以下に図面を用いて本発明に係る実施の形態につき、詳細に説明する。以下で述べる寸法、形状、濾材の種類、植物用容器の積み重ね段数等は、説明のための例示であって、アクアポニックスシステムの仕様に合わせ、適宜変更が可能である。以下では、全ての図面において対応する要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
図1は、本発明の第1の実施形態である積層型アクアポニックスシステム10aの概略図である。図2は、図1に示す積層型アクアポニックスシステム10aの(a)上面図および(b)側面図である。図1および図2には、XYZ軸を併記した。X方向は直方体である飼育水槽20を上面側から見た場合の水平面内での長手方向に沿う方向であり、Y方向は上記飼育水槽20を上面から見た場合の上記X方向と直行する方向であり、Z方向は高さ方向、−Z方向は水が重力によって落下する鉛直方向である。
積層型アクアポニックスシステム10aは、魚22と植物34とを同時に育成する水流循環システムである。飼育水槽20の内部に存在する魚22の排泄物と食べ残した餌を水の循環によって植物用容器30へと移動させ、上記排泄物や餌を微生物の分解作用によって植物34の栄養源として変換させると同時に水を浄化させる。
積層型アクアポニックスシステム10aは、飼育水槽20と、微生物を有する濾床32を含み植物34を育成する複数段に配置される植物用容器30と、サイフォン管機構40と、飼育水槽20から給水ポンプ24を介して延びる給水管48とを備える。鉛直方向に沿って飼育水槽20は各植物用容器30より下側に位置する。給水管48は、原水給水部50である。本実施形態では、5つの植物用容器30を上段側植物用容器30に対して下段側植物用容器30が完全に重なり合わないよう積み重ねた例を示すが、これに限定されるものではなく2つ〜4つ、または6つ以上であってもよい。
飼育水槽20は、魚22と、飼育水槽20に収容される原水8と、原水8を汲み上げる給水ポンプ24とが収容される。植物用容器30は、濾床32と、濾床32に存在する図示されない微生物と、植物34とが収容される。サイフォン管機構40は、濾床32の内部に吸水部42を有し植物用容器30の外部に排水部44を有する逆U字形管路46を用いた干潟式水供給法を実現する。
飼育水槽20は、原水8を収容し、魚22を育成するための容器状の構造物である。飼育水槽20の材質は、例えばプラスチック、ガラス、金属などを用いることができ、上記材質を明度など魚22が好む環境状態や、軽量化、作業性など目的に応じて適宜用いることができる。また、飼育水槽20の外形は、直方体、立方体、円柱体、お椀型など適宜目的に応じて用いることができる。例えば、飼育水槽20の外形を直方体とすると、その寸法を縦300mm、横640mm、高さ160mmとすることができる。
飼育水槽20は、周壁部と底面部が防水構造で、上面部が大気側に解放されていることが好ましい。なお、上面部は、外敵から魚22を保護するため網目構造の蓋などを適宜設けてもよい。
魚22は、メダカ、金魚、鮎、香魚、テラピア、鯉、ドジョウ、その他の淡水魚を観賞用として飼育する場合や食用とする場合など目的に応じて適宜用いることができる。また、飼育水槽20の内部にヒータを設置することによりグッピーなどの熱帯魚を用いてもよい。飼育水槽20内の魚22には、適した餌が適宜与えられる。
原水8は、飼育水槽20の内部に魚22と共に収容される。また、原水8は微生物によって分解作用が行われた水に魚22の食べ残した餌及び魚22の排泄物を含む。排泄物には尿と固形排泄物とが含まれる。尿には、アンモニア態窒素やアンモニウム態窒素が含まれ、固形排泄物には有機態窒素と、植物34の栄養源としての無機態窒素、リン、カリウム等とが含まれる。尿や固形排泄物は、その量が水中で上昇すると魚22にとって有害であり、水質を低下させることになる。よって、本実施形態では、植物用容器30内の濾床32において原水8を浄化して飼育水槽20の水として再利用する。
原水8は、植物用容器30内の濾床32に供給することで、微生物による分解作用が行われた処理水4となる。また、処理水4は、下段に位置する植物用容器30内の濾床32においてさらに分解作用が行われるが、このように分解作用させる水を処理対象水6と呼ぶことにする。
給水ポンプ24は、飼育水槽20から原水8を汲み上げて給水管48を介して最上段の植物用容器30の上方に設けられる原水給水部50に原水8を供給する機能を有する。給水ポンプ24の機能により、水を循環利用することができる。給水ポンプ24の動かし方としては、間欠運転とすることが好ましく、原水8が最上段の植物用容器30に適切量供給されるまで運転を行い、その後は運転を一時停止する。給水ポンプ24によって最上段の植物用容器30に供給された原水8は、サイフォン管機構40によって順次下段の植物用容器30内の濾床32を通過するにつれて水が浄化され、最終的に最下段に位置する飼育水槽20に最終の処理水4が排水される。給水ポンプ24の運転が再び開始され、上記動作が繰り返される。
植物用容器30は、有底の枠体であって、その内部に濾床32を収容するための外形を形成し、濾床32を外部から分離し、濾床32に含まれる処理対象水6等を外部に流出しないようにする容器状の構造物である。
植物用容器30は、周壁部と底面部が完全な遮液構造でなくてもよいが略防水構造で、上面部が大気側に開放される。底面部において濾床32が接する位置を基準位置として、周壁部の基準位置からの鉛直方向の高さは、基準位置からZ方向に沿って測った濾床厚さよりも大きい値に設定される。
植物用容器30の材質は、濾床32を構成する濾材がこぼれ落ちたり処理対象水6が漏水や浸潤することなく収容される材質であればよく、軽量で内部観察が容易であるという観点からポリプロピレン、アクリル等の透明性プラスチック材料を用いることができる。植物用容器30の寸法は、例えばその寸法を縦180mm、横300mm、高さ170mmとすることができる。
図2では、最上段の植物用容器を符号30aとし、以下同様に下側に位置する植物用容器を順に符号30b,30c,30d,30eとする。図1および図2に示すように植物用容器30を積層化にする場合は、各植物用容器30に供給する水量を一定にする目的で植物用容器30の寸法を同一にすることが好ましい。サイフォン管機構40が維持され、植物34に適切に給水することができれば異なる寸法でもよい。また、積層化する場合は、各植物用容器30の上面部の一部が開放されるようにずらして配置されることが好ましい。具体的には、植物用容器30a,30c,30eは長手方向がY方向に沿い、植物用容器30b,30dは長手方向がX方向に沿うようにして交互に積み重ねられている。このように鉛直方向に沿って上から順に植物用容器30の配置を交互にすることで上面部の約半分が開放され植物34に日光等の光を十分当てることができる。
濾床32は、濾材を植物用容器30の内部空間に敷き詰めたものである。また、場合によっては、異なる種類の濾材を層状に敷き詰めたものでもよい。濾床32は、濾材と微生物とを有し、微生物によってバイオフィルムまたは植物根圏微生物群が形成される。植物用容器30に収容される濾床32の体積Vは、濾床厚さDと濾床底面積Sとを用いて、V=S×Dで示される。ただし濾床32の底面が平面でない場合には、体積は適宜その形状にあった算出式にて求めるものとする。
濾材は、軽石、溶岩、小石、砂、ガラスカレット、ハイドロコーン等を目的に合わせて適宜用いることができる。特に、再利用可能である等の観点からガラスカレットを用いることが好ましい。濾材について積層型に用いる際、上段ほど粒径の大きな濾材を用い下段になるに従い小さな粒径の濾材を用いることにより、上段において体積の大きな排泄物や餌を濾過し、水が下段に進むにつれて体積の小さな排泄物や餌を濾過させる。これにより、飼育水槽20より汲み上げられた原水8に含まれる魚22の排泄物や餌を効率よく濾床32内に回収することができる。濾床32において、大きな固形物は濾過され、小さな固形物は微生物によって低分子化される。
バイオフィルムとは、濾床32の濾材に付着する微生物の膜である。例えば、水中にある礫や砂には、ぬるぬるした層が付着しているが、この層は、有機物や栄養塩とこれを食べる微生物を含む膜である。この膜がバイオフィルムである。植物根圏微生物群とは、濾材に生育する水生植物の根の周りの有機物や栄養塩を食べる微生物の群落である。
ここで、微生物によって分解可能な有機物指標としてBOD(生物化学的酸素要求量)がある。BODは、水中の有機物等の量を、その酸化分解のために微生物が必要とする溶存酸素の量で表したものである。BODの値が大きいほど、その水質は汚泥していると言える。BODについては、有機物の分解に伴う酸素消費量(C−BOD)とアンモニア性窒素等、窒素の硝化に伴う酸素消費量(N−BOD)とを区別することもある。
水質改善を行うには、濾床32においてBOD酸化菌、硝化菌、脱窒菌の3種の細菌がそれぞれ活発に働く必要がある。バイオフィルムまたは植物根圏微生物群に含まれる微生物には、BOD酸化菌、硝化菌、および脱窒菌が含まれる。BOD酸化菌は、糖類、タンパク質等の有機物を体内に取り込み、その大半を酵素反応によって酸化分解(有機物+O2→CO2↑+H2O)する。硝化菌は、水中のアンモニア態窒素およびアンモニウム態窒素を亜硝酸態窒素に、さらには硝酸態窒素に硝化する。硝化された排泄物は植物34の栄養源となる。また嫌気的環境においては、栄養塩としての硝酸態窒素や亜硝酸態窒素の一部は脱窒菌の働きで窒素ガスとして大気中に揮散されることで富栄養化を抑制する。
このように、バイオフィルムや植物根圏微生物群に含まれるBOD酸化菌、硝化菌および脱窒菌を利用することで、原水8および処理対象水6に含まれる魚22の排泄物や餌を分解し、植物34の栄養源を含む処理水4とでき、結果として水を浄化することができる。以下では、微生物による低分子化、酸化、硝化等の反応を単に分解作用と呼ぶ。
植物34は、レタス、キャベツ、トマト、胡瓜、青梗菜、イチゴ、メロン、唐辛子、クレソン、バジル、ミント、球根および草花等目的に応じて適宜育成することができる。特に、複数段積み重ねられる最下段の植物用容器30には、分解作用が複数回行われ、植物34の栄養源となる排泄物や餌を多く含まない浄化率の高い処理水4が供給されることから、栄養源を多く必要としない球根を育成することが好ましい。
サイフォン管機構40は、干潟式水供給法を実現するものであり、一方端に吸水部42を有し、他方端に排水部44を有する逆U字形管路46を用いる。サイフォン管機構40は、吸水部42が植物用容器30の中にあって、排水部44に至る管路が植物用容器30の底面部を貫通している。底面部を貫通する箇所で植物用容器30から漏水するのを防ぐため、底面部と管路との間にシールパテやOリング等を用いることが好ましい。
吸水部42は、濾床32の内部にあって各植物用容器30の内部から微生物による分解作用が行われた処理水4を吸い出して吸水する吸出口である。
また、吸水部42には、濾材吸込みを抑制する吸水部フィルタ70が設けられる。図3は、吸水部フィルタ70を示す図である。図3に示すように、吸水部フィルタ70は、外周が網目状の籠の中に、濾材の粒径よりも数倍大きい粒径を有するフィルタ材、あるいは濾材の粒径より小さい孔径を有するスポンジ材を収容したものである。フィルタ材の材質としては、頁岩、ガラスカレット等を用いることができる。籠の網目と、フィルタ材あるいはスポンジ材の粒径の作用によって、濾材がサイフォン管機構40の管路内径に入り込むことを防止でき、サイフォン管機構40の吸水部42における目詰まりを抑制できる。
排水部44は、濾床32の外部にあって各植物用容器30の外部へ吸水部42より吸水された処理水4を排水する排水口であり、かつ隣接する植物用容器30に対しての給水口としての機能を有する。最下段に位置する植物用容器30に形成される排水部44は、処理水4が飼育水槽20へ排水される処理口部である。
次に、図4を参照し、サイフォン管機構40の原理を説明する。サイフォン管機構40は、基準位置から測った吸水水位H1に開口する吸水部42を一方端に有し、基準位置から測って吸水水位H1よりも下側の排水水位−H2に開口する排水部44を他方端に有する。吸水部42と排水部44とを結ぶ管路の一部が、吸水水位H1より高い所定位置に配置される。逆U字形管路46を水で満たすことにより容器Aにある高さhに対応する水の容積Vを容器Bに移動させることができる。吸水水位H1に濾床底面積Sを乗じた体積分の水は植物用容器30に維持されるので、吸水部42を高さ方向において高い位置に設けることで吸水水位H1が高く設定され、吸水水位H1に濾床底面積Sを乗じて求められる体積分の水を維持することができる。
図5は、異なる仕様のサイフォン管機構40を示す図である。場合によっては、吸水部42を植物用容器30の底面部に設けることによって処理水4を全量排水することができる。例えば、図5に示すように容器A、容器B、容器Cの3つがあり、容器Bには逆U字形管路46が設けてある。図5(a)に示す容器Bにおいて水位H、容器Bの水が容器Cに流れ出す水位を動作基準水位h0とする。H<h0の場合、容器Bの水は容器Cに移動することができないので、容器Bには流入する水により水位Hが上昇する。しかし図5(b)に示すようにH≧h0になると管路に水が満たされるので、サイフォンの原理により容器B内の水が容器Cに流出し、最終的に水位H=0となる。このように吸水部42を植物用容器30の底面部に設けることによって処理水4を全量排水できる。
図6は、サイフォン管機構40による濾床呼吸作用を示す図である。図6(a)〜(f)の各図は、図1の積層型アクアポニックスシステム10aにおける、ある一段の植物用容器30と、濾床32と、処理対象水6と、処理水4とを示し、時間経過と共に植物用容器30における水位Hの変化を示す断面図である。図7は、横軸に時間、縦軸に水位Hを取って、図6における水位Hの時間変化を示す推移図である。
図6(a)は、植物用容器30に初めて処理対象水6が供給された時間taの状態を示す図である。濾床32の上面に処理対象水6が供給されるが、濾床32の内部には水が含まれておらず、水位H=基準位置(容器底面位置)である。
図6(b)は、時間taから時間が経過した時間tbの状態を示す図で、処理対象水6が濾床32の内部に浸透しつつある。この時点では、水位H=基準位置のままである。
図6(c)は、時間tbから時間がさらに経過した時間tcの状態を示す図である。ここでは、処理対象水6が濾床32の内部に浸透し、濾床32における魚22の餌の食べ残しや排泄物等の分解作用が行われながら、植物用容器30の底面に達し、そこから水位が上昇して、吸水水位H1となった状態である。
図6(d)は、時間tcから時間がさらに経過した時間tdの状態を示す図である。ここでは、濾床32の上面に処理対象水6が無くなり、濾床32が大気に露出する。そして、濾床32の内部では、浸透していた処理対象水6が濾床32の内部に広がって拡散し、濾床32における魚22の排泄物等の分解作用が行われながら、水位Hが次第に上昇する。
このように、処理対象水6が拡がることで、濾床32の体積Vの広い範囲で魚22の排泄物等の分解作用が行われ、水が浄化される。また、濾床32の内部で水位Hが上昇することで、魚22の排泄物等の分解作用後に存在する酸素、二酸化炭素、窒素等の空気が、濾床32の上面の大気に露出する部分から大気に吐出される。これが濾床32の呼気作用である。図7に示すように、呼気作用は、時間tcと時間tdの間で、濾床32が大気に露出した時間から開始する。
図6(e)は、時間tdから時間がさらに経過した時間teにおいて、水位Hが動作基準水位h0に到達した状態を示す図である。このとき、サイフォン管機構40においても水位Hが動作基準水位h0に到達するので、濾床32内の処理水4は、サイフォン管機構40の排水部44から外部に排水される。
図6(f)は、時間teから時間がさらに経過した時間tfの状態を示す図である。ここでは、サイフォン管機構40の作用によって濾床32の内部の処理水4が外部に排水され尽くして、水位Hが吸水水位H1まで低下する。この水位Hの低下によって、濾床32の内部には、濾床32の上面の大気に露出する部分から酸素が吸い込まれる。これが濾床32の吸気作用である。図7に示すように、吸気作用は、時間teと時間tfの間で、濾床32が大気に露出していて水位Hが低下する期間の間継続する。
時間tfの状態において、さらに排水部44は隣接する下段の植物用容器30へ処理水4を処理対象水6として供給することで、図6(c)とほぼ同様の状態となり、再び水位Hが上昇し、以後、図6(d),(e),(f)で説明した状態が繰り返される。これを図7で説明すると、時間tfまたはその前後の時間において処理対象水6の再供給を行うことで、植物用容器30の濾床32は吸気と呼気とを繰り返す。これによって、濾床32の水位Hの変動が繰り返されるので濾床32内に酸素が自動供給され、濾床32内の処理水4は酸素を豊富に含む水となり、水質浄化効率が向上する。
呼気と吸気の繰り返しの周期である呼吸期間周期T0は、(時間tf−時間tc)である。呼吸期間周期T0は、植物用容器30の濾床32の体積Vと、濾材の種類、サイフォン管機構40の動作基準水位h0設定で調整できる。サイフォン管機構40の呼吸期間周期T0は水耕栽培する植物34に適した水位となるよう予め定めることが好ましく、呼吸期間周期T0を満たすように、植物用容器30の内部の濾床32の体積Vに応じた水位に設定される。また、サイフォン管機構40の動作基準水位h0は、濾床32の体積Vを呼吸期間周期T0で除した単位時間当たり平均呼吸速度が遅いほど高い水位に設定することが好ましい。
例えば、事例1として、植物34の根腐れ等を考慮する場合、水を多く必要としない植物34は呼吸期間周期T0(1)を短くする必要がある。これに対し、水を多く必要とする植物34は呼吸期間周期T0(2)を長くする必要がある。両者濾床32の体積Vが同じであるとすると、サイフォン管機構40は、水を多く必要としない植物34における動作基準水位h0(1)よりも水を多く必要とする植物34における動作基準水位h0(2)の方を高くする。これにより、水を多く必要とする植物34における呼吸期間周期T0(2)を、水を多く必要としない植物34における呼吸期間周期T0(1)よりも長くできる。
事例2として、同じ植物34を寸法の異なる植物用容器30に収容する場合において、処理対象水6を同じ時間で処理したいとする。ここで、大きい寸法M1の濾床32の体積V1=(濾床底面積S1×濾床厚さD1)、小さい寸法M2の濾床32の体積V3=(濾床底面積S1×濾床厚さD3)、濾床底面積S1=濾床底面積S2、濾床厚さD3>濾床厚さD1とする。この場合、寸法M1の呼吸期間周期T0(1)と寸法M2の呼吸期間周期T0(3)を同じにすればよい。しかし、体積V3>体積V1であるので、サイフォン管機構40において、寸法M1における動作基準水位h0(1)よりも寸法M2における動作基準水位h0(3)の方を高くする。
このように、植物用容器30の濾床32の体積V、濾床底面積S、濾床厚さDに応じて、サイフォン管機構40の動作基準水位h0の設定を行うことで、濾床32の水位変動の周期を植物用容器30の目的に応じて設定できる。
なお、上記の水位変動と濾床呼吸作用の説明は、比較的粒径の粗い濾材を用いる場合である。比較的粒径の粗い濾材は、処理対象水6が濾床32の上面に滞留せず、濾床32内を浸透する。すなわち、(濾床32における単位時間当たり浸透流量)>(処理対象水6の単位時間当たり給水流量)である。また、これとは逆に(濾床32における単位時間当たり浸透流量)<(処理対象水6の単位時間当たり給水流量)となる粒径の細かい濾材を用いた場合には、処理対象水6は、給水と同時には濾床32内に全部が浸透しきれず、濾床32の上面に一部が滞留する。滞留する水量が多いと、植物用容器30から水が溢れ出す可能性がある。また、滞留が長時間であると、植物34の毛根に悪影響を与え、根腐れを起こす可能性が考えられる。そのため、(濾床32における単位時間当たり浸透流量)と(処理対象水6の単位時間当たり給水流量)とのバランスを考慮して濾材が選定されることが好ましい。
次に、図1および図2を参照して、積層型アクアポニックスシステム10aにおける水の移動について説明する。まず、給水ポンプ24の運転を開始し、飼育水槽20内の原水8が第1の処理対象水6として最上段の植物用容器30aに満たされたら運転を停止する。最上段の植物用容器30aに収容される第1の処理対象水6は、分解作用後に第1の処理水4として、図1には示したが図2では図示されない吸水部42aより吸水され、植物用容器30aの一段下側にある植物用容器30bに排水部44aより排水される。その後、植物用容器30bに収容される第2の処理対象水6は、分解作用後に第2の処理水4となり吸水部42bより吸水され、植物用容器30bの一段下側にある植物用容器30cに排水部44bより排水される。このように排水された処理水4は、順次下段の植物用容器30に処理対象水6として排水される。以下同様のことが行われ、最終的には、植物用容器30eに収容される分解作用後の第5の処理水4は図示されない吸水部42eより吸水され、飼育水槽20に処理口部である排水部44eより最終の処理水4として排水される。
このようにサイフォン管機構40によって水は順次下段の植物用容器30へと自動的に鉛直方向へ落下し、最終的には、最下段にある飼育水槽20に魚22の排泄物等が取り除かれて浄化された最終の処理水4が排水される。飼育水槽20に排水された最終の処理水4は、時間を経て魚22の排泄物等を含む原水8となる。
最上段の植物用容器30a内の水が枯渇すると給水ポンプ24を再び運転させる。給水ポンプ24の運転により原水8を汲み上げ、最上段の植物用容器30aに供給することで水が循環される。水は、気化あるいは植物34より蒸散することがあるため、その減量分として適宜水道等から潅水することも可能である。
上述した本実施形態の積層型アクアポニックスシステム10aによれば、植物用容器30a,30c,30eを長手方向がY方向に沿うように、植物用容器30b,30dを長手方向がX方向に沿うようにして交互にずれて積み重ねられている。これにより、植物用容器30aの全面および植物用容器30b〜30eの上面部の約半分が大気側に開放され植物34に日光等の光を十分当てることができ省スペース化される。また、各植物用容器30の底面部に逆U字形管路46の管路の一部が貫通できる穴を設け、鉛直方向に沿って上から順に植物用容器30の配置を交互にすることで複数のサイフォン管機構40の設置が容易になり水の浄化効率が向上する。
次に、図8を参照して、本発明の第2の実施形態である階段型アクアポニックスシステム10bについて説明する。図8は、階段型アクアポニックスシステム10bの(a)上面図および(b)側面図である。植物用容器30は、例えば、直径100mm、高さ65mmのプラスチック製円柱容器を用いる。植物用容器30が階段型となるように高さの異なる2つの台座を用いるのが好ましい。サイフォン管機構40には逆U字形管路46を用いることができる。飼育水槽20は、例えば、直径300mm、高さ150mmのアクリル製円柱型容器を用いる。魚22には、第1の実施形態と同様のものを用いることができる。
濾材としては、水耕栽培用ハイドロコーン(有限会社三浦園芸製)を用いることができる。ハイドロコーンは、多孔質構造であり適度の水分と空気とを保持する。また低密度で水に浮かぶものもあるほど軽量である。ハイドロコーンは、植物34が根から出す酸を吸収し根を活性化するので、水だけで栽培するよりも多様な植物34を栽培することができる。
植物用容器30の配置について、例えば、直径360mm、厚さ3mmの扇形のアクリル板60の上に高さ140mmの台座62と高さ70mmの台座64とを設け3つの植物用容器30が階段状となるように配置することができる。例えば、高さ140mmの台座62の上に最上段としての植物用容器30aを配置し、植物用容器30aに隣接して高さ70mmの台座64の上に植物用容器30bを配置し、さらに植物用容器30bに隣接してアクリル板60の上に植物用容器30cを配置する。植物用容器30を階段状に配置したアクリル板60は飼育水槽20の上に設置する。
サイフォン管機構40は、植物用容器30の底面部に管路が貫通する穴を設けず、最上段の植物用容器30aと2段目の植物用容器30bとの間に跨ぐようにサイフォン管機構40aを配置してもよい。また、2段目の植物用容器30bと3段目の植物用容器30cとの間にサイフォン管機構40bを配置し、さらに3段目の植物用容器30cと最下段の飼育水槽20との間にサイフォン管機構40cを配置することができる。
最上段の植物用容器30aへの給水法としては、コップや杓子にて飼育水槽20から最上段の植物用容器30aに魚22の排泄物等が混入した原水8を潅水することができる。その後は上述したサイフォン管機構40によって自動的に順次鉛直方向へ落下し水が効率的に浄化されるが、飼育水槽20において水の減量が見られた場合、最上段の植物用容器30aに適宜潅水すればよい。
上述した本実施形態の階段型アクアポニックスシステム10bによれば、植物用容器30を階段状に配置して植物用容器30a,30b,30cの上面部全体を開放する。これにより、植物34に日光等の光を十分当てることができ、且つサイフォン管機構40の設置が容易になる。
次に、図9を参照して、本発明の第3の実施形態である窓掛け用の階層型アクアポニックスシステム10cについて説明する。図9は、階層型アクアポニックスシステム10cの斜視図である。図9には、図1と同様にXYZ軸を併記した。窓掛け用の階層型アクアポニックスシステム10cは、例えば、横660mm、高さ800mmの透明板66に植物用容器30を鉛直方向に沿って左右段違いに配置した階層型となるよう配置することができる。植物用容器30は、例えば、縦120mm、横300mm、高さ150mmのプラスチック製容器を用いる。飼育水槽20には、例えば、直径450mm、高さ160mmの陶器製お椀型容器を用いる。サイフォン管機構40、濾材および魚22は、第2の実施形態と同じものを用いてもよい。また、本実施形態では、窓掛け用としたが壁掛け用でもよい。
植物用容器30の配置について、最上段と3段目と5段目の植物用容器30a,30c,30eはX方向において同じ位置にあり、2段目と4段目の植物用容器30b,30dはX方向において同じ位置にある。つまり、X方向において、植物用容器30は奇数段と偶数段とが交互にずれて配置されている。
上述した本実施形態の階層型アクアポニックスシステム10cによれば、鉛直方向に沿って上から順に植物用容器30の配置を交互にすることで植物34に日光等の光を十分与えることができ省スペース化され、サイフォン管機構40の設置が容易になる。また1段から5段までの植物用容器30の容量が同一であるので、最上段から最下段の植物用容器30に供給される水の量はほぼ等しい。
なお、上述した積層型、階段型、および階層型のアクアポニックスシステム10において、飼育水槽20が設置されない場合にはそれぞれの植物用容器30が花壇となりうる。したがって積層型、階段型、および階層型花壇への応用が可能であり、水の供給法として本実施形態のサイフォン管機構40を利用することにより、上部花壇にのみ散水することで順次それ以降の花壇に給水ができる。
ところで、サイフォン管機構40は、一方端に吸水部42、他方側に排水部44を有する逆U字形管路46である。一方端の吸水部42から吸水された水の管路内水位は上昇し、管路から空気を追い出しながら水位が逆U字形管路46の最高点である動作基準水位h0に達すると吸水水位H1と排水水位−H2との間の水位差によって排水が行われ水位が下降する(図4及び図5参照)。サイフォン管機構40を濾床32の排水に適用することで、簡単に水位を変動させることができる。仮に、サイフォン管機構40において、水位上昇速度が緩やかであって、濾床32の水位が動作基準水位h0近傍になっても、まだ管路に空気が残っていると、水位を変動させることができず、サイフォンの原理が働かない。水位上昇速度が緩やかな例は、濾床32における水の浸透速度が小さいときである。また、広い底面積を有する濾床32において給水量に対し濾床体積Vが大きいときも水位上昇速度が緩やかになる。
図10は、濾床32における水位上昇速度が緩やかな場合に、濾床32の水位が動作基準水位h0近傍に留まってしまう例を示す図である。図10(a)は、濾床32の水位H11がまだサイフォン管機構40の逆U字形管路46の最大高さに達していないときである。図10(b)は、図10(a)の水位H11からゆっくりと水位が上昇して水位H12となる直前の状態のときである。水位H12は、逆U字形管路46の最大高さにおける管の下側高さである。水位H12は、水位上昇速度が適当に速いときにサイフォン管機構40が動作する動作基準水位h0に相当する。図10(a),(b)においては、排水部44から排水がまだ行われない。
図10(c)は、図10(b)状態からゆっくりと水位が上昇して水位H12を越えた水位H13となったときである。このとき、濾床32の水位がゆっくりと上昇するために、逆U字形管路46の最大高さの部分には、まだ空気が追い出されないで残っている。そこで、水位H12を越えた分の処理水4は滴下水7として、逆U字形管路46の内壁を伝って少しずつ滴下される。これにより、濾床32の水位は低下し、水位H12まで下がると、滴下水7の排水が止まる。
図10(d)は、一旦濾床32の水位が水位H12まで下がった後に、給水等によって再上昇して水位H13となったときである。このときも図10(c)のときと同様に、水位がゆっくりと上昇するために、逆U字形管路46の最大高さの部分には、まだ空気が追い出されないで残る。そこで、水位H12を越えた分の処理水4は滴下水7として、逆U字形管路46の内壁を伝って少しずつ滴下される。これにより濾床32の水位は低下し、水位H12まで下がると、滴下水7の排水が止まる。
図10(c)及び図10(d)に示すように、逆U字形管路46の最大高さの部分に空気が残った状態で、水位の上昇と排水が繰り返されるので、濾床32の水位は、水位H12近傍に留まったままとなり、サイフォンの原理が働かない。
図11は、濾床32の水位がゆっくりと上昇する場合でも、水位変動が可能な濾床呼吸機構としての管路逆止開放機構100の構成図である。管路逆止開放機構100は、濾床32の水位が動作基準水位h0に達するまでは、吸水部72と排水部74とを結ぶ管路部を遮断し、水位が動作基準水位h0に達すると吸水部72と排水部74とを結ぶ管路部を開放する。
管路逆止開放機構100は、植物用容器30に接続して設けられる機構で、中間水槽102、中間水槽102を支持する支持台120、支持台120の下部に設けられる排水台122を含む。
中間水槽102は、濾床32の水位に応じた処理水4を一時的に収容する水槽である。中間水槽102の内容積は、植物用容器30の内容積よりも小さい。一例を示すと、中間水槽102の内容積は、植物用容器30の内容積の1%以下である。好ましくは、0.1%〜1%程度とすることがよい。
連通管104は、植物用容器30の底面に設けられる吸水部72を一方端に有し、中間水槽102の底面に設けられた給水部76を他方端に有する管路である。中間水槽102の底面の位置は、基準位置Oよりも下方の−H3である。このように、吸水部72は、給水部76よりも+H3高い位置に設けられるので、植物用容器30に処理水4が含まれるとき、連通管104によって、中間水槽102には植物用容器30内に収容される濾床32の水位と同じ水位で処理水4が収容される。
中間水槽102の中に高さ方向に立設される水位管106は、動作基準水位h0の高さ位置に上部開口80を有し、下部開口82が排水台122の内部に向けて設けられる管路である。水位管106は、濾床32の水位がゆっくりと上昇して動作基準水位h0を越えたときに、越えた分の処理水4を上部開口80に導入し、管路内壁を伝わらせて滴下水7として下部開口82から排水台122の内部に向けて滴下させる。
中間水槽102の中に高さ方向に立設される逆止管108は、ロート状に開口する上部弁座110を一方端に有し、他方端に下部開口78を有する管路である。上部弁座110は、中間水槽102の内部空間に配置され、下部開口78は、排水台122の内部に向かって開口する。
逆止弁体112は球体状外形を有し、自重により上部弁座110のロート状に開口する円錐状斜面に受け止められる。逆止管108の上部弁座110と逆止弁体112とで逆止弁を構成する。逆止弁体112の球体状の外形が上部弁座110のロート状の円錐状斜面に受け止められて接触しているときは、逆止管108の管路が遮断される。遮断状態のときは、中間水槽102の内部空間に処理水4が満たされていても、逆止弁の作用によって、処理水4は排水台122の内部空間に流れることがない。逆止弁体112の球体状の外形が上部弁座110のロート状の円錐状斜面から離間するときは、逆止管108の管路が開放される。開放状態のときに、中間水槽102の内部空間に処理水4が満たされていると、上部弁座110のロート状の開口から逆止管108に処理水4が流れ込み、下部開口78から排水台122の内部空間に向かって流れ落ちる。
上部弁座110のロート状の円錐状斜面において逆止弁体112である球体が接触する高さ位置は、基準位置Oよりも下方の−H4である。球体が接触する高さ位置−H4は、中間水槽102の底面位置の−H3よりも上方の位置である。したがって、逆止管108が開放状態になって中間水槽102の内部空間にある処理水4が排水台122の内部空間に流れ落ちても、中間水槽102の水位は−H4よりは低くならないが、基準位置Oよりは低い水位となる。これにより、逆止管108が開放状態になって中間水槽102の内部空間にある処理水4が排水台122の内部空間に流れ落ちると、濾床32の水位は、基準位置Oまで下がる。
中間水槽102と排水台122との間の支持台120は、連通管104を配置し、水位管106と逆止管108を貫通させて支持する台部材である。支持台120は、中間水槽102の一部、あるいは排水台122の一部としてもよい。
排水台122は、中間水槽102の下方に設けられる防水構造の箱体である。排水台122の上面は支持台120に覆われているが、水位管106の下部開口82と逆止管108の下部開口78とが開口する。また、排水台122の一側面の下方側に排水部74が設けられる。排水台122は、濾床32の水位が動作基準水位h0に到達したときに、中間水槽102から水位管106または逆止管108を経由して流れてくる処理水4を受け止め、その後、排水部74から外部に排水する防水箱体である。
排水台122の内部空間に設けられる三角バケツ124は、回転中心126の周りに回転可能な貯水バケツである。三角バケツ124の開口する上面は、水位管106の下部開口82に対向して配置される。水位管106の管路内壁を伝って下部開口82から滴下する滴下水7は、三角バケツ124によって受け止め貯水される。
中間水槽102の上部縁に固定されて立設される支持柱130は、先端側の回転中心132でレバー体134を回転可能に支持するレバー支持体である。レバー体134は、回転中心132を挟んで、一方端に引張ロープ136の一方端が接続され、他方端に錘吊りロープ138を介して錘140が吊下げられる。レバー体134の他方端側において、回転中心132と他方端との間の中間位置に球体吊りロープ142の一方端が接続される。球体吊りロープ142の他方端は、逆止弁体112である球体に接続される。
錘140は、引張ロープ136からの引張力により、レバー体134を回転中心132周りに回転させ、他方端を下方に引き下げる下方復帰錘である。レバー体134が下方にある状態を下方安定状態と呼ぶ。レバー体134の下方安定状態では、球体吊りロープ142がやや弛み状態となって、逆止弁体112の球体状の外形が上部弁座110のロート状の円錐状斜面に受け止められて接触する。図11では、下方安定状態における各要素の状態を実線で示した。
引張ロープ136の他方端は、三角バケツ124における回転中心126とは反対側の先端部に接続される。三角バケツ124に滴下水7が貯水されていない空状態のときは、三角バケツ124の先端部は、引張ロープ136によって引っ張り上げられる。よって、三角バケツ124は、水位管106の下部開口82から滴下する滴下水7を貯水し得る状態である。
上記構成の作用について図12を用いて説明する。図12(a)〜(d)は、濾床32の水位と、管路逆止開放機構100の作用の関係を示す図である。
図12(a)は、サイフォン管機構40における図10(a)に対応する図で、濾床32の水位がH11のときを示す。水位管106の上部開口80の高さは、動作基準水位h0に設定され、H11<h0である。したがって、水位管106に処理水4は流れ込まず、三角バケツ124は空状態である。三角バケツ124が空状態のときは、レバー体134は下方安定状態にあり、球体吊りロープ142はやや弛み、逆止弁体112である球体は、逆止管108の上部弁座110の上部開口を塞ぐ。これにより、逆止管108は遮断状態となり、中間水槽102の処理水4は排水台122へ流れない。
図12(b)は、サイフォン管機構40における図10(b)に対応する図で、濾床32の水位が上昇し、水位H12に達する直前のときを示す。水位H12は、水位管106の上部開口の高さに対応する水位で動作基準水位h0と同じ、H12=h0である。この状態では、まだ水位管106に処理水4が流れ込まない。
図12(c)は、サイフォン管機構40における図10(c)に対応する図で、濾床32の水位が動作基準水位h0を超えて水位H13となったときを示す。H13>h0=H12であるので、中間水槽102において動作基準水位h0を越える処理水4は、水位管106の管路内壁を伝って滴下水7として下部開口82から滴下し、排水台122の内部の三角バケツ124によって受け止め貯水される。この段階では、三角バケツ124に溜まった滴下水7の質量がまだ少なく、引張ロープ136の引張力が不十分で、レバー体134は下方安定状態を維持する。
処理水4が水位管106の管路内壁を伝って滴下水7として下部開口82から継続して滴下すると、三角バケツ124に貯水された滴下水7の質量が次第に増加する。三角バケツ124に貯水された滴下水7の質量が閾値質量以上になると、回転中心126周りに三角バケツ124が回転する。三角バケツ124が回転すると、これに伴い、引張ロープ136、レバー体134、錘吊りロープ138、錘140、球体吊りロープ142、逆止弁体112の位置状態等が変わる。図11に示すように、三角バケツ124が回転した後のこれらの要素の変化後の状態を二点鎖線で示し、変化後の要素の符号を引張ロープ137、レバー体135、錘吊りロープ139、錘141、球体吊りロープ143、逆止弁体113とした。
三角バケツ124に貯水された滴下水7の質量が閾値質量以上になると、図12(d)に示すように、三角バケツ124が三角バケツ125の状態となる。引張ロープ136は三角バケツ125側に引っ張られ、引張ロープ137の状態になる。引張ロープ136が引張ロープ137の状態になると、錘140の質量に抗してレバー体134が回転中心132の周りに回転し、レバー体135の状態となる。これに伴い、錘吊りロープ138は錘吊りロープ139の状態となり、錘140は高さ方向に上昇して錘141の状態となる。
レバー体134がレバー体135の状態になると、球体吊りロープ142は高さ方向に引っ張り上げられて球体吊りロープ143の状態となり、逆止弁体112である球体は、逆止弁体113である球体の状態となる。この状態で、逆止弁体113である球体は逆止管108の上部弁座110から離間する。これにより、逆止管108の上部弁座110は開放状態となり、処理水4が逆止管108を経て排水台122に向かって流れ込む。排水台122に流れ込んだ処理水4は、排水台122の排水部74から処理水4として排水される。
これに伴い、中間水槽102の水位が低下し、連通管104を介して濾床32の水位も低下する。図12(d)では低下した濾床32の水位をH14で示した。逆止管108からは引き続き排水台122に向かって処理水4が流れるので、時間が経過するに従い、濾床32の水位はさらに低下する。このようにして、濾床32の水位を変動させることができる。
三角バケツ124に貯水された滴下水7の質量が閾値質量以上となって三角バケツ125の状態になるまでの間は、濾床32の水位はほとんど変動せず、滞留状態である。この滞留状態の継続期間である滞留期間TSは、三角バケツ124の貯水容量、三角バケツ124における回転中心126の偏心位置、レバー体134における後述のレバー比、錘140の質量等によって設定できる。なお、レバー体134におけるレバー比とは、レバー体134の長手方向に沿って、錘吊りロープ138が接続される位置と回転中心132との間の長さをL1とし、引張ロープ136が接続される位置と回転中心132との間の長さをL2として、L1/L2である。
濾床32の水位が動作基準水位h0である状態から基準位置Oまで低下するのに要する期間である排水期間は、図6で説明した吸気期間(時間tf−時間te)に相当する。呼吸期間周期T0を短くしたいときには、吸気期間に対し滞留期間を短くする。例えば、滞留期間は、吸気期間の1%から10%程度とすることがよい。
吸気期間は、濾床32内の処理水4の水位が低下して排水されるのに要する期間である。これに対し、呼気期間は、濾床32に処理対象水6が浸透し、その後濾床32内で水位が動作基準水位h0に上昇するまでの期間である。この水位変化の相違によって、同じ濾床厚さDであっても、一般的には、呼気期間>吸気期間である。一例として、呼気期間=(吸気期間×2)とすると、呼気期間=48時間として、吸気期間=24時間である。滞留期間は、吸気期間の1%とすると、0.24時間で、約15分である。さらなる例として、呼気期間において、約15分の間に濾床32の水位が15mm上昇するとして、濾床32の面積1m2に約15mmを乗じた体積0.015m3の処理水4が水位管106を通って滴下水7として三角バケツ124に滴下する。この体積の滴下水7の質量が三角バケツ124の閾値質量となるように他の条件を定めれば、所望の滞留期間とできる。
このように、管路逆止開放機構100は、濾床32の水位に依存して、吸水部72から排水部74の間に設けられる逆止管108の管路を遮断状態から開放状態に遷移する水位開放型の逆止弁を備える。上記の例では、濾床32の水位が動作基準水位h0から約15mm上昇したタイミングで、逆止弁が遮断状態から開放状態に遷移する。管路逆止開放機構100は、滞留期間が経過すれば濾床32の水位を低下させるので、サイフォン管機構40のように滞留期間がずっと継続して水位が固定したままにならない。
滞留期間は、呼気期間から吸気期間へ遷移する期間でもある。滞留期間中は、濾床32水位は、動作基準水位h0に固定したままで、大気から濾床32への空気供給が行われない。したがって、滞留期間を長くすれば、嫌気性の分解作用が行われる呼気期間を実質上延長することができる。一例を挙げると、呼気期間を48時間、吸気期間を24時間に設定された濾床32において、滞留期間を長くして5時間に設定すると、実質上の呼気期間は53時間となる。
水位開放型の管路逆止開放機構100としては、三角バケツ124の貯水水量の検出を電気的に行い、その信号によって電気式の逆止弁を動作させる構成とすることもできる。この場合には、電気式計測装置と電気式逆止弁と電気式制御装置等を要し、これらを動作させる電源が必要となる。図11の管路逆止開放機構100は、電源を必要としない機構で構成されるので、電源供給が困難な環境等でも利用が可能である。