JP6874473B2 - 単結晶育成装置 - Google Patents

単結晶育成装置 Download PDF

Info

Publication number
JP6874473B2
JP6874473B2 JP2017067220A JP2017067220A JP6874473B2 JP 6874473 B2 JP6874473 B2 JP 6874473B2 JP 2017067220 A JP2017067220 A JP 2017067220A JP 2017067220 A JP2017067220 A JP 2017067220A JP 6874473 B2 JP6874473 B2 JP 6874473B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
crucible
crystal
crystal growing
growing
cylindrical member
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2017067220A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2018168022A (ja
Inventor
治男 石川
治男 石川
槙 孝一郎
孝一郎 槙
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Metal Mining Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Metal Mining Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Metal Mining Co Ltd filed Critical Sumitomo Metal Mining Co Ltd
Priority to JP2017067220A priority Critical patent/JP6874473B2/ja
Publication of JP2018168022A publication Critical patent/JP2018168022A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6874473B2 publication Critical patent/JP6874473B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Crystals, And After-Treatments Of Crystals (AREA)

Description

本発明は、チョクラルスキー法による酸化物単結晶の育成装置に係り、特に加熱装置として高周波誘導コイルを用いた単結晶育成装置の改良に関するものである。
酸化物単結晶の製造方法の1つとして、従来、チョクラルスキー法が用いられており、このチョクラルスキー法による酸化物単結晶の製造には、特許文献1に示された単結晶育成装置(図1参照)が適用される。この単結晶育成装置において、坩堝aの周囲にはアルミナ等で構成された炉材b(保温材として作用する)が形成され、また、炉材bの外側には加熱装置としての高周波誘導コイルcが配置されており、上記坩堝aに投入された材料が高周波誘導加熱により溶融される。更に、坩堝aの上方には材料融液から単結晶を回転させながら引き上げるための引き上げ装置dが配置されており、炉材bの上方は遮蔽板eで遮蔽され、かつ、遮蔽板eの一部に観測用窓fが設けられている。
図1に示す単結晶育成装置を用いて酸化物単結晶を育成するには、坩堝a内に酸化物単結晶の材料を投入し、高周波誘導コイルcによって坩堝aを誘導加熱し、この熱により材料を溶融して融液を得る。得られた融液に種結晶を接触させ、種結晶を上記引き上げ装置dで回転させながら鉛直方向に引き上げる。そして、単結晶の育成を行うために、まずネック部と呼ばれる種結晶と同程度あるいはこれより小さい径の単結晶が引き上げられ、次に、回転数や引き上げ速度を調整することにより、ネック部の結晶径から徐々に所望の結晶径まで大きくして肩部と呼ばれる部分が形成される。その後、所望の結晶径となるように加熱装置の高周波出力を調整しながら、直胴部と呼ばれる部分が形成される。最後に、育成結晶を融液から切り離して徐冷することにより、酸化物単結晶が得られる。
ところで、上記単結晶育成装置を用いて酸化物単結晶を育成する場合、高周波誘導コイルcで加熱されるのは坩堝a側壁の外周部で、熱せられた坩堝a側壁の外周部により原料が加熱されるため、坩堝a側壁近傍の融液温度は高くなるが、坩堝a中心部の融液温度は低くなる。この結果、育成される結晶の外周部と中心部とで結晶成長速度に差が生じ、結晶の下部側は坩堝aの底方向に向かって逆円錐状に成長する。そして、結晶の下部側が逆円錐状に成長すると、成長先端が坩堝a底に到達して接触してしまうので、ロードセル等の重量センサによる結晶重量の正確な測定が不可能となり、安定した形状の結晶が得られなくなることがある。
また、結晶育成の終了後において結晶を融液から切り離すため結晶を引き上げるが、逆円錐状部分の高さ(以下「凸度」と記す)が高いと引き上げ距離が長くなり、その結果、高周波誘導コイル内にある坩堝の領域から結晶が外れてしまうことになる。こうした場合、結晶は急激に冷却されて割れてしまう問題が起こる。更に、凸度の大きい結晶から切り出した基板は中央部と外周部の成長時期が異なるため、歪みが大きいという問題があった。
育成した単結晶をまっすぐに長く引き上げるには、軸方向(結晶の引き上げ方向)の温度勾配を大きくとる必要があるが、タンタル酸リチウムやニオブ酸リチウム等の酸化物単結晶は大きな温度勾配による熱歪によってクラックが発生し易いため、坩堝の回りを耐火物(保温材として作用する)で囲み、かつ、坩堝または耐火物の端部上に、坩堝の上方側における温度勾配を適切に保つためのアフターヒーターを配置する構造が一般的となっている(特許文献2参照)。そして、特許文献2によれば、坩堝端部上に円筒状のアフターヒーターを配置すると、育成された結晶にクラックの発生がなく、欠陥の少ない良質な結晶が得られると記載されている。
また、酸化物単結晶を育成する場合、単結晶の育成と共に原料融液の液面が低下するため、高周波誘導で加熱される坩堝の内側壁面と原料融液との接触面積が減少し、原料融液に供給される熱量が減少する。そして、坩堝の底部は誘導加熱され難いため、原料液面の低下と共に熱容量が小さくなり、供給される熱量も減少するので坩堝の底部から凝固が始まる。凝固が始まると融液の対流に異常を来たし、単結晶が均質な形状で育成できなくなり、ラセン状の成長が起る傾向が顕著となる。そして、原料融液の液面が更に低下し、原料に供給される熱量が更に減少すると凝固物が大きくなり、ついには育成している単結晶と坩堝底部からの凝固物がぶつかって、育成中における単結晶の種結晶部で折れてしまい、育成中の単結晶が落下する問題もあった。
そこで、これ等問題を解消するため、特許文献3では、図2(A)に示す貴金属製坩堝aの外側底面部に、図2(B)〜(C)に示す貴金属製物体(以下「コップ状円筒」若しくは「コップ状円筒加熱体」と記す)gを設置する方法が提案されている。すなわち、図2(A)に示すように、高周波誘導コイルcにより貴金属製坩堝aに高周波を誘導して坩堝a内の原料を加熱溶融し、単結晶を引き上ける際、上記コップ状円筒gに高周波を誘導して該コップ状円筒gを加熱し、その熱で坩堝aの底部を加熱して坩堝a内底部における原料融液の凝固を防止し、均質形状の単結晶育成を行う方法を提案している。
また、サファイア単結晶育成装置に係る特許文献4では、坩堝台hを介して貴金属製の結晶育成用坩堝aが収容された図3に示す耐火性坩堝(保温材として作用する)bの外側底面部に金属製の筒状ヒーターiを設置し、高周波誘導により筒状ヒーターiを発熱させて上記結晶育成用坩堝a内の原料融液を坩堝底から加熱する方法を提案している。すなわち、筒状ヒーターiから上記結晶育成用坩堝aに伝達される熱量を制御することで、育成されるサファイア単結晶の下部側における逆円錐状部分の高さ、すなわち「凸度」が低下される方法を提案している。
特開2002−68884号公報(図3参照) 特開平07−33586号公報(段落0005参照) 特開昭56−88895号公報(図2、図3参照) 特開2005−231958号公報(図1、段落0014参照)
従来の単結晶育成装置を用い、高周波誘導コイルで貴金属製の結晶育成用坩堝に高周波を誘導して結晶育成用坩堝内の原料を加熱溶融する際、坩堝側壁やアフターヒーターは誘導加熱されるが、坩堝の底部は誘導加熱され難いため、坩堝底部からの原料凝固やそれを原因とする融液の対流異常、単結晶の不均質な成長、原料凝固物と単結晶の衝突等が発生する。これ等の発生を抑制するため、特許文献3では、結晶育成用坩堝の外側底面部に高周波誘導で発熱するコップ状円筒を設置する方法を提案し、特許文献4では、結晶育成用坩堝が収容された耐火性坩堝(保温材として作用する)の外側底面部に金属製筒状ヒーターを設置する方法を提案している。
そこで、本発明者等は、結晶育成用坩堝の外側底面部にコップ状円筒を設置する特許文献3に係る方法の誘導加熱効果を確認するため、以下の「交流磁場解析」とその検討を行い、合わせて特許文献4に係る金属製筒状ヒーターによる加熱効果を分析した。
(1)コップ状円筒等を設置しない従来例に係る坩堝構造体の解析
図1に示すイリジウム製結晶育成用坩堝と、該坩堝の開放端にドーナツ板形状リフレクターを介し組み込まれたイリジウム製アフターヒーターとで構成される従来例に係る坩堝構造体に対し、高周波誘導コイルで高周波を誘導した際の発熱密度分布への影響について交流磁場解析を行った。
解析結果をみると、図7(A)(B)に示すように1kHz以下の比較的低周波の誘導電流では、従来例に係る坩堝構造体の発熱分布は坩堝の側壁に沿ってほぼ均一であるが、結晶育成炉で一般に使われる7kHz以上の高周波では、坩堝構造体の屈曲部(坩堝の底面と側壁とで形成される屈曲部)や坩堝とアフターヒーターとの接続部(ドーナツ板形状リフレクターの配置部位)等のエッジ部に発熱が集中することが確認された。
また、坩堝の底部からアフターヒーターに至る側壁部の発熱密度分布、および、坩堝の底部における中心から半径方向の発熱密度分布について交流磁場解析を行ってみると、上記坩堝の底部からアフターヒーターに至る側壁部の発熱密度分布は、図8(A)(B)に示すように坩堝の端部(底部)や坩堝とアフターヒーターとの接続部(ドーナツ板形状リフレクターの配置部位)等のエッジ部に発熱が集中することが確認され、図8(C)(D)に示すようにコップ状円筒等を設置しない従来例に係る坩堝構造体では坩堝底部中心部の発熱はほとんどなく、坩堝底部の端部で僅かに発熱があるだけであることが確認された。
これ等の状況から、結晶育成用坩堝の外側底面部にコップ状円筒を設置して坩堝底部を加熱補助する特許文献3の方法は有効と考えられる。
(2)コップ状円筒を設置した特許文献3に係る坩堝構造体の解析
白金製結晶育成用坩堝と、該坩堝の開放端にドーナツ板形状リフレクターを介し組み込まれた白金製アフターヒーターと、上記白金製結晶育成用坩堝の外側底面部に設置された白金製のコップ状円筒とで構成される特許文献3に係る坩堝構造体に対し、高周波誘導コイルで高周波を誘導した際の発熱密度分布への影響について交流磁場解析を行った。
尚、特許文献3(特開昭56−88895号公報)の第2図に記載された坩堝とコップ状円筒から、コップ状円筒の半径R=(3/4)R(R:結晶育成用坩堝の外側底面部半径)、コップ状円筒の高さH=(1/3)H(H:結晶育成用坩堝の高さ)と読み取り、かつ、本実施例1で適用した外径205mmφ、高さ180mm、平底形状結晶育成用坩堝の寸法に上記寸法比率を適用して白金製コップ状円筒の大きさを定め、交流磁場解析を行った。
図9(A)(B)に示すようにコップ状円筒の円筒端部で発熱密度は大きくなっており、また、図10(A)(B)に示すようにコップ状円筒でも半径が誘導コイルに近いため発熱密度は若干大きくなっているが、図8(B)(D)と比較して結晶育成用坩堝では大きな差は認められなかった。
一方、結晶育成用坩堝内における融液の温度分布[図11(A)参照]を見ると、図11(B)の温度分布と比較して加熱効果は大きくないことが確認される。
特許文献3のコップ状円筒が適用された場合、結晶育成用坩堝の外側底面部に設置されるコップ状円筒に図2(B)に示すような円盤形状の板材g1が存在し、結晶育成用坩堝の外側底面部における厚さが板材g1の厚さ分だけ大きくなり、この結果、結晶育成用坩堝の外側底面部の熱抵抗が大きくなるため、コップ状円筒による加熱効果は弱いことが考えられる。
このため、特許文献3に係るコップ状円筒の改良が必要であることが確認された。
尚、図11(B)は、後述する本発明の貴金属円筒部材(円筒加熱体)が適用された結晶育成用坩堝内の融液温度を示している。
(3)特許文献4の金属製筒状ヒーターによる加熱効果
特許文献4の金属製筒状ヒーターi(図3参照)が適用された場合、イリジウム坩堝aの外側底面部と上記金属製筒状ヒーターiと間に、耐火性坩堝(保温材として作用する)bおよび耐火性坩堝b内に充填された断熱材jが介在するため、金属製筒状ヒーターiからの熱はイリジウム坩堝aの外側底面部に伝わり難い。
従って、金属製筒状ヒーターiによる坩堝外側底面部への加熱効果も弱いことから、従来技術の改良が必要であることが確認された。
そこで、本発明の課題とするところは、結晶育成用坩堝底部の発熱を効率的に高められる坩堝構造体の改変を図り、これにより坩堝底部からの原料凝固やそれを原因とする融液の対流異常、単結晶の不均質な成長、原料凝固物と単結晶の衝突等が抑制される単結晶育成装置を提供することにある。
本発明者等は、上記課題を解決するため鋭意研究を重ねた結果、特許文献3に記載された貴金属製物体(上記コップ状円筒若しくはコップ状円筒加熱体と記す)の構造に代えて、貴金属製の円筒部材、すなわち図2(B)に示す円盤形状の板材g1を有しない筒状体構造を採用することで、坩堝底部からの原料凝固やそれを原因とする融液の対流異常、単結晶の不均質な成長、原料凝固物と単結晶の衝突等を抑制できることを見出すに至った。
すなわち、本発明に係る第1の発明は、
一端側が開放された耐火性坩堝と、
上記耐火性坩堝の開放端側に配置されかつ耐火性坩堝の空間部と連通する空間部を有して耐火性坩堝と円筒状空間を形成する保温材と、
上記円筒状空間内の下方側に支持台を介して配置されかつ一端側が開放された結晶育成用坩堝と、
上記耐火性坩堝と結晶育成用坩堝間および耐火性坩堝と上記支持台間の各隙間空間に充填された断熱材と、
上記結晶育成用坩堝の開放端にリフレクターを介して配置された円筒状のアフターヒーターと、
上記耐火性坩堝の周囲に配置された高周波誘導コイルをチャンバー内に備え、
結晶引上げ軸先端に取り付けられた種結晶を上記結晶育成用坩堝の原料融液に接触させて単結晶を育成する単結晶育成装置において、
上記結晶育成用坩堝の外側底面部に、高周波誘導コイルで加熱される貴金属製円筒部材がその中心軸を結晶育成用坩堝の中心軸に整合させて取り付けられており、かつ、
上記貴金属製円筒部材の半径Rが、結晶育成用坩堝の外側底面部の半径Rに対して、
1/3≦R/R≦1
上記貴金属製円筒部材の高さHが、結晶育成用坩堝の高さHに対して、
1/8≦H/H≦1/2
の関係を満たしていると共に、
上記結晶育成用坩堝の支持台が貴金属製円筒部材の筒部内に嵌合していることを特徴とするものである。
本発明に係る単結晶育成装置によれば、
結晶育成用坩堝底部の発熱を効率的に高めることが可能となり、これにより上記坩堝底部の温度低下を防止できるため、坩堝底部からの原料凝固が抑制されて結晶育成の歩留まりを向上させることができる。
特許文献1に示された単結晶育成装置の構成説明図。 図2(A)は坩堝の外側底面部に貴金属製物体(コップ状円筒)が設置された特許文献3に係る単結晶育成装置の構成説明図、図2(B)は上記貴金属製物体(コップ状円筒)の概略斜視図、図2(C)は図2(B)の概略断面図。 結晶育成用坩堝が収容された耐火性坩堝(保温材として作用する)の外側底面部に金属製筒状ヒーターが設置された特許文献4に係る単結晶育成装置の構成説明図。 本発明の実施形態に係る単結晶育成装置の構成説明図。 本発明の単結晶育成装置に係る結晶育成用坩堝の高さHと外側底面部の半径R、および、上記坩堝の外側底面部に付設された貴金属製円筒部材の高さHと半径Rをそれぞれ示す説明図。 本発明の単結晶育成装置に係る結晶育成用坩堝の底面と、高周波誘導コイルにおける最下端コイルの中央との距離の関係を示す説明図。 図7(A)は結晶育成用坩堝とその開放端にドーナツ板形状リフレクターを介し配置されたアフターヒーターとで構成される従来の坩堝構造体の概略断面図、図7(B)は上記坩堝構造体に対し高周波誘導コイルで高周波(500Hz、1kHz、3kHz、5kHz、10kHzから選択)を誘導した際の「るつぼ底からの距離」と「発熱密度」との関係(周波数依存性)を示すグラフ図。 図8(A)は図7(A)に示す従来の坩堝構造体の概略断面図、図8(B)は上記坩堝構造体に対し高周波誘導コイルで高周波(7kHzを選択)を誘導した際の「るつぼ底からの距離」と「発熱密度」との関係を示すグラフ図、図8(C)は従来の坩堝構造体の概略断面図、図8(D)は上記坩堝構造体に対し高周波誘導コイルで高周波(7kHzを選択)を誘導した際の「るつぼ底中央からの距離」と「発熱密度」との関係を示すグラフ図。 図9(A)は結晶育成用坩堝とドーナツ板形状リフレクターを介し配置されたアフターヒーターと上記坩堝の外側底面部に設置されたコップ状円筒とで構成される特許文献3に係る坩堝構造体の概略断面図、図9(B)は上記坩堝構造体に対し高周波誘導コイルで高周波(7kHzを選択)を誘導した際の「るつぼ底からの距離」と「発熱密度」との関係を示すグラフ図。 図10(A)は特許文献3に係る坩堝構造体の概略断面図、図10(B)は特許文献3に係る坩堝構造体に対し高周波誘導コイルで高周波(7kHzを選択)を誘導した際の「るつぼ底中央からの距離」と「発熱密度」との関係を示すグラフ図。 図11(A)はコップ状円筒加熱体が設置された特許文献3に係る坩堝構造体における坩堝内融液の温度分布を「Temperature Contour 1」のカラーで表示した温度分布図、図11(B)は本発明の貴金属製円筒部材(円筒加熱体)が付設された坩堝構造体における坩堝内融液の温度分布を「Temperature Contour 1」のカラーで表示した温度分布図、図11(C)は温度をカラーで示す上記「Temperature Contour 1」。 図12(A)は本発明に係る貴金属製円筒部材が付設された坩堝構造体(円筒加熱体有)の坩堝近傍と坩堝内融液の温度分布を「Temperature Contour 1」のカラーで表示した温度分布図、図12(B)は上記貴金属製円筒部材が付設されない従来の坩堝構造体(円筒加熱体無)の坩堝近傍と坩堝内融液の温度分布を「Temperature Contour 1」のカラーで表示した温度分布図、図12(C)は温度をカラーで示す上記「Temperature Contour 1」。 図13(A)は結晶育成用坩堝とリフレクターを介し配置されたアフターヒーターと上記坩堝の外側底面部に付設された本発明に係る貴金属製円筒部材(貴金属製部材)で構成された坩堝構造体(円筒加熱体有)の坩堝、リフレクター、アフターヒーター、坩堝内融液および種結晶について、「Temperature Contour 2」(温度範囲1590℃〜1720℃)のカラーで表示した温度分布図、図13(B)は上記貴金属製円筒部材が付設されない従来の坩堝構造体(円筒加熱体無)の坩堝、リフレクター、アフターヒーター、坩堝内融液および種結晶について、温度範囲1590℃〜1720℃として上記「Temperature Contour 2」のカラーで表示した温度分布図、図13(C)は温度をカラーで示す上記「Temperature Contour 2」。 図14(A)は結晶育成用坩堝とドーナツ板形状リフレクターを介し配置されたアフターヒーターと上記坩堝の外側底面部に付設された本発明に係る貴金属製円筒部材(円筒加熱体)で構成された坩堝構造体の概略断面図、図14(B)は上記円筒加熱体に代えてコップ状円筒加熱体が設置された坩堝構造体の概略断面図、図14(C)は各坩堝構造体に対し高周波誘導コイルで高周波(7kHzを選択)を誘導した際の「るつぼ底からの距離」と「発熱密度」との関係を示すグラフ図。 図15(A)は結晶育成用坩堝の高さをH、外側底面部の半径をR、上記坩堝の外側底面部に付設される本発明に係る貴金属製円筒部材(円筒加熱体)の高さをH、半径をRとし、かつ、半径比(R/R)および高さ比(H/H)が、マル1(R/R=1、H/H=1/2)、マル2(R/R=1、H/H=1/8)、マル3(R/R=1/3、H/H=1/2)、および、マル4(R/R=1/3、H/H=1/8)とした場合の(R/R)と(H/H)との関係を示すグラフ図、図15(B)は円筒加熱体が付設されない坩堝構造体(円筒加熱体無)の坩堝近傍と坩堝内融液の温度分布、および、上記円筒加熱体が付設されかつ(R/R)と(H/H)がマル1〜マル4に設定された坩堝構造体の坩堝近傍と坩堝内融液の各温度分布を「Temperature Contour 2」のカラーで表示した温度分布図、図15(C)は温度をカラーで示す上記「Temperature Contour 2」。 図16(A)は(R/R)と(H/H)が上記マル1〜マル4とした場合の(R/R)と(H/H)との関係を示すグラフ図、図16(B)は本発明に係る貴金属製円筒部材が付設されない坩堝構造体(円筒無)、および、円筒加熱体が付設されかつ(R/R)と(H/H)がマル1〜マル4に設定された各坩堝構造体の「坩堝底中心から側面方向の距離」と「融液底面の温度」との関係を示すグラフ図。
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明するが、本発明に係る技術事項は以下の実施の形態に限定されるものではない。
まず、本実施の形態に係る単結晶育成装置は、図4に示すように一端側が開放された耐火性坩堝(保温材として作用する)6と、該耐火性坩堝6の開放端側に配置されかつ耐火性坩堝6の空間部と連通する空間部を有して上記耐火性坩堝6と円筒状空間を形成する保温材9と、該円筒状空間内の下方側に支持台8を介して配置されかつ一端側が開放された結晶育成用坩堝4と、上記耐火性坩堝6と結晶育成用坩堝4との間および耐火性坩堝6と上記支持台8との間の各隙間空間に充填された発泡ジルコニア等から成る断熱材7と、上記結晶育成用坩堝4の開放端にドーナツ板形状のリフレクター14を介し配置された円筒状のアフターヒーター13と、上記耐火性坩堝6の周囲を巻き回すように配置された金属製の高周波誘導コイル2と、耐火性坩堝6の底面側を支持する耐火性坩堝用支持台12をチャンバー1内に備えており、結晶引上げ軸11の先端に取り付けられた種結晶10を結晶育成用坩堝4の原料融液3に接触させて単結晶を育成するようになっている。
また、上記結晶育成用坩堝4の外側底面部には高周波誘導コイル2で誘導加熱される貴金属製円筒部材5がその中心軸を結晶育成用坩堝4の中心軸に整合させて融着設置され、かつ、結晶育成用坩堝4の支持台8は貴金属製円筒部材5の筒部内に嵌合されている。
そして、各構成要素について説明する。
まず、チャンバー1は、結晶育成用坩堝4および高周波誘導コイル2からの熱を遮断すると共に、これら部材を収容する機能を有する。また、チャンバー1は、所定の垂直断面で水平方向等に分割可能になっており、これにより結晶育成用坩堝4および高周波誘導コイル2等が露出可能な構造となっている。
耐火性坩堝用支持台12は、保温材として作用する耐火性坩堝6と、該耐火性坩堝6の空間部と連通する空間部を有する上記保温材9を保持するための支持台であり、ジルコニア等の材料により構成されている。また、上述したように耐火性坩堝6の空間部と保温材9の空間部とで円筒状空間を形成している。尚、耐火性坩堝6にはアルミナ等が用いられ、上記保温材9にはジルコニア、アルミナ等が用いられる。
上記結晶育成用坩堝4は、坩堝内に結晶原料を保持しかつ結晶を育成するための容器である。結晶原料は、結晶化する金属等が溶融した融液3の状態で保持される。結晶育成用坩堝4は、結晶原料にもよるが耐熱性のある白金やイリジウム等で構成される。
また、上記結晶育成用坩堝4を支持する支持台8には、ジルコニア、アルミナ等が用いられる。
また、チョクラルスキー法により育成される単結晶は、単結晶の引き上げが進むに従って結晶育成用坩堝4から遠ざかって行くため単結晶の温度分布が大きくなり、単結晶に割れ等の不具合を発生させる場合がある。この不具合を回避するため上記結晶育成用坩堝4の開放端にドーナツ板形状のリフレクター14を介しアフターヒーター13が配置されており、これにより適切な温度分布が維持されるようになっている。アフターヒーター13の形状は、その内径が育成しようとする酸化物単結晶の直径より大きくかつ結晶育成用坩堝4の直径より小さく設定する。アフターヒーター13の全長は、育成しようとする酸化物単結晶の全長の半分より長く、二倍より短い円筒状とする。また、上記アフターヒーター13は白金やイリジウム等の金属で作製される。
上記耐火性坩堝6の周囲を巻き回すように配置される金属製の高周波誘導コイル2は、結晶育成用坩堝4、貴金属製円筒部材5、リフレクター14、および、アフターヒーター13を誘導加熱するための手段であり、結晶育成用坩堝4、貴金属製円筒部材5、リフレクター14、および、アフターヒーター13の上方を囲むように配置される。高周波誘導コイル2は、結晶育成用坩堝4、貴金属製円筒部材5、リフレクター14、および、アフターヒーター13を誘導加熱できればその形態は問わない。
また、上記結晶引上げ軸11は、その先端に種結晶10を保持し、結晶育成用坩堝4内の結晶原料(原料融液3)表面に上記種結晶10を接触させ、回転しながら結晶を引き上げるための手段である。結晶引上げ軸11は、種結晶10を保持する種結晶保持部を下端部に有し、かつ、回転機構であるモーターを備えた引き上げ軸駆動機構を有する。また、上記モーターは、結晶引き上げの際、結晶を回転させながら引き上げる動作を行うための回転駆動機構を備えている。
本実施の形態に係る単結晶育成装置の特徴は、結晶育成用坩堝4の外側底面部に高周波誘導コイル2で誘導加熱される貴金属製円筒部材5がその中心軸を結晶育成用坩堝4の中心軸に整合させて付設(融着設置)されている点にある。すなわち、上記結晶育成用坩堝4に対する貴金属製円筒部材5の寸法を最適化することで結晶育成用坩堝4底部の発熱を効率的に実現し、これにより結晶育成用坩堝4底部の温度低下を抑制し、結晶育成用坩堝4底部からの融液固化の発生を阻止して、結晶の歩留まりを向上させている。
尚、後述する確認実験から、貴金属製円筒部材5の寸法が下記条件を満たした場合、結晶育成用坩堝4底部からの融液固化の発生を阻止することが可能となる。
すなわち、
貴金属製円筒部材5の半径Rが、結晶育成用坩堝4の外側底面部の半径Rに対して、
1/3≦R/R≦1
上記貴金属製円筒部材5の高さHが、結晶育成用坩堝4の高さHに対して、
1/8≦H/H≦1/2
の関係を満たした場合、結晶育成用坩堝4底部からの融液固化の発生を阻止することが可能となる。
ここで、上記(R/R)が1/3未満の場合、結晶育成用坩堝4底部の発熱が結晶育成用坩堝4底部の中央部周辺に限られてしまうため、結晶育成用坩堝4底部の効率的な発熱を実現させることが困難となる。一方、上記(R/R)が1を超えた場合、貴金属製円筒部材5の円筒壁面が結晶育成用坩堝4の側壁面より外側の位置になるため、上記結晶育成用坩堝4底部を均一に加熱することが困難となる。
また、上記(H/H)が1/8未満の場合、貴金属製円筒部材5による発熱の効果が不十分となるため、結晶育成用坩堝4底部の効率的な発熱を実現させることが困難となる。一方、上記(H/H)が1/2を超えた場合、貴金属製円筒部材5の先端が過剰に発熱して結晶育成用坩堝4底部の端部側がより発熱するため、結晶育成用坩堝4底部を均一に加熱することが困難となる。
従って、1/3≦R/R≦1、および、1/8≦H/H≦1/2の条件が満たされるように設定することを要する。
また、本実施の形態に係る単結晶育成装置を用いて育成される単結晶の種類については特に限定されず、例えば、ニオブ酸リチウム原料若しくはタンタル酸リチウム原料を用いてタンタル酸リチウム単結晶若しくはニオブ酸リチウム単結晶の育成が可能である。その他、サファイア単結晶を始めとして種々の酸化物単結晶を育成するための結晶原料を用いることができる。
[確認実験]
実施の形態に係る坩堝構造体(結晶育成用坩堝の外側底面部に本発明の貴金属製円筒部材をその中心軸を上記結晶育成用坩堝の中心軸に整合させて付設した坩堝構造体)、および、従来例に係る坩堝構造体(上記貴金属製円筒部材を有しない従来の坩堝構造体)に対し、それぞれ高周波誘導加熱を行ったときの発熱状態を、以下のシミュレーションによって比較、確認する確認実験を行った。
シミュレーションには、解析ソフトとして、有限要素解析ソフト[ANSYS:ANSYS Inc.]を用いた。
(シミュレーション解析条件)
高周波誘導コイルで作られる高周波磁場による誘導加熱に関する解析条件を以下に示す。
本実施の形態に係る単結晶育成装置における部材の形状が、図4に示すように軸対称であることから2次元軸対称モデルを作成した。
高周波磁場により誘導加熱される構成要素としてイリジウム製の「結晶育成用坩堝4」、イリジウム製の「リフレクター14」、イリジウム製の「アフターヒーター13」、「高周波誘導コイル2」、および、円筒状空間部に存在する「ガス」を解析の対象とした。
尚、本発明に関しては、誘導加熱される構成要素として、該坩堝4の外側底面部に付設されたイリジウム製の「貴金属製円筒部材5」を加えた。
計算に使用した材料定数は、イリジウムの電気抵抗率:46.6×10-8(Ω・m)、真空の透磁率:4π×10-7(H/m)である。
高周波磁場解析から、結晶育成用坩堝4、リフレクター14、アフターヒーター13に誘導される電流密度i(A/m2)を求め、ρi2(ρ:電気抵抗率)の式によりモデルの各要素の発熱密度q(W/m3)を算出する。そして、発熱密度に各要素の体積を掛けると各要素の発熱量が求まる。
一方、炉内温度分布の計算は、熱流体解析ソフトCFX(ANSYS Inc.)を用いた。発熱荷重条件として、上記磁場解析で求めた結晶育成用坩堝4、リフレクター14、アフターヒーター13の発熱密度を熱流体解析モデル内の結晶育成用坩堝、リフレクター、アフターヒーター部に設定した。チャンバー(SUS)1の冷却水領域の壁を30℃固定として熱流体解析を行うことで炉内の温度分布を求めた。
(単結晶育成装置の具体的構造)
図4に示す主要部構成として、外径205mmφ、高さ180mm、厚さ2.5mmのイリジウム製の平底結晶育成用坩堝4の外側底面部に、外径135mmφ、高さ50mm、厚さ2.5mmのイリジウム製の貴金属製円筒部材5を融着配置させ、かつ、結晶育成用坩堝4の支持台8が貴金属製円筒部材5の筒部内に嵌合(嵌入)される構成とした。
高周波誘導コイル2は、ピッチ30mmで12ターン巻かれている。管状コイルの断面形状は20mm×20mm、管の厚さは1.5mmであり、かつ、結晶育成用坩堝4の底面と高周波誘導コイル2の最下端中央との距離が、図6に示すように80mmとなるように高周波誘導コイル2の高さ位置を調整した。
また、上記高周波誘導コイル2におけるコイル電流の周波数は、標準として7kHzとし、種結晶と融液との界面の温度が融点1650℃になるようにパワーを調整した。
結晶育成用坩堝4内における融液3の高さは166mmで、8mm角×70mmの種結晶10を融液表面に接触させている。
(1)従来例に係る坩堝構造体における発熱密度分布のコイル周波数の影響
(1-1)本発明の貴金属製円筒部材が付設されていない従来例に係る坩堝構造体に対し、高周波誘導コイル2におけるコイル電流の周波数を500Hz、1kHz、3kHz、5kHz、10kHzと変化させて誘導加熱し、その発熱密度分布への影響を調べた。
また、高周波誘導コイル2におけるコイル電流の周波数を7kHzとしたときの、
(a)結晶育成用坩堝4における側面部の発熱密度分布、
(b)結晶育成用坩堝4における底面部の発熱密度分布について調べた。
(1-2)調査結果
コイル周波数の影響についての解析結果をみると、図7(B)に示すように、1kHz以下の比較的低周波では、結晶育成用坩堝の発熱密度分布は坩堝側壁に沿ってほぼ均一であるが、結晶育成炉で一般に使われる7kHz以上の高周波では、結晶育成用坩堝の角部(坩堝底面と側壁とで形成される角部)や坩堝とアフターヒーターとの接続部(ドーナツ板形状リフレクターの配置部位)等のエッジ部、アフターヒーター端部に発熱が集中することが確認された。
また、結晶育成用坩堝底面部の発熱密度分布では、図8(D)に示すように坩堝底部の中心部から角部までの間の発熱はほとんどなく、坩堝底部の角部で発熱することが確認された。
また、坩堝内融液の温度分布を見ると、本発明の貴金属製円筒部材が付設(融着設置)されていない場合、図12(B)に示されるように、結晶育成用坩堝の内部はほぼ同様の温度となっているが、結晶育成用坩堝の上部、リフレクター、アフターヒーターでは、温度上昇が見られず、結晶を引き上げるとき、結晶が急激に冷却されて割れてしまうという問題が起こる可能性が高い。
尚、図12(A)は、本発明の貴金属製円筒部材が付設(融着設置)された場合の坩堝近傍と坩堝内融液の温度分布を「Temperature Contour 1」のカラーで表示した温度分布図であるが、上記貴金属製円筒部材が付設(融着設置)されない図12(B)の温度分布図と比較して坩堝近傍(リフレクター、アフターヒーター)と種結晶上端部の温度が若干低く示されている。この点について下記(2-2-1)(2-2-2)欄において補足説明する。
(2)結晶育成用坩堝の外側底面部に貴金属製円筒部材が融着設置されている場合
(2-1)結晶育成用坩堝の外側底面部に貴金属製円筒部材が付設された実施の形態に係る坩堝構造体に対し、高周波誘導コイル2におけるコイル電流の周波数を7kHzとしたときの、
(a)結晶育成用坩堝4における側面部の発熱密度分布、
(b)結晶育成用坩堝4における底面部の発熱密度分布について調べた。
(2-2)調査結果
結晶育成用坩堝4側面部の発熱密度分布は、図14(C)に示すように、貴金属製円筒部材5の円筒部端部で発熱があることが確認された。結晶育成用坩堝4のその他側面部の発熱密度分布は、従来例に係る坩堝構造体の構造の場合とほとんど変化が無く、結晶育成用坩堝の角部(坩堝底面と側壁とで形成される角部)や坩堝とアフターヒーターとの接続部(ドーナツ板形状リフレクターの配置部位)等のエッジ部、アフターヒーター端部に発熱が集中することが確認された。
一方、結晶育成用坩堝4底面部の発熱密度分布は、図11(B)に示すように、貴金属製円筒部材5の円筒部端部で発熱があり、熱伝導により貴金属製円筒部材5で発熱密度が増加しており、結晶育成用坩堝4の底面部が加熱されていることが確認された。
(2-2-1)ところで、本発明の貴金属製円筒部材が付設された場合における坩堝近傍と坩堝内融液の温度分布、および、上記貴金属製円筒部材が付設されない場合における坩堝近傍と坩堝内融液の温度分布については、図12(C)「Temperature Contour 1」(温度範囲30℃〜1720℃を色相表示)で図12(A)(B)に既に表示しているが、該図12(A)(B)で示した各部の温度の違いがより分かり易くなるように、図13(C)の「Temperature Contour 2」(温度範囲1590℃〜1720℃を色相表示)により、貴金属製円筒部材が付設された場合における坩堝近傍と坩堝内融液の温度分布[図13(A)参照]、および、貴金属製円筒部材が付設されない場合における坩堝近傍と坩堝内融液の温度分布[図13(B)参照]を示す。
(2-2-2)上記貴金属製円筒部材5の付設(融着設置)があると、融液を効率よく暖められるので、種結晶先端の温度を融点にするために必要な、坩堝、リフレクター、アフターヒーター全体の発熱量は少なくて済む。このため、図13(A)に示すようにアフターヒーターの温度は低く、種結晶上端部の温度も低くなっている。従って、種結晶とシード軸を伝って融液の熱が移動し易くなるため、融液の温度が下がり温度勾配が大きくなる。温度勾配が大きいと結晶は急成長しにくくなり、結晶育成の制御性が良くなるという効果を得られることが確認された。
(2-2-3)他方、貴金属製円筒部材5の付設(融着設置)が無いと、貴金属製円筒部材5の付設(融着設置)がある場合に較べ、図13(B)に示すようにアフターヒーターの温度は高く、種結晶の上端部の温度が高くなっていることが分かる。
この結果、融液に接する種結晶先端の温度と上端部との温度差は小さく、種結晶とシード軸を通じて融液の熱が逃げにくくなり、種結晶先端部近傍の融液の温度は下がらず、種結晶先端部近傍の融液の温度勾配は小さくなっていることが分かる。
このため、この状態から、加熱パワーを下げて温度を下げた場合、結晶が急成長する恐れがあることが推定された。
(3)コップ状円筒を設置した特許文献3に係る坩堝構造体の解析
(3-1)白金製結晶育成用坩堝と、リフレクターを介し組み込まれた白金製アフターヒーターと、上記白金製結晶育成用坩堝の外側底面部に設置された白金製のコップ状円筒とで構成される特許文献3に係る坩堝構造体に対し、高周波誘導コイルで高周波を誘導した際の発熱密度分布への影響について交流磁場解析を行った。
尚、特許文献3(特開昭56−88895号公報)の第2図に記載された坩堝とコップ状円筒から、コップ状円筒の半径R=(3/4)R(R:結晶育成用坩堝の外側底面部半径)、コップ状円筒の高さH=(1/3)H(H:結晶育成用坩堝の高さ)と読み取り、かつ、本実施例1で適用した外径205mmφ、高さ180mm、平底形状結晶育成用坩堝の寸法に上記寸法比率を適用して白金製コップ状円筒の大きさを定め、交流磁場解析を行った。
(3-2)調査結果
図14(A)〜(C)の解析結果から、白金製コップ状円筒の円筒端部で発熱密度は大きくなっており[図14(C)参照]、円筒部でも半径が誘導コイルに近いため発熱密度は若干大きくなっているが、坩堝部では大きな差は認められなかった。
一方、坩堝内融液の温度分布を見ると、図11(A)に示すように、白金製コップ状円筒は、特許文献3の第3図に示されているようにコップ状円筒の上部に円盤形状の板材が融着されており、坩堝底部に接触配置すると坩堝底部の厚さが板材の厚さ分だけ厚くなり、坩堝底部への熱抵抗が大きくなって坩堝底部を加熱する効果は本発明に較べて大きくないことが分かる。
坩堝内融液の温度分布を見ると、図11(B)に示すように、本発明の貴金属製円筒部材5が結晶育成用坩堝4の外側底面部に融着されていることから、貴金属製円筒部材5の円筒端部での発熱が坩堝4底部に伝導し、坩堝底部が加熱され、融液全体に温度が上昇しており、図11(A)の特許文献3に係るコップ状円筒(コップ状円筒加熱体)が配置された場合と比較し、発熱を効率的に改善していることが確認される。
(4)貴金属製円筒部材5の半径Rおよび高さHを変更したときの坩堝近傍温度分布
本発明に係る単結晶育成装置において、貴金属製円筒部材の半径Rが、結晶育成用坩堝の外側底面部の半径Rに対して、
1/3≦R/R≦1
上記貴金属製円筒部材の高さHが、結晶育成用坩堝の高さHに対して、
1/8≦H/H≦1/2
の関係を満たすことを要件としている。
(4-1)上記要件の是非を確認するため、貴金属製円筒部材5の半径Rと高さHを変更したときの坩堝近傍および融液内の温度分布について交流磁場解析を行った。
すなわち、図5に示すように結晶育成用坩堝の高さをH、外側底面部の半径をR、上記坩堝の外側底面部に付設される貴金属製円筒部材(円筒加熱体)の高さをH、半径をRとしたとき、半径比(R/R)および高さ比(H/H)が下記マル1〜マル4に設定された4タイプについて交流磁場解析を行った。
マル1(R/R=1、H/H=1/2)、
マル2(R/R=1、H/H=1/8)
マル3(R/R=1/3、H/H=1/2)、
マル4(R/R=1/3、H/H=1/8)
(4-2)調査結果
上記円筒加熱体が付設されない坩堝構造体(円筒加熱体無)、および、円筒加熱体が付設されかつ(R/R)と(H/H)がマル1〜マル4に設定された坩堝構造体の坩堝近傍と坩堝内融液の各温度分布を「Temperature Contour 2」[図15(C)参照]のカラーで表示した図15(B)の温度分布図から確認されるように、円筒加熱体が付設された場合、円筒加熱体無しに較べて融液底面部の温度が上昇することが分かった。
温度上昇の効果は、円筒部半径Rが大きい方が、効果があることが確認され、マル1>マル2>マル4>マル3の順で効果が大きいことが分かった。
また、図16(B)は上記円筒加熱体が付設されない坩堝構造体(円筒無)、および、円筒加熱体が付設されかつ(R/R)と(H/H)がマル1〜マル4に設定された各坩堝構造体について、坩堝底中心から側面に向かっての融液底面部における温度の温度分布を示したものである。
円筒加熱体が付設されない坩堝構造体(円筒加熱体無)と比較して、融液底面部における温度は、マル3の場合は円筒部近傍で温度上昇の弱い領域が存在するが、その他の範囲では融液の温度上昇が確認され、上記円筒加熱体の設置が有効であることが確認された。温度上昇の効果は、円筒部半径Rが大きい方が、効果があることが確認され、マル1>マル2>マル4>マル3の順で効果が大きいことが分かった。
以下、本発明の実施例について比較例も挙げて具体的に説明する。
[実施例1]
図4に示す育成装置を用いてLiTaO3(LT)単結晶の育成を行った。
[結晶育成用坩堝4]
外径205mmφ、高さ180mm、厚さ2.5mm、平底形状のイリジウム製結晶育成用坩堝4の外側底面部に、外径135mmφ、高さ50mm、厚さ2.5mmのイリジウム製円筒部材5を融着させた坩堝構造体が適用され、かつ、結晶育成用坩堝4のジルコニア製支持台8に上記イリジウム製円筒部材5の筒部を篏合させて固定した。
[高周波誘導コイル2]
高周波誘導コイル2は、ピッチ30mmで12ターン巻かれている。また、管状コイル(冷却水が管状内部を流れる)の断面形状は、20mm×20mm、厚さ1.5mmで、かつ、高周波誘導コイル2の最下端中央部と結晶育成用坩堝4の外側底面部との距離が80mmになるように高周波誘導コイル2の高さ位置を調整した(図6参照)。
[育成条件]
高周波誘導コイル2におけるコイル電流の周波数は標準として7kHzとし、種結晶と原料融液との界面温度が融点1650℃になるようにパワーを調整した。
また、結晶育成用坩堝4内の原料融液高さは166mmで、8mm角×70mmの種結晶を融液表面に接触させてLiTaO3(LT)単結晶を育成した。
[LiTaO3結晶原料]
化学量論比でLiとTa比率が48.4:51.6(コングルエント組成)になるように炭酸リチウム(Li2CO3)と酸化タンタル(Ta25)を秤量し、これ等材料を混合機によって十分に混合した後、この混合粉末を800〜1650℃で10時間仮焼してLiTaO3結晶原料を調製し、該LiTaO3結晶原料を上記結晶育成用坩堝4に投入した。
[育成結果]
育成中における結晶育成用坩堝4内の融液温度分布を調べたところ、図11(B)に示されると同様に結晶育成用坩堝4の底面部における温度低下が抑制されていることが確認された。
この結果、結晶育成用坩堝4底面部からの融液の固化の発生はなくなり、結晶育成の歩留まりを向上させることができた。
[比較例1]
上記イリジウム製円筒部材5を有しない底面部が平底形状のイリジウム製結晶育成用坩堝4が適用された点を除き実施例1と略同一の条件でLiTaO3単結晶を育成した。
[育成結果]
育成中における結晶育成用坩堝4内の融液温度分布を調べたところ、図15(B)における「円筒加熱体無」に示されると同様に結晶育成用坩堝4の底面中央部における温度低下が確認された。この結果、結晶育成用坩堝4底面部からの融液の固化が発生した。
[比較例2]
[結晶育成用坩堝4]
外径205mmφ、高さ180mm、厚さ2.5mm、平底形状のイリジウム製結晶育成用坩堝4の外側底面部に、外径135mmφ、高さ50mm、厚さ2.5mmのイリジウム製コップ型部材(一端側が開放されたカップ形状の部材)5の天面部(閉止面部)を接触配置させた坩堝構造体が適用された点を除き実施例1と略同一の条件でLiTaO3単結晶を育成した。
[育成結果]
育成中における結晶育成用坩堝4内の融液温度分布を調べたところ、図11(A)に示されると同様に結晶育成用坩堝4の底面部における温度低下が抑制されていることが確認された。
但し、図11(B)の実施例1に較べて結晶育成用坩堝4内の融液温度が低いことも確認された。比較例1よりも結晶長尺化できたが、やはり結晶育成用坩堝4底面部からの融液の固化が発生した。
この原因は、比較例2においてはイリジウム製コップ型部材(一端側が開放されたカップ形状の部材)が適用されているため、イリジウム製コップ型部材の天面部(閉止面部)が存在する分、結晶育成用坩堝4底面部が見かけ上厚くなり、実施例1に較べて結晶育成用坩堝4の底面部を温める効果が小さくなったためと考えられる。
この結果、実施例1に較べて結晶育成の歩留まりが若干低下した。
本発明の単結晶育成装置によれば、結晶育成用坩堝底部の発熱を効率的に高めることで坩堝底部の温度低下が防止されるため、坩堝底部からの原料凝固が抑制されて結晶育成の歩留まりを向上させることができる。このため、タンタル酸リチウム単結晶やニオブ酸リチウム単結晶の製造に利用される産業上の利用可能性を有している。
1 チャンバー
2 高周波誘導コイル
3 融液
4 結晶育成用坩堝
5 貴金属製円筒部材
6 耐火性坩堝
7 断熱材(バブル)
8 支持台
9 保温材
10 種結晶
11 結晶引上げ軸
12 耐火性坩堝用支持台
13 アフターヒーター
14 リフレクター

Claims (1)

  1. 一端側が開放された耐火性坩堝と、
    上記耐火性坩堝の開放端側に配置されかつ耐火性坩堝の空間部と連通する空間部を有して耐火性坩堝と円筒状空間を形成する保温材と、
    上記円筒状空間内の下方側に支持台を介して配置されかつ一端側が開放された結晶育成用坩堝と、
    上記耐火性坩堝と結晶育成用坩堝間および耐火性坩堝と上記支持台間の各隙間空間に充填された断熱材と、
    上記結晶育成用坩堝の開放端にリフレクターを介して配置された円筒状のアフターヒーターと、
    上記耐火性坩堝の周囲に配置された高周波誘導コイルをチャンバー内に備え、
    結晶引上げ軸先端に取り付けられた種結晶を上記結晶育成用坩堝の原料融液に接触させて単結晶を育成する単結晶育成装置において、
    上記結晶育成用坩堝の外側底面部に、高周波誘導コイルで加熱される貴金属製円筒部材がその中心軸を結晶育成用坩堝の中心軸に整合させて取り付けられており、かつ、
    上記貴金属製円筒部材の半径Rが、結晶育成用坩堝の外側底面部の半径Rに対して、
    1/3≦R/R≦1
    上記貴金属製円筒部材の高さHが、結晶育成用坩堝の高さHに対して、
    1/8≦H/H≦1/2
    の関係を満たしていると共に、
    上記結晶育成用坩堝の支持台が貴金属製円筒部材の筒部内に嵌合していることを特徴とする単結晶育成装置。
JP2017067220A 2017-03-30 2017-03-30 単結晶育成装置 Active JP6874473B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017067220A JP6874473B2 (ja) 2017-03-30 2017-03-30 単結晶育成装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017067220A JP6874473B2 (ja) 2017-03-30 2017-03-30 単結晶育成装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2018168022A JP2018168022A (ja) 2018-11-01
JP6874473B2 true JP6874473B2 (ja) 2021-05-19

Family

ID=64019316

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017067220A Active JP6874473B2 (ja) 2017-03-30 2017-03-30 単結晶育成装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6874473B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN116411337A (zh) * 2023-01-17 2023-07-11 上海应用技术大学 一种生长高熔点氧化物晶体的装置及晶体的生长方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2018168022A (ja) 2018-11-01

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5596788B2 (ja) サファイア単結晶成長方法とその装置
KR930003044B1 (ko) 실리콘 단결정의 제조방법 및 장치
JP6302192B2 (ja) 単結晶の育成装置及び育成方法
CN101445954A (zh) 一种控制直拉硅单晶生长过程中晶体和熔体界面处的温度梯度及热历史的方法
JP5163386B2 (ja) シリコン融液形成装置
JP2025061932A (ja) 単結晶製造装置及び単結晶の製造方法
JP6874473B2 (ja) 単結晶育成装置
US9938633B2 (en) System for manufacturing a crystalline material by directional crystallization provided with an additional lateral heat source
JP6326136B2 (ja) 単結晶成長装置
KR101381326B1 (ko) 실리콘으로 구성된 반도체 웨이퍼를 제조하는 방법
WO2011074533A1 (ja) 単結晶引き上げ装置および単結晶引き上げ方法
JP2007223830A (ja) 酸化物単結晶の育成方法
JP4203647B2 (ja) 単結晶の製造装置、及びその製造方法
JP2021109826A (ja) 坩堝変形量測定方法及び酸化物単結晶の製造方法
JP2018111633A (ja) 酸化物単結晶の育成装置及び育成方法
JP2005231958A (ja) サファイア単結晶育成装置
JP6702249B2 (ja) 酸化物単結晶の製造方法及び酸化物単結晶引き上げ装置
Mateika et al. Czochralski growth by the double container technique
JP5051044B2 (ja) シリコン単結晶の育成方法
JP7106978B2 (ja) 結晶育成装置及び単結晶の製造方法
JP2021100901A (ja) 単結晶育成装置と単結晶育成方法
JP2019052067A (ja) 単結晶育成装置
JPS6086092A (ja) 単結晶引上装置
CN121951672A (zh) 一种基于坩埚下降生长氧化镓单晶的方法
JP2025117662A (ja) 結晶育成装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20191224

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20200916

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20200930

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20201016

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20210323

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20210405

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6874473

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150