JP6684155B2 - 布帛積層体 - Google Patents

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Description

本発明は、布帛積層体、特に、強化繊維を有する布帛を積層した布帛積層体に関する。
CFRP(Carbon Fiber Reinforced Plastic)などの繊維強化複合材を形成するための強化繊維を、例えば縦糸と横糸に用いて織物とした布帛が一般に知られている。このような布帛を複数枚積層して布帛積層体とし、その布帛積層体を成形型内に配置して成形品を得る。例えばRTM(Resin Transfer Molding)などの成形型による成形品成形時には、布帛積層体を成形型で型締めすると共に、場合によって型内を減圧して、型内に樹脂を注入する。この樹脂は、布帛積層体全体に含浸して硬化し、成形後の成形品の形状が保持される。この含浸樹脂をマトリックス樹脂ともいう。
この成形品成形前の布帛積層体は、単に布帛を積層しただけでは、例えば持ち運びのときにばらばらになったり、成形時によれやずれが生じたりしやすい。そのため、成形品成形前の布帛積層体に対して、プリフォームと呼ばれる予備賦形が行われる。この予備賦形には種々の方法があるが、最も一般的には、予備賦形用の型の上に布帛を一枚置いた上からプリフォームパウダーを噴霧し、その上に布帛を重ねてプリフォームパウダーを噴霧することを手作業で繰り返す。このようにして得られた布帛積層体を予備賦形型で型締めして予備賦形を行う。成形型による成形品成形時には、この予備賦形された布帛積層体を用いる。
しかしながら、手作業による予備賦形作業は面倒で、手間もかかる。そこで、例えば下記特許文献1に記載される布帛積層体が提案されている。この布帛積層体では、強化繊維と熱可塑性樹脂或いは熱可塑性繊維とで布帛を構成し、この熱可塑性樹脂或いは熱可塑性繊維の一部を溶融・固化することで布帛積層体の強化繊維の一部を固定する。これにより、持ち運びなどの取扱い性に優れ、成形時のよれやずれが少ない成形品成形前の布帛積層体を提供できるとしている。
特開平5−261849号公報
しかしながら、前述した特許文献1に記載される布帛積層体では、熱可塑性樹脂或いは熱可塑性繊維の溶融温度の管理が難しい。また、積層された複数枚の布帛の全ての布帛で熱可塑性樹脂或いは熱可塑性繊維を簡易な手法で均一に溶融するには、特許文献1に記載されるように、布帛積層体の外周部分に強化繊維の固定部が規制される。予備賦形なしで成形品成形に供される布帛積層体は、成形品成形時に、積層された布帛がずれて欲しくない部分で全ての布帛の固定が行われるべきであり、それは必ずしも布帛積層体の外周部ではない。また、外周部分以外の布帛積層体の任意の位置に強化繊維の固定部を形成するためには、例えば赤外線加熱装置のように、構造が複雑でコストの高い溶融装置が必要となる。また、何よりも、布帛中に熱可塑性樹脂或いは熱可塑性繊維が必須となる。即ち、布帛積層体中の熱可塑性樹脂或いは熱可塑性繊維を溶融する工程そのものに改善の余地がある。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、溶融工程などの複雑な工程を必要とせず、且つ予備賦形が不要で、持ち運びなどの取り扱い性に優れ、成形時の不要なよれやずれが少ない成形品成形前の布帛積層体を提供することにある。
上記目的を達成するため、成形型内に樹脂を注入して成形品を得るにあたり、前記成形型内に予め配置され、繊維強化複合材を形成するための強化繊維を有する布帛を積層してなる布帛積層体において、前記積層された布帛の平面視における規定位置に設けられ、前記積層された全ての布帛が個別の結束手段で結束された結束部を有することを特徴とする。
この構成によれば、成形品成形時に、積層された布帛のずれて欲しくない部分を積層された布帛の平面視における規定位置に設定し、この規定位置で、個別の結束手段により積層された全ての布帛を結束して結束部とする。これにより、予備賦形することなく、持ち運びなどの取り扱い性に優れ、成形時の不要なよれやずれが少ない成形品成形前の布帛積層体を提供することができる。その場合、布帛には熱可塑性樹脂や熱可塑性繊維を必須とせず、また、それらの溶融工程も必要ない。
また、前記結束手段が、繊維状体又は索条体、結束バンド、及び結束具から選択されることを特徴とする。
この構成によれば、身近な部材から結束手段を選択することができ、コストの増加を抑制することができる。
また、前記結束部が、前記成形型に設けられた突起に係合する係合部を有することを特徴とする。
この構成によれば、結束部に設けられた係合部を成形型の突起に係合することで、成形品成形時の成形型に対する不要なずれや移動を抑制することができる。
また、前記結束部は、前記積層された布帛の積層方向一方の端面から他方の端面まで貫通する貫通穴と、前記貫通穴の内周の一部又は全周で前記積層された布帛の積層方向一方の端面から他方の端面まで連続する縫い合わせ構造とを有することを特徴とする。
この構成によれば、繊維状体又は索条体、結束バンドを結束手段として、貫通穴の内周の一部又は全周を縫い合わせて縫い合わせ構造とする。これにより、簡易な方法で、結束部を構成することができる。また、貫通穴を、成形型の突起に係合する係合部とすることもできる。
また、前記貫通穴が前記係合部を兼ねる係合貫通穴であることを特徴とする。
この構成によれば、構成を簡易化することができると共に、成形品成形時の成形型に対する不要なずれや移動を確実に抑制することができる。
また、前記結束手段が、前記成形型による成形品成形時の積層体温度より低い融点の材料で構成されることを特徴とする。
この構成によれば、成形品成形時に結束手段が溶融するので、成形品に結束手段が残存しても目立たず、また製品性状にも大きな影響を与えることがない。
以上説明したように、本発明によれば、予備賦形することなく、簡易な構成により、持ち運びなどの取り扱い性に優れ、成形時のよれやずれが少ない成形品成形前の布帛積層体を提供することができる。従って、予備賦形に係る手間や面倒を回避することができる。また、布帛には熱可塑性樹脂や熱可塑性繊維を必須とせず、それらの溶融工程も必要ない。
本発明の布帛積層体の第1実施形態を示す全体斜視図である。 図1の布帛積層体を成形型で成形した成形品の全体斜視図である。 図1の布帛積層体を成形型内に配置した状態の断面図である。 図1の布帛積層体を成形型内で成形した状態の断面図である。 結束部のない布帛積層体を成形型内に配置した状態の断面図である。 図5の布帛積層体を成形型内で成形した状態の断面図である。 図1の布帛積層体の詳細説明図であり、(A)は詳細斜視図、(B)は断面図である。 図1の布帛積層体の変形例の詳細説明図であり、(A)は詳細斜視図、(B)は断面図である。 本発明の布帛積層体の第2実施形態を示す詳細説明図であり、(A)は詳細斜視図、(B)は断面図である。 本発明の布帛積層体の第3実施形態を示す詳細説明図であり、(A)は詳細斜視図、(B)は断面図である。 図10の布帛積層体の成形型内における使用例を示す断面図である。 本発明の布帛積層体の第4実施形態を示す断面図である。 図12の布帛積層体の変形例を示す断面図である。 本発明の布帛積層体の第5実施形態を示す断面図である。
以下の実施の形態では、本発明を具体化するための装置や方法を例示する。しかしながら、本発明の技術的思想は、構成部品の材質や形状、配置等を下記に特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に技術的範囲内で種々の変更を加えることができる。
以下に、本発明の布帛積層体の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。図1は、本発明の布帛積層体10の第1実施形態を示す全体斜視図、図2は、図1の布帛積層体10を成形型で成形した成形品の全体斜視図である。この実施形態の成形品とは、繊維強化複合材を形成するための強化繊維を含む布帛積層体10の成形品を指す。図示しない成形型を用いた繊維強化複合材の成形品成形は、例えば前述のRTMのように広く一般に周知であるから、ここではその詳細について説明しない。
CFRPのような繊維強化複合材の成形品には、例えば繊維強化複合材の強化繊維を例えば縦糸と横糸に用い、それらを例えば織物のように織って布帛12として用いる。この布帛12を例えば2〜20枚程度積層して布帛積層体10とし、この布帛積層体10を成形型内に配置し、成形型で型締めし、型内に樹脂(マトリックス樹脂)を注入する。注入された樹脂は布帛積層体10全体に含浸して硬化し、繊維強化複合材の成形品が成形される。この実施形態では、予備賦形することなく、布帛積層体10を成形型内に配置して成形品成形を行うことを前提としている。なお、樹脂の含浸効率を上げるために型内を減圧することもある。また、樹脂の注入個所を多数点化することで、成形品の成形所要時間を短縮する技術も開発されている。
例えば図1の布帛積層体10は、四隅の一角が除去された方形のものであり、この布帛積層体10を成形型で成形して、図2のような略方形トレー状の成形品を得る。この成形品は、図2の二点鎖線の位置で切断され、切断された内側の部分だけが製品となり、外側は使用しない。この実施形態では、この製品として使用しない部分の複数位置に結束部14が設けられている。この結束部14は、後段に詳述するように、積層された全ての布帛12を個別の結束手段で結束して構成されるものである。また、結束部14が設けられるのは、積層された布帛12の平面視において予め設定された規定位置である。
図3は、図1の布帛積層体10を成形型16,18内に配置した状態の断面図、図4は、図1の布帛積層体10を成形型16,18内で成形した状態の断面図である。これらの図は、成形型16,18内の布帛積層体10の状態を模式的に表示するものであって、実態の詳細とは異なる。また、例えばRTMで型内を減圧する場合には、型締め状態の成形型16,18の内部は閉じているが、ここでは分かりやすくするために成形型16,18内部の端部を開放している。図1の布帛積層体10では、規定位置に結束部14が設けられているので、成形型16,18による型締め時にも、夫々の布帛12の不要なよれやずれは抑制される。
これに対し、図5は、結束部のない布帛積層体10(予備賦形もなし)を成形型16,18内に配置した状態の断面図、図6は、図5の布帛積層体10を成形型16,18内で成形した状態の断面図である。成形型16,18の型締め前によれやずれのない布帛積層体10も、型締めによって布帛12が不要によれたりずれたりしてしまう。前述した図4では、結束部14によって型締め時の布帛12のよれやずれを抑制できることを模式的に示しているが、実際の型締めでは、積層された布帛12の結束部14以外の部分にはずれが生じる。これは、予備賦形していない布帛積層体10では当然のことであり、布帛12がずれるからこそ布帛積層体10を成形型16,18に沿わせて成形することができるのである。
これらのことから、結束部14は、成形品成形時に布帛12がずれて欲しくない部分に設けるべきであり、従って結束部14を設ける規定位置は成形品成形時に布帛12がずれて欲しくない部分とするのが望ましい。また、図2にも示すように、繊維強化複合材を含む成形品では、強度を均一状態に維持したり、予め設定された強度を確保したりするために、製品として残存しない部分に結束部14を設けることが望ましく、従って製品に残存しない部分、つまり製品領域以外の部分を結束部14形成の規定位置とするのが望ましい。なお、製品として残存してしまう部分、つまり製品領域に結束部14を設けるような場合については後述する。
図7は、図1の布帛積層体10の詳細説明図であり、(A)はその詳細斜視図、(B)はその断面図である。これらの図に示す結束部14では、結束手段として、繊維状体又は索条体20を用いている。これらの繊維状体又は索条体20としては、例えば天然繊維又は合成繊維からなる糸や紐などが挙げられる。この例では、このような繊維状体又は索条体20からなる結束手段で、積層された布帛12の積層方向一方の端面から他方の端面まで連続して、所謂並縫いのように縫い合わせ、これにより積層された全ての布帛12を結束して結束部14としている。また、図8は、図1の布帛積層体10の変形例の詳細説明図であり、(A)はその詳細斜視図、(B)はその断面図である。この例でも、結束手段として、繊維状体又は索条体20を用い、一般にミシンと呼ばれる縫製機で積層された全ての布帛12を縫い合わせて結束し、これを結束部14としている。
図9は、本発明の布帛積層体10の第2実施形態を示す詳細説明図であり、(A)はその詳細斜視図、(B)はその断面図である。この実施形態の布帛積層体10の全体構成は、例えば前述した図1、図2に示すものと同様であり、この実施形態の布帛積層体10に設けられた結束部14による作用は、例えば前述した図3、図4に示すものと同様である。この実施形態の結束部14は、繊維状体又は索条体20を結束手段として用いて、布帛積層体10の広がり方向端部をかがるようにして積層された全ての布帛12を縫い合わせ、これにより積層された全ての布帛12を結束している。更に、この実施形態の結束部14では、結束手段として用いた繊維状体又は索条体20の一部で輪を形成し、これを係合部22としている。この係合部22は、図に二点鎖線で示すように、下側成形型18に設けられた突起22が差し込まれて係合するものであり、例えばこの状態で成形品成形を行えば、係合部22並びに結束部14の成形型18に対する不要なずれや移動を規制することができる。また、この係合部22は、例えばマニピュレータなどを介して搬送時などにも利用することができる。
図10は、本発明の布帛積層体10の第3実施形態を示す詳細説明図であり、(A)はその詳細斜視図、(B)はその断面図である。この実施形態の布帛積層体10の全体構成は、例えば前述した図1、図2に示すものと同様であり、この実施形態の布帛積層体10に設けられた結束部14による作用は、例えば前述した図3、図4に示すものと同様である。この実施形態の結束部14では、積層された布帛12の積層方向一方の端面から他方の端面まで貫通する円形穴(貫通穴)26を形成し、繊維状体又は索条体20を結束手段として用いて円形穴26の内周全周をかがるようにして縫い合わせ、これにより積層された全ての布帛12を結束している。つまり、この縫い合わせ部分が、積層された布帛12の積層方向一方の端面から他方の端面まで連続する縫い合わせ構造となっている。なお、この縫い合わせは、円形穴(貫通穴)26の内周全周でなく、一部だけであってもよい。また、円形穴(貫通穴)26は、既存のポンチなどの工具を用いて形成することができる。
図11は、図10の布帛積層体10の成形型内における使用例を示す断面図である。図11に示す下側成形型18には、成形後の成形品を払い出すためのエジェクタと呼ばれる昇降ピン28が設けられている。この昇降ピン28は、図示しない油圧シリンダなどの駆動手段によって図の上下方向に昇降される。この例では、昇降ピン28の内部にガイドピン(突起)30が配置されている。このガイドピン30は、コイルスプリング32によって図の上方に付勢されており、図示しない上側成形型が当接するとコイルスプリング32の付勢力に抗してガイドピン30が下降するように構成されている。この使用例では、内周が縫い合わされた円形穴26にガイドピン30を挿通して布帛積層体10が位置決めされるようにしている。
つまり、この使用例における図10の布帛積層体10の円形穴(貫通穴)26は、成形型18に設けられたガイドピン(突起)30が差し込まれて係合するものであり、本発明の係合貫通穴として機能する。そして、この状態で成形品成形を行えば、円形穴26並びに結束部14の成形型18に対する不要なずれや移動を規制することができる。ちなみに、成形品成形後は、上側成形型を上昇した後、昇降ピン28が上昇されて、下側成形型18から成形品が払い出される。また、この円形穴26は、前述した第2実施形態と同様に、マニピュレータなどを介して搬送時などにも利用することができる。
図12は、本発明の布帛積層体10の第4実施形態を示す断面図である。この実施形態の布帛積層体10の全体構成は、例えば前述した図1、図2に示すものと同様であり、この実施形態の布帛積層体10に設けられた結束部14による作用は、例えば前述した図3、図4に示すものと同様である。この実施形態の結束部14では、予め設定された規定形状の結束具34を結束手段として用いる。この実施形態の結束具34は、二股のステープル形状であり、積層された布帛12の積層方向一方の端面から他方の端面まで貫通した後、先端部を折り曲げて積層された全ての布帛12を結束し、それを結束部14としている。このようなステープル形状の結束具34としては、例えばステープラーに用いられる金属製のものがある。また、形状は異なるが、樹脂製のものや紙製のものもある。
図13は、図12の布帛積層体10の変形例を示す断面図である。この変形例では、図12に示す結束具34のうち、二股のステープル形状の連結部に円環部36を一体に形成している。従って、この円環部36は、例えばマニピュレータなどを介して搬送時などに利用することができる。
図14は、本発明の布帛積層体10の第5実施形態を示す断面図である。この実施形態の布帛積層体10の全体構成は、例えば前述した図1、図2に示すものと同様であり、この実施形態の布帛積層体10に設けられた結束部14による作用は、例えば前述した図3、図4に示すものと同様である。この実施形態の結束部14では、結束手段として、例えば既存の結束バンド38を用いている。結束バンド38は、一般に可撓性を有する樹脂製であり、周知のように、一端に固定部40が形成されると共にバンド部42の一面にラチェットが形成されている。
そのため、結束バンド38では、バンド部42を固定部40の差し込み穴に差し込むと、差し込み穴内に設けられた係止爪がラチェットに係止してバンド部42の結束長さが固定される。一方、布帛積層体10の広がり方向の規定位置には、前述した図10と同様に、積層された布帛12の積層方向一方の端面から他方の端面まで貫通する円形穴44が貫通穴として形成される。また、この実施形態では、その円形穴44の近傍に、結束バンド38のバンド部42を挿通可能な挿通穴46が、同じく積層された布帛12の積層方向一方の端面から他方の端面まで貫通して形成されている。なお、円形穴44や挿通穴46は、既存のポンチなどの工具を用いて形成することができる。
この実施形態では、例えば図14(A)に示すように、結束バンド38のバンド部42を積層された布帛12の一方の端面側から挿通穴46に差し込んで他方の端面側まで挿通する。次いで、図14(B)に示すように、挿通穴46から突出している結束バンド38のバンド部42を折り返して積層された布帛12の他方の端面側から円形穴44内に差し込み、一方の端面側まで挿通する。そして、図14(C)に示すように、結束バンド38のバンド部42の先端部を固定部40の差し込み穴に差し込み、その先端部を十分に引っ張ることでバンド部42を引き締める。これにより積層された全ての布帛12が結束され、結束部14が形成される。
前述した各実施形態の結束部14は、係合部や貫通穴、係合貫通穴を含めて、繊維強化複合材の成形品としては不要なものである。従って、前述したように、結束部14形成の規定位置は、製品として残存しない部分、つまり製品領域以外の部分に設定するのが望ましい。しかしながら、一方で、例えば布帛12のずれて欲しくない部分が製品領域内にある場合には、その部分を結束部14形成の規定位置に設定しなければならないこともある。そのような場合には、結束手段として、成形型による成形品成形時の積層体温度より低い融点の材料を用い、その材料で結束手段を構成することが挙げられる。
成形品成形時の積層体温度は100℃以上の高温になるので、この成形品成形時の積層体温度より低い融点の材料としては、例えばポリエチレン(融点:約70〜140℃)やポリプロピレン(融点:168℃)などの樹脂材料が挙げられる。これらの材料からなる結束手段を用いれば、成形品成形時に結束手段は溶融してしまう。溶融した結束手段の樹脂は成形品に残存してしまうが、その殆どが布帛積層体10の内部に吸収されて目立たない。また、残存する結束手段の樹脂は、布帛積層体10に含浸されて成形品に残存する樹脂(マトリックス樹脂)に対する容積比が圧倒的に小さいので、製品性状としては特に問題とならない。
このように、前述した実施形態の布帛積層体10では、強化繊維を含む布帛12を積層した布帛積層体10を成形型16,18内に予め配置し、成形型16,18内に樹脂を注入して成形品を得る場合に、積層された布帛12の平面視における規定位置に、積層された全ての布帛12が個別の結束手段で結束された結束部14を設けた。その際、成形品成形時に布帛12のずれて欲しくない部分を規定位置に設定することで、予備賦形することなく、成形時の不要なよれやずれが少ない成形品成形前の布帛積層体10を提供することができる。また、持ち運び時などに布帛12がバラバラになることもないので、取り扱い性に優れる。また、布帛12には熱可塑性樹脂や熱可塑性繊維を必須とせず、それらの溶融工程も必要ないことから、布帛材料の自由度が高まり、溶融工程に伴う問題も回避することができる。

また、繊維状体又は索条体20、結束バンド38、及び結束具34から結束手段を選択することにより、身近な部材で積層された布帛12を結束することができ、コストの増加も抑制することができる。
また、成形型16,18に設けられた突起に係合する係合部22を結束部14に設けることにより、成形品成形時の成形型16,18に対する不要なずれや移動を抑制することができる。
また、積層された布帛12の積層方向一方の端面から他方の端面まで貫通する円形穴(貫通穴)26の内周の一部又は全周で積層された布帛12の積層方向一方の端面から他方の端面まで連続して縫い合わせる。これにより、簡易な方法で結束部14を構成することができると共に、円形穴(貫通穴)26を成形型16,18の突起に係合することで成形品成形時の成形型16,18に対する不要なずれや移動を抑制することもできる。
また、円形穴(貫通穴)26が係合部を兼ねる係合貫通穴とすることにより、構成を簡易化することができると共に、成形品成形時の成形型16,18に対する不要なずれや移動を確実に抑制することができる。
また、成形型16,18による成形品成形時の積層体温度より低い融点の材料で結束手段を構成することにより、成形品成形時に結束手段が溶融し、成形品に結束手段が残存しても目立たず、また製品性状にも大きな影響を与えることがない。
なお、前述の実施形態では、製品として残存しない部分に結束部14を設けることが望ましく、従って製品に残存しない部分、つまり製品領域以外の部分を結束部14形成の規定位置とするのが望ましいとしたが、製品領域に結束部14を設けても差し支えない。
また、前述した結束部14の形態はあくまでも本発明の一例であり、これらに限定されるものではない。また、布帛積層体10の形態、例えば平面形状や積層数なども本発明の一例であり、これらに限定されるものではない。
本発明が上記していない様々な実施の形態等を含むことは勿論である。従って、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当とされる特許請求の範囲に記載された発明特定事項によってのみ定められるものである。
10 布帛積層体
12 布帛
14 結束部
16,18 成形型
20 繊維状体又は索条体(結合手段)
22 係合部
24 突起
26 円形穴(貫通穴、係合貫通穴)
30 ガイドピン(突起)
34 結束具
38 結束バンド

Claims (5)

  1. 成形型内に樹脂を注入して成形品を得るにあたり、前記成形型内に予め配置され、繊維強化複合材を形成するための強化繊維を有する布帛を積層してなる布帛積層体において、
    前記積層された布帛の平面視における規定位置に設けられ、前記積層された全ての布帛が個別の結束手段で結束された結束部を有し、
    前記結束部が、前記成形型に設けられた突起に係合する係合部を有することを特徴とする布帛積層体。
  2. 成形型内に樹脂を注入して成形品を得るにあたり、前記成形型内に予め配置され、繊維強化複合材を形成するための強化繊維を有する布帛を積層してなる布帛積層体において、
    前記積層された布帛の平面視における規定位置に設けられ、前記積層された全ての布帛が個別の結束手段で結束された結束部を有し、
    前記結束手段が、結束バンド、及び結束具から選択されることを特徴とする布帛積層体。
  3. 前記結束部は、
    前記積層された布帛の積層方向一方の端面から他方の端面まで貫通する貫通穴と、
    前記貫通穴の内周の一部又は全周で前記積層された布帛の積層方向一方の端面から他方の端面まで連続する縫い合わせ構造とを有することを特徴とする請求項1又は2に記載の布帛積層体。
  4. 前記貫通穴が前記成形型に設けられた突起に係合する係合部を兼ねる係合貫通穴であることを特徴とする請求項に記載の布帛積層体。
  5. 前記結束手段が、前記成形型による成形品成形時の積層体温度より低い融点の材料で構成されることを特徴とする請求項1乃至の何れか一項に記載の布帛積層体。
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