特許文献1に開示されたI型ビーム取付け金物は、一対の縦壁から突出して形成された係止爪が外側方向へ弾性変形可能に設けられて、I型ビームの下方フランジと係止爪とが互いに係合することで、I形ビームの端部の浮き上がりを防止できるものとする。しかし、特許文献1に開示されたI型ビーム取付け金物は、I型ビームの下方フランジに向けて係止爪が縦向きに突出して、係止爪の面外方向の曲げ剛性により下方フランジを拘束するため、係合部分での剛性が十分に確保されないものとなる。このため、特許文献1に開示されたI型ビーム取付け金物は、鋼製梁等の高剛性の下フランジが係止爪に係合されると、係止爪がめくれあがるように変形して、横架材への固定が不十分となるおそれがある。
また、特許文献2に開示された小梁と大梁との接合方法は、小梁のウェブがガイド板の間の隙間に挿入されて、ガセットプレート及びガイド板で小梁が支持されるものとする。しかし、特許文献2に開示された小梁と大梁との接合方法は、大梁、ガセットプレート及びガイド板の溶接作業だけでなく、小梁の下フランジの切欠加工をも必要として、部品点数及び加工手間が多いため、材料コスト、施工コストが増大するという問題点があった。そして、特許文献2に開示された小梁と大梁との接合方法は、ガセットプレートに溶接されたガイド板で小梁を仮支持するときに、小梁の浮き上がりを防止するための拘束要素がないため、小梁の仮支持が不十分となるという問題点があった。
さらに、特許文献3に開示された小梁と大梁との接合構造は、ガセット金物のプレート部が大小の梁のウェブに取り付けられることで、ガセット金物で小梁が支持されるものとする。しかし、特許文献3に開示された小梁と大梁との接合構造は、小梁のウェブにプレート部を取り付けるためには、小梁の下フランジにスリットを形成してプレート部を挿通することが必要となるため、小梁の加工手間が多くなるとともに、スリットにプレート部を挿通するための施工手間が多くなることで、材料コスト、施工コストが増大するという問題点があった。そして、特許文献3に開示された小梁と大梁との接合構造は、ガセット金物のプレート部で小梁の下フランジを仮支持するときに、小梁の浮き上がりを防止するための拘束要素がないため、小梁の仮支持が不十分となるという問題点があった。
そこで、本発明は、上述した問題点に鑑みて案出されたものであって、その目的とするところは、床根太の加工度を低減させながら高い拘束力を確保して、床根太の揚重作業の効率性を向上させた床根太の接続部材及び接合構造を提供することにある。
第1発明に係る床根太の接続部材は、建築物に設けられる床根太の接続部材であって、フランジ及びウェブが形成された床根太を周囲部材に接合するための接続部材を備え、前記接続部材は、前記周囲部材に取り付けられる背面板と、前記周囲部材から突出して前記床根太の高さ方向に延びる縦板とを有して、前記背面板は、前記背面板の面外方向に突出する突出片が形成されて、前記突出片は、前記縦板の側面との間に隙間が形成されて、前記背面板の面外方向に弾性変形するものとなることを特徴とする。
第2発明に係る床根太の接続部材は、第1発明において、前記突出片は、前記床根太の高さ方向となる縦向きに湾曲又は屈曲して形成されることを特徴とする。
第3発明に係る床根太の接続部材は、第1発明又は第2発明において、前記突出片は、前記縦板から離間する離間側端縁が前記背面板から突出しないように形成されるとともに、前記縦板に近接する近接側端縁が前記背面板から面外方向に突出して形成されることを特徴とする。
第4発明に係る床根太の接続部材は、第1発明〜第3発明の何れかにおいて、前記突出片は、前記背面板での幅方向の切欠幅が、高さ方向の切欠高さの0.75倍以上の大きさとなることを特徴とする。
第5発明に係る床根太の接続部材は、第1発明〜第4発明の何れかにおいて、前記接続部材は、前記床根太の幅方向に延びる受け板を有して、前記縦板の下端部と前記受け板との間に隙間が形成されることを特徴とする。
第6発明に係る床根太の接合構造は、建築物に設けられる床根太の接合構造であって、フランジ及びウェブが形成された床根太と、前記床根太を周囲部材に接合するための接続部材とを備え、前記接続部材は、前記周囲部材に取り付けられる背面板と、前記周囲部材から突出して前記床根太の高さ方向に延びる縦板とを有して、前記背面板は、前記背面板の面外方向に突出する突出片が形成されて、前記突出片は、前記縦板の側面との間に隙間が形成されて、前記背面板の面外方向に弾性変形するものとなり、前記床根太は、高さ方向に一対となった前記フランジの幅方向の中間部又は片端部に、高さ方向に延びる前記ウェブが形成されて、前記縦板の側面と前記突出片との間の前記隙間に、前記床根太の前記ウェブが配置された状態で、前記ウェブが前記縦板に接合されることを特徴とする。
第7発明に係る床根太の接合構造は、第6発明において、前記床根太は、前記縦板を貫通させた貫通孔に挿通されるドリルねじで、前記ウェブが前記縦板に接合されることを特徴とする。
第8発明に係る床根太の接合構造は、第6発明又は第7発明において、前記接続部材は、前記床根太の幅方向に延びる受け板を有して、前記縦板の下端部と前記受け板との間に隙間が形成されて、前記縦板の下端部と前記受け板との間の前記隙間に、前記床根太の下部の前記フランジとなる下フランジが挿通された状態で、前記受け板が前記下フランジに接合されることを特徴とする。
第9発明に係る床根太の接合構造は、第8発明において、前記床根太は、前記受け板を貫通させた貫通孔に挿通されるドリルねじで、前記下フランジが前記受け板に接合されることを特徴とする。
第10発明に係る床根太の接合構造は、第6発明〜第9発明の何れかにおいて、前記突出片は、前記縦板の側面との間の前記隙間に、前記床根太の前記ウェブが配置された状態で、前記床根太の重心位置より上方となる位置に配置されることを特徴とする。
第11発明に係る床根太の接合構造は、第6発明〜第10発明の何れかにおいて、前記床根太は、高さ方向で一対となった前記フランジの幅方向の中間部に、高さ方向に延びる前記ウェブが形成された軽量H形鋼、又は、前記フランジの幅方向の片端部から、前記ウェブが形成された薄板軽量形鋼が用いられることを特徴とする。
第1発明〜第11発明によれば、床根太の高さ方向、幅方向及び材軸方向の移動が拘束されて、床根太が接続部材に支持された状態となるため、床根太のウェブ又は下フランジに、接続部材がねじ接合等される前の仮支持の状態であっても、接続部材に仮支持された床根太の拘束力を高めることが可能となる。
第1発明〜第11発明によれば、床根太を落とし込んで仮支持させた後に、仮支持された床根太から即座にクレーンをリリースすることで、別の接合箇所での床根太の揚重作業を実施できるため、床根太の揚重作業を順次効率的に実施して、床根太の揚重作業の効率性を向上させることが可能となる。
第1発明〜第11発明によれば、従来技術のようなガセットプレート及びガイド板の溶接作業、床根太の下フランジのスリット加工等を必要としないため、床根太の加工度を低減させるとともに、部品点数、加工手間及び施工手間を削減させて、材料コスト、施工コストを低減させることが可能となる。
特に、第2発明によれば、床根太が接続部材にねじ接合等される前の仮支持の状態でも、突出片が縦向きに突出して面内せん断抵抗力を発揮することで、床根太の幅方向の移動に対する高い拘束力を確保することが可能となり、湾曲又は屈曲した突出片の面内方向の剛性を高くして、突出片による面内せん断抵抗力を向上させることが可能となる。
特に、第3発明によれば、突出片の離間側端縁が背面板から突出しないことで、床根太のウェブと突出片の離間側端縁とが干渉し難いものとなり、床根太を落とし込む工程を必要とすることなく、床根太を幅方向で円滑にスライド移動させることが可能となる。
特に、第4発明によれば、突出片の幅方向の切欠幅が、突出片の高さ方向の切欠高さの0.75倍以上の大きさとなることで、突出片による面内せん断抵抗力を十分に確保することが可能となる。
特に、第5発明、第8発明によれば、床根太が接続部材に仮支持された状態から、床根太の下フランジと接続部材の受け板とが、ねじ接合、釘接合、ボルト接合又は溶接接合等でさらに強固に固定されることで、床鳴りを確実に防止することが可能となる。
特に、第6発明によれば、床根太が接続部材に仮支持された状態から、床根太のウェブと接続部材の縦板とが、ねじ接合、釘接合、ボルト接合又は溶接接合等でさらに強固に固定されることで、縦板を介してせん断力を伝達させて、構造性能を向上させることが可能となる。
特に、第7発明、第9発明によれば、床根太が接続部材に仮支持された状態から、床根太がドリルねじでさらに強固に固定されることで、床根太の拘束力を向上させて、床鳴りを確実に防止することが可能となり、縦板又は受け板の貫通孔を先孔として利用することで、床根太に特段の加工を実施することなく、床根太を接続部材に接合することが可能となる。
特に、第10発明によれば、床根太の重心位置より上方となる位置に突出片が配置されて、縦板の側面と突出片との隙間で、床根太のウェブが重心位置より上方で幅方向に挟まれた状態となることで、床根太の転倒を効果的に抑制することが可能となる。
特に、第11発明によれば、材軸方向のスパン長が3m〜4m程度となる床根太のほかに、5m〜8m超程度の中〜大スパンの床根太にも適用されるものであり、従来のH形鋼等より軽量な軽量H形鋼又は薄板軽量形鋼の床根太が用いられることで、床根太の揚重作業を容易に実施することが可能となる。
以下、本発明を適用した床根太の接続部材4及び接合構造1を実施するための形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
本発明を適用した床根太の接合構造1は、図1に示すように、主に、一戸建て住宅等の比較的小規模な建築物8、又は、店舗併用住宅及び介護老人保健施設等の比較的大規模な建築物8において、床材80等を支持する床根太2を接合するために設けられる。なお、本発明を適用した床根太の接合構造1は、図1に示す軸組工法だけでなく、木造ツーバイフォー等の枠組壁工法、その他の床根太を要する工法に設けられてもよい。
床根太2は、所定の断面形状の形鋼が用いられて、端根太31又は柱32等の周囲部材3に、材軸方向Xの端部が接合される。端根太31又は柱32等の周囲部材3は、無垢材、集成材、LVL又はCLT等の木材が用いられて、建築物8の外周等に設けられる。
床根太2は、材軸方向Xに対する断面方向で、図2(a)に示すように、断面略H形状に形成されたH形鋼が用いられる。ここで、H形鋼は、ロール成形、アーク溶接、レーザー溶接等による組立、電気抵抗溶接による組立等、どのような製造法で製造されてもよく、また、比較的細幅のI形鋼が用いられてもよい。また、床根太2は、これに限らず、図2(b)に示すように、断面略C形状に形成された溝形鋼又はリップ付溝形鋼等が用いられてもよい。ここで、溝形鋼又はリップ付き溝形鋼等は、ロール成形、プレス成形等、どのような製造法で製造されてもよい。
床根太2は、図2に示すように、幅方向Yに延びて高さ方向Zで一対となったフランジ21、及び、高さ方向Zに延びるウェブ24が形成される。床根太2は、上部のフランジ21となる上フランジ22と、下部のフランジ21となる下フランジ23とが、高さ方向Zに延びるウェブ24で連結されて、互いに略平行となるように形成される。
床根太2は、一対となったフランジ21の幅方向Yの中間部21a又は片端部21bに、ウェブ24の高さ方向Zの上下端部が連結されて、上フランジ22及び下フランジ23とウェブ24とが、互いに略直交するように形成される。床根太2は、幅方向Yでウェブ24の両側又は片側に突出して、一対となったフランジ21が形成される。
床根太2は、図2(a)に示すように、断面略H形状に形成されたH形鋼が用いられる場合に、上フランジ22及び下フランジ23の幅方向Yの中間部21aから、ウェブ24が形成された軽量H形鋼が用いられることが望ましい。ここで、軽量H形鋼とは、ロール成形、レーザー溶接による組立、電気抵抗溶接による組立、アーク溶接による組立等によって製造された、フランジ21及びウェブ24の板厚が12mm以下であるH形鋼をいう。
軽量H形鋼の床根太2は、例えば、高さ方向Zに延びる高さ寸法Hが、80mm〜450mm程度となり、ウェブ24の板厚寸法t1が、2.3mm〜6mm程度となる。また、軽量H形鋼の床根太2は、幅方向Yに延びる幅寸法Bが、40mm〜200mm程度となり、フランジ21の板厚寸法t2が、2.3mm〜12mm程度となる。
床根太2は、図2(b)に示すように、断面略C形状に形成された溝形鋼が用いられる場合に、上フランジ22及び下フランジ23の幅方向Yの片端部21bから、ウェブ24が折曲加工等で連続して形成された薄板軽量形鋼が用いられることが望ましい。
薄板軽量形鋼の床根太2は、例えば、高さ方向Zに延びる高さ寸法Hが、89mm〜300mm程度となり、幅方向Yに延びる幅寸法Bが、30mm〜50mm程度となる。また、薄板軽量形鋼の床根太2は、フランジ21及びウェブ24の板厚寸法t3が、0.8mm〜2.2mm程度となる。
本発明を適用した床根太の接合構造1は、図3に示すように、フランジ21及びウェブ24が形成された床根太2と、床根太2を周囲部材3に接合するための接続部材4とを備えて、床根太2と周囲部材3とを互いに略直交させた接合箇所に設けられる。
本発明を適用した床根太の接続部材4は、床根太2と略直交する周囲部材3の側面30に当接される背面板40と、周囲部材3の側面30から突出して高さ方向Zに延びる縦板41とを有して、必要に応じて、周囲部材3の側面30から突出して幅方向Yに延びる受け板42を有する。
接続部材4は、略平板状の鋼板等を折曲加工等することで、背面板40と受け板42とが、互いに略直交して各々が略平板状に形成されて、背面板40が周囲部材3の側面30にねじ接合又はボルト接合等で取り付けられる。接続部材4は、例えば、略平板状に形成された縦板41が、背面板40と略直交するように溶接等で取り付けられる。
背面板40は、図4(a)に示すように、幅方向Y及び高さ方向Zに延びて略平板状に形成されることで、幅方向Y及び高さ方向Zが面内方向となり、また、図4(b)に示すように、縦板41が突出する材軸方向Xが面外方向となる。背面板40は、縦板41で幅方向Yに隔てられて、幅方向Yで縦板41の片側が接合側40aとなる。
背面板40は、幅方向Yで縦板41の片側となる接合側40aで、背面板40の面外方向に突出する突出片5が形成される。このとき、背面板40は、略平板状に形成された鋼板等に、幅方向Yに延びる切欠加工等を実施することで、幅方向Yで突出片5の離間側端縁5aから近接側端縁5bまで連続して、所定の切欠幅αの突出片5が形成される。
背面板40は、図4(a)に示すように、幅方向Yに延びる切欠加工等を実施することで、突出片5の基端部5cが、背面板40に接続されるとともに、突出片5の先端部5dが、背面板40から材軸方向Xに離間する。背面板40は、高さ方向Zで基端部5cから先端部5dまで連続して、所定の切欠高さβの突出片5が形成される。
背面板40は、幅方向Yで縦板41の両側に延びて形成されるほか、図5に示すように、幅方向Yで縦板41の片側のみに延びて形成されてもよい。このとき、背面板40は、図6(a)に示すように、幅方向Yで縦板41の片側となる接合側40aで、図6(b)に示すように、折曲加工等で背面板40から連続して縦板41が形成される。
縦板41は、図7に示すように、上端部41aから下端部41bまで、高さ方向Zに所定の延伸長hで延びて形成される。縦板41は、縦板41の側面41cが略平坦状に形成されて、必要に応じて、縦板41の側面41cを板厚方向に貫通する1又は複数の貫通孔41dが、略円形状又は略矩形状等となるように形成される。
受け板42は、図7(a)に示すように、背面板40の下端40bから連続して、材軸方向Xに突出して形成される。このとき、受け板42は、材軸方向Xに突出させるとともに、縦板41の下端部41bと受け板42とを高さ方向Zに離間させることで、縦板41の下端部41bと受け板42の上面42aとの間に隙間G2が形成される。
受け板42は、受け板42の上面42aが略平坦状に形成されて、必要に応じて、受け板42の上面42aから板厚方向に貫通する1又は複数の貫通孔41dが、略円形状又は略矩形状等となるように形成される。
受け板42は、背面板40の下端40bから連続して、折曲加工等で形成されるものであるが、これに限らず、背面板40の下端40bから高さ方向Zに離間させた位置に溶接等で取り付けられてもよい。なお、接続部材4は、図7(b)に示すように、受け板42が形成されることなく、背面板40及び縦板41のみが形成されてもよい。
突出片5は、図8(a)に示すように、基端部5cから先端部5dまで、高さ方向Zとなる縦向きに突出して、高さ方向Zで略直線状に傾斜するものとなる。また、突出片5は、高さ方向Zとなる縦向きに突出して、図8(b)に示すように、略円弧状等に湾曲して形成されてもよく、図8(c)に示すように、略く字状等に屈曲して形成されてもよい。
突出片5は、図9に示すように、縦板41から離間する位置に離間側端縁5aが形成されるとともに、縦板41に近接する位置に近接側端縁5bが形成される。突出片5は、縦板41の側面41cと近接側端縁5bとの間で、特に、幅方向Yに所定の間隙寸法γとなる隙間G1が形成されて、背面板40の面外方向に弾性変形するものとなる。
突出片5は、基端部5cと先端部5dとが互いに略平行となるように幅方向Yに延びるとともに、離間側端縁5aと近接側端縁5bとが互いに略平行となるように高さ方向Zに延びることで、略矩形状に形成されるものとなる。
また、突出片5は、図10に示すように、離間側端縁5aを頂点とするとともに、近接側端縁5bを底辺として、略三角形状に形成されてもよい。このとき、突出片5は、基端部5c及び先端部5dの何れか一方又は両方が、幅方向Yに傾斜して形成されて、例えば、基端部5cと近接側端縁5bとを略直交させた略直角三角形状等に形成される。
突出片5は、図9に示す略矩形状に形成される場合、図11(a)に示すように、離間側端縁5aのみを部分的に折曲加工等することで、背面板40との略同一平面内に離間側端縁5aが配置されてもよい。また、突出片5は、図10に示す略三角形状に形成される場合、図11(b)に示すように、離間側端縁5aが略三角形状の頂点として略鋭角状に形成されることで、背面板40との略同一平面内に離間側端縁5aが配置されてもよい。
このとき、突出片5は、図11に示すように、背面板40の略同一平面内に離間側端縁5aが配置されることで、背面板40から面外方向に突出しないように離間側端縁5aが形成されるとともに、背面板40から面外方向に突出して近接側端縁5bが形成される。
突出片5は、図9に示す略矩形状に形成される場合、又は、図10に示す略三角形状に形成される場合の何れにおいても、基端部5c及び先端部5dが、縦板41の側面41cと交差する方向で、幅方向Yに延びて形成される。このとき、突出片5は、縦板41の側面41cから近接側端縁5bを離間させるとともに、基端部5cから先端部5dまで高さ方向Zの下向きに傾斜して、高さ方向Zとなる縦向きに突出するものとなる。
ここで、本発明を適用した床根太の接合構造1は、図12〜図14に示すように、高さ方向Zの上方から床根太2がクレーン等で落とし込まれて、幅方向Yで縦板41の片側となる背面板40の接合側40aから、床根太2を接続部材4に支持させるものとなる。
最初に、本発明を適用した床根太の接合構造1は、図12(a)に示すように、背面板40の接合側40aの上方から、突出片5に近接させた位置まで、床根太2の下フランジ23が落とし込まれる。このとき、突出片5は、図12(b)に示すように、背面板40から面外方向に突出した状態となっている。
次に、本発明を適用した床根太の接合構造1は、図13(a)に示すように、床根太2の下フランジ23が受け板42に載置されるまで、床根太2のウェブ24と突出片5とを幅方向Yに重なり合わせた位置で、床根太2がさらに落とし込まれる。このとき、突出片5は、図13(b)に示すように、床根太2の材軸方向Xの端部で、下フランジ23及びウェブ24が当接されて、周囲部材3に向けて押圧されることで、背面板40の面外方向に弾性変形して、背面板40からほとんど突出しない状態となる。
最後に、本発明を適用した床根太の接合構造1は、図14(a)に示すように、床根太2を幅方向Yにスライド移動させることで、縦板41の側面41cと突出片5との間の隙間G1に、床根太2のウェブ24が配置される。このとき、突出片5は、図13(b)に示す背面板40から突出しない状態から、床根太2のウェブ24で押圧されない状態となり、図14(b)に示すように、背面板40の面外方向に弾性変形によってもどることで、背面板40から再び突出した状態となる。
ここで、本発明を適用した床根太の接合構造1は、図15に示すように、特に、床根太2のウェブ24の板厚寸法が、縦板41の側面41cと突出片5の近接側端縁5bとの隙間G1の間隙寸法γ以下の大きさとなる。このとき、床根太2は、縦板41の側面41cと突出片5との隙間G1にウェブ24が配置されて、縦板41と突出片5とでウェブ24が幅方向Yに挟まれた状態となる。
また、本発明を適用した床根太の接合構造1は、床根太2の下フランジ23の板厚寸法が、縦板41の下端部41bと受け板42の上面42aとの隙間G2の間隙寸法以下の大きさとなる。このとき、床根太2は、縦板41の下端部41bと受け板42との隙間G2に下フランジ23が挿通されて、縦板41と受け板42とで下フランジ23が高さ方向Zに挟まれた状態となる。
本発明を適用した床根太の接合構造1は、縦板41と突出片5とで床根太2のウェブ24が挟まれた状態となるため、床根太2の幅方向Yの移動が拘束される。また、本発明を適用した床根太の接合構造1は、縦板41と受け板42とで床根太2の下フランジ23が挟まれた状態となるため、床根太2の高さ方向Zの移動が拘束される。なお、本発明を適用した床根太の接合構造1は、床根太2の材軸方向Xの両端部の各々で、床根太2が接続部材4に支持されることで、床根太2の材軸方向Xの移動も拘束されるものとなる。
なお、本発明を適用した床根太の接合構造1は、接続部材4に受け板42が形成される場合において、床根太2のウェブ24の高さ寸法が、縦板41の延伸長以上の大きさとなる。このとき、本発明を適用した床根太の接合構造1は、縦板41の上端部41aが床根太2の上フランジ22に当接されるか否かにかかわらず、縦板41と受け板42とで下フランジ23が挟まれて、床根太2の高さ方向Zの移動が拘束される。
これに対して、本発明を適用した床根太の接合構造1は、図16に示すように、受け板42が形成されない場合においては、特に、縦板41の延伸長を床根太2のウェブ24の高さ寸法と略同一の大きさとする。このとき、本発明を適用した床根太の接合構造1は、縦板41の上端部41a及び下端部41bが、上フランジ22と下フランジ23とで挟み込まれることで、床根太2の高さ方向Zの移動が拘束されるものとなる。
このように、本発明を適用した床根太の接合構造1は、周囲部材3に取り付けられた接続部材4に、床根太2の高さ方向Z、幅方向Y及び材軸方向Xの移動が拘束されて、床根太2が支持された状態となる。そして、本発明を適用した床根太の接合構造1は、床根太2のウェブ24又は下フランジ23に、接続部材4がねじ接合等される前の仮支持の状態であっても、接続部材4に仮支持された床根太2の拘束力を高めることが可能となる。
なお、本発明を適用した床根太の接合構造1は、床根太2のウェブ24又は下フランジ23と接続部材4とのねじ接合等を必ずしも要さず、これらがねじ接合等されない場合には、床根太2が仮支持された状態で、床根太2と周囲部材3との接合が完了する。このとき、本発明を適用した床根太の接合構造1は、床根太2をねじ接合等していない状態で、床根太2が本支持された状態となる。
また、床根太2は、フランジ21にウェブ24を接続した接続箇所26で、溶接組立による溶接部、ロール成形によるフィレット部、又は、曲げ成形による湾曲部が形成されることがある。このとき、縦板41の上端部41aが上フランジ22に当接されて、また、縦板41の下端部41bが下フランジ23に当接される場合においては、縦板41の上端部41a及び下端部41bに折曲加工又は面取り等することで、床根太2の溶接部等と縦板41の上端部41a及び下端部41bとの干渉を回避することができる。
また、本発明を適用した床根太の接合構造1は、床根太2を落とし込んで接続部材4に仮支持させた後に、仮支持された床根太2からクレーン等をリリースして、別の接合箇所でのクレーン等による床根太2の揚重作業を実施できる。これにより、本発明を適用した床根太の接合構造1は、床根太2を接続部材4に仮支持させた後に、床根太2から即座にクレーンをリリースすることで、床根太2の揚重作業を順次効率的に実施して、床根太2の揚重作業の効率性を向上させることが可能となる。
さらに、本発明を適用した床根太の接合構造1は、従来技術のようなガセットプレート及びガイド板の溶接作業、床根太2の下フランジ23のスリット加工等を必要とすることなく、製作容易性の高い接続部材4で床根太2を支持できる。これにより、本発明を適用した床根太の接合構造1は、床根太2のスリット加工等の煩雑な作業を不要とすることで、床根太2の加工度を低減させるとともに、部品点数、加工手間及び施工手間を削減させて、材料コスト、施工コストを低減させることが可能となる。
本発明を適用した床根太の接合構造1は、縦板41と突出片5とで床根太2のウェブ24が挟まれて、床根太2の幅方向Yの移動が拘束されるものとなる。そして、本発明を適用した床根太の接合構造1は、図15に示すように、背面板40に形成される突出片5が、床根太2の高さ方向Zとなる縦向きに突出することで、特に、床根太2の幅方向Yの移動に対して、突出片5が面内せん断抵抗力を発揮するものとなる。
これにより、本発明を適用した床根太の接合構造1は、接続部材4がねじ接合等される前の仮支持の状態であっても、床根太2が縦向きの突出片5に十分に拘束されて、床根太2の幅方向Yの移動に対する高い拘束力を確保することが可能となる。
本発明を適用した床根太の接合構造1は図4、図6に示すように、突出片5の幅方向Yの切欠幅αが、突出片5の高さ方向Zの切欠高さβの0.75倍以上の大きさとなることが望ましい。ここで、突出片5が面内せん断抵抗力を発揮するときの弾性限界率(=せん断力P/突出片5の抵抗値)は、せん断力P、突出片5の板厚t、切欠幅α、切欠高さβ、降伏応力σyとの関係で、下記(1)式から算出される。
図18では、突出片5の弾性限界率を縦軸とするとともに、切欠高さβに対する切欠幅αの比率(α/β)を横軸として、上記(1)式により算出される弾性限界率と比率(α/β)との関係を示す。なお、ここでは、弾性限界率が1を超えるときに突出片5が塑性変形するのに対して、弾性限界率が1以下のときに突出片5が弾性変形することを示す。
本発明を適用した床根太の接合構造1は、図18に示すように、切欠高さβに対する切欠幅αの比率(α/β)を0.75以上とすることで、弾性限界率が1以下となり突出片5の弾性変形が維持されるため、面内せん断抵抗力を十分に確保することが可能となる。また、本発明を適用した床根太の接合構造1は、切欠高さβに対する切欠幅αの比率(α/β)を1.0以上とすることで、弾性限界率が約0.5以下となり突出片5の弾性変形が確実なものとなる。
これにより、本発明を適用した床根太の接合構造1は、特に、突出片5の幅方向Yの切欠幅αが、突出片5の高さ方向Zの切欠高さβの0.75倍以上の大きさとなることで、突出片5による面内せん断抵抗力を十分に確保することが可能となる。さらに、本発明を適用した床根太の接合構造1は、突出片5の切欠幅αが、突出片5の切欠高さβ以上の大きさとなることで、突出片5による確実な面内せん断抵抗力を実現することができる。
本発明を適用した床根太の接合構造1は、図8(a)に示すように、突出片5が縦向きに突出して略直線状に傾斜するだけでなく、図8(b)、図8(c)に示すように、湾曲又は屈曲して突出片5が形成されてもよい。これにより、本発明を適用した床根太の接合構造1は、湾曲又は屈曲した突出片5の面内方向の剛性を高くして、突出片5による面内せん断抵抗力を向上させることが可能となる。
また、本発明を適用した床根太の接合構造1は、図9に示す突出片5が略矩形状に形成される場合、又は、図10に示す突出片5が略三角形状に形成される場合の何れにおいても、図11に示すように、背面板40から突出しないように、突出片5の離間側端縁5aが形成されてもよい。これにより、本発明を適用した床根太の接合構造1は、床根太2のウェブ24と突出片5の離間側端縁5aとが干渉し難いものとなり、図12に示す床根太2を落とし込む工程を必要とすることなく、図14に示すように、床根太2を幅方向Yで円滑にスライド移動させることが可能となる。なお、ここでは、床根太2のウェブ24と突出片5の離間側端縁5aとが干渉しないものであれば、突出片5の背面板40から離間側端縁5aが多少突出しても、突出片5の離間側端縁5aが背面板40から突出しないように形成されているものと同視することができる。
また、本発明を適用した床根太の接合構造1は、縦板41の側面41cと突出片5との隙間G1に、床根太2のウェブ24が配置された状態で、ウェブ24の高さ方向Zで上側1/2程度となる範囲に、突出片5が配置されることが望ましい。これにより、本発明を適用した床根太の接合構造1は、床根太2の重心位置より上方となる位置に突出片5が配置されて、床根太2のウェブ24が重心位置より上方で幅方向Yに挟まれた状態となることで、床根太2の転倒を抑制することが可能となる。
また、本発明を適用した床根太の接合構造1は、床根太2のウェブ24と縦板41の側面41cとが当接させて配置されるため、縦板41と床根太2との幅方向Yの偏心を抑制することで、床根太2と周囲部材3との安定した接合を実現することが可能となる。
さらに、本発明を適用した床根太の接合構造1は、必要に応じて、図17に示すように、床根太2のウェブ24と縦板41とが、ねじ接合、釘接合、ボルト接合又は溶接接合等で接合される。このとき、接続部材4は、床根太2のウェブ24が隙間G1に配置された状態で、例えば、縦板41に形成された貫通孔41dを先孔として利用して、貫通孔41dに挿通されるドリルねじ43で、縦板41がウェブ24に接合されてもよい。
本発明を適用した床根太の接合構造1は、接続部材4に受け板42が形成される場合において、必要に応じて、床根太2の下フランジ23と受け板42とが、ねじ接合、釘接合、ボルト接合又は溶接接合等で接合される。このとき、接続部材4は、床根太2の下フランジ23が隙間G2に挿通された状態で、例えば、受け板42に形成された貫通孔41dを先孔として利用して、貫通孔41dに挿通されるドリルねじ43で、受け板42が下フランジ23に接合されてもよい。
これにより、本発明を適用した床根太の接合構造1は、床根太2が接続部材4に仮支持された状態から、床根太2のウェブ24及び下フランジ23がドリルねじ43等でさらに強固に固定されることで、縦板41を介してせん断力を伝達させて構造性能を向上させることが可能となるとともに、床根太2の拘束力を向上させて床鳴りを確実に防止することが可能となる。また、本発明を適用した床根太の接合構造1は、接続部材4の貫通孔41dを先孔として利用することで、床根太2のウェブ24又は下フランジ23に特段の加工を実施することなく、床根太2を接続部材4にドリルねじ43等で接合することが可能となる。
本発明を適用した床根太の接合構造1は、図5に示すように、幅方向Yで縦板41の片側のみに背面板40が形成されてもよい。これにより、本発明を適用した床根太の接合構造1は、背面板40と縦板41との溶接等を必要とすることなく、略平板状の鋼板等から折曲加工等で背面板40及び縦板41が形成されるため、歩留まりの高い接続部材4を提供することが可能となる。
なお、本発明を適用した床根太の接合構造1は、図15(a)、図16(a)、図17(a)に示す断面略H形状の床根太2を対象とするだけでなく、図15(b)、図16(b)、図17(b)に示す断面略C形状の床根太2をも対象としたものとなる。
本発明を適用した床根太の接合構造1は、例えば、材軸方向Xのスパン長が3m〜4m程度となる床根太2のほか、5m〜8m超程度の中〜大スパンの床根太2にも適用できる。このとき、本発明を適用した床根太の接合構造1は、特に、図2に示すように、従来のH形鋼等より軽量な軽量H形鋼又は薄板軽量形鋼の床根太2が用いられることで、床根太2の揚重作業を容易に実施することが可能となる。
以上、本発明の実施形態の例について詳細に説明したが、上述した実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならない。