JP6465725B2 - 電流検出装置およびこれを用いた磁界検出装置 - Google Patents

電流検出装置およびこれを用いた磁界検出装置 Download PDF

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Description

この発明は、導体を流れる電流の強度を検出する電流検出装置、およびこれを用いた磁界検出装置に関する。
近年、磁気抵抗効果素子として、従来の異方性磁気抵抗効果素子等よりも磁気抵抗比(MR比:magneto−resistance ratio)が大きい、トンネル磁気抵抗効果(TMR:Tunnel Magneto−Resistance effect)素子や巨大磁気抵抗効果(GMR:Giant Magneto−Resistance effect)素子が開発され、センサや磁気ヘッド、磁気記録装置等への応用が進められている。
なお、TMR素子やGMR素子を用いたセンサとしては、導体を流れる電流が誘起する磁界を検出することで、導体を流れる電流の強度を検出する電流検出装置や、この電流検出装置を磁界中に配置し、その磁界を打ち消す磁界を発生するように導体を配置して導体に電流を流し、そのときの電流強度を検出することで、磁界の強度を検出する磁界検出装置がある。
ここで、磁気抵抗(MR:magneto−resistance)効果とは、外部磁界の強度および向きに応じて物質の抵抗が変化する現象である。そのため、地磁気等微小な磁界を検出したり、微小電流が誘起する磁界を検出したりすることによる電流検出や、磁気記録媒体に磁化方向として高密度に記録された情報の読み出し等に活用される。
また、GMR素子は、強磁性体膜、金属膜および強磁性体膜の多層構造からなり、TMR素子は、強磁性体膜、絶縁膜および強磁性体膜の多層構造からなる。これらの磁気抵抗効果素子において、一方の強磁性体膜は、外部磁界に対して磁化方向が変化しない第1磁性層、すなわち固定層である。これに対して、第1磁性層と金属膜または絶縁膜を隔てて反対側に積層された強磁性体膜は、外部磁界の方向に磁化方向が回転する第2磁性層、すなわちフリー層である。
このとき、外部磁界によって、第1磁性層と第2磁性層とのスピンの向きを、平行、すなわち0°から反平行、すなわち180°までの間で変化させることで、GMR素子の場合には、金属膜と強磁性膜との界面での電子の散乱確率が変化することに起因する抵抗変化が生じる。一方、TMR素子の場合には、絶縁膜を隔てた二種類の強磁性膜の間のトンネル電流が変化することで抵抗が変化する。そのため、磁界の変化を、素子の抵抗変化として検出することが可能となる。
これらの磁気抵抗効果素子における固定層は、磁化方向を固定するために、強磁性層と交換結合される。一方、固定層と金属膜または絶縁膜を隔てた第2磁性層は、外部磁界に対して自由に動くことが出来るスピンバルブ構造とすることが一般的に用いられている。スピンバルブ構造の磁気抵抗効果素子は、第2磁性層と第1磁性層との磁気的な結合を弱め、フリー層磁化の外部磁界に対する感度を高めることが可能であるため、高感度な磁界検出が可能となる。
また、TMR素子およびGMR素子は、磁界に対して高感度に抵抗変化するため、電流が誘起する磁界を検出することで、この磁界を介して微小電流を精度良く検出することが可能である。このとき、導体を流れる電流が誘起する磁界を、磁気抵抗効果素子を用いて検出するためには、素子と検出対象電流が流れる導体とを接近させる必要がある。これは、検出対象の電流が作る磁界と環境雑音磁界として存在する磁界とのS/N比を大きくしなければならないためである。
しかしながら、感度の高い磁気抵抗効果素子は、トレードオフとして検出可能な磁界範囲、すなわちダイナミックレンジが小さくなる。これは、磁気抵抗効果素子が有する最大のMR比は、第1磁性層材料および第2磁性層の材料に依存して決まるためである。したがって、強度の大きく異なる電流を測定する場合には、感度の異なる磁気抵抗効果素子を複数用意するか、または導体からの距離を調節して、導体を流れる電流が誘起する磁界の強度を変化させることで、電流に対する磁気抵抗効果素子の抵抗変化の感度を実質的に調整する必要がある。
ここで、電流検出範囲を拡大するために、検出可能な磁界範囲が互いに等しい磁気抵抗効果素子を、検出対象電流が流れる導体の幅方向に対し、その中央部および端部に配置した電流センサが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
この電流センサにおいて、導体を流れる電流が誘起する磁界成分のうち、幅方向と平行な磁界成分は、中央部で最大となり、端部に向かうに連れて低下する。したがって、中央部および端部に磁気抵抗効果素子を配置することで、電流に対する抵抗変化を実質的に変化させることができ、電流強度に応じて読み出す磁気抵抗効果素子を切り替えることで、より広いダイナミックレンジを確保している。
国際公開第2012/029439号
しかしながら、従来技術には、以下のような課題がある。
すなわち、特許文献1の電流センサを用いて半導体スイッチング素子や半導体メモリ等の微細素子に流れる電流を検出する場合には、これらの微細素子の配線近傍に複数の磁気抵抗効果素子を配置することが困難となる。これは、配置可能な空間が僅少である上、複数箇所に配置すると、検出対象電流の誘起する磁界と、それ以外の配線を流れる電流が誘起する磁界と、雑音磁界との分別が困難になり、測定精度が悪化するためである。
ここで、スイッチング素子のオン電流やメモリセルの書き込み電流を検出することは、素子の制御電流や消費電流を監視するために重要である。また、スイッチング素子のリーク電流をモニタリングすることは、素子劣化の検出に有用である。さらに、メモリセルにおいても、微細化に伴いリーク電流の増加が顕著化しており、消費電流量をモニタリングすることが必要である。
ところが、リーク電流とオン電流とでは、強度が大きく異なるため、リーク電流を検出可能な磁気抵抗効果素子では、オン電流が流れたときに電流誘起磁界に対する抵抗値が飽和し、オン電流の強度を検出することができない。また、上述したように、スイッチング素子やメモリセルの周辺に感度の異なる複数の磁気抵抗効果素子を配置しようとすると、空間が僅少であるため、磁気抵抗効果素子を配置することが困難であったり、配置場所が異なるため、磁気抵抗効果素子に印加される磁界分布が異なったりするという問題がある。
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、積層方向から見たときの面積を変化させることなく、検出可能電流のダイナミックレンジを拡大するとともに、測定精度を向上させることができる電流検出装置およびこれを用いた磁界検出装置を得ることを目的とする。
この発明に係る電流検出装置は、磁界に対する抵抗変化の感度が互いに異なる複数の磁気抵抗効果素子が、導電性のスペーサを介して積層された磁気抵抗効果素子集合体と、磁気抵抗効果素子集合体の抵抗値を検出する抵抗読み出し回路と、を備え、導体を流れる電流の強度を検出する電流検出装置であって、複数の磁気抵抗効果素子のそれぞれは、導体を流れる電流が誘起する磁界に対して、磁化方向が固定された第1磁性層と、絶縁膜および金属膜の一方を介して第1磁性層に積層され、導体を流れる電流が誘起した磁界の方向に磁化方向が追従する第2磁性層と、を有し、複数の磁気抵抗効果素子のそれぞれにおける第2磁性層のうち、少なくとも1つの第2磁性層について、絶縁膜または金属膜とは反対側の界面に、磁気異方性を誘起するキャップ層を設けることにより、複数の磁気抵抗効果素子の磁界に対する抵抗変化の感度を互いに異ならしめるものである。
この発明に係る電流検出装置によれば、磁界に対する抵抗変化の感度が互いに異なる複数の磁気抵抗効果素子が、導電性のスペーサを介して積層された磁気抵抗効果素子集合体を備え、複数の磁気抵抗効果素子のそれぞれは、導体を流れる電流が誘起する磁界に対して、磁化方向が固定された第1磁性層と、絶縁膜および金属膜の一方を介して第1磁性層に積層され、導体を流れる電流が誘起した磁界の方向に磁化方向が追従する第2磁性層と、を有する。
そのため、積層方向から見たときの面積を変化させることなく、検出可能電流のダイナミックレンジを拡大するとともに、測定精度を向上させることができる。
この発明の実施の形態1、3〜6に係る電流検出装置におけるTMR素子集合体と導体との関係を示す斜視図である。 図1をI−I線で切断した、この発明の実施の形態1に係るTMR素子集合体を示す断面図である。 この発明の実施の形態1に係る第1TMR素子における磁界と抵抗との関係を示す説明図である。 この発明の実施の形態1に係る第2TMR素子における磁界と抵抗との関係を示す説明図である。 この発明の実施の形態1に係るTMR素子集合体における磁界と抵抗との関係を示す説明図である。 この発明の実施の形態1に係る電流検出装置の概略回路構成を示す斜視図である。 この発明の実施の形態2に係る電流検出装置におけるTMR素子集合体と導体との関係を示す斜視図である。 図7をII−II線で切断した、この発明の実施の形態2に係るTMR素子集合体を示す断面図である。 この発明の実施の形態2に係る第1TMR素子における磁界と抵抗との関係を示す説明図である。 この発明の実施の形態2に係る第2TMR素子における磁界と抵抗との関係を示す説明図である。 この発明の実施の形態2に係る第3TMR素子における磁界と抵抗との関係を示す説明図である。 この発明の実施の形態2に係るTMR素子集合体における磁界と抵抗との関係を示す説明図である。 この発明の実施の形態2に係る電流検出装置の概略回路構成を示す斜視図である。 図1をI−I線で切断した、この発明の実施の形態3に係るTMR素子集合体を簡略化して示す断面図である。 図1をI−I線で切断した、この発明の実施の形態4に係るTMR素子集合体を簡略化して示す断面図である。 図1をI−I線で切断した、この発明の実施の形態5に係るTMR素子集合体を簡略化して示す断面図である。 図1をI−I線で切断した、この発明の実施の形態6に係るTMR素子集合体を簡略化して示す断面図である。 この発明の実施の形態6に係るTMR素子集合体における各フリー層の磁化方向を示す説明図である。 この発明の実施の形態9に係る磁界検出装置の概略回路構成を示す斜視図である。 この発明の実施の形態9に係る磁界検出装置の処理を示すフローチャートである。
以下、この発明に係る電流検出装置およびこれを用いた磁界検出装置の好適な実施の形態につき図面を用いて説明するが、各図において同一、または相当する部分については、同一符号を付して説明する。なお、以下の実施の形態では、磁気抵抗効果素子としてTMR素子を挙げて説明するが、スピンバルブ型GMR素子を用いた場合であっても、同様の効果を得ることができる。また、この発明は、積層方向に対して垂直に読み出し電流を印加することで動作する構造を有する超格子型GMR素子や、グラニュラー型TMR素子にも適用することが可能である。
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1に係る電流検出装置におけるTMR素子集合体と導体との関係を示す斜視図である。図1において、TMR素子集合体1は、下部電極100と上部電極200との間に設けられている。また、TMR素子集合体1の下方には、導体2は配置され、導体2に検出対象電流3が流れている。
TMR素子集合体1は、磁界に対する抵抗変化の感度が互いに異なる第1TMR素子4および第2TMR素子6が、スペーサ5を介して積層されて構成されている。ここで、第1TMR素子4および第2TMR素子6は、それぞれスピンバルブ型構造を有し、第1TMR素子4の方が、第2TMR素子6よりも感度が高いものとする。
なお、TMR素子の第1磁性層の磁化方向と第2磁性層の磁界方向とが平行である場合のTMR素子の抵抗値をRminとし、反平行である場合の抵抗値をRmaxとする。このとき、TMR素子の磁界に対するMR比は、次式(1)のように定義される。
(Rmax−Rmin)/Rmin×100 [%] ・・・(1)
また、この発明の実施の形態1において、TMR素子の第1磁性層、すなわち固定層の磁化方向は、TMR素子の長手方向と直交する方向に固定されている。この方向に磁界を印加した場合に、第2磁性層、すなわちフリー層の磁化方向が第1磁性層の磁化方向と平行になるときの磁界強度を、TMR素子の磁界に対する抵抗変化が飽和する磁界として、Hと表記する。このとき、TMR素子の磁界に対する抵抗変化の感度は、次式(2)のように定義される。
(Rmax−Rmin)/Rmin×100/2H [%/Oe] ・・・(2)
図2は、図1をI−I線で切断した、この発明の実施の形態1に係るTMR素子集合体を示す断面図である。図2において、第1TMR素子4は、下部電極100側から、シード層41、反強磁性層42、強磁性層43、スペーサ44、固定層である強磁性層45、絶縁膜であるバリア層46、フリー層である強磁性層47が積層されて構成されている。
また、第1TMR素子4と第2TMR素子6との間には、導電性のスペーサ5が積層されており、第1TMR素子4の最上部と、第2TMR素子6の最下部とは、電気的に接続されている。
また、第2TMR素子6は、下部電極100側から、シード層61、反強磁性層62、強磁性層63、スペーサ64、固定層である強磁性層65、絶縁膜であるバリア層66、フリー層である強磁性層67が積層されて構成されている。
第1TMR素子4および第2TMR素子6は、連続して成膜された後、エッチングによって、積層方向から見たときに長方形状または楕円形状となるように加工されている。また、その長手方向が、導体2の延びている方向に沿うように配置されている。
また、第1TMR素子4および第2TMR素子6の磁化方向が固定された強磁性層45および強磁性層65は、それぞれ同じ方向に固定されており、その固定方向は、導体2が延びている方向と直交する方向である。
図3は、この発明の実施の形態1に係る第1TMR素子における磁界と抵抗との関係を示す説明図であり、図4は、この発明の実施の形態1に係る第2TMR素子における磁界と抵抗との関係を示す説明図である。図3、4において、第1TMR素子4の飽和磁界をHk1と表記し、第2TMR素子6の飽和磁界をHk2と表記する。
また、第1TMR素子4および第2TMR素子6において、外部磁界方向に合わせて自由に回転する強磁性層47および強磁性層67の磁化方向が、それぞれ強磁性層45および強磁性層65の磁化方向と平行となるときの第1TMR素子4および第2TMR素子6の抵抗が互いに等しくRminであり、反平行となるときの抵抗が互いに等しくRmaxであると仮定する。ただし、これは、原理の説明のために簡単な例を示したものであり、抵抗値をこの関係に制限するものではない。
このとき、第1TMR素子4と第2TMR素子6との直列抵抗において、磁界に対する抵抗変化は、図3、4で示した第1TMR素子4および第2TMR素子6の磁界に対する抵抗変化を足し合わせた特性となる。
したがって、第1TMR素子4の飽和磁界Hk1よりも小さい磁界範囲においては、第1TMR素子4が磁界に対して抵抗変化するため、TMR素子集合体1の磁界に対する抵抗変化は、第2TMR素子6よりも大きく感度が高められる。
一方、第1TMR素子4の飽和磁界Hk1よりも大きく、第2TMR素子6の飽和磁界Hk2よりも小さい磁界範囲においては、第1TMR素子4は実質的に抵抗変化しないが、第2TMR素子6が磁界に対して抵抗変化するため、第1TMR素子4の測定可能磁界範囲よりも広い範囲の磁界を検出することが可能である。
図5は、この発明の実施の形態1に係るTMR素子集合体における磁界と抵抗との関係を示す説明図である。このように、この発明の実施の形態1に係る電流検出装置は、TMR素子集合体1を用いることで、電流が誘起する磁界がHk1よりも小さくなるような微小な電流範囲においては、精度よく検出することが可能であり、一方、電流が誘起する磁界がHk1より大きくなる電流範囲においても、出力が飽和することなく検出することが可能である。
図6は、この発明の実施の形態1に係る電流検出装置の概略回路構成を示す斜視図である。図6は、電流検出装置の抵抗読み出し回路の配線図を示している。図6において、第1TMR素子4の下部に接続されている下部電極100と、第2TMR素子6の上部に接続されている上部電極200との間に直流電流源250を接続し、定電流を印加する。
また、電圧計251を用いて下部電極100と上部電極200と間の電位差を測定する。このとき、下部電極100と上部電極200との間に発生する電圧の磁界に対する変化は、TMR素子集合体1の磁界に対する抵抗変化に対応している。
また、導体2には、検出対象である電流を供給する電流負荷252が直列に接続されており、導体2を流れる電流が誘起する磁界がTMR素子集合体1に印加される。ここで、TMR素子集合体1に印加される磁界は、導体2を流れる電流の強度に比例するため、TMR素子集合体1の抵抗値を検出することで、導体2を流れる電流の強度を検出することが可能となる。
このとき、例えば、既知の電流を供給した場合のTMR素子集合体1の抵抗値をあらかじめ記録しておくことで、未知の電流が流れたときのTMR素子集合体1の抵抗値と、あらかじめ採取したTMR素子集合体1の電流に対する抵抗変化とを比較することにより、電流の検出が容易に行われる。
以上のように、実施の形態1によれば、磁界に対する抵抗変化の感度が互いに異なる複数の磁気抵抗効果素子が、導電性のスペーサを介して積層された磁気抵抗効果素子集合体を備え、複数の磁気抵抗効果素子のそれぞれは、導体を流れる電流が誘起する磁界に対して、磁化方向が固定された第1磁性層と、絶縁膜および金属膜の一方を介して第1磁性層に積層され、導体を流れる電流が誘起した磁界の方向に磁化方向が追従する第2磁性層と、を有する。
そのため、積層方向から見たときの面積を変化させることなく、検出可能電流のダイナミックレンジを拡大するとともに、測定精度を向上させることができる。
すなわち、この発明の実施の形態1に係る電流検出装置は、検出対象電流が流れる導体と、導体の上部または下部に配置された磁気抵抗効果素子からなる電流検出装置で、磁気抵抗効果素子は、磁界に対する抵抗変化の感度が異なる複数の磁気抵抗効果素子が積層された構造を有し、導体を流れる電流が誘起する磁界による磁気抵抗効果素子の抵抗変化を読み出すことで導体に流れる電流強度を検出する。
これにより、電流検出装置の電流検出感度を低下させることなく検出可能な電流強度の範囲、すなわちダイナミックレンジを拡大することができる。また、電流検出装置を構成する磁気抵抗効果素子の、積層方向から見たときの面積が変化することがないため、従来の方法では困難であった条件においても、検出対象電流のダイナミックレンジの拡大が容易に実現できる。
従来、検出電流のダイナミックレンジを拡大するためには、電流が流れる導体から磁気抵抗効果素子の位置を遠ざけたり、感度の異なる複数の素子を配置したりする必要があった。そのため、前者では、検出対象の電流から磁気抵抗効果素子を遠ざけることによるS/N比の低下があり、後者では、複数の感度を持つ磁気抵抗効果素子の作製において工数が増加し、コストアップにつながるという課題があった。
また、メモリアレイやパワー半導体素子のように、素子が集積化された構造を持つデバイスを流れる電流を検出する場合には、磁気抵抗効果素子を配置可能な空間が狭隘であるため、複数配置すること自体が困難であった。
これに対して、この発明の実施の形態1に係る電流検出装置によれば、実質的な電流検出装置の大きさである、積層方向から見たときの磁気抵抗効果素子の面積を変化させず、検出電流のダイナミックレンジの拡大を実現することが可能である。
実施の形態2.
図7は、この発明の実施の形態2に係る電流検出装置におけるTMR素子集合体と導体との関係を示す斜視図である。図7において、導体2の上部に配置されたTMR素子集合体1aは、磁界に対する抵抗変化の感度が互いに異なる3個のTMR素子7a〜7cから構成されている。なお、TMR素子の数は、4個以上であってもよい。
図8は、図7をII−II線で切断した、この発明の実施の形態2に係るTMR素子集合体を示す断面図である。図8において、3個のTMR素子7a〜7cは、スペーサ5を挟んで連続して成膜された後、エッチングによって、積層方向から見たときに長方形状または楕円形状となるように加工されている。
具体的には、TMR素子集合体1aは、磁界に対する抵抗変化の感度が互いに異なる第1TMR素子7a、第2TMR素子7bおよび第3TMR素子7cが、スペーサ5を介して積層されて構成されている。ここで、第1TMR素子7a、第2TMR素子7bおよび第3TMR素子7cは、それぞれスピンバルブ型構造を有し、感度が高い順に第1TMR素子7a、第2TMR素子7b、第3TMR素子7cである。
図9は、この発明の実施の形態2に係る第1TMR素子における磁界と抵抗との関係を示す説明図であり、図10は、この発明の実施の形態2に係る第2TMR素子における磁界と抵抗との関係を示す説明図であり、図11は、この発明の実施の形態2に係る第3TMR素子における磁界と抵抗との関係を示す説明図である。
図9〜11において、第1TMR素子7aの飽和磁界をHk1と表記し、第2TMR素子7bの飽和磁界をHk2と表記し、第3TMR素子7cの飽和磁界をHk3と表記する。また、TMR素子7a〜7cにおいて、固定層とフリー層との磁化方向が平行であるときの抵抗値はRminであり、反平行となるときの抵抗値はRmaxであり、それぞれ互いに等しい値を有する。ただし、これは、説明するために定めた便宜上の値であり、TMR素子集合体1aを構成するそれぞれのTMR素子7a〜7cの抵抗値の関係を制限するものではない。
このとき、第1TMR素子7aと第2TMR素子7bと第3TMR素子7cとの直列抵抗において、磁界に対する抵抗変化は、図9〜11で示した第1TMR素子7a、第2TMR素子7bおよび第3TMR素子7cの磁界に対する抵抗変化を足し合わせた特性となる。
図12は、この発明の実施の形態2に係るTMR素子集合体における磁界と抵抗との関係を示す説明図である。図12から、それぞれのTMR素子7a〜7cの飽和磁界Hk1、Hk2、Hk3において、感度が変化することが分かる。すなわち、感度が異なる範囲を、検出対象電流が取りうる範囲の分布に一致させることで、各電流強度を精度よく検出することができる。
例えば、半導体スイッチング素子においては、素子を流れる電流の強度には、複数のモードがある。ここで、このモードを、リーク電流、オン電流、渦電流と3段階であると想定すると、それぞれのモード間では、想定される電流のダイナミックレンジが大きく異なる。このとき、それぞれのモードのダイナミックレンジをカバーできる程度のTMR素子を積層し、直列抵抗として読みだすことで、電流強度に応じて感度が自動的に調節された電流検出装置を実現することが可能である。
図13は、この発明の実施の形態2に係る電流検出装置の概略回路構成を示す斜視図である。図13は、電流検出装置の抵抗読み出し回路の配線図を示している。図13においても、上述した実施の形態1と同様にして、下部電極100と上部電極200と間の電位差を測定することで、TMR素子集合体1aの電流に対する抵抗変化を検出することができる。
そのため、ダイナミックレンジを拡大したり、複数の感度を持つTMR素子を構成したりするために必要な読み出し回路を増加させることなく、TMR素子が1個の場合と同じ回路で読み出せるため、回路の簡略化を実現することが可能である。
以上のように、実施の形態2によれば、TMR素子を積層方向から見たときの面積を増加させることなく、電流検出装置に3段階以上の感度を与えることが可能になる。したがって、導体を流れる電流の強度に複数の偏りがある場合に、それぞれの電流強度の範囲で感度が高い電流検出装置を実現することが可能となる。
実施の形態3.
図14は、図1をI−I線で切断した、この発明の実施の形態3に係るTMR素子集合体を簡略化して示す断面図である。図14において、矢印は、それぞれ第1TMR素子4の磁化方向が固定された第1磁性層の磁化方向143a、磁化方向が回転する第2磁性層の磁化方向143b、第2TMR素子6の第1磁性層の磁化方向143c、および第2磁性層の磁化方向143dを示している。
この発明の実施の形態3では、TMR素子の感度を調整する方法について説明する。一般的に、TMR素子の磁界に対する抵抗変化の感度は、フリー層の膜厚を小さくすると減少する。なお、感度と単に表記した場合には、磁界に対する抵抗変化の感度を示すものとする。
これは、TMR素子のフリー層において、バリア層、およびフリー層のバリア層とは反対側の界面に積層されるキャップ層の界面近傍において、磁化の状態が変化することに起因する。具体的には、界面近傍では、フリー層の磁化の大きさや、磁化の向きやすい方向である磁気異方性が変化する。
また、これらは、界面で接する材質の結晶構造に誘起される磁気異方性や、界面で接する積層膜物質とのミキシングによる磁気特性の変質に起因する。ここで、磁気異方性の変化は、固定層磁化と平行方向を向くフリー層磁化を減少させることでMR比を減少させ、感度を低くする。また、磁気特性の変質は、フリー層の単位体積あたりの磁化量を減少させ、結果としてMR比を低下させることで、感度を低くする。したがって、フリー層を薄くすることで界面の影響を受ける割合を増大させ、感度を低下させることが可能となる。
このとき、第1TMR素子4および第2TMR素子6のフリー層の膜厚を相対的に変化させ、第1TMR素子4のフリー層の膜厚141を、第2TMR素子6のフリー層の膜厚142よりも相対的に大きくすることで、第1TMR素子4を高感度にし、第2TMR素子6を相対的に低感度にすることが可能となる。
以上のように、実施の形態3によれば、TMR素子の感度を調整するために、追加的な材料を使用する必要がなく、かつ同一の材料の膜厚を変化させることのみにより、感度を調整することが可能である。
感度を調整するために、追加的な材料を用いないことは、成膜時間を除く成膜条件の管理が不要となるという利点がある。また、膜厚を変更することで作製できるため、感度を調整するための追加工程や追加費用が発生しないという利点がある。
実施の形態4.
図15は、図1をI−I線で切断した、この発明の実施の形態4に係るTMR素子集合体を簡略化して示す断面図である。図15において、互いに感度の異なる第1TMR素子4および第2TMR素子6のフリー層の膜厚は互いに等しいが、第2TMR素子6の第2磁性層のバリア層とは反対側の界面に、キャップ層150として酸化マグネシウムMgOが積層されている。
ここで、MgOとフリー層との界面においては、MgO結晶構造により誘起される磁気異方性によって、フリー層の磁化方向が積層方向と垂直となる方向を向く。そのため、キャップ層150としてMgOを積層することで、フリー層の磁化方向が膜面に対して垂直な方向に引き寄せられ、結果としてフリー層磁化が膜面に対して傾く効果が得られる。
したがって、固定層の磁化方向と平行となる磁化を減少させることができ、かつ外部磁界から膜面内成分の磁化が減少することでMRが減少し、さらに磁界による磁化回転が起こりにくくなってダイナミックレンジを拡大することが可能になる。これに加えて、MgOをキャップ層150に用いることで、TMR素子の感度におけるフリー層の膜厚依存性を緩和することが可能である。
以上のように、実施の形態4によれば、電流検出装置の電流検出感度におけるフリー層膜厚依存性の影響を緩和することが可能となる。これによって、製造される電流検出装置の感度ばらつきが抑制され、電流検出精度が改善された電流検出装置の実現が可能となる。
実施の形態5.
図16は、図1をI−I線で切断した、この発明の実施の形態5に係るTMR素子集合体を簡略化して示す断面図である。図16において、この発明の実施の形態5では、感度の異なる2つのTMR素子を実現するために、第1TMR素子4のフリー層に積層したMgOによるキャップ層160aと、第2TMR素子6のフリー層に積層したMgOによるキャップ層160bとの膜厚が互いに異なる。
このとき、相対的に膜厚が異なるMgOキャップ層の膜厚に応じて、第1TMR素子4と第2TMR素子6との感度が変化する。これは、MgOキャップ層を積層することによる感度の変化は、MgOキャップ層の膜厚に依存するためであり、MgOキャップ層の膜厚を大きくすることで感度は低下する。
ここで、MgOとフリー層の界面で生じる垂直磁気異方性の強度は、MgOの膜厚に依存し、膜厚を増加させることで垂直磁気異方性が増加する。そのため、MgOキャップ層の膜厚を変化させることにより、TMR素子の感度を変化させることが可能となる。
したがって、MgOキャップ層をフリー層に積層したTMR素子においては、MgOキャップ層の膜厚が相対的に小さいTMR素子の方が、垂直方向の磁気異方性の強度が小さいため、感度が高まりダイナミックレンジが小さくなる。
以上のように、実施の形態5によれば、成膜時間は増加するが、電流検出装置を構成するTMR素子の両方にMgOキャップ層を適用するため、MgOキャップ層によるTMR素子特性のフリー層膜厚依存性を、上記実施の形態4で示した構成よりもさらに低減することが可能であり、電流検出装置の精度ばらつきを抑制することが可能となる。
また、複数のTMR素子のそれぞれの第2磁性層において、その絶縁膜とは反対側の界面に積層する膜種または膜厚を変化させることで、第2磁性層の磁気的性質を変化させて感度を調整する。これにより、TMR素子の感度の調整を、第2磁性層の膜厚だけでなく、絶縁膜と反対側に積層した物質との界面での相互作用を利用して実施することが可能であるため、膜厚に依存した感度調整よりも、自由度の高い感度を設計することが可能である。
実施の形態6.
図17は、図1をI−I線で切断した、この発明の実施の形態6に係るTMR素子集合体を簡略化して示す断面図である。図17において、この発明の実施の形態6では、TMR素子の感度を低めてダイナミックレンジを拡大するために、TMR素子集合体1を構成するTMR素子のうち、第2TMR素子6のフリー層において、外部からの磁界が存在しないときに磁化が自発的に向く方向である磁化容易軸を、膜面に対して垂直方向181eとしている。
具体的には、第2TMR素子6のフリー層において、磁化方向が積層した膜面に対して仰角を有し、外部からの磁界が存在しない場合に、その仰角を45度よりも大きくすることにより、第1TMR素子4および第2TMR素子6の磁界に対する抵抗変化の感度を互いに異ならしめる。
図18は、この発明の実施の形態6に係るTMR素子集合体における各フリー層の磁化方向を示す説明図である。図18には、第1TMR素子4および第2TMR素子6のそれぞれが有する、フリー層およびピン層の磁化方向を示している。
図18において、第1TMR素子4のフリー層181aの磁化方向は、上述したように、膜面に対して垂直方向181eを向いており、検出対象電流が誘起する磁界に対して、膜面に対して鉛直な向きから、膜面に対して平行な向き181dへと回転する。また、第2TMR素子6のフリー層182aの磁化方向は、膜の面内を、検出対象電流が誘起する磁界に対して回転する方向182dに動く。
また、第2TMR素子6のフリー層181aの磁化容易軸を、膜面に対して鉛直方向にするためには、バリア層181bにMgOを用い、フリー層181aの膜厚を0.8nm以下とすることで実現可能である。
ここで、TMR素子の抵抗磁気特性を飽和させるためには、フリー層の磁化が、固定層の磁化と平行となる大きさの磁界を印加しなければならない。このとき必要な磁界は、材質が同じであれば、素子形状に主に依存し、磁界を印加しない場合には、フリー層の磁化方向は、自発的に素子の長手方向を向く。これは、形状磁気異方性によるもので、素子の短手方向を向くよりも、長手方向を向く方が反磁界によるエネルギーが低いためである。
しかしながら、MgOとフリー層との界面においては、MgOの結晶構造との結晶整合に起因する、界面垂直磁気異方性によって、界面に対して垂直方向に磁化が向いた方が、エネルギーが低くなるという特徴がある。
そのため、界面において、膜面に対して垂直方向が安定である磁化を、固定層と平行にするために必要な磁界は、形状磁気異方性よりもさらに大きくなるため、膜面内を回転する磁化と比較して、さらに大きな飽和磁界を得ることが可能となる。
以上のように、実施の形態6によれば、ダイナミックレンジをさらに拡大することが可能となり、より大きな電流が印加されても飽和しない電流検出特性を得ることが可能である。
また、この発明の実施の形態6では、複数のTMR素子のうち、最も感度を高くしたいTMR素子において、磁界が存在しない場合に、その第2磁性層の磁化方向が、第1磁性層の磁化方向に対して直交していることを想定している。したがって、磁界が存在しない場合に、第2磁性層の磁化方向は、積層した膜面に対して垂直方向を向く。
第2磁性層の磁化が、面内方向を向いたTMR素子に対して、磁化が積層膜に対して直交するTMR素子は飽和磁界が大きく、この発明の実施の形態6の方法を適用することでダイナミックレンジの大きいTMR素子を効果的に実現することが可能となる。
なお、TMR素子の感度を調整する方法として、上述した実施の形態3〜6の方法を任意に組み合わせることができる。これにより、高感度なTMR素子と、感度が低くダイナミックレンジの大きいTMR素子とを組み合わせる場合であっても、それぞれのTMR素子を連続して成膜するだけで、この発明に係る電流検出装置を実現することができる。
実施の形態7.
この発明の実施の形態7では、電流検出装置が有するTMR素子集合体を構成する、複数のTMR素子について、それらを互いに接続するスペーサ5の必要条件を説明する。ここでは、図2に示した第2TMR素子6を例に挙げて説明する。
まず、スペーサ5は、Ta、Ruを使用することが望ましい。また、反強磁性層62は、シード層61を積層し、その上に積層することが望ましく、シード層61は、Ruを用いることが望ましい。これは、反強磁性層62と、そのさらに上層に積層される強磁性層63との交換結合強度が増大するためである。
反強磁性層62では、その結晶粒が大きいほど、反強磁性層62の磁化方向の一方向性が大きく、この結果として、その上に積層された強磁性層63との交換結合の強度が増す。また、強磁性層63の交換結合の強度が強いほど、外部からの磁界に対する、強磁性層63の磁化方向のゆらぎが小さく、それに起因したMR比の変動を低減することができる。また、反強磁性層62の結晶粒の大きさは、基板物質の結晶粒の大きさに依存する。そのため、Ru等結晶粒の大きさが大きい物質をシード層61に選ぶことが望ましい。
ここでは、説明のために、第2TMR素子6を例に挙げたが、これに限定されず、この発明に係る電流検出装置において、複数のTMR素子を積層するときに用いるスペーサ5に適用することが可能である。
実施の形態8.
この発明の実施の形態8では、電流検出装置を構成するTMR素子を作製するために必要な成膜方法について説明する。
まず、構成する磁性材料や非磁性材料は、DCマグネトロンスパッタリングやRFマグネトロンスパッタリング、真空蒸着法等により積層される。また、バリア層は、不導体である必要があるが、MgOやAl2O3といった、金属酸化物を使用することができる。このとき、MgOを用いた方が、Al2O3よりも大きなMR比を得ることができ、感度を高めることが可能となる。
また、MgOやAl2O3を積層するためには、それら金属酸化物の焼結体をターゲットとして使用し、RFスパッタリングを用いて膜を積層するか、または金属MgやAlを積層した後、酸素を注入したり、酸素を注入してさらに放電させることで酸素プラズマを発生させたりして、金属MgやAlを酸化させ、金属酸化物に化学変化を生じさせることで、積層することが可能である。
以上のように、実施の形態8によれば、チャンバー内に発生する焼結体ターゲットに起因する塵埃を低減させることが可能であるため、再現性の高い安定した絶縁性能を有する絶縁膜を積層することが可能となる。
実施の形態9.
この発明の実施の形態9では、上述した実施の形態1〜8の電流検出装置を用いた並行型の磁界検出装置について説明する。
図19は、この発明の実施の形態9に係る磁界検出装置の概略回路構成を示す斜視図である。図19は、上述した実施の形態1〜8の電流検出装置を用いて構成される磁界検出装置の構成と、追加回路の接続とを示している。
図19において、ここでは、検出対象となる磁界H210は、TMR素子の短手方向と平行に印加されなければならないか、または検出対象磁界と導体2とが直交するように、電流検出装置を配置しなければならない。
また、TMR素子集合体1の下部電極100と上部電極200との間に、直流定電流源190cを接続し、下部電極100と上部電極200との間に発生する電圧を、測定・制御装置214で測定する。このとき、得られた電圧V1を、直流定電流源から印加した定電流I1で除した値を、ここでのTMR素子集合体1の抵抗として得る。
まず、磁界を印加しない状態で、TMR素子集合体1の抵抗R0を測定する。次に、検出対象磁界を印加し、再びTMR素子集合体1の抵抗を測定する。このとき得られたTMR素子集合体1の抵抗R1と抵抗R0との差分、すなわちR1−R0をΔRとする。
続いて、導体2に直流電流212を印加する。この電流が誘起する磁界211は、検出対象磁界210と合成され、方向が同じ場合は強め合い、逆向きの場合は弱めあって相殺する。ここで、定電流Iを印加した状態で、TMR素子集合体1の抵抗を測定し、そのときの抵抗R2と抵抗R0の差分、すなわちR2−R0をΔR’とする。
このとき、ΔR’>ΔRである場合には、電流を減少させるか、または逆方向電流を増加させ、ΔR’<ΔRである場合には電流を増加させるか、または逆方向の電流を減少させる。
以下、そのときの磁界強度において同様の操作を繰り返し、ΔR’が最小になるときの電流を計測することで、外部磁界を求めることができる。このとき、電流が誘起する磁界は、検出対象磁界をちょうど相殺しているため、このときの電流強度は、検出対象磁界に比例している。したがって、定数を乗じることで、外部磁界強度を容易に求めることが可能である。
続いて、図20のフローチャートを参照しながら、この発明の実施の形態9に係る磁界検出装置の処理について説明する。なお、このフローチャートに示した各処理は、図19に示した測定・制御装置214によって実行される。
まず、外部磁界H210を印加しない状態で、TMR素子集合体1の抵抗R0を測定し、次に、外部磁界H210を印加した状態で、TMR素子集合体1の抵抗R1を測定して、R0とR1との差の絶対値ΔRを求める(ステップS1)。
続いて、図19の導体2の例えばA→B方向の電流を増加、またはB→A方向の電流を減少させる(ステップS2)。
次に、導体2に直流電流を供給した状態でTMR素子集合体1の抵抗R2を測定し、R2とR0との差の絶対値ΔR’を求める(ステップS3)。
続いて、ΔR>ΔR’である(ステップS4でYes)、すなわちTMR素子集合体1の抵抗がR0に近づく場合には、上記ステップS1〜S4を繰り返して、同じ向きに直流電流を増加させ、ΔR’<α(α:所定値)になったときに(ステップS5でYes)、供給電流I212を磁界に換算して出力し(ステップS11)、図20の処理を終了する。
一方、ステップS4で、ΔR<ΔR’である(ステップS4でNo)、すなわちTMR素子集合体1の抵抗がR0から遠ざかる場合には、R0とR1との差の絶対値ΔRを求める(ステップS6)。
続いて、図19の導体2の例えばB→A方向の電流を増加、またはA→B方向の電流を減少させる(ステップS7)。
次に、導体2に直流電流を供給した状態でTMR素子集合体1の抵抗R2を測定し、R2とR0との差の絶対値ΔR’を求める(ステップS8)。
続いて、ΔR>ΔR’である(ステップS9でYes)、すなわちTMR素子集合体1の抵抗がR0に近づく場合には、上記ステップS6〜S9を繰り返して、同じ向きに直流電流を増加させ、ΔR’<αになったときに(ステップS10でYes)、供給電流I212を磁界に換算して出力し(ステップS11)、図20の処理を終了する。
一方、ステップS9において、ΔR<ΔR’である(ステップS9でNo)、すなわちTMR素子集合体1の抵抗がR0から遠ざかる場合には、ステップS1に戻り、動作を繰り返す。
なお、図20のフローチャートでは、導体2に供給する電流I212は、まず導体2の端Aから端Bの方向に流しているが、この順番は逆であってもよい。
以上のように、実施の形態9によれば、磁界検出装置の検出可能磁界の範囲は、磁界検出装置を構成するTMR素子集合体の磁界に対する抵抗変化のダイナミックレンジの大きさに依存するため、検出可能な磁界範囲を拡大することが可能となる。また、TMR素子集合体の磁界に対する抵抗変化が、磁界が零となる近傍で大きくなるため、検出磁界の精度を向上させることが可能となる。
1、1a 素子集合体、2 導体、3 検出対象電流、4 第1TMR素子、5 スペーサ、6 第2TMR素子、7a〜7c TMR素子、41 シード層、42 反強磁性層、43 強磁性層、44 スペーサ、45 強磁性層、46 バリア層、47 強磁性層、61 シード層、62 反強磁性層、63 強磁性層、64 スペーサ、65 強磁性層、66 バリア層、67 強磁性層、100 下部電極、141 第2磁性層の膜厚、142 第2磁性層の膜厚、143a 第1磁性層の磁化方向、143b 第2磁性層の磁化回転方向、143c 第1磁性層の磁化方向、143d 第2磁性層の磁化回転方向、150 キャップ層、160a キャップ層、160b キャップ層、181a 第2磁性層、181b バリア層、181c 第1磁性層、181d 第2磁性層の磁化の回転方向、181e 第2磁性層の磁化方向、181f 第1磁性層の磁化方向、182a 第2磁性層、182b バリア層、182c 第1磁性層、182e 第1磁性層の磁化方向、182f 第2磁性層の磁化回転方向、200 上部電極、190a 制御信号、190b 相殺電流印加装置(電流源)、211 電流によって誘起される磁界、210 検出対象磁界、212 検出対象磁界を打ち消す様に磁界が発生する向きに印加される電流、214 測定・制御装置、250 電流源、251 電圧計、252 電流負荷。

Claims (4)

  1. 磁界に対する抵抗変化の感度が互いに異なる複数の磁気抵抗効果素子が、導電性のスペーサを介して積層された磁気抵抗効果素子集合体と、
    前記磁気抵抗効果素子集合体の抵抗値を検出する抵抗読み出し回路と、を備え、
    導体を流れる電流の強度を検出する電流検出装置であって、
    前記複数の磁気抵抗効果素子のそれぞれは、
    前記導体を流れる電流が誘起する磁界に対して、磁化方向が固定された第1磁性層と、
    絶縁膜および金属膜の一方を介して前記第1磁性層に積層され、前記導体を流れる電流が誘起した磁界の方向に磁化方向が追従する第2磁性層と、を有し、
    前記複数の磁気抵抗効果素子のそれぞれにおける第2磁性層のうち、少なくとも1つの第2磁性層について、絶縁膜または金属膜とは反対側の界面に、磁気異方性を誘起するキャップ層を設けることにより、前記複数の磁気抵抗効果素子の磁界に対する抵抗変化の感度を互いに異ならしめる
    流検出装置。
  2. 磁界に対する抵抗変化の感度が互いに異なる複数の磁気抵抗効果素子が、導電性のスペーサを介して積層された磁気抵抗効果素子集合体と、
    前記磁気抵抗効果素子集合体の抵抗値を検出する抵抗読み出し回路と、を備え、
    導体を流れる電流の強度を検出する電流検出装置であって、
    前記複数の磁気抵抗効果素子のそれぞれは、
    前記導体を流れる電流が誘起する磁界に対して、磁化方向が固定された第1磁性層と、
    絶縁膜および金属膜の一方を介して前記第1磁性層に積層され、前記導体を流れる電流が誘起した磁界の方向に磁化方向が追従する第2磁性層と、を有し、
    前記複数の磁気抵抗効果素子のそれぞれにおける第2磁性層について、絶縁膜または金属膜とは反対側の界面に、磁気異方性を誘起するキャップ層を互いに異なる膜厚で設けることにより、前記複数の磁気抵抗効果素子の磁界に対する抵抗変化の感度を互いに異ならしめる
    流検出装置。
  3. 前記複数の磁気抵抗効果素子のそれぞれにおける第2磁性層のうち、少なくとも1つの第2磁性層について、磁化方向が積層した膜面に対して仰角を有し、外部からの磁界が存在しない場合に、その仰角を45度よりも大きくすることにより、前記複数の磁気抵抗効果素子の磁界に対する抵抗変化の感度を互いに異ならしめる
    請求項1または請求項に記載の電流検出装置。
  4. 請求項1から請求項までの何れか1項に記載された電流検出装置を用いた磁界検出装置であって、
    前記導体を流れる電流が誘起する磁界によって外部磁界を相殺する位置に配置され、そのときの電流の強度を検出することにより、磁界の強度を検出する
    磁界検出装置。
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