JP6597487B2 - 電極基板フィルム及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は樹脂フィルムから成る基板上に金属層が成膜された電極基板フィルム及びその製造方法に関し、特に、その正反射成分近傍の拡散分散光がほぼ黒色として視認されるタッチパネル用の電極基板フィルム及びその製造方法に関する。
携帯電話、携帯電子文書機器、自動販売機、カーナビゲーション等の電子機器が具備するフラットパネルディスプレイ(FPD)の表面には、近年、「タッチパネル」を設置することが多くなっている。「タッチパネル」は格子状電極を2枚の透明基板で挟み込んだ構造になっており、この格子状電極には、ITO(酸化インジウム−酸化錫)等の透明導電層又は金属層をパターニング加工したものが使用されている。
これらのうち、金属層はITOに比べて電気抵抗値が低いためタッチパネルの大型化や応答速度の高速化に適しているが、可視波長領域における反射率が高いため、細線構造や微細なメッシュ構造にパターニング加工しても高輝度照明下では回路パターンが視認されることが問題になることがある。この問題を抑えるため、様々な技術が提案されている。
例えば金属層の上に、黒色で消衰係数の高い物性を有する金属吸収層を成膜する技術が提案されている。しかしながら、金属吸収層は製造コストや後工程で行われるエッチングによるパターニング加工を考慮すると膜厚に限界があり、必要とする低反射率や黒色を実現できないことがある。そこで、反射率を比較的確実に低下させる方法として、金属層の表面を粗面にして正反射成分を散乱させる方法が提案されている。
例えば特許文献1には、透明基板の少なくとも片面に複数の錐状突起をサブミクロンピッチでマトリックス状に配置し、得られた錐状突起群の上に金属製細線を形成することで高輝度照明下での反射防止機能が高められた電極基板フィルムが開示されている。この電極基板フィルムは、さらに錐状突起群と金属製細線との間若しくは金属製細線の上に黒色層を設けて可視波長域の光を吸収することが示されている。
しかしながら、電極基板フィルムを上記の構造とすることで低反射率を実現しても、これにより生じる拡散光の色が色味によっては好まれない場合があり、また、黒色層を設ける場合においても、光沢色のある黒色ではかえって格子状配線が目立ってしまうおそれがある。なお、特許文献2には、透明導電膜フィルムを様々な角度から視認しても色味にばらつきが生じないように、正反射成分のL*a*b*表色系におけるa*値及びb*値のばらつきを所定の値に抑える技術が開示されている。
特開2016−9285号公報 特開2015−179489号公報
前述したようにタッチパネルを構成する格子状電極は、通常は肉眼で見えにくくなるように工夫されているものの、金属の有する本質的に高い反射率のため、高輝度照明下ではわずかに見えてしまうことがある。タッチパネルを備えた電子機器のうち特にモバイル機器は、強い照明灯の映り込みを避けるため、パネル面を若干傾けて使用することがある。そのため、前述したように表面を粗面化しても、これに起因する拡散光(拡散反射光)の色が品質上の問題になることがあり、これを抑えるため正反射成分近傍の拡散光成分も黒色に近いことが望まれる。
本発明はタッチパネル用として使用される従来の電極基板フィルムがかかえる上記の問題に鑑みてなされたものであり、格子状電極としてパターニング加工されたとき、正反射成分及びその近傍の拡散反射光成分が黒色若しくはこれに近い色で視認される金属電極フィルムを提供することを目的にしている。
上記目的を達成するため、本発明に係る電極基板フィルムは、樹脂フィルム基板の少なくとも片面に金属吸収層及び金属層から成る積層体が成膜された電極基板フィルムであって、該電極基板フィルムの成膜面上の任意の部位に対して所定の入射光角度に固定した照射素子から入射したときの拡散反射光を、一定の角度間隔おきに受光角度が移動する受光素子で受光したとき、該照射素子の陰になる角度位置と正反射成分が受光される角度位置とを除いて該受光した拡散反射光のL*a*b*表色系におけるb*値が−15から0の範囲にあるか、あるいは該電極基板フィルムの成膜面上の任意の部位に対して一定の角度間隔おきに入射光角度が移動する照射素子から入射したときの拡散反射光を、所定の受光角度に固定した受光素子で受光したとき、該受光素子の陰になる角度位置と正反射成分が受光される角度位置とを除いて該拡散反射光のL*a*b*表色系におけるb*値が−15から0の範囲にあり、前記電極基板フィルムの成膜面に垂直な方向を0°としたとき、前記所定の入射光角度が−45°であり、前記所定の受光角度が45°であり、前記受光素子の移動範囲は、前記成膜面に垂直で且つ前記固定した照射素子からの入射光の光路を含む面上において、照射される部位を中心とする半円周上での−80°から80°の角度範囲であり、前記照射素子の移動範囲は、前記成膜面に垂直で且つ前記固定した受光素子への受光光路を含む面上において、該受光素子が臨む成膜面上の部位を中心とする半円周上での−80°から80°の角度範囲であり、前記一定の角度間隔が5°であることを特徴としている。
本発明によれば、輝度の高い照明灯等の映り込みを避けるためにパネル面を若干傾けて使用する場合においても、格子状電極の正反射成分近傍の拡散光成分がほぼ黒色として視認されるタッチパネルを提供することができる。
本発明の一具体例の電極基板フィルムの断面図である。 図1の電極基板フィルムをパターニング加工して得た格子状電極基板フィルムの断面図である。 電極基板フィルムに対して照射素子から入射光角度を固定したまま照射し、その拡散反射光を受光素子の受光角度を変化させて測定する方法を示す正面図である。 電極基板フィルムに対して照射素子から入射光角度を変化させながら照射し、その拡散反射光を受光素子の受光角度を固定したまま測定する方法を示す正面図である。 図3に示す方法で実施例のサンプルA(a)及びサンプルB(b)の電極基板フィルムをそれぞれ測定したときの拡散反射光のL*a*b*表色系におけるa*値及びb*値を、横軸を受光角度にしてプロット示したグラフである。 図4に示す方法で実施例のサンプルA(a)及びサンプルB(b)の電極基板フィルムをそれぞれ測定したときの拡散反射光のL*a*b*表色系におけるa*値及びb*値を、横軸を入射光角度にしてプロット示したグラフである。
以下、本発明の一具体例の電極基板フィルムについて図1を参照しながら詳細に説明する。この本発明の一具体例の電極基板フィルムは、樹脂フィルム基板50と、その両面にスパッタリング法などの真空成膜法により成膜された第1金属吸収層51と、その上に同様の成膜法で成膜された薄膜金属層52と、その上に湿式めっき法により成膜された厚膜金属層53と、その上にスパッタリング法などの真空成膜法又は湿式めっき法で成膜された最表面の第2金属吸収層54とから構成される。
上記の樹脂フィルム基板50の材質としては特に限定はないが、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルスルフォン(PES)、ポリアリレート(PAR)、ポリカーボネート(PC)、ポリオレフィン(PO)、トリアセチルセルロース(TAC)、及びノルボルネンなどの樹脂材料群の中から選択された樹脂フィルム単体、又はこの樹脂フィルム単体の片面又は両面をアクリル系有機膜で覆ってなる複合体が好ましい。ノルボルネンの場合は、代表的なものとして、日本ゼオン社のゼオノア(商品名)やJSR社のアートン(商品名)を挙げることができる。本発明の一具体例の電極基板フィルムはタッチパネルとして使用するため、上記樹脂フィルム基板の材質の中では可視波長領域での透明性に優れるものが望ましい。
第1金属吸収層51は、上記金属層及び金属吸収層をパターニング加工して格子状電極を形成した時に、反対側の積層膜の裏面が樹脂フィルム基板越しに視認されにくくする役割を担う。また、薄膜金属層52は、後工程の湿式めっきの際に電極としての役割を担う。上記の厚膜金属層53や第2金属吸収層54の成膜で使用する湿式めっきでは、めっき液への添加剤や印加電流を変えることにより表面粗さを調整することができ、これにより反射率を低減させることが可能になる。
第1及び第2金属吸収層51、54の材料は、Ni単体又はNiにTi、Al、V、W、Ta、Si、Cr、Ag、Mo、Cu、及びZnからなる群から選ばれる1種以上の元素が添加されたNi系合金を採用するか、あるいはCu単体又はCuにTi、Al、V、W、Ta、Si、Cr、Ag、Mo、Ni、及びZnからなる群から選ばれる1種以上の元素が添加されたCu系合金を採用するのが好ましい。一方、薄膜及び厚膜金属層52、53はCu単体又はCuにTi、Al、V、W、Ta、Si、Cr、Ag、Mo、Ni、及びZnからなる群から選ばれる1種以上の元素が添加されたCu系合金を採用するのが好ましい。
なお、樹脂フィルム基板の片面側にのみ上記順序で第1及び第2金属吸収層並びに薄膜及び厚膜金属層を積層する場合は、成膜後であっても樹脂フィルム基板側から第1金属吸収層の分光光学特性を測定することが可能である。しかし、図1に示すように、樹脂フィルム基板の両面に上記順序で第1及び第2金属吸収層並びに薄膜及び厚膜金属層を積層する場合は、成膜後に第1金属吸収層の分光光学特性を測定するのは不可能である。
上記の方法で作製した第1及び第2金属吸収層並びに薄膜及び厚膜金属層からなる積層体を有する図1に示すような電極基板フィルムに対して、タッチパネル用のストライプ状又は格子状の電極(配線)パターンが形成されるようにパターニング加工することにより、図2に示すようなタッチパネル用の電極を作製することができる。
すなわち、この図2に示す格子状電極は、樹脂フィルム基板50の両面に各々パターニングされた積層体が設けられており、この積層体は、第1金属吸収層51a、薄膜金属層52a、厚膜金属層53a、及び第2金属吸収層54aがこの順に積層された構造になっている。このパターニングされた電極(配線)は、図1に示す電極基板フィルムの積層構造を維持しているので、図1の電極基板フィルムの後述する光学的特性と同様の特性を有している。そのため、青みを生ずることなく可視波長領域の反射率が略均質に抑えられており、よって配線幅を5μm程度にしても肉眼ではほとんど見えない。
上記の電極配線のパターニング加工法については限定がなく、公知のサブトラクティブ法を用いることができる。サブトラクティブ法は、上記積層体の表面にフォトレジスト膜を塗布し、所望の配線パターンと同じパターンを有するフォトレジスト膜が残存するように露光及び現像を行った後、残存するフォトレジスト膜で覆われていない積層体の露出箇所に対して塩化第二鉄水溶液や塩化第二銅水溶液等のエッチング液を用いて化学エッチングすることにより、配線パターンを形成する方法である。
(3)L*a*b*表色系の測定
上記の積層構造を有する本発明の一具体例の電極基板フィルムは、該電極基板フィルムの成膜面上の任意の部位に対して所定の入射光角度に固定した照射素子から入射したときの拡散反射光を、一定の角度間隔おきに受光角度が移動する受光素子で受光したとき、該照射素子の陰になる角度位置と正反射成分が受光される角度位置とを除いて該受光した拡散反射光のL*a*b*表色系におけるb*値が−15から0の範囲にあるか、あるいは該電極基板フィルムの成膜面上の任意の部位に対して一定の角度間隔おきに入射光角度が移動する照射素子から入射したときの拡散反射光を、所定の受光角度に固定した受光素子で受光したとき、該受光素子の陰になる角度位置と正反射成分が受光される角度位置とを除いて該受光した拡散反射光のL*a*b*表色系におけるb*値が−15から0の範囲にある。
より具体的に説明すると、本発明の一具体例の電極基板フィルムは、図3に示す第1の測定方法と図4に示す第2の測定方法の2種類の測定方法で測定した拡散反射光のL*a*b*表色系におけるb*値を規定するものである。図3に示す第1の測定方法では、該電極基板フィルムの成膜面に垂直な方向(法線)を0°として、該電極基板フィルムの成膜面上の任意の部位に対して入射光角度を例えば−45°に固定した照射素子11から入射したときの拡散反射光を、受光素子12の受光角度を例えば−80°から80°まで一定の角度間隔おきに変えながら受光する。なお、この図3の測定方法では、受光素子12は上記成膜面に垂直で且つ固定した照射素子11からの入射光の光路11aを含む面上において、照射される部位を中心とする半円周上を移動することになる。
上記の測定の際、照射素子11の大きさと一定の角度間隔おきに移動させる受光素子12の角度間隔によるが、例えば受光素子12を5°おきに移動させる場合は、照射素子11の陰になる−45°とその前後の−40°及び−50°では受光できない。また、フラットパネルディスプレイを使用する時は、パネル面に照明灯等が映り込むのを避けるため、パネル面を意図的に傾けて正反射成分とその近傍の成分とを見ないようにすることが多いため、正反射成分45°とその前後の40°及び50°は評価に含んでいない。
一方、図4に示す第2の測定方法では、該電極基板フィルムの表面に垂直な方向(法線)を0°として、該電極基板フィルムの成膜面上の任意の部位に対して照射素子21からの入射光角度を例えば−80°から80°まで一定の角度間隔おきに変えながら入射したときの拡散反射光を、例えば45°の受光角度に固定した受光素子22で受光する。なお、この図4の測定方法では、照射素子21は上記成膜面に垂直で且つ固定した受光素子22への受光光路22aを含む面上において、該受光素子22が臨む成膜面上の部位を中心とする半円周上を移動することになる。
その際、受光素子22の大きさと一定の角度間隔おきに移動させる受光素子21の角度間隔によるが、例えば照射素子21を5°おきに移動させる場合は、受光素子22の陰になる45°とその前後の40°及び50°では照射はできない。また、フラットパネルディスプレイを使用する時は、パネル面に照明灯等が映り込むのを避けるため、パネル面を意図的に傾けて正反射成分とその近傍の成分とを見ないようにすることが多いため、正反射成分−45°とその前後の−40°及び−50°は評価に含んでいない。
本発明の一具体例の電極基板フィルムは、上記の第1及び第2の測定方法で測定した拡散反射光のL*a*b*表示系におけるb*値が−15から0の範囲内にあることを要件としている。その理由は、本発明の一具体例の電極基板フィルムを格子状電極に加工した後、タッチパネルとして使用する場合、高輝度物体の映り込みを避けるためにパネル面を少し傾けて見ることが多いため、正反射成分及びその近傍を除いた拡散反射光成分のL*a*b*表色系におけるb*値が−15より小さくなると、パネル面を見た時の色調が青くなるので好ましくない。逆にb*値が0より大きくなると、パネル面を見た時の色調が黄色になるので好ましくない。
拡散反射光成分のL*a*b*表色系におけるb*値が上記の範囲を外れる場合は、成膜条件を調整するのが好ましい。すなわち、高輝度物体の映り込みは、スネルの法則による正反射成分であり、界面が完全に鏡面(平坦)ならば正反射以外の成分はないが、実際には樹脂フィルム基板と金属吸収層の界面、金属層と金属吸収層の界面、金属吸収層と媒質の界面の表面粗さに起因する散乱成分がある。これらの中で散乱に最も大きく影響するのは、金属層と金属吸収層との界面の粗さであり、これらの層は湿式めっき法で成膜される。湿式めっき法では添加剤や印加電流により表面粗度を制御することができるので、上記の拡散反射光のL*a*b*表示系におけるb*値の結果に基づいて湿式めっき工程で使用する添加剤や印加電流を調整すればよい。
具体的には、電極基板フィルムを上記方法で測定したときの拡散反射光のL*a*b*表色系におけるb*値が−15より小さくなる場合は、印加電流値を下げて最表面の金属吸収膜を薄くすればよい。逆にこのb*値が0より大きくなる場合は、印加電流値を上げて最表面の金属吸収膜を厚くすればよい。従って、この測定を検査工程として製造後に行うことによって、電極基板フィルムの品質のばらつきを抑えることができる。なお、一般的に表面粗度を荒くし過ぎると、散乱成分は増加し正反射成分は低下していわゆる艶消し色になるが、その散乱成分が青っぽく見えてしまうことがある。
このように、本発明の電極基板フィルムは、所定の条件で受光した拡散反射光のL*a*b*表色系におけるb*値を−15から0の範囲内に規定することで、パターニング加工後にパネル面を傾けて見ても青みや黄色みを感じることがなくほぼ均一な黒色を呈するようになる。よって、色味のばらつきの少ない高品質の電極基板フィルムを提供することができる。
図1に示すような、樹脂フィルム基板50の両面に積層体が設けられた電極基板フィルムを作製し、一定の角度間隔で移動可能な照射素子及び受光素子を備えた測定器を用いて電極基板フィルムの成膜面に光を照射してその拡散反射光を測定し、そのL*a*b*表色系におけるa*値及びb*値を求めた後、パターニング加工を行って表面の色調について目視にて検査を行った。なお、本発明は以下の実施例には何ら限定されるものではない。
具体的に説明すると、樹脂フィルム基板50として、幅600mm×長さ1200mのPETフィルムを2つ用意し、各々、連続的に乾式めっきを行うことが可能なスパッタリングウェブコータを用いて、該PETフィルムの表面に第1金属吸収層51として膜厚200nmのNi−Cu層を成膜した後、その上に薄膜金属層52として膜厚800nmのCu層を成膜し、同様に裏面にも第1金属吸収層51として膜厚200nmのNi−Cu層と薄膜金属層52として膜厚800nmのCu層とを成膜した。このNi−Cu層のスパッタリング成膜時には、酸素を導入した反応性スパッタリング法により黒色膜が得られるようにした。これにより、当該Ni−Cu層の反射率が下がるため、後述する格子状電極形成のためのパターニング加工後にPET越しに裏側の積層体を見えにくくすることができた。
次に、湿式めっき法により厚膜金属層53として膜厚2000nmのCu層を成膜した。この湿式めっき法では、上記乾式めっきで成膜した2つのPETフィルムに対して、それぞれ異なる印加電流でめっきすることで表面粗さRa15nmのサンプルAと25nmのサンプルBを得た。これら両サンプルの各々に対して、再度スパッタリングウェブコータを用いて第2金属吸収層54として膜厚200nmのNi−Cu層を両面に成膜した。このNi−Cu層のスパッタリング成膜時には、酸素を導入した反応性スパッタリング法により黒色膜が得られるようにした。これにより、当該Ni−Cu層の反射率が下がるため、後述する格子状電極形成のためのパターニング加工後に表面から積層体を見えにくくすることができた。
上記にて作製したサンプルA及びBの電極基板フィルムの各々に対して、株式会社村上色彩技術研究所製の変角分光測色システムGCMS−4を用いて拡散反射光のL*a*b*表色系におけるa*値及びb*値を測定した。具体的には、先ず図3に示すように、各サンプルに対して入射光角度が−45°となるように照射素子を固定して照射すると共に、その拡散反射光を受光角度が−80°から80°まで5°間隔で変わるように受光素子を移動させて受光した。その際、照射素子の陰になる−50°、−45°、及び−40°は受光できず、正反射成分及びその近傍の40°、45°、及び50°は、パネル面での映り込みを避けるため意図的に傾けることで外されるので、評価に含めなかった。また、測定波長間隔はJIS Z8722に準じて10nmとした。
次に、図4に示すように、各サンプルに対して入射光角度が80°から80°まで5°間隔で変わるように照射素子を移動させながら照射し、受光角度45°で固定した受光素子でその拡散反射光を受光した。その際、受光素子の陰になる40°、45°、及び50°は測定できず、正反射成分になる−40°、−45°、及び−50°はタッチパネルの映り込みを意図的避けて傾けるために評価に含めなかった。また、測定波長間隔はJIS Z8722に準じて10nmとした。
上記の図3の測定方法で測定した表面粗さRa15nmのサンプルA及びRa25nmのサンプルBのa*値とb*値とを横軸を受光角度としてプロットしたグラフをそれぞれ図5(a)及び図5(b)に示す。これら図から分かるように、a*値はサンプルAとサンプルBでほとんど差異がないが、b*値については、サンプルAは本発明の要件を満たしているのに対して表面粗さが大きいサンプルBは−15より小さくなっている。
また、図4の測定方法で測定した表面粗さRa15nmのサンプルA及びRa25nmのサンプルBのa*値とb*値とを横軸を入射光角度としてプロットしたグラフをそれぞれ図6(a)及び図6(b)に示す。これら図から分かるように、a*値はサンプルAとサンプルBでほとんど差異がないが、b*値については、サンプルAは本発明の要件を満たしているのに対して表面粗さが大きいサンプルBは−15より小さくなっている。
次に、これら両サンプルの電極基板フィルムを、タッチパネルとして使用する場合を考慮して格子状電極にパターニング加工した。これら両サンプルを高輝度物体の映り込み避けるために少し傾けたとき、サンプルAは正反射成分近傍の色調には特に問題がなかったが、サンプルBでは正反射成分近傍の色が青みがかっていた。これは、サンプルBはL*a*b*表色系におけるb*値が−15より小さいためであると考えられる。
以上のことから、入射光角度を固定して受光角度を可変にする場合、又は受光角度を固定して入射光角度を可変にする場合のいずれにおいても、正反射領域と測定不能領域を除いた拡散反射光のL*a*b*表色系におけるb*値が−15より小さくなると、パターニング加工後のパネル面を傾けて見た時に青く感じるので、最表面の金属吸収層の下に設けるCu層を湿式めっきで成膜する時には表面粗さを適宜調整して、上記b*値が−15より小さくならないようにする必要があることが分かる。
11、21 照射素子
12、22 受光素子
11a 入射光の光路
22a 受光の光路
50 樹脂フィルム基板
51、51a 第1金属吸収層
52、52a 薄膜金属層
53、53a 厚膜金属層
54、54a 第2金属吸収層


Claims (10)

  1. 樹脂フィルム基板の少なくとも片面に金属吸収層及び金属層から成る積層体が成膜された電極基板フィルムであって、
    該電極基板フィルムの成膜面上の任意の部位に対して所定の入射光角度に固定した照射素子から入射したときの拡散反射光を、一定の角度間隔おきに受光角度が移動する受光素子で受光したとき、該照射素子の陰になる角度位置と正反射成分が受光される角度位置とを除いて該受光した拡散反射光のL*a*b*表色系におけるb*値が−15から0の範囲にあるか、
    あるいは該電極基板フィルムの成膜面上の任意の部位に対して一定の角度間隔おきに入射光角度が移動する照射素子から入射したときの拡散反射光を、所定の受光角度に固定した受光素子で受光したとき、該受光素子の陰になる角度位置と正反射成分が受光される角度位置とを除いて該拡散反射光のL*a*b*表色系におけるb*値が−15から0の範囲にあり、
    前記電極基板フィルムの成膜面に垂直な方向を0°としたとき、前記所定の入射光角度が−45°であり、前記所定の受光角度が45°であり、前記受光素子の移動範囲は、前記成膜面に垂直で且つ前記固定した照射素子からの入射光の光路を含む面上において、照射される部位を中心とする半円周上での−80°から80°の角度範囲であり、前記照射素子の移動範囲は、前記成膜面に垂直で且つ前記固定した受光素子への受光光路を含む面上において、該受光素子が臨む成膜面上の部位を中心とする半円周上での−80°から80°の角度範囲であり、前記一定の角度間隔が5°であることを特徴とする電極基板フィルム。
  2. 前記照射素子の陰になる角度位置が−40°−45°、及び−50°であり、前記照射素子を固定したときの正反射成分が受光される角度位置が40°45°、及び50°であり、前記受光素子の陰になる角度位置が40°45°、及び50°であり、前記受光素子を固定したときの正反射成分が受光される角度位置が−40°−45°、及び−50°であることを特徴とする、請求項に記載の電極基板フィルム。
  3. 前記電極基板フィルムの最表面層が金属吸収層であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の電極基板フィルム。
  4. 前記金属吸収層の材料が、Ni単体若しくはNiにTi、Al、V、W、Ta、Si、Cr、Ag、Mo、Cu、及びZnからなる群から選ばれる1種以上の元素が添加されたNi系合金か、又はCu単体若しくはCuにTi、Al、V、W、Ta、Si、Cr、Ag、Mo、Ni、及びZnからなる群から選ばれる1種以上の元素が添加されたCu系合金であることを特徴とする、請求項1〜のいずれか1項に記載の電極基板フィルム。
  5. 前記金属層の材料が、Cu単体又はCuにTi、Al、V、W、Ta、Si、Cr、Ag、Mo、Ni、及びZnからなる群から選ばれる1種以上の元素が添加されたCu系合金であることを特徴とする、請求項1〜のいずれか1項に記載の電極基板フィルム。
  6. 前記金属層が湿式めっき法により形成されることを特徴とする、請求項1〜のいずれか1項に記載の電極基板フィルム。
  7. 樹脂フィルム基板の少なくとも片面に第1金属吸収層、金属層、及び最表面層の第2金属吸収層から成る積層体がこの順に該樹脂フィルム基板側から成膜された電極基板フィルムであって、
    該電極基板フィルムの成膜面上の任意の部位に対して所定の入射光角度に固定した照射素子から入射したときの拡散反射光を、一定の角度間隔おきに受光角度が移動する受光素子で受光したとき、該照射素子の陰になる角度位置と正反射成分が受光される角度位置とを除いて該受光した拡散反射光のL*a*b*表色系におけるb*値が−15から0の範囲にあるか、
    あるいは該電極基板フィルムの成膜面上の任意の部位に対して一定の角度間隔おきに入射光角度が移動する照射素子から入射したときの拡散反射光を、所定の受光角度に固定した受光素子で受光したとき、該受光素子の陰になる角度位置と正反射成分が受光される角度位置とを除いて該拡散反射光のL*a*b*表色系におけるb*値が−15から0の範囲にあり、
    前記金属層の表面が粗面化されていることを特徴とする電極基板フィルム。
  8. 樹脂フィルム基板の少なくとも片面に金属吸収層及び金属層から成る積層体が成膜された電極基板フィルムの製造方法であって、
    該電極基板フィルムの成膜面上の任意の部位に対して所定の入射光角度に固定した照射素子から入射したときの拡散反射光を、一定の角度間隔おきに受光角度が移動する受光素子で受光したとき、該照射素子の陰になる角度位置と正反射成分が受光される角度位置とを除いて該受光した拡散反射光のL*a*b*表色系におけるb*値が−15から0の範囲内になるように金属層の表面粗さを調整するか、
    あるいは該電極基板フィルムの成膜面上の任意の部位に対して一定の角度間隔おきに入射光角度が移動する照射素子から入射したときの拡散反射光を、所定の受光角度に固定した受光素子で受光したとき、該受光素子の陰になる角度位置と正反射成分が受光される角度位置とを除いて該拡散反射光のL*a*b*表色系におけるb*値が−15から0の範囲内になるように金属層の表面粗さを調整することを特徴とする電極基板フィルムの製造方法。
  9. 樹脂フィルム基板の少なくとも片面に金属吸収層及び金属層から成る積層体が成膜された電極基板フィルムの検査方法であって、
    該電極基板フィルムの成膜面上の任意の部位に対して所定の入射光角度に固定した照射素子から入射したときの拡散反射光を、一定の角度間隔おきに受光角度が移動する受光素子で受光したとき、該照射素子の陰になる角度位置と正反射成分が受光される角度位置とを除いて該受光した拡散反射光のL*a*b*表色系におけるb*値が−15から0の範囲から外れているか、
    あるいは該電極基板フィルムの成膜面上の任意の部位に対して一定の角度間隔おきに入射光角度が移動する照射素子から入射したときの拡散反射光を、所定の受光角度に固定した受光素子で受光したとき、該受光素子の陰になる角度位置と正反射成分が受光される角度位置とを除いて該拡散反射光のL*a*b*表色系におけるb*値が−15から0の範囲から外れている場合に品質上の問題ありと判断するものであり、
    前記電極基板フィルムの成膜面に垂直な方向を0°としたとき、前記所定の入射光角度が−45°であり、前記所定の受光角度が45°であり、前記受光素子の移動範囲は、前記成膜面に垂直で且つ前記固定した照射素子からの入射光の光路を含む面上において、照射される部位を中心とする半円周上での−80°から80°の角度範囲であり、前記照射素子の移動範囲は、前記成膜面に垂直で且つ前記固定した受光素子への受光光路を含む面上において、該受光素子が臨む成膜面上の部位を中心とする半円周上での−80°から80°の角度範囲であり、前記一定の角度間隔が5°であることを特徴とする電極基板フィルムの検査方法。
  10. 樹脂フィルム基板の少なくとも片面に第1金属吸収層、金属層、及び最表面層の第2金属吸収層から成る積層体がこの順に該樹脂フィルム基板側から成膜された電極基板フィルムの検査方法であって、
    該電極基板フィルムの成膜面上の任意の部位に対して所定の入射光角度に固定した照射素子から入射したときの拡散反射光を、一定の角度間隔おきに受光角度が移動する受光素子で受光したとき、該照射素子の陰になる角度位置と正反射成分が受光される角度位置とを除いて該受光した拡散反射光のL*a*b*表色系におけるb*値が−15から0の範囲から外れているか、
    あるいは該電極基板フィルムの成膜面上の任意の部位に対して一定の角度間隔おきに入射光角度が移動する照射素子から入射したときの拡散反射光を、所定の受光角度に固定した受光素子で受光したとき、該受光素子の陰になる角度位置と正反射成分が受光される角度位置とを除いて該拡散反射光のL*a*b*表色系におけるb*値が−15から0の範囲から外れている場合に品質上の問題ありと判断するものであり、
    前記金属層の表面が粗面化されていることを特徴とする電極基板フィルムの検査方法。
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