JP6537184B2 - 空気入りタイヤ - Google Patents

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本発明は、インナーライナの省略により軽量化を実現しながらもエア保持性能を確保して、優れた運動性能を発揮できる空気入りタイヤに関する。
サーキットで使用される競技用空気入りタイヤ(レーシングタイヤ)として優れた運動性能を発揮するには、タイヤの軽量化と高剛性化が有効である。この点について、本発明者は、通常のタイヤ構造においてタイヤ内腔面を構成するインナーライナを省略し、それによって軽量化を図ることを考えた。しかし、インナーライナの省略はエア保持性能の悪化を招来するため、これを改善する必要があった。
特許文献1には、競技用ではないが、インナーライナを省略した空気入りタイヤが記載されている。このタイヤでは、エア保持性能を確保するために、タイヤ内腔面を構成するカーカスプライに関して、その内面側のトッピングゴムをエア保持性能に優れるゴムで形成し、その外面側のトッピングゴムを内面側とは異なるゴムで形成している。この技術では、カーカスプライを特殊な構造にする必要があるため、実用上の適用範囲が大幅に制限される。
特開2006−159944号公報
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、インナーライナの省略により軽量化を実現しながらもエア保持性能を確保して、優れた運動性能を発揮できる空気入りタイヤを提供することにある。
上記目的は、下記の如き本発明により達成することができる。即ち、本発明に係る空気入りタイヤは、ビード部に設けられた環状のビードコアと、前記ビードコアのタイヤ径方向外側に設けられたビードフィラーと、互いに積層された2枚のカーカスプライを含み、その各々が前記ビードコアを介してターンアップされているカーカス層と、前記カーカス層のタイヤ径方向外側に設けられたベルト層と、を備え、前記カーカス層がタイヤ内腔面を構成しており、少なくとも1枚の前記カーカスプライが、前記ベルト層の側方端よりもタイヤ幅方向内側に配置された超ハイターンアップ端を有し、有機繊維の不織布をゴム被覆してなる補強層が前記カーカスプライの内面または外面に設けられており、前記補強層の上端が前記超ハイターンアップ端よりもタイヤ幅方向内側に配置され、前記補強層の下端が前記ビードフィラーの上端よりもタイヤ径方向内側に配置されているものである。
この空気入りタイヤでは、カーカス層がタイヤ内腔面を構成しており、インナーライナの省略によって軽量化を実現できる。また、カーカス層が超ハイターンアップ構造を有するため、タイヤの高剛性化に資する。本発明者の知見によれば、かかるインナーライナレス構造のタイヤでは、ベルト層の側方端からビードフィラーの上端に亘る領域においてエアが透過しやすいが、かかる領域をカバーするように補強層が設けられているので、エア保持性能が確保される。補強層は有機繊維の不織布をゴム被覆してなるため、タイヤの軽量化に資する。
前記補強層が前記カーカス層の内面に設けられているものが好ましい。かかる構成によれば、撓み変形が比較的大きいカーカス層の内面に補強層が設けられることにより、エア保持性能を確保しながら、剛性を高めて運動性能を良好に向上できる。
前記超ハイターンアップ端と前記補強層の上端とのタイヤ幅方向における距離が、前記超ハイターンアップ端と前記ベルト層の側方端とのタイヤ幅方向における距離と同じかそれよりも大きいものが好ましい。これにより、超ハイターンアップ端から適度に離して補強層の上端が配置されるため、部材端を起点とする故障に起因した耐久性の悪化を防ぐことができる。
前記ビードフィラーの上端と前記補強層の下端とのタイヤ径方向における距離が、前記ビードフィラーの高さの20%以上であるものが好ましい。これにより、ビードフィラーの上端から適度に離して補強層の下端が配置されるため、部材端を起点とする故障に起因した耐久性の悪化を防ぐことができる。
エア保持性能を良好に確保するうえで、前記補強層の不織布を被覆するゴムがブチルゴムであることが好ましい。
本発明に係る空気入りタイヤの一例を示すタイヤ子午線半断面図 図1の要部を示す拡大図
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
図1,2に示した空気入りタイヤTは、一対のビード部1と、そのビード部1の各々からタイヤ径方向外側に延びるサイドウォール部2と、そのサイドウォール部2の各々のタイヤ径方向外側端に連なるトレッド部3と、ビード部1に設けられた環状のビードコア1aと、そのビードコア1aのタイヤ径方向外側に設けられたビードフィラー1bとを備える。ビードコア1aは、鋼線等の収束体をゴム被覆してなり、ビードフィラー1bは、タイヤ径方向外側に向かって先細りとなる断面三角形状のゴムで形成されている。
空気入りタイヤTは、更に、一対のビード部1の間に配置されて全体としてトロイド状をなすカーカス層4を備える。カーカス層4は、互いに積層された2枚のカーカスプライ41,42を含み、その各々がビードコア1aを介してターンアップされている。このカーカスプライ41,42は、それぞれトレッド部3からサイドウォール部2を経てビード部1に至るとともに、ビードコア1aを挟むようにしてタイヤ幅方向内側から外側に巻き上げられている。
カーカスプライ41,42は、それぞれタイヤ周方向に対して傾斜して延びるコードを有し、カーカス層4は、そのコードが互いに逆向きとなるように積層されたバイアス構造を有する。タイヤ周方向に対するコードの傾斜角度は、例えば60〜80°に設定される。カーカスプライ41,42のコードには、例えば、スチールコード、または、ポリエステル、レーヨン、ナイロン、アラミドなどの有機繊維コードが使用される。
空気入りタイヤTは、更に、カーカス層4のタイヤ径方向外側に設けられたベルト層5を備える。ベルト層5は、タイヤ周方向に対して傾斜して延びるコードを有し且つそのコードが互いに逆向きとなるように積層された2枚のベルトプライ51,52を含む。タイヤ周方向に対するコードの傾斜角度は、例えば20〜30°に設定される。側方端5Eは、ベルト層5を構成するベルトプライのうち最も幅広のベルトプライ(本実施形態ではベルトプライ51)の端を指す。
ベルト層5のタイヤ径方向外側には、ベルト層5よりも幅広に設けられたベルト補強層6が設けられている。ベルト補強層6は、タイヤ周方向に対して実質的に平行に延びるコードを有するキャッププライにより構成されている。タイヤ周方向に対するコードの傾斜角度は、好ましくは10°以下、より好ましくは3°以下に設定される。ベルト補強層6は、例えば、1本または複数本のコードをゴム被覆してなる長尺状のゴム部材を螺旋状に巻回することにより形成される。
このタイヤTは、競技用空気入りタイヤとして優れた運動性能(主にトラクション性能やコーナリング性能)を発揮できるように、特には高い駆動力や横力が作用したときの接地面積を確保できるように、ラジアルタイヤと同様のベルト層をバイアス構造と併用したセミラジアルタイヤとして構成されている。
この空気入りタイヤTは、通常のタイヤ構造においてタイヤ内腔面を構成するインナーライナを省略したインナーライナレス構造を有する。インナーライナが設けられていないため、タイヤの内腔9にはカーカス層4が面し、カーカス層4がタイヤ内腔面を構成している。かかるインナーライナの省略により、タイヤの軽量化が実現される。
本実施形態では、カーカスプライ41が、ベルト層5の側方端5Eよりもタイヤ幅方向内側に配置された超ハイターンアップ端41Eを有する。このようなカーカスプライ41がベルト層5とオーバーラップした超ハイターンアップ構造により、タイヤの高剛性化、特には前後剛性と横剛性の向上効果が得られる。超ハイターンアップ端を有するのは、少なくとも1枚のカーカスプライでよい。したがって、カーカスプライ41に代えてまたは加えて、カーカスプライ42のターンアップ端(巻き上げ端)を側方端5Eよりタイヤ幅方向内側に配置しても構わない。
また、本実施形態では、有機繊維の不織布をゴム被覆してなる補強層7(不織布補強層)がカーカスプライ41の内面に設けられている。有機繊維には、ポリエステルやレーヨン、ナイロン、アラミドなどのモノフィラメント繊維を使用可能である。有機繊維の不織布を補強層7として使用することは、タイヤTの軽量化を図るうえで有利である。補強層7は、複数層の不織布で構成してよいが、軽量化の観点から1層の不織布で構成することが好ましい。不織布を被覆するゴムは、エア保持性能に優れるゴムが好ましく、具体的にはブチルゴムが好ましい。
本明細書において、ビードフィラー1bなどの部材の上端は、その部材のタイヤ径方向外側の端を指し、下端は、その部材のタイヤ径方向内側の端を指す。補強層7の上端7Euは、超ハイターンアップ端41Eよりもタイヤ幅方向内側に配置されている。また、補強層7の下端7Edは、ビードフィラー1bの上端1bEよりもタイヤ径方向内側に配置されている。補強層7は、タイヤ子午線断面において上端7Euから下端7Edまで連続して延び、タイヤ周方向に沿って環状に設けられている。補強層7は、タイヤ幅方向の両側に設けられることが好ましい。
インナーライナを省略したタイヤでは、エア保持性能の低下が懸念され、中でもベルト層5の側方端5Eからビードフィラー1bの上端1bEに亘る領域においてエアが透過しやすい傾向にある。その理由は、ビード部1にはビードフィラー1bが設けられ、トレッド部3にはベルト層5やベルト補強層6が設けられるのに対し、それらの間となる上記領域では部材数が少なくてゴム厚が比較的小さいためと考えられる。そこで、この空気入りタイヤTでは、上記領域をカバーするように補強層7を設けており、それによってエア保持性能の確保を図っている。
本実施形態の補強層7は、積層された2枚のうち内面側に配置されたカーカスプライ41の内面、即ちカーカス層4の内面に設けられ、その補強層7によってタイヤ内腔面の一部が構成されている。かかる構成によれば、撓み変形が比較的大きいカーカス層4の内面に補強層7が設けられるので、エア保持性能を確保しながら、剛性を高めて運動性能を良好に向上できる。補強層7は、カーカスプライ41,42の内面または外面に設けられる。したがって、カーカスプライ41の外面(即ち、カーカスプライ42の内面)や、カーカスプライ42の外面に補強層7を設けることも可能である。
超ハイターンアップ端41Eと補強層7の上端7Euとのタイヤ幅方向における距離D1が、超ハイターンアップ端41Eとベルト層5の側方端5Eとのタイヤ幅方向における距離D2と同じかそれよりも大きいことが好ましい。これにより、超ハイターンアップ端41Eから適度に離して上端7Euが配置されるため、部材端を起点とする故障に起因した耐久性の悪化を防ぐことができる。距離D1は、距離D2の二倍以下であることが好ましく、これを超えると補強層7が必要以上に大きくなり、タイヤの軽量化を図るうえで無駄が生じる。距離D2は、例えば10〜20mmに設定される。
ビードフィラー1bの上端1bEと補強層7の下端7Edとのタイヤ径方向における距離D3が、ビードフィラー1bの高さH1bの20%以上であることが好ましい。これにより、ビードフィラー1bの上端1bEから適度に離して補強層7の下端7Edが配置されるため、部材端を起点とする故障に起因した耐久性の悪化を防ぐことができる。距離D3は、高さH1bの80%以下であることが好ましく、これを超えると補強層7が必要以上に大きくなり、タイヤの軽量化を図るうえで無駄が生じる。高さH1bは、例えばタイヤ断面高さTHの30〜60%に設定される。
本実施形態では、互いに積層された2枚のカーカスプライ41,42のうち、一方のカーカスプライ41のみが超ハイターンアップ端を有し、他方のカーカスプライ42はビードフィラー1bのタイヤ幅方向外側に配置されたターンアップ端42Eを有する。ビードフィラー1bの上端1bEとターンアップ端42Eとのタイヤ径方向における距離L4は、例えばビードフィラー1bの高さH1bの30〜70%である。
競技用空気入りタイヤとして好ましい構造にするべく、スチールコードを有するスチールサイドプライ8が、カーカス層4のターンアップ部分(巻き上げられた部分)とビードフィラー1bとの間に設けられている。タイヤ周方向に対するスチールコードの傾斜角度は、例えば20〜40°に設定される。補強層7の下端7Ed、カーカスプライ42のターンアップ端42E、ビードフィラー1bの上端1bEは、タイヤ径方向に互いに離れた位置に配置されている。
スチールサイドプライ8の上端8Euは、ビードフィラー1bの上端1bEよりもタイヤ径方向外側に配置され、例えばビードベースラインBLからタイヤ断面高さTHの30〜50%の範囲に配置される。スチールサイドプライ8の下端8Edは、ビードコア1aと補強層7の下端7Edとの間に配置されている。詳しくは、下端8Edが、ビードコア1aの上端よりもタイヤ径方向外側に、且つ、補強層7の下端7Edよりもタイヤ径方向内側に配置されている。
サイドウォール部2の外表面を構成するサイドウォールゴム11のJISA硬度(JISK6253のデュロメータ硬さ試験(タイプA)に準じて25℃で測定した値)は、60°以上であることが好ましく、70°以上であることがより好ましい。これによりサイドウォール部2の剛性を高めて、競技用空気入りタイヤとして有用な構成にできる。このタイヤTでは、トレッド部3の外表面を構成するトレッドゴム10の端部にサイドウォールゴム11の端部を載せてなるサイドオントレッド構造を採用しているが、これに限定されない。
上述した部材端の位置関係やタイヤ断面高さTHなどは、タイヤを適用リムに装着し、所定内圧を適用した無負荷状態において定められる。適用リムは、タイヤが生産され、使用される地域に有効な産業規格であって、日本ではJATMAYEAR BOOK、欧州ではETRTOSTANDARD MANUAL、米国ではTRAYEAR BOOK等に規定されたリムを指す。所定内圧は、適用サイズのタイヤにおけるJATMA等の規格のタイヤ最大負荷能力に対応する空気圧(最高空気圧)を指す。
本発明に係る空気入りタイヤは、上記の如き作用効果により、軽量化を実現しながらもエア保持性能を確保して、優れた運動性能を発揮しうることから、競技用車両に装着される競技用空気入りタイヤとして有用である。
本発明は上述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変更が可能である。
以下、本発明の構成と効果を具体的に示す実施例について説明する。タイヤの各性能評価は、次のようにして行った。
ラップタイム(運動性能)
実車(レース専用車両)にタイヤを装着し、プロドライバーの運転によるクローズドサーキットの周回タイムを計測した。比較例1の結果を100として指数で評価し、数値が大きいほどラップタイムが速く、運動性能に優れていることを示す。
エア保持性能
標準内圧をかけたタイヤを温度管理された部屋に3ヶ月間放置して、その後の内圧を測定し、当初の内圧に対する比率(エア保持率)を求めた。比較例1の結果を100として指数で評価し、数値が大きいほどエア保持率が高く、エア保持性能に優れていることを示す。
評価に供したタイヤは、サイズ285/650R18の乾燥路面用レースタイヤであり、表1に示した仕様を除いて、各例におけるタイヤ構造やゴム配合は共通である。表1の「補強層の位置」において、「内面」は、補強層がカーカス層の内面に設けられた構造(図1,2参照)を指し、「外面」は、補強層がカーカス層の外面に設けられた構造を指す。評価結果を表1に示す。
Figure 0006537184
表1に示すように、実施例1〜6では、いずれも比較例1よりもラップタイムが良く、インナーライナの省略による軽量化に基づき、優れた運動性能を発揮できている。それでいて、上記の如き不織布補強層を設けたことにより、エア保持性能を確保できている。
1 ビード部
1a ビードコア
1b ビードフィラー
2 サイドウォール部
3 トレッド部
4 カーカス層
5 ベルト層
5E ベルト層の側方端
6 ベルト補強層
7 補強層
7Ed 補強層の下端
7Eu 補強層の上端
8 スチールサイドプライ
9 内腔
11 サイドウォールゴム
41 カーカスプライ
41E 超ハイターンアップ端
42 カーカスプライ

Claims (5)

  1. ビード部に設けられた環状のビードコアと、
    前記ビードコアのタイヤ径方向外側に設けられたビードフィラーと、
    互いに積層された2枚のカーカスプライを含み、その各々が前記ビードコアを介してターンアップされているカーカス層と、
    前記カーカス層のタイヤ径方向外側に設けられたベルト層と、を備え、
    前記カーカス層がタイヤ内腔面を構成しており、
    少なくとも1枚の前記カーカスプライが、前記ベルト層の側方端よりもタイヤ幅方向内側に配置された超ハイターンアップ端を有し、
    有機繊維の不織布をゴム被覆してなる補強層が前記カーカスプライの内面または外面に設けられており、前記補強層の上端が前記超ハイターンアップ端よりもタイヤ幅方向内側に配置され、前記補強層の下端が前記ビードフィラーの上端よりもタイヤ径方向内側に配置されている空気入りタイヤ。
  2. 前記補強層が前記カーカス層の内面に設けられている請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  3. 前記超ハイターンアップ端と前記補強層の上端とのタイヤ幅方向における距離が、前記超ハイターンアップ端と前記ベルト層の側方端とのタイヤ幅方向における距離と同じかそれよりも大きい請求項1又は2に記載の空気入りタイヤ。
  4. 前記ビードフィラーの上端と前記補強層の下端とのタイヤ径方向における距離が、前記ビードフィラーの高さの20%以上である請求項1〜3いずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
  5. 前記補強層の不織布を被覆するゴムがブチルゴムである請求項1〜4いずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
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