JP6546112B2 - ガスシールドアーク溶接方法及び溶接構造部品 - Google Patents
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Description
特に、上述した溶接構造部品を、北米や欧州の塩害地域で使用した場合には、1年程度で錆が発生し、溶接構造部品の機能低下を招くことから、継手部分の耐食性を向上させる技術の開発が望まれていた。
継手部分の耐食性を向上させる技術の1つとして、母材の耐食性を向上させることが上げられる。例えば、板厚を大きくして錆代を増やす方法や、母材として亜鉛系めっき鋼等の耐食性の高い鋼材を用いる方法、母材に防錆ワックスを塗布する方法などが挙げられる。
また、特許文献2には、母材のSi及びTi含有量、並びに、シールドガスの酸化性ガスの量を調整する方法が開示されている。この方法によれば、溶接ビード端部におけるスラグ形成を抑制できる結果、継手部分の耐食性の向上が可能となる。
また、特許文献1に開示された技術のように、亜鉛系めっき鋼板同士を溶接する場合には、高い耐食性が得られるものの、ブローホール(溶接ビード中に生じる球状の空洞)が生じやすく、溶接生産性の点でさらなる改良を図る必要があった。
(1)シールドガスを供給しながら、裸鋼板と亜鉛系めっき鋼板とを隅肉溶接する、ガスシールドアーク溶接方法であって、前記隅肉溶接時の、溶接方向と直交する方向に対するトーチの傾斜角(前進角)を5〜30°とし、前記亜鉛系めっき鋼板の溶接面に対する前記トーチの傾斜角(トーチ角)を30〜80°とすることで、溶接ビード部上に発生するスラグを前記亜鉛系めっき鋼板側に集中させることを特徴とする、ガスシールドアーク溶接方法。
図1は、本発明のガスシールドアーク溶接方法の一実施形態について、模式的に示した図である。
本発明のガスシールドアーク溶接方法は、図1に示すように、シールドガスを供給しながら、裸鋼板2と亜鉛系めっき鋼板1とを隅肉溶接する、ガスシールドアーク溶接方法である。
また、前記隅肉溶接とは、図1に示すように、隅肉継手(ほぼ直交する二つの面を溶接する三角形状の断面をもつ溶接継手)で行う溶接形態であり、溶接継手には、重ね継手(母材の一部を重ねた溶接継手)、T継手(一つの板の端面を他の板の表面に載せて、T形のほぼ直角となる溶接継手)、十字継手(十字形となる溶接継手)、角継手(2つの母材をほぼ直角にL字形に保つ、その角の溶接継手)等の溶接継手が挙げられる。
なお、上述した溶接ビードの端部におけるスラグの形成(図3(b))については、不可避的なものである。該スラグは、上述したように、表面に化成皮膜が形成されないため、継手部分の耐食性が低下するという問題や、塗膜との密着性が低下するという問題を引き起こす。
さらに、より高精度に溶融金属の流れをコントロールでき、より確実に前記亜鉛系めっき鋼板上に溶接ビード部を集中させることができる点から、前記前進角αを、10〜30°とすることが好ましく、10〜20°とすることがより好ましい。
さらに、より高精度に溶融金属の流れをコントロールでき、より確実に前記亜鉛系めっき鋼板上に前記スラグ部を集中させることができる点から、前記トーチ角βを、40〜70°とすることが好ましく、40〜60°とすることがより好ましい。
また、前記溶接速度(前記トーチ3を溶接方向Pに進める速度)が、400〜1200mm/minであることが好ましい。より高精度に溶融金属の流れをコントロールでき、より確実に前記亜鉛系めっき鋼板1側に溶接ビード部を集中させることができるからである。なお、前記溶接速度が、400 mm/min未満の場合には、溶接速度が遅すぎるため、効率的な溶接が行えないおそれがあり、一方、前記溶接速度が1200mm/minを超える場合には、溶接速度が速すぎるため、前記溶融金属の流れを十分にコントロールできないおそれがある。
次に、本発明の溶接構造部品について説明する。
本発明の対象とする溶接構造部品は、上述したガスシールドアーク溶接方法によって得られたものである。
そして、本発明の溶接構造部品は、前記裸鋼板上の溶接ビード部のスラグ被覆率が1%以下、前記亜鉛系めっき鋼板上の溶接ビード部のスラグ被覆率が15%以下であることを特徴とする。
なお、化成皮膜及び塗膜の種類については、特に限定はされず、公知のものを適宜使用することができる。
(サンプル1〜23)
表1に示すように、条件(母材の条件、トーチの前進角、トーチのトーチ角、溶接速度、シールドガスの組成、スラグ被覆率)を変更して、ガスシールドアーク溶接を行った。各条件によって隅肉溶接された溶接継手のサンプルについて、後述する評価を行った。
各サンプルについて、腐食試験(塩水噴霧→乾燥→湿潤を1サイクルとする環境を200サイクル繰り返す試験)を実施した。
耐食性の評価は、腐食試験後の溶接部における最大腐食深さが裸鋼板の板厚の25%以上に達した場合を×、25%未満の場合を○と判定した。
一方、比較例のサンプル16では、裸鋼板と裸鋼板の隅肉溶接継手となるため、耐食性が劣化した。比較例のサンプル17〜21では、めっき鋼板と裸鋼板の隅肉溶接継手であるが、前進角又はトーチ角が最適条件外の設定であるため、溶接ビード上のスラグがGA鋼板側に集中して形成されず、裸鋼板側に1%より多く形成され、耐食性が劣化した。比較例のサンプル22ではシールドガス中のCO2量が20%よりも多く含有しており、溶接ビード上のスラグの発生量が多くなり、溶接ビード上のスラグがGA鋼板側に集中して形成できず、裸鋼板側に1%より多く形成されたため、耐食性が劣化した。比較例のサンプル23では、溶接速度が1200mm/minを超えた溶接条件であるため、溶接ビードのシールドガスによるシールド性が劣化して溶接ビード上のスラグ発生量が多くなり、溶接ビード上のスラグがGA鋼板側に集中して形成できず、裸鋼板側に1%より多く形成されたため、耐食性が劣化した。
2 裸鋼板
3 トーチ
4 アーク
5 溶接ビード部
P 溶接方向
α 前進角
β トーチ角
Claims (5)
- シールドガスを供給しながら、裸鋼板と亜鉛系めっき鋼板とを隅肉溶接する、ガスシールドアーク溶接方法であって、
前記隅肉溶接時の、溶接方向と直交する方向に対するトーチの傾斜角(前進角)を5〜30°とし、前記亜鉛系めっき鋼板の溶接面に対する前記トーチの傾斜角(トーチ角)を30〜80°とすることで、溶接ビード部上に発生するスラグを前記亜鉛系めっき鋼板側に集中させることを特徴とする、ガスシールドアーク溶接方法。 - 前記隅肉溶接の溶接速度が、400〜1200mm/minであることを特徴とする、請求項1に記載のガスシールドアーク溶接方法。
- 前記裸鋼板及び前記亜鉛系めっき鋼板の板厚が、いずれも1〜4mmであることを特徴とする、請求項1又は2に記載のガスシールドアーク溶接方法。
- 前記シールドガスが不活性ガスと酸化性ガスからなる混合ガスであり、該酸化性ガスが5〜20体積%のCO2及び/又は1〜5体積%のO2からなり、該シールドガスはアーク溶接トーチによって供給されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のガスシールドアーク溶接方法。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載のガスシールドアーク溶接方法によって得られた溶接構造部品であって、
前記裸鋼板側の溶接ビード部のスラグ被覆率が1%以下、前記亜鉛系めっき鋼板側の溶接ビード部のスラグ被覆率が15%以下であることを特徴とする、溶接構造部品。
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