以下、本発明における好ましい加熱調理器の実施形態について、添付図面を参照して説明する。なお、これらの全図面にわたり、共通する部分には共通する符号を付すものとする。
図1〜図15は、本発明の加熱調理器をオーブンレンジに適用した一実施形態を示している。先ず図1〜図4に基いて、オーブンレンジの全体構成を説明すると、1は略矩形箱状に構成される本体で、この本体1は、製品となるオーブンレンジの外郭を覆う部材として、金属製のキャビネット2を備えている。また3は、本体1の前面に設けられる開閉自在な扉である。
扉3の上部には、縦開きの扉3を開閉するときに手をかける開閉操作用のハンドル4を備えており、扉3の下部には、表示や報知や操作のための操作パネル部5を備えている。操作パネル部5は、調理の設定内容や進行状況などを表示する表示手段6の他に、加熱調理に関する各種の操作入力を可能にする操作手段7が配設される。扉3の内部で操作パネル部5の後側には、図示しないが、表示手段6や操作手段7などの制御を行なうために、操作パネルPC(印刷回路)板が配置される。
本体1の下部には、本体1の前面より着脱が可能な給水カセット8と水受け9が各々配設される。給水カセット8は、後述の蒸気発生装置33から発生する蒸気の供給源として、液体となる水を入れる有底状の容器である。また水受け9は、本体1からの食品カスや水滴、蒸気などを受ける有底状の容器である。
本体1の左右側面と上面を形成するキャビネット2は、本体1ひいてはオーブンレンジの底面を形成するオーブン底板11を覆うように、本体1の前面を形成するオーブン前板12と、本体1の後面を形成するオーブン後板13との間に設けられる。また本体1には、加熱調理すべき被調理物Sを内部に収容する調理室14と、調理室14の温度を検出する温度検出素子たるサーミスタ15が設けられる。調理室14の前面はオーブン前板12に達していて、被調理物Sを出し入れするのに開口しており、この開口を扉3で開閉する構成となっている。
調理室14を形成する周壁は、天井壁14aと、底壁14bと、左側壁14cと、右側壁14dと、奥壁14eとからなる。調理室14の奥壁14eは、その中央に吸込み口16を備えており、吸込み口16の周囲には複数の熱風吹出し口17を備えている。また、調理室14の上壁面となるドーム状の天井壁14aに対向して、本体1の上部には、調理室14の上方から被調理物Sを輻射加熱するグリル用の上ヒータ18が設けられ、本体1の底部には、調理室14内に電波であるマイクロ波を供給するために、マグネトロンやアンテナを含むマイクロ波発生装置19が設けられる。これにより、上ヒータ18への通電に伴う熱放射によって、調理室14内に収容した被調理物Sを上方向からグリル加熱し、またマイクロ波発生装置19への通電動作により、調理室14内に収容した被調理物Sにマイクロ波を放射して、被調理物Sをレンジ加熱する構成となっている。
調理室14の左側壁14cと右側壁14dには、調理室14の内部に金属製の角皿21を吊設状態で収納保持するために、左右一対の棚支え22を上下二段に備えている。ここで使用する角皿21は、上面を開口した有底凹状で、その他は無孔に形成される収容部21Aと、収容部21Aの上端より外側水平方向に延設するフランジ部21Bとにより構成される。またフランジ部21Bには、角皿21を通して熱風の流通を可能にする通気孔21Cが開口形成される。図2では、調理室14の内部で下段の棚支え22に角皿21のフランジ部21Bを載せて、収容部21Aに被調理物Sを載せた状態を示しているが、調理に応じて角皿21を上段の棚支え22にだけ載せたり、2枚の角皿21を上段と下段の棚支え22に各々載せたりしてもよく、角皿21に代えて別な焼き網(図示せず)などの付属品を収納保持することもできる。
24は、本体1の内部において、調理室14の室外後方から下方にかけて具備されるオーブン加熱用の熱風ユニットである。この熱風ユニット24は、奥壁14eに取付けられる凸状のケーシング26と、空気を加熱する熱風ヒータ27と、調理室14内に加熱した空気を送り込んで循環させる熱風ファン28と、熱風ファン28を所定方向に回転させる電動の熱風モータ29と、熱風モータ29からの駆動力を熱風ファン28に伝達する伝達機構30と、により概ね構成される。奥壁14eとケーシング26との間の内部空間として、調理室14の室外後方に形成された加熱室31には、熱風ヒータ27と熱風ファン28がそれぞれ配設される一方で、本体1の内部に形成された調理室14とオーブン底板11との間の下部空間32には、熱風モータ29が配設される。そして、熱風ユニット24全体を後側外方から覆うように、本体1の後部にオーブン後板13が配設される。
本実施形態の熱風ファン28は、軸方向に取り入れた空気を、回転時の遠心力によって、軸方向と直角な放射方向に吐き出すいわゆる遠心ファンとして設けられており、管状の熱風ヒータ27は熱風ファン28の放射方向を取り囲んで配置される。発熱部でもある熱風ヒータ27は、例えばシーズヒータ、マイカヒータ、石英管ヒータやハロゲンヒータなどを用いる。前述した吸込み口16や熱風吹出し口17は、調理室14と加熱室31との間を連通する通風部として機能するものである。
そして本実施形態では、熱風モータ29への通電に伴い熱風ファン28が回転駆動すると、調理室14の内部から吸込み口16を通して吸引された空気が、熱風ファン28の放射方向に吹出して、通電した熱風ヒータ27により加熱され、熱風吹出し口17を通過して、調理室14内に熱風が供給される。これにより、調理室14の内外で熱風を循環させる経路が形成され、調理室14内の被調理物Sを熱風コンベクション加熱する。また、角皿21の周囲にスリット状の通気孔21Cを設けることで、例えば上下2段の棚支え22に角皿21を各々載せて、熱風ユニット24を利用したオーブン加熱調理を行なった場合でも、各角皿21の通気孔21Cを通して調理室14内で熱風が上下に循環するため、被調理物Sとなる食品を前後左右から包み込んで焼き上げることが可能になる。
調理室14の左側壁14cには、蒸気発生装置33に連通する複数の蒸気噴出孔34が設けられる。これにより、蒸気発生装置33の動作中は、蒸気噴出孔34から調理室14の内部に飽和蒸気や過熱蒸気が供給され、調理室14内に入れられた被調理物Sのスチーム調理を行なう構成となっている。
次に、オーブンレンジの細部構成について、図5〜図10を参照しながら説明する。図5は、タンクとなる給水カセット8を示したもので、プラスチック成形材料からなる給水カセット8は、上面を開口した有底状の貯留部41の前側に、指を掛けることができる凹状の取手42を形成する一方で、取手42とは反対側の貯留部41の後側に、弁体を有する取入口43を備え、さらに貯留部41の左右両側に、水受け9との係合部となるリブ44を有して構成される。そして、本体1から給水カセット8を取り外した単体の状態では、取入口43の弁体が閉じて、貯留部41に収容した水が取入口43から漏出するのを防止し、本体1に給水カセット8を装着した状態では、取入口43が蒸気発生装置33の一部として連通する構成となっている。
図6は、受け部となる水受け9を示したもので、プラスチック成形材料からなる水受け9は、上面を開口した有底状の受け部46と、給水カセット8の外形形状に対応して凹ませたカセット装着部47とを備えており、カセット装着部47に給水カセット8を装着した状態では、リブ44がカセット装着部47の左右側面に係合し、且つ貯留部41の上面がカセット装着部47で覆われる構成となっている。
図7〜図9は、調理室14の左側壁14c外方に装備される蒸発器ユニット49を示している。蒸気生成部となる蒸発器ユニット49は、何れも熱伝導性に優れたアルミダイカスト製のケース51とカバー52とにより中空状に構成される。ケース51は凹状の気化室53を有し、この気化室53を加熱するための蒸発用ヒータとして、棒状のシーズヒータ54がケース51に埋設される。またケース51には、給水カセット8に貯留した水を気化室53に導く取入口55が設けられる。板状のカバー52はケース51の開口面を覆うもので、このカバー52には、気化室53に連通して各蒸気噴出孔34に蒸気を導く複数の導出口56が開口形成される。
調理室14内に蒸気を送り込む蒸気発生装置33は、上述した給水カセット8や、蒸発器ユニット49や、シーズヒータ54の他に、給水カセット8に貯留した水を蒸発器ユニット49に圧送する電動のポンプ(図示せず)や、蒸発器ユニット49内における気化室53の温度を検出するサーミスタなどの気化室温度検出手段59(図10を参照)を備えている。これにより蒸気発生装置33の動作中には、給水カセット8からの水をポンプで蒸発器ユニット49内の気化室53に送り込み、シーズヒータ54への通電により気化室53を所定の温度にまで加熱することで、蒸気噴出孔34から調理室14の内部に飽和蒸気や過熱蒸気が供給され、調理室14内に入れられた被調理物Sのスチーム調理を行なう構成となっている。また本実施形態では、ポンプに与えられる駆動信号によって、ポンプからの吐出流量を調整することで、蒸発発生装置33の蒸気噴出孔34から調理室14内に噴出する蒸気量を可変する構成となっている。
図10は、オーブンレンジの主な電気的構成を示している。同図において、61はマイクロコンピュータにより構成される制御手段であり、この制御手段61は周知のように、演算処理手段としてのCPUや、記憶手段としてのメモリや、計時手段としてのタイマや、入出力デバイスなどを備えている。
制御手段61の入力ポートには、前述したキーやタッチパネルによる操作手段7や、気化室温度検出手段59の他に、赤外線センサにスイング機構を装備して構成され、調理室14内全体の温度分布を検出することで、そこに収容された被加熱物Sの温度を検出可能にする庫内温度分布検出手段63と、調理室14内の温度を検出するサーミスタ15などの庫内温度検出手段64と、熱風モータ29の回転を検出する熱風モータ回転検出手段65と、扉3の開閉状態を検出する扉開閉検出手段66と、マイクロ波発生装置19を構成するアンテナの原点位置を検出するアンテナ位置検出手段67が、それぞれ電気的に接続される。
制御手段61の出力ポートには、前述した表示手段6の他に、マイクロ波発生装置19のマグネトロンやその駆動手段を含むマイクロ波加熱手段71と、グリル加熱用の上ヒータ18や、オーブン加熱用の熱風ヒータ27や、スチーム加熱用のシーズヒータ54をそれぞれ通断電させるリレーなどのヒータ駆動手段72と、調理室14内にマイクロ波を放射するアンテナを回転駆動させるためのアンテナ駆動手段73と、熱風モータ29を回転駆動させるための熱風モータ駆動手段74と、蒸気発生装置33のポンプを動作させるためのポンプ駆動手段75が、それぞれ電気的に接続される。
制御手段61は、操作手段7からの操作信号と、気化室温度検出手段59や、庫内温度分布検出手段63や、庫内温度検出手段64や、熱風モータ回転検出手段65や、扉開閉検出手段66や、アンテナ位置検出手段67からの各検出信号を受けて、計時手段からの計時に基づく所定のタイミングで、マイクロ波加熱手段71と、ヒータ駆動手段72と、アンテナ駆動手段73と、熱風モータ駆動手段74と、ポンプ駆動手段75に駆動用の制御信号を出力し、また表示手段6に表示用の制御信号を出力する機能を有する。
そして制御手段61は、操作手段7の操作に伴う操作信号を受け取ると、扉開閉検出手段66からの検出信号により、扉3が閉じていると判断した場合に、その操作信号に応じて、マイクロ波加熱手段71や、ヒータ駆動手段72や、アンテナ駆動手段73や、熱風モータ駆動手段74や、ポンプ駆動手段75に制御信号を送出して、種々の加熱調理を制御する構成となっている。
次に、上記構成のオーブンレンジについてその作用を説明すると、予め調理室14内に被調理物Sを入れた状態で、ハンドル4を手で握りながら扉3を閉め、操作手段7により調理メニューを選択操作した後に調理開始を指示すると、制御手段61の記憶部に組み込まれた制御プログラムに従って、選択した調理メニューに対応して生成された制御信号が所定のタイミングで出力され、被調理物Sが加熱調理される。
ここで、例えばオーブン加熱の調理メニューを選択した場合、制御手段61からの制御信号がヒータ駆動手段72と熱風モータ駆動手段74に送出されて、熱風ヒータ27と熱風モータ29が各々通電され、熱風モータ29に発生した回転力が伝達機構30を通して熱風ファン28に伝達する。それにより熱風ファン28は加熱室31の内部で一方向に回転し、その速度は熱風モータ回転検出手段65により制御手段61に取り込まれると共に、調理室14から吸込み口16を通して加熱室31に吸込んだ空気を、通電した熱風ヒータ27側に送り出し、ここで加熱された空気が熱風吹出し口17を通して調理室14に熱風として供給されることで、調理室14内の被調理物Sが熱風コンベクション加熱される。
また図11に示すように、スチームを使った蒸し調理(スチーム調理)のメニューを選択した場合、制御手段61は調理開始時刻t0から第1時刻t1までの間に、ヒータ駆動手段72と熱風モータ駆動手段74とポンプ駆動手段75に各々制御信号を送出して、蒸気噴出孔34から比較的少ない第1蒸気量の蒸気を調理室14内に送り込むように、蒸気発生装置33に組み込まれたポンプの動作と、シーズヒータ54の通断電を制御し、また前述のオーブン加熱と同様に、熱風ヒータ27と熱風モータ29を各々通電して、調理室14に熱風を供給する。その後に制御手段61は、第1時刻t1になると熱風ヒータ27や熱風モータ29への通電を停止し、第2時刻t2になるまでヒータ駆動手段72とポンプ駆動手段75に各々制御信号を送出して、蒸気噴出孔34から第1時刻t1までよりも多い第2蒸気量の蒸気を調理室14内に送り込むように、蒸気発生装置33に組み込まれたポンプの動作と、シーズヒータ54の通断電を引き続き制御する。そして、第2時刻t2で被調理物Sが蒸し上がると、ポンプやシーズヒータ54への通電も停止し、蒸し調理のメニューを終了する。
図12は、蒸し調理のメニューを選択した場合の、調理室14に供給される蒸気の温度Taと、被調理物Sとなる食品の温度Tbの経時変化をグラフで示したものである。本実施形態の制御手段61は、調理開始時刻t0から第1時刻t1までの間に、気化室53へ供給される水量を絞って、熱風ユニット24からの熱風と共に100℃以上の蒸気(過熱水蒸気)で、調理室14内の温度を素早く上昇させる。その後で調理室14内が温まると、調理室14内の被調理物Sが乾燥しないように、気化室53へ供給される水量を増やし、100℃の飽和蒸気で被調理物Sを蒸し上げる。
つまり本実施形態では、調理開始時刻t0の直後で調理室14内が室温の状態から、調理室14内の温度が所定温度に温まる第1時刻t1までは、熱風ヒータ27や熱風モータ29への通電を併用して、調理室14内に無駄なスチームを出さないように、少量の過熱蒸気を調理室14内に噴出させ、調理室14内を素早く温めて、調理室14内における結露の低減を図る。そして、調理室14内の温度が第1時刻t1で所定温度に温まってから、熱風ヒータ27や熱風モータ29への通電を停止して、調理室14内に噴出するスチーム量を増やし、飽和蒸気で被調理物Sを蒸し上げて、調理の出来を向上させる。これにより、蒸気噴出孔34からの無駄な蒸気の噴出を抑えて、蒸気発生装置33における水の使用量を減らすことで、給水カセット8の小容量化や蒸発器ユニット49の小型化を達成できる。また、蒸し調理の後に調理室14の内面に付着する水の量を減らすことで、調理室14内がべたべたになるのを解消し、水受け9の小容量化を達成できる他、従来よりも少ない水と加熱時間で、従来以上のふっくらとした仕上がりで被調理物Sを蒸し上げることが可能になる。
なお、上述した制御手段61による蒸し料理のメニューの制御で、第1時刻t1や第2時刻t2は、操作手段7の操作で設定した時刻(開始時刻t0から第1時刻t1、および/または開始時刻t0から第2時刻t2までの調理時間)でもよいし、庫内温度検出手段64で検出される調理室14内の温度や、庫内温度分布検出手段63で検出される被加熱物Sの温度が所定温度に達した時点としてもよい。この場合、第1時刻t1に対応する第1所定温度は、第2時刻t2に対応する第2所定温度よりも低い値に設定される。
図13は、従来機種と本実施形態について、被調理物Sとしての手作り肉まんを「蒸し料理」のメニューで加熱したときの評価結果を示したものである。本実施形態では調理開始時刻t0から第1時刻t1までの間に、熱風ユニット24からの熱風と、蒸気発生装置32からの過熱蒸気により、調理室14内を素早く温度上昇させることで、加熱時間が25分から23分に短縮された。また出来上がりは、従来機種もふっくらしているものの、本実施形態では肉まんの表面に付着する水分が減った分だけ、よりふっくらした仕上がりになっている。さらに、蒸気の発生に伴う使用水量や、調理室14の内面に付着する庫内付着水量や、水受け9の水量についても、従来機種に比べて本実施形態のものは減少していることが確かめられた。
次に、オーブン調理を利用した自動調理メニューとして、「カラッとあたため」メニューを選択実行した場合の動作を説明する。図14は、本実施形態と従来機種について、「カラッとあたため」の調理メニューを選択した場合の制御手順の違いを図示したものである。同図において、本実施形態では「カラッとあたため」の調理メニューを選択すると、制御手段61は調理開始時刻t0から第1時刻t11までの間に、ヒータ駆動手段72とポンプ駆動手段75に各々制御信号を送出して、蒸気噴出孔34から蒸気(好ましくは過熱水蒸気)を調理室14内に送り込むように、蒸気発生装置33に組み込まれたポンプの動作と、シーズヒータ54の通断電を制御して、調理室14内の被調理物Sをスチーム加熱する。その後で制御手段61は、第1時刻t11から第2時刻t2になるまで、ヒータ駆動手段72と熱風モータ駆動手段74に各々制御信号を送出し、前述のオーブン加熱と同様に、熱風ヒータ27と熱風モータ29を各々通電して、調理室14に熱風を供給する。そして、第2時刻t2で被調理物Sのあたためが仕上がると、熱風ヒータ27や熱風モータ29への通電が停止し、「カラッとあたため」の調理メニューを終了する。
このように本実施形態では、マイクロ波発生装置19によるマイクロ波加熱は使用せず、蒸気発生装置33によるスチーム加熱と、熱風ユニット24によるオーブン加熱を順に行なうことで、被加熱物Sの中をしっとり、外をパリッと仕上げることが可能になる。また、オーブン加熱よりもスチーム加熱を先にした方が、被調理物Sをよりパリッと仕上げることができる。比較として、従来の「カラッとあたため」の調理メニューでは、最初に熱風ユニット24によるオーブン加熱が行われ、次に上ヒータ18によるグリル加熱が行われ、最後に蒸気発生装置33によるスチーム加熱が行われていた。これに対して本実施形態では、天ぷらなどをサクサクさせる手法として、霧吹きで水を吹きかけてからトースターで焼く技を応用し、これを「カラッとあたため」の調理メニューで制御手段61に組み込むことで、てんぷらの他に、揚げ物、フランスパン、ピザ、カレーパンなどの被調理物Sの表面をカラッと仕上げることができる。
図15は、「カラッとあたため」の調理メニューを選択した場合の調理温度や調理時間を示したものである。同図において、操作手段7の操作により、「カラッとあたため」の調理メニューを選択した後に調理開始を指示すると、最初の第一段階(図中「1st」)で蒸気発生装置33によるスチーム加熱が行われた後、次の第二段階(図中「2nd」)で調理室14内の温度が250℃となるように、熱風ユニット24によるオーブン加熱が行われる。スチーム加熱では、手動の蒸し料理のメニューを選択した場合と同じ手順で蒸気発生装置33が動作し、またオーブン加熱では、1300Wの熱風ヒータ27が30秒通電/30秒断電を繰り返す。
本実施形態では、記憶手段に記憶設定される被調理物Sのお好みの仕上がり状態を、操作手段7の操作により可変できるように構成される。この仕上がり状態は、何らかの調理メニューを選択すると、制御手段61により標準の仕上がりとなる「標準」に自動的に設定されるが、調理開始を指示してから所定時間(例えば15秒間)までであれば、操作手段7からの操作を受け付けて、「標準」の他に標準よりも弱めの仕上がりとなる「弱」や、標準よりも強めの仕上がりとなる「強」に可変できる。図15では、「弱」や「強」を3段階に可変設定できるようになっているが、この数は任意であり、仕上がり状態を段階的ではなく連続的に可変設定できるようにしてもよい。
図15に示すように、「カラッとあたため」の調理メニューでは、設定した仕上がり状態に対して、スチーム加熱の時間は一定(例えば2分)とし、オーブン加熱の時間は仕上がり状態が強めに設定されるほど長く(例えば8分30秒〜11分30秒)なるように、制御手段61が蒸気発生装置33や熱風ユニット24の動作を制御する。これにより、使用者の希望する仕上がり状態に応じて、被調理物Sの表面をカラッと仕上げることが可能になる。
また制御手段61は、どの仕上がり状態に設定される場合であっても、庫内温度検出手段64で検出される調理室14内の温度が、予め設定した閾値以上であるか否かによって、オーブン加熱の時間を可変するように、熱風ユニット24の動作を制御する。例えば、調理開始直後、或いはスチーム加熱終了時に、調理室14内の温度すなわち庫内温度が例えば89℃以下であれば、オーブン加熱の時間が長く(例えば8分30秒〜11分30秒)なるように設定し、庫内温度が例えば90℃以上であれば、オーブン加熱の時間が短く(例えば5分30秒〜8分30秒)なるように設定する。但し、スチーム加熱の時間は庫内温度に関係なく一定として、余計な時間が掛からないようにする。こうすることで、庫内温度の違いに拘らず、使用者の希望する仕上がり状態に応じて、被調理物Sの表面をカラッと仕上げることが可能になる。
以上のように、本実施形態の加熱調理器としてオーブンレンジは、被調理物Sを収容する調理室14と、蒸気を生成する蒸気発生手段としての蒸気発生装置33と、操作手段7と、を備えたものであって、操作手段7により調理開始を指示すると、特に調理開始時刻t0から第1時刻t1までの間は、調理室14内に第1蒸気量の過熱蒸気を噴出して送り込むように蒸気発生装置33を動作させ、第1時刻t1以降になると、今度は調理室14内に噴出する蒸気量を第1蒸気量よりも多い第2蒸気量に増やして、飽和蒸気を送り込むように蒸気発生装置33を動作させ、第2時刻に蒸気発生装置33の動作を停止して調理を終了させる制御手段61を備えている。
この場合、調理開始時刻t0から調理室14内が温まる第1時刻t1までの間は、無駄な蒸気を出させないように蒸気の発生量を抑えて結露の低減を図り、100℃以上の過熱蒸気を送り込んで、調理室14内を素早く温度上昇させる。その後で調理室14内が温まると、調理室14内が乾燥しないように蒸気の発生量を増やし、100℃の飽和蒸気で被調理物Sを蒸し上げる。したがって、無駄な蒸気の噴出を抑えて、スチーム調理の仕上がりを向上させ、タンクとなる給水カセット8や受け容器となる水受け9の小容量化や、蒸発器ユニット49の小型化を図ることが可能になる。
また本実施形態では、上記構成において熱風を生成する熱風ユニット24をさらに備えており、操作手段7により調理開始を指示すると、特に調理開始時刻t0から第1時刻t1までの間は、調理室14内に熱風を送り込むように熱風ユニット24を動作させ、第1時刻t1以降になると、熱風ユニット24の動作を中止させて、蒸気発生装置33だけを動作させるように、制御手段61を構成している。
この場合、調理開始時刻t0から第1時刻t1までの間に、調理室14内に過熱蒸気と共に熱風を送り込むことで、調理室14内の温度を室温から素早く上昇させて、調理時間の短縮を図ることが可能になる。
さらに本実施形態では、被調理物Sを収容する調理室14と、蒸気を生成する蒸気発生装置33と、熱風を生成する熱風ユニット24と、を備えたものであって、特に調理開始時刻t0から第1時刻t11までの間は、調理室14内に蒸気を送り込むように蒸気発生装置33を動作させ、第1時刻t11以降は、調理室14内に熱風を送り込むように熱風ユニット24を動作させる制御手段61を備えている。
この場合、調理開始時刻t0から第1時刻t11までの間に、調理室14内に蒸気を送り込んで、被調理物Sに霧を吹いたり水をかけたりした状態にし、その後で調理室14に熱風を送り込んで被調理物Sを加熱することで、被調理物Sの内部をしっとりさせた状態で、被調理物Sの外部をパリッと仕上げることが可能になる。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更可能である。例えば蒸気発生装置33の構成は、上記実施形態で説明したものに限らず、過熱蒸気や飽和蒸気を生成できるものであればどのような構造であっても構わない。また熱風ユニット24についても、調理室内に熱風を送り込むものであればどのような構造であっても構わない。