JP6546112B2 - ガスシールドアーク溶接方法及び溶接構造部品 - Google Patents

ガスシールドアーク溶接方法及び溶接構造部品 Download PDF

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Description

本発明は、ガスシールドアーク溶接方法及び溶接構造部品、特に、低コストで且つ溶接生産性が高く、継手部分の耐食性を向上できるガスシールドアーク溶接方法、及び、継手部分の耐食性に優れた溶接構造部品に関するものである。
鋼の溶接施工に用いられるガスシールドアーク溶接法は、CO2、Ar、He、O2、H2等のガスを溶融部のシールドガスとして用い、溶融金属を大気から保護すると共に、アークの素材となることで、溶加材(溶接棒や溶接ワイヤ)や母材を溶融させ、接合を行う技術である。この溶接方法は、自動車、建築、橋梁、電気機器等の製造分野で幅広く用いられている。また、ガスシールドアーク溶接の中でも、自動車の足回り部品等の板金溶接構造部品については、隅肉溶接が多く用いられている。
しかし、ガスシールドアーク溶接を行った場合であっても、溶接部における溶接ビードの周りには、不可避的にスラグ(SiやMn等の酸化物)が生じることが知られている。このスラグについては、その表面に化成皮膜が形成されないため、継手部分の耐食性が低下するという問題や、塗膜との密着性が低下するという問題があった。
特に、上述した溶接構造部品を、北米や欧州の塩害地域で使用した場合には、1年程度で錆が発生し、溶接構造部品の機能低下を招くことから、継手部分の耐食性を向上させる技術の開発が望まれていた。
このような問題を解決するべく、種々の技術が開発されている。
継手部分の耐食性を向上させる技術の1つとして、母材の耐食性を向上させることが上げられる。例えば、板厚を大きくして錆代を増やす方法や、母材として亜鉛系めっき鋼等の耐食性の高い鋼材を用いる方法、母材に防錆ワックスを塗布する方法などが挙げられる。
さらに、継手部分の耐食性を向上させる別の技術として、特許文献1には、亜鉛系合金めっき鋼板を、ステンレス系溶接ワイヤを用いて溶接する方法が開示されている。この方法によれば、母材及び溶接金属のいずれも耐食性を高めることができる結果、継手部分の耐食性の向上が可能となる。
また、特許文献2には、母材のSi及びTi含有量、並びに、シールドガスの酸化性ガスの量を調整する方法が開示されている。この方法によれば、溶接ビード端部におけるスラグ形成を抑制できる結果、継手部分の耐食性の向上が可能となる。
特開2006−35293号公報 特開2012−213801号公報
しかしながら、母材の耐食性を向上させる技術や、特許文献1及び2に開示された技術については、いずれも特殊な母材や、溶接金属、シールドガス等を用いているため、裸鋼材同士を溶接する場合に比べてコストの増加を避けることができなかった。そのため、製造コスト低減の点でさらなる改善が望まれていた。
また、特許文献1に開示された技術のように、亜鉛系めっき鋼板同士を溶接する場合には、高い耐食性が得られるものの、ブローホール(溶接ビード中に生じる球状の空洞)が生じやすく、溶接生産性の点でさらなる改良を図る必要があった。
本発明は、かかる事情に鑑み、低コストで且つ溶接生産性が高く、継手部分の耐食性を向上できるガスシールドアーク溶接方法、及び、その方法によって得られた、継手部分の耐食性に優れた溶接構造部品を提供することを目的としている。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく、ガスシールドアーク溶接方法について鋭意研究を重ねた結果、溶接する母材として裸鋼板及び亜鉛系めっき鋼板を用い、これらを重ね合わせて隅肉溶接する際の、溶接方向に対するトーチの傾斜角(前進角)及び前記亜鉛系めっき鋼板の溶接面に対する前記トーチの傾斜角(トーチ角)について適正化を図ることによって、耐食性の高い亜鉛系めっき鋼板のほうにスラグを集中させることができる結果、溶接ビードの端部にスラグが発生し、該スラグから腐食が生じた場合であっても、腐食の進行を抑えることができることを見出した。さらに、本発明では、溶接する鋼板の一方に裸鋼板を用いているため、亜鉛系めっき鋼板同士を溶接する場合に比べて、コストの低減を図ることができるとともに、ブローホールの発生を抑制できる結果、溶接生産性の向上が可能となることも見出した。
本発明は、以上の知見に基づきなされたものであり、その要旨は以下の通りである。
(1)シールドガスを供給しながら、裸鋼板と亜鉛系めっき鋼板とを隅肉溶接する、ガスシールドアーク溶接方法であって、前記隅肉溶接時の、溶接方向と直交する方向に対するトーチの傾斜角(前進角)を5〜30°とし、前記亜鉛系めっき鋼板の溶接面に対する前記トーチの傾斜角(トーチ角)を30〜80°とすることで、溶接ビード部上に発生するスラグを前記亜鉛系めっき鋼板側に集中させることを特徴とする、ガスシールドアーク溶接方法。
(2)前記隅肉溶接の溶接速度が、400〜1200mm/minであることを特徴とする、上記(1)に記載のガスシールドアーク溶接方法。
(3)前記裸鋼板及び前記亜鉛系めっき鋼板の板厚が、いずれも1〜4mmであることを特徴とする、上記(1)又は(2)に記載のガスシールドアーク溶接方法。
(4)前記シールドガスが不活性ガスと酸化性ガスからなる混合ガスであり、該酸化性ガスが5〜20体積%のCO2及び/又は1〜5体積%のO2からなり、該シールドガスはアーク溶接トーチによって供給されることを特徴とする、上記(1)〜(3)のいずれか1項に記載のガスシールドアーク溶接方法。
(5)上記(1)〜(4)のいずれか1項に記載のガスシールドアーク溶接方法によって得られた溶接構造部品であって、前記裸鋼板側の溶接ビード部のスラグ被覆率が1%以下、前記亜鉛系めっき鋼板側の溶接ビード部のスラグ被覆率が15%以下であることを特徴とする、溶接構造部品。
本発明により、低コストで且つ溶接生産性が高く、継手部分の耐食性を向上できるガスシールドアーク溶接方法を提供できる。さらに、その方法によって得られた、継手部分の耐食性に優れる溶接構造部品を提供できる。
本発明のガスシールドアーク溶接方法による一実施形態を模式的に示した斜視図である。 図1に示す本発明のガスシールドアーク溶接方法の一実施形態について、(a)裸鋼板の溶接する側の面と正対する位置から見た状態を示した側面図、(b)溶接方向に沿った方向から見た状態を示した側面図である。 (a)は、ガスシールドアーク溶接時に、溶接ビード端部にスラグが生じ、移動する状態を示した高速度カメラ写真であり、(b)は、ガスシールドアーク溶接後に、溶接ビード端部に形成されたスラグを拡大して示した写真である。 本発明のガスシールドアーク溶接方法によって溶接された、溶接構造部品の腐食状態を示した錆除去後の写真である。 裸鋼板及び合金化溶融亜鉛めっき鋼板(GA鋼板)のアーク溶接部について、それぞれ、スラグに起因した錆が発生した後の状態を示した腐食試験後の外観写真である。
本発明のガスシールドアーク溶接方法について、必要に応じて図面を参照しながら具体的に説明する。
図1は、本発明のガスシールドアーク溶接方法の一実施形態について、模式的に示した図である。
(ガスシールドアーク溶接方法)
本発明のガスシールドアーク溶接方法は、図1に示すように、シールドガスを供給しながら、裸鋼板2と亜鉛系めっき鋼板1とを隅肉溶接する、ガスシールドアーク溶接方法である。
ここで、前記ガスシールドアーク溶接とは、図1に示すように、溶接部分をシールドガスによって空気から遮蔽し、溶接ワイヤ先端と鋼板との間に発生させたアークプラズマによって溶接ワイヤを溶融(消耗)させながらアーク溶接を行う溶接手法である。アーク溶接においては、溶融金属が大気中の酸素や窒素、水蒸気などにさらされると酸化、窒化などにより溶接品質が劣化することから、これらの溶融金属を大気から遮断するために使用されるものがシールドガスであり、シールドガスを用いるアーク溶接のことを、ガスシールドアーク溶接という。
また、前記隅肉溶接とは、図1に示すように、隅肉継手(ほぼ直交する二つの面を溶接する三角形状の断面をもつ溶接継手)で行う溶接形態であり、溶接継手には、重ね継手(母材の一部を重ねた溶接継手)、T継手(一つの板の端面を他の板の表面に載せて、T形のほぼ直角となる溶接継手)、十字継手(十字形となる溶接継手)、角継手(2つの母材をほぼ直角にL字形に保つ、その角の溶接継手)等の溶接継手が挙げられる。
本発明のガスシールドアーク溶接方法に用いられる裸鋼板の種類については、特に限定されない。例えば、酸洗脱スケールした熱延鋼板若しくは鋼帯、又は、それらを冷間圧延して得られた冷延鋼板若しくは鋼帯を用いることができる。なお、前記前処理工程及び焼鈍工程の条件についても特に限定はされず、任意の方法を採用することができる。
また、本発明のガスシールドアーク溶接方法に用いられる亜鉛系めっき鋼板については、特に制限されない。例えば、溶融亜鉛めっき鋼板(GI)又はこれを合金化した合金化溶融亜鉛めっき鋼板(GA)、さらには溶融Zn−5質量%Al合金めっき鋼板(GF)、溶融Zn−55質量%Al合金めっき鋼板(GL)、電気亜鉛めっき鋼板(EG)、電気亜鉛−Ni合金めっき鋼板(Zn−11質量%Ni)等が挙げられる。
そして本発明は、図1に示すように、前記隅肉溶接時の、溶接方向Pと直交する方向Qに対するトーチ3の傾斜角(前進角α)を5〜30°とし、前記亜鉛系めっき鋼板1の上面1aに対する前記トーチ3の傾斜角(トーチ角β)を30〜80°とすることで、前記裸鋼板2の端部に溶接ビード部5を集中させることを特徴とする。
ここで、図3(a)は、ガスシールドアーク溶接時の溶接部を拡大して示したものである。図3(a)から、ガスシールドアーク溶接時に、溶融池の端部にスラグが生じ、溶融金属の動きに伴い、溶接方向とは逆方向に移動していることがわかる。また、図3(b)から、移動したスラグは、溶接後、溶接ビードの端部に形成されていることがわかる。
なお、上述した溶接ビードの端部におけるスラグの形成(図3(b))については、不可避的なものである。該スラグは、上述したように、表面に化成皮膜が形成されないため、継手部分の耐食性が低下するという問題や、塗膜との密着性が低下するという問題を引き起こす。
そのため、本発明のガスシールドアーク溶接方法では、前記前進角α及び前記トーチ角βの調整を行って、裸鋼板と亜鉛系めっき鋼板とを隅肉溶接し、前記溶接スラグを、亜鉛系めっき鋼板1側の溶接ビード上に集中して形成させる。該溶接ビード部5に形成されるスラグをできるだけ耐食性の高い亜鉛系めっき鋼板1側に集めることで、前記スラグが発生した場合であっても、亜鉛系めっき鋼板1の犠牲防食効果によって高い耐食性を確保できる。また、一方の母材にはめっきのない裸鋼板2を用いているため、亜鉛系めっき鋼板同士を用いる場合に比べて低コスト化が図れると共に、亜鉛系めっき鋼板同士をアーク溶接する際に多く見られるブローホールについても抑制することができ、溶接生産性にも優れる。
ここで、図4は、本発明のガスシールドアーク溶接方法によって、GA鋼板と裸鋼板を隅肉溶接し、得られた溶接構造部品を腐食環境(塩水噴霧→乾燥→湿潤を1サイクルとする環境)において一定期間(350サイクル)放置した後の状態を示したものである。図4を参照すると、溶接ビード上のスラグがGA鋼板側に集中して形成されていたため、腐食についてもGA鋼板側に多く発生していることがわかる。しかし、前記GA鋼板側に見られる腐食については、表面上に錆が広がっているものの、亜鉛による犠牲防食によって鋼板内部にまでは進行していない。
また、図5は、裸鋼板及び合金化溶融亜鉛めっき鋼板(GA鋼板)の重ね隅肉溶接について、それぞれスラグ部分から錆が発生した後の状態を示したものであるが、図5を参照すると、裸鋼板は、スラグを起点として錆が鋼板表面および内部に進展拡張するのに対して、GA鋼板は錆が点在するだけであり鋼板内部への進展は少なく、耐食性にすぐれることがわかる。そのため、前記亜鉛系めっき鋼板側にスラグを集めることで、スラグを起点に腐食が始まった場合であっても、腐食の進行を抑えることができる。
前記前進角αとは、図2(a)に示すように、溶接方向Pと直交する方向Qに対する傾斜させたトーチ3の角度のことである。前記前進角αを5〜30°とすることで、トーチ3の先端から発生するアーク4及びシールドガスの流れにより溶接部分の溶融金属(溶融池)の表面の流れをコントロールできるため、前記溶接金属上の浮遊スラグを前記亜鉛系めっき鋼板1側に集中させることが可能となる。なお、前記前進角αが30°を超えた場合には、前記トーチ3が傾斜しすぎるために、高精度に溶接を行うことが困難となり、一方、前記前進角αが5°未満になると、前記溶融金属の流れのコントロールを十分に行えない。
さらに、より高精度に溶融金属の流れをコントロールでき、より確実に前記亜鉛系めっき鋼板上に溶接ビード部を集中させることができる点から、前記前進角αを、10〜30°とすることが好ましく、10〜20°とすることがより好ましい。
前記トーチ角βとは、図2(b)に示すように、傾斜させた前記トーチ3の前記亜鉛系めっき鋼板1の上面(溶接面)1aに対する角度のことである。前記トーチ角βを30〜80°とすることで、トーチ3の先端から発生するアーク4及びシールドガスの放出により溶接部分の溶融金属の表面の流れをコントロールできるため、前記溶接ビード部5上に形成されるスラグ部を前記亜鉛系めっき鋼板1側に集中させることが可能となる。なお、前記トーチ角βが30°未満の場合には、前記トーチ3の傾斜が足りないため、前記溶融金属の流れのコントロールを十分に行えず、一方、前記トーチ角βが80°を超えると、前記トーチ3が傾斜しすぎるために、高精度に溶接を行うことが困難となる。
さらに、より高精度に溶融金属の流れをコントロールでき、より確実に前記亜鉛系めっき鋼板上に前記スラグ部を集中させることができる点から、前記トーチ角βを、40〜70°とすることが好ましく、40〜60°とすることがより好ましい。
また、前記隅肉溶接時の、溶接構造部品の部品姿勢についてもさらに調整することで、前記溶融金属の流れのコントロールでき、調整を行うことで、より確実に前記亜鉛系めっき鋼板上に溶接ビード部を集中させることができる。ここで、前記部品姿勢とは、前記裸鋼板及び前記亜鉛系めっき鋼板の傾斜角度のことをいう。
なお、前記溶接方向Pとは、図2(a)に示すように、溶接時に前記トーチ3を進める方向であり、本発明のガスシールドアーク溶接方法では、前記溶接方向Pに前記トーチ3の先端を向けて進行する前進法を採用している。
また、前記溶接速度(前記トーチ3を溶接方向Pに進める速度)が、400〜1200mm/minであることが好ましい。より高精度に溶融金属の流れをコントロールでき、より確実に前記亜鉛系めっき鋼板1側に溶接ビード部を集中させることができるからである。なお、前記溶接速度が、400 mm/min未満の場合には、溶接速度が遅すぎるため、効率的な溶接が行えないおそれがあり、一方、前記溶接速度が1200mm/minを超える場合には、溶接速度が速すぎるため、前記溶融金属の流れを十分にコントロールできないおそれがある。
ここで、本発明のガスシールドアーク溶接方法に用いられる裸鋼板及び亜鉛系めっき鋼板の板厚は、特に限定はされないが、1〜4mmであることが好ましい。前記裸鋼板及び亜鉛系めっき鋼板の板厚が1mm未満の場合には、錆代が少なくなるため、腐食が進行した場合の溶接構造部品の寿命が短くなり、一方、前記裸鋼板及び亜鉛系めっき鋼板の板厚が4mmを超えると、溶接構造部品の寿命は長くなるものの、製造コストの高騰を招くことになる。
なお、前記ガスシールドアーク溶接に用いられるトーチ3は、ワイヤ状の溶接金属及び前記シールドガスを有するものであり、その他必要に応じて、溶接ワイヤの供給ロールや、電源のコンタクト、シールドガスのノズル等を備える。
また、前記溶接ワイヤの種類については、特に限定はされず、公知の溶接ワイヤを適宜用いることができる。例えば、より優れた溶接性を得られる点からは、前記溶接ワイヤが、C、Si、Mn及びTiを含むことが好ましい。
さらに、前記シールドガスについても、特に限定はされず、公知のシールドガスを適宜用いることができる。例えば、前記スラグの発生を効果的に抑えることができる点からは、前記シールドガスが、不活性ガスと酸化性ガスからなる混合ガスであり、シールドガス100体積%に対して、該酸化性ガスが、CO2:5〜20体積%及び/又はO2:1〜5体積%からなることが好ましく、より高精度に前期溶融金属の流れをコントロールでき、より確実に前記亜鉛系めっき鋼板上に前記溶接ビード部を集中させることができる点からは、該シールドガスを、前端部径が細くなったノズルを用いて供給することが好ましい。
(溶接構造部品)
次に、本発明の溶接構造部品について説明する。
本発明の対象とする溶接構造部品は、上述したガスシールドアーク溶接方法によって得られたものである。
そして、本発明の溶接構造部品は、前記裸鋼板上の溶接ビード部のスラグ被覆率が1%以下、前記亜鉛系めっき鋼板上の溶接ビード部のスラグ被覆率が15%以下であることを特徴とする。
ここで、前記スラグ被覆率とは、溶接ビード全体の面積に対する溶接ビード上に存在(被覆)するスラグ面積の割合のことであり、溶接ビードを溶接線に沿って2分割(亜鉛めっき鋼板側の溶接ビード及び裸鋼板側の溶接ビードに分割)し、それぞれの部分におけるスラグ面積の、ビード面積に対する割合を100倍することによって算出することができる。
本発明の溶接構造部品は、前記溶接ビード部の端部が、耐食性の高い亜鉛系めっき鋼板側に集められているため、発生したスラグは、亜鉛系めっき鋼板側に集中する(前記亜鉛系めっき鋼板上の溶接ビード部のスラグ被覆率が高くなる)。その結果、スラグの部分から腐食が生じた場合であっても、亜鉛系めっき鋼板の犠牲防食効果によって高い耐食性を確保できる。加えて、一方の母材にはめっきのない裸鋼板が用いられているため、亜鉛系めっき鋼板同士をアーク溶接してなる溶接構造部品に比べて、ブローホールが抑制されている。
上述したように、図4は、本発明のガスシールドアーク溶接方法によって、GA鋼板と裸鋼板を隅肉溶接し、得られた溶接構造部品を腐食環境において一定期間放置した後の状態である。図4を参照すると、溶接ビード上のスラグが継手部分においてもGA鋼板側に集中して形成されていたため、腐食についてもGA鋼板側に多く発生し表面上には錆が広がっているものの、亜鉛による犠牲防食によって鋼板内部にまでは進行していないことがわかる。
さらに、本発明の溶接構造部品は、その表面に、化成処理皮膜及び/又は塗膜をさらに備えることができる。これらの膜を備えることで、より優れた耐食性を実現できる。
なお、化成皮膜及び塗膜の種類については、特に限定はされず、公知のものを適宜使用することができる。
なお、本発明の溶接構造部品のその他の構成については、上述したガスシールドアーク溶接方法に記載されたものと同様である。
次に、本発明の実施例を説明する。
(サンプル1〜23)
表1に示すように、条件(母材の条件、トーチの前進角、トーチのトーチ角、溶接速度、シールドガスの組成、スラグ被覆率)を変更して、ガスシールドアーク溶接を行った。各条件によって隅肉溶接された溶接継手のサンプルについて、後述する評価を行った。
(耐食性評価)
各サンプルについて、腐食試験(塩水噴霧→乾燥→湿潤を1サイクルとする環境を200サイクル繰り返す試験)を実施した。
耐食性の評価は、腐食試験後の溶接部における最大腐食深さが裸鋼板の板厚の25%以上に達した場合を×、25%未満の場合を○と判定した。
表1の結果から、実施例のサンプル1〜15については、溶接ビード上のスラグがGA鋼板側に集中して形成されており、裸鋼板側のスラグ形成は抑制されており、腐食試験後の耐食性はいずれも良好な結果を示した。
一方、比較例のサンプル16では、裸鋼板と裸鋼板の隅肉溶接継手となるため、耐食性が劣化した。比較例のサンプル17〜21では、めっき鋼板と裸鋼板の隅肉溶接継手であるが、前進角又はトーチ角が最適条件外の設定であるため、溶接ビード上のスラグがGA鋼板側に集中して形成されず、裸鋼板側に1%より多く形成され、耐食性が劣化した。比較例のサンプル22ではシールドガス中のCO2量が20%よりも多く含有しており、溶接ビード上のスラグの発生量が多くなり、溶接ビード上のスラグがGA鋼板側に集中して形成できず、裸鋼板側に1%より多く形成されたため、耐食性が劣化した。比較例のサンプル23では、溶接速度が1200mm/minを超えた溶接条件であるため、溶接ビードのシールドガスによるシールド性が劣化して溶接ビード上のスラグ発生量が多くなり、溶接ビード上のスラグがGA鋼板側に集中して形成できず、裸鋼板側に1%より多く形成されたため、耐食性が劣化した。
本発明によれば、低コストで且つ溶接生産性が高く、継手部分の耐食性を向上できるガスシールドアーク溶接方法を提供できる。さらに、本発明によれば、継手部分の耐食性に優れる溶接構造部品を提供できる。
1 亜鉛系めっき鋼板
2 裸鋼板
3 トーチ
4 アーク
5 溶接ビード部
P 溶接方向
α 前進角
β トーチ角

Claims (5)

  1. シールドガスを供給しながら、裸鋼板と亜鉛系めっき鋼板とを隅肉溶接する、ガスシールドアーク溶接方法であって、
    前記隅肉溶接時の、溶接方向と直交する方向に対するトーチの傾斜角(前進角)を5〜30°とし、前記亜鉛系めっき鋼板の溶接面に対する前記トーチの傾斜角(トーチ角)を30〜80°とすることで、溶接ビード部上に発生するスラグを前記亜鉛系めっき鋼板側に集中させることを特徴とする、ガスシールドアーク溶接方法。
  2. 前記隅肉溶接の溶接速度が、400〜1200mm/minであることを特徴とする、請求項1に記載のガスシールドアーク溶接方法。
  3. 前記裸鋼板及び前記亜鉛系めっき鋼板の板厚が、いずれも1〜4mmであることを特徴とする、請求項1又は2に記載のガスシールドアーク溶接方法。
  4. 前記シールドガスが不活性ガスと酸化性ガスからなる混合ガスであり、該酸化性ガスが5〜20体積%のCO2及び/又は1〜5体積%のO2からなり、該シールドガスはアーク溶接トーチによって供給されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のガスシールドアーク溶接方法。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のガスシールドアーク溶接方法によって得られた溶接構造部品であって、
    前記裸鋼板側の溶接ビード部のスラグ被覆率が1%以下、前記亜鉛系めっき鋼板側の溶接ビード部のスラグ被覆率が15%以下であることを特徴とする、溶接構造部品。
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