JP6574355B2 - 腐食センサおよび腐食検出方法 - Google Patents
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Description
誘電正接は、抵抗値の増加によって増加する。また、静電容量は、電極(検知部)の欠損によって変化する。従って、誘電正接を検知することによって、腐食センサの表面に発生した初期の腐食を検知することができる。また、リアクタンス、等価並列抵抗等の電気特性も腐食によって変化する。ここで、誘電正接の変化は、10kHz以上の高周波数領域で測定することが望ましい。さらに加えて、腐食の進展を静電容量の減少度合いと総合して判断することによって、より高い精度で腐食状態を把握することが可能となる。
tanδ=ωCR ・・・(1)
C=Q/V=εS/d[F] ・・・(2)
ここで、εは、誘電率である。
[腐食センサの構成]
図1は、本実施形態に係る腐食センサの概略構成を示す平面図である。図2は、図1に示した腐食センサ1をA−Aで切断した場合の断面図である。この腐食センサ1は、鉄を圧延することにより作製され、3μm以上0.1mm以下の厚さを有する検知部としての鉄箔部3と、鉄箔部3にメッシュ状に設けられた複数の貫通孔5と、誘電体7と、リード線9と、対向電極10とを備える。鉄箔部3は、蒸着やメッキにより形成される薄膜であっても良いし、板状に形成されていても良い。厚さを3μm以上0.1mm以下としたのは、薄すぎるとセンサの取り扱い時に検知部にひび割れが生じやすく、厚すぎるとセンサの感度が低下する恐れがあるためである。また、鉄箔部3の面積は、誘電正接が初期の軽微な腐食開始を捉えることができるので面積は小さくても良いが、静電容量で腐食進行状況を段階的に捉える場合は、大きい方が望ましい。本明細書では3cm2であるとして説明する。
本発明者らは、本実施形態に係る腐食センサの測定周波数による静電容量値の違いを確認した。本発明者らは、3%のNaCl水溶液に本実施形態に係る図1の腐食センサを浸漬させ、7日を1サイクルとして、1サイクル毎に腐食状態の目視観察を行なった。静電容量の計測は、浸漬液から腐食センサを一旦取り出し、表面に付着した水分を取り除いた後、ピンセット状のプローブにて鉄箔部3の端部と貴金属10との間の静電容量を計測した。計測条件は、LCRメーターを用いて、100Hz〜100kHzまでの1Vの交流電界下にて実施した。実験で使用した装置は、以下の表の通りである。なお、目視による各サイクルの腐食面積は、1サイクル目は0%、2サイクル目は20%、3サイクル目は60%、4サイクル目は80%であった。
[モルタル試験体を用いた促進試験による腐食センサの性能評価]
モルタル中における本実施形態に係る腐食センサの性能を確認することを目的に、塩分を練り込んだ試験体を用いて促進試験で評価した。
モルタル試験体は、水セメント比65%の1:3モルタルとし、塩化物イオン量で4.8kg/m3となるようにNaClを添加した。図6は、試験体の概要を示す図である。ここでは、試験体を100mm×100mm×100mmのサイズとした。かぶり15mmの位置に腐食センサを埋設した水準(図6(b))と、腐食面積計測用にφ20mm×130mmの磨き棒鋼を埋設した水準(図6(a))を用意した。なお、試験体の表面は塩水浸透を行なう1面だけ残し、他の面をエポキシ樹脂で被覆した。
図7は、モルタル試験体に埋設するセンサの概要を示す図である。図7に示すように、腐食センサ1は、Oリング15でアクリルケース13との間隔が設けられ、エポキシ樹脂17でアクリルケース13に接着されている。この腐食センサ1は、試験体外部より誘電正接及び静電容量の計測を行なうため、リード線9を半田付けし、リード線9の接続部が腐食しないよう、鉄箔部3のみが表面に露出するように、アクリルケース13で外装され、ケース内部が樹脂21で充填されている。このように構成したのは、リード線の錆防止を図るためと、周りに充填されるコンクリート自体が誘電体で含水状態により誘電率が変動することから、その影響を回避するためである。また、センサをコンクリート充填時の衝撃から保護する意味もある。本実施形態では、アクリルケース13を用いたが、必ずしもこれを必要とするわけではなく、上記の目的を達成することができるのであれば、アクリルケース13を使用せずに、例えば、樹脂だけでも構わない。
促進試験の条件は、40℃で10%NaCl水溶液に2日間浸漬−60%RH環境下で5日間乾燥させる条件を1サイクルとし、合計10サイクルの促進試験を行なった。1サイクル終了毎にLCRメーターを用いて腐食センサの静電容量、誘電正接を測定した。計測条件は交流電圧1Vで、測定周波数は塩水浸漬実験の測定結果を参考に100kHz 固定とした。図8は、M−1、M−2及びM−3の3個の同一のセンサについて各サイクルで計測した誘電正接の結果を示す図である。図9は、M−1、M−2及びM−3の3個の同一のセンサについて各サイクルで計測した静電容量の結果を示す図である。初期値は、試験体を脱型後、塩水に浸漬する前に計測した結果とした。
測定対象となる金属構造物、例えば、鋼橋やプラント設備、街路灯、土中埋設管、タンク、船舶などに保護塗料を塗布する場合、塗布前の金属材料の表面に、本実施形態に係るセンサを接着剤等で貼付する。貼付する際は、構造物の電気状態の影響を受ける場合があるので、樹脂のテープ、シール、あるいは接着剤自体で絶縁することが好ましい。センサの検知部は、腐食状態を測定したい材質と同じものに換えることができ、鉄箔に変えてステンレスやアルミニウム等の金属とすれば良い。その後、金属構造物と同様に保護塗料を塗布する。ケーブルは保護塗膜の外部に出しても出さなくても良い。ケーブルを出さない場合は、そのまま塗膜の下にセンサを埋設し、測定する際は、センサを被覆している塗膜を剥離し、直接計測器を接続して、腐食に伴う電気信号を計測する。また、無線方式を用いて、電磁的に測定を行なっても良い。これにより、ケーブルを引き出した場合に生じる塗膜の欠陥を生じることなく、センサを設置することができる。
3、4、41 鉄箔部
5 貫通孔
6 スリット
7 誘電体
9 リード線
10 対向電極
13 アクリルケース
15 Oリング
17 エポキシ樹脂
21 樹脂
30 腐食防止膜
Claims (9)
- コンクリートまたは鋼材の腐食環境を検出するセンサであって、
腐食性を有する金属で板状、箔状または膜状に形成された検知部と、
耐腐食性を有する金属で形成され、前記検知部と対向する位置に設けられた対向電極と、
前記検知部および前記対向電極の間に設けられた誘電体と、
前記検知部に電気的に接続された第1の通電部と、
前記対向電極に電気的に接続された第2の通電部と、を備え、
誘電正接の上昇により前記検知部の腐食開始が検知される一方、誘電正接の上昇から低下への変化により前記検知部の欠損が検知されることを特徴とする腐食センサ。 - 前記検知部には、複数の貫通孔が設けられていることを特徴とする請求項1記載の腐食センサ。
- 前記検知部は、メッシュ状に形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2記載の腐食センサ。
- 前記検知部の中心を含む第1の領域を包囲する第2の領域に設けられた腐食防止膜と、
前記第2の領域に対応する検知部に電気的に接続された第1の通電部と、
を更に備えることを特徴とする請求項1記載の腐食センサ。 - 前記誘電体は、誘電率が3以上であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の腐食センサ。
- コンクリート構造物中に埋設され、前記コンクリート構造物の腐食環境進行状況を検出する腐食検出方法であって、
請求項1から請求項5のいずれかに記載の腐食センサを前記コンクリート構造物中に埋設し、
前記腐食センサの検知部が腐食することによる交流電界を印加した場合の電気特性値の変化に基づいて、腐食センサの腐食進行状態を特定することを特徴とする腐食検出方法。 - 測定対象である鋼構造物および鋼材の表面に貼付し、前記鋼構造物および鋼材の腐食環境進行状況を検出する腐食検出方法であって、
請求項1から請求項5のいずれかに記載の腐食センサを前記鋼構造物および鋼材表面に貼付し、前記腐食センサの検知部が腐食することによる交流電界を印加した場合の電気特性値の変化に基づいて、腐食センサの腐食進行状態を特定することを特徴とする腐食検出方法。 - 前記交流電界を印加した場合の電気特性値が、誘電正接値であることを特徴とする請求項6または請求項7記載の腐食検出方法。
- 前記検知部の腐食状況に応じて変化する交流電界を印加した場合の誘電正接値および静電容量値に基づいて、腐食センサの腐食進行状態を特定することを特徴とする請求項6または請求項7記載の腐食検出方法。
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