JP6540359B2 - 焼結鉱製造用改質炭材およびそれを用いた焼結鉱の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、焼結鉱製造用改質炭材およびそれを用いた焼結鉱の製造方法に関する。
焼結鉱は、銑鉄を製造する主要鉄源であり、高炉原料としてその大部分を占める。その製造方法は、以下の通りである。
先ず、10mm以下の粉粒状の鉄鉱石、石灰石および炭材などの焼結原料を混合して得られた配合原料を造粒したのち焼結パレットに装入することで、層厚が500mm程度の充填層を形成する。そして、充填層表面の固体燃料に点火バーナーで点火し、充填層の下方から大気中の空気を吸引することで焼結化を開始する。焼結は、配合原料中の炭材を燃焼させて発熱させ、この熱により鉄鉱石と石灰石とを部分溶融させることにより行われる。最後に、得られた焼結化物を破砕することで、20mm程度の焼結鉱が得られる。
上記の焼結鉱の製造方法は、安価、かつ大量、簡単に、粉粒状の焼結原料を塊状化できる優れた方法である。一方で、焼結時には炭材の燃焼を伴うため、大量の空気を消費して排ガスを大気に放出している。大気に放出した排ガスには、大気汚染物質、とりわけ窒素酸化物(NOx)を多量に含有しており、これを低減することが大きな課題であり、数多くの技術開発がなされている。
焼結機におけるNOx低減方法には、発生した排ガス中のNOxを脱硝設備で分解除去する方法と、焼結過程でのNOxの発生そのものを抑制する方法とに大別される。前者は、膨大かつ複雑な処理設備が必要になり、容積的にも経済的にも難点がある。
後者の焼結過程でのNOx抑制方法には、原料の事前処理による方法と、排ガス循環などに代表される充填層の表層に排ガスを吸引させる方法とがある。いずれの方法もNOxの発生を抑制させると、炭材の燃焼が遅延して、焼結鉱の生産性が大きく低下するという問題点がある。このため、そのNOx抑制効果を十分に享受できず、NOx低減効果は現状20%前後に留まっている。
原料の事前処理による方法としては、一般的には炭材の粒度制御が挙げられる。焼結過程でのNOxの生成は、充填層中の炭材、主にはコークスであるが、このコークス(主成分は炭素、一部窒素を含有)が充填層を通過する空気(O、N)によって、燃焼反応(C+O→CO)を起こすときに、窒素酸化反応(N+1/2O→NO)も同時に引き起こすことで説明される。
しかし、上記燃焼反応においてOの供給が悪く、Oポテンシャルが低い場合には、窒素酸化反応は起きず、NOxは発生しない。この場合、窒素分子が生成する反応が生じる(2N→N)。即ち、NOxが生成される基本要因は、炭材中の窒素にあるが、この窒素がNOxになるかNになるか(NOx転換率)は、燃焼場周辺のOポテンシャルに影響を受ける。
このとき、炭材の粒度が小さいと、炭材と空気との接触が良好になって、燃焼速度は速く、NOx転換率も高くなる。逆に、炭材の粒度が大きいと、炭材と空気との接触が悪くなって、燃焼速度は遅く、NOx転換率も低くなる。このため、焼結における適性な炭材の粒度は、粗粒と粉状物を除いた0.5〜3mmが良好とされている。そして、炭材の粒度が、できるだけ上記範囲内に入るように、炭材を破砕・分級したり、バインダーを添加した造粒処理などが施されている。しかし、上記のような粒度変更を前提とした燃焼速度およびNOx転換率の制御方法では、単純な適性化を実施しているだけで、結局は中程度の燃焼速度と中程度のNOx転換率を目指す技術に過ぎず、高い燃焼速度と低いNOx転換率とを両立し、高生産率で大幅なNOx低減を果たすことはできない。
焼結鉱に関して以下のような技術が開示されている。
特許文献1,2には、粒コークスの周囲に数百ミクロン厚の被覆層を形成し、この被覆層の溶融や分解触媒作用によりNOxを低減する技術が開示されている。
また、特許文献3には、細粒コークスと粗粒石炭にセメントや高炉水砕スラグなどを添加し造粒・養生した粒状燃料の製造方法が開示されている。
また、特許文献4には、鉄鉱石と炭材と石灰石を混合して製造した成形物を焼結原料の一部として活用し、部分還元焼結鉱を製造する技術が開示されている。
特許文献5は、粉コークスに、凝結剤を配合して転動造粒するに際して、粗粒粉コークスを所定量含有させることが開示されている。
特許文献6には、微粉コークスにポルトランドセメントなどの強度発現剤および水分を添加し、予備造粒することで細粒に造粒し、細粒を転動して小径球状粒に整粒し、更に養生することで小ペレットを製造することが開示されている。
特許文献7は、粒状炭素源とバインダーとを混合、造粒して、バインダーでコーティングされた不燃性塊状炭素源を形成し、これを焼結原料に添加することが開示されている。
国際公開第2011/129388号 特開2012−172067号公報 特開昭62−220590号公報 特開2002−226920号公報 特開昭59−39333号公報 特開昭54−127902号公報 特開2001−262241号公報
しかし、上記特許文献1,2の技術は、粒状コークスから発生したNOxを低減するものであって、粉状コークスを対象としたものではない。
また、上記特許文献3は、運搬上の問題が発生しないような粒状の燃料を製造するための条件を明示したに過ぎず、焼結操業を改善する目的、ましてや焼結操業時のNOx低減を意識して条件が設計されたものではない。
また、上記特許文献4は、m−Feを含有した高FeO成分の特殊な還元焼結鉱を製造するための高炭材使用の還元焼結技術であって、通常高炉で使用されている被還元性の良質な焼結鉱を対象とするものではない。
また、上記特許文献5は、微細粉コークスの効率的な造粒を図るために、粗粒粉コークスを所定量配合しているに過ぎず、焼結操業時のNOx低減を意識して条件が設計されたものではない。
また、上記特許文献6は、未利用コークス集塵粉を有効利用して焼結燃料用粉コークスの代替えとするものであり、焼結操業時のNOx低減を意識して条件が設計されたものではない。
また、上記特許文献7は、多量の炭素源を含有する含炭焼結鉱を製造するためであり、NOx低減を考慮したものではない。
本発明の目的は、高生産率で排ガス中のNOxの発生量を抑制し得る、焼結鉱製造用改質炭材およびそれを用いた焼結鉱の製造方法を提供することである。
前述のごとく、一般に焼結過程でのNOxはFuel−NOxとされ、その発生起源は炭材中の窒素にあるとされている。このため、炭材中の窒素量が低ければ、或いはNOx転換率が低ければ、NOx生成量は低下する。
焼結原料に使用される炭材は、粒径が8mm以下であるが、粉状物(粒径0.25mm以下)と粒状物(粒径0.25〜8mm)とが混合しており、質量比で35/65程度である。
焼結原料である造粒原料の形態に関しては、図1(A)に示すように、粒状の炭材粒子1にあっては造粒物の核となり、その周囲に粉状鉱石2が被覆された構造(S型)をとる。S型構造物3のNOx転換率は、被覆層の層厚や組成に影響を受ける。
一方、粉状の炭材粒子にあっては粉状鉱石と混合された場合には被覆層を形成するが、粒状物が存在しない粉状原料だけの造粒の場合、図1(B)に示すように、P型と称する核を有しない構造のP型構造物4となる。
本発明者は、炭材の燃焼速度の向上とNOx転換率の大幅低下を目指し、粒径0.25mm以下の粉状炭材を基にするP型造粒物粒子における適性な条件を明確にし、その製造方法を見出し、本発明を完成させたものである。
本発明の要旨は以下の通りである。
[1]炭材、鉄鉱石、および石灰水硬性バインダーを含む原料の造粒物であって、以下のA)〜D)を満たすことを特徴とする焼結鉱製造用改質炭材。
A)前記造粒物を構成する粒子の水洗粒度0.25mm以下の割合が85質量%以上
B)前記造粒物の炭素含有量が21質量%以上68質量%以下
C)前記造粒物のCaO含有量が4質量%以上15質量%以下
D)前記造粒物の粒度が10mm以下
ただし、前記水洗粒度は、造粒形成直後の前記造粒物を縮分により約500g採取し、これを水洗解砕装置に入れ、水流を供給しながら10分間篩分級し、次に乾燥器(105℃、2h以上)にて乾燥したあと、ロータップ篩振とう機を使用して、JIS標準篩(径200mm)により粒度分布を計量して算出する。
[2]前記焼結鉱製造用改質炭材にCaおよびFeの酸化物で構成されるカルシウムフェライトを含有していることを特徴とする[1]に記載の焼結鉱製造用改質炭材。
[3]前記焼結鉱製造用改質炭材に焼結返鉱を含有していることを特徴とする[1]又は[2]に記載の焼結鉱製造用改質炭材。
[4]前記造粒物の含有水分が10質量%以上であることを特徴とする[1]乃至[3]のいずれかに記載の焼結鉱製造用改質炭材。
[5]前記造粒物を構成する原料が、事前に混合粉砕されていることを特徴とする[1]乃至[4]のいずれかに記載の焼結鉱製造用改質炭材。
[6]焼結用原料の炭材の一部または全部に[1]乃至[5]のいずれかに記載の焼結鉱製造用改質炭材を使用することを特徴とする焼結鉱の製造方法。
[7]焼結用原料の炭材から0.25mm以下の部分の一部または全量を分離し、分離された0.25mm以下の炭材を用いて[1]乃至[5]のいずれかに記載の焼結鉱製造用改質炭材を製造し、前記焼結鉱製造用改質炭材と残部の炭材とを用いることを特徴とする焼結鉱の製造方法。
[8]ドラムミキサーによる前記焼結用原料の造粒に際して、前記ドラムミキサーに水分が添加された時点以降最後端に到達するまでの造粒時間である水分添加後造粒時間に対して、前記焼結鉱製造用改質炭材は、前記最後端に到達するまでの造粒時間前記水分添加後造粒時間の20.8%以内となるように、前記ドラムミキサーに投入されることを特徴とする[6]又は[7]に記載の焼結鉱の製造方法。
本発明によれば、造粒物を構成する粒子の水洗粒度、炭素含有量、CaO含有量、および造粒物の粒度を調整することにより、炭材燃焼速度を低下させることなくNOx発生を抑制できる焼結鉱製造用改質炭材が得られる。かかる焼結鉱製造用改質炭材を焼結用原料の炭材に用いることで、焼結生産性を低下させることなく、かつ、NOx発生量を抑制しつつ、低FeO成分の高品質な焼結鉱を製造できる。
焼結炭材造粒物の構造を示す概略図であり、(A)はS型構造物を、(B)はP型構造物を示す。 小型焼結反応実験装置の概略図。 炭材にS型造粒物を用いた焼結実験における被覆組成および被覆率と、NOx転換率および最大燃焼速度との関係を示す図。 炭材にP型造粒物を用いた焼結実験における炭材配合率と、NOx転換率および最大燃焼速度との関係を示す図。 P型造粒物におけるCaO濃度と、NOx転換率および最大燃焼速度との関係を示す図。 P型造粒物における石灰水硬性バインダー種類と、NOx転換率および最大燃焼速度との関係を示す図。 鉄鉱石の種類をヘマタイト鉄鉱石、CaO・Feおよび焼結返鉱に変更した場合のNOx転換率と燃焼速度の変化を示す図。
以下、粒度は直径を意味する。粉状、粉とは0.25mm未満、その粒度を有する粒子をいう。粒状、核とは0.25mm以上8mm以下、その粒度を有する粒子をいう。百分率は質量%を意味する。また、FeOxはFe酸化物を示し、xは1.0から1.5で表記される酸化度を示すもので、FeOやFeやFeなどを示す。
(焼結鉱製造用改質炭材)
本発明に係る第1の態様は、焼結鉱製造用改質炭材(以下、単に「改質炭材」という場合もある。)が、炭材、鉄鉱石、および石灰水硬性バインダーを含む原料の造粒物であって、以下のA)〜D)を満たすことを特徴とする
A)前記造粒物を構成する粒子の水洗粒度0.25mm以下の割合が85質量%以上
B)前記造粒物の炭素含有量が21質量%以上68質量%以下
C)前記造粒物のCaO含有量が4質量%以上15質量%以下
D)前記造粒物の粒度が10mm以下
なお、上記原料以外に、ドロマイトなどの副原料やスケールなどの雑原料を、本発明の効果を損なわない範囲で加えてもよい。
上記A)からD)までの条件の探索にあたっては、図2に示す、カーボン燃焼速度とNOx転換率との測定が可能な小型焼結反応実験装置10を用いた。この小型焼結反応実験装置10は、反応セル11と、反応セル11の周囲に設けられたヒータ12と、ガス組成分析計13とを備えている。反応セル11は、円筒状であり、その内部の下方側には、目皿14が設置されている。本実施形態で使用した反応セル11は、内径が36mmである。また、反応セル11の上端側には空気導入孔15が、下端側にはガス排出孔16がそれぞれ設けられている。また、ガス排出孔16とガス組成分析計13とは配管を介して接続され、ガス排出孔16から排出された排ガスが、ガス組成分析計13に導入されるように構成されている。
上記小型焼結反応実験装置10を用いた実験では、先ず、反応セル11の上方からアルミナ球を充填してアルミナ球熱交換層17を形成する。次いで、配合原料を50g充填し、アルミナ球熱交換層17の上に、配合原料充填層18を約20mmの高さで形成する。そして、アルミナ球を充填し、配合原料充填層18の上に、アルミナ球予熱層19を形成する。
次に、ヒータ12で反応セル11を900℃に加熱保持するとともに、空気導入孔15から反応セル11の内部に空気を20NL/minの流量で導入して、配合原料充填層18内の炭材を燃焼させる。そして、この燃焼で排出される排ガスをガス排出孔16からガス組成分析計13に送り、排ガス(CO,CO,NOx)の濃度変化を測定する。
この測定結果から、最大燃焼速度(%/s)とNOx転換率(mol%)=(ガス(NOx)・原料[C])/(ガス(CO+CO)・原料[N])とを算出し評価できるものである。ただし、石灰石から生成するCOは控除する。
上記小型焼結反応実験装置10を用いて、ヘマタイト鉄鉱石、石灰石および炭材造粒物を混合した配合原料について焼結実験を行った。ヘマタイト鉄鉱石、石灰石および炭材造粒物の配合率を以下の表1に示す。また、焼結実験で使用した炭材造粒物は、S型造粒物およびP型造粒物である。使用したS型造粒物およびP型造粒物の構成を以下の表2に示す。
図3に炭材にS型造粒物を用いた焼結実験の評価結果を示す。図3(A)および(B)は、被覆率を10%にしたときの被覆組成と、NOx転換率および最大燃焼速度との関係を示す図である。図3(C)および(D)は、被覆組成CaO/Feを質量比で40/60にしたときの被覆率と、NOx転換率および最大燃焼速度との関係を示す図である。なお、図3(A)〜(D)において、白抜きの丸印は、被覆率が0%である、被覆なしの粒状コークス(非被覆コークス)の結果を示している。
図3から、被覆率0%の非被覆コークスの場合、NOx転換率は約30%程度であるが、粒状コークスの周囲に被覆層を形成させると若干低下する傾向がある。特に、CaO−Fe系被覆層においてNOx転換率が低下する傾向が認められ、最大でNOx転換率は20%まで低下した。一方、最大燃焼速度は1.8%/s程度にとどまっており、被覆層の層厚や組成には大きな影響を受けていない。
Figure 0006540359
Figure 0006540359
次に、炭材にP型造粒物を用いた焼結実験の評価結果を図4に示す。図4(A)および(B)は、炭材配合率と、NOx転換率および最大燃焼速度との関係を示す図である。図4では、P型造粒物として、8mmサイズの圧縮成形物(径10mm,厚さ5mmのタブレット)と、3mmサイズの皿型ペレタイザーによる造粒物(径3mmの球状ペレット)との評価結果を示している。
図4から、炭材(粉状コークス)の配合率が25質量%以下では、NOx転換率が高い結果になった。一方で、炭材(粉状コークス)の配合率が25質量%以上80質量%以下の範囲内では、NOx転換率が大幅に低下し、また最大燃焼速度も1.8%/min程度であり、その改善効果はS型造粒物よりも明確である。ここでP型造粒物には、小型パンペレタイザーを用いて製造した球状ペレットと、円筒状に圧縮成形して製造したタブレットを示している。このうち、タブレットのNOx転換率は10%以下にまで低下しており、より緻密に強固に造粒したタブレットの方が改善効果が大きい結果となった。
これら結果の作用は以下のように考えられる。
P型造粒物におけるコークスの配合率が80質量%を超える場合は、粒状コークス、すなわちS型造粒物と類似した燃焼反応となる。一方で、コークスの配合率が25質量%未満の場合は、NOx転換率が高く、また炭材中の炭素が空気中の酸素によって燃焼して発熱しても、造粒物中の炭材比率が低いため、周囲の鉄鉱石に吸熱されてしまって熱集積が進まず、低温で緩慢な燃焼となってしまう。一般的な焼結配合原料の炭材配合率は4質量%程度であるが、ここでの粒度0.25mm以下の炭材粒子のNOx転換率が高い理由と同様である。
しかし、コークスの配合率が25質量%以上80質量%以下と、造粒物中にコークスと鉄鉱石およびバインダーとが適度に存在する場合では、造粒物の内部において、造粒物の周囲に存在する空気との接触が悪い状態になる。
この場合、炭材の燃焼反応は、複雑な形態を取る。たとえば、鉄鉱石が、Feの場合、炭材の燃焼反応は、以下の反応式(1)、(2)に示す形態を取る。
C+Fe→CO+2FeO、2N→N (造粒物内部:炭素還元反応)…(1)
CO+1/2O→CO (造粒物周辺域:CO燃焼反応)…(2)
即ち、P型造粒物の内部は緻密なので、造粒物内部の粉状コークス中の炭素は、造粒物の周囲に存在する空気中の酸素によって燃焼するのではなく、造粒物の内部の鉄鉱石中のFeと上記反応式(1)の炭素還元反応を起こす。この反応によってCOが生成され、低いOポテンシャルを維持するため、炭材中で炭素と共存する窒素は、NOxではなくNを生成し、NOx転換率は大幅に低下する。そして、生成したCOは、造粒物の内部から外部へと放出され、造粒物周囲の空間で上記式(2)のCO燃焼反応が進行することにより、大きな発熱量が得られる。
このように、適度な鉄鉱石と炭材との配合率によって、2段階の反応が進行し、高い燃焼速度と低いNOx転換率とを得ることができる。しかし、上記反応式(1)の反応は粉体間の近接触反応であるため、鉄鉱石および炭材の粒度は粉状物(粒径0.25mm以下)が好ましく、よく接触できるように粉体間で混合された緻密な造粒物であることが重要である。
また、上記反応式(2)についても制約がある。造粒物の周囲に存在する空気と緻密な造粒物中の炭材との接触を拒むということは、造粒物の内部で発生するCOの逃場が無いということでもある。そこで、炭材と空気との燃焼温度(約600℃)では造粒物の内部にガス路は無いが、上記反応式(2)の反応開始(約800℃)以降では、造粒物の内部にガス路が形成されることが重要となる。このためには約800℃において、造粒物の内部の粒子間空隙に変化を与える仕掛けが必要である。石灰水硬性バインダーは、水和ゲルによって粉体空間を埋めて粉体粒子を結合する機能を有するが、この水和ゲルは約800℃において、熱分解してクラックを生じる特性がある。従って、P型造粒物の内部に石灰水硬性バインダーを添加しておけば、上記反応式(1)の反応によって生じたCOは、水和ゲルの熱分解によるクラックで形成されたガス路から、遅滞なく造粒物の外部へと放出され、燃焼する。このため、高い燃焼速度を保有することができる。
図5(A)および(B)にP型造粒物におけるCaO濃度と、NOx転換率および最大燃焼速度との関係を示す。
図5に示すように、消石灰(Ca(OH))の配合率が増加して、造粒物のCaO濃度が15質量%を越えると、NOx転換率が増加し、また、最大燃焼速度も低下してしまい、改善効果が逆に低下する傾向がある。また、CaO濃度が4質量%未満であるとバインダーが不足して強固な造粒物を作製できず、他の原料と混合することによって造粒物が崩壊してしまい、目的を達成できない。
上記探索結果を踏まえ、上記A)からD)までの適性な条件を以下のように設定した。
P型造粒物を構成する各粉粒子間の接触状態が重要であるため、その構成粒子の粒径は極めて重要である。そこで、条件A)は、造粒物を構成する粒子の水洗粒度0.25mm以下の割合が85質量%以上と規定した。この条件A)の造粒物を構成する粒子の水洗粒度は、造粒形成直後の造粒物を構成する粒子の水洗粒度である。この理由は、後述するように、改質炭材の製造方法では、炭材、鉄鉱石、および石灰水硬性バインダーを混合・粉砕した後に造粒する工程があり、また造粒後に水和固化を期待している面があるので、単純な方法で炭材や鉄鉱石の粒度を測定することは困難を伴うためである。そこで、造粒直後の造粒物を構成する粒子の粒度を正確に把握するため、水洗装置を用いて造粒物を構成する粒子まで解砕し、その粒度を測定する方法により規定した。
造粒物を構成する粒子の水洗粒度分布を測定する方法は以下の通りである。
先ず、造粒形成直後の造粒物を縮分により約500g採取し、これを測定試料とする。次いで、測定試料を水洗解砕装置に入れ、水流を供給しながら10分間篩分級する。次に、該試料を乾燥器(105℃、2h以上)にて乾燥したあと、ロータップ篩振とう機を使用して、JIS標準篩(径200mm)により粒度分布を計量算出する。
なお、水硬性バインダーの固化反応は遅いため、造粒形成直後、具体的には、造粒後6h以内であれば、水洗解砕装置の水流によるシャワーによって、構成する粒子にまで簡単に造粒物を解砕することができる。
造粒物を構成する粒子の水洗粒度は、望ましくは、全粒度が0.25mm以下であることが好ましいが、工業的には粒度0.25mm以下が85質量%以上でも十分に効果を発揮できる。
条件B)は、造粒物の炭素含有量が21質量%以上68質量%以下である。
この条件B)は、図4に示す、炭材配合率が25質量%以上80質量%以下の範囲内で、NOx転換率と最大燃焼速度とがともに良好な結果であったことに基づく。炭材としては、コークス以外に窒素の含有量が少ない無煙炭を用いてもよい。そこで、条件B)では、コークスの炭素含有量を85.5質量%と見なして、造粒物の炭素含有量を21質量%以上68質量%以下と規定した。
条件C)は、造粒物のCaO含有量が4質量%以上15質量%以下である。
この条件C)は、図5に示す結果に基づく。ここで、石灰水硬性バインダーとしては、Ca(OH)だけでなく、ポルトランドセメント、高炉水砕スラグ、生石灰などを用いてもよい。図6には、石灰水硬性バインダーについて、種々の種類を評価した結果を示す。図6(A)および(B)は、P型造粒物における石灰水硬性バインダー種類と、NOx転換率および最大燃焼速度との関係を示す図である。使用した種類は、CaO、Ca(OH)、ポルトランドセメント、高炉水砕スラグおよび製鋼KRスラグである。また、P型造粒物(圧縮成形物)であり、造粒物のCaO含有量を15質量%とした。
図6から、いずれの種類についても、図3、図4に示されるような低いNOx転換率と高い最大燃焼速度とが確認された。
条件D)は、造粒物の粒度が10mm以下である。
これは、造粒物の内部において、炭材の粉状物は高濃度に密集しているが、造粒物は炭材を配合した燃料源でもあるので、充填層内において適度な均一分散も必要な条件となる。すなわち、適度な集積単位で層全体では適度な均一分散を目指す必要がある。この点から造粒物の粒度は重要であり、条件D)において、造粒物の粒度を10mm以下に規定した。なお、造粒物の粒度が大き過ぎると、不均一性な状態になるとともに燃焼速度が低下する悪影響が現れる。
本発明に係る第2の態様は、改質炭材が、鉄鉱石に替わりCaO・FeOxで示されるカルシウムフェライト鉱物を含有することを特徴とする。
焼結鉱製造用炭材は、炭材、CaO・FeOxを含む鉄鉱石、石灰水硬性バインダーから構成されるが、鉄鉱石については特に規定しない第1の態様と異なり、FeOxで示されるFe、FeやFeO、などの単純な酸化鉄を主成分とする鉄鉱石でなく、CaO・FeOxで示されるカルシウムフェライト鉱物を含有する鉄鉱石が望ましい。これは、鉄鉱石中のFeOxと炭材Cの接触反応よりも、CaO・FeOxと炭材Cの接触反応の方が、Ca電子による加速効果により反応が活発に起こり、燃焼速度向上や転換率低減が効果的に達成されるためである。なお、この場合、たとえばCaO・Feでは、前述の(1)式は、下記になる。
C+CaO・Fe→CO+2CaO・FeO、2N→N
(造粒物内部:炭素還元反応)…(1)´
CO+1/2O→CO (造粒物周辺域:CO燃焼反応)…(2)
本発明に係る第3の態様は、改質炭材が、鉄鉱石に替わり焼結返鉱を含有することを特徴とする。
焼結鉱製造用炭材は、炭材、焼結返鉱、石灰水硬性バインダーから構成されるが、鉄鉱石については特に規定しない第1の態様と異なり、FeOxで示されるFe、FeやFeO、などの単純な酸化鉄を主成分とする鉄鉱石でなく、CaO・FeOxで示されるカルシウムフェライト鉱物を含有する焼結返鉱が好ましい。これによって、第2の態様に示したCaO・FeOxの効果を得るため、焼結鉱製造過程で成品篩下物として発生する焼結返鉱を活用できる。焼結ケーキの主要鉱物は、CaO・FeOxで示されるカルシウムフェライトと、FeOxで示されるヘマタイトとマグネタイトに大別される。その焼結ケーキを破砕・篩分を行い、成品焼結鉱と焼結返鉱に分離して回収される。従って、焼結返鉱には多量のCaO・FeOxが含有されており、その使用は第2の態様を満足させる。CaO・FeOxは自然界に存在する鉱物ではなく、鉄鉱石とCaO含有物とを事前に高温接触処理をすることにより製造できる物質である。焼結返鉱を活用することで、CaO・FeOxの製造プロセスを新たに設けることなく達成される様態である。
図7には、鉄鉱石の種類をヘマタイト鉄鉱石、CaO・Feおよび焼結返鉱に変更した場合のNOx転換率と燃焼速度に及ぼす影響を示す。炭材と石灰水硬性バインダーに添加する鉄鉱石として、CaO・Fe(CaO・FeOxの一種)又は焼結返鉱(CaO・FeOxを含有)を用いる炭材造粒物は、Fe(通常の鉄鉱石)を用いたものよりも低いNOx転換率を有し、好ましい実施形態である。
(改質炭材の製造方法)
改質炭材の製造は、鉄鉱石、炭材および石灰系水硬性バインダーを所望の炭素含有量およびCaO含有量となるように配合し、水を添加して、混合・造粒機を用いて造粒する。
本発明に係る第4の態様は、造粒物の含有水分が、10質量%以上である。NOx転換率の低減のためには、造粒物の内部の炭素と造粒物の周囲に存在する空気との燃焼反応をできるだけ抑制する必要があり、P型造粒物粒子外の昇温はそのままで、P型造粒物粒子内の昇温を遅くするために、10質量%以上の高い水分量とし、昇温を抑制させるためである。
コークスや鉄鉱石の一部を集塵ダストやペレット用鉄鉱石に代替してもよい。通常これらは粒度が0.25mm以下であるので、次の粉砕工程を省略できる。造粒は、皿型造粒機を用いることができる。造粒操作において、造粒物の粒度を10mm以下とするには、生産速度や、造粒水分を適宜調整することで調整が可能である。生産速度の低減、造粒水分の増加により、造粒物の粒度を増加させることができる。
本発明に係る第5の態様は、粒物を構成する原料を、事前に混合粉砕する。粉砕には、ボールミルなどを使用する。粉砕に際しては、原料を混合粉砕することが好ましい。これは、粒度を細かくするとともに、粒子同士の接触を高め、反応式(1)の反応を活発に行わせることで、NOx転換率が低下し、高い燃焼性を有するためである。なお、ボールミルと皿型造粒機との組み合わせに代えて、混合、破砕、および造粒の役割を一台で兼ね備えた高速撹拌ミキサーや、バイブロミキサー、振動ミルなどを使用することもできる。
(焼結鉱の製造方法)
本発明に係る第6の態様は、焼結鉱の製造において、焼結用原料の炭材の一部または全部に改質炭材を使用する。ここに、焼結用原料の炭材を改質炭材に振り替える比率に比例してNOxの低減効果は大きくなる。
本発明における焼結鉱の製造方法は、ドワイトロイド型(DL型)焼結機を用いた焼結法であり、焼結鉱成品のFeO成分が15質量%以下であることが好ましく、10質量%以下がより好ましい。高FeO成分の焼結鉱は、高炉操業における還元材比を上昇させる悪影響があり、できる限りFeO成分が低いことが望まれるためである。
本態様では、炭材と鉄鉱石による直接還元作用によってOポテンシャルを低下させることで、NOx転換率の低下とFeOの形成が図られるが、炭材中の炭素が反応した後は、形成されたFeOは酸化してFeOxに戻すとともに発熱させることが望まれる。そこで、前述した石灰水硬性バインダーの熱分解によるガス路の機能が求められる。即ち、このガス路は製造時の前半ではCOの排出路となるが、製造時の後半ではFeOを酸化させる空気路として機能し、焼結鉱のFeO成分を低下させるように働く。このように石灰水硬性バインダーは、FeO濃度を低減するためにも重要である。
本発明に係る第7の態様は、焼結用原料の炭材から0.25mm以下の部分の一部または全量を分離し、分離された0.25mm以下の炭材を用いて改質炭材を製造し、この改質炭材と残部の炭材とを焼結用炭材として用いる。本態様では、炭材中の微粉炭材の比率が減少するので、より大きなNOx低減効果が得られる。
本発明に係る第8の態様は、ドラムミキサーによる前記焼結用原料の造粒に際して、前記ドラムミキサーに水分が添加された時点以降最後端に到達するまでの造粒時間である水分添加後造粒時間に対して、前記焼結鉱製造用改質炭材は、前記最後端に到達するまでの造粒時間前記水分添加後造粒時間の20.8%以内となるように、前記ドラムミキサーに投入される。例えば、焼結原料の造粒に際しては、改質炭材の投入場所が、ドラムミキサー造粒設備において最後端から5m以内である。これは、造粒物は炭材を含有しており焼結配合原料の熱源となるので、最低限の混合操作は必要となるが、造粒物の強度が弱ければ他の原料との混合過程で崩壊し、その機能を果たせない部分が生じる。後述する実施例での検討では、造粒物の混合はドラムミキサーで25秒以内の混合であれは良好であり、逆算するとドラムミキサーの最後端から5m以内での投入であれば、良好な造粒物の維持が可能である。そこで、極力、造粒物の崩壊を抑制して他の原料と混合できる方法を採用することが望ましく、軽混合の処理が望ましい。
次に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明する。なお、本発明はこれらの実施例の記載内容に何ら制限されるものではない。
本発明の効果を焼結鍋試験より確認した。
(原料準備)
焼結鍋試験に使用した焼結原料の各銘柄の粒度分布を以下の表3に示す。炭材として炭素含有量が85.5質量%のコークスを選定し、粒度の異なる6種類のコークスA〜Fを使用した。なお、コークスDおよびコークスEは、コークスBを0.25mmの篩にて篩分けしたものであり、篩上がコークスD、篩下がコークスEである。鉄鉱石についても、粒径0.25mm以下が88%の粉状の鉄鉱石Aと、粉状物と粒状物とが混合した鉄鉱石Bの2種類を使用した。また、鉄鉱石の代わりに、CaO・Feおよび焼結返鉱も準備した。石灰水硬性バインダーには、生石灰を水和処理した、粒径0.25mm以下が100%のCa(OH)を使用した。
Figure 0006540359
表4に造粒物の配合の内訳を示す。また、表5に焼結鍋試験に用いた造粒物とその他の原料の配合を示す。表5において、造粒物とは、改質炭材であり、コークス単体とは、改質炭材に造粒されずに、単体として配合したコークスである。
Figure 0006540359
Figure 0006540359
(造粒物の製造方法)
表4に示す配合番号1〜3,17については、造粒処理なしである。即ち、造粒物は製造していない。配合番号1〜3で用意したコークスA〜Cの平均粒度は10mm以下であり、配合番号17で用意したコークスFの平均粒度は12.3mmである。
配合番号4〜16については、上記表4の造粒物内訳に示す割合で各原料を配合し、その配合物と7〜11.2質量%の水分とを高速撹拌ミキサーで60秒混合し、続いてパンペレタイザーで造粒し、10mm篩で粗大な造粒物を除去することで粒度が10mm以下の造粒物を製造した。造粒物構成粒子の水洗粒度、造粒物の炭素含有量、造粒物のCaO含有量は、上記表4の右側の各欄に示す通りである。
造粒物を構成する粒子の水洗粒度は、以下のように測定した。
先ず、造粒形成直後の造粒物を縮分して約500g採取して測定試料を得た。次いで、測定試料を、水洗解砕装置(フリッチュ・ジャパン社製、電磁式篩振とう機A−3 PRO)に入れ、水流を供給しながら10分間篩分級した。次に、該試料を乾燥器(105℃、2h以上)にて乾燥したあと、ロータップ篩振とう機(タナカテック社製:RS2型、振とう数246rpm,ハンマー打数123打数)を使用して、JIS標準篩(径200mm)により粒度分布を計量算出した。
なお、造粒物の炭素含有量は、上記表4の造粒物内訳欄の炭材比率(カッコ内の数値)に0.855を乗じた値である。
(配合原料の造粒方法)
表6に実験に用いた配合の特徴を示した。
表6に示す実験ケース1〜3,19では、造粒物を製造せずに、炭材としてコークスA〜C,Fを単純配合して得られた配合原料を用いた焼結実験を実施した。すなわち、上記表5に示すように、標準の配合原料として、63質量%の鉄鉱石B、13質量%の石灰石、20質量%の返鉱および4.0質量%の炭材を所定量秤取り、これら原料をドラムミキサーを用いて60秒混合したのち、最終7%水分となるように水分を添加した後、ドラムミキサーを用いて120秒間造粒した。なお、実験ケース1〜3,19の違いは、使用したコークスの粒度である。
実験ケース4〜18では、造粒物を配合して得られた配合原料を用いた焼結実験を実施した。すなわち、上記表5に示すように、標準の配合原料として、56〜63質量%の鉄鉱石B、10〜13質量%の石灰石、20質量%の返鉱Bおよび4.0〜11.6質量%の炭材(造粒物含む)を所定量秤取り、これら原料をドラムミキサーを用いて60秒混合したのち、最終7〜11.2%水分となるように水分を添加した後、ドラムミキサーを用いて25〜120秒間造粒した。
Figure 0006540359
(焼結実験装置および方法)
焼結実験装置として、内径300mmで層高500mmの焼結鍋を用意した。
焼結鍋は、筒状に形成され、その内底部には通気が可能なグレートが設けられている。焼結鍋の下部には風箱が設置されている。風箱には、排ガスを排気する排ガス配管を介して吸引送風機が接続され、風箱を通して排ガスを吸引可能に構成されている。風箱の内部には、焼結排ガスの温度を測定する温度センサーが設けられている。また、風箱と吸引送風機の間には排ガス採取管が設置されている。
そして、グレート上に10〜15mmの焼結鉱2.0kgを敷設し、その上に配合原料を65kg装入して充填層を形成した。次に、焼結鍋の鍋下負圧を約9.8kPa(1000mmAq換算)に調整して、充填層上部に着火させた。なお、点火時間は1分とした。点火終了後、鍋下負圧約9.8kPa(1000mmAq換算)一定で、充填層上部より大気吸引して、焼結反応を進行させた。また、鍋下の風箱内へ設置した温度センサーにより排ガス温度を計測した。この排ガス温度が最大となった時刻を焼結完了時刻とした。即ち、焼結時間を点火開始から排ガス温度到達までとした。
焼結反応時には、排ガス採取管から排ガスを採取して、連続的にガス組成分析を実施するとともに、排ガス流量をオリフィスで測定し、NOx発生量を算出した。また、JIS−M8700に従って焼結生産率および成品歩留を評価した。
(試験結果)
評価試験結果を表6にまとめて示した。
なお、実験ケース1〜19のうち、実験ケース4および実験ケース101〜103および実験ケース11〜18が、上記条件A)〜D)を満たした発明例である。
実験ケース1〜3は、炭材造粒物を使用しない例である。単純にコークスを添加した実験ケース1〜3では、8.8〜11.4mol/原料tと高いNOx発生量となった。実験ケース1〜3を比較すると、コークス粒度が細粒化するに伴い、NOx発生量が増加し、生産率の低下が顕著となる。一方、粗粒化するとNOx発生量は低下するが、FeO量が増加している。
実験ケース4〜6は、炭材の粒度を変更して、S型、P型の造粒物を評価した例である。細粒コークスを用いた実験ケース4では、NOx発生量が3.2mol/原料tと大幅に低下した。使用した炭材の粒度が粗い実験ケース5,6では、NOx発生量が6.3mol/原料t、6.8mol/原料tにそれぞれ上昇し、その改善効果は低減した。また、焼結生産率も実験ケース4が最も高く、本発明方法が優れていることが確認できた。
実験ケース7は、コークスを添加せずに造粒物を作製し、実験ケース1〜3と同様に、炭材を単純添加した例である。実験ケース7では、実験ケース1〜3と同様に、高いNOx発生量となった。
実験ケース8は、粒度の粗い鉄鉱石Bを造粒物に添加した例である。造粒直後の水洗粒度が0.25mm以下の割合が65質量%と粗く、NOx発生量は8mol/原料tと大きく低下しなかった。
実験ケース9、実験ケース101では、造粒物の石灰水硬性バインダーであるCa(OH)の添加量を変更して、造粒物中のCaO濃度の影響を評価した例である。CaO濃度が0質量%の実験ケース9でも、6.8mol/原料tまでNOx発生量は低下しているが、その改善効果は小さい。一方、CaO濃度が15質量%の実験ケース101では、NOx発生量は4mol/原料tと大きく低減した。
ケース101、ケース102、ケース103では、鉄鉱石A、電気炉焼成により作成したCaO・Feおよび焼結返鉱Aの粉を用いて、鉄鉱石の種類を変更して、その影響を評価した。ケース101の鉄鉱石Aの使用ではNOx総量は4mol/原料tと大きく低減しているが、ケース102のCaO・Feの使用では2.7mol/原料t、ケース103の焼結返鉱の使用では3.1mol/原料tとさらに大きく低下し、態様2及び態様3の効果が確認できた。
実験ケース11〜13は、造粒物の石灰水硬性バインダーとしてポルトランドセメントを使用し、コークス粉/(鉄鉱石粉+バインダー)の配合率を変更した例である。いずれのケースについても、NOx発生量が4〜5mol/原料tと大幅に低減することが確認できた。
実験ケース14は、配合番号4の炭材造粒物を使用し、造粒物の水分を10.4質量%まで上昇させた例である。実験ケース14は、実験ケース4よりもNOx発生量が低下し、態様4の効果が確認できた。
実験ケース15は、配合番号4の炭材造粒物を使用し、炭材造粒物と他の配合原料との造粒時間を25秒まで低減させた例である。実験ケース15は、実験ケース4よりもNOx発生量が低下し、より効果的であることが確認された。
実験ケース16は、配合番号14の炭材造粒物を使用し、造粒物原料を高速撹拌ミキサーで混練処理する前に、ボールミルに投入して混合粉砕処理を加えた例である。実験ケース16は、同一の配合割合の実験ケース4よりもNOx発生量が低下し、上記改質炭材製造の実施の態様5が、より効果的であることが確認された。
実験ケース17は、焼結用原料中の炭材の一部(34質量%)に配合番号15の炭材造粒物を用い、焼結用原料中の炭材の残部(66質量%)にコークスBを用いた例である。上記配合番号13と同様に、炭材造粒物を部分的に使用すると、焼結用原料の炭材の全量に炭材造粒物を使用した実験ケースに比較して、NOx発生量の低減効果は小さい。しかし、NOx発生量は7.4mol/原料tまで低下しており、実施の態様6に示す部分的使用であっても十分に使用率に対応した低減効果が確認された。
実験ケース18は、コークスBを事前に0.25mmの篩にて分級し、篩下のコークスEを用いて炭材造粒物を製造し、炭材の一部(34質量%)に上記製造した炭材造粒物を用い、炭材の残部に(66質量%)篩上のコークスDを用いた例である。上記実験ケース17と同様に、炭材造粒物を部分的に使用した例であるが、篩分級をしなかった実験ケース17に比較して、NOx発生量は6.6mol/原料tまで低下しており、実施の態様7の有効性が確認された。
実験ケース19は、炭材造粒物を使用せず、かつ10mm以上の粗粒が含まれる粗粒コークスを用いた例である。焼結生産率は14.3s−t/d/mと低下しており、また、成品歩留は38.2%と大幅に低下した。
なお、上記実験ケース4、実験ケース101〜103および実験ケース11〜18は、焼結生産率も30s−t/d/mを記録し、高い焼結生産率を確保していることを確認できた。また、焼結鉱FeO成分も10質量%以下を確保できている。
以上、本発明の改質炭材は、NOx発生量が極めて低く、焼結生産率が高い特徴があり、この改質炭材を用いることで、高生産率で大幅にNOx発生量を低減できる。
造粒物を構成する粒子の水洗粒度、炭素含有量、CaO含有量、および造粒物の粒度を調整することで、炭材の燃焼速度の向上とNOx転換率の大幅な低下が可能な改質炭材であり、この改質炭材を用いた焼結鉱の製造方法は、高生産率で排ガス中のNOxの発生量を抑制することができる。
1…炭材粒子、2…粉状鉱石、3…S型構造物、4…P型構造物、10…小型焼結反応実験装置、11…反応セル、12…ヒータ、13…ガス組成分析計、14…目皿、15…空気導入孔、16…ガス排出孔、17…アルミナ球熱交換層、18…配合原料充填層、19…アルミナ球予熱層。

Claims (8)

  1. 炭材、鉄鉱石、および石灰水硬性バインダーを含む原料の造粒物であって、以下のA)〜D)を満たすことを特徴とする焼結鉱製造用改質炭材。
    A)前記造粒物を構成する粒子の水洗粒度0.25mm以下の割合が85質量%以上
    B)前記造粒物の炭素含有量が21質量%以上68質量%以下
    C)前記造粒物のCaO含有量が4質量%以上15質量%以下
    D)前記造粒物の粒度が10mm以下
    ただし、前記水洗粒度は、造粒形成直後の前記造粒物を縮分により約500g採取し、これを水洗解砕装置に入れ、水流を供給しながら10分間篩分級し、次に乾燥器(105℃、2h以上)にて乾燥したあと、ロータップ篩振とう機を使用して、JIS標準篩(径200mm)により粒度分布を計量して算出する。
  2. 前記焼結鉱製造用改質炭材にCaおよびFeの酸化物で構成されるカルシウムフェライトを含有していることを特徴とする請求項1に記載の焼結鉱製造用改質炭材。
  3. 前記焼結鉱製造用改質炭材に焼結返鉱を含有していることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の焼結鉱製造用改質炭材。
  4. 前記造粒物の含有水分が10質量%以上であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の焼結鉱製造用改質炭材。
  5. 前記造粒物を構成する原料が、事前に混合粉砕されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の焼結鉱製造用改質炭材。
  6. 焼結用原料の炭材の一部または全部に請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の焼結鉱製造用改質炭材を使用することを特徴とする焼結鉱の製造方法。
  7. 焼結用原料の炭材から0.25mm以下の部分の一部または全量を分離し、分離された0.25mm以下の炭材を用いて請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の焼結鉱製造用改質炭材を製造し、前記焼結鉱製造用改質炭材と残部の炭材とを用いることを特徴とする焼結鉱の製造方法。
  8. ドラムミキサーによる前記焼結用原料の造粒に際して、前記ドラムミキサーに水分が添加された時点以降最後端に到達するまでの造粒時間である水分添加後造粒時間に対して、前記焼結鉱製造用改質炭材は、前記最後端に到達するまでの造粒時間前記水分添加後造粒時間の20.8%以内となるように、前記ドラムミキサーに投入されることを特徴とする請求項6又は請求項7に記載の焼結鉱の製造方法。
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