JP6673785B2 - 固体電解質組成物、固体電解質含有シートおよび全固体二次電池ならびに固体電解質含有シートおよび全固体二次電池の製造方法 - Google Patents

固体電解質組成物、固体電解質含有シートおよび全固体二次電池ならびに固体電解質含有シートおよび全固体二次電池の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、固体電解質組成物、固体電解質含有シートおよび全固体二次電池ならびに固体電解質含有シートおよび全固体二次電池の製造方法に関する。
リチウムイオン二次電池は、負極と、正極と、負極及び正極の間に挟まれた電解質とを有し、両極間にリチウムイオンを往復移動させることにより充放電を可能とした蓄電池である。リチウムイオン二次電池には、従来、電解質として有機電解液が用いられてきた。しかし、有機電解液は液漏れを生じやすく、また、過充電または過放電により電池内部で短絡が生じ発火するおそれもあり、信頼性と安全性のさらなる向上が求められている。
このような状況下、有機電解液に代えて、無機固体電解質を用いた全固体二次電池が注目されている。全固体二次電池は負極、電解質および正極のすべてが固体からなり、有機電解液を用いた電池の課題とされる安全性ないし信頼性を大きく改善することができ、また長寿命化も可能になるとされる。さらに、全固体二次電池は、電極と電解質を直接並べて直列に配した構造とすることができる。そのため、有機電解液を用いた二次電池に比べて高エネルギー密度化が可能となり、電気自動車や大型蓄電池等への応用が期待されている。
上記のような各利点から、次世代のリチウムイオン電池として全固体二次電池の開発が進められている。例えば、特許文献1には、硫化物固体電解質材料と、3級アミン;エーテル;チオール;エステル基の炭素原子に結合した炭素数3以上の官能基およびエステル基の酸素原子に結合した炭素数4以上の官能基を有するエステル;ならびにエステル基の炭素原子に結合したベンゼン環を有するエステルの少なくとも1つからなる分散媒とを含有するスラリーを用いる全固体電池の製造方法が記載されている。また、特許文献2には、第一の溶媒と、第一の溶媒よりも沸点の高い第二の溶媒を用いたスラリーを用いて固体電解質層又は電極活物質層を形成することを含む全固体電池の製造方法が記載されている。
特開2012−212652号公報 特開2012−243472号公報
近年、全固体二次電池の開発が急速に進行している。開発の進行とともに、抵抗の抑制、サイクル特性の向上等、全固体二次電池の性能に対する要求が高まっている。このような要求に応えるべく本発明者らが検討を重ねた結果、全固体二次電池を構成する各層において、無機固体電解質等の固体粒子の分布の均一性を高め、また固体粒子間の結着性を高めることが、全固体二次電池の抵抗を抑制し、またサイクル特性を向上させる上で重要な要素であることが明らかとなってきた。
本発明は、全固体二次電池の固体電解質層または電極層の形成に用いることにより、各層における固体粒子の分布の均一性と固体粒子間の結着性を所望のレベルに高めることができ、結果、全固体二次電池の抵抗の効果的な抑制と優れたサイクル特性を実現することができる固体電解質組成物を提供することを課題とする。また本発明は、この固体電解質組成物を用いた固体電解質含有シートおよびこの固体電解質含有シートを用いた全固体二次電池を提供することを課題とする。また、本発明は、この固体電解質組成物を用いた固体電解質含有シートの製造方法および全固体二次電池の製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らはさらに検討した結果、無機固体電解質とその分散媒体とを含有してなる固体電解質組成物において、分散媒体として特定のヘテロ環化合物を用いることにより、固体粒子が沈降せず分散性を向上させること(分散安定性を向上させること)ができること、この固体電解質組成物を用いて形成した固体電解質含有シートが、固体粒子の分布が均一で、固体粒子間の結着性に優れ、優れた電気伝導度を示すこと、さらに、この固体電解質含有シートを用いた全固体二次電池は電気抵抗が低く、サイクル特性にも優れることを見出した。本発明はこれらの知見に基づきさらに検討を重ね、完成されるに至ったものである。
すなわち、上記の課題は以下の手段により解決された。
<1>周期律表第1族または第2族に属する金属のイオンの伝導性を有する無機固体電解質(A)と、下記式(S−0)または(S−1)で表されるヘテロ環化合物(B)と、LogP値2.0以上の分散媒体(C)とを含有し、分散媒体(C)が、ケトン化合物、アルコール化合物、ハロゲン化合物、炭化水素化合物、芳香族化合物、アミン化合物、エステル化合物またはカーボネート化合物である固体電解質組成物。
Figure 0006673785
式中、αは4〜10員のヘテロ環を示し、X11は酸素原子を示し、Y11およびY12は、各々独立に環α構成原子を示し、R11およびR12は、各々独立に置換基を示し、n1は0または1である。RD0は環α構成原子と結合している置換基を示し、d0は0以上の整数を示す。d0が2以上の場合、複数のRD0は同じでも異なってもよく、隣接する環α構成原子に結合するRD0同士が互いに結合して、環を形成してもよい。ただし、αは5員の芳香族性のヘテロ環ではない。
Figure 0006673785
式中、Y13およびY14は、各々独立に環α構成原子を示し、R13、R14、RD1およびd1は、式(S−0)におけるR11、R12、RD0およびd0とそれぞれ同義である。n2およびn3は、である。αは4〜10員のヘテロ環を示し、X01は、窒素原子、リン原子、硫黄原子、ケイ素原子、ヒ素原子もしくはセレン原子、または、窒素原子、リン原子、硫黄原子、ケイ素原子、ヒ素原子もしくはセレン原子を含有する2価の基を示す。ただし、αは5員の芳香族性のヘテロ環ではない。
<2>ヘテロ環化合物(B)が下記式(S−20)または(S−21)で表される<1>に記載の固体電解質組成物。
Figure 0006673785
式中、βは5〜8員のヘテロ環を示し、X20は酸素原子を示し、Y21およびY22は、各々独立に環β構成原子を示し、R21およびR22は、各々独立に置換基を示す。RD20は、環β構成原子と結合している置換基を示し、d20は0以上6以下の整数を示す。d20が2以上の場合、複数のRD20は同じでも異なってもよく、隣接する環β構成原子に結合するRD20同士が互いに結合して、環を形成してもよい。ただし、βは5員の芳香族性のヘテロ環ではない。
Figure 0006673785
式中、βは5〜8員のヘテロ環を示し、X21は窒素原子、硫黄原子、−NH−または−S(O)−を示し、Y23およびY24は、各々独立に環β構成原子を示し、R23およびR24は各々独立に置換基を示す。RD21は、環β構成原子と結合している置換基を示し、d21は0以上6以下の整数を示す。d21が2以上の場合、複数のRD21は同じでも異なってもよく、隣接する環β構成原子に結合するRD21同士が互いに結合して、環を形成してもよい。ただし、β は5員の芳香族性のヘテロ環を示さない。
<3>ヘテロ環化合物(B)が下記式(S−31)、(S−32)および(S−34)いずれかで表される<2>に記載の固体電解質組成物。
Figure 0006673785
式中、X31 および33は各々独立に、酸素原子、硫黄原子、−NH−または−S(O)−を示し、R31 34 、R 37 および38は各々独立に、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシ基または炭素数2〜3のアルケニル基を示す。
アルキル基、アルコキシ基およびアルケニル基は、フッ素原子、塩素原子および/または臭素原子を有してもよい。
<4>LogP値2.0以上の分散媒体(C)が、炭化水素化合物または芳香族化合物である<1>〜<3>のいずれか1つに記載の固体電解質組成物。
>LogP値2.0以上の分散媒体(C)の30℃における粘度が、0.8mPa・S以上である<1>〜<4>のいずれか1つに記載の固体電解質組成物。
>ヘテロ環化合物(B)に対するLogP値2.0以上の分散媒体(C)の質量比が1:4〜1:100である<>〜<>のいずれか1つに記載の固体電解質組成物。
>ポリマー粒子(D)を含有する<1>〜<>のいずれか1つに記載の固体電解質組成物。
>無機固体電解質(A)が下記式(1)で表される<1>〜<>のいずれか1つに記載の固体電解質組成物。
a1b1c1d1e1 式(1)
式中、LはLi、Na及びKから選択される元素を示す。Mは、B、Zn、Sn、Si、Cu、Ga、Sb、Al及びGeから選択される元素を示す。Aは、I、Br、Cl及びFから選択される元素を示す。a1〜e1は各元素の組成比を示し、a1:b1:c1:d1:e1は1〜12:0〜5:1:2〜12:0〜10を満たす。
>活物質(E)を含有する<1>〜<>のいずれか1つに記載の固体電解質組成物。
10>活物質(E)が金属酸化物である<>に記載の固体電解質組成物。
11<1>〜<10>のいずれか1つに記載の固体電解質組成物で形成した層を有する固体電解質含有シートであって、
層中におけるヘテロ環化合物(B)の含有量が1ppm以上10000ppm以下である固体電解質含有シート。
<12>正極活物質層、負極活物質層および固体電解質層を具備する全固体二次電池であって、
正極活物質層、負極活物質層および固体電解質層の少なくとも1つの層が、<11>に記載の固体電解質含有シートである全固体二次電池。
13> <1>〜<10>のいずれか1つに記載の固体電解質組成物を基材上に適用し、製膜する工程を含む固体電解質含有シートの製造方法。
14> <13>に記載の製造方法を介して、全固体二次電池を製造する全固体二次電池の製造方法。
本明細書において、「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
本明細書において、単に「アクリル」又は「(メタ)アクリル」と記載するときは、メタアクリル及び/又はアクリルを意味する。また、単に「アクリロイル」又は「(メタ)アクリロイル」と記載するときは、メタアクリロイル及び/又はアクリロイルを意味する。
本発明の固体電解質組成物は分散安定性に優れ、全固体二次電池の固体電解質層ないし電極層の形成に用いることにより固体粒子の分布の均一性と固体粒子間の結着性を効果的に高めることができ、得られる全固体二次電池の抵抗を抑制し、またサイクル特性の向上を実現することができる。また、本発明の固体電解質含有シートは、層中の固体粒子の分布の均一性と固体粒子間の結着性に優れ、固体粒子間における優れたイオン伝導性を実現できる。また、本発明の全固体二次電池は、抵抗が低く、サイクル特性にも優れる。さらに、本発明の固体電解質含有シートの製造方法および全固体二次電池の製造方法によれば、上記特性を有する本発明の固体電解質含有シートおよび全固体二次電池を製造することができる。
本発明の好ましい実施形態に係る全固体二次電池を模式化して示す縦断面図である。 実施例で作製した全固体二次電池(コイン電池)を模式的に示す縦断面図である。
<好ましい実施形態>
図1は、本発明の好ましい実施形態に係る全固体二次電池(リチウムイオン二次電池)を模式化して示す断面図である。本実施形態の全固体二次電池10は、負極側からみて、負極集電体1、負極活物質層2、固体電解質層3、正極活物質層4、正極集電体5を、この順に有する。各層はそれぞれ接触しており、積層した構造をとっている。このような構造を採用することで、充電時には、負極側に電子(e)が供給され、そこにリチウムイオン(Li)が蓄積される。一方、放電時には、負極に蓄積されたリチウムイオン(Li)が正極側に戻され、作動部位6に電子が供給される。図示した例では、作動部位6に電球を採用しており、放電によりこれが点灯するようにされている。本発明の固体電解質組成物は、上記負極活物質層、正極活物質層、固体電解質層の成形材料として好ましく用いることができる。また、本発明の固体電解質含有シートは、上記負極活物質層、正極活物質層、固体電解質層として好適である。
本明細書において、正極活物質層(以下、正極層とも称す。)と負極活物質層(以下、負極層とも称す。)をあわせて電極層または活物質層と称することがある。
正極活物質層4、固体電解質層3、負極活物質層2の厚さは特に限定されない。なお、一般的な電池の寸法を考慮すると、10〜1,000μmが好ましく、20μm以上500μm未満がより好ましい。本発明の全固体二次電池においては、正極活物質層4、固体電解質層3および負極活物質層2の少なくとも1層の厚さが、50μm以上500μm未満であることがさらに好ましい。
<固体電解質組成物>
本発明の固体電解質組成物は、周期律表第1族または第2族に属する金属のイオンの伝導性を有する無機固体電解質(A)と、後述の式(S−0)または(S−1)で表されるヘテロ環化合物(B)とを含有する。
以下、例えば、「無機固体電解質(A)」を「無機固体電解質」のように、本発明の固体電解質組成物に含有される成分または含有され得る成分を、符号を付さずに記載することがある。
(無機固体電解質(A))
無機固体電解質とは、無機の固体電解質のことであり、固体電解質とは、その内部においてイオンを移動させることができる固体状の電解質のことである。主たるイオン伝導性材料として有機物を含むものではないことから、有機固体電解質(ポリエチレンオキシド(PEO)などに代表される高分子電解質、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(LiTFSI)などに代表される有機電解質塩)とは明確に区別される。また、無機固体電解質は定常状態では固体であるため、通常カチオンおよびアニオンに解離または遊離していない。この点で、電解液やポリマー中でカチオンおよびアニオンが解離または遊離している無機電解質塩(LiPF、LiBF、LiFSI、LiClなど)とも明確に区別される。無機固体電解質は周期律表第1族または第2族に属する金属のイオンの伝導性を有するものであれば特に限定されず電子伝導性を有さないものが一般的である。
本発明において、無機固体電解質は、周期律表第1族または第2族に属する金属のイオン伝導性を有する。上記無機固体電解質は、この種の製品に適用される固体電解質材料を適宜選定して用いることができる。無機固体電解質は(i)硫化物系無機固体電解質と(ii)酸化物系無機固体電解質が代表例として挙げられる。本発明において、活物質と無機固体電解質との間により良好な界面を形成することができるため、硫化物系無機固体電解質が好ましく用いられる。
(i)硫化物系無機固体電解質
硫化物系無機固体電解質は、硫黄原子(S)を含有し、かつ、周期律表第1族または第2族に属する金属のイオン伝導性を有し、かつ、電子絶縁性を有する化合物が好ましい。硫化物系無機固体電解質は、元素として少なくともLi、SおよびPを含有し、リチウムイオン伝導性を有しているものが好ましいが、目的または場合に応じて、Li、SおよびP以外の他の元素を含んでもよい。
本発明の固体電解質組成物は、硫化物系無機固体電解質の中でも、イオン伝導性がより良好なため、下記式(1)で示される組成を満たすリチウムイオン伝導性無機固体電解質を含有することが好ましい。

a1b1c1d1e1 式(1)

式中、LはLi、NaおよびKから選択される元素を示し、Liが好ましい。Mは、B、Zn、Sn、Si、Cu、Ga、Sb、Al及びGeから選択される元素を示す。Aは、I、Br、Cl及びFから選択される元素を示す。a1〜e1は各元素の組成比を示し、a1:b1:c1:d1:e1は1〜12:0〜5:1:2〜12:0〜10を満たす。a1はさらに、1〜9が好ましく、1.5〜7.5がより好ましい。b1は0〜3が好ましく、0〜1がより好ましい。d1はさらに、2.5〜10が好ましく、3.0〜8.5がより好ましい。e1はさらに、0〜5が好ましく、0〜3がより好ましい。
各元素の組成比は、下記のように、硫化物系無機固体電解質を製造する際の原料化合物の配合量を調整することにより制御できる。
硫化物系無機固体電解質は、非結晶(ガラス)であっても結晶化(ガラスセラミックス化)していてもよく、一部のみが結晶化していてもよい。例えば、Li、PおよびSを含有するLi−P−S系ガラス、またはLi、PおよびSを含有するLi−P−S系ガラスセラミックスを用いることができる。
硫化物系無機固体電解質は、例えば硫化リチウム(LiS)、硫化リン(例えば五硫化二燐(P))、単体燐、単体硫黄、硫化ナトリウム、硫化水素、ハロゲン化リチウム(例えばLiI、LiBr、LiCl)及び上記Mであらわされる元素の硫化物(例えばSiS、SnS、GeS)の中の少なくとも2つ以上の原料の反応により製造することができる。
Li−P−S系ガラスおよびLi−P−S系ガラスセラミックスにおける、LiSとPとの比率は、LiS:Pのモル比で、好ましくは60:40〜90:10、より好ましくは68:32〜78:22である。LiSとPとの比率をこの範囲にすることにより、リチウムイオン伝導度を高いものとすることができる。具体的には、リチウムイオン伝導度を好ましくは1×10−4S/cm以上、より好ましくは1×10−3S/cm以上とすることができる。上限は特にないが、1×10−1S/cm以下であることが実際的である。
具体的な硫化物系無機固体電解質の例として、原料の組み合わせ例を下記に示す。たとえばLiS−P、LiS−P−LiCl、LiS−P−HS、LiS−P−HS−LiCl、LiS−LiI−P、LiS−LiI−LiO−P、LiS−LiBr−P、LiS−LiO−P、LiS−LiPO−P、LiS−P−P、LiS−P−SiS、LiS−P−SiS−LiCl、LiS−P−SnS、LiS−P−Al、LiS−GeS、LiS−GeS−ZnS、LiS−Ga、LiS−GeS−Ga、LiS−GeS−P、LiS−GeS−Sb、LiS−GeS−Al、LiS−SiS、LiS−Al、LiS−SiS−Al、LiS−SiS−P、LiS−SiS−P−LiI、LiS−SiS−LiI、LiS−SiS−LiSiO、LiS−SiS−LiPO、Li10GeP12などが挙げられる。ただし、各原料の混合比は問わない。このような原料組成物を用いて硫化物系無機固体電解質材料を合成する方法としては、例えば非晶質化法を挙げることができる。非晶質化法としては、例えば、メカニカルミリング法、溶液法および溶融急冷法を挙げられる。常温での処理が可能になり、製造工程の簡略化を図ることができるからである。
(ii)酸化物系無機固体電解質
酸化物系無機固体電解質は、酸素原子(O)を含有し、かつ、周期律表第1族または第2族に属する金属のイオン伝導性を有し、かつ、電子絶縁性を有する化合物が好ましい。
具体的な化合物例としては、例えばLixaLayaTiO〔xa=0.3〜0.7、ya=0.3〜0.7〕(LLT)、LixbLaybZrzbbb mbnb(MbbはAl、Mg、Ca、Sr、V、Nb、Ta、Ti、Ge、In、Snの少なくとも1種以上の元素でありxbは5≦xb≦10を満たし、ybは1≦yb≦4を満たし、zbは1≦zb≦4を満たし、mbは0≦mb≦2を満たし、nbは5≦nb≦20を満たす。)、Lixcyccc zcnc(MccはC、S、Al、Si、Ga、Ge、In、Snの少なくとも1種以上の元素でありxcは0≦xc≦5を満たし、ycは0≦yc≦1を満たし、zcは0≦zc≦1を満たし、ncは0≦nc≦6を満たす。)、Lixd(Al,Ga)yd(Ti,Ge)zdSiadmdnd(ただし、1≦xd≦3、0≦yd≦1、0≦zd≦2、0≦ad≦1、1≦md≦7、3≦nd≦13)、Li(3−2xe)ee xeeeO(xeは0以上0.1以下の数を表し、Meeは2価の金属原子を表す。Deeはハロゲン原子または2種以上のハロゲン原子の組み合わせを表す。)、LixfSiyfzf(1≦xf≦5、0<yf≦3、1≦zf≦10)、Lixgygzg(1≦xg≦3、0<yg≦2、1≦zg≦10)、LiBO−LiSO、LiO−B−P、LiO−SiO、LiBaLaTa12、LiPO(4−3/2w)(wはw<1)、LISICON(Lithium super ionic conductor)型結晶構造を有するLi3.5Zn0.25GeO、ペロブスカイト型結晶構造を有するLa0.55Li0.35TiOおよびLi0.33La0.55TiO、NASICON(Natrium super ionic conductor)型結晶構造を有するLiTi12、Li1+xh+yh(Al,Ga)xh(Ti,Ge)2−xhSiyh3−yh12(ただし、0≦xh≦1、0≦yh≦1)、ガーネット型結晶構造を有するLiLaZr12(LLZ)等が挙げられる。またLi、P及びOを含むリン化合物も望ましい。例えばリン酸リチウム(LiPO)、リン酸リチウムの酸素の一部を窒素で置換したLiPON、LiPOD(Dは、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zr、Nb、Mo、Ru、Ag、Ta、W、Pt、Au等から選ばれた少なくとも1種)等が挙げられる。また、LiAON(Aは、Si、B、Ge、Al、C、Ga等から選ばれた少なくとも1種)等も好ましく用いることができる。
無機固体電解質の体積平均粒子径は特に限定されないが、0.01μm以上であることが好ましく、0.1μm以上であることがより好ましい。上限としては、100μm以下であることが好ましく、50μm以下であることがより好ましい。なお、無機固体電解質粒子の平均粒子径の測定は、以下の手順で行う。無機固体電解質粒子を、水(水に不安定な物質の場合はヘプタン)を用いて20mLサンプル瓶中で1質量%の分散液を調製する。希釈後の分散試料は、1kHzの超音波を10分間照射し、その直後に試験に使用する。この分散液試料を用い、レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置LA−920(HORIBA社製)を用いて、温度25℃で測定用石英セルを使用してデータ取り込みを50回行い、体積平均粒子径を得る。その他の詳細な条件等は必要によりJISZ8828:2013「粒子径解析−動的光散乱法」の記載を参照する。1水準につき5つの試料を作製しその平均値を採用する。
無機固体電解質の固体電解質組成物中の固形成分における含有量は、全固体二次電池に用いたときの界面抵抗の低減と低減された界面抵抗の維持を考慮したとき、固形成分100質量%において、5質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましく、20質量%以上であることが特に好ましい。上限としては、同様の観点から、99.9質量%以下であることが好ましく、99.5質量%以下であることがより好ましく、99質量%以下であることが特に好ましい。
上記無機固体電解質は、1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、本明細書において固形分(固形成分)とは、窒素雰囲気下140℃で6時間乾燥処理を行ったときに、揮発ないし蒸発して消失しない成分をいう。典型的には、後述のヘテロ環化合物(B)及び分散媒体以外の成分を指す。
(ヘテロ環化合物(B))
本発明の固体電解質組成物は、下記式(S−0)または(S−1)で表されるヘテロ環化合物(B)を含有し、式(S−1)で表わされるヘテロ環化合物を含有することが好ましい。
Figure 0006673785
式中、αはヘテロ環を示し、X11は酸素原子を示し、Y11およびY12は、各々独立に環α構成原子を示し、R11およびR12は、各々独立に置換基を示し、n1は0または1である。RD0は環α構成原子と結合している置換基を示し、d0は0以上の整数を示す。d0が2以上の場合、複数のRD0は同じでも異なってもよく、隣接する環α構成原子に結合するRD0同士が互いに結合して、環を形成してもよい。
環αは、脂肪族性でも芳香族性のヘテロ環でもよいが、4〜10員環が好ましく、5〜8員環がさらに好ましく、5〜6員環が特に好ましい。
11およびY12は、炭素原子が好ましい。
11、Y11およびY12以外の環α構成原子としては、炭素原子および酸素原子が好ましく挙げられ、炭素原子がより好ましい。
環αとしては、具体的には、オキセタン環、フラン環、ジオキソラン環、テトラヒドロフラン環、ピラン環、テトラヒドロピラン環、1,3−ジオキサン環、1,4−ジオキサン環、ヘキサメチレンオキシド環、オキシシクロヘプタトリエン環が好ましく挙げられ、フラン環またはテトラヒドロフラン環がより好ましい。
d0は、環αの環員数をmαとすると、0≦d0≦2(mα−1)−1−n1を満たす整数であり、0〜8の整数が好ましい。
n1は1が好ましい。
11およびR12で示される置換基は特に制限されないが、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、アルキル基(炭素数は1〜24が好ましく、1〜12がより好ましく、1〜6がさらに好ましい。)、アルケニル基(炭素数は2〜12が好ましく、2〜6がより好ましい。)、アリール基(炭素数は6〜22が好ましく、6〜14がより好ましい。)、アラルキル基(炭素数は7〜23が好ましく、7〜15がより好ましい。)、アリールオキシ基(炭素数は6〜22が好ましく、6〜14がより好ましく、6〜10が特に好ましい。)、アラルキルオキシ基(炭素数は7〜23が好ましく、7〜15がより好ましく、7〜11が特に好ましい。)、アルキルオキシアルキル基(炭素数は2〜24が好ましく、2〜12がより好ましく、2〜6が特に好ましい。)、アルコキシ基(炭素数は1〜24が好ましく、1〜12がより好ましく、1〜2がさらに好ましく、1が特に好ましい。)、ヒドロキシ基、アミノ基(炭素数は0〜8が好ましく、1〜6がさらに好ましく、2〜4が特に好ましい。)、カルボキシ基、スルホン酸基、オキソ基(=O)が好ましい。なかでもフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシ基または炭素数2〜3のアルケニル基が好ましく、フッ素原子、塩素原子、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数2〜3のアルケニル基または炭素数1〜2のアルコキシ基がより好ましく、塩素原子、炭素数1〜3のアルキル基または炭素数1〜2のアルコキシ基がさらに好ましく、メチル基、エチル基またはメトキシ基が特に好ましい。なお、R11およびR12は、それぞれ、Y11およびY12と単結合または二重結合を介して結合する。
D0は、環α構成原子と単結合または二重結合を介して結合する。RD0は中でも、アルキル基(炭素数は1〜24が好ましく、1〜12がより好ましく、1〜6が特に好ましい。)、アルケニル基(炭素数は2〜12が好ましく、2〜6がより好ましい。)、アリール基(炭素数は6〜22が好ましく、6〜14がより好ましい。)、アラルキル基(炭素数は7〜23が好ましく、7〜15がより好ましい。)、アルキルオキシ基(炭素数は1〜24が好ましく、1〜12がより好ましく、1〜6が特に好ましい。)、アリールオキシ基(炭素数は6〜22が好ましく、6〜14がより好ましく、6〜10が特に好ましい。)、アラルキルオキシ基(炭素数は7〜23が好ましく、7〜15がより好ましく、7〜11が特に好ましい。)、アルキルオキシアルキル基(炭素数は2〜24が好ましく、2〜12がより好ましく、2〜6が特に好ましい。)、ヒドロキシ基、アミノ基、カルボキシ基、スルホン酸基またはオキソ基(=O)が好ましい。なかでも、炭素数1または2のアルキル基、炭素数2のアルケニル基、炭素数1〜2のアルキルオキシ基、炭素数2〜4のアルキルオキシアルキル基が好ましく、炭素数1〜3のアルキル基または炭素数1〜2のアルコキシ基がさらに好ましく、メチル基、エチル基またはメトキシ基が特に好ましい。
なお、上記R11、R12およびRD0で示される置換基の一部がハロゲン原子(好ましくはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)に置換されているものも好ましい。
複数のRD0が互いに結合して形成する環は特に制限されないが、炭素数6〜12の芳香族環や炭素数3〜12の脂肪族環が好ましい。
Figure 0006673785
式中、Y13およびY14は、各々独立に環α構成原子を示し、R13、R14、RD1およびd1は、式(S−0)におけるR11、R12、RD0およびd0とそれぞれ同義である。n2およびn3は、各々独立に0または1である。αはヘテロ環を示し、X01は、窒素原子、リン原子、硫黄原子、ケイ素原子、ヒ素原子もしくはセレン原子、または、窒素原子、リン原子、硫黄原子、ケイ素原子、ヒ素原子もしくはセレン原子を含有する2価の基を示す。
環αは、脂肪族性でも芳香族性のヘテロ環でもよいが、4〜10員環が好ましく、5〜8員環がさらに好ましく、5〜6員環が特に好ましい。
13およびY14は、各々独立に炭素原子、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、ケイ素原子が好ましく、炭素原子、窒素原子、酸素原子がより好ましく、炭素原子が特に好ましい。
01、Y13およびY14以外の環α構成原子としては、炭素原子、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、ケイ素原子およびセレン原子が好ましく挙げられ、炭素原子、窒素原子、酸素原子がより好ましく、炭素原子および/または窒素原子が特に好ましい。
環αとしては、具体的には、チオフェン環、ピロール環、ピロリン環、ピロリジン環、イミダゾール環、イミダゾリン環、ピラゾール環、ピラゾリン環、ピラゾリジン環、ピリジン環、ピペリジン環、ピラジン環、ピペラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、オキサゾール環、チアゾール環、モルホリン環、チアジン環が好ましく挙げられ、チオフェン環、ピロール環、ピリジン環、ピペリジン環またはピリミジン環がより好ましい。
d1は、環αの環員数をmα2とすると、0≦d1≦2(mα2−1)−n2−n3を満たす整数であり、0〜8の整数が好ましい。
n2およびn3は1が好ましい。
01で示される原子は、窒素原子または硫黄原子が好ましく、窒素原子がより好ましい。
01で示される2価の基としては、−S(=O)−等の硫黄原子を有する2価の基、−SiR−(Rは水素原子、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜3)またはアルキル基(好ましくは炭素数1〜3)を示す。)等のケイ素原子を有する2価の基が好ましい。
上記式(S−0)または(S−1)で表されるヘテロ環化合物(B)は、下記式(S−20)または(S−21)で表されるヘテロ環化合物が好ましく、中でも式(S−21)で表わされるヘテロ環化合物であることがさらに好ましい。ヘテロ環の環を構成するヘテロ原子と結合するヘテロ環構成原子に置換基を有することで、ヘテロ環化合物(B)と無機固体電解質との反応を効果的に抑制し、無機固体電解質のイオン伝導度の低下を効果的に防ぐことができるからである。
Figure 0006673785
式(S−20)において、βは5〜8員のヘテロ環を示し、X20は酸素原子を示し、Y21およびY22は、各々独立に環β構成原子を示し、R21およびR22は、各々独立に置換基を示す。RD20は、環β構成原子と結合している置換基を示し、d20は0以上5以下の整数を示す。d20が2以上の場合、複数のRD20は同じでも異なってもよく、隣接する環β構成原子に結合するRD20同士が互いに結合して、環を形成してもよい。
21およびY22は、それぞれ上記式(S−0)におけるY11およびY12と同義であり、好ましい範囲も同じである。
21およびR22は、フッ素原子、塩素原子、炭素数1〜3のアルキル基または炭素数1〜3のアルコキシ基が好ましい。なかでも塩素原子、炭素数1〜3のアルキル基または炭素数1〜2のアルコキシ基が好ましく、メチル基、エチル基またはメトキシ基が特に好ましい。なお、R21およびR22は、それぞれ、Y11およびY12と単結合または二重結合を介して結合する。
それぞれ上記式(S−0)におけるR11およびR12と同義であり、好ましい範囲も同じである。
また、RD20で示される置換基は、上記式(S−0)におけるRD0で示される置換基と同義であり、好ましい範囲も同じである。
環βは、脂肪族性でも芳香族性のヘテロ環でもよいが、5〜6員環が好ましい。
20、Y21およびY22以外の環β構成原子は、X11、Y11およびY12以外の環α構成原子と同義であり、好ましい範囲も同じである。
環βの具体例としては、環αの具体例が好ましく挙げられる。
d20は、環βの環員数をmβとすると、0≦d20≦2(mβ−3)+2を満たす整数であり、0〜6の整数が好ましい。
Figure 0006673785
式(S−21)において、βは5〜8員のヘテロ環を示し、X21は窒素原子、硫黄原子、−NH−または−S(O)−を示し、Y23およびY24は、各々独立に環β構成原子を示し、R23およびR24は各々独立に置換基を示す。RD21は、環β構成原子と結合している置換基を示し、d21は0以上6以下の整数を示す。d21が2以上の場合、複数のRD21は同じでも異なってもよく、隣接する環β構成原子に結合するRD21同士が互いに結合して、環を形成してもよい。
21は、窒素原子または−NH−が好ましい。
23およびY24は、それぞれ上記式(S−0)におけるY11およびY12と同義であり、好ましい範囲も同じである。
23およびR24は、それぞれ上記式(S−0)におけるR11およびR12と同義であり、好ましい範囲も同じである。
また、RD21で示される置換基は、上記式(S−0)におけるRD0で示される置換基と同義であり、好ましい範囲も同じである。
環βは、脂肪族性でも芳香族性のヘテロ環でもよいが、5〜6員環が好ましい。
21、Y23およびY24以外の環β構成原子は、X01、Y13およびY14以外の環α構成原子と同義であり、好ましい範囲も同じである。
環βの具体例としては、環αの具体例が好ましく挙げられる。
d21は、環βの環員数をmβ2とすると、0≦d21≦2(mβ2−3)+2を満たす整数であり、0〜6の整数が好ましい。
上記式(S−20)または(S−21)で表されるヘテロ環化合物(B)は、低沸点化と無機固体電解質との反応抑制両立のため、下記式(S−31)〜(S−34)いずれかで表されるヘテロ環化合物が好ましく、中でも式(S−31)で表わされるヘテロ環化合物であることが特に好ましい。
Figure 0006673785
式中、X31〜X33は各々独立に、酸素原子、硫黄原子、−NH−または−S(O)−を示し、R31〜R38は各々独立に、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシ基または炭素数2〜3のアルケニル基を示す。
上記R31〜R38におけるアルキル基、アルコキシ基およびアルケニル基は、フッ素原子、塩素原子および/または臭素原子を有してもよい。
31〜X33は、酸素原子、硫黄原子および−NH−がより好ましい。
以下、本発明に用いられるヘテロ環化合物(B)の具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、THFはテトラヒドロフランを表す。
2,5−ジメチルTHF、2−メチルTHF、2−エチルピペリジン、2,6−ジメチルピペリジン、2,5−ジメチルチオフェン、2,6−ルチジン、2,5−ジメトキシTHF、2,5−ジメチルピロール、2,5−ジメチルフラン、チオフェン、2,6−ジクロロピリジン、4,6−ジメチルピリミジン、2−メチルイミダゾール、エチレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクンおよびトリメチレンカーボネート。
(分散媒体(C))
本発明の固体電解質組成物は、無機固体電解質のイオン伝導度をより高く維持するため、LogP値が2以上、好ましくは2.4以上の分散媒体(C)を含むことが好ましい。なお、LogP値はPerkinElmer社製ChemBioDraw(商品名)Version:12.9.2.1076で算出した値である。LogP値の上限は特に制限されないが、10以下が実際的である。
以下、LogP値が2以上の分散媒体(C)を単に「分散媒体(C)」とも称す。このような分散媒体(C)として、ケトン化合物、アルコール化合物、ハロゲン化合物、炭化水素化合物、芳香族化合物、アミン化合物、エステル化合物およびカーボネート化合物が挙げられる。本発明においては、無機固体電解質に対する反応性が低いため、炭化水素化合物および芳香族化合物が好ましく、シクロオクタン、シクロヘプタン、シクロヘキサン、テトラリン、メシチレンが特に好ましい。
ケトン化合物の具体例としては、ジブチルケトン(LogP値:3.18、沸点:186℃)が挙げられる。
アルコール化合物の具体例としては、1−オクタノール(LogP値:2.64、沸点:195℃)が挙げられる。
ハロゲン化合物の具体例としては、1−クロロペンタン(LogP値:2.61、沸点:108℃)、ペルフルオロノナン(LogP値:6.42、沸点:125℃)が挙げられる。
炭化水素化合物は炭素原子、水素原子で構成されている化合物を示し、鎖状であっても環状構造であってもよい。炭素数は3〜24が好ましく、4〜18がより好ましく、6〜12が特に好ましい。二重結合や三重結合を適宜形成していてもよいが、芳香族性を示す場合は炭化水素化合物に含まれない。形成される環としては、5〜8員環が好ましい。炭素数5〜24が好ましく、炭素数6〜12が好ましく、炭素数6〜9が特に好ましい。
炭化水素化合物の具体例としては、シクロヘキサン(LogP値:2.50、沸点:81℃)、シクロヘプタン(LogP値:2.92、沸点:118℃)、シクロオクタン(LogP値:3.34、沸点:149℃)、ヘキサン(LogP値:3.00、沸点:69℃)、ヘプタン(LogP値:3.42、沸点:98℃)、オクタン(LogP値:3.84、沸点:125℃)およびノナン(LogP値:4.25、沸点:151℃)が挙げられる。
芳香族化合物の具体例としては、トルエン(LogP値:2.52、沸点:111℃)、キシレン(LogP値:3.01、沸点:140℃)、メシチレン(LogP値:3.50、沸点:165℃)、テトラリン(LogP値:3.34、沸点:207℃)が挙げられる。
アミン化合物の具体例としては、トリブチルアミン(LogP値:3.97、沸点:216℃)、ジイソプロピルエチルアミン(LogP値:3.99、沸点:127℃)が挙げられる。
エステル化合物の具体例としては、酪酸ブチル(LogP値:2.27、沸点:165℃)が挙げられる。
カーボネート化合物の具体例としては、炭酸ビス(2,2,2-トリフルオロエチル)(LogP値:2.5、沸点:118℃)が挙げられる。
ヘテロ環化合物(B)と分散媒体(C)とは、分散性を良好にするため、後述の質量比で混合したときに混和することが好ましい。
混和とは常温(25℃)常圧(760mmHg)環境下において、複数種の分散媒体がそれぞれ5質量%以上含まれた状態でも均一に混合することを意味する。均一に混合するとは混合後、24時間経過後も透明であり、かつ分離していないことを意味する。また、透明とは、ヘーズメーター(日本電色工業社製、商品名ヘーズメーターNDH4000)で測定した時のヘイズが10mg/L以下であることを意味する。なお、ヘイズメーターの測定条件は、光路長10mmでD65光源を用いてJIS K7136の条件で測定を行う。
ヘテロ環化合物(B)の沸点は特に制限されないが、30℃〜220℃が好ましく、70℃〜130℃がより好ましい。また、分散媒体(C)の沸点は特に制限されないが、60℃〜240℃が好ましく、90℃〜170℃がより好ましい。
本発明に用いられる分散媒体(C)の粘度は特に制限されないが、スラリーである固体電解質組成物中での固形成分の沈降を効果的に抑制するため、30℃において0.8mPa・S以上が好ましく、0.9mPa・S以上がより好ましい。上限に特に制限はないが、1,000,000mPa・S以下が実際的である。本発明に用いられる分散媒体(C)の粘度は、後述の実施例の項に記載の方法により測定することができる。
本発明の固体電解質組成物において、ヘテロ環化合物(B)と分散媒体(C)との質量比は特に制限されないが、ヘテロ環化合物(B)の質量:分散媒体(C)の質量が1:4〜1:100の範囲にあることが好ましく、1:6〜1:50がより好ましく、1:8〜1:30が特に好ましい。この範囲にあることにより、ヘテロ環化合物(B)と無機固体電解質(A)との反応をより抑制しつつ、分散安定性を向上させることができるからである。
なお、ヘテロ環化合物(B)および分散媒体(C)は各々1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。本発明に用いられるヘテロ環化合物(B)および分散媒体(C)は、例えば市販品を用いることができる。
本明細書において化合物の表示(例えば、化合物と末尾に付して呼ぶとき)については、この化合物そのもののほか、その塩、そのイオンを含む意味に用いる。また、所望の効果を奏する範囲で、置換基を導入するなど一部を変化させた誘導体を含む意味である。
本明細書において置換または無置換を明記していない置換基(連結基についても同様)については、その基に適宜の置換基を有していてもよい意味である。これは置換または無置換を明記していない化合物についても同義である。
(ポリマー粒子(D))
本発明の固体電解質組成物はバインダーを含有してもよく、好ましくはポリマー粒子を含有してもよい。より好ましくはマクロモノマー成分を含有したポリマー粒子を含有してもよい。
本発明で使用するバインダーは、有機ポリマーであれば特に限定されない。
本発明に用いることができるバインダーは、特に制限はなく、例えば、以下に述べる樹脂からなるバインダーが好ましい。
含フッ素樹脂としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリビニレンジフルオリド(PVdF)、ポリビニレンジフルオリドとヘキサフルオロプロピレンとの共重合体(PVdF−HFP)が挙げられる。
炭化水素系熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、スチレンブタジエンゴム(SBR)、水素添加スチレンブタジエンゴム(HSBR)、ブチレンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、ポリブタジエン、ポリイソプレンが挙げられる。
アクリル樹脂としては、各種の(メタ)アクリルモノマー類、(メタ)アクリルアミドモノマー類、およびこれら樹脂を構成するモノマーの共重合体(好ましくは、アクリル酸とアクリル酸メチルとの共重合体)が挙げられる。
また、そのほかのビニル系モノマーとの共重合体(コポリマー)も好適に用いられる。例えば、(メタ)アクリル酸メチルとスチレンとの共重合体、(メタ)アクリル酸メチルとアクリロニトリルとの共重合体、(メタ)アクリル酸ブチルとアクリロニトリルとスチレンとの共重合体が挙げられる。本願明細書において、コポリマーは、統計コポリマーおよび周期コポリマーのいずれでもよく、ブロックコポリマーが好ましい。
その他の樹脂としては例えばポリウレタン樹脂、ポリウレア樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリカーボネート樹脂、セルロース誘導体樹脂等が挙げられる。
その中でも含フッ素樹脂、炭化水素系熱可塑性樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、セルロース誘導体樹脂が好ましく、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂が特に好ましい。
これらは1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
バインダーの形状は特に限定されず、全固体二次電池中において粒子状であっても不定形状であってもよく、粒子状であることが好ましい。
なお、本発明に用いられるバインダーは市販品を用いることができる。また、常法により調製することもできる。
本発明に用いられるバインダーの水分濃度は、100ppm(質量基準)以下が好ましい。
また、本発明に用いられるバインダーは、固体の状態で使用しても良いし、ポリマー粒子分散液またはポリマー溶液の状態で用いてもよい。
本発明に用いられるバインダーの質量平均分子量は5,000以上が好ましく、10,000以上がより好ましく、30,000以上がさらに好ましい。上限としては、1,000,000以下が実質的であるが、この範囲の質量平均分子量を有するバインダーが架橋された態様も好ましい。
−分子量の測定−
本発明においてバインダーの分子量については、特に断らない限り、質量平均分子量をいい、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって標準ポリスチレン換算の質量平均分子量を計測する。測定法としては、基本として下記条件1又は条件2(優先)の方法により測定した値とする。ただし、バインダー種によっては適宜適切な溶離液を選定して用いればよい。
(条件1)
カラム:TOSOH TSKgel Super AWM−H(商品名)を2本つなげる。
キャリア:10mMLiBr/N−メチルピロリドン
測定温度:40℃
キャリア流量:1.0mL/min
試料濃度:0.1質量%
検出器:RI(屈折率)検出器
(条件2)優先
カラム:TOSOH TSKgel Super HZM−H(商品名)、TOSOH TSKgel Super HZ4000(商品名)、TOSOH TSKgel Super HZ2000(商品名)をつないだカラムを用いる。
キャリア:テトラヒドロフラン
測定温度:40℃
キャリア流量:1.0mL/min
試料濃度:0.1質量%
検出器:RI(屈折率)検出器
バインダーの固体電解質組成物中での含有量は、全固体二次電池に用いたときの界面抵抗の低減と低減された界面抵抗の維持を考慮すると、固形成分100質量%において、0.01質量%以上が好ましく、0.1質量%以上がより好ましく、1質量%以上がさらに好ましい。上限としては、電池特性の観点から、10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましく、3質量%以下がさらに好ましい。
本発明では、バインダーの質量に対する、無機固体電解質と活物質の合計質量(総量)の質量比[(無機固体電解質の質量+活物質の質量)/バインダーの質量]は、1,000〜1の範囲が好ましい。この比率はさらに500〜2がより好ましく、100〜10がさらに好ましい。
本発明において、バインダーが分散媒体(C)に対して不溶のポリマー粒子(D)であることが固体電解質組成物の分散安定性の観点から好ましい。ここで、「ポリマー粒子(D)が分散媒体(C)に対して不溶の粒子である」とは、30℃の分散媒体に添加し、24時間静置しても、平均粒子径が5nm以上であることであり、10nm以上が好ましく、30nm以上がより好ましい。
(活物質(E))
本発明の固体電解質組成物は、周期律表第1族又は第2族に属する金属元素のイオンの挿入放出が可能な活物質(E)を含有してもよい。以下、活物質(E)を単に活物質とも称する。
活物質としては、正極活物質及び負極活物質が挙げられ、正極活物質である金属酸化物(好ましくは遷移金属酸化物)、又は、負極活物質である金属酸化物若しくはSn、Si、AlおよびIn等のリチウムと合金形成可能な金属が好ましい。
本発明において、活物質(正極活物質、負極活物質)を含有する固体電解質組成物を、電極用組成物(正極用組成物、負極用組成物)ということがある。
−正極活物質−
本発明の固体電解質組成物が含有してもよい正極活物質は、可逆的にリチウムイオンを挿入および放出できるものが好ましい。その材料は、上記特性を有するものであれば、特に制限はなく、遷移金属酸化物や、有機物、硫黄などのLiと複合化できる元素や硫黄と金属の複合物などでもよい。
中でも、正極活物質としては、遷移金属酸化物を用いることが好ましく、遷移金属元素M(Co、Ni、Fe、Mn、CuおよびVから選択される1種以上の元素)を有する遷移金属酸化物がより好ましい。また、この遷移金属酸化物に元素M(リチウム以外の金属周期律表の第1(Ia)族の元素、第2(IIa)族の元素、Al、Ga、In、Ge、Sn、Pb、Sb、Nb、Bi、Si、PまたはBなどの元素)を混合してもよい。混合量としては、遷移金属元素Mの量(100mol%)に対して0〜30mol%が好ましい。Li/Maのモル比が0.3〜2.2になるように混合して合成されたものが、より好ましい。
遷移金属酸化物の具体例としては、(MA)層状岩塩型構造を有する遷移金属酸化物、(MB)スピネル型構造を有する遷移金属酸化物、(MC)リチウム含有遷移金属リン酸化合物、(MD)リチウム含有遷移金属ハロゲン化リン酸化合物および(ME)リチウム含有遷移金属ケイ酸化合物等が挙げられる。
(MA)層状岩塩型構造を有する遷移金属酸化物の具体例として、LiCoO(コバルト酸リチウム[LCO])、LiNiO(ニッケル酸リチウム)、LiNi0.85Co0.10Al0.05(ニッケルコバルトアルミニウム酸リチウム[NCA])、LiNi1/3Co1/3Mn1/3(ニッケルマンガンコバルト酸リチウム[NMC])、LiNi0.8Co0.1Mn0.1(ハイニッケル型ニッケルマンガンコバルト酸リチウム[NMC])およびLiNi0.5Mn0.5(マンガンニッケル酸リチウム)が挙げられる。
(MB)スピネル型構造を有する遷移金属酸化物の具体例として、LiMn(LMO)、LiCoMnO4、LiFeMn、LiCuMn、LiCrMnおよびLiNiMnが挙げられる。
(MC)リチウム含有遷移金属リン酸化合物としては、例えば、LiFePOおよびLiFe(PO等のオリビン型リン酸鉄塩、LiFeP等のピロリン酸鉄類、LiCoPO等のリン酸コバルト類ならびにLi(PO(リン酸バナジウムリチウム)等の単斜晶ナシコン型リン酸バナジウム塩が挙げられる。
(MD)リチウム含有遷移金属ハロゲン化リン酸化合物としては、例えば、LiFePOF等のフッ化リン酸鉄塩、LiMnPOF等のフッ化リン酸マンガン塩およびLiCoPOF等のフッ化リン酸コバルト類が挙げられる。
(ME)リチウム含有遷移金属ケイ酸化合物としては、例えば、LiFeSiO、LiMnSiOおよびLiCoSiO等が挙げられる。
本発明では、(MA)層状岩塩型構造を有する遷移金属酸化物が好ましく、LCO又はNMCがより好ましく、NMCが特に好ましい。
正極活物質の形状は特に制限されないが粒子状が好ましい。正極活物質の体積平均粒子径(球換算平均粒子径)は特に限定されない。例えば、0.1〜50μmとすることができる。正極活物質を所定の粒子径にするには、通常の粉砕機や分級機を用いればよい。焼成法によって得られた正極活物質は、水、酸性水溶液、アルカリ性水溶液、有機溶剤にて洗浄した後使用してもよい。正極活物質粒子の体積平均粒子径(球換算平均粒子径)は、レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置LA−920(商品名、HORIBA社製)を用いて測定することができる。
上記正極活物質は、1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
正極活物質層を形成する場合、正極活物質層の単位面積(cm)当たりの正極活物質の質量(mg)(目付量)は特に限定されるものではない。設計された電池容量に応じて、適宜に決めることができる。
正極活物質の、固体電解質組成物中における含有量は、特に限定されず、固形分100質量%において、10〜95質量%が好ましく、30〜90質量%がより好ましく、50〜85質量がさらに好ましく、55〜80質量%が特に好ましい。
−負極活物質−
本発明の固体電解質組成物が含有してもよい負極活物質は、可逆的にリチウムイオンを挿入および放出できるものが好ましい。その材料は、上記特性を有するものであれば、特に制限はなく、炭素質材料、酸化錫等の金属酸化物、酸化ケイ素、金属複合酸化物、リチウム単体およびリチウムアルミニウム合金等のリチウム合金、並びに、Sn、Si、AlおよびIn等のリチウムと合金形成可能な金属等が挙げられる。中でも、炭素質材料又はリチウム複合酸化物が信頼性の点から好ましく用いられる。また、金属複合酸化物としては、リチウムを吸蔵および放出可能であることが好ましい。その材料は、特には制限されないが、構成成分としてチタン及び/又はリチウムを含有していることが、高電流密度充放電特性の観点で好ましい。
負極活物質として用いられる炭素質材料とは、実質的に炭素からなる材料である。例えば、石油ピッチ、アセチレンブラック(AB)等のカーボンブラック、黒鉛(天然黒鉛、気相成長黒鉛等の人造黒鉛等)、及びPAN(ポリアクリロニトリル)系の樹脂やフルフリルアルコール樹脂等の各種の合成樹脂を焼成した炭素質材料を挙げることができる。さらに、PAN系炭素繊維、セルロース系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、気相成長炭素繊維、脱水PVA(ポリビニルアルコール)系炭素繊維、リグニン炭素繊維、ガラス状炭素繊維および活性炭素繊維等の各種炭素繊維類、メソフェーズ微小球体、グラファイトウィスカーならびに平板状の黒鉛等を挙げることもできる。
負極活物質として適用される金属酸化物及び金属複合酸化物としては、特に非晶質酸化物が好ましく、さらに金属元素と周期律表第16族の元素との反応生成物であるカルコゲナイトも好ましく用いられる。ここでいう非晶質とは、CuKα線を用いたX線回折法で、2θ値で20°〜40°の領域に頂点を有するブロードな散乱帯を有するものを意味し、結晶性の回折線を有してもよい。
上記非晶質酸化物及びカルコゲナイドからなる化合物群の中でも、半金属元素の非晶質酸化物、及びカルコゲナイドがより好ましく、周期律表第13(IIIB)族〜15(VB)族の元素、Al、Ga、Si、Sn、Ge、Pb、SbおよびBiの1種単独あるいはそれらの2種以上の組み合わせからなる酸化物、ならびにカルコゲナイドが特に好ましい。好ましい非晶質酸化物及びカルコゲナイドの具体例としては、例えば、Ga、SiO、GeO、SnO、SnO、PbO、PbO、Pb、Pb、Pb、Sb、Sb、SbBi、SbSi、Bi、SnSiO、GeS、SnS、SnS、PbS、PbS、Sb、SbおよびSnSiSが好ましく挙げられる。また、これらは、酸化リチウムとの複合酸化物、例えば、LiSnOであってもよい。
負極活物質はチタン原子を含有することも好ましい。より具体的にはLiTi12(チタン酸リチウム[LTO])がリチウムイオンの吸蔵放出時の体積変動が小さいことから急速充放電特性に優れ、電極の劣化が抑制されリチウムイオン二次電池の寿命向上が可能となる点で好ましい。
本発明においては、Si系の負極を適用することもまた好ましい。一般的にSi負極は、炭素負極(黒鉛およびアセチレンブラックなど)に比べて、より多くのLiイオンを吸蔵できる。すなわち、単位質量あたりのLiイオンの吸蔵量が増加する。そのため、電池容量を大きくすることができる。その結果、バッテリー駆動時間を長くすることができるという利点がある。
負極活物質の形状は特に制限されないが粒子状が好ましい。負極活物質の平均粒子径は、0.1〜60μmが好ましい。所定の粒子径にするには、通常の粉砕機や分級機が用いられる。例えば、乳鉢、ボールミル、サンドミル、振動ボールミル、衛星ボールミル、遊星ボールミルおよび旋回気流型ジェットミルや篩などが好適に用いられる。粉砕時には水、あるいはメタノール等の有機溶媒を共存させた湿式粉砕も必要に応じて行うことができる。所望の粒子径とするためには分級を行うことが好ましい。分級方法としては特に限定はなく、篩、風力分級機などを必要に応じて用いることができる。分級は乾式および湿式ともに用いることができる。負極活物質粒子の平均粒子径は、前述の正極活物質の体積平均粒子径の測定方法と同様の方法により測定することができる。
上記焼成法により得られた化合物の化学式は、測定方法として誘導結合プラズマ(ICP)発光分光分析法、簡便法として、焼成前後の粉体の質量差から算出できる。
上記負極活物質は、1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
負極活物質層を形成する場合、負極活物質層の単位面積(cm)当たりの負極活物質の質量(mg)(目付量)は特に限定されるものではない。設計された電池容量に応じて、適宜に決めることができる。
負極活物質の、固体電解質組成物中における含有量は、特に限定されず、固形分100質量%において、10〜90質量%であることが好ましく、20〜80質量%がより好ましい。
正極活物質および負極活物質の表面は別の金属酸化物で表面被覆されていてもよい。表面被覆剤としてはTi、Nb、Ta、W、Zr、Al、SiまたはLiを含有する金属酸化物等が挙げられる。具体的には、チタン酸スピネル、タンタル系酸化物、ニオブ系酸化物、ニオブ酸リチウム系化合物等が挙げられ、具体的には、LiTi12、LiTi、LiTaO、LiNbO、LiAlO、LiZrO、LiWO、LiTiO、Li、LiPO、LiMoO、LiBO、LiBO、LiCO、LiSiO、SiO、TiO、ZrO、Al、B等が挙げられる。
また、正極活物質または負極活物質を含む電極表面は硫黄またはリンで表面処理されていてもよい。
さらに、正極活物質または負極活物質の粒子表面は、上記表面被覆の前後において活性光線または活性気体(プラズマ等)により表面処理を施されていても良い。
(分散剤)
本発明の固体電解質組成物は分散剤を含有してもよい。分散剤を添加することで電極活物質及び無機固体電解質のいずれかの含有量が多い場合や、粒子径が細かく表面積が増大する場合においてもその凝集を抑制し、均一な活物質層及び固体電解質層を形成することができる。分散剤としては、全固体二次電池に通常使用されるものを適宜選定して用いることができる。一般的には粒子吸着と立体反発および/または静電反発を意図した化合物が好適に使用される。
(リチウム塩)
本発明の固体電解質組成物は、リチウム塩を含有してもよい。
リチウム塩としては、特に制限はなく、例えば、特開2015−088486号公報の段落0082〜0085記載のリチウム塩が好ましい。
リチウム塩の含有量は、無機固体電解質100質量部に対して0質量部以上が好ましく、5質量部以上がより好ましい。上限としては、50質量部以下が好ましく、20質量部以下がより好ましい。
(導電助剤)
本発明の固体電解質組成物は、導電助剤を含有してもよい。導電助剤としては、特に制限はなく、一般的な導電助剤を用いることができる。例えば、電子伝導性材料である、天然黒鉛、人造黒鉛などの黒鉛類、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、ファーネスブラックなどのカーボンブラック類、ニードルコークスなどの無定形炭素、気相成長炭素繊維やカーボンナノチューブなどの炭素繊維類、グラフェンやフラーレンなどの炭素質材料であっても良いし、銅、ニッケルなどの金属粉、金属繊維でも良く、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリフェニレン誘導体など導電性高分子を用いても良い。またこれらの内1種を用いても良いし、2種以上を用いても良い。
(固体電解質組成物の調製)
本発明の固体電解質組成物は、例えば、無機固体電解質(A)をヘテロ環化合物(B)中に分散して、スラリー化することで調製することができる。
スラリー化は、各種の混合機を用いて無機固体電解質(A)と、ヘテロ環化合物(B)とを混合することにより行うことができる。混合装置としては、特に限定されないが、例えば、ボールミル、ビーズミル、プラネタリミキサ―、ブレードミキサ―、ロールミル、ニーダーおよびディスクミルが挙げられる。混合条件は特に制限されないが、例えば、ボールミルを用いた場合、150〜700rpm(rotation per minute)で1時間〜24時間混合することが好ましい。
分散媒体(C)、バインダー、活物質、粒子分散剤等の成分を含有する固体電解質組成物を調製する場合には、上記の無機固体電解質(A)の分散工程と同時に添加及び混合してもよく、別途添加及び混合してもよい。
[全固体二次電池用シート]
本発明の固体電解質含有シートは、周期律表第1族又は第2族に属する金属のイオンの伝導性を有する無機固体電解質(A)と上記式(S−0)または(S−1)で表されるヘテロ環化合物(B)を全質量中1ppm以上10000ppm以下含有する層を有する。
本発明の固体電解質含有シートは、全固体二次電池に好適に用いることができ、その用途に応じて種々の態様を含む。例えば、固体電解質層に好ましく用いられるシート(全固体二次電池用固体電解質シートともいう)、電極又は電極と固体電解質層との積層体に好ましく用いられるシート(全固体二次電池用電極シート)等が挙げられる。本発明において、これら各種のシートをまとめて全固体二次電池用シートということがある。
全固体二次電池用シートは、固体電解質層又は活物質層(電極層)を有するシートで、例えば、基材上に固体電解質層又は活物質層(電極層)を有するシートの態様が挙げられる。この全固体二次電池用シートは、基材と固体電解質層又は活物質層を有していれば、他の層を有してもよいが、活物質を含有するものは後述する全固体二次電池用電極シートに分類される。他の層としては、例えば、保護層、集電体、コート層(集電体、固体電解質層、活物質層)等が挙げられる。
全固体二次電池用固体電解質シートとして、例えば、固体電解質層と保護層とを基材上に、この順で有するシートが挙げられる。
基材としては、固体電解質層を支持できるものであれば特に限定されず、後記集電体で説明した材料、有機材料および無機材料等のシート体(板状体)等が挙げられる。有機材料としては、各種ポリマー等が挙げられ、具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレンおよびセルロース等が挙げられる。無機材料としては、例えば、ガラスおよびセラミック等が挙げられる。
全固体二次電池用シートの固体電解質層の層厚は、上述の、本発明の全固体二次電池において説明した固体電解質層の層厚と同じである。
このシートは、本発明の固体電解質組成物を基材上(他の層を介していてもよい)に製膜(塗布乾燥)して、基材上に固体電解質層を形成することにより、得られる。
ここで、本発明の固体電解質組成物は、上記の方法によって、調製できる。
本発明の全固体二次電池用電極シート(単に「電極シート」ともいう。)は、集電体としての金属箔上に活物質層を有する電極シートである。この電極シートは、通常、集電体及び活物質層を有するシートであるが、集電体、活物質層及び固体電解質層をこの順に有する態様、並びに、集電体、活物質層、固体電解質層及び活物質層をこの順に有する態様も含まれる。
電極シートを構成する各層の層厚は、上述の、本発明の全固体二次電池において説明した各層の層厚と同じである。
電極シートは、本発明の、活物質を含有する固体電解質組成物を金属箔上に製膜(塗布乾燥)して、金属箔上に活物質層を形成することにより、得られる。活物質を含有する固体電解質組成物を調製する方法は、活物質を用いること以外は、上記固体電解質組成物を調製する方法と同じである。
[全固体二次電池]
本発明の全固体二次電池は、正極と、この正極に対向する負極と、正極及び負極の間の固体電解質層とを有する。正極は、正極集電体上に正極活物質層を有する。負極は、負極集電体上に負極活物質層を有する。
負極活物質層、正極活物質層及び固体電解質層の少なくとも1つの層は、本発明の固体電解質組成物を用いて形成されることが好ましい。
固体電解質組成物で形成された活物質層および/または固体電解質層は、好ましくは、含有する成分種及びその含有量比について、固体電解質組成物の固形分におけるものと同じである。
以下に、図1を参照して、ポリマー粒子を用いる、本発明の好ましい実施形態について説明するが、本発明はこれに限定されない。
〔正極活物質層、固体電解質層、負極活物質層〕
全固体二次電池10においては、正極活物質層、固体電解質層及び負極活物質層のいずれかが本発明の固体電解質組成物を用いて形成されている。
すなわち、固体電解質層3が本発明の、ポリマー粒子を含む固体電解質組成物で形成されている場合、固体電解質層3は、無機固体電解質と、ポリマー粒子と、上記式(S−0)または(S−1)で表されるヘテロ環化合物(B)を全質量中1ppm以上10000ppm以下とを含む。固体電解質層は、通常、正極活物質及び/又は負極活物質を含まない。固体電解質層3中では、ポリマー粒子が、無機固体電解質および隣接する活物質層中に含まれる活物質等の固体粒子の間に存在していると考えられる。そのため、固体粒子間の界面抵抗が低減され、結着性が高くなっている。
正極活物質層4及び/又は負極活物質層2が本発明の、ポリマー粒子を含む固体電解質組成物を用いて形成されている場合、正極活物質層4及び負極活物質層2は、それぞれ、正極活物質又は負極活物質を含み、さらに、無機固体電解質と、ポリマー粒子と、上記式(S−0)または(S−1)で表されるヘテロ環化合物(B)を全質量中1ppm以上10000ppm以下とを含む。活物質層が無機固体電解質を含有するとイオン伝導度を向上させることができる。活物質層中には、固体粒子間等に、ポリマー粒子が存在していると考えられる。そのため、固体粒子間の界面抵抗が低減され、結着性が高くなっている。
正極活物質層4、固体電解質層3及び負極活物質層2が含有する無機固体電解質及びポリマー粒子は、それぞれ、互いに同種であっても異種であってもよい。
本発明においては、全固体二次電池における負極活物質層、正極活物質層及び固体電解質層のいずれかの層が、上記無機固体電解質と、上記式(S−0)または(S−1)で表されるヘテロ環化合物(B)とを含有する固体電解質組成物を用いて作製される。このため、固体粒子間の結着性を向上することができ、その結果、全固体二次電池における良好なサイクル特性をも実現できる。
〔集電体(金属箔)〕
正極集電体5及び負極集電体1は、電子伝導体が好ましい。
本発明において、正極集電体及び負極集電体のいずれか、又は、両方を合わせて、単に、集電体と称することがある。
正極集電体を形成する材料としては、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼、ニッケルおよびチタンなどの他に、アルミニウムまたはステンレス鋼の表面にカーボン、ニッケル、チタンあるいは銀を処理させたもの(薄膜を形成したもの)が好ましく、その中でも、アルミニウム、ステンレス鋼およびアルミニウム合金がより好ましい。
負極集電体を形成する材料としては、アルミニウム、銅、銅合金、ステンレス鋼、ニッケルおよびチタンなどの他に、アルミニウム、銅、銅合金またはステンレス鋼の表面にカーボン、ニッケル、チタンあるいは銀を処理させたものが好ましく、アルミニウム、銅、銅合金およびステンレス鋼がより好ましい。
集電体の形状は、通常フィルムシート状のものが使用されるが、ネット、パンチされたもの、ラス体、多孔質体、発泡体、繊維群の成形体なども用いることができる。
集電体の厚みは、特に限定されないが、1〜500μmが好ましい。また、集電体表面は、表面処理により凹凸を付けることも好ましい。
本発明において、負極集電体、負極活物質層、固体電解質層、正極活物質層及び正極集電体の各層の間又はその外側には、機能性の層や部材等を適宜介在ないし配設してもよい。また、各層は単層で構成されていても、複層で構成されていてもよい。
〔筐体〕
上記の各層を配置して全固体二次電池の基本構造を作製することができる。用途によってはこのまま全固体二次電池として使用してもよいが、乾電池の形態とするためにはさらに適当な筐体に封入して用いる。筐体は、金属性のものであっても、樹脂(プラスチック)製のものであってもよい。金属性のものを用いる場合には、例えば、アルミニウム合金およびステンレス鋼製のものを挙げることができる。金属性の筐体は、正極側の筐体と負極側の筐体に分けて、それぞれ正極集電体及び負極集電体と電気的に接続させることが好ましい。正極側の筐体と負極側の筐体とは、短絡防止用のガスケットを介して接合され、一体化されることが好ましい。
[固体電解質含有シートの製造]
本発明の固体電解質含有シートは、本発明の固体電解質組成物を基材上(他の層を介していてもよい)に製膜(塗布乾燥)して、基材上に固体電解質層若しくは活物質層(塗布乾燥層)を形成することにより、得られる。
上記態様により、基材と塗布乾燥層とを有するシートである全固体二次電池用シートを作製することができる。ここで、塗布乾燥層とは、本発明の固体電解質組成物を塗布し、ヘテロ環化合物(B)および分散媒体(C)を乾燥させることにより形成される層をいう。
その他、塗布等の工程については、下記全固体二次電池の製造に記載の方法を使用することができる。
なお、本発明の固体電解質含有シート中のヘテロ環化合物(B)の含有割合は、以下の方法で測定することができる。
固体電解質含有シートを20mm角で打ち抜き、ガラス瓶中で重テトラヒドロフランに浸漬させる。得られた溶出物をシリンジフィルターでろ過してガスクロマトグラフィーにより定量操作を行う。ガスクロマトグラフィーのピーク面積と溶媒の量の相関性は検量線を作成して求める。
[全固体二次電池及び全固体二次電池用電極シートの製造]
全固体二次電池及び全固体二次電池用電極シートの製造は、常法によって行うことができる。具体的には、全固体二次電池及び全固体二次電池用電極シートは、本発明の固体電解質組成物等を用いて、上記の各層を形成することにより、製造できる。以下、詳述する。
本発明の全固体二次電池は、本発明の固体電解質組成物を、集電体となる金属箔上に塗布し、塗膜を形成(製膜)する工程を含む(介する)方法により、製造できる。
例えば、正極集電体である金属箔上に、正極用材料(正極用組成物)として、正極活物質を含有する固体電解質組成物を塗布して正極活物質層を形成し、全固体二次電池用正極シートを作製する。次いで、この正極活物質層の上に、固体電解質層を形成するための固体電解質組成物を塗布して、固体電解質層を形成する。さらに、固体電解質層の上に、負極用材料(負極用組成物)として、負極活物質を含有する固体電解質組成物を塗布して、負極活物質層を形成する。負極活物質層の上に、負極集電体(金属箔)を重ねることにより、正極活物質層と負極活物質層の間に固体電解質層が挟まれた構造の全固体二次電池を得ることができる。必要によりこれを筐体に封入して所望の全固体二次電池とすることができる。
また、各層の形成方法を逆にして、負極集電体上に、負極活物質層、固体電解質層及び正極活物質層を形成し、正極集電体を重ねて、全固体二次電池を製造することもできる。
別の方法として、次の方法が挙げられる。すなわち、上記のようにして、全固体二次電池用正極シートを作製する。また、負極集電体である金属箔上に、負極用材料(負極用組成物)として、負極活物質を含有する固体電解質組成物を塗布して負極活物質層を形成し、全固体二次電池用負極シートを作製する。次いで、これらシートのいずれか一方の活物質層の上に、上記のようにして、固体電解質層を形成する。さらに、固体電解質層の上に、全固体二次電池用正極シート及び全固体二次電池用負極シートの他方を、固体電解質層と活物質層とが接するように積層する。このようにして、全固体二次電池を製造することができる。
また別の方法として、次の方法が挙げられる。すなわち、上記のようにして、全固体二次電池用正極シート及び全固体二次電池用負極シートを作製する。また、これとは別に、固体電解質組成物を基材上に塗布して、固体電解質層からなる全固体二次電池用固体電解質シートを作製する。さらに、全固体二次電池用正極シート及び全固体二次電池用負極シートで、基材から剥がした固体電解質層を挟むように積層する。このようにして、全固体二次電池を製造することができる。
上記の形成法の組み合わせによっても全固体二次電池を製造することができる。例えば、上記のようにして、全固体二次電池用正極シート、全固体二次電池用負極シート及び全固体二次電池用固体電解質シートをそれぞれ作製する。次いで、全固体二次電池用負極シート上に、基材から剥がした固体電解質層を積層した後に、上記全固体二次電池用正極シートと張り合わせることで全固体二次電池を製造することができる。この方法において、固体電解質層を全固体二次電池用正極シートに積層し、全固体二次電池用負極シートと張り合わせることもできる。
(各層の形成(成膜))
固体電解質組成物の塗布方法は、特に限定されず、適宜に選択できる。例えば、塗布(好ましくは湿式塗布)、スプレー塗布、スピンコート塗布、ディップコート、スリット塗布、ストライプ塗布およびバーコート塗布が挙げられる。
このとき、固体電解質組成物は、それぞれ塗布した後に乾燥処理を施してもよいし、重層塗布した後に乾燥処理をしてもよい。乾燥温度は特に限定されない。下限は30℃以上が好ましく、60℃以上がより好ましく、80℃以上がさらに好ましい。上限は、300℃以下が好ましく、250℃以下がより好ましく、200℃以下がさらに好ましい。このような温度範囲で加熱することで、分散媒体を除去し、固体状態にすることができる。また、温度を高くしすぎず、全固体二次電池の各部材を損傷せずに済むため好ましい。これにより、全固体二次電池において、優れた総合性能を示し、かつ良好な結着性を得ることができる。
塗布した固体電解質組成物、又は、全固体二次電池を作製した後に、各層又は全固体二次電池を加圧することが好ましい。また、各層を積層した状態で加圧することも好ましい。加圧方法としては油圧シリンダープレス機等が挙げられる。加圧力としては、特に限定されず、一般的には50〜1500MPaの範囲であることが好ましい。
また、塗布した固体電解質組成物は、加圧と同時に加熱してもよい。加熱温度としては、特に限定されず、一般的には30〜300℃の範囲である。無機固体電解質のガラス転移温度よりも高い温度でプレスすることもできる。
加圧は塗布溶媒又は分散媒体をあらかじめ乾燥させた状態で行ってもよいし、溶媒又は分散媒体が残存している状態で行ってもよい。
なお、各組成物は同時に塗布しても良いし、塗布乾燥プレスを同時および/または逐次行っても良い。別々の基材に塗布した後に、転写により積層してもよい。
加圧中の雰囲気としては、特に限定されず、大気下、乾燥空気下(露点−20℃以下)および不活性ガス中(例えばアルゴンガス中、ヘリウムガス中、窒素ガス中)などいずれでもよい。
プレス時間は短時間(例えば数時間以内)で高い圧力をかけてもよいし、長時間(1日以上)かけて中程度の圧力をかけてもよい。全固体二次電池用シート以外、例えば全固体二次電池の場合には、中程度の圧力をかけ続けるために、全固体二次電池の拘束具(ネジ締め圧等)を用いることもできる。
プレス圧はシート面等の被圧部に対して均一であっても異なる圧であってもよい。
プレス圧は被圧部の面積や膜厚に応じて変化させることができる。また同一部位を段階的に異なる圧力で変えることもできる。
プレス面は平滑であっても粗面化されていてもよい。
(初期化)
上記のようにして製造した全固体二次電池は、製造後又は使用前に初期化を行うことが好ましい。初期化は、特に限定されず、例えば、プレス圧を高めた状態で初充放電を行い、その後、全固体二次電池の一般使用圧力になるまで圧力を開放することにより、行うことができる。
[全固体二次電池の用途]
本発明の全固体二次電池は種々の用途に適用することができる。適用態様には特に限定はないが、例えば、電子機器に搭載する場合、ノートパソコン、ペン入力パソコン、モバイルパソコン、電子ブックプレーヤー、携帯電話、コードレスフォン子機、ページャー、ハンディーターミナル、携帯ファックス、携帯コピー、携帯プリンター、ヘッドフォンステレオ、ビデオムービー、液晶テレビ、ハンディークリーナー、ポータブルCD、ミニディスク、電気シェーバー、トランシーバー、電子手帳、電卓、携帯テープレコーダー、ラジオ、バックアップ電源、メモリーカードなどが挙げられる。その他民生用として、自動車(電気自動車等)、電動車両、モーター、照明器具、玩具、ゲーム機器、ロードコンディショナー、時計、ストロボ、カメラ、医療機器(ペースメーカー、補聴器、肩もみ機など)などが挙げられる。更に、各種軍需用、宇宙用として用いることができる。また、太陽電池と組み合わせることもできる。
本発明の好ましい実施形態によれば、以下のような各応用形態が導かれる。
〔1〕正極活物質層、固体電解質層および負極活物質層の少なくとも1層がリチウム塩を含有する全固体二次電池。
〔2〕固体電解質層が、ヘテロ環化合物(B)および分散媒体(C)によって、リチウム塩および硫化物系無機固体電解質が分散されたスラリーを湿式塗布し製膜される全固体二次電池の製造方法。
〔3〕上記全固体二次電池作製用の活物質を含有する固体電解質組成物。
〔4〕上記固体電解質組成物を金属箔上に適用し、製膜してなる電池用電極シート。
〔5〕上記固体電解質組成物を金属箔上に適用し、製膜する電池用電極シートの製造方法。
上記好ましい実施形態の〔2〕および〔5〕に記載するように、本発明の全固体二次電池および電池用電極シートの好ましい製造方法は、いずれも湿式プロセスである。これにより、正極活物質層および負極活物質層の少なくとも1層における無機固体電解質の含有量が10質量%以下の低い領域でも、活物質と無機固体電解質の密着性が高まり効率的なイオン伝導パスを維持することができ、電池質量あたりのエネルギー密度(Wh/kg)および出力密度(W/kg)が高い全固体二次電池を製造することができる。
全固体二次電池とは、正極、負極、電解質がともに固体で構成された二次電池を言う。換言すれば、電解質としてカーボネート系の溶媒を用いるような電解液型の二次電池とは区別される。このなかで、本発明は無機全固体二次電池を前提とする。全固体二次電池には、電解質としてポリエチレンオキサイド等の高分子化合物を用いる有機(高分子)全固体二次電池と、上記のLi−P−S系ガラス、LLTまたはLLZ等を用いる無機全固体二次電池とに区分される。なお、無機全固体二次電池に有機化合物を適用することは妨げられず、正極活物質、負極活物質、無機固体電解質のバインダーや添加剤として有機化合物を適用することができる。
無機固体電解質とは、上述した高分子化合物をイオン伝導媒体とする電解質(高分子電解質)とは区別されるものであり、無機化合物がイオン伝導媒体となるものである。具体例としては、上記のLi−P−S系ガラス、LLTやLLZが挙げられる。無機固体電解質は、それ自体が陽イオン(Liイオン)を放出するものではなく、イオンの輸送機能を示すものである。これに対して、電解液ないし固体電解質層に添加して陽イオン(Liイオン)を放出するイオンの供給源となる材料を電解質と呼ぶことがある。上記のイオン輸送材料としての電解質と区別する際には、これを「電解質塩」または「支持電解質」と呼ぶ。電解質塩としては、例えばLiTFSIが挙げられる。
本発明において「組成物」というときには、2種以上の成分が均一に混合された混合物を意味する。ただし、実質的に均一性が維持されていればよく、所望の効果を奏する範囲で、一部において凝集や偏在が生じていてもよい。
以下に、実施例に基づき本発明についてさらに詳細に説明する。なお、本発明がこれにより限定して解釈されるものではない。以下の実施例において組成を表す「部」及び「%」は、特に断らない限り質量基準である。また、表中において使用する「−」は、その列の組成を含有しないこと等を意味する。
[実施例および比較例]
<バインダーB−1の合成(バインダーB−1分散液の調製)>
還流冷却管およびガス導入コックを付した1L三口フラスコにヘプタンを200質量部加え、流速200mL/minにて窒素ガスを10分間導入した後に80℃に昇温した。これに、別容器にて調製した液(アクリル酸エチル(和光純薬工業社製)150質量部、片末端メタクリロイル化ポリ−n−ブチルアクリレートオリゴマー(質量平均分子量:13,000、商品名:AB−6、東亜合成化学工業社製)を60質量部(固形分量)、重合開始剤V−601(商品名、和光純薬工業社製)を2.0質量部30℃で1時間混合した液)を2時間かけて滴下した後、80℃で2時間攪拌した。その後、得られた混合物にV−601を1.0g添加し、さらに90℃で2時間攪拌した。得られた溶液をヘプタンで希釈することで、ポリマー粒子であるバインダーB−1の分散液を得た。固形分濃度34.8%、質量平均分子量は123,000であった。
−測定方法−
<固形分濃度の測定方法>
バインダーB−1の分散液の固形分濃度は、下記方法に基づいて、測定した。
7cmΦのアルミカップ内にバインダーB−1の分散液を約1.5g秤量し、少数点第3位までの秤量値を読み取った。続いて窒素雰囲気下90℃で2時間、続いて140℃で2時間加熱し、乾燥させた。得られたアルミカップ内の残存物の質量を測り、下記式により固形分濃度を算出した。測定は、5回行い、最大値及び最小値を除いた、3回の平均を採用した。
固形分濃度(%)=アルミカップ内の残存物量(g)/バインダーB−1の分散液(g)
<硫化物系無機固体電解質の合成>
硫化物系無機固体電解質として、T.Ohtomo,A.Hayashi,M.Tatsumisago,Y.Tsuchida,S.HamGa,K.Kawamoto,Journal of Power Sources,233,(2013),pp.231−235およびA.Hayashi,S.Hama,H.Morimoto,M.Tatsumisago,T.Minami,Chem.Lett.,(2001),pp872−873の非特許文献を参考にして、Li−P−S系ガラスを合成した。
具体的には、アルゴン雰囲気下(露点−70℃)のグローブボックス内で、硫化リチウム(LiS、Aldrich社製、純度>99.98%)2.42g、五硫化二リン(P、Aldrich社製、純度>99%)3.90gをそれぞれ秤量し、乳鉢に投入した。LiS及びPはモル比でLiS:P=75:25とした。メノウ製乳鉢上において、メノウ製乳棒を用いて、5分間混合した。
ジルコニア製45mL容器(フリッチュ社製)に、直径5mmのジルコニアビーズを66g投入し、上記混合物全量を投入し、アルゴン雰囲気下で容器を密閉した。フリッチュ社製遊星ボールミルP−7(商品名)に容器をセットし、25℃で、回転数510rpmで20時間メカニカルミリングを行うことで黄色粉体の硫化物系無機固体電解質(Li−P−S系ガラスLiPS、「LPS」とも称す。)6.20gを得た。体積平均粒子径は15μmであった。
<固体電解質組成物S−1の調製>
ジルコニア製45mL容器(フリッチュ社製)に、直径5mmのジルコニアビーズを180個投入し、上記で合成したLPS4.95g、バインダーB−1分散液を、バインダーB−1(固形成分質量)が0.05gになる量、ヘテロ環化合物(B)を、バインダーB−1分散液のヘプタンとの合計質量が17.0gになる量投入した。その後に、この容器をフリッチュ社製遊星ボールミルP−7にセットし、温度25℃、回転数300rpmで2時間混合を続け、固体電解質組成物S−1を得た。
下記表1に記載の組成に変えた以外は、上記固体電解質組成物S−1と同様の方法で、固体電解質組成物S−2〜S−11、S−13、S−14、S−18〜S−21およびT−1〜T−3を調製した。なお、分散媒体(C)については、表1に記載の質量比となるように添加した。
Figure 0006673785
LPS:上記合成した硫化物系無機固体電解質
B−1:上記合成したバインダー
B−2:水素添加スチレン−ブタジエンゴム(JSR社製商品名DYNARON1321P)[組成物中では非粒子状であった。]
2,5−ジメチルTHF:2,5−ジメチルテトラヒドロフラン
2−メチルTHF:2−メチルテトラヒドロフラン
2,5−ジメトキシTHF:2,5−ジメトキシテトラヒドロフラン
TBA:トリn−ブチルアミン
質量比:ヘテロ環化合物(B)と分散媒体(C)との比(ヘテロ環化合物(B)の質量:分散媒体(C)の質量)
分散媒体はいずれの固体電解質組成物も合計17.0g含有させた。
なお、ヘプタン(*)はバインダーB−1の分散液由来のヘプタンを表す。No.S−5の固体電解質組成物のヘプタンは、バインダー分散液由来のヘプタンと、No.S−5の固体電解質組成物調製時に投入したヘプタンの合計量を表す。S−6、9〜11、14および19の組成物も同様である。
<分散媒体(C)の粘度の測定方法>
ウベローデ粘度計(商品名:ウベローデ粘度計番号2、草野化学社製)を用いて30℃で測定することで分散媒体(C)の粘度を測定した。
<分散安定性(沈降性)の評価>
固体電解質組成物を10mmΦ、高さ8cmのガラス試験管に高さ6cmまで加え、25℃で1時間静置した後に分離した上澄みの高さを測ることで分散安定性を目視で下記評価基準により評価した。評価基準「3」以上が合格である。結果を後記表2に示す。
−評価基準−
5:上澄みの高さ/全量の高さ<0.07
4:0.07≦上澄みの高さ/全量の高さ<0.15
3:0.15≦上澄みの高さ/全量の高さ<0.3
2:0.3≦上澄みの高さ/全量の高さ<0.5
1:0.5≦上澄みの高さ/全量の高さ
[全量:スラリーである固体電解質組成物全量、上澄み:固体電解質組成物の固形成分が沈降して生成した上澄み液]
(全固体二次電池用固体電解質シートの作製例)
上記で得られた各固体電解質組成物を厚み20μmのアルミ箔上に、アプリケーター(商品名:SA−201ベーカー式アプリケーター、テスター産業社製)により塗布し、80℃で2時間加熱し、固体電解質組成物を乾燥させた。その後、ヒートプレス機を用いて、120℃の温度及び600MPaの圧力で10秒間、乾燥させた固体電解質組成物を加熱及び加圧し、各全固体二次電池用固体電解質シートNo.101〜111、113、114、118〜121及びc11〜c13を得た。固体電解質層の膜厚は100μmであった。
作製した全固体二次電池用固体電解質シートについて、以下の試験を行い、結果を後記表2に記載した。なお、表2では、全固体二次電池用固体電解質シートNo.をシートNo.と記載している。
<イオン伝導度の測定>
上記で得られた全固体二次電池用固体電解質シートを直径14.5mmの円板状に切り出し、この全固体二次電池用固体電解質シート12を図2に示す2032型コインケース11に入れた。具体的には、直径15mmの円板状に切り出したアルミ箔(図2に図示しない)を固体電解質層と接触させ、スペーサーとワッシャー(ともに図2において図示しない)を組み込んで、ステンレス製の2032型コインケース11に入れた。2032型コインケース11をかしめることでイオン伝導度測定用治具13を作製した。
上記で得られたイオン伝導度測定用治具を用いて、イオン伝導度を測定した。具体的には、30℃の恒温槽中、SOLARTRON社製 1255B FREQUENCY RESPONSE ANALYZER(商品名)を用いて電圧振幅5mV、周波数1MHz〜1Hzまで交流インピーダンス測定した。これにより試料の膜厚方向の抵抗を求め、下記式(1)により計算して求めた。評価基準「3」以上が合格である。結果を後記表2に示す。
イオン伝導度(mS/cm)=
1000×試料膜厚(cm)/(抵抗(Ω)×試料面積(cm))・・・式(1)
−評価基準−
5:0.4mS/cm以上
4:0.3mS/cm以上0.4mS/cm未満
3:0.2mS/cm以上0.3mS/cm未満
2:0.1mS/cm以上0.2mS/cm未満
1:0.1mS/cm未満
<結着性の評価>
全固体二次電池用固体電解質シートを直径15mmの円板状に切り出し、切り出したシートにおける固体電解質層の表面部(観察領域500μm×500μm)を検査用光学顕微鏡(エクリプスCi(商品名)、ニコン社製)で観察して、固体電解質層の欠けや割れ、ヒビの有無、及び、固体電解質層のアルミ箔(集電体)からの剥がれの有無を、以下の評価基準で評価した。評価基準「2」以上が合格である。結果を後記表2に示す。
−評価基準−
5:欠陥(欠け、割れ、ヒビ、剥がれ)が全く見られなかった。
4:欠陥部分の面積が、観測対象となる全面積のうち0%超20%以下
3:欠陥部分の面積が、観測対象となる全面積のうち20%超40%以下
2:欠陥部分の面積が、観測対象となる全面積のうち40%超70%以下
1:欠陥部分の面積が、観測対象となる全面積のうち70%超
Figure 0006673785
表2から明らかなように、本発明の規定を満たさない固体電解質組成物は分散安定性が不合格であった。また、本発明の規定を満たさない固体電解質組成物から形成した全固体二次電池用固体電解質シートは、結着性が不合格であった。なお、無機固体電解質は、THFに対する溶解性が低いため、No.c13において結着性が不合格であったと考えられる。さらに、No.c11およびc13では、イオン伝導度が不合格であった。
これに対して、本発明の固体電解質組成物はいずれも分散安定性に優れた。また、本発明の固体電解質組成物を用いて形成した全固体二次電池用固体電解質シートは、イオン伝導度および結着性が合格であった。
<正極用組成物U−1の調製>
ジルコニア製45mL容器(フリッチュ社製)に、直径5mmのジルコニアビーズを180個投入し、LPSを2.9g、バインダーB−1分散液を、バインダーB−1(固形成分質量)が0.1gになる量、ヘテロ環化合物(B)を、バインダーB−1分散液のヘプタンとの合計質量が22gになる量投入した。その後に、フリッチュ社製遊星ボールミルP−7(商品名)に容器をセットし、25℃で、回転数300rpmで2時間攪拌した。その後、活物質としてNMC(日本化学工業社製)7.0gを投入し、同様に、遊星ボールミルP−7に容器をセットし、25℃、回転数100rpmで15分間混合を続け、正極用組成物U−1を得た。
下記表3に記載の組成に変えた以外は、上記正極用組成物U−1と同様の方法で、正極用組成物U−2〜U−11およびV−1〜V−3を調製した。
Figure 0006673785
<表の注>
NMC:LiNi1/3Co1/3Mn1/3(ニッケルマンガンコバルト酸リチウム)
LPS:上記合成した硫化物系無機固体電解質
B−1:上記合成したバインダー
B−2:水素添加スチレン−ブタジエンゴム(JSR社製商品名DYNARON1321P)
2,5−ジメチルTHF:2,5−ジメチルテトラヒドロフラン
2−メチルTHF:2−メチルテトラヒドロフラン
TBA:トリn−ブチルアミン
質量比:ヘテロ環化合物(B)と分散媒体(C)との比(ヘテロ環化合物(B)の質量:分散媒体(C)の質量)
分散媒体はいずれの固体電解質組成物も合計22g含有させた。
<全固体二次電池用正極シートの作製>
上記で得られた正極用組成物U−1を厚み20μmのアルミ箔上に、ベーカー式アプリケーター(商品名SA−201、テスター産業社製)により塗布し、80℃2時間加熱し、正極用組成物を乾燥させた。その後、ヒートプレス機を用いて、乾燥させた正極用組成物U−1を加熱(80℃)しながら加圧(600MPa、1分)し、膜厚80μmの正極活物質層を有する全固体二次電池用正極シートを作製した。
次いで、得られた正極活物質層上に、固体電解質組成物S−1を、上記ベーカー式アプリケーターにより塗布し、80℃2時間加熱し、固体電解質組成物を乾燥させた。その後、ヒートプレス機を用いて、乾燥させた固体電解質組成物S−1を加熱(80℃)しながら加圧(600MPa、10秒)し、膜厚30μmの固体電解質層を備えた全固体二次電池用正極シートを作製した。
<全固体二次電池の作製>
上記で得られた全固体二次電池用正極シートを直径14.5mmの円板状に切り出し、スペーサーとワッシャーを組み込んだステンレス製の2032型コインケース11に入れ、固体電解質層上に15mmφに切り出したインジウム箔を重ねた。その上にさらにステンレス箔を重ねた後、2032型コインケース11をかしめることで、図2に示す全固体二次電池No.201を作製した。
このようにして製造した全固体二次電池は、図1に示す層構成を有する。
正極活物質層および固体電解質層を形成するための組成物をそれぞれ後記表4の組成物に変えた以外は、全固体二次電池No.201と同様にして、全固体二次電池No.202〜211およびc21〜c23を作製した。
<抵抗の評価>
上記で得られた全固体二次電池の抵抗を東洋システム社製充放電評価装置TOSCAT−3000(商品名)により評価した。充電は電流密度0.1mA/cmで電池電圧が3.6Vに達するまで行なった。放電は電流密度0.2mA/cmで電池電圧が2.5Vに達するまで行った。これを繰り返し、3サイクル目の5mAh/g(活物質質量1g当たりの電気量)放電後の電池電圧を以下の基準で読み取り、抵抗を評価した。電池電圧が高いほど低抵抗であることを示す。評価基準「3」以上が合格である。結果を後記表4に示す。
<評価基準>
5:3.4V以上
4:3.2V以上3.4V未満
3:2.9V以上3.2V未満
2:2.9V未満
1:充放電できず
<放電容量維持率(サイクル特性)の評価>
上記で得られた全固体二次電池の放電容量維持率を東洋システム社製充放電評価装置TOSCAT−3000(商品名)により測定した。充電は電流密度0.1mA/cmで電池電圧が3.6Vに達するまで行った。放電は電流密度0.1mA/cmで電池電圧が2.5Vに達するまで行った。上記条件で3サイクル充放電を繰り返すことで初期化を行った。初期化後1サイクル目の放電容量を100%とし、放電容量維持率が80%に達した際のサイクル数を以下の基準で評価を実施した。評価基準「3」以上が合格である。結果を後記表4に示す。
6:300サイクル以上
5:180サイクル以上300サイクル未満
4:100サイクル以上180サイクル未満
3:60サイクル以上100サイクル未満
2:20サイクル以上60サイクル未満
1:20サイクル未満
Figure 0006673785
<表の注>
分散安定性:正極用組成物の分散安定性を示す。
負極層はインジウム箔である。
各層を構成するシート中のヘテロ環化合物(B)の含有割合は、いずれのシートにおいても、全質量中1ppm以上10000ppm以下であった。なお、含有割合の測定は上述の方法により行った。
表4から明らかなように、本発明の規定を満たさない、No.V−1〜3の正極用組成物はいずれも分散安定性が不合格であった。また、本発明の規定を満たさない正極用組成物および固体電解質組成物を用いて正極層および固体電解質層を形成したNo.c21〜c23の全固体二次電池は、サイクル特性が不合格であった。
これに対して、本発明の規定を満たす、No.U−1〜6、8および9の正極用組成物はいずれも分散安定性に優れた。さらに、本発明の規定を満たす正極用組成物および固体電解質組成物を用いて正極層および固体電解質層を形成したNo.201〜206、208および209の全固体二次電池は、いずれも抵抗およびサイクル特性が合格レベルであった。
特に、No.203と207の結果から、式(S−0)で表されるヘテロ環化合物(B)において、ヘテロ原子と結合するヘテロ環構成原子2つに置換基を有することでより抵抗が抑制され、サイクル特性がより向上したことが分かる。また、No.208と210の結果から、式(S−1)で表されるヘテロ環化合物(B)において、ヘテロ原子と結合するヘテロ環構成原子2つに置換基を有することでより抵抗が抑制され、サイクル特性がさらに向上したことが分かる。
また、No.209の全固体二次電池に対して、No.208の全固体二次電池の結果が優れたのは、式(S−1)で表されるヘテロ環化合物(B)において、ヘテロ原子と結合するヘテロ環構成原子が有するメチル基が塩素原子よりも無機固体電解質との反応性が低いためと考えられる。
表2のシートNo.101〜111、113および114の固体電解質組成物において、LPSに変えてLi0.33La0.55TiOを用いた以外同様にして、試験を実施した。その結果、優れた性能を発揮することを確認した。
また、LPSに変えてLi0.33La0.55TiOを用いた以外は、表4の電池No.201〜211の全固体二次電池と同様にして、作製した全固体二次電池は、優れた性能を発揮することを確認した。
1 負極集電体
2 負極活物質層
3 固体電解質層
4 正極活物質層
5 正極集電体
6 作動部位
10 全固体二次電池
11 2032型コインケース
12 全固体二次電池用シート
13 イオン伝導度測定用治具または全固体二次電池

Claims (14)

  1. 周期律表第1族または第2族に属する金属のイオンの伝導性を有する無機固体電解質(A)と、下記式(S−0)または(S−1)で表されるヘテロ環化合物(B)と、LogP値2.0以上の分散媒体(C)とを含有し、前記分散媒体(C)が、ケトン化合物、アルコール化合物、ハロゲン化合物、炭化水素化合物、芳香族化合物、アミン化合物、エステル化合物またはカーボネート化合物である固体電解質組成物。
    Figure 0006673785
    式中、αは4〜10員のヘテロ環を示し、X11は酸素原子を示し、Y11およびY12は、各々独立に環α構成原子を示し、R11およびR12は、各々独立に置換基を示し、n1は0または1である。RD0は環α構成原子と結合している置換基を示し、d0は0以上の整数を示す。d0が2以上の場合、複数のRD0は同じでも異なってもよく、隣接する環α構成原子に結合するRD0同士が互いに結合して、環を形成してもよい。ただし、αは5員の芳香族性のヘテロ環ではない。
    Figure 0006673785
    式中、Y13およびY14は各々独立に環α2構成原子を示し、R13、R14、RD1およびd1は、式(S−0)におけるR11、R12、RD0およびd0とそれぞれ同義である。n2およびn3は、1である。αは4〜10員のヘテロ環を示し、X01は、窒素原子、リン原子、硫黄原子、ケイ素原子、ヒ素原子もしくはセレン原子、または、窒素原子、リン原子、硫黄原子、ケイ素原子、ヒ素原子もしくはセレン原子を含有する2価の基を示す。ただし、αは5員の芳香族性のヘテロ環ではない。
  2. 前記ヘテロ環化合物(B)が下記式(S−20)または(S−21)で表される請求項1に記載の固体電解質組成物。
    Figure 0006673785
    式中、βは5〜8員のヘテロ環を示し、X20は酸素原子を示し、Y21およびY22は、各々独立に環β構成原子を示し、R21およびR22は、各々独立に置換基を示す。RD20は、環β構成原子と結合している置換基を示し、d20は0以上6以下の整数を示す。d20が2以上の場合、複数のRD20は同じでも異なってもよく、隣接する環β構成原子に結合するRD20同士が互いに結合して、環を形成してもよい。ただし、βは5員の芳香族性のヘテロ環ではない。
    Figure 0006673785
    式中、βは5〜8員のヘテロ環を示し、X21は窒素原子、硫黄原子、−NH−または−S(O)−を示し、Y23およびY24は、各々独立に環β構成原子を示し、R23およびR24は各々独立に置換基を示す。RD21は、環β構成原子と結合している置換基を示し、d21は0以上6以下の整数を示す。d21が2以上の場合、複数のRD21は同じでも異なってもよく、隣接する環β構成原子に結合するRD21同士が互いに結合して、環を形成してもよい。ただし、βは5員の芳香族性のヘテロ環ではない。
  3. 前記ヘテロ環化合物(B)が下記式(S−31)、(S−32)および(S−34)いずれかで表される請求項2に記載の固体電解質組成物。
    Figure 0006673785
    式中、X31およびX33は各々独立に、酸素原子、硫黄原子、−NH−または−S(O)−を示し、R31〜R34、R37およびR38は各々独立に、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシ基または炭素数2〜3のアルケニル基を示す。
    前記アルキル基、前記アルコキシ基および前記アルケニル基は、フッ素原子、塩素原子および/または臭素原子を有してもよい。
  4. 前記LogP値2.0以上の分散媒体(C)が、炭化水素化合物または芳香族化合物である請求項1〜3のいずれか1項に記載の固体電解質組成物。
  5. 前記LogP値2.0以上の分散媒体(C)の30℃における粘度が、0.8mPa・S以上である請求項1〜4のいずれか1項に記載の固体電解質組成物。
  6. 前記ヘテロ環化合物(B)に対する前記LogP値2.0以上の分散媒体(C)の質量比が1:4〜1:100である請求項1〜5のいずれか1項に記載の固体電解質組成物。
  7. ポリマー粒子(D)を含有する請求項1〜6のいずれか1項に記載の固体電解質組成物。
  8. 前記無機固体電解質(A)が下記式(1)で表される請求項1〜7のいずれか1項に記載の固体電解質組成物。
    a1b1c1d1e1 式(1)
    式中、LはLi、Na及びKから選択される元素を示す。Mは、B、Zn、Sn、Si、Cu、Ga、Sb、Al及びGeから選択される元素を示す。Aは、I、Br、Cl及びFから選択される元素を示す。a1〜e1は各元素の組成比を示し、a1:b1:c1:d1:e1は1〜12:0〜5:1:2〜12:0〜10を満たす。
  9. 活物質(E)を含有する請求項1〜8のいずれか1項に記載の固体電解質組成物。
  10. 前記活物質(E)が金属酸化物である請求項9に記載の固体電解質組成物。
  11. 請求項1〜10のいずれか1項に記載の固体電解質組成物で形成した層を有する固体電解質含有シートであって、
    該層中における前記ヘテロ環化合物(B)の含有量が1ppm以上10000ppm以下である固体電解質含有シート。
  12. 正極活物質層、負極活物質層および固体電解質層を具備する全固体二次電池であって、
    前記正極活物質層、前記負極活物質層および前記固体電解質層の少なくとも1つの層が、請求項11に記載の固体電解質含有シートである全固体二次電池。
  13. 請求項1〜10のいずれか1項に記載の固体電解質組成物を基材上に適用し、製膜する工程を含む固体電解質含有シートの製造方法。
  14. 請求項13に記載の製造方法を介して、全固体二次電池を製造する全固体二次電池の製造方法。
JP2016168291A 2016-08-30 2016-08-30 固体電解質組成物、固体電解質含有シートおよび全固体二次電池ならびに固体電解質含有シートおよび全固体二次電池の製造方法 Active JP6673785B2 (ja)

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