JP6702181B2 - 複合半透膜 - Google Patents
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Description
(1)基材と、前記基材上に位置する多孔性支持層と、前記多孔性支持層上に位置する分離機能層とを備えた複合半透膜であって、前記分離機能層は、架橋全芳香族ポリアミドを主成分とする薄膜を有し、前記薄膜は、複数の凸部と凹部とを備えるひだ構造を有し、前記凸部の40%以上が、25℃の純水中で凸部を5nNの力で押し込んだ際の変形量が2.5nm以下であり、かつ前記凸部の高さの中間値が100nm以上であり、かつ前記凸部における前記薄膜の膜厚が20nm以下である複合半透膜。
(2)5nNの力で押し込んだ際の変形量が2.5nm以下となる前記凸部の数が50%以上である、前記(1)に記載の複合半透膜。
(3)前記分離機能層が、多官能芳香族アミンと多官能芳香族酸ハロゲン化物との重縮合反応によって形成されたポリアミド分離機能層であり、前記ポリアミド分離機能層がアミノ基、カルボキシ基及びアミド基を含み、アミノ基/アミド基のモル比をxとしたとき、xが0.28以下である、前記(1)又は(2)に記載の複合半透膜。
(4)前記ポリアミド分離機能層のアミノ基/アミド基のモル比をx、カルボキシ基/アミド基のモル比をyとしたとき、x+yが0.80以下である、前記(3)に記載の複合半透膜。
また、本明細書において、「質量」で表される百分率や部は「重量」で表される百分率や部と同義である。
本発明に係る複合半透膜は、基材と前記基材上に位置する多孔性支持層とを含む支持膜(多孔性支持膜)と、前記多孔性支持層上に位置する分離機能層とを備える。前記分離機能層は実質的に分離性能を有するものであり、前記支持膜は実質的にイオン等の分離性能を有さず、前記分離機能層に強度を与えることができる。
基材としては、ポリエステル系重合体、ポリアミド系重合体、ポリオレフィン系重合体、あるいはこれらの混合物や共重合体等が挙げられる。中でも、機械的、熱的に安定性の高いポリエステル系重合体の布帛が特に好ましい。布帛の形態としては、長繊維不織布や短繊維不織布、さらには織編物を好ましく用いることができる。ここで、長繊維不織布とは、平均繊維長300mm以上、かつ平均繊維径3〜30μmの不織布のことを指す。
本発明において多孔性支持層は、実質的にイオン等の分離性能を有さず、実質的に分離性能を有する分離機能層に強度を与えるためのものである。多孔性支持層の孔のサイズや分布は特に限定されないが、例えば、均一で微細な孔、あるいは分離機能層が形成される側の表面からもう一方の面まで徐々に大きな微細孔をもち、かつ、分離機能層が形成される側の表面で微細孔の大きさが0.1nm以上100nm以下であるような多孔性支持層が好ましいが、使用する材料やその形状は特に限定されない。
具体的には、次の化学式に示す繰り返し単位からなるポリスルホンを用いると、多孔性支持層の孔径が制御しやすく、寸法安定性が高いため好ましい。なお、下記式中、nは繰り返し単位数を表す。
分離機能層は、多官能性アミンと多官能性酸ハロゲン化物との重縮合反応で得られたポリアミドを主成分とする薄膜を有する。言い換えると、分離機能層は、架橋全芳香族ポリアミドを主成分として含有する。主成分とは分離機能層の成分のうち、50%以上を占める成分を指す。分離機能層が架橋全芳香族ポリアミドを50%以上含むことにより、高性能な膜性能を発現しやすい。
なお、平均線とは、ISO4287:1997に基づき定義される直線であり、測定長さにおいて、平均線と粗さ曲線とで囲まれる領域の面積の合計が平均線の上下で等しくなるように描かれる直線である。
具体的には、分離機能層は、以下の条件を満たすことが好ましい。分離機能層の表面を原子間力顕微鏡(AFM)にて純水中で観察し、2μm四方範囲の任意の3つの領域を選択する。これらの3つの領域に含まれる凸部を、それぞれの領域において10点選択する。さらに、選択した凸部の頂点を中心とした直径100nmの円領域内の一点を5nNの力で押し込んだときに2.5nm以下の変形量を示す凸部の数Xを数え、割合(X/30)を求める。割合(X/30)が40%以上であることで、本発明の所望の効果を得ることができ、また、割合(X/30)は50%以上であることが好ましく、60%以上であることがより好ましい。
原子間力顕微鏡はBruker AXS社製Dimension FastScanを用いることができる。付属のアタッチメントを利用することで、水中での観察が可能である。また、その際、使用するカンチレバーの探針の形状は、円錐形(ピラミッド型)のものを用いる。カンチレバーを使用する前には、必ず校正(Calibration)を行う。まず、十分な硬度を有する物質でカンチレバーの反り感度(Deflection Sensitivity)を測定する。十分な硬度を有する物質としては、シリコンウェハーやサファイヤを用いることができる。次に、熱振動(Thermal Tune)でカンチレバーのバネ定数を測定する。校正を行うことで、測定の精度が向上する。
次に、上記複合半透膜の製造方法について説明する。
複合半透膜の製造方法は、基材と支持層とを有する膜の上で、分離機能層を形成する工程を少なくとも備える。また、複合半透膜の製造方法は、基材上に支持層を形成する工程、基材を製造する工程、分離機能層を形成後に後処理を行う工程などを備えてもよい。
複合半透膜を構成する分離機能層の形成工程を説明する。分離機能層の形成工程は、
(a)多官能芳香族アミンを含有する水溶液を支持層上に接触させる工程、
(b)多官能芳香族アミンを含有する水溶液を接触させた支持層に多官能芳香族酸ハロゲン化物を含有する有機溶媒溶液を接触させる工程、
(c)多官能芳香族酸ハロゲン化物を含有する有機溶媒溶液を接触させた支持層を加熱する工程、及び
(d)上記工程(c)の後で、有機溶媒溶液を液切りする工程、
を有する。
有機溶媒中の含水量を増やす方法としては、使用前に有機溶媒中に純水を入れて撹拌させる方法などがある。また、有機溶媒中に添加剤を加えると含水量を制御しやすくなる。添加剤としては、有機溶媒および水との親和性が高いものが良く、例えば、アセトン、エタノール、イソプロピルアルコール等が挙げられる。
有機溶媒残存率(%)=(加熱後膜質量)/(加熱前膜質量)×100
本発明の複合半透膜は、溶媒に溶解した物質を除く用途に用いられ、特に水から塩等の溶質を除去するのに好適である。具体的には、本発明の複合半透膜は、水処理に好適である。水処理とは、海水、かん水若しくは有害物を含んだ水からの飲料水または農業用水等の製造;工業用超純水の製造;排水処理;および有価物の回収などを含む。
純水で濡れた状態の複合半透膜を1cm四方に切り、接着剤を用いて分離機能層面が上になるようにサンプル台に固定し、測定サンプルを作製した。次に、測定ステージ上に磁石を用いて測定サンプルを固定し、分離機能層上に純水を滴下した後、原子間力顕微鏡(AFM)で表面の観察を行った。得られた画像のうち凸部のフォースカーブを10点抜きだし、変形量を解析した。この操作を3視野分行い、計30点の変形量を算出した。具体的な測定条件は以下のとおりである。
・装置:Bruker AXS社製 Dimension FastScan
・走査モード:水中ナノメカニカルマッピング
・探針:シリコンカンチレバー(Bruker AXS社製ScanAsyst−Fluid)なお、カンチレバーは測定前に校正した。
・最大荷重:5nN
・走査範囲:2μm×2μm
・走査速度:0.5Hz
・ピクセル数:256×256
・測定条件:純水中
・測定温度:25℃
複合半透膜をポリビニルアルコール(PVA)で包埋し、OsO4で染色し、これをウルトラミクロトームで切断して超薄切片を作製した。得られた超薄切片を、透過型電子顕微鏡を用いて断面写真を撮影した。透過型電子顕微鏡により撮影した断面写真を、画像解析ソフトImage Jに取り込み、凸部5個を選定し、凸部の高さの上部から9割までの範囲の中から各凸部について10点の凸部の分離機能層の膜厚を測定し、計50点の相加平均値を求めた。
凸部高さは、凸部分離機能層の厚みと同様、透過型電子顕微鏡により、測定することができる。上述した手法で得られた断面写真を画像解析ソフトに読み込み、長さ2.0μmの距離における凸部高さと凹部深さを測定し、上述したように10点平均面粗さを算出した。この10点平均面粗さに基づいて、10点平均面粗さの5分の1以上の高さを有する凸部について、その凸部の高さを測定した。これにより凸部高さの中間値を算出した。
有機溶媒の含水量は、三菱化成工業株式会社製微量水分測定装置CA−05型を用いて5回測定し、その平均値を求めた。
複合半透膜5m2から基材を物理的に剥離し、多孔性支持層と分離機能層を回収した。25℃で24時間静置することで乾燥させた後、ジクロロメタンの入ったビーカー内に少量ずつ加えて撹拌し、多孔性支持層を構成するポリマーを溶解させた。その後、ビーカー内の不溶物を濾紙で回収し、この不溶物を再度ジクロロメタンの入ったビーカー内に入れ攪拌し、ビーカー内の不溶物を回収した。この作業をジクロロメタン溶液中に多孔性支持層を形成するポリマーの溶出が検出できなくなるまで繰り返した。回収した分離機能層は真空乾燥機で乾燥させ、残存するジクロロメタンを除去した。得られた分離機能層は凍結粉砕によって粉末状の試料とし、固体NMR法測定に用いられる試料管内に封入して、CP/MAS法、及びDD/MAS法による13C固体NMR測定を行った。13C固体NMR測定には、例えば、Chemagnetics社製CMX−300を用いることができる。測定条件例を以下に示す。
基準物質:ポリジメチルシロキサン(内部基準:1.56ppm)
試料回転数:10.5kHz
パルス繰り返し時間:100秒
得られたスペクトルから、各官能基が結合している炭素原子由来のピークごとにピーク分割を行い、分割されたピークの面積から官能基比率を定量した。
アミノ基が結合している炭素原子:148ppm付近のピーク面積から定量した。
カルボキシ基が結合している炭素原子:166ppm付近のピーク面積から定量した。
アミド基が結合している炭素原子:100〜145ppmのピーク面積から全芳香族炭素原子量を定量し、アミノ基が結合している炭素原子、およびカルボキシ基が結合している炭素原子の量との差を計算することで求めた。
以下に示す方法で、複合半透膜の性能を評価した。
(NaCl透過率)
複合半透膜に、温度25℃、pH6.5に調整した評価原水(NaCl濃度3.2%、ホウ素濃度約5ppm)を操作圧力5.5MPaで供給して膜ろ過処理を24時間行ない、その後の供給水および透過水の電気伝導度を東亜電波工業株式会社製電気伝導度計で測定して、それぞれのNaCl濃度を得た。
NaCl透過率(%)=100×(透過水中のNaCl濃度/供給水中のNaCl濃度)
(膜透過流束)
前項の試験において、供給水(評価原水)の膜透過水量を、膜面1平方メートルあたり、1日あたりの透水量(立方メートル)でもって膜透過流束(m3/m2/日)を表した。
(ホウ素透過率)
前項の試験において、供給水と透過水中のホウ素濃度をICP発光分析装置(株式会社日立製作所製 P−4010)で分析し、次の式から求めた。
ホウ素透過率(%)=100×(透過水中のホウ素濃度/供給水中のホウ素濃度)
複合半透膜に、温度40℃、pH6.5に調整した評価原水(NaCl濃度3.2%、ホウ素濃度約5ppm)を操作圧力5.5MPaで供給して膜ろ過処理を3時間行ない、その後の透過水、供給水の水質を測定した(3時間値)。引き続き運転を継続し、120時間後に透過水、供給水の水質を測定した(120時間値)。3時間値と120時間値で求めた膜透過流束を比較し、その変化量(120時間値−3時間値)を耐久性の指標とした。
複合半透膜をpH1に調整した硫酸水溶液に25℃で、24時間浸漬した。その後、複合半透膜を硫酸水溶液から取り出し、純水で十分に洗浄し、酸接触後のホウ素透過率を測定した。膜性能評価で測定したホウ素透過率(酸接触前のホウ素透過率)と酸接触後のホウ素透過率の変化量(酸接触後−酸接触前)を耐酸性の指標とした。
ポリエステル不織布(通気量2.0cc/cm2/sec)上にポリスルホン(PSf)の16.0質量%DMF溶液を25℃の雰囲気下で200μmの厚みでキャストし、ただちに純水中に浸漬して5分間放置することによって支持膜を作製した。
国際公開第2011/105278号に記載の方法にならい、参考例1によって得られた支持膜をm−フェニレンジアミン(m−PDA)の4質量%を含む水溶液中に2分間浸漬し、該支持膜を垂直方向にゆっくりと引き上げ、エアーノズルから窒素を吹き付け支持膜表面から余分な水溶液を取り除いた後、トリメシン酸クロリド(TMC)0.12質量%を含む25℃のウンデカン溶液(含水量16ppm)を表面が完全に濡れるように塗布した。次に、100℃のオーブンで有機溶媒残存率60%となるまで加熱し、その後膜から余分な溶液を除去するために、膜を垂直にして液切りを行って、送風機を使い20℃の空気を吹き付けて乾燥させた。最後に、90℃の純水で洗浄することで複合半透膜を得た。得られた複合半透膜の、5nNで押し込んだ際の変形量が2.5nm以下となる凸部の割合、凸部高さの中間値、凸部の分離機能層厚み、25℃、40℃での膜性能を表2に示す。
TMCを溶解する有機溶媒、有機溶媒中の含水量、加熱処理時の温度、有機溶媒残存率を表1に示す条件に変更した以外は実施例1と同様にして複合半透膜を作製した。得られた複合半透膜の、5nNで押し込んだ際の変形量が2.5nm以下となる凸部の割合、凸部高さの中間値、凸部の分離機能層の膜厚、25℃、40℃での膜性能を表2に示す。
m−PDAの水溶液にヘキサンスルホン酸ナトリウム3質量%が含まれており、加熱処理を表1に示す条件に変更した以外は実施例1と同様にして複合半透膜を作製した。得られた複合半透膜の、5nNで押し込んだ際の変形量が2.5nm以下となる凸部の割合、凸部高さの中間値、凸部の分離機能層厚み、25℃、40℃での膜性能を表2に示す。
TMCを溶解する溶媒、有機溶媒中の含水量、有機溶媒の残存率を表3に示す条件に変更した以外は実施例5と同様にして複合半透膜を作製した。得られた複合半透膜の、5nNで押し込んだ際の変形量が2.5nm以下となる凸部の割合、凸部高さの中間値、凸部の分離機能層厚み、25℃、40℃での膜性能、官能基比率、耐酸性試験後の性能を表4に示す。
H1、H2、H3、H4、H5 分離機能層のひだ構造における凸部の高さ
D1、D2、D3、D4、D5 分離機能層のひだ構造における凹部の深さ
Claims (4)
- 基材と、前記基材上に位置する多孔性支持層と、前記多孔性支持層上に位置する分離機能層とを備えた複合半透膜であって、
前記分離機能層は、架橋全芳香族ポリアミドを主成分とする薄膜を有し、
前記薄膜は、複数の凸部と凹部とを備えるひだ構造を有し、
前記凸部の40%以上が、25℃の純水中で前記凸部を5nNの力で押し込んだ際の変形量が2.5nm以下であり、
かつ前記凸部の高さの中間値が100nm以上であり、
かつ前記凸部における前記薄膜の膜厚が20nm以下である複合半透膜。 - 5nNの力で押し込んだ際の変形量が2.5nm以下となる前記凸部の数が50%以上である、請求項1に記載の複合半透膜。
- 前記分離機能層が、多官能芳香族アミンと多官能芳香族酸ハロゲン化物との重縮合反応によって形成されたポリアミド分離機能層であり、
前記ポリアミド分離機能層がアミノ基、カルボキシ基及びアミド基を含み、アミノ基/アミド基のモル比をxとしたとき、xが0.28以下である、請求項1又は2に記載の複合半透膜。 - 前記ポリアミド分離機能層のアミノ基/アミド基のモル比をx、カルボキシ基/アミド基のモル比をyとしたとき、x+yが0.80以下である、請求項3に記載の複合半透膜。
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