JP6474549B2 - 幹細胞の培養産物の評価指標及びその利用 - Google Patents
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Description
幹細胞の培養上清中の以下の成分;
単球走化性促進因子−1(MCP−1)活性を有するタンパク質である第1の成分、
シアル酸結合イムノグロブリン様レクチン−9(Siglec−9)の細胞外ドメイン活性を有するタンパク質である第2の成分、及び
コンドロイチン硫酸及びコンドロイチン硫酸プロテオグリカンの少なくとも一種である第3の成分
からなる群から選択される1種又は2種以上の成分を測定する測定工程、
を備える、評価方法。
(2)前記測定工程は、少なくとも前記第1の成分と前記第2の成分とを測定する工程である、(1)に記載の評価方法。
(3)前記第1の成分は、配列番号2で表されるアミノ酸配列と60%以上の同一性を有するアミノ酸配列を有する、(1)又は(2)に記載の評価方法。
(4)前記第2の成分は、配列番号4で表されるアミノ酸配列と60%以上の同一性を有するアミノ酸配列を有する、(1)〜(3)のいずれかに記載の評価方法。
(5)前記測定工程は、前記第3の成分を測定する工程である、(1)〜(4)のいずれかに記載の評価方法。
(6)前記測定工程は、測定しようとする成分に特異的な抗体を用いて前記成分を測定する工程である、(1)〜(5)のいずれかに記載の評価方法。
(7)前記幹細胞は歯髄幹細胞である、(1)〜(6)のいずれかに記載の評価方法。
(8)幹細胞の培養上清のスクリーニング方法であって、
スクリーニング対象である幹細胞の培養上清中の以下の成分;
単球走化性促進因子−1(MCP−1)活性を有するタンパク質である第1の成分、
シアル酸結合イムノグロブリン様レクチン−9(Siglec−9)の細胞外ドメイン活性を有するタンパク質である第2の成分、及び
コンドロイチン硫酸及びコンドロイチン硫酸プロテオグリカンの少なくとも一種である第3の成分
からなる群から選択される1種又は2種以上の成分を測定する測定工程、
を備える、スクリーニング方法。
(9)医薬組成物のスクリーニング方法であって、
スクリーニング対象が幹細胞の培養上清であり、前記培養上清中の以下の成分;
単球走化性促進因子−1(MCP−1)活性を有するタンパク質である第1の成分、
シアル酸結合イムノグロブリン様レクチン−9(Siglec−9)の細胞外ドメイン活性を有するタンパク質である第2の成分、及び
コンドロイチン硫酸及びコンドロイチン硫酸プロテオグリカンの少なくとも一種である第3の成分
からなる群から選択される1種又は2種以上の成分を測定する測定工程、
を備える、スクリーニング方法。
(10)前記医薬組成物は、炎症性疾患の予防又は治療用である、(9)に記載のスクリーニング方法。
(11)前記医薬組成物は、糖尿病の予防又は治療用である、(9)に記載のスクリーニング方法。
(12)前記医薬組成物は、損傷組織の予防又は治療用である、(9)に記載のスクリーニング方法。
(13) 以下の成分;
単球走化性促進因子−1(MCP−1)活性を有するタンパク質である第1の成分、
シアル酸結合イムノグロブリン様レクチン−9(Siglec−9)の細胞外ドメイン活性を有するタンパク質である第2の成分、及び
コンドロイチン硫酸及びコンドロイチン硫酸プロテオグリカンの少なくとも一種である第3の成分
からなる群から選択される1種又は2種以上の成分を1種又は2種以上の疾患の評価系に適用してその作用を評価する工程、
を備える、疾患の予防又は治療用途のスクリーニング方法。
(14)医薬組成物の品質評価方法であって、
評価対象が幹細胞の培養上清であり、前記培養上清中の以下の成分;
単球走化性促進因子−1(MCP−1)活性を有するタンパク質である第1の成分、
シアル酸結合イムノグロブリン様レクチン−9(Siglec−9)の細胞外ドメイン活性を有するタンパク質である第2の成分、及び
コンドロイチン硫酸及びコンドロイチン硫酸プロテオグリカンの少なくとも一種である第3の成分
からなる群から選択される1種又は2種以上の成分を測定する測定工程、
を備える、品質評価方法。
(15)前記医薬組成物は、炎症性疾患の予防又は治療用である、(14)に記載の品質評価方法。
(16)前記医薬組成物は、糖尿病の予防又は治療用である、(14)に記載の品質評価方法。
(17)前記医薬組成物は、損傷組織の予防又は治療用である、(14)に記載の品質評価方法。
(18)医薬組成物の生産方法であって、
幹細胞の培養上清につき、以下の成分;
単球走化性促進因子−1(MCP−1)活性を有するタンパク質である第1の成分、
シアル酸結合イムノグロブリン様レクチン−9(Siglec−9)の細胞外ドメイン活性を有するタンパク質である第2の成分、及び
コンドロイチン硫酸及びコンドロイチン硫酸プロテオグリカンの少なくとも一種である第3の成分
からなる群から選択される1種又は2種以上の成分の測定する測定工程と、
前記成分の測定結果に基づいて前記培養上清を有効成分とする前記医薬組成物の品質について評価する工程と、
を備える、生産方法。
(19)医薬組成物の生産方法であって、
幹細胞の培養上清から以下の成分;
単球走化性促進因子−1(MCP−1)活性を有するタンパク質である第1の成分、
シアル酸結合イムノグロブリン様レクチン−9(Siglec−9)の細胞外ドメイン活性を有するタンパク質である第2の成分、及び
コンドロイチン硫酸及びコンドロイチン硫酸プロテオグリカンの少なくとも一種である第3の成分
からなる群から選択される1種又は2種以上の成分を取得する工程、
を備える、生産方法。
(20)医薬組成物の生産方法であって、
以下の成分;
単球走化性促進因子−1(MCP−1)活性を有するタンパク質である第1の成分、及び
シアル酸結合イムノグロブリン様レクチン−9(Siglec−9)の細胞外ドメイン活性を有するタンパク質である第2の成分
の一方又は双方の発現を増強するように遺伝子改変された幹細胞の形質転換体を培養する工程、
を備える、医薬組成物の生産方法。
(21)幹細胞の形質転換体であって、
以下の成分;
単球走化性促進因子−1(MCP−1)活性を有するタンパク質である第1の成分、及び
シアル酸結合イムノグロブリン様レクチン−9(Siglec−9)の細胞外ドメイン活性を有するタンパク質である第2の成分
の一方又は双方の発現を増強するように遺伝子改変された幹細胞の形質転換体。
(幹細胞)
本明細書において幹細胞としては、体性幹細胞、胚性幹細胞、人工多能性幹細胞及び刺激惹起性多能性獲得幹細胞等が挙げられる。これらの幹細胞は、ヒトを含む哺乳類細胞であることが好ましい。
幹細胞としては歯髄幹細胞を好ましく用いることができる。歯髄幹細胞は、歯髄から得られる歯髄に由来した幹細胞であれば特に限定されない。永久歯歯髄幹細胞であってもよいし、乳歯歯髄幹細胞であってもよいが、好ましくは、細胞増殖能の観点から、脱落した乳歯に由来する歯髄幹細胞を用いる。本組成物を適用する個体との関係においては、拒絶反応を抑制又は回避するため、同一生物種(ヒトであればヒト由来)の歯髄幹細胞であることが好ましく、より好ましくは自家歯髄幹細胞を用いる。
幹細胞には各種幹細胞の不死化細胞も含まれる。不死化細胞は、初代細胞の有する活発な増殖能を永久的に保持し、しかもその細胞固有の形態・機能を継代培養によって失うことのない細胞である。概して、不死化細胞の樹立には、外来遺伝子が導入が必要となる。通常、体性幹細胞等の不死化にあたり、1又は2以上、好ましくは3以上、より好ましくは4以上の遺伝子が導入されている。なお、こうした遺伝子としては、hTERT、bmi-1、E6、E7、Ost3/4、Sox2、Klf4、c-Myc、p16NK4a等が挙げられる。不死化細胞としては、歯髄幹細胞の不死化細胞であってもよい。
培養上清は、幹細胞を培養して得られる培養液であって実質的に細胞成分を含まない部分である本組成物は、典型的には、幹細胞及び幹細胞の取得源細胞を含まず、培養上清のみで構成された組成物である。培養液からの細胞成分の分離は、当業者に周知の固液分離方法で可能である。さらに、培養液に対して各種処理(例えば、遠心処理、濃縮、溶媒の置換、透析、凍結、乾燥、凍結乾燥、希釈、脱塩、保存等)を適宜施した培養上清を用いることにしてもよい。幹細胞の培養は、既に周知であり、当業者であれば適切に幹細胞を培養できる。以下、歯髄幹細胞の培養及び培養上清の取得方法の概要について例示するが、以下に説明する各種手法や態様は他の幹細胞にも適用することができる。
(1)歯髄の採取
自然に脱落した乳歯(又は抜歯した乳歯、或いは永久歯)をクロロヘキシジンまたはイソジン溶液で消毒した後、歯冠部を分割し歯科用リーマーにて歯髄組織を回収する。
(2)酵素処理
採取した歯髄組織を基本培地(10%ウシ血清・抗生物質含有ダルベッコ変法イーグル培地)に懸濁し、2mg/mlのコラゲナーゼ及びディスパーゼで37℃、1時間処理する。5分間の遠心操作(5000回転/分)により酵素処理後の歯髄細胞を回収する。セルストレーナーによる細胞選別はSHEDやDPSCの神経幹細胞分画の回収効率を低下させるので原則、使用しない。
(3)細胞培養(接着性細胞の選択)
細胞を4cc基本培地で再懸濁し、直径6cmの付着性細胞培養用ディッシュに播種する。5%CO2、37℃に調整したインキュベータにて3日間培養した後、コロニーを形成した接着性細胞を0.05%トリプシン・EDTAにて5分間、37℃で処理する。ディッシュから剥離した歯髄細胞を直径10cmの付着性細胞培養用ディッシュに播種し拡大培養を行う。例えば、肉眼で観察してサブコンフルエント(培養容器の表面の約70%を細胞が占める状態)又はコンフルエントに達したときに細胞を培養容器から剥離して回収し、再度、培養液を満たした培養容器に播種する。継代培養を繰り返し行ってもよい。例えば継代培養を1〜8回行い、必要な細胞数(例えば約1×107個/ml)まで増殖させる。尚、培養容器からの細胞の剥離は、トリプシン処理など常法で実施することができる。以上の培養の後、細胞を回収して保存することにしてもよい(保存条件は例えば−198℃)。
細胞を4cc基本培地で再懸濁し、直径6cmの付着性細胞培養用ディッシュに播種する。培養液(例えば、10%FCS含有DMEM(Dulbecco’s Modified Eagle’s Medium))を添加した後、5%CO2、37℃に調整したインキュベータにて2週間程度培養する。培養液を除去した後、PBS等で細胞を1回又は数回洗浄する。この操作(培養液の除去及び細胞の洗浄)に代えて、コロニーを形成した接着性細胞(歯髄幹細胞)を回収することにしてもよい。この場合には例えば、0.05%トリプシン・EDTAにて5分間、37℃で処理し、ディッシュから剥離した細胞を回収する。
(4)細胞の回収
次に、細胞を回収する。トリプシン処理等で培養容器から細胞を剥離した後、遠心処理を施すことによって細胞を回収することができる。このようにして回収した歯髄幹細胞を用いて本発明の組成物を調製する。
歯髄幹細胞の培養には、基本培地、或いは基本培地に血清等を添加したもの等を使用可能である。基本培地としてはDMEMの他、イスコフ改変ダルベッコ培地(IMDM)(GIBCO社等)、ハムF12培地(HamF12)(SIGMA社、GIBCO社等)、RPMI1640培地等を用いることができる。二種以上の基本培地を併用することにしてもよい。混合培地の一例として、IMDMとHamF12を等量混合した培地(例えば商品名:IMDM/HamF12(GIBCO社)として市販される)を挙げることができる。また、培地に添加可能な成分の例として、血清(ウシ胎仔血清、ヒト血清、羊血清等)、血清代替物(Knockout serum replacement(KSR)など)、ウシ血清アルブミン(BSA)、抗生物質、各種ビタミン、各種ミネラルを挙げることができる。
歯髄幹細胞の培養には、通常幹細胞に用いられる条件をそのまま適用あるいは適宜変更して適用できる。歯髄幹細胞培養上清の製造は、当業者であれば適宜行うことができる。例えば、以下のような操作で培養上清を取得してもよい。
こうした幹細胞培養上清に関する指標は、以下に説明する第1の成分、第2の成分及び第3の成分から選択される1種又は2種以上である。
第1の成分は、単球走化性促進因子−1(MCP−1)活性を有するタンパク質である。この種のタンパク質は、ヒトをはじめとして各種動物においてホモログが知られている。本剤においては、こうしたヒトなどの動物に由来する天然のMCP−1を天然の原料から回収したものであってもよいし、遺伝子工学的又は化学的に取得したものであってもよい。例えば、ヒトのMCP−1は配列番号2で表されるアミノ酸配列(NCBIアクセッション番号:NP02973.1)を有している。また、ヒトのMCP−1は、配列番号1で表される塩基配列からなるDNAによってコードされている。
(1)ヒトC−Cモチーフケモカイン13プレカーサー(NCBIアクセッション番号:NP_005399.1、配列番号2で表されるアミノ酸配列との同一性は65%、類似性は82%)
(2)ヒトC−Cモチーフケモカイン7プレカーサー(NCBIアクセッション番号:NP_6264.2、同同一性73%、同類似性78%)
(3)ヒトC−Cモチーフケモカイン8プレカーサー(NCBIアクセッション番号:NP_005614.2、同同一性69%、同類似性84%)
(4)ヒトエオタキシンプレカーサー(NCBIアクセッション番号:NP_002977.1、同同一性70%、同類似性84%)
第2の成分は、シアル酸結合イムノグロブリン様レクチン−9(Siglec−9)の細胞外ドメイン活性を有するタンパク質である。この種のタンパク質及びその全長タンパク質は、ヒトをはじめとして各種動物においてホモログが知られている。Siglec−9は、単球、顆粒球及びマクロファージファージにおいて発現する膜貫通タンパク質であって、細胞外ドメインと膜貫通ドメインと細胞質ドメインとを備えている。本明細書においては、Siglec−9の細胞外ドメインを好ましく用いることができる。細胞外ドメインは、免疫グロブリン様ドメインを含んでいることも知られている。
(1)ヒトシアル酸結合イムノグロブリン様レクチン9同位体2プレカーサー(NCBIアクセッション番号:NP_055256.1、配列番号4で表されるアミノ酸配列との同一性は100%、類似性は100%、塩基配列は配列番号5で表され、アミノ酸配列は配列番号6で表される。)
(2)ヒトシアル酸結合イムノグロブリン様レクチン9同位体1プレカーサー(NCBIアクセッション番号:NP_001185487.1、配列番号4で表されるアミノ酸配列との同一性は100%、類似性は100%)
(3)ヒトシアル酸結合イムノグロブリン様レクチン7同位体1プレカーサー(NCBIアクセッション番号:NP_00055220.1、配列番号4で表されるアミノ酸配列との同一性は81%、類似性は85%)
(4)ヒトシアル酸結合イムノグロブリン様レクチン12同位体bプレカーサー(NCBIアクセッション番号:NP_2015856.1、配列番号4で表されるアミノ酸配列との同一性は68%、類似性は79%)
(5)ヒトシアル酸結合イムノグロブリン様レクチン12同位体aプレカーサー(NCBIアクセッション番号:NP_443729.1、配列番号4で表されるアミノ酸配列との同一性は68%、類似性は79%)
(6)ヒトシアル酸結合イムノグロブリン様レクチン8プレカーサー(NCBIアクセッション番号:NP_055257.2、配列番号4で表されるアミノ酸配列との同一性は70%、類似性は78%)
(7)ヒトミエロイド細胞表層抗原CD33同位体3プレカーサー(NCBIアクセッション番号:NP_001171079.1、配列番号4で表されるアミノ酸配列との同一性は63%、類似性は74%)
(8)ヒトミエロイド細胞表層抗原CD33同位体1プレカーサー(NCBIアクセッション番号:NP055257.2、配列番号4で表されるアミノ酸配列との同一性は63%、類似性は74%)
(9)ヒトシアル酸結合イムノグロブリン様レクチン7同位体2プレカーサー(NCBIアクセッション番号:NP_057627.2、配列番号4で表されるアミノ酸配列との同一性は78%、類似性は82%)
(10)ヒトミエロイド細胞表層抗原CD33同位体2プレカーサー(NCBIアクセッション番号:NP_001076087.1、配列番号4で表されるアミノ酸配列との同一性は65%、類似性は77%)
第3の成分は、コンドロイチン硫酸(CS)又はコンドロイチン硫酸プロテオグリカン(CSPG)である。本発明者らによれば、炎症反応部位など組織損傷部位における組織修復活性は、第1の成分、第2の成分及び第3の成分の共存下において発揮される。しかしながら、CS等は、炎症組織においては常在する多糖類であるため、特に、有効成分として含めなくとも、本剤が組織において作用することができる。もっとも、本剤が第3の成分を含むことでより確実にあるいはより広い範囲に適用できる組成物となる。一方、生体外において本剤を炎症部位やミクログリア/マクロファージに適用するときには、第3の成分であるCS等を添加することが好ましい。コンドロイチン硫酸における糖の結合形態も特に限定しない。また、コンドロイチン硫酸は、複数種類の混合物であってもよい。
本開示の幹細胞の培養上清の評価方法は、幹細胞の培養上清中の本指標の1種又は2種以上の成分を測定する測定工程を備えることができる。本評価方法によれば、本指標成分を測定することで、各種の予防又は治療用途に有用な培養上清であるか否かを評価できる。各種幹細胞についての各種条件での培養上清について本指標を用いて評価することで、培養上清自体の評価のほか、幹細胞や培養条件の評価も可能となる。
また、好ましくは350pg/ml以上(さらには、360pg/ml以上、370pg/ml以上、380pg/ml以上、390pg/ml以上)であることが好ましく、さらに好ましくは400pg/ml以上である。
以上のことから、本開示によれば、幹細胞の培養上清を有効成分とする医薬組成物の規格化方法に提供される。本規格化方法は、幹細胞の培養上清中の本指標の1種又は2種以上の成分を測定する測定工程と、前記測定結果に基づいて、前記医薬組成物あるいは前記医薬組成物に用いる原料としての前記培養上清における前記1種又は2種以上の成分の規格値を設定する工程と、を備えることができる。
本開示の幹細胞の培養上清のスクリーニング方法は、スクリーニング対象である幹細胞の培養上清中の本指標のうちの1種又は2種以上の成分を測定する測定工程を備えることができる。本スクリーニング方法によれば、治療用途等に有用な幹細胞培養上清を効率的にスクリーニングすることができる。幹細胞の種類や培養条件によっても培養上清の組成は相違する。このため、本指標を用いて幹細胞培養上清をスクリーニングすることで効率的に有用な幹細胞培養上清を取得できる。本スクリーニング方法においても、既に説明した幹細胞培養上清の評価方法における測定工程の実施態様を適用することができる。
本開示の医薬組成物のスクリーニング方法は、スクリーニング対象が幹細胞の培養上清であり、前記培養上清中の本指標のうちの1種又は2種以上の成分を測定する工程を備えることができる。本スクリーニング方法によれば、各種の幹細胞についての様々な培養条件による培養上清に関し、その治療用途についての有用性に基づきスクリーニングできる。
本スクリーニング方法は、損傷組織の予防又は治療用の医薬組成物をスクリーニングできる。すなわち、損傷組織の予防又は治療用に適した幹細胞培養上清をスクリーニングできる。ここで、損傷組織とは、潰瘍、褥瘡等が形成された組織、血管の閉塞や細胞の変性によって損傷した脳組織、外科的な操作によって欠損した脳組織、外傷性脳疾患によって損傷した脳組織、炎症性脳疾患によって損傷した脳組織、損傷した骨組織、損傷した歯周組織、中枢神経系疾患によって損傷した組織、難治性皮膚炎によって損傷した組織等が挙げられる。また、
本開示の医薬組成物の品質評価方法は、評価対象が幹細胞の培養上清であり、幹細胞培養上清中の本指標のうちの1種又は2種以上の成分を測定する測定工程を備えることができる。本品質評価方法によれば、医薬組成物の品質評価をその有効成分量ないし有効性に基づき適切に行うことができる。したがって、本品質評価方法は、医薬組成物の品質管理方法としても利用できる。また、本品質評価方法は、医薬組成物の製造工程における有効成分の定量方法としても利用できる。
本開示の疾患の予防又は治療用途のスクリーニング方法は、本指標のうち1種又は2種以上の成分を、1種又は2種以上の疾患の評価系に適用してその作用を評価する工程、を備えることができる。本スクリーニング方法によれば、本指標成分のさらに有用な用途を探索し取得できる。例えば、炎症性疾患の評価系としては、既に各種炎症性疾患について公知である。例えば、劇症肝炎、肺線維症、肝硬変、虚血性心疾患、多発性硬化症、SLE及び関節炎等の各種炎症性疾患のモデルマウスを利用できるほか、関連する細胞を用いた評価系適宜選択して利用できる。
本開示の医薬組成物の生産方法は、幹細胞の培養上清につき、本指標のうちの1種又は2種以上の成分を測定する測定工程と、前記成分の測定結果に基づいて前記培養上清を有効成分とする前記医薬組成物の品質について評価する工程と、を備えることができる。この生産方法によれば、医薬組成物の有効成分量や有効性に基づき品質を評価し管理できるため、品質の確保された医薬組成物を提供できる。なお、本生産方法においても、既に説明した評価方法やスクリーニング方法における測定工程の実施態様を適用することができる。
本開示の医薬組成物の生産方法は、幹細胞の培養上清から本指標のうちの1種又は2種以上の成分を取得する工程、を備えることができる。既に説明したように、本指標の成分は、各種治療用途についての有用性の指標であると同時にそうした治療用の有効成分でもある。したがって、幹細胞培養上清を原料として、当該原料から本指標の少なくとも一成分を取得して、本医薬組成物の有効成分して用いることができる。本指標の成分の組合せについては既に説明したように、本指標中の1種成分のみを有効成分としてもよいし、2種を有効成分としてもよいし、3種を有効成分としてもよい。また、こうして取得した成分を有効成分の少なくとも一部として用いれば足りる。したがって、当該取得された本指標成分と同一成分を別途追加して医薬組成物としてもよいし、取得された本指標成分とは別個の本指標成分を別途追加してもよいし、本指標成分でない他の成分を追加してもよい。
本開示の医薬組成物の生産方法は、本指標のうちの第1の成分及び第2の成分の一方又は双方の発現を増強するように遺伝子改変された幹細胞の形質転換体を培養する工程を備えることができる。こうすることで、第1の成分及び第2の成分をより多く含有する培養上清を得ることができる。本生産方法によれば、本指標の第1の成分及び第2の成分の含有量が増大された幹細胞培養上清を得ることができる。この培養上清は、それ自体医薬組成物として有用であるほか、第1の成分及び第2の成分の取得源としても有用である。第1の成分及び第2の成分については既に説明したように、そのアミノ酸配列ほか、塩基配列も既に公知である。したがって、当業者であれば、第1の成分及び/又は第2の成分を増強するように幹細胞を形質転換するためのベクターを容易に構築することができ、また、公知の導入方法に基づき、ベクターを幹細胞に導入し、幹細胞の形質転換体を得ることができる。
本開示の形質転換体は、本指標のうちの第1の成分及び第2の成分の一方又は双方の発現を増強するように遺伝子改変された幹細胞の形質転換体である。本形質転換体によれば、こうすることで、第1の成分及び第2の成分をより多く含有する培養上清を得ることができる。本生産方法によれば、本指標の第1の成分及び第2の成分の含有量が増大された幹細胞培養上清を得ることができる。この培養上清は、それ自体医薬組成物として有用であるほか、第1の成分及び第2の成分の取得源としても有用である。こうした幹細胞の形質転換体は当業者であれば適宜作製できる。例えば、公知のアデノウイルスベクターを用いて、所望の成分を発現させるように組換えアデノウイルスDNAを取得し、これをHEK293細胞等にトランスフェクトし、組換えアデノウイルスを増殖させる。この組換えアデノウイルスを幹細胞に感染させることで、幹細胞の形質転換体を得ることができる。
(1)劇症肝炎モデルラットの作製
著しい肝障害を誘発する、D−ガラクトサミン(D-galactosamine)溶液をPBS/NaOH溶液に溶解し作製した。この溶液をSprague-Dawleyラット(200〜250g)に、D−ガラクトサミン1.2g/kg(ラット体重)となるように腹腔内投与した。投与から24時間後に採血を行ってAST及びALTを測定し、著しい肝障害が誘発(劇症肝炎)されていることを確認した。
ED−Siglec−9(組換えヒトSiglec−9Fcキメラ、R&Dシステムズ、ヒトSiglec−9のGln18〜Gly348を含むキメラタンパク質である。)単独1μg/mlPBS溶液、MCP−1リコンビナントタンパク質(組換えヒトMCP−1/CCL2(Peprotech社))単独1μg/mlPBS溶液、ED−Siglec−9及びMCP−1リコンビナントタンパク質各1μg/ml含有PBS溶液をそれぞれ調製した。
(2)で調製した3種の薬剤液各1mlを、劇症肝炎の発症後24時間(D−ガラクトサミン投与から48時間)のラットに頸静脈から静注した。また、対照としてPBS1mlを劇症肝炎の発症後24時間のラットに頸静脈から静注した。
1週間生存率の判定、血液検査による肝障害の評価をそれぞれ図1及び図2に示す。Sprague-Dawley rat(200〜250g)腹腔内に、著しい肝障害を誘発するD−galactosamine溶液を1.2g/kgの割合で投与した。図1に示すように、PBS投与群では一週間生存率が30%以下に低下した。これに対して、ED−Siglec−9/MCP−1混合液の静注群においては劇的に病態が改善され、1週間生存率は100%であった。一方、ED−Siglec−9やMCP−1の各単独投与群では病態改善効果が得られなかった。ED−Siglec−9単独投与群の生存率は40%、MCP−1単独投与群の生存率は0%であった。
劇症肝炎患者の肝臓では、一般に、広範な肝細胞死と肝細胞再生不全が認められる。本モデルラットにおいても、これらの発現を解析することにより、病態を評価した。肝細胞死は、HE染色及びTUNEL染色により評価を行った。結果を図3に示す。
劇症性炎症反応では、炎症性組織破壊型M1マクロファージと抗炎症・組織再生型M2マクロファージが肝組織損傷に重要な役割を果たす。M1は、前炎症性サイトカイン(TNF−α、IL−1β、IL−6)の遺伝子発現を亢進する。M2は、死細胞のセンサー:マンノースレセプターCD206、抗炎症性サイトカイン(IL−10、TGF−b)を大量に発現する。本モデルラットにおいても、これらの因子の産生量を定量的RT−PCRで解析することにより、病態を評価した。結果を図4に示す。定量的RT−PCRに用いたプライマーは、表1に示す。
図5には、ED−Siglec−9/MCP−1混合投与群及び対照群の劇症肝炎モデルの組織におけるCD206染色結果を示す。図5に示すように、ED−Siglec−9/MCP−1混合投与群では、CD206の発現が顕著であり、組織修復型マクロファージへ変換が明らかに認められた。
初代神経細胞は、新生児のC57BL/6マウスから単離した。14日培養後、ミクログリアは、”振り切り”法(”shaking off”method)によって細胞混合物から単離した。Fc受容体の免疫染色によって決定された培養細胞の純度は97〜100%であった。培養物は、10%ウシ胎児血清、5μg/mlのウシインスリンおよび0.2%グルコースを添加したDMEM中で維持した。
48個のウェルの組織培養プレートは1μg/mlのポリ−L−リジン(PLL;Sigma)又は100ng/mlの細胞外コンドロイチン硫酸プロテオグリカン混合物(CSPG;ミリポア)とともにコーティングした。ミクログリアは、PLLまたはPLL/CSPG上の無血清DMEM中に2.0×105個の細胞/ウェルで播種した。無血清DMEM中には、組換えヒトMCP−1/CCL2(Peprotech社)と組換えヒトED−Siglec−9(R&DSystems)を含んでいた。24時間培養後、CD206タンパク質とmRNAの発現を、免疫組織化学的分析及びリアルタイム定量的PCRでそれぞれ分析した。48時間培養後には、培養上清のIL−10濃度をELISAキット(Quantikine ELISA MouseIL−10,R&DSystems)で測定した。
全RNAは、分光光度計によって定量し、RNAの状態を1%アガロースゲルで確認した。RT反応は、スーパースクリプトIII逆転写酵素(Invitrogen)を用いて行った。25μlの合計反応体積中全RNA0.5μgで使用した。リアルタイムQ−PCRは、THUNDERBIRD SYBR定量PCRミックス(東洋紡)を用い、StepOnePlus装置リアルタイムPCRシステム(Applied Biosystems)を稼働させて行った。ラット及びマウス用のプライマーは、以下のとおりとした。
200〜230グラムの重量の成体雌Sprague−Dawleyラットを用いた。ラットは、ケタミン(60〜90mg/kg)およびキシラジン(100〜150mg/kg)の腹腔内注射により麻酔した。Th9腰椎椎弓切除後、硬膜を露出させ、市販されている脊髄損傷装置(Infinite Horizon Impactor,Precision Systems & Instrumentation)によって200kdynの外傷力を付与した。脊髄挫傷後すぐに、Th12部分椎弓切除術を行い、髄腔内にSMP−200モデル(プライムテック株式会社):iPRECIOと接続した薄いシリコンチューブを手術用顕微鏡下で挿入した。管はそれを固定する棘突起に縫合して配置し、ポンプは動物の腋窩の皮膚の下に置かれた。術後、膀胱は1日2回手動腹圧によって圧縮して排尿させた。術後翌日に完全な麻痺(BBBスコア=0)を示す動物を評価に用いた。後肢を動かすことができた動物、即死した動物は評価から除外した。
後肢神経行動試験はBBBの運動評価尺度を用いて行った。22点(0〜21)BBBスケールは、関節の動き、ステッピング能力、調整、体幹の安定性を含む後肢運動のリカバリを評価するために使用した。21のスコアは、無傷のラットにおける損なわれていない運動を意味している。動物の治療内容に関して盲検化された二人の審査官が評価を行った。各セッションの継続時間は、ラットあたり4分であった。スコアは各時点において、Tukeyの多重比較検定による反復測定分散分析により解析した。
処理された脊髄の組織学的検査のために、動物を麻酔し、挫傷後72時間後及び8週間後に、経心臓的に4%PFAの0.1MPBS溶液で灌流した。脊髄をOCTコンパウンド(サクラファイン)に埋め込んで、区画されたクライオスタット(ライカ)に20μmで矢状又は横平面で切片とした。組織切片とミクログリアは、0.1%(v/v)TritonX−100のPBS溶液で5分間浸透処理した。ヤギ血清10%(v/v)で30分間ブロッキング後、一次抗体:5−HT(ウサギIgG、1:500、Sigma−Aldrich)、GFAP(マウスIgG、1:500、ミリポア)、Iba1(ヤギIgG、1:500、アブカム)、CD206(ウサギIgG、1:1000、アブカム)、IL−10(マウスIgG、1:250、アブカム)とインキュベートした。二次抗体は、抗マウスIgG−のAlexa Fluor 488、抗ヤギIgG−Alexa Fluor 546及び抗ウサギIgG−のAlexa Fluor 647とした。DAPI(Sigma−Aldrich)で対比染色後、組織像は、ユニバーサル蛍光顕微鏡(BZ9000、キーエンス)で観察した。
THP−1細胞の溶解物を、ED−Siglec−9またはCCR2に対する抗体を用いて免疫沈降させ、沈殿物を抗CCR2抗体またはMAH−レクチンでイムノブロットした。レクチンブロットは、THP−1(理研セルバンク、日本)溶解物(溶解緩衝液:1%トリトンX、150mMのNaCl、20mMのトリス−HCl、2mMの塩化カルシウム)から抗CCR2抗体(ウサギIgGと、1:50、Abcam)で免疫沈降させたCCR2タンパク質をSDS−PAGEで分離し、イモビロン−PのPVDF膜上にエレクトロブロットした。ブロッティング後、その膜を、MAL緩衝液(10mMのHEPES、pH7.5、150mMのNaCl、0.2%BSA、0.2%Tween−20)で、12時間、4℃でブロックした。その後、MAL緩衝液中、12時間、4℃で、5mg/mlのビオチン化MAL(Vector Laboratories社)でプローブした。MALは、アビジン−HRP(Vector Laboratories社)およびECL(GE Healthcare)を用いて検出し、LAS−4000ミニルミノイメージアナライザー(GE Healthcare社)により分析した。
Turkeyの事後検定(SPSS19.0)による反復測定分散分析を用いた。P値が0.05未満を有意とした。
(MCP−1、ED−Siglec−9及びCSPGの組織修復型ミクログリアの誘導に対する相乗効果)
マウスミクログリアについての結果を図6に示す。図6のa〜dに示すように、CSPG上においてMCP−1(50ng/ml)及びED−Siglec−9(50ng/ml)で処理したミクログリアは、有意にCD−206のタンパク質レベルでの発現及び遺伝子レベルでの発現を増大させるとともに、IL−10の産生を増大させた。また、免疫染色により、CSPG上においてMCP−1(50ng/ml)及びED−Siglec−9(50ng/ml)で処理したミクログリアに関し、組織修復型ミクログリアの発現をCD206で確認することができた。また、図6のe及びfに示すように、MCP−1/ED−Siglec−9/CSPGの濃度に依存して組織修復型ミクログリアのマーカーであるCD206及び抗炎症性サイトカインIL−10の産生が増大した。
MCP−1及びED−Siglec−9を各濃度1μg/mlでSCI部位にiPRECIO注入ポンプによって液3μl/hを送達した。シリコンチューブはくも膜下腔に挿入した。脊髄損傷部位におけるサイトカインと細胞表面マーカーの遺伝子発現を、定量的RT−PCR分析により評価した。総RNAは、SCIから72時間後に病変部位から採取した。結果を図8に示す。Y軸は、SHAMモデル(偽手術モデル)での数値に対する比率を表す。
脊髄損傷から72時間後の損傷部位を取り囲むミクログリア/マクロファージの典型的画像と定量結果を図9に示す。図9の上段に示すように、コントロール群では、Iba1+ミクログリアが観察されたが、CD206+細胞が全く観察されなかった。これに対して、図9の中段に示すように、MCP−1/ED−Siglec−9処理ラットにおいては、脊髄損傷から72時間後、損傷部位に多数のIba+細胞が移動し、これらIba1+細胞のほとんどは、CD206を共発現していた。また、図9の下段に示すように、コントロールラットでは、損傷部位におけるCD206+細胞は、IL−10も同時に発現することは観察されなかったのに対し、MCP−1/ED−Siglec−9処理された損傷部位におけるCD206+細胞は、IL−10も同時に発現していた。図中のデータは、平均±SDを表す(*P<0.05、**P<0.01、PBS処理に対するMCP−1/ED−Siglec−9処理した脊髄損傷モデル)。
脊髄挫傷後の後肢の機能回復の時間経過を図10に示す。MCP−1/ED−Siglec−9投与ラットは、コントロールと異なり早期から明らかな機能回復傾向を呈した。図中のデータは、平均±SDを表す。
免疫沈降、レクチンブロット及びウェスタンブロットの結果を図11に示す。ED−Siglec−9は、物理的に、THP−1細胞溶解液中のシアル化CCR2と相互作用し、CSPG処理は、ミクログリアのCCR2発現を増加させ、ED−Siglec−9は物理的にミクログリアのCCR2と相互作用した。
本実施例では、MCP−1とED−Siglec−9の投与によって急性肺傷害で生じる炎症および線維化が抑制されることを見出した。
肺胞上皮細胞に障害をもたらすBleomycin(BLM)を3mg/mlの割合でPBSに溶解しBLMのPBS溶液を調製した。この溶液をC57Bl/6Jマウス(7〜9週齢)に6U/kgの量気管内投与を行い、24時間後にベロクロラ音を聴取して肺傷害が起こっていることを確認した。
図12に示すように、PBS投与群では、BLM溶液(6U/kg)が気管内投与されて肺傷害が引き起こされたC57Bl/6Jマウスは、9日間の体重率は70%(n=10)に低下し、14日間の生存率は約40%(n=10)に低下することを確認した。
肺傷害患者の肺では線維化の進行と、肺胞構造の破壊を認める。BLMにより傷害されたモデルマウスの肺も同様の構造変化を示すため、その構造変化と膠原線維の増殖をHE染色およびマッソントリクローム(MT)染色にて評価した。結果を図13に示す。
本実施例では、MCP−1とED−Siglec−9の投与によって肝硬変、慢性肝炎が寛解することを見いだした。
四塩化炭素(CCl4)を1.0ml/kgの割合でオリーブオイルに溶解し肝障害を誘発する薬剤を作製した。この溶液をC57BL6 mice(20〜25g)に、1週間に2回、4週連続腹腔内投与し、肝硬変モデルマウスを作製した。このモデルマウスに対して、リコンビナントタンパクED−Siglec−9及びMCP−1をPBSに1μg/mlの濃度で溶解し、混合溶液を調製した。この混合溶液を最終のCCl4溶液を投与(CCl4投与開始から1ヶ月)してから24時間後に、500μlを1回静脈内投与し、病態改善を検証した。
肝硬変、慢性肝炎患者の肝臓では、肝細胞死、炎症性細胞浸潤及び広範に不可逆性の線維性組織の増殖が認められる。ED−Siglec−9及びMCP−1投与群と非投与(PBS投与)群について組織解析(ED−Siglec−9及びMCP−1投与から3日後)を行った。HE染色結果及びシリウスレッド染色(赤染色:コラーゲンIの染色)結果をそれぞれ図14及び図15に示す。
ED−Siglec−9/MCP−1投与後3日の肝臓組織からRNAを採取し、炎症性サイトカインなどの遺伝子発現を定量的PCR法にて解析した。結果を図16及び図17に示す。
ED−Siglec−9及びMCP−1投与群と非投与(PBS投与)群から採取した肝臓組織に関しα−SMAの染色を行った。結果を図18に示す。
(コラーゲン誘発関節炎モデルマウスの作製)
コラーゲン誘発関節炎マウスは、関節リウマチの主要な動物モデルとして用いられている。DBA/1Jマウスの尾底部に、異種動物である牛由来の2型コラーゲンを皮下注射、更に21日後に再注射することにより、コラーゲン誘発性関節炎を発症させた。関節炎の重症度は関節炎スコアを用いて評価した。図19に示すスコアリングシステムを用いて、各群の平均関節炎スコアを算出した。また各マウスで関節炎スコア1以上を、関節炎発症と定義した。
まず、最適なED−Siglec−9投与量を決定するために、コントロール群(生食)とED−Siglec−9群(0.1μg、1μg、10μg/マウス)の4群(各n=7)で検討を行った。2回目コラーゲン投与の2日後、頚静脈より生食または各濃度のED−Siglec−9を投与し、その7日後の関節炎スコアを評価した。結果を図20に示す。
ED−Siglec−9のin vivo(CIAマウス)における関節炎抑制効果の作用機序を、in vitroで検討した。関節リウマチでは、活性化された免疫細胞(マクロファージなど)により分泌される炎症性サイトカイン(TNF−α等)が滑膜細胞を刺激し、活性化された滑膜細胞が蛋白分解酵素(MMP−3等)を分泌して最終的に骨軟骨破壊を引き起こす。ED−Siglec−9の作用点が免疫系にあるのか、それとも炎症の主座である滑膜にあるのかを探るため、マクロファージ(自己免疫疾患における中心的免疫細胞の一つ)と、関節炎の主座である滑膜細胞を用いて実験を行った。
全身および局所麻酔下にて7週齢SDラットの頭頂部皮膚を骨膜とともに剥離し、直径5mmの骨採取用トレフィンバーにて注水下で頭蓋骨を削除し、骨欠損を形成した。このとき骨膜は温存した。ED−Siglec−9及びMCP−1各100ng)をPBSに溶解し、アテロコラーゲンをスキャフォールドとして骨欠損部に留置し、皮膚を復位して縫合、閉創した。術後6週で、μCT、組織学的評価(H−E染色)を行った。結果を図23に示す。
10cmdishを用いてDMEM(SIGMA ALORICH Co.USA)+10%FBS(SIGMA ALORICH Co USA)+1%Penicillin Streptomycin(Life Technologies Japan Ltd)でヒト脱落乳歯歯髄幹細胞を培養し、80〜90%confulになるまで培養を行う。PBSで2回洗浄した後に、無血清培養液(DMEM)に変更し、48時間培養を行った。上清を回収し、1500rpmで4〜5分、3000rpmで5分遠心分離し、その上清を、歯髄幹細胞培養上清として以下の実施例に使用した。
(1)劇症肝炎モデルラットの作製
著しい肝障害を誘発する、D−ガラクトサミン(D-galactosamine)溶液をPBS/NaOH溶液に溶解し作製した。この溶液をSprague−Dawleyラット(200〜250g)に、D−ガラクトサミン1.2g/kg(ラット体重)となるように腹腔内投与した。投与から24時間後に採血を行ってAST及びALTを測定し、著しい肝障害が誘発(劇症肝炎)されていることを確認した。その後、実施例8で調製した歯髄幹細胞培養上清(無血清)(SHED-CM)1mlを頸静脈から投与し、病態改善を検証した。また、脂肪幹細胞及び骨髄幹細胞の無血清培養上清1mlも比較例として頸静脈から静注した。さらに、対照としてDMEM1mlを劇症肝炎の発症後24時間のラット(ガラクトサミンの投与から24時間後)に頸静脈から静注した。
1週間生存率の判定、血液検査による肝障害の評価をそれぞれ図25及び図26に示す。Sprague−Dawley rat(200〜250g)腹腔内に、著しい肝障害を誘発するD−galactosamine溶液を1.2g/kgの割合で投与した。図25に示すように、DMEM投与群では一週間生存率が30%以下に低下した(n=10)。これに対して、歯髄幹細胞無血清培養上清の投与群は劇的に病態が改善され、1週間生存率は90%であった。脂肪幹細胞無血清培養上清の投与群及び/又は骨髄幹細胞無血清培養上清投与群ではそれほど病態改善効果が得られなかった(それぞれ50%及び44%)。
劇症肝炎患者の肝臓では、広範な肝細胞死と肝細胞再生不全が認められる。本モデルラットにおいても、これらの発現を解析することにより、病態を評価した。すなわち、肝細胞死を、HE 染色、及び TUNEL 染色、肝細胞再生は、Ki-67 染色を用いて評価した。TUNEL 染色結果を図27に示す。
劇症性炎症反応では、炎症性組織破壊型 M1マクロファージと抗炎症組織再生型M2マクロファージが肝組織損傷に重要な役割を果たす。M1マクロファージは、炎症性サイトカイン(TNF−α、IL−1β、IL−6)の遺伝子発現や、活性化酸素の産生(iNOS)を亢進する。M2マクロファージは、死細胞のセンサー:マンノースレセプターCD206、フリーラジカル合成阻害因子Arginase、抗炎症性サイトカイン(IL−10、TGF−b)を大量に発現する。本モデルラットにおいても、これらの因子の産生量を定量的RT−PCRで解析することにより、病態を評価した。これらの結果を図28に示す。定量的RT−PCRに用いたプライマーは、表2に示す。
図29には、歯髄幹細胞無血清培養上清投与群の及び対照群の劇症肝炎モデルの組織におけるCD206染色結果を示す。図29に示すように、歯髄幹細胞無血清培養上清投与群では、CD206の発現が顕著であり、M2マクロファージの発現が明らかであった。
(1)肺線維症モデルマウスの作製
著しい肺障害を誘発する塩酸ブレオマシン溶液を6U/kgの割合で生理食塩水に溶解し作製した。その溶液をメスのC57BL/6J mouse(6〜8週齡、17〜20g)に、気管内投与した。それから24時間後に、ベロクロラ音の聴取から肺障害が誘発されていることを確認した後、実施例8で調製したヒト歯髄幹細胞由来無血清培養上清、骨髄幹細胞無血清培養上清及びDMEM500μlの各薬剤を頚静脈から静脈内投与し、病態改善を検証した。体重測定結果を図30に示し、生存率を図31に示す。
図30及び図31に示すように、塩酸ブレオマシン溶液をメスのC57BL/6J mouse(17〜20g)に、気管内投与すると著しい肺障害が引き起こされ、14日間の生存率が33%に低下し、9日間の体重率が66%まで低下することを確認した。
図30及び図31に示すように、歯髄幹細胞由来無血清培養上清の静注群においてのみ劇的に病態が改善された。14日間生存率は79.4%となり、体重率の減少は78.5%に抑えられた。一方で、骨髄幹細胞由来無血清培養上清や無血清培地(DMEM)投与群では病態改善効果が得られなかった。骨髄幹細胞由来無血清培養上清投与群の生存率は50%、体重率の減少は71.7%。DMEM投与群の生存率は33.3%、体重率の減少は66%であった。
急性肺疾患患者の肺では、肺の支持組織(間質)の、炎症による広範な肥厚が認められる。本モデルマウスにおいても、これらを観察することにより、病態を評価した。肺組織の線維化は、HE染色および結合組織の特異的染色法であるマッソントリクローム(MT)染色により評価を行った。結果を図32に示す。
劇症性炎症反応では、抗炎症・組織再生型M2マクロファージが肺組織の修復に重要な役割を果たす。そこで、急性肺障害の誘発後48時間において、歯髄幹細胞由来無血清培養上清投与群とDMEM群とについて、免疫染色によりM2マクロファージのマーカーであるマンノースレセプターCD206を測定した。結果を図33に示す。
四塩化炭素(CCl4)を1.0ml/kgの割合でオリーブオイルに溶解し肝障害を誘発する薬剤を作製したその溶液をC57BL6マウス(20〜25g)に、1週間に2回、4週連続腹腔内投与し、肝硬変モデルマウスを作製した。その後、実施例8で調製した歯髄幹細胞培養上清(無血清)(SHED−CM)を最終の四塩化炭素溶液を投与(四塩化炭素投与開始から1ヶ月)してから24時間後に、1回、500μl静脈内投与し、病態改善を検証した。対照としてDMEMを同様に投与した。
肝硬変、慢性肝炎患者の肝臓では、肝細胞死、炎症性細胞浸潤、及び広範に不可逆性の線維性組織の増殖が認められる。そこで、SHED−CM投与後3日後の組織解析を行った。結果を図34及び図35に示す。
DMEM,SHED−CM投与後3日の肝臓組織からRNAを採取し、炎症性サイトカインなどの遺伝子発現を定量的PCR法にて解析した。結果を図36及び図37に示す。
8〜12週齢の雄性のC57BL6/Jマウスをペントバルビタール(50mg/kg体重)の腹腔内投与で全身麻酔し、仰臥位で四肢を固定の上、22Gテフロンチューブを気管内挿管し、小動物用人工呼吸器に接続した(呼吸回数150回/分、換気量0.2mL/回)。左第3肋間で開胸を行い、実体顕微鏡下に左冠動脈前下行枝(LAD)をナイロン糸で結紮した。30分後にナイロン糸を解き血流を再灌流させた。
再灌流時に頸静脈より、実施例8で調製したSHED−CM500μLを単回投与した。対照群にはDMEM500μLを投与した。
再灌流24時間後、再度LADを結紮し、エバンスブルー液1mLを灌流した。心臓を摘出し、横断切片を作製し2,3,5-triphanyl tetrazolium chloride(TTC)液と20分間反応させた。これにより左室(LV)、危険域(AAR)、梗塞域(IA)を区別し、画像解析ソフトを用いて各面積を定量した。結果を図39に示す。
再灌流24時間後マウスより全血を採取し、心組織破壊のマーカーとして用いられる血漿中の心筋トロポニンI値をELISA法で測定した。結果を図40に示す。図40に示すように、モデルマウス血漿中の心筋トロポニンの値はSHED−CM群で対照群と比較し低下する傾向が明らかとなった。
再灌流24時間後に摘出した心臓の虚血部よりRNAを抽出した。組織中の炎症性サイトカイン(TNF−α、IL−1β、IL−6)の遺伝子発現をリアルタイム定量PCR法で評価した。結果を図41に示す。図41に示すように、心組織中の炎症性サイトカインの遺伝子発現は、TNF−α、IL−1β、IL−6のいずれにおいてもSHED−CM投与群で抑制される傾向が明らかとなった。
C57BL/6Jマウス8週齢メスに対して、200μgのMOG35-55 蛋白を完全フロイントアジュバントとともにマウス腰背部に皮下注射し免疫した。400ngの百日咳毒素を0、2日目に腹腔内注射して、EAEマウスを作製した。
マウスの麻痺の状態はEAE臨床スコアを用いて毎日観察した。症状がピークである免疫後14日目に、マウス尾静脈より実施例8で調製したSHED−CMを500μl、コントロール群にはDMEMを500μl投与し、以後28日目までEAE臨床スコアを用いて麻痺の状態を確認した。また、28日目にマウスを屠殺し、組織解析を行った。
EAE臨床スコアは、0:正常、1:尾の下垂、2:後肢の衰弱、3:後肢の不完全麻痺、4:前肢の衰弱、後肢の完全麻痺、5:四肢麻痺として評価した。結果を図42に示す。図42に示すように、SHED−CM投与群では免疫後19日目以降に、有意な麻痺の改善を認めた。
組織評価は、HE染色、KB染色、Sudan Black染色、また免疫染色(CD3:T細胞)を行なった。結果を図43及び図44に示す。図43に示すように、KB染色、Sudan black染色ではSHED−CM投与群にコントロール群と比較して脱髄範囲の減少、また浸潤細胞の減少が認められた。HE染色でもまた浸潤細胞の減少が認められた。さらに、図44に示すように、免疫染色では、SHED−CM投与群で浸潤するT細胞の数に減少を認めた。
ヒトSLEモデルマウスであるMRL−lpr/lprマウスを用い、15週齢の時点において、ヒトSLEの臨床マーカーである末梢血血清での抗ds−DNA IgG抗体量をELISAにて測定し、SLE症状が十分に発症していることを確認した。
16週齢において、外頸静脈より実施例8で調製したSHED−CMを1匹あたり500μl注入した。そして、20週齢に到達した時点でトサツし、腎臓、脾臓、腋下リンパ節、尿、末梢血血清を採取した。
歯髄幹細胞培養上清による免役抑制作用の評価を、末梢血血清における抗ds-DNA IgG抗体量、腎臓をホモジナイズして得られたライセートにおける免疫複合体量をELISAにて定量して行った。また、脾臓は重量を計測し、(Ito T, Seo N, Yagi H, et al: Unique therapeutic effects of the Japanese-Chinese herbal medicine, Sairei-to, on Th1/Th2 cytokines balance of the autoimmunity of MRL/lpr mice. J Dermatol Sci. 28: 198-210. 2002)と同様にSIを作成し脾腫の程度を観察した。また、腎臓HE染色を行うとともに、採取した尿中に含まれるタンパク量を計測し腎機能の変化を観察した。
8週齢の雄性DBA/1Jマウスに関節炎惹起用抗体を腹腔内投与することで関節炎を惹起した。3日後にLPSを腹腔内投与することで、関節炎が増悪された。抗体投与後、7〜10日で炎症はピークに達した。
抗体投与後、5日目に尾静脈より実施例8で調製したSHED−CM500μlを単回投与した。対照群にはDMEM500μlを単回投与した。
抗体投与日より14日目まで、四肢の関節炎スコアを測定した。指、甲、足首の3つの部位を観察し、それぞれで腫脹が認められた関節数をスコアとした(スコア1〜3)。さらに、3つの部位全てで非常に重篤な腫脹を認めた場合をスコア4とした。四肢についてこれらを観察し、マウス1個体あたりスコア16を最高点とした。結果を図49に示す。
抗体投与日より14日目まで、hind paw thicknessを測定した。マウスの両後肢の甲部分の厚さをデジタルノギスにより測定し、それらの平均値をマウス1個体のhind paw thicknessとした。抗体投与日のhind paw thicknessとの差をとり、その増加量を評価した。結果を図50に示す。図50に示すように、SHED−CM投与群では、対照群に比較して、有意にhind paw thicknessの増加が抑えられており、関節炎による後肢の腫脹を抑制していることが明らかとなった。
抗体投与日より14日目に屠殺したマウスの足首より組織切片を作製し、HE染色、トルイジンブルー染色を行い、組織学的な変化を評価した。関節部への炎症細胞浸潤、滑膜組織の過形成、関節面の骨破壊の程度を評価し、スコアリングを行った。最高スコア6点とした。結果を図51〜図53に示す。図51〜図53に示すように、SHED−CM投与群では、対照群に比較して、有意に組織学的スコアが低下しており、関節部の炎症細胞浸潤および組織破壊を抑制していることが明らかとなった。
抗体投与日より7日目に屠殺したマウスの四肢よりRNAを抽出し、リアルタイム定量PCR法で、炎症性サイトカイン(TNF−α、IL−1β、IL−6)、組織破壊因子(MMP3)の遺伝子発現を評価した。結果を図54に示す。
10cmdishを用いてDMEM(SIGMA ALORICH Co USA)+10%FBS(SIGMA ALORICH Co USA)+1%Penicillin Streptomycin(Life Technologies Japan Ltd)でヒト脱落乳歯歯髄幹細胞を培養し、80〜90%コンフルエントになるまで培養を行う。PBSで2回洗浄した後に、無血清培養液(DMEM)に変更し、48時間培養を行った。上清を回収し、1500rpmで4〜5分、3000rpmで5分遠心分離し、その上清を、SHED−CMとして以下の実施例に使用した。
16時間絶食マウスにIPGTTは2g/kgのグルコース、ITTはヒューマリンRを2U/kgで腹腔内投与した。投与前,投与後15分,30分,60分,120分に眼窩採血を行い、血糖値測定および血中インスリン量を測定した。
血糖値測定は、全血をアントセンス(HORIBA)を用いて測定を行った。また、血中インスリン量測定は、EDTAで分離した血清をELISA法(モリナガインスリン測定キット:商品名(森永製菓))で測定した。
単離した膵臓を、KRB10ml中でホモゲナイザーを用いて撹拌させ、25%asid ethanolを投与し、一晩反応させた。遠心分離した上清をHTRF法(Homogeneous Time Resolved Fluorescense. Cibio Bioassays)を用いてインスリン含有量を測定した。
単離膵島を4%PFAに4時間浸水させ、組織を固定した。病理組織学的検討は、免疫染色とHE染色で比較検討を行った。
PFA固定後、10%スクロースに8時間、20%スクロースに一晩浸水させ、OCTコンパウンドに包埋した。10μmの厚さに切片を作成し、インスリン及びグルカゴンの発現を蛍光免疫染色法を用いて比較検討を行った。
PFAで固定した組織をPBS置換し(2時間、8時間及び2時間の順でPBSを交換)、パラフィン包埋器(サクラファインテックスジャパン)を用いてパラフィン包埋し、4μmの厚さに切片を作成した。切片を脱パラフィン処置(キシレン3分×3回、100%エタノール3分×3回、95%エタノール1分、90%エタノール1分、70%エタノール1分、95%エタノール1分、ミリQ水(MQ)の順で洗浄)し、×5 ヘマトキシリン液(マイヤー:MQで希釈)で5分間反応させ、MQで10分間洗浄した。その後、×5 1%エオシンY液(WAKO:70%エタノールで希釈)で2分間反応させ、MQで1回洗浄し、脱水処置(70%エタノール1分、80%エタノール1分、90%エタノール1分、100%エタノール3分×3回、キシレン3分×3回の順で)し、マウントした後に蛍光顕微鏡で観察を行った。
STZ負荷後、スライドガラスをPBSで3回洗浄し、スライドガラス上の細胞を4%PFAで30分固定し、PBSで3回洗浄した。洗浄後、PBSで1/2000に希釈したDAPI(Dojindo;Japan)を5分間反応させ、PBSで3回洗浄し、マウントした後に、蛍光顕微鏡で観察を行った。image Jを使用し、1視野中のnecrosis細胞数/全体の細胞数をカウントし、比較検討をおこなった。(1スライドガラスより6視野n:3)
STZ負荷後、PBSで3回洗浄し、50×プロテアーゼインヒビター+Cdc42ライシスバッファー400μl/wellを投与し、15分間反応させた。wellの内容物を全て回収し、4℃で15000rpmで20分間遠心分離した。遠心分離した上清30μl+1×SDS 30μlを混和させ、100℃3分間反応させたものを、サンプルとして使用した。(全てのサンプルのタンパク量:約2000μl/mlであることをBCA assay;SIGMA ALORICHを用いて確認している。)
Streptozotocin(以下STZ、SIGMA ALORICH Co. USA)を生理食塩液に溶解して5mg/mlの溶液を調整し、この溶液を9〜10週齢C57Bl6/Jマウスに対し、1日1回50mg/kgを5日間腹腔内投与を行い、糖尿病モデルマウスを作成した。
STZの生理食塩溶液15mg/mlを9〜10週齢C57Bl6/Jマウスに対し、150mg/kgを1回腹腔内投与し、糖尿病モデルマウスを作製した。STZ投与開始日をday1とし、day3に血糖値400mg/dL以上であることを確認した後に、day3〜day16までSHED−CM,DMEMを各群2ml/dayで尾静脈内投与し、Ex−4を48nmol/dayで腹腔内投与を行った。24時間毎に体重・随時血糖値の測定を行い、day17,31にIPGTTで血糖値および血中インスリン濃度を測定した。day37に膵臓を単離し、膵臓のインスリン含有量を測定した。結果を図55及び図64〜66に示す。
4週齢C57Bl6/Jに36日間、高脂肪食(High Fat Diet 32:HFD)を摂食させ、体重39.5g血糖値200mg/dLまで上昇させた。その後、HFDの摂食を継続したまま、SHED−CM,DMEMを2ml/day腹腔内投与した。体重・随時血糖測定は、高脂肪食開始後から7日毎に行った。SHED−CM投与開始日をday1とし、day58にインスリン負荷試験(ITT)でインスリン抵抗性の評価を行い、day69にIPGTTで血糖値および血中インスリン濃度を測定した。結果を、図67〜71に示す。
マウス膵β細胞株:MIN6(1×106/well)を90%コンフルエントになるまで培養し、DMEM(無血清の培養液)で3回洗浄した後、培養液をそれぞれSHED−CM,DMEM,DMEM+Ex−4(10nM)に交換した。なお、MIN6の培地には、DMEM(SIGMA ADLICH Co USA)+10%FBS(SIGMA ALORICH Co USA)+1%Penicillin Streptomycin(invitrogen USA)を用いた。培養液の交換と同時にSTZ(0mM,1mM,5mM)の各濃度となるように添加し、6時間培養を行った。PFAで細胞を固定した後、スライドガラス上のMIN6をDAPI染色し、蛍光顕微鏡で観察を行った。imageJを用いて、necrosis細胞数/全体の細胞数(100〜200)をカウントし、各群でのnecrosis(細胞死)の割合の評価を行った。結果を図72に示す。
MIN6(1×106/well)を90%コンフルエントになるまで培養し、DMEM(無血清の培養液)で3回洗浄した後、培養液をそれぞれSHED−CM,DMEM,DMEM+Ex−4(10nM)に交換した。培養液の交換と同時にSTZ(0mM,1mM,5mM)の各濃度となるように添加し、6時間培養を行った。その後、2.5mMグルコースのKRB buffer で30分間スタベーションを行った後、低グルコースKRB buffer(2.5mM)および高グルコースKRB buffer(16.7mM)で30分間刺激を行った。低グルコースと高グルコースそれぞれ刺激後の上清を回収し、上清を回収した後、asid ethanol法にて最終的にインスリン含有量を回収した。HTRF法を用いて、上清中のインスリン量(release)および上清回収後のインスリン含有量(content)を測定し、release/content(%)にてインスリン分泌能の比較検討を行った。結果を図73に示す。
MIN6(1×106/well)を90%コンフルエントになるまで培養し、DMEM(無血清の培養液)で3回洗浄した後、培養液をそれぞれSHED−CM,DMEM,DMEM+Ex−4(10nM)に交換した。培養液の交換と同時にSTZ(0mM,1mM,5mM)を添加し、6時間培養を行った。その後MIN6のタンパク質を回収し、ウェスタンブロット法にて、カスパーゼ3、クリーブドカスパーゼ3の発現量の比較検討を行った。結果を図74に示す。
レプチン受容体欠損マウス(自然発症型)(dbdbマウス)の13週齢(雌)に61日間、12時間毎に実施例1で調製したSHED−CM1mlを静注及び腹腔内投与した。また、コントロールとして、DMEMを同様にして静注投与した。体重・随時血糖測定は、投与開始後から5日毎に行った。SHED−CM投与開始日をday1とし、day36にグルコース負荷試験(IPGTT)で血糖値および血中インスリン濃度を測定した。また、day51にインスリン負荷試験(ITT)でインスリン抵抗性の評価を行った。結果を、図75〜80に示す。
抗体処理前のSHED−CM中及び抗体処理後のMCP−1及びED−Siglec−9の含有量の測定結果を図81に示す。図81に示すように、抗体処理後のd−SHED−CMにおけるMCP−1及びED−Siglec−9は、抗体処理前にはそれぞれ所定量含まれていたにも関わらずほとんど観察されなかった。なお、対照等として、骨髄幹細胞の培養上清(BMSC−CM)、線維芽細胞の培養上清(Fibro−CM)についても測定したが、いずれも、SHED−CMに比較して少量のMCP−1及びSiglec−9を分泌生産するのみであった。またMCP−1及びED−Siglec−9を抗体処理は特異性が高いことがわかった。さらに、IL-6などCMが含有する他の因子組成には影響しないことがわかった。
実施例9と同様に、劇症肝炎モデルマウスに対してSHED−CMに加えてdSHED−CMをそれぞれ投与してその効果を評価した。結果を図82に示す。図82に示すように、SHED−CM投与群では生存率の改善が明らかであったのに対し、dSHED−CM投与群ではほとんど生存率の改善効果を認めることができなかった。
実施例10と同様に、肺線維症モデルマウスに対してSHED−CMに加えてdSHED−CMをそれぞれ投与してその効果を評価した。結果を図83に示す。図83に示すように、dSHED−CM投与群ではSHED−CM投与群に対して有意に生存率の低下を呈した。なお、図示はしないが、アッシュクロフト値についてもdSHED−CM投与群は、SHED−CM投与群より高値となり、コントロールであるDMEM投与群に近い値を呈した。
実施例2と同様に、脊髄損傷ラットに対してSHED−CMに加えてdSHED−CMをそれぞれ投与してその効果を評価した。結果を図84に示す。図84に示すように、dSHED−CM投与群ではSHED−CMに対して有意に損傷修復が抑制されていることがわかった。
Claims (21)
- 幹細胞の培養上清の評価方法であって、
幹細胞の培養上清中の以下の成分;
単球走化性促進因子−1(MCP−1)である第1の成分、及び、
シアル酸結合イムノグロブリン様レクチン−9(Siglec−9)の細胞外ドメインである第2の成分
を測定する測定工程、
を備える、評価方法。 - 前記第1の成分は、配列番号2で表されるアミノ酸配列と90%以上の同一性を有するアミノ酸配列を有する、請求項1に記載の評価方法。
- 前記第2の成分は、配列番号4で表されるアミノ酸配列と90%以上の同一性を有するアミノ酸配列を有する、請求項1または2に記載の評価方法。
- コンドロイチン硫酸及びコンドロイチン硫酸プロテオグリカンの少なくとも一種である第3の成分を測定する工程をさらに含む、請求項1〜3のいずれかに記載の評価方法。
- 前記測定工程は、測定しようとする成分に特異的な抗体を用いて前記成分を測定する工程である、請求項1〜4のいずれかに記載の評価方法。
- 前記幹細胞は歯髄幹細胞である、請求項1〜5のいずれかに記載の評価方法。
- 幹細胞の培養上清のスクリーニング方法であって、
スクリーニング対象である幹細胞の培養上清中の以下の成分;
単球走化性促進因子−1(MCP−1)である第1の成分、及び、
シアル酸結合イムノグロブリン様レクチン−9(Siglec−9)の細胞外ドメインである第2の成分
を測定する測定工程、
を備える、スクリーニング方法。 - コンドロイチン硫酸及びコンドロイチン硫酸プロテオグリカンの少なくとも一種である第3の成分を測定する工程をさらに含む、請求項7に記載のスクリーニング方法。
- 医薬組成物のスクリーニング方法であって、
スクリーニング対象が幹細胞の培養上清であり、前記培養上清中の以下の成分;
単球走化性促進因子−1(MCP−1)である第1の成分、及び、
シアル酸結合イムノグロブリン様レクチン−9(Siglec−9)の細胞外ドメインである第2の成分
を測定する測定工程、
を備える、スクリーニング方法。 - コンドロイチン硫酸及びコンドロイチン硫酸プロテオグリカンの少なくとも一種である第3の成分を測定する工程をさらに含む、請求項9に記載のスクリーニング方法。
- 前記医薬組成物は、炎症性疾患の予防又は治療用である、請求項9または10に記載のスクリーニング方法。
- 前記医薬組成物は、糖尿病の予防又は治療用である、請求項9または10に記載のスクリーニング方法。
- 前記医薬組成物は、損傷組織の予防又は治療用である、請求項9または10に記載のスクリーニング方法。
- 幹細胞の培養上清を有効成分とする医薬組成物の品質評価方法であって、
評価対象が幹細胞の培養上清であり、前記培養上清中の以下の成分;
単球走化性促進因子−1(MCP−1)である第1の成分、及び、
シアル酸結合イムノグロブリン様レクチン−9(Siglec−9)の細胞外ドメインである第2の成分
を測定する測定工程、
を備える、品質評価方法。 - コンドロイチン硫酸及びコンドロイチン硫酸プロテオグリカンの少なくとも一種である第3の成分を測定する工程をさらに含む、請求項14に記載の品質評価方法。
- 前記医薬組成物は、炎症性疾患の予防又は治療用である、請求項14または15に記載の品質評価方法。
- 前記医薬組成物は、糖尿病の予防又は治療用である、請求項14または15に記載の品質評価方法。
- 前記医薬組成物は、損傷組織の予防又は治療用である、請求項14または15に記載の品質評価方法。
- 医薬組成物の生産方法であって、
幹細胞の培養上清につき、以下の成分;
単球走化性促進因子−1(MCP−1)である第1の成分、及び、
シアル酸結合イムノグロブリン様レクチン−9(Siglec−9)の細胞外ドメインである第2の成分
を測定する測定工程と、
前記成分の測定結果に基づいて前記培養上清の品質について評価する工程と、
前記培養上清を有効成分として医薬組成物を生産する工程、
を備える、生産方法。 - 前記測定工程において、コンドロイチン硫酸及びコンドロイチン硫酸プロテオグリカンの少なくとも一種である第3の成分を測定する工程をさらに含む、請求項19に記載の生産方法。
- 前記幹細胞が、以下の成分;
単球走化性促進因子−1(MCP−1)である第1の成分、及び
シアル酸結合イムノグロブリン様レクチン−9(Siglec−9)の細胞外ドメインである第2の成分
の発現を増強するように遺伝子改変された形質転換体である、請求項19または20に記載の生産方法。
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