JP6597597B2 - アニリン誘導体およびその利用 - Google Patents
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Description
正孔注入層の形成方法は、蒸着法に代表されるドライプロセスと、スピンコート法に代表されるウェットプロセスとに大別され、これら各プロセスを比べると、ウェットプロセスの方が大面積に平坦性の高い薄膜を効率的に製造できる。それゆえ、有機ELディスプレイの大面積化が進められている現在、ウェットプロセスで形成可能な正孔注入層が望まれている。
このような事情に鑑み、本発明者らは、各種ウェットプロセスに適用可能であるとともに、有機EL素子の正孔注入層に適用した場合に優れたEL素子特性を実現できる薄膜を与える電荷輸送性材料や、それに用いる有機溶媒に対する溶解性の良好な化合物を開発してきている(例えば特許文献1〜4参照)。
1. 式(1)で表されることを特徴とするアニリン誘導体、
2.前記Ar 1 が、(A1)〜(A3)、(A6)〜(A7)および(A10)〜(A12)で表されるいずれかの基である1のアニリン誘導体、
3.前記R1〜R4が、すべて水素原子である1または2のアニリン誘導体、
4. 1〜3のいずれかのアニリン誘導体からなる電荷輸送性物質、
5. 4の電荷輸送性物質を含む電荷輸送性材料、
6. 4の電荷輸送性物質と、有機溶媒とを含む電荷輸送性ワニス、
7. さらにドーパント物質を含む6の電荷輸送性ワニス、
8. 前記ドーパント物質が、ハロテトラシアノキノジメタン化合物を含む7の電荷輸送性ワニス、
9. 前記ドーパント物質が、さらにヘテロポリ酸を含む8の電荷輸送性ワニス、
10. 6〜9のいずれかの電荷輸送性ワニスを用いて作製される電荷輸送性薄膜、
11. 10の電荷輸送性薄膜を有する電子デバイス、
12. 10の電荷輸送性薄膜を有する有機エレクトロルミネッセンス素子、
13. 6〜9のいずれかの電荷輸送性ワニスを基材上に塗布し、溶媒を蒸発させることを特徴とする電荷輸送性薄膜の製造方法、
14. 式(2)
で表されるアミン化合物を、触媒存在下で、式(3)
で表されるアリール化合物と反応させることを特徴とする1のアニリン誘導体の製造方法
を提供する。
本発明の電荷輸送性ワニスから作製した薄膜は高い電荷輸送性を示すため、有機EL素子をはじめとした電子デバイス用薄膜として好適に用いることができる。特に、この薄膜を有機EL素子の正孔注入層に適用することで、輝度特性に優れた有機EL素子を得ることができる。
また、本発明の電荷輸送性ワニスは、スピンコート法やスリットコート法等、大面積に成膜可能な各種ウェットプロセスを用いた場合でも電荷輸送性に優れた薄膜を再現性よく製造できるため、近年の有機EL素子の分野における進展にも十分対応できる。
本発明に係るアニリン誘導体は、式(1)で表される。
炭素数1〜20のアルキル基としては、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれでもよく、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基等の炭素数1〜20の直鎖または分岐鎖状アルキル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基、ビシクロブチル基、ビシクロペンチル基、ビシクロヘキシル基、ビシクロヘプチル基、ビシクロオクチル基、ビシクロノニル基、ビシクロデシル基等の炭素数3〜20の環状アルキル基などが挙げられる。
これらの中でも、化合物の有機溶媒に対する溶解性や、得られる薄膜の電荷輸送性を向上させるという点から、式(A1)〜(A12)で表されるいずれかの基が好ましく、式(A1)〜(A3)、(A5)〜(A7)、および(A10)〜(A12)で表されるいずれかの基がより好ましく、式(A1)、(A5)、および(A10)〜(A12)で表されるいずれかの基がより一層好ましく、式(A1)および(A5)で表されるいずれかの基がさらに好ましい。
ただし、本発明においては、式(1)において、4つのAr1が同時に式(A5)で表される基となる化合物は含まない。
すなわち、本発明においては、式(1′)で表されるアニリン誘導体が好ましい。
Ar 13 およびAr14としては、化合物の有機溶媒に対する溶解性や、得られる薄膜の電荷輸送性を向上させるという点から、式(A1)〜(A12)で表されるいずれかの基が好ましく、式(A1)〜(A3)、(A5)〜(A7)、および(A10)〜(A12)で表されるいずれかの基がより好ましく、式(A1)、(A5)、および(A10)〜(A12)で表されるいずれかの基がより一層好ましく、式(A1)および(A5)で表されるいずれかの基がさらに好ましい。
また、アリール基およびヘテロアリール基の炭素数は、好ましくは14以下であり、より好ましくは10以下であり、より一層好ましくは6以下である。
一例を挙げると、式(1′)で表されるアニリン誘導体は、式(2)で表されるアミン化合物と、式(3−1)で表されるアリール化合物および式(3−2)で表されるアリール化合物とを触媒下で反応させて式(2′)で示される中間体へ導いた後、これと、式(3−3)で表されるアリール化合物および式(3−4)で表されるアリール化合物とを、触媒存在下で反応させて製造できる。
擬ハロゲン基としては、メタンスルホニルオキシ基、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基、ノナフルオロブタンスルホニルオキシ基等の(フルオロ)アルキルスルホニルオキシ基;ベンゼンスルホニルオキシ基、トルエンスルホニルオキシ基等の芳香族スルホニルオキシ基などが挙げられる。
また、式(2)で表されるアミン化合物と、式(3−1)および(3−2)で表されるアリール化合物との仕込み比は、式(2)で表されるアミン化合物の物質量に対して、それぞれ当量以上とすることができるが、1〜1.2当量程度が好適である。
また、式(2′)で表される中間体と、式(3−3)および(3−4)で表されるアリール化合物との仕込み比は、中間体の物質量(式(2)で表されるアミン化合物の物質量で考えることもできる)に対し、それぞれ当量以上とすることができるが、1〜1.2当量程度が好適である。
また、配位子を用いる場合、その使用量は、使用する金属錯体に対し0.1〜5当量とすることができるが、1〜2当量が好適である。
反応終了後は、常法にしたがって後処理をし、目的とするアニリン誘導体を得ることができる。
ドーパント物質としては、ワニスに使用する少なくとも1種の溶媒に溶解するものであれば特に限定されず、無機系のドーパント物質、有機系のドーパント物質のいずれも使用できる。
ヘテロポリ酸とは、代表的に式(D1)で示されるKeggin型あるいは式(D2)で示されるDawson型の化学構造で示される、ヘテロ原子が分子の中心に位置する構造を有し、バナジウム(V)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)等の酸素酸であるイソポリ酸と、異種元素の酸素酸とが縮合してなるポリ酸である。このような異種元素の酸素酸としては、主にケイ素(Si)、リン(P)、ヒ素(As)の酸素酸が挙げられる。
特に、1種類のヘテロポリ酸を用いる場合、その1種類のヘテロポリ酸は、リンタングステン酸またはリンモリブデン酸が好ましく、リンタングステン酸が最適である。また、2種類以上のヘテロポリ酸を用いる場合、その2種類以上のヘテロポリ酸の1つは、リンタングステン酸またはリンモリブデン酸が好ましく、リンタングステン酸がより好ましい。
なお、ヘテロポリ酸は、元素分析等の定量分析において、一般式で示される構造から元素の数が多いもの、または少ないものであっても、それが市販品として入手したもの、あるいは、公知の合成方法にしたがって適切に合成したものである限り、本発明において用いることができる。
すなわち、例えば、一般的には、リンタングステン酸は化学式H3(PW12O40)・nH2Oで、リンモリブデン酸は化学式H3(PMo12O40)・nH2Oでそれぞれ示されるが、定量分析において、この式中のP(リン)、O(酸素)またはW(タングステン)もしくはMo(モリブデン)の数が多いもの、または少ないものであっても、それが市販品として入手したもの、あるいは、公知の合成方法にしたがって適切に合成したものである限り、本発明において用いることができる。この場合、本発明に規定されるヘテロポリ酸の質量とは、合成物や市販品中における純粋なリンタングステン酸の質量(リンタングステン酸含量)ではなく、市販品として入手可能な形態および公知の合成法にて単離可能な形態において、水和水やその他の不純物等を含んだ状態での全質量を意味する。
テトラシアノキノジメタン誘導体の具体例としては、7,7,8,8−テトラシアノキノジメタン(TCNQ)や、式(4)で表されるハロテトラシアノキノジメタンなどが挙げられる。
また、ベンゾキノン誘導体の具体例としては、テトラフルオロ−1,4−ベンゾキノン(F4BQ)、テトラクロロ−1,4−ベンゾキノン(クロラニル)、テトラブロモ−1,4−ベンゾキノン、2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−1,4−ベンゾキノン(DDQ)などが挙げられる。
ハロゲン原子としては上記と同じものが挙げられるが、フッ素原子または塩素原子が好ましく、フッ素原子がより好ましい。
また、得られる薄膜を有機EL素子の正孔注入層として用いる場合、高寿命の素子を再現性よく得ること、ドーパント物質の入手容易性などを考慮すると、ドーパント物質として、ハロテトラシアノキノジメタンおよびベンゾキノン誘導体の少なくとも1種とヘテロポリ酸とが含まれることが好ましく、ハロテトラシアノキノジメタンおよびベンゾキノン誘導体の少なくとも1種とリンタングステン酸およびリンモリブデン酸の少なくとも1種とが含まれることがより好ましく、F4TCNQおよびDDQの少なくとも1種とリンタングステン酸とが含まれることがより一層好ましい。
有機シラン化合物としては、ジアルコキシシラン化合物、トリアルコキシシラン化合物またはテトラアルコキシシラン化合物が挙げられ、これらは単独で用いても、2種以上組み合わせて用いてもよい。
とりわけ、有機シラン化合物としては、ジアルコキシシラン化合物またはトリアルコキシシラン化合物が好ましく、トリアルコキシシラン化合物がより好ましい。
Si(OR)4 (5)
SiR′(OR)3 (6)
Si(R′)2(OR)2 (7)
Z5は、ハロゲン原子、アミノ基、ニトロ基、シアノ基またはチオール基を表す。
RおよびR′において、アルキル基、アルケニル基およびアルキニル基の炭素数は、好ましくは10以下であり、より好ましくは6以下であり、より一層好ましくは4以下である。
また、アリール基およびヘテロアリール基の炭素数は、好ましくは14以下であり、より好ましくは10以下であり、より一層好ましくは6以下である。
また、R′としては、Z3で置換されていてもよい炭素数1〜20のアルキル基またはZ4で置換されていてもよい炭素数6〜20のアリール基が好ましく、Z3で置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキル基またはZ4で置換されていてもよい炭素数6〜14のアリール基がより好ましく、Z3で置換されていてもよい炭素数1〜6のアルキル基、またはZ4で置換されていてもよい炭素数6〜10のアリール基がより一層好ましく、Z3で置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基またはZ4で置換されていてもよいフェニル基がさらに好ましい。
なお、複数のRは、すべて同一でも異なっていてもよく、複数のR′も、すべて同一でも異なっていてもよい。
また、Z2としては、ハロゲン原子またはZ5で置換されていてもよい炭素数6〜20のアルキル基が好ましく、フッ素原子またはZ5で置換されていてもよい炭素数1〜10アルキル基がより好ましく、存在しないこと(すなわち、非置換であること)が最適である。
また、Z4としては、ハロゲン原子、Z5で置換されていてもよい炭素数1〜20のアルキル基、Z5で置換されていてもよいフラニル基、エポキシシクロヘキシル基、グリシドキシ基、メタクリロキシ基、アクリロキシ基、ウレイド基、チオール基、イソシアネート基、アミノ基、Z5で置換されていてもよいフェニルアミノ基、またはZ5で置換されていてもよいジフェニルアミノ基が好ましく、ハロゲン原子がより好ましく、フッ素原子、または存在しないこと(すなわち、非置換であること)がより一層好ましい。
そして、Z5としては、ハロゲン原子が好ましく、フッ素原子または存在しないこと(すなわち、非置換であること)がより好ましい。
ジアルコキシシラン化合物の具体例としては、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、メチルエチルジメトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、メチルプロピルジメトキシシラン、メチルプロピルジエトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシシラン、3−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルメチルジメトキシシラン等が挙げられる。
このような高溶解性溶媒としては、例えば、シクロヘキサノン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルイソブチルアミド、N−メチルピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ジエチレングリコールモノメチルエーテル等の有機溶媒が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの溶媒は1種単独で、または2種以上混合して用いることができ、その使用量は、ワニスに使用する溶媒全体に対して5〜100質量%とすることができる。
なお、電荷輸送性物質およびドーパント物質は、いずれも上記溶媒に完全に溶解しているか、均一に分散している状態となっていることが好ましく、完全に溶解していることがより好ましい。
高粘度有機溶媒としては、例えば、シクロヘキサノール、エチレングリコール、エチレングリコールジグリシジルエーテル、1,3−オクチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、プロピレングリコール、へキシレングリコール等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの溶媒は単独で用いてもよく、2種以上混合して用いてもよい。
本発明のワニスに用いられる溶媒全体に対する高粘度有機溶媒の添加割合は、固体が析出しない範囲内であることが好ましく、固体が析出しない限りにおいて、添加割合は、5〜80質量%が好ましい。
このような溶媒としては、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジアセトンアルコール、γ−ブチロラクトン、エチルラクテート、n−ヘキシルアセテート等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの溶媒は1種単独で、または2種以上混合して用いることができる。
また、本発明における電荷輸送性ワニスの固形分濃度は、ワニスの粘度および表面張力等や、作製する薄膜の厚み等を勘案して適宜設定されるものではあるが、通常、0.1〜10.0質量%程度であり、ワニスの塗布性を向上させることを考慮すると、好ましくは0.5〜5.0質量%程度、より好ましくは1.0〜3.0質量%程度である。
ワニスの塗布方法としては、特に限定されるものではなく、ディップ法、スピンコート法、転写印刷法、ロールコート法、刷毛塗り、インクジェット法、スプレー法、スリットコート法等が挙げられ、塗布方法に応じてワニスの粘度および表面張力を調節することが好ましい。
なお、焼成の際、より高い均一成膜性を発現させたり、基材上で反応を進行させたりする目的で、2段階以上の温度変化をつけてもよく、加熱は、例えば、ホットプレートやオーブン等、適当な機器を用いて行えばよい。
使用する電極基板は、洗剤、アルコール、純水等による液体洗浄を予め行って浄化しておくことが好ましく、例えば、陽極基板では使用直前にUVオゾン処理、酸素−プラズマ処理等の表面処理を行うことが好ましい。ただし陽極材料が有機物を主成分とする場合、表面処理を行わなくともよい。
上記の方法により、陽極基板上に本発明の電荷輸送性ワニスを塗布して焼成し、電極上に正孔注入層を作製する。これを真空蒸着装置内に導入し、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子輸送層/ホールブロック層、陰極金属を順次蒸着してOLED素子とする。なお、必要に応じて、発光層と正孔輸送層との間に電子ブロック層を設けてよい。
陽極材料としては、インジウム錫酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)に代表される透明電極や、アルミニウムに代表される金属やこれらの合金等から構成される金属陽極が挙げられ、平坦化処理を行ったものが好ましい。高電荷輸送性を有するポリチオフェン誘導体やポリアニリン誘導体を用いることもできる。
なお、金属陽極を構成するその他の金属としては、スカンジウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ガリウム、イットリウム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、カドミウム、インジウム、スカンジウム、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ハフニウム、タリウム、タングステン、レニウム、オスミウム、イリジウム、プラチナ、金、チタン、鉛、ビスマスやこれらの合金等が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
陰極材料としては、アルミニウム、マグネシウム−銀合金、アルミニウム−リチウム合金、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム等が挙げられる。
電子ブロック層を形成する材料としては、トリス(フェニルピラゾール)イリジウム等が挙げられる。
上記OLED素子作製において、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層の真空蒸着操作を行う代わりに、正孔輸送性高分子層、発光性高分子層を順次形成することによって本発明の電荷輸送性ワニスによって形成される電荷輸送性薄膜を有するPLED素子を作製することができる。
具体的には、陽極基板上に本発明の電荷輸送性ワニスを塗布して上記の方法により正孔注入層を作製し、その上に正孔輸送性高分子層、発光性高分子層を順次形成し、さらに陰極を蒸着してPLED素子とする。
正孔輸送性高分子層および発光性高分子層の形成法としては、正孔輸送性高分子材料もしくは発光性高分子材料、またはこれらにドーパント物質を加えた材料に溶媒を加えて溶解するか、均一に分散し、正孔注入層または正孔輸送性高分子層の上に塗布した後、それぞれ焼成することで成膜する方法が挙げられる。
塗布方法としては、特に限定されるものではなく、インクジェット法、スプレー法、ディップ法、スピンコート法、転写印刷法、ロールコート法、刷毛塗り等が挙げられる。なお、塗布は、窒素、アルゴン等の不活性ガス下で行うことが好ましい。
焼成する方法としては、不活性ガス下または真空中、オーブンまたはホットプレートで加熱する方法が挙げられる。
(1)1H−NMR:日本電子(株)製 JNM−ECP300 FT NMR SYSTEM
(2)MALDI−TOF−MS:ブルカー社製、autoflex III smartbeam
(3)基板洗浄:長州産業(株)製 基板洗浄装置(減圧プラズマ方式)
(4)ワニスの塗布:ミカサ(株)製 スピンコーターMS−A100
(5)膜厚測定:(株)小坂研究所製 微細形状測定機サーフコーダET−4000
(6)EL素子の作製:長州産業(株)製 多機能蒸着装置システムC−E2L1G1−N
(7)EL素子の輝度等の測定:(有)テック・ワールド製 I−V−L測定システム
MALDI−TOF−MS m/Z found:1072.37([M]+calcd:1072.43).
[実施例1]
電荷輸送性物質であるアニリン誘導体1 0.088g、ドーパント物質であるリンタングステン酸(PTA)0.202gおよびテトラフルオロテトラシアノキノジメタン(F4TCNQ)0.114gを、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(DMI)14.0gに溶解させた。そこへ2,3−ブタンジオール4.0gおよびプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)2.0gを加えて撹拌し、さらにそこへ3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製)0.007gおよびフェニルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製)0.013gを加えて撹拌し、電荷輸送性ワニスを調製した。
[実施例2]
実施例1で得られたワニスを、スピンコーターを用いてITO基板に塗布した後、80℃で1分間乾燥し、さらに、大気雰囲気下、150℃で5分間焼成し、ITO基板上に30nmの均一な薄膜を形成した。ITO基板としては、インジウム錫酸化物(ITO)が表面上に膜厚150nmでパターニングされた25mm×25mm×0.7tのガラス基板を用い、使用前にO2プラズマ洗浄装置(150W、30秒間)によって表面上の不純物を除却した。
次いで、薄膜を形成したITO基板に対し、蒸着装置(真空度1.0×10-5Pa)を用いてα−NPDを0.2nm/秒にて30nm成膜した。次に、CBPとIr(PPy)3を共蒸着した。共蒸着はIr(PPy)3の濃度が6%になるように蒸着レートをコントロールし、40nm積層させた。次いで、BAlq、フッ化リチウムおよびアルミニウムの薄膜を順次積層して有機EL素子を得た。この際、蒸着レートは、BAlqおよびアルミニウムについては0.2nm/秒、フッ化リチウムについては0.02nm/秒の条件でそれぞれ行い、膜厚は、それぞれ20nm、0.5nmおよび120nmとした。
なお、空気中の酸素、水等の影響による特性劣化を防止するため、有機EL素子は封止基板により封止した後、その特性を評価した。封止は、以下の手順で行った。酸素濃度2ppm以下、露点−85℃以下の窒素雰囲気中で、有機EL素子を封止基板の間に収め、封止基板を接着材((株)MORESCO製、モレスコモイスチャーカット WB90US(P))により貼り合わせた。この際、捕水剤(ダイニック(株)製,HD−071010W−40)を有機EL素子と共に封止基板内に収めた。貼り合わせた封止基板に対し、UV光を照射(波長:365nm、照射量:6,000mJ/cm2)した後、80℃で1時間、アニーリング処理して接着材を硬化させた。なお、各素子の発光面サイズの面積は、2mm×2mmである。
Claims (14)
- 前記Ar 1 が、(A1)〜(A3)、(A6)〜(A7)および(A10)〜(A12)で表されるいずれかの基である請求項1記載のアニリン誘導体。
- 前記R1〜R4が、すべて水素原子である請求項1または2記載のアニリン誘導体。
- 請求項1〜3のいずれか1項記載のアニリン誘導体からなる電荷輸送性物質。
- 請求項4記載の電荷輸送性物質を含む電荷輸送性材料。
- 請求項4記載の電荷輸送性物質と、有機溶媒とを含む電荷輸送性ワニス。
- さらにドーパント物質を含む請求項6記載の電荷輸送性ワニス。
- 前記ドーパント物質が、ハロテトラシアノキノジメタン化合物を含む請求項7記載の電荷輸送性ワニス。
- 前記ドーパント物質が、さらにヘテロポリ酸を含む請求項8記載の電荷輸送性ワニス。
- 請求項6〜9のいずれか1項記載の電荷輸送性ワニスを用いて作製される電荷輸送性薄膜。
- 請求項10記載の電荷輸送性薄膜を有する電子デバイス。
- 請求項10記載の電荷輸送性薄膜を有する有機エレクトロルミネッセンス素子。
- 請求項6〜9のいずれか1項記載の電荷輸送性ワニスを基材上に塗布し、溶媒を蒸発させることを特徴とする電荷輸送性薄膜の製造方法。
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