JP6702249B2 - 酸化物単結晶の製造方法及び酸化物単結晶引き上げ装置 - Google Patents
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Description
この方法は、単結晶がるつぼと接触せず、るつぼによる機械的歪が発生しないので、高品質で大口径の結晶を作製しやすいという利点がある。
単結晶引き上げ装置90は、原料酸化物を入れ該原料酸化物を融解した融液12を保持するるつぼ1、原料酸化物を加熱するための加熱装置を構成するワークコイル2a、種子結晶11が取り付けられる保持棒3を含む引き上げ機構等から構成される。単結晶引き上げ装置は、育成する単結晶の種類に応じて設計されている。
また、酸化物単結晶の引き上げ装置では、一般的に結晶重量の変化を測り、ヒータ出力又は高周波出力にフィードバックをかけて単結晶の直径制御が行われている。
従って、本発明者は、ボイドの発生を抑制するにはるつぼ底において融液を固化させないようにすればよいことを見出し、このような知見を基に鋭意検討を行い、本発明を成すに至った。
〔1〕 引き上げ法によってるつぼ内の原料酸化物の融液からタンタル酸リチウム単結晶又はニオブ酸リチウム単結晶を育成する酸化物単結晶の製造方法であって、るつぼ内の融液を加熱する加熱装置の出力を調整して育成する単結晶の直径の制御を行い、この単結晶の育成中のるつぼ底の降温速度を6℃/hr以下とすること、及び/又はこの単結晶の育成中の連続したるつぼ底の温度低下を12℃未満とすることで、得られた単結晶におけるボイドが発生した単結晶の個数割合を11%以下とすることを特徴とする酸化物単結晶の製造方法。
〔2〕 上記単結晶の育成中が、単結晶の肩部の形成時である〔1〕記載の酸化物単結晶の製造方法。
〔3〕 上記加熱装置は、ワークコイルを用いた高周波誘導加熱装置である〔1〕又は〔2〕記載の酸化物単結晶の製造方法。
〔4〕 上記るつぼを、るつぼ底がワークコイルの高さ中央部を基準として該ワークコイルの全高さの±35%以内となるように配置する〔3〕記載の酸化物単結晶の製造方法。
〔5〕 上記るつぼの周囲に保温構造を設けてあり、るつぼ底側の保温構造の熱伝導率がるつぼ外周面側の保温構造の熱伝導率よりも小さい〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の酸化物単結晶の製造方法。
〔6〕 上記るつぼ内の融液対流は、少なくとも単結晶の肩部の形成時のるつぼ底の温度が1時間に0.5℃以上1℃以下の幅で5回以上変動する自然対流である〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の酸化物単結晶の製造方法。
〔7〕 上記単結晶の育成中の結晶回転速度を10rpm以下にする〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載の酸化物単結晶の製造方法。
〔8〕 原料酸化物が供給されるるつぼと、該るつぼの周囲に設けられる保温構造と、該保温構造の外周面を囲むようにワークコイルを配置してるつぼを誘導加熱する高周波誘導加熱装置と、種子結晶を保持し該種子結晶を用いて育成する酸化物単結晶の引き上げ機構と、上記加熱装置の出力を調整してるつぼ内の原料酸化物を融解して融液とすると共に、育成する酸化物単結晶の直径を制御する出力制御部とを備えるタンタル酸リチウム単結晶又はニオブ酸リチウム単結晶製造用の酸化物単結晶引き上げ装置であって、上記るつぼを、るつぼ底がワークコイルの高さ方向中央部を基準として該ワークコイルの全高さの±35%以内となるように配置し、上記引き上げ機構及び出力制御部により育成する単結晶の直径制御を行うと共に、単結晶の育成中のるつぼ底の降温速度を6℃/hr以下とすること、及び/又はこの単結晶の育成中の連続したるつぼ底の温度低下を12℃未満とすることを行って育成する単結晶におけるボイドの発生を抑制する制御を行うことを特徴とする酸化物単結晶引き上げ装置。
〔9〕 上記育成する単結晶におけるボイドの発生を抑制する制御が、上記保温構造を、上記るつぼの外周面とワークコイルとの間及びるつぼ底側に配置された保温材からなるものとし、るつぼ底側に配置される保温材の熱伝導率がるつぼ外周面側に配置される保温材の熱伝導率よりも小さくすることである〔8〕記載の酸化物単結晶引き上げ装置。
〔10〕 上記育成する単結晶におけるボイドの発生を抑制する制御が、るつぼを、るつぼ底から融液の単結晶育成にかかわる液面までの領域がワークコイルの高さ方向中央部を基準として該ワークコイルの全高さの±35%以内となるように配置するものである〔8〕又は〔9〕記載の酸化物単結晶引き上げ装置。
[酸化物単結晶の製造方法]
本発明に係る酸化物単結晶の製造方法は、引き上げ法によってるつぼ内の原料酸化物の融液から酸化物の単結晶を育成する酸化物単結晶の製造方法であって、るつぼ内の融液を加熱する加熱装置の出力を調整して育成する単結晶の直径の制御を行い、この単結晶の育成中のるつぼ底の降温速度を6℃/hr以下とすること、及び/又はこの単結晶の育成中の連続したるつぼ底の温度低下を12℃未満とすることを特徴とするものである。
従って、この場合、るつぼ底の温度変動のうち、単結晶の肩部の形成期間の単結晶の肩部の形成を終えた時点と考えられる極小値と、肩部の形成を始めた時点からの極大(最大)値との差がるつぼ底の温度低下△Tとなる。
次に、本発明に係る酸化物単結晶引き上げ装置について説明する。
図1に、本発明に係る酸化物単結晶引き上げ装置の構成例を示す。
酸化物単結晶引き上げ装置100は、本発明に係る酸化物単結晶の製造方法を実現するための装置の一つであり、原料酸化物が供給され該原料酸化物を融解した融液12を保持するるつぼ1と、該るつぼ1の周囲に設けられる保温構造(るつぼ台5、保温材6)と、該保温材6を囲むようにワークコイル2aを配置してるつぼ1を誘導加熱する高周波誘導加熱装置と、種子結晶11を保持する保持棒3などを有し該種子結晶11を用いて育成する酸化物単結晶13の引き上げ機構と、上記加熱装置の出力を調整してるつぼ1内の原料酸化物を融解して融液12とすると共に、育成する酸化物単結晶13の直径を制御する出力制御部2bとを備える。
図1に示すような酸化物単結晶引き上げ装置100を用いてタンタル酸リチウム単結晶を作製した。
(酸化物単結晶引き上げ装置)
ここで、ワークコイル2aの大きさは直径(内径)280mm、高さH280mmである。また、るつぼ1は、外径150mm、高さ150mm、外周部肉厚2mm、るつぼ底肉厚2mmのイリジウム製るつぼである。更に、リフレクター8は、外径160mm、内径120mm、厚さ2mmのイリジウム製のドーナツ板状のものを用いた。リフレクター8の上方に設置したアフターヒータ7は、イリジウム製の円筒状で、外径150mm、高さ180mmである。
また、るつぼ1の外周面側には、保温材6としてジルコニア製中空バブル(中空粒子)をるつぼ1の外周面と耐火物容器10との間に充填した。また、るつぼ台5の内部にもジルコニア製中空バブル(中空粒子)を詰め込んだ。
上記単結晶引き上げ装置100のるつぼ1に、炭酸リチウムと五酸化タンタルをコングルエント溶融組成になるように秤量し、混合、成形、仮焼した原料を入れ、溶融させた。
続いて、保持棒3に取り付けた種子結晶11を融液12中に挿入して、回転速度7rpmで回転させながら引き上げた。その際、ワークコイル2aの高周波出力が随時変動することにより、酸化物単結晶13の肩部13a、直胴部13bが形成された。
作製したタンタル酸リチウム単結晶の直径は4インチで、直胴部13bの長さは100mmであった。作製したタンタル酸リチウム単結晶を目視で観察したところ、ボイドは観察されなかった。
るつぼ底1bの位置を、ワークコイル2aの高さHの中心部CPから20mm下方に設定し、それ以外は実施例1と同様の方法で、タンタル酸リチウム単結晶を作製した。これは、るつぼ底1bが、ワークコイル2aの高さ方向中央部CPからワークコイル2aの全高さHの7.14%分の高さだけ下方の位置、即ち、ワークコイル2aの高さ方向中央部CPを基準として該ワークコイル2aの全高さHの±7.14%以内となる位置である。作製したタンタル酸リチウム単結晶を目視で観察したところ、ボイドは観察されなかった。
るつぼ台5の内部にアルミナ製ブランケットを詰め込み、それ以外は、実施例1と同様の方法で、タンタル酸リチウム単結晶を作製した。アルミナ製ブランケットの熱伝導率は、ジルコニア製中空バブルの熱伝導率よりも小さいものである。作製したタンタル酸リチウム単結晶を目視で観察したところ、ボイドは観察されなかった。
るつぼ底1bの位置を、ワークコイル2aの高さHの中心部CPから120mm下方に設定し、それ以外は、実施例1と同様の方法で、タンタル酸リチウム単結晶を作製した。これは、るつぼ底1bが、ワークコイル2aの高さ方向中央部CPからワークコイル2aの全高さHの42.9%分の高さだけ下方の位置、即ち、ワークコイル2aの高さ方向中央部CPを基準として該ワークコイル2aの全高さHの±42.9%以内となる位置である。作製したタンタル酸リチウム単結晶を目視で観察したところ、ボイドが観察された。
るつぼ台5の内部を中空にし、それ以外は実施例1と同様の方法で、タンタル酸リチウム単結晶を作製した。空気の熱伝導率はジルコニア製中空バブルの熱伝導率よりも大きいものであり、保温材とはならない。作製したタンタル酸リチウム単結晶を目視で観察したところ、ボイドが観察された。
実施例1の酸化物単結晶引き上げ装置100におけるるつぼ1のワークコイル2aに対する高さ位置、保温構造等を調節し、単結晶育成中におけるるつぼ底の温度低下△Tの大きさが異なるようにして、タンタル酸リチウム単結晶を作製した。各温度低下△Tにおいて、100個のタンタル酸リチウム単結晶を作製し、ボイド発生率を評価した。ここでのボイド発生率は、単結晶中のボイドの有無を目視で判定し、その温度低下△Tのサンプルにおけるボイドが発生したサンプルの割合(個数比)を算出したものである。
図4に、その評価結果を示す。るつぼ底の温度低下△Tが12℃未満ではボイド発生率が11%以下と比較的低いが、るつぼ底の温度低下△Tが12℃以上になるとボイド発生率が20%超となり急激に高くなることがわかる。
その結果を図5に示す。るつぼ底の降温速度vが6℃/hr以下ではボイド発生率が11%以下と比較的低いが、るつぼ底の降温速度vが6℃/hrを超えるとボイド発生率が20%超と増大することがわかる。
1a るつぼ外周面
1b るつぼ底
2a ワークコイル
2b 出力制御部
3 保持棒
4 熱電対
5 るつぼ台
6 保温材
7 アフターヒータ
8 リフレクター
9 アフターヒータ蓋
10 耐火物容器
11 種子結晶
12 融液
13 酸化物単結晶
13a 肩部
13b 直胴部
90、100 酸化物単結晶引き上げ装置
CP ワークコイル中央部
H ワークコイル全高さ
Claims (10)
- 引き上げ法によってるつぼ内の原料酸化物の融液からタンタル酸リチウム単結晶又はニオブ酸リチウム単結晶を育成する酸化物単結晶の製造方法であって、るつぼ内の融液を加熱する加熱装置の出力を調整して育成する単結晶の直径の制御を行い、この単結晶の育成中のるつぼ底の降温速度を6℃/hr以下とすること、及び/又はこの単結晶の育成中の連続したるつぼ底の温度低下を12℃未満とすることで、得られた単結晶におけるボイドが発生した単結晶の個数割合を11%以下とすることを特徴とする酸化物単結晶の製造方法。
- 上記単結晶の育成中が、単結晶の肩部の形成時である請求項1記載の酸化物単結晶の製造方法。
- 上記加熱装置は、ワークコイルを用いた高周波誘導加熱装置である請求項1又は2記載の酸化物単結晶の製造方法。
- 上記るつぼを、るつぼ底がワークコイルの高さ方向中央部を基準として該ワークコイルの全高さの±35%以内となるように配置する請求項3記載の酸化物単結晶の製造方法。
- 上記るつぼの周囲に保温構造を設けてあり、るつぼ底側の保温構造の熱伝導率がるつぼ外周面側の保温構造の熱伝導率よりも小さい請求項1〜4のいずれか1項記載の酸化物単結晶の製造方法。
- 上記るつぼ内の融液対流は、少なくとも単結晶の肩部の形成時のるつぼ底の温度が1時間に0.5℃以上1℃以下の幅で5回以上変動する自然対流である請求項1〜5のいずれか1項記載の酸化物単結晶の製造方法。
- 上記単結晶の育成中の結晶回転速度を10rpm以下にする請求項1〜6のいずれか1項記載の酸化物単結晶の製造方法。
- 原料酸化物が供給されるるつぼと、該るつぼの周囲に設けられる保温構造と、該保温構造の外周面を囲むようにワークコイルを配置してるつぼを誘導加熱する高周波誘導加熱装置と、種子結晶を保持し該種子結晶を用いて育成する酸化物単結晶の引き上げ機構と、上記加熱装置の出力を調整してるつぼ内の原料酸化物を融解して融液とすると共に、育成する酸化物単結晶の直径を制御する出力制御部とを備えるタンタル酸リチウム単結晶又はニオブ酸リチウム単結晶製造用の酸化物単結晶引き上げ装置であって、上記るつぼを、るつぼ底がワークコイルの高さ方向中央部を基準として該ワークコイルの全高さの±35%以内となるように配置し、上記引き上げ機構及び出力制御部により育成する単結晶の直径制御を行うと共に、単結晶の育成中のるつぼ底の降温速度を6℃/hr以下とすること、及び/又はこの単結晶の育成中の連続したるつぼ底の温度低下を12℃未満とすることを行って育成する単結晶におけるボイドの発生を抑制する制御を行うことを特徴とする酸化物単結晶引き上げ装置。
- 上記育成する単結晶におけるボイドの発生を抑制する制御が、上記保温構造を、上記るつぼの外周面とワークコイルとの間及びるつぼ底側に配置された保温材からなるものとし、るつぼ底側に配置される保温材の熱伝導率がるつぼ外周面側に配置される保温材の熱伝導率よりも小さくすることである請求項8記載の酸化物単結晶引き上げ装置。
- 上記育成する単結晶におけるボイドの発生を抑制する制御が、るつぼを、るつぼ底から融液の単結晶育成にかかわる液面までの領域がワークコイルの高さ方向中央部を基準として該ワークコイルの全高さの±35%以内となるように配置するものである請求項8又は9記載の酸化物単結晶引き上げ装置。
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