JP6445848B2 - マレイミド化合物含有樹脂組成物、それを硬化させた硬化物、硬化物の製造方法、及び繊維強化樹脂成形体 - Google Patents

マレイミド化合物含有樹脂組成物、それを硬化させた硬化物、硬化物の製造方法、及び繊維強化樹脂成形体 Download PDF

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Description

本発明は、半導体封止材料、プリント配線基板材料、繊維強化複合材料、接着材料などに好適に用いることができるマレイミド化合物含有樹脂組成物、それを硬化させた硬化物、硬化物の製造方法、及び繊維強化樹脂成形体に関する。
従来、半導体封止材料、プリント配線基板用材料、繊維強化複合材料、接着材料などには、エポキシ樹脂組成物などの熱硬化性樹脂組成物が使用されている。近年、これらの各用途において、材料の使用環境はより苛酷なものとなっており、特に材料の耐熱性の向上が求められている。例えば、特許文献1には、2価のフェノールにアリル基が置換した、2価のアリル置換フェノール化合物とアルデヒド化合物とを縮重合反応させて得られるフェノール系オリゴマーが提案されている。
しかしながら、従来のエポキシ樹脂組成物は電気的特性および機械的特性に優れているが、耐熱性において必ずしも十分とはいえない。そのため、耐熱性が高い熱硬化性樹脂組成物としてビスマレイミド化合物を主剤として用いたビスマレイミド樹脂組成物が提案されている。
特許文献2には、ビスマレイミド、および2−アリルフェノールノボラックを含む組成物が開示されており、例2には、メチレンジアニリン誘導ビスマレイミドと2−アリルフェノールノボラックとを50:50(重量:重量)で用いた例が開示されている。
国際公開第2012/057228号 特開平2−110158号公報
しかしながら、特許文献1では、フェノール系オリゴマーとマレイミド化合物との樹脂組成物やその硬化物については検討されていない。また、特許文献2においては、2−アリルフェノールノボラックは、組成物にとって反応性希釈剤として作用するものであり、硬化物の耐熱性も十分とはいえない。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、耐熱性に優れたマレイミド化合物含有樹脂組成物、それを硬化させた硬化物、硬化物の製造方法、及び繊維強化樹脂成形体を提供することを目的とする。
本発明者らは、以上の目的を達成するために、鋭意検討した結果、2価のフェノールにアリル基が置換した、2価のアリル置換フェノール化合物からなるフェノール系オリゴマーと1分子構造中に少なくとも2個のマレイミド基を有するマレイミド化合物とを含むことで、マレイミド化合物含有樹脂組成物の耐熱性が優れることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明は、以下の事項に関する。
1. 下記一般式(1)で表されるフェノール系オリゴマーと、1分子構造中に少なくとも2個のマレイミド基を有するマレイミド化合物とを含むことを特徴とするマレイミド化合物含有樹脂組成物。
(式中
nは、0〜15の整数であり、
Rは、アリル基であり、
a1及びa3は、それぞれ独立に、0、1、2又は3であり、
各a2は、それぞれ独立に、0、1又は2であり、
各R’は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基若しくはアリール基である。
但し、a1、各a2のいずれか、及びa3の少なくとも一つは2である。)
2. マレイミド化合物がビスマレイミド化合物である前記項1に記載のマレイミド化合物含有樹脂組成物。
3. 一般式(1)で表されるフェノール系オリゴマーのアリル基当量数と、マレイミド化合物のマレイミド基当量数との割合[マレイミド基当量数/アリル基当量数]が、0.50〜1.50の範囲で配合されてなる前記項1又は2に記載のマレイミド化合物含有樹脂組成物。
4. さらに、ラジカル開始剤を含有することを特徴とする前記項1〜3のいずれかに記載のマレイミド化合物含有樹脂組成物。
5. 前記項1〜4のいずれかに記載のマレイミド化合物含有樹脂組成物を加熱処理して硬化させてなることを特徴とする硬化物。
6. 前記項1〜4のいずれかに記載のマレイミド化合物含有樹脂組成物を150〜280℃の温度で加熱処理して硬化物を得ることを特徴とする硬化物の製造方法。
7. マトリックス樹脂が、前記項1〜4のいずれかに記載のマレイミド化合物含有樹脂組成物からなることを特徴とする繊維強化樹脂成形体。
本発明によって、2価のフェノールにアリル基が置換した、2価のアリル置換フェノール化合物からなるフェノール系オリゴマーと1分子構造中に少なくとも2個のマレイミド基を有するマレイミド化合物とを含む耐熱性に優れたマレイミド化合物含有樹脂組成物、それを硬化させた硬化物、硬化物の製造方法、及び繊維強化樹脂成形体を提供することができる。
実施例5で得られた積層体の動的粘弾性を測定したチャートである。
本発明のマレイミド化合物含有樹脂組成物は、フェノール系オリゴマーと1分子構造中に少なくとも2個のマレイミド基を有するマレイミド化合物とを含む。
本発明においてフェノール系オリゴマーは、下記一般式(1)で示される。
(式中
nは、0〜15の整数であり、
Rは、アリル基であり、
a1及びa3は、それぞれ独立に、0、1、2又は3であり、
各a2は、それぞれ独立に、0、1又は2であり、
各R’は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基若しくはアリール基である。
但し、a1、各a2のいずれか、及びa3の少なくとも一つは2である。)
上記一般式(1)で表されるフェノール系オリゴマーは、ベンゼン環に2個のフェノール性水酸基と、0、1、2又は3個、好ましくは1、2又は3個、より好ましくは1又は2個、さらに好ましくは2個のアリル基とが置換した2価のフェノール化合物(以下、2価のアリル置換フェノール化合物ともいう)とアルデヒド化合物との縮合単位を含む。
上記一般式(1)で表されるフェノール系オリゴマーは、2個のアリル基が置換した2価のフェノール化合物由来の構成単位(a1、a2、及びa3が、2であるもの)を、2価のフェノール化合物由来の全構成単位中、好ましくは50〜100モル%、より好ましくは60〜100モル%、さらに好ましくは70〜100モル%、さらに好ましくは80〜100モル%、さらに好ましくは90〜100モル%、特に好ましくは95〜100モル%含む。
上記一般式(1)で表されるフェノール系オリゴマーは、2価のフェノール化合物由来の構成単位が、レゾルシン又はカテコール由来の構成単位であることが好ましく、さらにレゾルシン由来の構成単位であることが好ましい。
上記一般式(1)で表されるフェノール系オリゴマーは、2個のアリル基が置換した2価のフェノール化合物由来の構成単位が、2,4−ジアリルレゾルシン及び/又は4,6−ジアリルレゾルシンを由来とする構成単位であるものが好ましい。
上記一般式(1)で表されるフェノール系オリゴマーは、アリル基が非置換の2価のフェノール化合物由来の構成単位(a1、a2、及びa3が、0であるもの)を含んでもよく、また、本発明においては、ベンゼン環に1個のフェノール性水酸基と、0、1、2又は3個のアリル基とが置換した1価のフェノール化合物由来の構成単位を、本発明の効果を妨げない範囲内で含んでもよい。
上記一般式(1)で表されるフェノール系オリゴマー中のR’はアルデヒド化合物に由来し、R’は水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基若しくはアリール基である。耐熱性と低粘性の観点から、好ましくは水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基であり、より好ましくは水素原子である。
上記一般式(1)で表されるフェノール系オリゴマーは、低粘性の観点から、縮合度nは、好ましくは0〜10、より好ましくは0〜7、さらに好ましくは0〜5である。
また、上記一般式(1)で表されるフェノール系オリゴマーは、低粘性の観点から、さらに、25℃におけるE型粘度計による回転粘度が、好ましくは0.01〜150Pa・s、より好ましくは0.01〜130Pa・sであり、さらに好ましくは0.01〜100Pa・sであり、さらに好ましくは0.01〜80Pa・s、さらに好ましくは0.01〜70Pa・sであり、特に好ましくは0.01〜60Pa・sである。
上記一般式(1)で表されるフェノール系オリゴマーの製造方法は、特に限定されるものではないが、例えば特許文献WO2012/057228A1に記載の公知の方法により製造することができ、2価のアリル置換フェノール化合物を含むフェノール化合物成分と、アルデヒド化合物とを縮重合反応させる方法が好ましい。
上記一般式(1)で表されるフェノール系オリゴマーの製造方法において、2価のアリル置換フェノール化合物は、2価フェノールのレゾルシンやカテコールの水酸基を公知の方法によりアリルエーテル化した後、クライゼン転位させて得られる。マレイミド化合物含有樹脂組成物の低粘性とその硬化物の耐熱性の観点からは、レゾルシンをアリル化して得られる2価のアリル置換フェノール化合物が好ましく、2個のアリル基が置換した2価のフェノール化合物である2,4−ジアリルレゾルシン及び/又は4,6−ジアリルレゾルシンが更に好ましい。
上記一般式(1)で表されるフェノール系オリゴマーの製造方法において、アルデヒド化合物は、特に限定されるものではないが、アルキルアルデヒドとしては、ホルムアルデヒド、ヘキサナール及びオクタナール、芳香族アルデヒドとしては、ベンズアルデヒド、サリチルアルデヒド、パラヒドロキシベンズアルデヒド及びアリルフェニルアルデヒド等が挙げられる。マレイミド化合物含有樹脂組成物の低粘性とその硬化物の耐熱性の観点からは好ましくは、ホルムアルデヒドである。
上記一般式(1)で表されるフェノール系オリゴマーの製造方法において、マレイミド化合物含有樹脂組成物の低粘性とその硬化物の耐熱性の観点から、フェノール化合物とアルデヒド化合物とのモル比は、好ましくは1.2:1〜10:1、より好ましくは1.3:1〜9:1、さらに好ましくは1.4:1〜8:1である。
上記一般式(1)で表されるフェノール系オリゴマーおいて、好ましい態様の1つは、フェノール化合物成分が、2価のアリル置換フェノール化合物である2,4−ジアリルレゾルシンと4,6−ジアリルレゾルシンとの2種類の異性体の混合物を主成分とするフェノール化合物成分と、ホルムアルデヒドとを縮重合反応して得られる。ここで「2種類の異性体を主成分とする」とは、フェノール化合物成分の総量に対して、2種類の異性体の合計量が、50〜100モル%、好ましくは60〜100モル%、より好ましくは70〜100モル%、さらに好ましくは80〜100モル%、特に好ましくは90〜100モル%、さらに好ましくは95〜100モル%であることを意味する。また、上記一般式(1)で表されるフェノール系オリゴマーが低粘性になる観点から、用いられるフェノール化合物成分が2,4−ジアリルレゾルシンと4,6−ジアリルレゾルシンとの2種類の異性体を主成分とする場合、4,6−ジアリルレゾルシンの割合が少ない方が好ましい。かかるフェノール化合物成分中の4,6−ジアリルレゾルシンの割合は、5〜85モル%が好ましく、10〜80モル%がより好ましく、15〜75モル%が更に好ましい。
本発明においてマレイミド化合物は、好ましくは1分子構造中に少なくとも下記一般式(2)で示されるマレイミド基を少なくとも2個有するビスマレイミド化合物である。
(式中
Yは、それぞれ独立に1個の炭素−炭素二重結合を主鎖とする2価の基である。)
ビスマレイミド化合物は、具体的には、1,6−ビスマレイミド−(2,2,4−トリメチル)へキサン、1,6−ビスマレイミド−(2,4,4−トリメチル)へキサン、N,N’−デカメチレンビスマレイミド、N,N’−オクタメチレンビスマレイミド、N,N’−ヘキサメチレンビスマレイミド、N,N’−トリメチレンビスマレイミド、N,N’−エチレンビスマレイミドなどの化合物の骨格が脂肪族(非環状)構造を有するものでもよく、ビス[(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロピロール−1−イル)メチル]ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、N,N’−m−フェニレンビスマレイミド、4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミド、4,4’−ジフェニルエーテルビスマレイミド、4,4’−ジフェニルスルホンビスマレイミド、4,4’−ジフェニルスルフィドビスマレイミド、4−メチル−1,3−フェニレンビスマレイミド、1,3−フェニレンビスマレイミド、2,2’−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン、3,3’−ジメチル−5,5’−ジエチル−4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミド、3,3’−ジメチル−4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミド、1,3−ビス(3−マレイミドフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−マレイミドフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−マレイミドフェノキシ)ベンゼンなどの化合物の骨格が脂肪族環状構造や芳香族環状構造を有するものでもよい。
中でも、ビス[(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロピロール−1−イル)メチル]ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、1,6−ビスマレイミド−(2,2,4−トリメチル)へキサン、N,N’−ヘキサメチレンビスマレイミドからなる群から選ばれる化合物の骨格が脂肪族(非環状)構造を有するものが好ましく、または4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミド、4,4’−ジフェニルエーテルビスマレイミド、4,4’−ジフェニルスルホンビスマレイミド、4,4’−ジフェニルスルフィドビスマレイミド、4−メチル−1,3−フェニレンビスマレイミド、1,3−フェニレンビスマレイミド、2,2’−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン、1,3−ビス(4−マレイミドフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−マレイミドフェノキシ)ベンゼンからなる群から選ばれる化合物の骨格が脂肪族環状構造や芳香族環状構造を有するものが好ましい。
本発明においてマレイミド化合物は、より好ましくは下記一般式(3)で表されるビスマレイミド化合物である。
(式中
R1、R2、R3、及びR4は、それぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基であり、
Xは、−CH−、−C(CH−、−SO−、−SO−、−S−、または−O−である。)
本発明においてマレイミド化合物は、更に好ましくは、上記一般式(3)においてXが−CH−で表されるビスマレイミド化合物である。特に限定されるものではないが、具体例を挙げると、N,N’−4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミド、N,N’−(3,3’−ジメチル−4,4’−ジフェニルメタン)ビスマレイミド、N,N’−(3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジフェニルメタン)ビスマレイミド、N,N’−(3,3’−ジエチル−4,4’−ジフェニルメタン)ビスマレイミド、N,N’−(3,3’−ジ−n−ブチル−4,4’−ジフェニルメタン)ビスマレイミド、N,N’−(3,3’−ジメチル−5,5’−ジエチル−4,4’−ジフェニルメタン)ビスマレイミド、N,N’−(3,3’,5,5’−テトラエチル−4,4’−ジフェニルメタン)ビスマレイミド等であり、これら2種以上を組み合わせて用いることも可能である。特に好ましくはN,N’−4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミドである。
本発明においては、ビスマレイミド化合物は1種類を単独で用いてもよいが、2種類以上の複数のビスマレイミド化合物を混合して用いても構わない。なお、耐熱性を向上させる観点からは、化合物の骨格が脂肪族環状構造や芳香族環状構造を有するビスマレイミド化合物が好適である。
本発明においてマレイミド化合物は、化学構造中にポリシロキサン構造を有してもよい。例えば上記一般式(3)においてXが構造中に下記一般式(4)で表されるポリシロキサン構造を有する2価の基である、ポリシロキサンビスマレイミドを用いることも出来る。
(式中
R5は、それぞれ独立に炭素数1〜3のアルキル基又はフェニル基であり、lは1〜30の整数である。)
本発明のマレイミド化合物含有樹脂組成物において、一般式(1)で表されるフェノール系オリゴマーと、1分子構造中に少なくとも2個のマレイミド基を有するマレイミド化合物との配合比は、一般式(1)で表されるフェノール系オリゴマーのアリル基当量数と、マレイミド化合物のマレイミド基当量数との割合[マレイミド基当量数/アリル基当量数]が、好ましくは0.50〜1.50、より好ましくは0.70〜1.40、さらに好ましくは0.80〜1.30、さらに好ましくは0.85〜1.25、特に好ましくは0.90〜1.20の範囲である。
[マレイミド基当量数/アリル基当量数]が、0.50より低いとマレイミド化合物含有樹脂組成物の硬化物の耐熱性が低くなる場合があり、1.50より高いとマレイミド化合物含有樹脂組成物の粘度が高くなったり、均一に混合できなくなる場合がある。
なお、マレイミド基当量数やアリル基当量数などの官能基当量数は、当該化合物の官能基当量をA(g/eq)、仕込み量をB(g)としたときに、B/A(当該化合物の純度がC%の場合には[B×C/100]/A)によって求めることができる。すなわち、マレイミド基当量やアリル基当量などの官能基当量とは、官能基1個当たりの化合物の分子量を表し、官能基当量数とは、化合物質量(仕込み量)当たりの官能基の個数(当量数)を表す。
本発明のマレイミド化合物含有樹脂組成物は、ラジカル開始剤や硬化促進剤を用いなくても加熱処理することによって好適に硬化物を得ることができるが、必要に応じてラジカル開始剤を含有してもよい。ラジカル開始剤によって、比較的低温での加熱処理によって、特性が優れた硬化物を安定して得ることが可能になる。
ラジカル開始剤としては、従来公知のもので構わないが、例えばアシル過酸化物、ハイドロパーオキサイド、ケトン過酸化物、t−ブチル基を有する有機過酸化物、クミル基を有する過酸化物などの有機過酸化物などを挙げることができる。限定するものではないが、具体的には、ベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーベンゾエート、クメンハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイドなどを好適に例示することができる。
ラジカル開始剤の使用量は、特に限定されるものではないが、フェノール系オリゴマー100質量部に対して、0.1〜8質量部、好ましくは1〜6質量部である。
硬化促進剤としては、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−n−ウンデシルイミダゾール、2,3−ジヒドロ−1H−ピロロ[1,2−a]ベンズイミダゾール、1−メチル−2−メチルイミダゾール、1−イソブチル−2−メチルイミダゾールなどのイミダゾール類を好適に挙げることができる。
硬化促進剤の使用量は、特に限定されるものではないが、フェノール系オリゴマー100質量部に対して、0.01〜5質量部、好ましくは0.1〜2質量部である。
本発明のマレイミド化合物含有樹脂組成物の硬化物において、高耐熱性(高いガラス転移温度)や低線膨張率の観点からは、ラジカル開始剤や硬化促進剤を含有する方が好ましい。また、本発明のマレイミド化合物含有樹脂組成物の硬化物において、高強度や低吸水性の観点からは、ラジカル開始剤や硬化促進剤を含有しない方が好ましい。
本発明のマレイミド化合物含有樹脂組成物は、必要に応じて、更に無機又は有機充填材や、カップリング剤、顔料、染料などの添加剤を好適に用いることができる。また、有機溶剤を用いることもできる。
本発明のマレイミド化合物含有樹脂組成物は、フェノール系オリゴマーと通常は固体であるマレイミド化合物とを、フェノール系オリゴマーのアリル基当量数とマレイミド化合物のマレイミド基当量数との割合[マレイミド基当量数/アリル基当量数]が0.50〜1.50の範囲になるように配合し、硬化反応が実質的に進行しない30〜150℃、好ましくは50〜140℃、より好ましくは70〜130℃の比較的低温で、撹拌下に均一に溶融混合することによって好適に得ることができる。混合時間は、特に限定しないが、好ましくは0.1〜5時間、より好ましくは0.2〜2時間程度である。溶融混合して得られた本発明のマレイミド化合物含有樹脂組成物は、室温まで冷却すると通常固化するが、ビスマレイミド化合物が析出することはない。
本発明のマレイミド化合物含有樹脂組成物は、溶融混合後に室温まで冷却して固化した場合でも、30℃以上、好ましくは40℃以上、より好ましくは50℃以上で、100℃以下、好ましくは90℃以下、より好ましくは80℃以下、更に好ましくは70℃以下の比較的低温で、容易に高流動化する。このため、取り扱いがきわめて容易である。
なお、溶融混合する際、必要に応じて、ラジカル開始剤、硬化促進剤、充填材、添加剤なども一緒に配合することができる。
本発明のマレイミド化合物含有樹脂組成物は、加熱処理することによって、好適に硬化物を得ることができる。加熱処理は、ラジカル開始剤や硬化促進剤の有無によって影響を受けるが、好ましくは150〜280℃、より好ましくは150〜250℃で、好ましくは1〜24時間、より好ましくは1〜12時間、常圧下或いはオートクレーブなどを用いて加圧下で行うのがよい。特に温度条件は、ステップ的に昇温しながらポストキュアも含めて行うのが好ましい。
加熱処理の最高温度は、ラジカル開始剤や硬化促進剤の有無にかかわらず、硬化物の低吸水性の観点からは150〜200℃、好ましくは150〜180℃の範囲が好適であり、硬化物の高強度、低弾性率及び低線膨張率の観点からは、200〜250℃、好ましくは200〜240℃の範囲が好適である。
本発明のマレイミド含有樹脂組成物を加熱処理して硬化させてなる硬化物は、ラジカル開始剤や硬化促進剤を含有せずに、加熱処理の最高温度が150〜200℃の低温で硬化した場合でも、ガラス転移温度が、250℃以上であり、好ましくは300℃以上であり、より好ましくは350℃以上であり、さらに好ましくは360℃以上である。
本発明のマレイミド化合物含有樹脂組成物をマトリックス樹脂として用いることによって、炭素繊維、ガラス繊維、アルミナ繊維、ボロン繊維、アラミド繊維などの強化繊維と複合化して繊維強化樹脂成形体を好適に得ることができる。
複合化の手段は、従来公知の方法で構わない。強化繊維に本発明のマレイミド化合物含有樹脂組成物を含浸させる方法も特に制限はないが、溶媒を使用しない方法が好ましく、本発明のマレイミド化合物含有樹脂組成物を、30〜110℃、好ましくは40〜100℃、より好ましくは50〜90℃、更に好ましくは50〜80℃、特に好ましくは50〜70℃の比較的低温に加温して高流動化させた状態で含浸するのが好適である。
強化繊維に本発明のマレイミド化合物含有樹脂組成物を含浸させて得られたプリプレグは、通常20〜80質量%、好ましくは25〜65質量%、より好ましくは30〜50質量%のマレイミド化合物含有樹脂組成物を含有する。
プリプレグは、公知の方法で硬化させて繊維強化樹脂成形体を得ることができる。例えば、所定枚数のプリプレグを積層し、170℃に加熱したホットプレス機で15分加圧後、常圧下において200℃で90分間加熱処理することによって、好適に繊維強化樹脂成形体を得ることができる。また、例えば、所定枚数のプリプレグを積層し、オートクレーブ中で、2〜10kg/cmに加圧し、150℃で2時間次いで175℃で3時間、または150℃で2時間次いで175℃で3時間次いで230℃で4時間、加熱処理することによって、好適に繊維強化樹脂成形体を得ることができる。
本発明のマレイミド化合物含有樹脂組成物は、さらに封止材料、成形材料、接着材料などの種々の用途においても好適に用いることができる。特に、硬化物のガラス転移温度が高いことから、例えば航空宇宙材料用の繊維強化樹脂成形材料など、これまでに適用できなかった用途にも使用することが可能となる。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明は、これら実施例に限定されるものではない。
以下の例で用いた特性の測定方法を次に示す。
(1)粘度
フェノール系オリゴマー及びアリルフェノールノボラックの粘度を、東機産業社製 TVH型 E型粘度計を用いて測定した。
(測定条件)
測定温度 :25℃
試料量 :1.2mL
以下の例で使用したフェノール系オリゴマー及びマレイミド化合物は次の通り。
(1)フェノール系オリゴマーA
実質的に下記一般式(5)で表されるフェノール系オリゴマー
(nは、0〜15の整数)
25℃のE型粘度計による回転粘度:3.9Pa・s、水酸基当量:110g/eq、アリル基当量:110g/eq
(2)アリルフェノールノボラック
(nは、0〜20の整数)
25℃のE型粘度計による回転粘度:23.6Pa・s、水酸基当量:144g/eq、アリル基当量:144g/eq
(3)マレイミド化合物
N,N’−4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミド
大和化成工業(株)製 BMI−1000(純度:92.8質量%)
純度:92.8%、マレイミド基当量:179g/eq
(4)ラジカル開始剤(ジクミルパーオキサイド)
日油株式会社製 パークミルD(純度:99.9質量%)
(実施例1)
フェノール系オリゴマーA 100質量部を130℃で加熱撹拌し、N,N’−4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミド(大和化成工業製BMI−1000)200質量部を数回に分けて添加して、その都度撹拌し溶融させた。溶融温度が130℃に達した後、N,N’−4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミドが完全に溶融し、混入した気泡がなくなるまで撹拌してマレイミド化合物含有樹脂組成物を得た。
得られたマレイミド化合物含有樹脂組成物を真空脱泡した後、金型に注型し、150℃で2時間、175℃で3時間の加熱処理で硬化させ、厚さ4mm×幅60mm×長さ150mmの硬化物を得た。
(実施例2)
150℃で2時間、175℃で3時間、230℃で4時間加熱処理させた他は、実施例1と同様にして硬化物を得た。
(実施例3)
ラジカル開始剤ジクミルパーオキサイド(DCPO)を5.5質量部添加した他は、実施例1と同様にして硬化物を得た。
(実施例4)
ラジカル開始剤ジクミルパーオキサイド(DCPO)を5.5質量部添加した他は、実施例2と同様にして硬化物を得た。
(比較例1)
アリルフェノールノボラック100重量部を130℃で加熱撹拌し、N,N’−4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミド(大和化成工業製BMI−1000)152質量部を数回に分けて添加して、その都度撹拌し溶融させた。溶融温度が130℃に達した後、N,N’−4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミドが完全に溶融し、混入した気泡がなくなるまで撹拌してマレイミド化合物含有樹脂組成物を得た。
得られたマレイミド化合物含有樹脂組成物を真空脱泡した後、金型に注型し、150℃で2時間、175℃で3時間の硬化条件で硬化させ、厚さ4mm×幅60mm×長さ150mmの硬化物を得た。
得られた硬化物について次の方法で評価した。
(1)曲げ強さ及び曲げ弾性率
実施例及び比較例にて得られた硬化物を厚さ4mm×幅6mm×長さ80mmの形状に切削加工して試験片とした。試験片の3点曲げ試験時の応力及び弾性率を、エーアンドデー社製 恒温槽付万能試験機を用いて下記の条件にて測定した。
(測定条件)
装置 :エーアンドデー社製 恒温槽付万能試験機
試験速度 :毎分2mm
支点間距離 :60mm
試験片 :厚さ4mm、幅6mm、長さ80mm
雰囲気 :室温(25℃)
(2)ガラス転移温度(Tg)(DMA法(引張り法))
実施例及び比較例にて得られた硬化物を厚さ1〜1.5mm×幅4mm×長さ40〜50mmの形状に切削加工して試験片とした。硬化物の貯蔵弾性率を、TAインスツルメント社製 動的粘弾性測定装置 RSA−G2 を用いて下記の条件にて測定した。貯蔵弾性率の変化曲線に対する二つの直線部を延長した交点の温度をガラス転移温度(Tg)とした。
(測定条件)
装置 :TAインスツルメント社製 動的粘弾性測定装置 RSA−G2
昇温条件 :毎分3℃
測定上限 :400℃
試験片 :厚さ1〜1.5mm、幅4mm、長さ40〜50mm
雰囲気 :窒素 毎分30ml
(3)線膨脹率
実施例及び比較例にて得られた硬化物を厚さ10mm×幅4mm×長さ6mmの形状に切削加工して試験片とした。試験片のガラス転移温度未満の温度範囲における線膨張率を、島津製作所製 TA−60 を用いて下記の条件にて測定した。
(測定条件)
装置 :島津製作所製 TA−60
昇温条件 :毎分3℃
測定上限 :400℃
試験片 :厚さ10mm×幅4mm×長さ6mm
雰囲気 :窒素 毎分30ml
(4)5%質量減少温度
(測定条件)
装置 :島津製作所製 TG−DTA
昇温条件 :10℃/分
測定上限 :500℃
試料量 :10mg
雰囲気 :55mL/分の窒素流下
(5)吸水率
実施例及び比較例にて得られた硬化物を厚さ4mm×幅15mm×長さ30mmの形状に切削加工して試験片とした。得られた試験片について、質量(W)を測定し、95℃の温度に加熱した純水中で24時間保持し、次いで純水中から取り出して水分を拭き取った後、その質量(W)を測定した。吸水率は下記の式より算出した。
吸水率(%)={W(g)−W(g)}/W(g)×100
表1に、実施例及び比較例の組成や評価結果などを示した。
実施例1より、フェノール系オリゴマーAを用いた場合は、ラジカル開始剤や硬化促進剤を含有せず、加熱処理の最高温度が175℃の低温で硬化した硬化物であっても、ガラス転移温度が360℃以上となり、アリルフェノールノボラック樹脂を用いた比較例1と比較して、硬化物のガラス転移温度が130℃以上も大幅に向上している。
実施例1と実施例3との比較、または、実施例2と実施例4との比較より、耐熱性(高いガラス転移温度)や低線膨張率の観点からは、ラジカル開始剤や硬化促進剤を含有する方が好ましいことがわかる。また、高強度や低吸水性の観点からはラジカル開始剤や硬化促進剤を含有しない方が好ましいことがわかる。
実施例3と実施例4との比較より、加熱処理の最高温度は、ラジカル開始剤や硬化促進剤を含有する場合には、硬化物の低吸水性の観点からは150〜200℃、好ましくは150〜180℃の範囲が好適であり、硬化物の高強度、低弾性率及び低線膨張率の観点からは、200〜250℃、好ましくは200〜240℃の範囲が好適であることかわかる。
実施例1と実施例2との比較より加熱処理の最高温度は、ラジカル開始剤や硬化促進剤を含有しない場合には、硬化物の低吸水性の観点からは150〜200℃、好ましくは150〜180℃の範囲が好適であり、硬化物の高強度、低弾性率及び低線膨張率の観点からは、200〜250℃、好ましくは200〜240℃の範囲が好適である。
次に、本発明のマレイミド化合物含有樹脂組成物を用いたプリプレグと、それを用いた繊維強化樹脂成形体である積層体(銅張り積層体)の実施例について説明する。まず、以下の例で用いた積層体の評価方法を次に示す。
(1)ピール強度
エッチング処理により10mm幅の帯状の銅箔を成形した積層体を試験片とした。オートグラフ(島津製作所株式会社製「AG−5000D」)を用い、試験速度:50mm/分にて、90°銅箔引き剥がし強度を測定した。
(2)ガラス転移温度
エッチング処理により銅箔を除去し10mm×40mmに切り出した積層体を動的粘弾性装置(TAインスツルメント社製(RSA−G2))を用い、3℃/minの昇温速度で測定した。また、貯蔵弾性率の変化曲線に対する二つの直線部を延長した交点の温度をガラス転移温度(Tg)とする。
また、以下の例で用いた材料について次に示す。
(1)フェノール系オリゴマーB
実質的に下記一般式(5)で表わされるフェノール系オリゴマー
(nは、0〜15の整数)
25℃のE型粘度計による回転粘度:3.9Pa・s、水酸基当量:108g/eq、アリル基当量:108g/eq
(2)マレイミド化合物
N,N’−4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミド
大和化成工業(株)製 BMI−1000
純度:92.8質量%、マレイミド基当量:179g/eq
(3)ラジカル開始剤(ジクミルパーオキサイド)
日油株式会社 パークミルD(純度:99.9質量%)
(4)ガラスクロス
無アルカリ処理ガラスクロス M2116:株式会社有沢製作所製
(5)銅箔
電解銅箔 CF−T9B−THE:福田金属箔粉工業社株式会社製、厚さ35μm
(実施例5)
フェノール系オリゴマーB 100質量部を130℃で加熱撹拌し、N,N’−4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミド(大和化成工業製BMI−1000)179質量部を数回に分けて添加して、その都度撹拌し溶融させた。溶融温度が130℃に達した後、N,N’−4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミドが完全に溶融し、混入した気泡がなくなるまで撹拌した。次に、混合物の温度を100℃とし、ジクミルパーオキサイド7.5質量部を加えてさらに撹拌し、マレイミド化合物含有樹脂組成物を得た。
得られたマレイミド化合物含有樹脂組成物を100℃で150mm×95mmのガラスクロスを含浸させプリプレグを得た。次に、このプリプレグを4枚重ねた後、銅箔で挟み、170℃に加熱したホットプレスで15分加圧後、常圧下において200℃で90分間加熱処理することにより銅張りの積層体を得た。この銅張り積層体の表面の銅箔の不要な部分をエッチング液で除去し、洗浄した後の積層体について評価を行った。評価結果を表2に示す。また、積層体を動的粘弾性装置で測定した貯蔵弾性率、損失弾性率、tanδの測定結果を図1に示す。
図1の積層体の動的粘弾性を測定したチャートより、測定温度範囲において、貯蔵弾性率に変化曲線がみられないことから、積層体のガラス転移温度は、少なくとも350℃を超えていることが分かる。
以上のように、本発明のマレイミド化合物含有樹脂組成物を用いると、溶媒を用いることなく、繊維強化樹脂成形体である銅張りの積層体を得ることができた。また、得られた銅張りの積層体は、耐熱性に優れることが分かった。
本発明によって、2価のフェノールにアリル基が置換した、2価のアリル置換フェノール化合物からなるフェノール系オリゴマーと1分子構造中に少なくとも2個のマレイミド基を有するマレイミド化合物とを含む耐熱性に優れたマレイミド化合物含有樹脂組成物を得ることができる。

Claims (7)

  1. 下記一般式(5)で表されるフェノール系オリゴマーと、1分子構造中に少なくとも2個のマレイミド基を有するマレイミド化合物とを含むことを特徴とするマレイミド化合物含有樹脂組成物。
  2. マレイミド化合物がビスマレイミド化合物である請求項1に記載のマレイミド化合物含有樹脂組成物。
  3. 一般式(5)で表されるフェノール系オリゴマーのアリル基当量数と、マレイミド化合物のマレイミド基当量数との割合[マレイミド基当量数/アリル基当量数]が、0.50〜1.50の範囲で配合されてなる請求項1又は2に記載のマレイミド化合物含有樹脂組成物。
  4. さらに、ラジカル開始剤を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のマレイミド化合物含有樹脂組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載のマレイミド化合物含有樹脂組成物を加熱処理して硬化させてなることを特徴とする硬化物。
  6. 請求項1〜4のいずれかに記載のマレイミド化合物含有樹脂組成物を150〜280℃の温度で加熱処理して硬化物を得ることを特徴とする硬化物の製造方法。
  7. マトリックス樹脂が、請求項1〜4のいずれかに記載のマレイミド化合物含有樹脂組成物からなることを特徴とする繊維強化樹脂成形体。
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