JP6689028B2 - 鉄筋の継手方法 - Google Patents

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Description

本発明は、鉄筋を延長方向へ連結するための構造と、その鉄筋継手において使用される鉄筋およびスリーブに関するものである。
従来、スリーブを介在させた鉄筋継手としては、鉄筋に雄ネジを刻設するものがあった(特許文献1参照)。しかしながら、鉄筋の先端に直接雄ネジを刻設する場合には、先端部における鉄筋の有効径が小さくなり、鉄筋の強度を低下させる原因となり得ることが予想されるものであった。そこで、雄ネジの刻設を想定したうえで、鉄筋強度を維持させるためには、本来の鉄筋径よりも大きい径の鉄筋を使用し、刻設される雄ネジの谷径が本体の鉄筋径と同程度になるものを使用しなければならず、経済的に好ましいものではなかった。
そこで、最近では、鉄筋先端に拡径部を形成したうえで当該拡径部に雄ネジを刻設するものが提案されている(特許文献2参照)。この技術は、拡径部にねじ山数が6〜9となる雄ネジを刻設するものであり、刻設された雄ネジの谷径が、鉄筋径の1.05〜1.50倍となるものであった。
特開2011−190589号公報 実用新案登録第3160121号公報
しかしながら、前掲の特許文献2に開示される継手は、鉄筋に刻設される雄ネジのねじ山(ピッチ数)が6〜9の範囲となっているため、最大限にスリーブに螺合させたとしても、その数は9となるものであった。そして、継手部分の強度はねじ山の総面積によって左右されるものであるが、この雄ネジのねじ山(ピッチ数)が9よりも少ない状態で螺合される場合には、前記強度はさらに低下することとなるものであった。従って、単に雄ネジをスリーブに螺合させるとしても、鉄筋の強度や連結部の強度が確保され得るものではなかった。
さらに、前掲の従来技術では、連結されるべき鉄筋の軸線が一致している状態であるか否かが明確でなく、スリーブに螺合する際に軸線のずれを修正しなければならず、連結作業現場における継手操作が予想よりも煩雑なものとなっていた。
本発明は、上記諸点にかんがみてなされたものであって、その目的とするところは、鉄筋の強度および連結部の強度が維持させつつ、容易に継手作業を行うことのできる鉄筋継手と、そのための鉄筋およびスリーブを提供することである。
そこで、鉄筋継手にかかる本発明は、連結すべき鉄筋の両端にスリーブを介在させて両鉄筋を連結する鉄筋継手であって、前記両鉄筋は、いずれも先端に該鉄筋の公称断面積に対し1.5倍を超える断面積となるように十分に拡径された拡径部を備えるとともに、有効断面積が該鉄筋の公称断面積に対し1.5倍以上、または/および1ピッチあたりのネジ面積が該鉄筋の公称断面積の20%以上となる雄ネジを該拡径部に刻設しており、前記スリーブは、筒状に形成されるとともに、その内径部には前記雄ネジに螺合する雌ネジが刻設されており、両端から前記両鉄筋の拡径部に刻設した雄ネジが10ピッチ以上螺入できる長さを有していることを特徴とするものである。
上記構成によれば、第1に、拡径部は鉄筋の公称断面積に対して1.5倍を超える断面積を有し、かつ、拡径部に雄ネジを刻設したときの当該雄ネジの有効断面積が1.5倍以上となるように構成されることから、継手に作用する部分(ネジ部)の全領域における断面積が鉄筋径よりも大きくなり、鉄筋および拡径部の強度を十分に保持させることができる。第2に、拡径部の雄ネジとスリーブの雌ネジが10ピッチ以上で螺合することから、継手に作用する荷重を10ピッチ以上のねじ山に分散させることができる。このとき、1ピッチあたりのネジ面積が鉄筋の公称断面積の20%以上であれば、10ピッチによる総面積は2倍となり、継手に作用する荷重に耐えることができる。
ここで、鉄筋の「公称断面積」とは、異形鉄筋のように一様な丸棒でない鉄筋について、示される断面積を意味し、現実の断面積とは異なるが、現実の断面積は公称断面積よりも大きいものである。また、「有効断面積」とは、雄ネジを刻設することによって形成されるネジの山および谷を考慮して算出される断面積であり、ネジ部の有効径を基準に算出されるものである。
また、上記構成の発明おいては、前記スリーブが、炭素鋼によって構成されており、該スリーブに刻設される雌ネジおよび前記拡径部に刻設される雄ネジは、ともにメートルネジで構成することができる。
スリーブを炭素鋼で構成することにより、安価に製造することができ、また、引張強度、圧縮強度およびせん断強度等について計算しやすく、所望強度のスリーブを得ることができる。また、雄ネジおよび雌ネジをメートルネジで刻設することから汎用される加工機による加工が可能となる。この場合のメートルネジは、JISに規格されるような山径および谷径により構成することができ、有効径も規格に沿った状態として形成することができる。なお、メートルネジは、拡径部の外径(ネジの山径)によって決定されることとなるため、拡径部の断面積が前記のように定められるとき、当該拡径部の外径も必然的に決定されることから、鉄筋の公称断面積が定まれば、刻設すべき雄ネジも定まることとなる。また、規格に沿って1ピッチあたりのネジ面積も特定されることから、10ピッチ以上の螺合によるネジ部(螺合部)の強度も想定することができる。
さらに、上記各構成の発明おいて、前記スリーブの少なくとも一方には、前記拡径部の雄ネジに螺合するロックナットによって圧着される構成とすることができる。
このような構成の場合には、ロックナットによる圧着によって、スリーブが回転して螺合状態が緩むことを防止できるのである。「圧着」とは、両部材が固着される状態ではなく、強力に押圧された状態で当接した状態を意味する。両者が、ともに同じ雄ネジに螺合されることから、ロックナットの螺進により押圧力を付与させることができるのである。
前記構成の場合には、さらに、前記ロックナットが、前記拡径部の雄ネジに少なくとも4ピッチで螺合する雌ネジが設けられており、前記拡径部が、前記スリーブとの螺合および前記ロックナットの螺合のための雄ネジが連続して刻設されているように構成してもよい。
上記構成によれば、ロックナットが4ピッチ以上により拡径部の雄ネジに螺合することから、ロックナットに作用する荷重に対し、十分な強度を備えることができる。特に、ロックナットは、スリーブに当接(圧着)されるものであるが、基本的には個別の部材であるから、スリーブとは独立した状態で鉄筋の拡径部に配置することができる。
上記構成の各発明における拡径部は、前記鉄筋の先端を加熱した後に軸線方向へ圧縮することにより膨出させたもの、ヘディング加工によって拡径したもの、または拡径部を該鉄筋の先端に圧接してなるもののいずれかによって構成することができる。
上記のいずれかによって拡径部を形成する場合には、熱間加工または冷間加工によって鉄筋素材をそのまま使用して拡径部を構成させることができるほか、鉄筋連結方法として汎用される圧接技術を用いて所望の材料によって形成した拡径部を鉄筋の先端に構成することができる。圧接により拡径部を鉄筋先端に設ける場合には、当該拡径部には、予め雄ネジを形成させておいてもよく、圧接後に雄ネジを刻設してもよい。また、圧接は、摩擦圧接やガス圧接など、鉄筋の連結のための従来法を使用することができる。なお、これらの圧接や雄ネジ加工は、予め工場内で実施しておくことで、現場での作業をスリーブの螺合による容易な連結方法のみによって、鉄筋を連結させることができる。
さらに、上記構成における前記拡径部の雄ネジは、該拡径部の端面中央に凹部を備えるものであり、前記凹部に位置決め部材が配設されるものであってもよい。
上記構成の場合には、連結すべき鉄筋の先端を所定の状態に配置させるとき、両鉄筋の先端に形成される拡径部の端面が互いに対向することとなり、この端面の凹部の位置を合わせることにより、両鉄筋の軸心を一致させることができる。そこで、前記凹部に位置決め部材を配設することにより、両拡径部の凹部を合わせた状態で鉄筋を配置させることができる。ここで、位置決め部材は、対向して配置される凹部に同時に係入できるものであればよく、例えば、球状のほか、二つの円錐形を底面で合体させた形状とするものでもよい。また、当該位置決め部材は、対向する二つの凹部によって埋没するような大きさで構成してもよく、両凹部にそれぞれ一部を係入させて両拡径部端面に間隙を形成させる大きさに構成してもよい。なお、凹部は、旋盤切削において形成される心出しのための凹部を使用してもよく、別途ポンチ等によって形成してもよい。位置決め部材は、一方の鉄筋の拡径部単縁側に固着してもよいが、端面から分離した個別の部材を使用してもよい。
鉄筋に係る本発明は、前記のいずれかに記載される鉄筋継手に使用するものであって、該鉄筋の公称断面積に対して1.5倍を超える断面積の拡径部と、この拡径部の外周部に、有効断面積が前記鉄筋の公称断面積に対して1.5倍以上の有効断面積を有する10ピッチ以上の雄ネジが刻設された雄ネジ部とを備えることを特徴とするものである。
上記構成の鉄筋によれば、鉄筋の公称断面積よりも十分に大きい断面積を有する拡径部に雄ネジを刻設するものであるから、雄ネジの形成による強度低下の影響を解消することができる。また、拡径部に刻設される雄ネジは、10ピッチ以上としていることから、スリーブとの螺合に際しては、その10ピッチ以上によって螺合させることができる。さらに、ロックナットを使用する場合には、雄ネジは10ピッチにロックナットが螺合できる範囲を加えたピッチ数とすることとなる。このような比較的長尺な拡径部および雄ネジ部であっても、雄ネジの有効断面積が鉄筋の公称断面積の1.5倍以上であるため、曲げ荷重に対する強度も十分に備えることとなる。
また、鉄筋に係る本発明は、前記位置決め部材が配設される構成の鉄筋継手に使用する鉄筋であって、該鉄筋の公称断面積に対して1.5倍を超える断面積を有する拡径部と、旋盤による切削加工により前記拡径部の外周部に10ピッチ以上の雄ネジが刻設された雄ネジ部と、前記拡径部の端面中央に前記旋盤切削加工時に使用する心出し用の凹部とを備えることを特徴とするものである。
このような構成によれば、十分に拡径された拡径部の外周部に、旋盤切削により雄ネジを形成する際、必然的に形成される心出し用の凹部を、位置決め部材の配設のために使用し得ることとなる。
他方、スリーブに係る本発明は、前記各構成の鉄筋継手に使用するものであって、前記雄ネジが両端から10ピッチ以上螺入できる長さを有する筒状のスリーブ本体と、このスリーブ本体の内径部に刻設された雌ネジ部とを備えることを特徴とするものである。
上記構成のスリーブによれば、連結すべき二本の鉄筋の両先端を両側から各10ピッチ以上の螺合状態とすることができ、両鉄筋先端を十分強固に連結することができる。なお、雌ネジは、内径部の全体に連続した状態で刻設されるものであり、雄ネジが各10ピッチ以上螺入することから、雌ネジのピッチ総数は20以上となる。
鉄筋継手に係る本発明によれば、鉄筋の強度および連結部の強度が維持させつつ、容易に継手作業を行うことができる。また、鉄筋に係る本発明によれば、上記継手に使用できる構造を実現し、スリーブに係る本発明によれば、その鉄筋に介在させることができる。
鉄筋継手に係る本発明の実施形態を示す説明図である。 鉄筋の拡径部および雄ネジの形成方法を示す説明図である。 鉄筋の拡径部および雄ネジの形成方法を示す説明図である。 鉄筋継手に係る実施形態による連結の状態を示す説明図である。 鉄筋継手に係る本発明の他の実施形態の連結状態を示す説明図である。 鉄筋継手の使用方法を示す説明図である。 鉄筋継手の使用方法を示す説明図である。 鉄筋継手に使用する鉄筋の形態を示す説明図である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の代表的な実施形態を示す概略図である。この図に示されるように、本実施形態の鉄筋継手は、連結すべき二本の鉄筋1,2の先端にそれぞれ拡径部11,21が形成され、その表面に雄ネジ12,22が刻設されたものと、スリーブ3とで構成されるものである。
拡径部11,21に刻設される雄ネジ12,22は、その有効断面積が、鉄筋1,2の公称断面積の1.5倍以上となるように、当該拡径部11,21の断面積は、予め鉄筋1,2の公称断面積の1.5倍を超えるように拡径加工されるものである。拡径加工とは、詳細は後述するが、鉄筋1,2の先端を膨出させるか、または大きい径の部材を圧接等により接合することである。
また、刻設される雄ネジ12,22は、前記有効断面積を基準とするほか、1ピッチあたりのネジ面積を基準とすることができる。すなわち、1ピッチあたりのネジ面積(ねじ山が形成されている部分の面積)が、鉄筋1,2の公称断面積の20%以上となるようにするのである。このような構成の場合には、10ピッチ相当分の全体によるネジ面積が、鉄筋1,2の公称断面積の2倍以上となり、ネジ山に作用する荷重を当該2倍以上のネジ面積で分散させることにより、強度を維持させることができるのである。なお、雄ネジ12,22がJIS規格によるメートルネジ等の場合には、その有効断面積とネジ面積との間には規則性があるため、いずれか一方を基準に雄ネジ12,22を設ければよいが、規格外の雄ネジ12,22を刻設する場合には、両条件を満たすことが好ましい。
スリーブ3は、筒状(図は円筒状)に形成されており、前述の拡径部11,12に刻設した雄ネジ12,22の螺入を可能にするため、内径部の全域に雌ネジ31が刻設されている。円筒状の外径は、雌ネジの谷径に対し1.3倍以上としている。このように、外径を谷径の1.3倍以上とすることにより、断面積を大きくすることができ、鉄筋1,2に作用する荷重に耐えることができるのである。また、スリーブ3の内部には、両側から雄ネジ12,22を各10ピッチ以上螺入させるために、その長さ寸法が、雄ネジ12,22の10ピッチ相当分以上に設けられる。例えば、雄ネジが前傾のM20である場合、両側から螺入できる範囲として各20mm(合計40mm)が必要となる。さらに、それ以上とするため、例えば、60mmとすることができる。この場合、雄ネジ12,22が、各12ピッチ相当分だけ螺入すると想定すれば、48mmの範囲が使用されることとなる。そして、雄ネジ12,22の先端は中央に到達しないこととなるが、その場合は、スリーブ3の中央付近が空洞状態となるものである。このような空洞状態を形成したとしても、十分な肉厚(断面積)を有することにより、スリーブ3の強度が低下することはない。
なお、スリーブ3を構成するための材料としては、鉄筋1,2と同じ鋳鋼であってもよいが、炭素鋼を使用することができる。炭素鋼は、鉄に炭素が含有する合金であるが、炭素含有量が0.02%〜0.2%の範囲で種々の特性を得ることができる。炭素含有量が0.45%であるS45Cなどの炭素鋼は、汎用性があり、強度も安定していることから、これらを使用することにより安価なスリーブ3を製造することができる。
ところで、本実施形態の鉄筋継手は、ロックナット4,5を備える構成としている。ロックナット4,5は、鉄筋1,2の拡径部11,12に刻設した雄ネジ12,22に螺合するように、内部に雌ネジ41,51が刻設されたものである。このロックナット4,5は、鉄筋1,2の雄ネジ12,22がスリーブ3に螺入した状態(10ピッチ以上の螺入の状態)で、さらに、スリーブ3の両端面30a,30bに向かって螺進させるものである。このロックナット4,5の螺進によって、スリーブ3の両端面30a,30bにロックナット4,5が強力に当接され、圧着した状態となるのである。この状態を図2に示す。
図2に示されるように、ロックナット4,5を雄ネジ12,22に螺合させた状態で両者が圧着することによって、スリーブ3が拡径部11(鉄筋1,2の先端)に強固に接続した(固定した)状態とするのである。すなわち、スリーブ3が回転することによって10ピッチ以上の雄ネジの螺入状態が変化することを抑えるのである。また、同時に、雄ネジ12,22に対しても押圧力が作用することとなり、ネジ間の緩み(バックラッシ等)の発生を解消し、引っ張り方向に対する変位量を小さくすることができるのである。
特に、鉄筋コンクリート構造体を構築する場合に使用されるときには、鉄筋に対する圧縮方向の荷重は少なく、専ら引張荷重が重要となる。そのため、ロックナット4,5により、引っ張り方向へのネジの緩み(バックラッシ等)を解消することにより、強力な継手強度を得ることができるのである。
なお、ロックナット4,5は、前述のような目的で使用するため、スリーブ3のように長尺である必要はなく、せいぜい4ピッチ程度の螺合範囲が設けられればよい。4ピッチ以上とは、圧着状態を維持するためにネジ山の崩壊を考慮して十分な程度であることを意味し、現実には3.5ピッチ程度でも十分である。
以上のような構成の継手を構成するために、鉄筋1,2には、拡径部11,12と、その外周面に雄ネジ12,22を刻設した雄ネジ部が設けられる。また、スリーブ3には、内径部に雌ネジ31が刻設された雌ネジ部が設けられるものである。なお、以下において、雄ネジ12,22が刻設された部分を雄ネジ部12,22と表記し、雌ネジ31が刻設された部分を雌ネジ部31と表記する場合がある。
ここで、拡径加工について説明する。拡径加工には、鉄筋1,2の先端を直接加工して径を拡大させる場合と、大径部材を接合する場合とがある。鉄筋1,2の先端を直接加工する方法としては、例えば、鉄筋1,2の先端を軸線方向に押圧することにより、鉄筋1,2の一部を膨出させるような加工がある。この状態を図3に示す。なお、両鉄筋1,2はいずれも同じ加工によるため一方の鉄筋1についてのみ図示するものとする。
図3(a)に示されるように、当初は先端まで同種の鉄筋素材であったものについて、その所定範囲の先端部分10を軸線方向に押圧することによって、当該先端部分10を膨出させるのである。鉄筋材料を膨出させるためには、加熱した先端に対し、強力に押圧力を付与することにより、変形させるものがある。例えば、本願発明者らが開発した定着鉄筋の製造方法(特開2008−334206号公報参照)に使用されるように、高周波誘導加熱器により加熱した後、軸線方向に圧縮することにより膨出させる方法がある。また、ヘディング加工のように、冷間による鍛造加工によって所定径および所定形状に膨出させる方法がある。
図3(b)は、前記により鉄筋材料を拡径させた状態を示している。この図に示されるように、鉄筋材料の先端部分10は押し縮められる反面、当該部分は周辺に膨出し、外径が拡大した拡径部11が形成されるものである。図は模式的に描いているため、拡径部11を丸棒状に示されているが、現実には表面が歪な形状となる場合がある。
このように形成された拡径部11の表面を切削し、さらにネジ切り加工を施すことにより、図3(c)に示すような雄ネジ12を有する拡径部11を設けることができるのである。従って、ネジ切り加工前の拡径部11は、所定の有効断面積を有する雄ネジ12を設けるために、雄ネジ12のネジ山径よりも大きい径を有するものとしている。
他方、鉄筋1,2とは異なる材料によって製造したものを、圧接等によって接合することによって拡径部11,21を鉄筋1,2の先端に形成することも可能である。この種の拡径加工の状態を図4に示す。圧接等によって拡径部11を鉄筋1の先端に接合し、当該拡径部11に雄ネジ12を形成するために、拡径部11を先ず接合する場合(図4(a)および(b)参照)と、雄ネジ12が刻設された拡径部11を鉄筋1の先端に接合する場合(図4(c)および(d)参照)とがある。
後に雄ネジ12を刻設する場合には、図4(a)に示すように、拡径部11の一端に圧接のための小径部11aの端面11bを形成し、この端面11bを鉄筋1の先端10aの端面10bに当接させ、摩擦圧接またはガス圧接させるのである。そして、図4(b)に示すように、圧接された周辺部分には、材料の一部がバリ11cとなって張り出した状態となるが、拡径部11の本体よりも小径であるため、雄ネジ12の刻設に支障はないものである。なお、雄ネジ12を刻設した状態は図4(d)と同様である。
他方、先に雄ネジ12を刻設した拡径部11を圧接により接合する場合には、図4(c)に示すように、表面に雄ネジ12が刻設された拡径部11と、その一端に設けられた圧接のための小径部11aを備える部材を設け、この小径部11aを前記と同様に鉄筋1に圧接するのである。
このように、圧接により接合する場合、雄ネジ12を有する拡径部11を鉄筋1の先端に圧接する方法であれば、長尺な鉄筋1の先端に雄ネジ12を刻設する手間がないため、加工が容易となるが、拡径部11(雄ネジ12)の中心が鉄筋1の軸心に一致させるように注意しなければならない。これに対し、先に拡径部11を接合した後に雄ネジ12を刻設する場合には、鉄筋1の軸心を中心として回転させつつ雄ネジ12を刻設させれば、鉄筋1の軸線と、雄ネジ12の中心軸との偏りを防止することができる。いずれも一長一短があるため、いずれの方法を選択してもよい。
ところで、上述のように拡径部11,12に刻設される雄ネジ12,22は、JIS規格に従ったメートルネジとし、ピッチ総数を10以上となるようにしている。ネジピッチ数10以上刻設するため、予め拡径部11,12の長さは、当該ピッチ数の刻設が可能な長さに形成されている。例えば、M20のメートルネジでは、1ピッチの長さが2mmであるため、10ピッチで20mmとなり、10ピッチ以上の雄ネジを刻設するために、拡径部11,21の長さを20mm以上とするのである。
なお、10ピッチ以上の雄ネジを刻設する場合には、後述のロックナット4,5が螺合できないことから、拡径部11,12の長さを50mmとし、雄ネジを50ピッチ刻設することができる。拡径部11,12の断面積および刻設される雄ネジ12,22の有効断面積は、前述のとおり、鉄筋1,2の公称断面積の1.5倍以上であるため、拡径部11,21が長尺であっても強度の点で劣ることがないのである。ただし、材料を経済的に利用する場合には、拡径部11,12の長さを短く設定してもよい。
次に、継手に係る他の実施形態について説明する。図5は、これらの実施形態を例示するものであり、鉄筋1,2とスリーブ3との関係を把握しやすくするために、鉄筋1,2を断面で示している。なお、図5(a)は前記代表的な実施形態である。
これらの図に示されるように、ロックナット4,5は必須の部材ではない。図5(a)に示されるように、代表的な実施形態では、雄ネジ12,22が10ピッチ以上の比較的短い範囲(図は11ピッチを想定)でスリーブ3に螺入する場合、その先端同士がスリーブ3の内部で間隙C1を有する状態となっている。このとき、雄ネジ12,22は、スリーブ3の両端側外方にも存在するため、当該部分にロックナット4,5が螺合できる範囲を得ることができるのである。
これとは異なり、図5(b)に示すように、雄ネジ12,22を深く螺入させる場合(図は15ピッチを想定)には、同じ長さL1のスリーブ3を使用しても、先端同士の間隙C2は、前記の場合よりも狭くなり、他方、スリーブ3の両端側にロックナットを螺合させる領域が存在しない。このようなスリーブ3との螺合状態とした場合においては、ロックナットによる締め付け力を付与させることはないが、数多くの雄ネジ12,22がスリーブ3の両側から螺入することとなるため、両鉄筋1,2とスリーブ3との一体性を確保することができる。特に、図示のように間隙C1が小さくなるように、両側から鉄筋1,2を接近させることによって、鉄筋1,2に引っ張り力を作用させ、これにより締着力を増加させることも可能となるのである。
また、図5(c)は、当初より、雄ネジ12,22を10ピッチ以上の長い範囲(図は15ピッチを想定)で螺合させるために、スリーブ3の長さL2を前記よりも長尺に構成したものである。この場合、ロックナットを螺合しないことが想定されるため、雄ネジ12,22のほとんどの範囲がスリーブ3に螺入された状態となる。このときの間隙C1は、代表的な実施形態(図5(a))の場合と同程度となるようにしている。このような螺合状態においても、ロックナットを使用することなく、広い範囲で雄ネジ12,22がスリーブ3に対して両側から螺入することとなり、鉄筋1,2とスリーブ3との一体性を確保し得ることとなる。このように、必ずしもロックナットによる締め付けが必要となるものではないが、鉄筋1,2の雄ネジ12,22をスリーブ3に螺入するための手間と、ロックナット4,5の螺進の手間を比較考慮すれば、ロックナット4,5を使用することが好ましいものである。
次に、上記構成の継手の使用方法を簡単に説明する。ここでは、前記実施形態のうち代表的なものについてのみ説明する。図6は、その手順を示すものである。この図に示されるように、まず、連結すべき鉄筋1,2の双方には、予めロックナット4,5を挿入しておくのである(図6(a)参照)。ロックナット4,5の挿入は、雄ネジ部12,22を螺進(後進)させることによって行うことができる。次に、一方の鉄筋1の雄ネジ部12をスリーブ3の片側から雌ネジ部31に螺合させるのである(図6(b)参照)。このときの螺合は、10ピッチ以上となるように、鉄筋1またはスリーブ3を10回以上回転させるのである。このときの螺合状態を変化させないために、一方のロックナット4を螺進させ、スリーブ3の片側端面に当接させる(図6(c)参照)。
続いて、他方の鉄筋2の雄ネジ部22を、スリーブ3の反対側から雌ネジ部31に螺合させるのである(図6(d)参照)。このとき、先に螺合した雄ネジ部12とスリーブ3との螺合状態を変化させないために、スリーブ3は回転させず、他方の鉄筋2を回転させるのである。このときの回転数は10回以上とし、10ピッチ以上の螺入を実行するのである。その後、他方のロックナット5を螺進させ、スリーブ3の他方端面に当接させる(図6(e)参照)。この他方のロックナット5の螺進が終了した後、両方のロックナット4,5を十分に締め付け、圧着状態とするのである。
図7には、別の使用方法を示している。この図に示しているように、スリーブ3は、予め一方のロックナット4とともに、一方の鉄筋1に挿入しておくのである(図7(a)参照)。この状態で、鉄筋1の先端面に他方の鉄筋2の先端面を当接させ(図7(b)参照)、その後、スリーブ3を回転させて両鉄筋1,2の雄ネジ部12,22に跨がるように雌ネジ部31を螺合させるのである(図7(c)参照)。この場合、雄ネジ部12,22の10ピッチ以上が螺合できるように、他方の鉄筋2の雄ネジ部22との螺合が開始した後、スリーブ3の回転数が10以上となるように調整するのである。
なお、前記の使用方法においても、ロックナット4,5は、予め両鉄筋1,2に挿入していることから、最終的に十分に螺進させて、スリーブ3の両端面に圧着する状態とするものである(図7(d)参照)。
ここで、上記のような使用方法を円滑に行うため、次のような変形例があり得る。すなわち、図8に示すように、鉄筋1,2の先端面には、中央に凹部13,23を形成し、両凹部13,23に係入可能な位置決め部材6を設置するのである。凹部13,23は、拡径部11,21に雄ネジ12,22を刻設する際に使用する芯出しのためのものを利用することができる。旋盤等による切削加工によって雄ネジ12,22を刻設する場合には、芯出し用の凹部13,23が形成されるからである。
また、位置決め部材6は、ラグビーボールのような楕円球状に形成したものを図示しているが、球状としたものでもよく、二つの円錐形を底面部で接合した形状としてもよい。さらに、位置決め部材6は、二つの凹部13,23に分かれて没するような大きさでもよいが、両端が部分的に係入し、中央部分が埋没しない大きさでもよい。これは、連結する鉄筋1,2の端面の間隔をどのようにするかによって決定されるものである。
以上のように、本実施形態によれば、十分な強度を有する拡径部11,12に雄ネジ12,22が刻設された鉄筋1,2を、十分な肉厚を有するスリーブ3を介して連結することができるものである。また、その使用方法の説明から明らかなとおり、連結作業が容易である。鉄筋の先端面に凹部13,14を有し、位置決め部材6を配置する構成の場合には、鉄筋1,2の軸線を一致させた状態で配置させたうえで、スリーブ3による連結を容易にすることができる。
前記実施形態は、本発明を例示するものであって、これらに限定させることを意図するものではない。従って、本発明の趣旨の範囲内において、種々の変形が可能である。例えば、前記雄ネジ12,22および雌ネジ31は、それぞれメートルネジを例示したが、その詳細が、並目ネジである場合のほか、細目ネジとする場合もある。また、台形ネジとする形態であってもよい。また、国内基準におけるネジに限定されるものではなく、ユニファイネジやウィットワースネジのインチネジを使用してもよい。本発明の基準に沿ったネジピッチまたはネジ表面積となるように構成すればよいのである。
さらには、これらの各種ネジ構造について、二条ネジや三条ネジなどの多条ネジとすることも可能である。多条ネジとすることにより、鉄筋1,2の雄ネジ12,22とスリーブ3の雌ネジ31とを螺合する際、少ない回数の回転によって所定範囲の螺合を完了させることができる。すなわち、二条ネジの場合は、リード長がピッチ長の2倍であり、三条ネジの場合はリード長がピッチ長の3倍であるため、所定ピッチ(10ピッチ以上)の範囲を螺合させる場合、1条ネジに対して1/2または1/3の回転によって螺合を完了させることができるのである。これは、建設現場における鉄筋連結作業の手間を省くこととなり、短時間による配筋作業を可能にすることに資するものである。
以下に、現実に作成した鉄筋継手の引張試験の結果を示す。代表的なものとして、数種類の鉄筋について示すものとする。下表は、鉄筋の公称断面積、雄ネジの有効断面積等の各寸法および使用したスリーブを示す。なお、いずれの場合も10ピッチの雄ネジを螺合して試験した。
Figure 0006689028
上記に示した鉄筋継手の引張試験の結果、いずれも許容範囲以上の強度である結果を得た。なお、参考例として、拡径部の断面積を鉄筋の公称断面積が1.4倍とし、10ピッチ以上を螺合させたもの、および断面積は実施例と同じであるが、螺合ピッチ数を9.5以下とした場合についても引張試験を行った結果、いずれも許容範囲以下となった。
従って、前記有効断面積を有する雄ネジを10.5ピッチだけスリーブに螺入することにより、安全率を考慮しつつ十分な連結状態であるという結果を得ることができた。
1,2 鉄筋
3 スリーブ
4,5 ロックナット
6 位置決め部材
10 鉄筋の先端部分
10a 鉄筋の先端
10b 鉄筋先端の端面
11,12 拡径部
11a 小径部
11b 小径部の端面
11c バリ
12,22 雄ネジ(雄ネジ部)
13,23 凹部
30a,30b スリーブ端面
31 雌ネジ(雌ネジ部)
L1,L2 スリーブの長さ
C1,C2 鉄筋先端同士の間隙

Claims (4)

  1. 連結すべき鉄筋の両端にスリーブを介在させて両鉄筋を連結する鉄筋の継手方法であって、
    前記両鉄筋は、いずれも先端に該鉄筋の公称断面積に対し1.5倍を超える断面積となるように十分に拡径された拡径部を備えるとともに、有効断面積が該鉄筋の公称断面積に対し1.5倍以上、かつねじ山が形成されている部分の1ピッチあたりの表面積が該鉄筋の公称断面積の20%以上となる雄ネジを該拡径部に刻設するものとして構成されており、
    前記スリーブは、筒状に形成されるとともに、その内径部には前記雄ネジに螺合する雌ネジが刻設されており、両端から前記両鉄筋の拡径部に刻設した雄ネジが10ピッチ以上螺入できる長さを有するものとして構成されており、
    前記スリーブの雌ネジに対し、前記鉄筋の拡径部の雄ネジを10〜11ピッチ螺入することを特徴とする鉄筋の継手方法。
  2. 前記スリーブの少なくとも一方に、前記拡径部の雄ネジに螺合するロックナットによって圧着するものである請求項1に記載の鉄筋の継手方法。
  3. 前記ロックナットは、前記拡径部の雄ネジに少なくとも4ピッチで螺合する雌ネジが設けられており、前記拡径部は、前記スリーブとの螺合および前記ロックナットの螺合のための雄ネジが連続して刻設されているものであって、前記ロックナットによって少なくとも4ピッチ分を前記拡径部の雄ネジに螺合させるものである請求項2に記載の鉄筋の継手方法。
  4. 前記拡径部の雄ネジは、予め該拡径部の端面中央に凹部を備えるものとし、該端面の間隔に応じた大きさに形成されてなる球状または楕円球状の位置決め部材が対向する双方の前記凹部に係入されるように、連結すべき鉄筋の前記端面を対向させるものである請求項1ないし3のいずれかに記載の鉄筋の継手方法。
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