JP6574355B2 - 腐食センサおよび腐食検出方法 - Google Patents

腐食センサおよび腐食検出方法 Download PDF

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本発明は、コンクリートまたは鋼材の腐食環境を検出する技術に関する。
コンクリート構造物中の鋼材は、コンクリートがアルカリ性環境を保持していることで鋼材表面に不動態皮膜を形成し、腐食から保護されている。しかしながら、例えば、空気中の二酸化炭素、下水道施設における硫酸、あるいは塩化物イオンなどの腐食因子がコンクリート中に侵入すると、この不動態皮膜が破壊され、コンクリート中にある水と酸素によって鋼材の腐食が開始する。また、鉄橋やプラントなどの鋼材を用いた構造物では、鋼材に錆が生じないように保護塗料が用いられている。
コンクリート構造物の鋼材が腐食すると、鋼材の体積膨張を生じ、その膨圧でコンクリートにひび割れを生じ、ひび割れを通じてさらに腐食因子の侵入と外部からの水と酸素の供給によって鋼材の腐食は加速的に進行し、ついにはコンクリート構造物としての機能が保持できなくなる。
従って、鋼材の腐食が開始する前に腐食因子の侵入や鋼材の腐食開始を検知し、例えば、表面被覆などの対策で腐食因子や水と酸素のさらなる侵入を阻止して鋼材を腐食から守り、構造物の予防的な保全を図ることが重要となる。この問題に対し、従来から種々の腐食診断方法が提案されている。例えば、コア抜きを行なって腐食因子を分析する方法や、非破壊的に鋼材の自然電位や分極抵抗を測定する手法、化学センサやガスセンサにより腐食因子を検出する手法、鉄製の細線を模擬腐食部材としてコンクリートに埋設し、細線が断線したときに腐食を検出する手法などが知られている。
これらの腐食診断手法のうち、細線の断線によって腐食を検知する方法は、(a)予めセンサを埋設することでコア抜きなどコンクリートを傷めることがない、(b)コンクリート表面と鋼材の間に細線を深さに応じて数本設置することで表面からの腐食因子の侵入の時間依存性をモニタリングでき維持管理計画の立案を容易とする、(c)直接的に鉄の腐食を捉えるので腐食因子だけでなく水や酸素の供給状態をも含めた腐食の可能性を検知できる、(d)電気抵抗の変化を捉えるので極めて低消費電力での検出が可能で長期モニタリングに適する、というメリットがあり、細線切断を検出することによる腐食診断方法が、種々提案されている(例えば、特許文献1〜3)。また、感度が高く、設計自由度を大きくするために、鉄箔材を用いた腐食センサも提案されている(特許文献4)。
特開平8−094557号公報 特開平8−233896号公報 特許第3205291号公報 特開2012−145330号公報
しかしながら、従来の腐食センサは、すべて電気抵抗を捉えるものである。導電率の高い鉄は、破断しなければ抵抗値に変化が現れにくく、センサの感度が線径や線幅等に依存しやすいという課題がある。また、検知部が破断すると、センサの機能が失われてしまう。さらに、腐食センサを単独で評価する場合は、腐食因子がコンクリート構造物内にどのくらい進展しているのかを把握することができない。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、腐食の危険性の早期発見することができ、高精度で、小型化および低コスト化を図ることができる腐食センサおよび腐食検出方法を提供することを目的とする。さらには、腐食環境の進展状況を把握することができる腐食センサおよび腐食検出方法を提供することを目的とする。
(1)上記の目的を達成するために、本発明は、以下のような手段を講じた。すなわち、本発明の腐食センサは、コンクリートまたは鋼材の腐食環境を検出するセンサであって、腐食性を有する金属で 板状、箔状または膜状に形成された検知部と、耐腐食性を有する金属で形成され、前記検知部と対向する位置に設けられた対向電極と、前記検知部および前記対向電極の間に設けられた誘電体と、前記検知部に電気的に接続された第1の通電部と、前記対向電極に電気的に接続された第2の通電部と、を備えることを特徴とする。
このように、腐食性を有する金属で板状、箔状または膜状に形成された検知部と、耐腐食性を有する金属で形成され、検知部と対向する位置に設けられた対向電極と、検知部および対向電極の間に設けられた誘電体と、を備えるので、第1の通電部と第2の通電部に交流電界を印加することによって検知部の腐食により変化する誘電正接や、腐食による検知部の面積の一部の減少に応じて変化する静電容量を検知することが可能となり、早期に腐食因子または腐食環境を捉えることが可能となる。すなわち、鉄箔や細線の切断による抵抗変化を検出する方式と比較して、板状、箔状または膜状の検知部の腐食開始をより正確に把握することが可能となる。
(2)また、本発明の腐食センサにおいて、前記検知部の腐食状況に応じて誘電正接値が変化することを特徴とする。
このように、検知部は、腐食の進行に応じて誘電正接が変化するので、早期に腐食因子または腐食環境を捉えることが可能となる。
(3)また、本発明の腐食センサにおいて、前記検知部には、複数の貫通孔が設けられていることを特徴とする。
このように、検知部には、複数の貫通孔が設けられているので、検知部の面積を小さくし、腐食され易くすることができる。その結果、検知部における腐食が、早期に開始し、電気特性の変化を生じさせることが可能となる。これにより、腐食因子または腐食環境の早期の検出が可能となる。
(4)また、本発明の腐食センサにおいて、前記検知部は、メッシュ状に形成されていることを特徴とする。
このように、検知部は、メッシュ状に形成されていることで、検知部の一部が限定的に腐食して欠損した場合においても、電気的な導通が確保される。これにより、腐食発生状況を正確に捉えることが可能となる。
(5)また、本発明の腐食センサは、前記検知部の中心を含む第1の領域を包囲する第2の領域に設けられた腐食防止膜と、前記第2の領域に対応する検知部に電気的に接続された第1の通電部と、前記対向電極に電気的に接続された第2の通電部と、を更に備えることを特徴とする。
このように、検知部の中心を含む第1の領域を包囲する第2の領域に設けられた腐食防止膜を有するため、腐食しない第2の領域が必ず残ることとなる。すなわち、通電部が接続された箇所の近傍が腐食することによって、腐食せずに残っている箇所と、通電部とが電気的に切断され、誤った検出結果が得られてしまう可能性があるが、腐食防止膜によって、第2の領域が残るため、残っている検知部の全面積と通電部とを常に電気的に接続した状態にすることができる。これにより、測定精度を維持することが可能となる。
(6)また、本発明の腐食センサにおいて、前記誘電体は、誘電率が3以上であることを特徴とする。
このように、誘電体は、誘電率が3以上であるため、腐食状況に応じて、電気特性の変化に大きく関与することが可能となる。これにより、センサの測定感度を向上させることが可能となる。
(7)また、本発明の腐食検出方法は、コンクリート構造物中に埋設され、前記コンクリート構造物の腐食環境進行状況を検出する腐食検出方法であって、上記(1)から(6)のいずれかに記載の腐食センサを前記コンクリート構造物中に埋設し、前記腐食センサの検知部が腐食することによる交流電界を印加した場合の電気特性値の変化に基づいて、腐食センサの腐食進行状況を特定することを特徴とする。
この構成により、腐食による検知部の腐食状況に応じて、電気特性が変化するので、早期に腐食因子または腐食環境を捉えることが可能となる。すなわち、鉄箔や細線の切断による抵抗変化を検出する方式と比較して、板状、箔状または膜状の検知部の腐食開始をより正確に把握することが可能となる。
(8)また、本発明の腐食検出方法は、測定対象である鋼構造物および鋼材の表面に貼付し、前記鋼構造物および鋼材の腐食環境進行状況を検出する腐食検出方法であって、上記(1)から(6)のいずれかに記載の腐食センサを前記鋼構造物および鋼材表面に貼付し、前記腐食センサの検知部が腐食することによる交流電界を印加した場合の電気特性値の変化に基づいて、腐食センサの腐食進行状況を特定することを特徴とする。
この構成により、検知部の一部の減少に応じて早期に腐食因子または腐食環境を捉えることが可能となる。すなわち、鉄箔や細線の切断による抵抗変化を検出する方式と比較して、板状、箔状または膜状の検知部の腐食開始をより正確に把握することが可能となる。
(9)また、本発明の腐食検出方法は、前記交流電界を印加した場合の電気特性値が、誘電正接値であることを特徴とする。
この構成により、検知部の一部の減少に応じて早期に腐食因子または腐食環境を捉えることが可能となる。すなわち、鉄箔や細線の切断による抵抗変化を検出する方式と比較して、板状、箔状または膜状の検知部の腐食開始をより正確に把握することが可能となる。
(10)また、本発明の腐食検出方法は、前記検知部の腐食状況に応じて変化する交流電界を印加した場合の誘電正接値および静電容量に基づいて、腐食センサの腐食進行状況を特定することを特徴とする。
このように、誘電正接の変化により早期に腐食因子をまたは腐食環境を検知し、その後も静電容量の変化も計測することで、検知部の面積に応じて腐食進行状況を捉え、継続的にかつより高い精度で腐食環境進展状況が把握することができる。
本発明によれば、検知部の腐食状況に応じて早期に腐食因子または腐食環境を捉えることが可能となる。すなわち、鉄箔や細線の切断による抵抗変化を検出する方式と比較して、板状、箔状または膜状の検知部の腐食開始をより正確に把握することが可能となる。
本実施形態に係る腐食センサの概略構成を示す平面図である。 静電容量型センサの断面図である。 本実施形態に係る腐食センサの概略構成を示す平面図である。 本実施形態に係る腐食センサの第1の変形例の概略構成を示す平面図である。 本実施形態に係る腐食センサの第2の変形例の概略構成を示す平面図である。 本実施形態に係る静電容量型腐食センサを塩水浸漬した際の測定周波数による各サイクルにおける静電容量値の違いを示す図である。 試験体の概要を示す図である。 モルタル試験体に埋設するセンサの概要を示す図である。 各サイクルで計測した誘電正接の結果を示す図である。 各サイクルで計測した静電容量の結果を示す図である。
[腐食センサの測定原理]
誘電正接は、抵抗値の増加によって増加する。また、静電容量は、電極(検知部)の欠損によって変化する。従って、誘電正接を検知することによって、腐食センサの表面に発生した初期の腐食を検知することができる。また、リアクタンス、等価並列抵抗等の電気特性も腐食によって変化する。ここで、誘電正接の変化は、10kHz以上の高周波数領域で測定することが望ましい。さらに加えて、腐食の進展を静電容量の減少度合いと総合して判断することによって、より高い精度で腐食状態を把握することが可能となる。
平行平板導体(検知部)の誘電正接tanδは、ω:角周波数、C:静電容量、R:直列等価抵抗との間に以下の関係がある。
tanδ=ωCR ・・・(1)
平行平板導体(検知部)の静電容量Cは、平行平板導体の面積S、平行平板導体間の間隔dとの間に、以下の関係がある。
C=Q/V=εS/d[F] ・・・(2)
ここで、εは、誘電率である。
本実施形態に係る腐食センサは、この原理を用いる。すなわち、センサの検知部が腐食因子によって鉄箔表面が腐食していくと、Fe等の酸化鉄になり、電気抵抗が上昇する。従って、誘電正接は比例して上昇する。対向する平行平板導体の面積が減少し、それに伴って静電容量が減少する。その後、鉄箔の腐食が進展し、鉄箔部の欠損減少に至ることで、静電容量は低下をはじめる。静電容量の減少度合いを捉えることによって、検知部の面積の減り具合、ひいては腐食環境の進行具合を把握することが可能となる。誘電正接は静電容量の低下が抵抗の上昇より卓越した場合、低下していくこととなる。
従って、誘電正接の上昇は初期の軽微な腐食開始を捉え、その後、誘電正接の低下や静電容量の低下が見られた場合、鉄箔部の欠損が生じていると予想されるため、腐食の進展が進んできていることを検知できる。
[第1の実施形態]
[腐食センサの構成]
図1は、本実施形態に係る腐食センサの概略構成を示す平面図である。図2は、図1に示した腐食センサ1をA−Aで切断した場合の断面図である。この腐食センサ1は、鉄を圧延することにより作製され、3μm以上0.1mm以下の厚さを有する検知部としての鉄箔部3と、鉄箔部3にメッシュ状に設けられた複数の貫通孔5と、誘電体7と、リード線9と、対向電極10とを備える。鉄箔部3は、蒸着やメッキにより形成される薄膜であっても良いし、板状に形成されていても良い。厚さを3μm以上0.1mm以下としたのは、薄すぎるとセンサの取り扱い時に検知部にひび割れが生じやすく、厚すぎるとセンサの感度が低下する恐れがあるためである。また、鉄箔部3の面積は、誘電正接が初期の軽微な腐食開始を捉えることができるので面積は小さくても良いが、静電容量で腐食進行状況を段階的に捉える場合は、大きい方が望ましい。本明細書では3cmであるとして説明する。
また、鉄箔部3の形状は、円形としているが、本発明は、これに限定されるわけではない。検知部は鉄箔に変えて、腐食状態を測定したい材質と同じものに換えることができ、ステンレスやアルミニウム等の金属としても良い。腐食しにくい純度の高い鉄やステンレス、アルミニウムを検知部に用いた場合、鉄箔部の欠損減少にまで至らない初期の軽微な腐食は静電容量では捉えにくいため、誘電正接の測定が有用である。
鉄箔部3は、複数の貫通孔5が設けられ、メッシュ状に形成されている。このような複数の貫通孔5が設けられているので、腐食が容易に進行し、一部が限定的に腐食して欠損した場合においても、鉄箔部が島状に取り残されることが少なく、電気的な導通が確保される。なお、図1では、各貫通孔5の形状を矩形(正方形)としているが、本発明は、これに限定されるわけではなく、円形や他の形状とすることもできる。また、リード線9は、鉄箔部3に電気的に接続された第1の通電部と、対向電極10に電気的に接続された第2の通電部とを構成する。
式(1)及び式(2)から明らかなように、誘電率の大きさが、誘電正接や静電容量の変化に大きく関与するため、誘電体7は、誘電率が3以上の誘電体であることが望ましく、その厚さは0.05mm〜2mmが望ましく、温度による変化が少ない誘電体が望ましい。これにより、センサの測定感度を向上させることが可能となる。本実施形態では、誘電体7をポリイミドフィルムで構成し、その誘電率を3.3とする。図1では、直径22mmの鉄箔で鉄箔部3を形成し、0.105mm厚のポリイミドフィルム上に接着し、ケミカルエッチングで貫通孔5を形成した。また、誘電体7としてのポリイミドフィルムの鉄箔接着面の反対側の面に、金をスパッタリングで成膜した。
対向電極10は、耐腐食性が高い性能を有した金属が望ましい。また、対向電極10は、板状、箔状または膜状に形成することができる。鉄箔部の腐食による減少を誘電正接や静電容量で捉えるためには、金属部の面積が変化しないことが前提である。金または白金、パラジウム等に代表される貴金属をはじめ、対象とする金属よりイオン化傾向の小さく導電性を有した金属とし、対象が鉄であればあるチタン、ニッケル等を用いることができる。また、圧延されたそれらの金属箔以外にもスパッタリングや蒸着、めっき等で成膜して形成する方法もある。
また、図3に示すように、リード線9を含む鉄箔部3の外縁部には、腐食しない材質で腐食防止膜30を設けることが好ましく、例えば、樹脂や白金等の金属等を用いることができる。中でも、早期の腐食因子や腐食環境を検知するために、金属で腐食防止膜30を設けることが好ましい。当該金属は、金または白金の他、金、パラジウム、チタン、ニッケル、スズ、鉛、銅、ステンレス、またはこれらの合金等、被膜の材料である検知部より貴な金属を用いることが可能であり、湿式めっき法および乾式めっき法、あるいは蒸着により箔層を形成できる。一方、腐食進行状況を段階的に捉えるために腐食しない材質で腐食防止膜30を設ける場合は、樹脂等の絶縁体を用いることが有用である。この樹脂は、塗布したりシールを貼り付けたりすれば良い。
図4Aは、本実施形態に係る腐食センサの第1の変形例の概略構成を示す平面図であり、図4Bは、本実施形態に係る腐食センサの第2の変形例の概略構成を示す平面図である。図4Aに示す腐食センサ2は、鉄を圧延することにより作製され、3μm以上0.1mm以下の厚さを有する鉄箔部4と、鉄箔部4に設けられた複数のスリット6と、誘電体7と、リード線9とを備える。また、図4Bに示す腐食センサ40は、鉄を圧延することにより作製され、3μm以上0.1mm以下の厚さを有する鉄箔部41と、誘電体7と、リード線9とを備える。貫通孔やスリットは設けられていない。このように、本発明は、図4Aや図4Bに示す形態を採ることも可能である。なお、図3で腐食防止膜30を示したように、図4Aおよび4Bにおいても、リード線9を含む鉄箔部4または41の外縁部に、腐食しない材質で腐食防止膜を設けても良い。
[腐食センサの性能評価]
本発明者らは、本実施形態に係る腐食センサの測定周波数による静電容量値の違いを確認した。本発明者らは、3%のNaCl水溶液に本実施形態に係る図1の腐食センサを浸漬させ、7日を1サイクルとして、1サイクル毎に腐食状態の目視観察を行なった。静電容量の計測は、浸漬液から腐食センサを一旦取り出し、表面に付着した水分を取り除いた後、ピンセット状のプローブにて鉄箔部3の端部と貴金属10との間の静電容量を計測した。計測条件は、LCRメーターを用いて、100Hz〜100kHzまでの1Vの交流電界下にて実施した。実験で使用した装置は、以下の表の通りである。なお、目視による各サイクルの腐食面積は、1サイクル目は0%、2サイクル目は20%、3サイクル目は60%、4サイクル目は80%であった。
Figure 0006574355
図5は、本実施形態に係る腐食センサを塩水浸漬した際の測定周波数による各サイクルにおける静電容量値の違いを示す図である。図5において、いずれの周波数においても、試験実施前から1サイクル目で静電容量が上昇し、その後、腐食面積が増加するに従って静電容量が低下していくことが分かる。また、測定周波数が高くなるほど、各サイクルの差は若干小さくなる傾向があった。従って、静電容量に影響を受ける誘電正接についても塩分に代表される電解質の腐食因子による変動要因を排除できるため、測定周波数は50kHz以上、好ましくは100kHz以上、より好ましくは1MHz以上として測定するのが好ましい。
[第2の実施形態]
[モルタル試験体を用いた促進試験による腐食センサの性能評価]
モルタル中における本実施形態に係る腐食センサの性能を確認することを目的に、塩分を練り込んだ試験体を用いて促進試験で評価した。
[試験体の概要]
モルタル試験体は、水セメント比65%の1:3モルタルとし、塩化物イオン量で4.8kg/mとなるようにNaClを添加した。図6は、試験体の概要を示す図である。ここでは、試験体を100mm×100mm×100mmのサイズとした。かぶり15mmの位置に腐食センサを埋設した水準(図6(b))と、腐食面積計測用にφ20mm×130mmの磨き棒鋼を埋設した水準(図6(a))を用意した。なお、試験体の表面は塩水浸透を行なう1面だけ残し、他の面をエポキシ樹脂で被覆した。
[モルタル試験体に埋設するセンサ]
図7は、モルタル試験体に埋設するセンサの概要を示す図である。図7に示すように、腐食センサ1は、Oリング15でアクリルケース13との間隔が設けられ、エポキシ樹脂17でアクリルケース13に接着されている。この腐食センサ1は、試験体外部より誘電正接及び静電容量の計測を行なうため、リード線9を半田付けし、リード線9の接続部が腐食しないよう、鉄箔部3のみが表面に露出するように、アクリルケース13で外装され、ケース内部が樹脂21で充填されている。このように構成したのは、リード線の錆防止を図るためと、周りに充填されるコンクリート自体が誘電体で含水状態により誘電率が変動することから、その影響を回避するためである。また、センサをコンクリート充填時の衝撃から保護する意味もある。本実施形態では、アクリルケース13を用いたが、必ずしもこれを必要とするわけではなく、上記の目的を達成することができるのであれば、アクリルケース13を使用せずに、例えば、樹脂だけでも構わない。
[モルタル試験体の促進試験条件]
促進試験の条件は、40℃で10%NaCl水溶液に2日間浸漬−60%RH環境下で5日間乾燥させる条件を1サイクルとし、合計10サイクルの促進試験を行なった。1サイクル終了毎にLCRメーターを用いて腐食センサの静電容量、誘電正接を測定した。計測条件は交流電圧1Vで、測定周波数は塩水浸漬実験の測定結果を参考に100kHz 固定とした。図8は、M−1、M−2及びM−3の3個の同一のセンサについて各サイクルで計測した誘電正接の結果を示す図である。図9は、M−1、M−2及びM−3の3個の同一のセンサについて各サイクルで計測した静電容量の結果を示す図である。初期値は、試験体を脱型後、塩水に浸漬する前に計測した結果とした。
誘電正接は、M−2及びM−3が3サイクルから段階的な上昇が見られ、M−1が6サイクルから除々に上昇した。一方、静電容量は、M−2及びM−3が6サイクルから、M−1は7サイクルからの低下が見られ、M−1、M−2は段階的に低下していることがわかる。実験によるグラフでは初期の腐食により上昇する誘電正接と、その後の誘電正接の低下と静電容量の低下のタイミングがほぼ等しい。誘電正接の上昇後に静電容量が低下するので、静電容量の減少度合いも継続して測定することで腐食の進展状況も捉えることができ、より高い精度の腐食状態の把握が可能となる。
[鋼構造物への適用]
測定対象となる金属構造物、例えば、鋼橋やプラント設備、街路灯、土中埋設管、タンク、船舶などに保護塗料を塗布する場合、塗布前の金属材料の表面に、本実施形態に係るセンサを接着剤等で貼付する。貼付する際は、構造物の電気状態の影響を受ける場合があるので、樹脂のテープ、シール、あるいは接着剤自体で絶縁することが好ましい。センサの検知部は、腐食状態を測定したい材質と同じものに換えることができ、鉄箔に変えてステンレスやアルミニウム等の金属とすれば良い。その後、金属構造物と同様に保護塗料を塗布する。ケーブルは保護塗膜の外部に出しても出さなくても良い。ケーブルを出さない場合は、そのまま塗膜の下にセンサを埋設し、測定する際は、センサを被覆している塗膜を剥離し、直接計測器を接続して、腐食に伴う電気信号を計測する。また、無線方式を用いて、電磁的に測定を行なっても良い。これにより、ケーブルを引き出した場合に生じる塗膜の欠陥を生じることなく、センサを設置することができる。
以上説明したように、本実施形態によれば、鉄箔部3の一部の減少に応じて早期に腐食因子または腐食環境を捉えることが可能となる。すなわち、鉄箔や細線の切断による抵抗変化を検出する方式と比較して、板状、箔状または膜状の検知部の腐食開始をより正確に把握することが可能となる。
1、2、40 腐食センサ
3、4、41 鉄箔部
5 貫通孔
6 スリット
7 誘電体
9 リード線
10 対向電極
13 アクリルケース
15 Oリング
17 エポキシ樹脂
21 樹脂
30 腐食防止膜

Claims (9)

  1. コンクリートまたは鋼材の腐食環境を検出するセンサであって、
    腐食性を有する金属で板状、箔状または膜状に形成された検知部と、
    耐腐食性を有する金属で形成され、前記検知部と対向する位置に設けられた対向電極と、
    前記検知部および前記対向電極の間に設けられた誘電体と、
    前記検知部に電気的に接続された第1の通電部と、
    前記対向電極に電気的に接続された第2の通電部と、を備え
    誘電正接の上昇により前記検知部の腐食開始が検知される一方、誘電正接の上昇から低下への変化により前記検知部の欠損が検知されることを特徴とする腐食センサ。
  2. 前記検知部には、複数の貫通孔が設けられていることを特徴とする請求項1記載の腐食センサ。
  3. 前記検知部は、メッシュ状に形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2記載の腐食センサ。
  4. 前記検知部の中心を含む第1の領域を包囲する第2の領域に設けられた腐食防止膜と、
    前記第2の領域に対応する検知部に電気的に接続された第1の通電部と、
    を更に備えることを特徴とする請求項1記載の腐食センサ。
  5. 前記誘電体は、誘電率が3以上であることを特徴とする請求項1から請求項のいずれかに記載の腐食センサ。
  6. コンクリート構造物中に埋設され、前記コンクリート構造物の腐食環境進行状況を検出する腐食検出方法であって、
    請求項1から請求項のいずれかに記載の腐食センサを前記コンクリート構造物中に埋設し、
    前記腐食センサの検知部が腐食することによる交流電界を印加した場合の電気特性値の変化に基づいて、腐食センサの腐食進行状態を特定することを特徴とする腐食検出方法。
  7. 測定対象である鋼構造物および鋼材の表面に貼付し、前記鋼構造物および鋼材の腐食環境進行状況を検出する腐食検出方法であって、
    請求項1から請求項のいずれかに記載の腐食センサを前記鋼構造物および鋼材表面に貼付し、前記腐食センサの検知部が腐食することによる交流電界を印加した場合の電気特性値の変化に基づいて、腐食センサの腐食進行状態を特定することを特徴とする腐食検出方法。
  8. 前記交流電界を印加した場合の電気特性値が、誘電正接値であることを特徴とする請求項または請求項記載の腐食検出方法。
  9. 前記検知部の腐食状況に応じて変化する交流電界を印加した場合の誘電正接値および静電容量値に基づいて、腐食センサの腐食進行状態を特定することを特徴とする請求項または請求項記載の腐食検出方法。
JP2015155552A 2015-08-05 2015-08-05 腐食センサおよび腐食検出方法 Active JP6574355B2 (ja)

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