグラフで示されるように、非晶質の表面(この場合はシリコン)が核形成のより高い可能性を持っていることを示す。図5の左側は、結晶固体のねじれと段丘の成長特性のための核形成確率関数を表わす、狭い暗くなったピークを示す。これらのピークは、結晶表面のためのEattに対する値の狭いエネルギー範囲をグラフで描き、第2の核形成方法の全面的な有用性(それはエピタクシーのような技術を含んでいる)を制限するのはこの狭いエネルギースペクトルである。図5の右は、非晶質はより多くの広い核形成可能性プロファイルを示し、暗くなった部位によって描かれたより多くの広いエネルギー範囲が、エンタルピープロファイルのより大きなエリアをカバーする。したがって、非晶質の表面は、核形成事象が始まるより高い可能性を提供する。核形成熱力学、動態学、あるいは両方を改善するための過飽和溶液中の溶質と凝集体の合体の可能性を改善する、適切に広い表面エネルギースペクトルを作成するための非晶質の表面特性の合理的な操作は、本発明の1つの重要な態様である。
非晶質の基質は、よく表面エネルギー改質に適し、重要な物性に影響し得る。過飽和溶液と基質の間の界面相互作用にとって重要な1つの表面特性は、表面濡れ性である。核形成プロセスの一部としていくつかの化学種は基質と強く相互作用する一方、他の部分は巡回挙動を示すという、核形成における濡れ性の役割は良く理解されていない。凝集、認識、組立、核形成及び結晶成長プロセスの動的な性質は、基本的なプロセスの機械論的な記載に完全には反映されておらず、核形成を引き起こし過飽和条件を和らげるためには、短命な弱い相互作用が準安定状態の浅いエネルギー障壁を解消するために適切であり得る。
表面濡れ性を越えると、非晶質の表面エネルギーの調節により3相の線張力(図4)を変更することができる。核形成における線張力の役割は未だに予測的な能力において有用ではなく、線張力のみを使用して結晶化を最適化することを試みることは、本明細書を記載している時点では未だに挑戦である。
表面エネルギーを変更するために非晶質の基質に様々な表面特性を導入することができ、次のものを含む:
1.核形成サイト密度
2.核形成サイト空間方向
3.核形成サイトサイズ
4.核形成サイズ形状
5.チャネル
6.凹面の表面
7.凸面の表面
当業者は、核形成を改善するための有用性の様々な他の表面不均一性の構想を描くことができ、任意の方法で制限するようにはこのリストは意図されていない。
非晶質の不均一な基質上の核形成サイトの一定の2つの次元の間隔が、溶液、溶質および溶質凝集体を備えた表面の相互作用を劇的に変更することができるので、核形成サイトの表面密度は1つの重要で、便利なように制御された表面改質である。結晶成長理論に基づいて、より不均一な表面が同様に核形成プロセス中の利益であることがあることを示唆した。正反対の極端な状態では、核形成サイト密度の劇的な減少が非常に遠隔に核形成サイトの位置を決めるので、隣接した凝集体と吸着された溶質との相互作用を最小限に抑える。この極端な状態では、溶質と溶質凝集体の近接に由来する熱力学的利点は縮小するだろう。
非常に高く、非常に低い極端間の核形成サイト密度の連続では、種々の系のエネルギーを提供することができる密度があり、それは予期された過飽和溶液の溶質化学、溶質凝集特性及び物理化学的性質、標的溶質のEattなどに由来する。表面のモチーフ変化の使用を通じて非晶質の表面エネルギーを適切に変えることによって、増強された異種核形成を達成することができる。
多数の手段は、非晶質の表面改質が不均一な第1の核形成を促進することを可能にし、これらはレーザー、プラズマ及び他のエネルギー蒸着方法を含む彫刻及びエッチングする標準的、機械的又は化学的な方法を含む。様々なリトグラフ的な、スタンピング、インプリント及び追加の印刷プロセスはモチーフ堆積にそれら自身が役立ち、ナノテクノロジーに由来するたくさんの表面改質技術も当業者に認識されるように有用である。
より具体的には、本発明は、不均一な第1の核形成を促進するために過飽和溶液中の溶質凝集体を備えた適切に改質された非晶質の基質間の合理的に設計された相互作用を検討する。核形成と結晶成長における表面不均一性(例えば段、ねじれおよびねじ成長メカニズム)の利益を認めることによって、核形成プロセスに影響を及ぼすために適切に操作された表面エネルギーを示す非晶質の基質を使用することができる。再現性が研究、開発および生産活動の重要な側面であるので、本明細書中で検討された非晶質の表面は、コンピュータによって数的に制御された製造方法を使用した一貫した方式で改質し得る。このように、興味のある与えられた結晶化系の再生可能な利益を与えるために、表面エネルギーの特定の範囲を与える適切な改質を一貫して製造することができる。不均一な基質のための表面エネルギーの特定の範囲を与える特徴は、異なるサイズあるいは形を含む異なる化学的特性と物性の溶質と溶質凝集体との合体と成長を増強することができる、多くの隆起、チャネル、段、ねじれ、段丘など、あるいはその任意の組み合わせを含む。技術分野の現状が、主に厳密なテンプレートと厳密に定義された格子エネルギー(Elatt)を備えたエピタキシアルに刺激された方法に依存するので、本発明の表面エネルギー改質のためのアレイによって与えられたサイズと形の変動は、もう一つの重要な区別する特徴である。溶質凝集を増強し、核形成に必要とされる臨界サイズへの成長を促進するために第2の合体(つまり凝集体の凝集)にこれらの溶質凝集体が影響されやすくする手段の作成によって、合理的に核形成熱力学、核形成動態学、結晶成長熱力学、結晶成長動態学、結晶形態、結晶の粒度分布、処理の容易さ、熱力学的に好ましい結晶形態の分離などへの改良を達成するために本発明を使用することができる。
化学的、分光的、放射線的、熱的又はリトグラフ的な手段を使用することによって、あるいは溶解、スタンピング、インプリント、追加的に印刷する、又は当業者によって実行される他のこのような製造方法を使用することによって、異なる表面エネルギーで便利に、費用効果的に、再現可能に不均一な非晶質基質を作成する能力は、本発明の広い有用性を支持する1つの重要な利点である。表面の機能化及びそれ故に表面エネルギーにおける広い変化は、過飽和溶液中の与えられた溶質において好ましいエネルギーの適切な一致へ基質表面のエネルギーを調節する1つの手段をもたらす。基質表面に有利なエネルギー範囲を提供することによって、溶質付着エネルギー(Eatt)と基質表面の表面エネルギーの間の一致を得るより高い可能性がある。本発明の有用性を第2の核形成方法の狭く定義されたエネルギー及び有用性を越えて拡張するのは、液相エピタキシーの特定の場合を含むエネルギー又はエネルギーウインドウの範囲である。
隆起、チャネルあるいは検討されるその他同種のものとして存在する核形成サイトの空間の変化に加えて、ある程度の方向付けの変化は、異なるサイズ、形状あるいは化学的同一性の凝集体の順応を可能にする。この位置の変動は、与えられた非晶質の基質の表面エネルギーに影響し、先在する格子によって定義された狭いエネルギー的な状態を強化せずに、溶質と系エネルギーを提供する別の手段を提供する。
不均一な基質表面特性は、与えられた系において利点になるかもしれない、定義された格子の角度及び形態を有する成長する結晶表面で出くわすことがある比較的鋭い角及び特徴(例えば狭間)、又は溶液中の凝集体で出くわすことがある鈍角(例えばくぼみ)、あるいはその組み合わせを含みうることが予想される。どんな場合も、本発明の1つの重要な態様であるのは核形成プロセスに対する表面エネルギー改質の純効率とこのエネルギー変化の影響である。
本発明は、使用の間に溶解に強く費用効果が良い物理的な支持として基質を使用する。適切な基質は限定されないが、当業者によって使用されることがあるポリプロピレン、ポリエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリアクリラート、ポリアクリルアミド、ポリスチレン、ジビニルベンゼン、ビニルベンゼン、前述の材料のコポリマー、ガラスおよび他の非晶質を含む。このリストは、結晶化を行なうことがある従来の実験室及び製造規模の溶液の化学反応に一般に強い材料を含み、そこから選択される。これらの材料は、大容量で、他の表面に付着した表面層として、及び核形成、結晶成長又はその両方に良い影響を与えるのに有利な他の組み合わせが使用され得る。
本発明は、以下の任意のフォーマットで利用され得、これらは例として示されるのであって、任意の方法に制限することを意図しない。非晶質の不均一な基質を格納容器として、過飽和である又は過飽和になる溶液と接触する表面として、容器の壁に付着又は取り込まれたモジュールとして、あるいは溶液の固体、液体又は気体のインターフェイスとの断続的な接触の下で、接触で又は接触中で自由に浮遊した又は漂っているモジュールとして使用し得る。より具体的には、溶液との前述のインターフェイスは、下記のうちのいずれかを単独であるいは組み合わせの中で含み得る:空気/液体インターフェイス、ガス/液体インターフェイス、固体/液体のインターフェイスおよび他の液体/液体界面。核形成と結晶成長のプロセスに干渉し得る溶解平衡と汚染物質を最小限に抑えるように、溶解あるいは検討された過飽和溶液による不動態化に一般に化学的に強い非晶質の有機ポリマー、コポリマーあるいは無機の材料の分類から非晶質の不均一な基質を選んでもよい。非晶質の不均一な基質は、一般に低価格で市販されている商品材料を表わし、溶解に対する耐久性、柔軟性および抵抗の特性がある。非晶質では、溶液に接する支持材料が非晶質であるため、不均一な第1の核形成から第2の核形成方法への変化に通じる基質破壊を引き起こす系の剪断力の可能性は除去される。これらの特性は、第2の核形成メカニズムが関わる、溶液と他の系からのエピタキシアル形式の成長が出くわした欠点の多くを克服する。
温度変化に関して、熱により安定している非晶質の分類から特に好ましい材料を選んでもよい。本明細書に記載されているように、温度のS(式1)へのよく確立された効果を受けて、核形成と結晶成長を望む系の温度を下げる、上げるあるいは代替的に循環させる手段を備えた本発明の改質した核形成表面を同時に使用することは有利である。温度変調の純効果は溶液温度への大きな変化あるいは溶液の微小ドメインへの熱のゆらぎでありえる。過飽和が非平衡状態で、核形成と結晶成長に対する微小ドメイン温度変化の影響は完全には理解されていないため、検討された改質した核形成表面への近接中の小さな熱のゆらぎは、与えられた溶質系のための核形成への活性化障壁を適切に克服するSの値とエネルギー的な状態を生むことがある。巨視的なドメインあるいは微視的なドメインのいずれでも、系温度を変更する方法は、これらに限定されないが、当該技術分野において有名である、流動性をまとった容器(fluid jacketed vessels)、発熱要素、冷たい指(cold fingers)、再循環させる冷媒、再循環させる熱流体、熱電気的装置、低温固体および液体、及び検討されうる同等のものを含む。
追加の特に好ましい非晶質の支持材料は、生体適合性のポリマーあるいは非晶質無機材料の分類に由来し得、そのような材料は生物工学的適用において重要である。
例によって、ハイドロキシアパタイトは硬骨と歯の主成分で、Ca10(PO4)6(OH)2として処方される。生体系でハイドロキシアパタイトを配置するプロセスをバイオ鉱化作用と名付け、そのメカニズムは、エネルギー的に好ましい生物学的表面上のハイドロキシアパタイトの不均一な核形成と後の結晶成長を含んでいる。周囲の組織の中への移植固定と統合のプロセスはオッセオインテグレーションとして知られており、それは移植の機能と長寿の両方の促進に不可欠である。操作された移植材料の表面の中へのハイドロキシアパタイトのとり込み(例えばコーティングあるいは他の技術を通じて)は、オッセオインテグレーションプロセスに有益になり得る。不運にも、生体内の条件(つまり水性の状態、大気圧および生理的な温度)を使用するハイドロキシアパタイトの核形成と結晶化の生体外の試みは、バイオ鉱化作用中で得られたマイクロメートルサイズよりほぼ10〜100倍小さい、ナノメーターサイズの結晶に帰着する。生体外に由来した結晶は、それらが天然のバイオ鉱化作用によって生体内で生成されたより大きなハイドロキシアパタイト結晶の有益な属性を与えることができないほど小さいサイズである。この必要性を考慮して、本発明の改質した表面は、適切なサイズのハイドロキシアパタイト結晶の成長を促進する際に本発明の核形成表面が有益であるように、このような生物工学的適用に有益に役立つ。
不均一な核形成を改善する非晶質の表面改質の重要な利点は、図5に示されるように、結晶の基質の特徴的に狭いエネルギースペクトルの使用によるではなく、比較的広い表面エネルギースペクトルの使用によって核形成のための適切なサイズの凝集体の形成の可能性を改善するということである。本発明のアプローチは、標的溶質と適切に熱力学的な一致にならない結晶基質の厳密なエネルギーテンプレートによる認識及び関連する組立プロセスよりも、凝集体形成、凝集体成長、核形成及び結晶成長に重要な化学的認識及び組立プロセスを完全なまま残す。
表面エネルギー、モチーフおよび核形成サイト密度を戦略的に最適化することによって、本発明において不均一な第1の核形成に関連した汚染物質の影響が減少し得ることを実証した。現在の結晶化プロセス手段に含まれるプロセスと設備の幅は、化学的な不純物及び粒子状汚染物を完全に除去することができないことを意味する。本発明は、与えられた結晶化系のための非晶質の不均一な表面の核形成サイト密度の最適化により、これらの汚染物質破壊(breaches)の可能性と影響を統計的に減少させようと努める。より一般に、汚染物質の優位は塵粒表面などによって不均一な第1の核形成を関連づけ、汚染物質表面によって示された核形成への減少したエネルギー障壁に起因する。そのような汚染物質によって引き起こされた核形成は、新しい技術的なツールによって必要とされる予測可能な挙動を欠き、調整された表面エネルギースペクトルを備えた改質した非晶質の表面の使用は、より予測可能なアプローチを示す。汚染物質の数を超える操作された核形成サイトを使用した制御された方式で、核形成への活性化障壁を減少させることによって、汚染物質によって引き起こされる核形成の可能性は最小化する。そのようなアプローチはプロセスの品質、予測性および経済性に好ましい効果がある。
例証の目的のためだけにこれらの例は提供され、本明細書中で提供する請求項の範囲を限定するためではない。
本明細書で使用される用語「表面改質」は、物理的な、化学的な若しくはトポグラフィックな特徴又は溶液に接触している時の基質の表面エネルギーへの摂動をもたらす特徴を誘導し得る他の手段等による、あらゆる基質の変化を含むものと定義される。Trotec Speedy 300 CO2 laser systemを備えたソーダ石灰ガラス顕微鏡スライド(Karter Scientific Microscope slides P/N 206A2,厚さ1.0+0.2mm,予め洗浄されたもの)上で表面改質を行った。0.35ポイントの線の太さ(25.4mm/72ポイント×0.35ポイントで、ほぼ120mm)を使用するCorelDraw X6 Software(Corel,Inc.)を使用して、典型的な表面改質テンプレートを調製した。レーザーの設定は、1インチ当たり1000ドット(dpi)の解像度及び30%のレーザーヘッド速度を使用した。
図6に表面改質のための典型的なモチーフを示すが、これらの例は例証の目的のみを意図するものであり、いかなる方法をも制限することは意図していない。図6に示す改質を備えた非晶質のSi表面を本明細書に記載される実施例で使用した。一連の同心円を含む表面と同様に、2.0mm、1.0mm及び0.5mmのプラトーを備えた3つの正方形のグリッドパターンを製造した。液滴を備えた比較可能な接触比率を持たせるために、0.5mmのグリッドと0.5mmの円でラベルしたモチーフを操作した:特に、任意に、谷部(valley)表面積の接触比率へのピークは約5.7の比率を目標とした。これをグリッドにより定義し、それから、同一の線幅を割り当て、その後、それぞれのより小さな円のために約8.75%に最初の20mmの円の外径を減少することで、同心円を達成した。このように、プラトー/谷部の表面積比率が約5.7と比較できるように、静滴(sessile drop)に面する、狭間のある(crenellated)グリッド及び狭間のある円形表面の影響間の直接的な比較を得ることができる。
<実施例1:接触角の測定>
界面化学及び生体材料を含む多数の分野において、表面処理を評価するために接触角測定(Lamour,G.and Hamraoui,A.,Contact Angle Measurements Using a Simplified Experimental Setup.J.Chem.Educ.2010,87(12),1403−1407)が使用されている。表面エネルギー及び濡れ性の巨視的性質の理解は、核形成及び結晶成長に使用される、改質した又は未改質の核形成表面に有用である。本発明者らは、接触角の測定のために、文献に記載されているような一般的に認められている静滴法(sessile drop technique)を使用した。
平面固体表面上の純粋な液体の液滴は、拡散を助ける、液体及び固体表面間に作用する接着力を経験するが、液体内での凝集力はこの拡散に対抗する。液滴の表面張力より高い表面エネルギーを備えた基質は、液体と基質間の相互作用を占めることによって完全な濡れ(complete wetting)を起こし、その結果、0°の接触角をもたらすだろう。基質が液体の表面張力より小さい中間の表面エネルギーを有する場合、液体は基質を濡らし、接触角は0°<θ<90°の範囲となるだろう。基質が、液滴の表面張力より実質的に低い表面エネルギーを有する場合、表面は非濡れ(non−wetting)(不十分な濡れ)と呼ばれ、90°を超える水の接触角をもたらす。
以下に記載される接触角の実験は、改質した又は未改質の基質表面間の相対的な接触角について理解することを目標としている。改質した表面の特徴はこれらの測定に使用する静滴より大きいため、基質表面上での液滴の拡散により非平衡である動的(dynamic)接触角を予期できる。静滴の接触角の測定の実験プロトコルは文献に記載されている。要約すると、トポロジカルにパターン化した、及びパターン化していないスライドを、撮影光室内部の平らなアルミニウムブロックに設置する。その後、25μLガスタイトシリンジ(Hamilton Model#1702)から20μLのH2Oの液滴を、図6に示す、改質した又は未改質のそれぞれの表面(後者は今後、表面対照と呼ぶ)の中心に直接配置し、続いて、デジタル撮影によって画像を取得した。接触角の測定を周囲温度(ほぼ20℃)で行なった。適切な画像コントラストを促進するために、撮影光室内部に収容したペーパーディフューザーを通した50Wのハロゲンランプを使用して、液滴をバックライトで照らした。Fotodiox D−SLR Camera Adapter(2×倍率)を搭載したCanon EOS Rebel T2iデジタル18メガピクセルカメラを使用する、Amscope 3.5−90×Trinocular Zoom Stereo Microscope専用単眼カメラを通して、1時間以上、15分毎に写真画像データを集めた。伸縮式の3Dブームスタンドの補助によって静滴と基質表面の界面に対して90°の入射角で、顕微鏡及びカメラを配置した。処理のための適切な画像サイズを達成するために、倍率によって視野を調節し、それはカメラレンズを通して約4倍だった。その後、各静滴の接触角を決定するために、接触角ソフトウェアモジュールプラグインを使用するImageJ software(Version1.46,アメリカ国立衛生研究所)で、得られた写真画像を分析した。接触角のカーブフィッティングは、ソフトウェアの楕円カーブ「最良適合」機能と組み合わせたマニュアルポイント選択を使用した。
表1に示すように、4つの改質した表面は、時間の関数としてH2Oの静滴の接触角の安定した減少を示す。改質したスライドの表面とは対照的に、表面対照上に置かれた液滴の接触角は、測定の最初の15分以内では接触角の僅かな減少(ほぼ6°)のみを示し、以降は、θはほぼ15°で本質的に変化しなかった。完全な濡れ(つまり、θがほぼ0°)を、0.5mm及び1.0mmのグリッド改質の両方で観察したが、これは、これらの改質の表面エネルギーが72.8mN/mであるH2O自体の表面張力を超えていることを意味する。推論して、1時間で3.6°の接触角を持つ2.0mmのグリッド表面は、水よりわずかに低い表面エネルギーのみを有する一方、円形モチーフは4つの改質した表面で最も低い表面エネルギーを有し、これは表面対照の約50%の接触角から見積もることができる。
明細書に記載されるそれらと比較できる接触角の実験の時間経過中及び実験後に、H2Oの液滴が、液滴の実質的な動きなしで基質を傾けることができるような、改質した表面に比較的強く付着したままであることを観察した。最も有効な濡れ及び最も小さい接触角を示すグリッドパターンについては、基質自身を、液滴の縁への移動又は表面からの流出なしで、完全に反転することができる。例えば、解析調査、溶媒拡散又は結晶成長の目的のために、過飽和溶液の液滴を反転(つまり、つるす)することが必要とされる状況において、この観察は有利になり得る。
<実施例2:蒸発による質量損失>
核形成を引き起こすために、蒸発は、溶質濃度及びS(過飽和比率)の両方を増加させる非常に一般的な方法である。物質の全質量は、新しい化学成分の探索段階で頻繁に制限され、徐々に過飽和比率(S、式1)を増加させて結晶化を引き起こすために、緩くキャップした培養試験管及びバイアルなどから少量の溶液をゆっくり蒸発させる方法が一般的である。懸滴及びそれに関連する液滴法は、構造決定のためのタンパク質の結晶化でたびたび使用され、秩序だった結晶質を生成するそれらの能力のために重要な技術となっている。Sをゆっくり増加させ、それによって核形成を引き起こすために、懸滴法及び液滴法は、さらに、関心のある溶質を含む液滴への逆溶剤(つまり、標的溶質がそれほど可溶でない別の溶媒)の気相拡散を含み得る。蒸発及び溶媒/反溶媒の交換方法の両方は、基本的に、液滴の大きさ、液滴の形状、相対的な溶質溶解度、並びに温度、基質表面での接触角及び表面エネルギーを含む他の物理的因子に影響される。
図6の改質した表面及び対照表面からの溶媒蒸発の相対的な速度を研究するために、化学てんびん(Mettler Toledo(Model AX304))を蒸発速度の質量に基づく決定のために使用した。化学てんびんに調査する表面を個々に配置し、風袋引きし、その後、25μLシリンジを使用して、表面に20μLのH2Oの液滴を配置した。サンプルをてんびんに乗せ、15分間隔で質量測定を行った。
蒸発速度を報告するデータを表2に示す。本結果は一般に接触角測定と同じパターンに従う;すなわち、最も小さい動的接触角測定(表1)及び蒸発速度は、一般にグリッドに基づく表面改質で最も速い。0.5mmの円及び表面対照の蒸発速度は、グリッドモチーフから統計学的に有意な差(>3推定標準偏差(esd))を有し、蒸発による最も遅い質量損失を示した。
他の箇所で議論したように、液滴の拡散範囲は固体の表面エネルギー及び液体の表面張力に依存する(Cazabat,A.M.,Cohen−Stuartt,M.A.J.Phys.Chem.1986,90,5845−5849)。液滴は、異なるエネルギープロファイル及び交差チャネルに沿った移動に関するより多くの自由度を与えられるため、与えられた液滴は、グリッドに改質した非晶質の表面でより効果的に広がる、すなわち、代わりにその接触角を減少させる。液滴が平らになり、グリッドに改質した表面上でより大きくなるため、液滴の特徴は変化し、全体の液滴の高さ及び大きさは蒸発の促進をもたらすことができる。
スライドの表面エネルギーが水の粘性未満であるため、表面対照は、チャネルを有さず、H2Oの液滴は固定されたままである。0.5mmの円は、互いに流動接触ではない同心円を含むチャネルとして自由度が制限されるという点で、グリッドモチーフ及び対照表面の中間の興味深いハイブリッドを示す。0.5mmの円の、1時間での接触角及び動的接触角の変化速度は、グリッドに改質した表面により類似する表面エネルギー及び蒸発の挙動を示唆する;しかしながら、蒸発のデータ及び蔓延するエラーは、対照表面に対して統計学的に有意に、より類似していることを示唆する。同心円間の流動コミュニケーションの欠乏及び挙動の固定のあまり理解されていない影響は、Sを調節し、核形成及び結晶成長を引き起こすための蒸発の制御及び溶媒の拡散技術が有用であるというような、新しい知見を作る。
<実施例3:核形成サイトの密度及び結晶の粒度分布>
240mLのH2Oに24gのNa2B4O7・10H2O(Henkel AG)を加え、続いて、完全溶解を保証するために沸騰まで加熱し、ホウ酸ナトリウム十水和物の100mg/mL水溶液を調製した。その後、熱い溶液を濾紙に通し、核形成及び結晶化実験で使用するために等分した。
溶媒対照、表面対照、2.0mmのグリッド、1.0mmのグリッド、0.5mmのグリッド及び0.5mmの円モチーフを含む、6つの実験を行なった。約40mLの熱い水性の100mg/mLのNa2B4O7・10H2Oを、キャップをした容器にそれぞれ加え、(適切なところで)改質した核形成表面の1つを、任意のモチーフを溶液に完全に浸すために挿入した。核形成表面による溶液からの任意の大量の結晶化から固体の蓄積を防ぐために、それぞれの核形成表面を約60−70°の角度に僅かに下に向けた。すぐに容器をキャップし、ほぼ20°まで冷却させた。約0.5時間後、表面対照を含む、図6に示すように、全ての操作したモチーフにNa2B4O7・10H2Oの小さな結晶が形成した。溶媒対照実験(つまり、核形成表面を加えていない)において、約3時間後に1つの大きな結晶が形成され、改質した核形成表面では24時間までに、比較できる大きな結晶を得たものはなかった。
図7はNa2B4O7・10H2Oの核形成及び結晶化の研究の結果を示し、左のカラムは表面対照を、右のカラムは下向きの配向にも関わらず、様々な改質した核形成表面上で形成した結晶質を示す。後述の例において実証されるような核形成の促進又は阻害するために対象の核形成表面上での結晶成長は必要ないが、Na2B4O7・10H2Oの核形成事象が核形成表面上又はその近くで生じたことをこの観察は示唆する。本発明の4つの改質した核形成表面は明らかに表面対照と異なる、並びに互いに異なる挙動を示す。2.0mmのグリッドモチーフは、小さな微結晶から約4−5mmの大きなサイズの結晶までの範囲の固体を有する、大きな結晶の粒度分布を示す。それに比べて、1.0mmのグリッドモチーフは、大部分の改質した表面を覆い、異なる配向の多数のNa2B4O7・10H2Oの結晶からの光の反射のために不透明な外観を与える微結晶性の固体を有する、狭い結晶の粒度分布を与える。
0.5mmのグリッド表面は、2.0mmのグリッドに類似する結晶の粒度分布だが、はるかに少ない粒子(つまり、結晶)数を備え、ほんの少数の結晶を与える。0.5mmの円上の微結晶質の表面被覆率はきわめて低く、0.5mmの円の結晶の粒度分布は、前者の90°の交差の欠如にもかかわらず、1.0mmのグリッドに類似している。
1.0mmのグリッドモチーフ上の多くの微結晶の固体は、他のすべての表面と比較して、核形成に好ましい表面エネルギーを示唆する。より具体的には、1.0mmのグリッド表面上の多くの微結晶質の固体は、エネルギー的に好ましい核形成サイトの高い密度をとてもよく反映している。0.5mmのグリッドは、単位面積当たりにつき最も操作した特徴を有し、したがって、最も高い操作した潜在的な核形成サイトの密度を有する;しかしながら、図7は、0.5mmのグリッドで得られた結晶が、2.0mmのグリッド及び対照表面を使用して得られた大きさ、形状及び粒度分布とよく似ていることを示す。したがって、単に操作した核形成サイトの数ではなく、むしろ、改質した核形成表面の表面エネルギー及び興味のある溶質のEatt(式9)の間に適切な組み合わせがあるだろう。
有用性に関するいくつかの重点を図7から引き出すことができる;特に、1.0mmのグリッドモチーフは狭い結晶の粒度分布を備えた小さな結晶を形成するのに有用であり、それは、狭い時間枠上の急速な溶解を必要とする処理のために有利になり得る。あるいは、核形成及び結晶成長が、与えられた位置においてそれほど望ましくなかった場合、0.5mmのグリッドモチーフは有用である。そのような状況は、生物工学を含む適用において起こり得、移植した表面は、ある領域においては生体内鉱質形成又は骨化を抑制する、及び移植の他の領域においてはそれを促進する必要があるかもしれない。2.0mmのグリッド表面改質の比較的広い結晶の粒度分布は、異なる大きさ及び表面積の粒子が有用性を見つけるなどの様々な状況下で有用になり得る;例えば、ミネラルや甘味料の溶解を拡張した農業又は食品のそれぞれの添加物、構成物は有利になり得る。
<実施例4:核形成表面上のアセチルサリチル酸の蒸発による結晶化>
制限していない(unconfined)蒸発実験において、91%イソプロピルアルコール中の20μLの150mg/mLアセチルサリチル酸溶液を、それぞれの改質した核形成表面上及び対応する表面対照上へ送達した。それぞれの溶液は、室温20℃で蒸発させた。完全蒸発後、図8に示すように、結果として生じた結晶を約2×倍率の実態顕微鏡下で調べた。その結果は、主に、未改質の表面領域にて核形成する比較的より少数の結晶を備えたモチーフの特徴に沿った、及び内部での核形成と結晶成長を示す。0.5mmの円は、他の操作した特徴よりも円形のモチーフに沿ったより針状の結晶を示した。さらに、0.5mmのグリッドパターンは、初期の表面におけるより少数の細い針状結晶を備えた特徴において針状結晶が密集していた。1.0mmのグリッドモチーフは、他のモチーフで観察されたものより、より短いアセチルサリチル酸の結晶をもたらした。表面対照は、多数の核形成の無作為な点をもたらし、アセチルサリチル酸の結晶は不規則な、星形様の形態を有した。
顕微鏡観察によって得られた図8の画像は、表面エネルギー改質の特徴の核形成サイトの拡張による結晶の相対的な濃度の一見を提供する。モチーフの特徴中で増加した粒子密度は、核形成サイトを含むための操作をされていないすぐ隣の表面と比較して、明らかで整然としているように、これらのデータは核形成及び結晶成長に関して、表面エネルギー改質の有効性を実証する。
<実施例5:改質した核形成表面上の結晶の粒子数>
ImageJ Software(Version1.46,アメリカ国立衛生研究所)のAnalyze Particles機能を使用して、実施例4及び図8の実験を調査した。ソフトウェアはモチーフの特徴及び特徴中の多くのアセチルサリチル酸の結晶間を正確に区別することができないため、本明細書で示したデータは、図8に示す改質した表面の暗いプラトー領域の粒子数用である。本質的に、これらのデータは、未改質表面の無作為な核形成事象と競合し効果的に減少させる、操作した核形成サイトの効果を反映する。
表3に示すように、0.5mmの円モチーフは、残りのモチーフよりも未改質領域の単位面積当たり、より少数のアセチルサリチル酸の結晶を有した。さらに、2.0mmのグリッドは、表面積の平均あたり、より少数のアセチルサリチル酸の結晶/mm2を有していたが、これは、このパターン上で形成された結晶が他の核形成表面で得られたものより、より大きいサイズであるためだと考えられる。0.5mmのグリッドパターンは表面積の平均あたり、最も多くの結晶を有しているが、これはこのモチーフのより小さな結晶の粒度分布のためである。図8の視覚的な精査は、より多くの核形成及び結晶成長が、他のどのスライドよりも0.5mmの円モチーフの表面改質で生じるという明らかな証拠を提供し、2.0mmのグリッドモチーフは表面の特徴の外側の四角の領域上に最も多くの結晶成長を有していた。
<実施例6:改質した表面と対照表面の核形成及び結晶化時間の測定>
新規の物質の核形成の性質を特徴づけるために、モデル系としてアセチルサリチル酸を使用する結晶化時間の研究は学術文献において標準的であり、本明細書で示すデータは部分的に修正したプロトコルに従った。250mLの91%イソプロピルアルコールと37.5gのアセチルサリチル酸を組み合わせ、溶解を促進するために密閉した容器中で60℃まで加熱することにより、91%(v/v)イソプロピルアルコール(Aaron Industries,Inc.)中での150mg/mLのアセチルサリチル酸(Sigma Aldrich)溶液を調製した。透明溶液は、使用の少なくとも30分前にほぼ20度まで冷却され、周囲温度での結晶化に関して安定であった。
図6に示す改質した核形成及び対照表面を、91%イソプロピルアルコールで使用前にすすぎ、その後、約30分間、60℃の91%イソプロピルアルコールに浸し、その後、この溶液は廃棄した。続いて、約30分間、60℃のH2Oに表面を浸し、新しいH2Oですすぎ、ごみの侵入を最小限に抑えるために、ゆるく蓋をした容器内で、60℃で直立させて乾かした。
結晶化の確率的性質のために、反復測定が必要であり、統計解析はデータから得られる結論の重要な部分である。さらに、不純物、ダストなどのような核形成を引き起こし、結晶成長に影響をおよぼすことができる遍在的な因子は、対照実験の注意深い操作及び注意深い設計を要求する。溶媒対照(つまり、核形成表面がない)は、第1の又は第2の核形成を引き起こすことができる溶液相の変数(例えば、不純物、偶発的な(adventitious)固体及び微小な結晶断片)の監視を可能にし、本発明の操作した核形成表面と競合する他の表面から発生する核形成事象を取り除くために必要とされる。表面改質を囲む未改質の領域が核形成及び結晶化の結果に影響を与え得るため、表面対象の実験も重要である。これらの研究では、偶発誤差の影響を減少させるために、表面対象及び溶媒対象の実験の両方を、異なる溶液にまたがって無作為化した。溶液の取り扱い、溶媒対照、表面対照、反復実験及び統計解析の注意深い管理を含むこのアプローチは、統計学的に有意で再現可能な知見を明らかにする最も高い可能性を提供する。
91%イソプロピルアルコール中の約40mLの150mg/mLアセチルサリチル酸を加えた120mLのキャップしたバイアルの中で結晶化時間の実験を行なった。溶液に改質した核形成表面(存在する場合)を完全に浸すように、各バイアルへと核形成表面のうちの1つを挿入した。溶液からの大量のいかなる結晶化も核形成表面に集まらないように、約60から70°の角度に各表面をわずかに下向きに合わせた。直ちに、約35℃の冷蔵庫の内部に維持される氷/H2Oの浴槽中の0℃でバイアルをクエンチした。最初の180分までは15分間隔で、その後はより少ない頻度で24時間まで、結晶質の出現のためにバイアルを監視した。結晶化の発生時間は、実施した実験のエンドポイントを示し、合計6回の反復を行なった。
表4に、0℃の91%イソプロピルアルコール中のアセチルサリチル酸の推定標準偏差(esd)を含めた平均結晶化時間を報告する。
第1の重要な知見は、いずれの溶媒対照の実験も242分までに自発的な核形成及び結晶化を示さず、その多数が24時間を超えて安定であったことである。これらの溶媒対照の実験による結晶化の欠如は、偶発的な核形成表面としての役割も果たすごみ、ふけ及び微粒子を排除するための系の安定並びに実験管理の指標である。それぞれの改質した核形成表面及び対照表面のアセチルサリチル酸結晶が空気/溶液界面に浮いていることを最初に観察し、その後、結晶が頻繁に反応バイアルの溶液から底の上に落ち着いていた。
表面対照のデータは、91分のesdを含めた118分の結晶化の平均時間をもたらした:118(91)分。表面対照は「未改質」であるが、すべての実験(溶媒対照を除く)に共通する対照溶液の大量の表面及び縁の特徴が存在する。29.5から242.0分の表面対照の結晶化時間の範囲は、91分の大きなesdをもたらし、これは、未改質の表面による結晶化における不十分な再現性の統計的表示である。
表面対照を含む5つのすべての表面の結晶化時間の平均は、65(28)分の値を提供する。操作した表面が核形成及び結晶化時間の統計的に有意な減少に影響しているかどうかを決定するために、1つは、この平均の28分のesdを2回とり、95.5%の信頼水準のために異なる2つのesdである結晶化時間を探す。実施例によると、2*28=56分又は118(91)分の表面対照の値とはより異なる任意の結晶化時間は、95.5%の信頼水準(つまり、118−(2*28)=62分又はそれ以下)で統計的に異なる。この標準的なアプローチを使用することで、2.0mmのグリッド、0.5mmのグリッド及び0.5mmの円の改質した表面は、すべて統計的な基準を満たし、1.0mmのグリッドモチーフの表面は62分での2つのesdの下端カットオフ値に非常に近い。
上記の統計解析は、表面対照のデータから本発明の2.0mmのグリッド、1.0mmのグリッド、0.5mmのグリッド及び0.5mmの円のモチーフの分離を可能にし、これら4つの改質した表面の平均結晶化時間は52(10)分である。この値を表面対照の値と比較することは、本発明の有用性に直接関連する2つの重要な観察を可能にする:(1)表面対照と比較して本発明の表面による核形成及び結晶化の発生時間の56%の減少は新しく、高感度な結晶化の操作時に有用であり、(2)時間整合性の9.1倍の向上(改質した表面の平均esdで表面対照のesdを割ることにより計算した:91/10=9.1)は、再現性の顕著な改善であり、産業における予測性の経済的な利点及び生産作業がよく確立された。
上記から、発明の新しい概念の精神と範囲から逸脱することなく、多数の修正及び変更を実現できることが観察されるだろう。例証された特定の実施形態に関しての限定を意図する又は推測するべきでないことを理解されたい。請求項の範囲内に入る修正のような追加された請求項すべてによって保護するために開示は意図される。
本明細書に引用された特許、出願及び文献の各々を参照により組込む。文献の「a」又は「an」の使用は、1つ以上を含むことを意図する。