JP6780941B2 - 透明樹脂積層体 - Google Patents

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Description

本発明は、透明樹脂積層体に関する。更に詳しくは、比重が小さく、耐傷付性に優れ、車両の窓や風防等、建築物の窓や扉等、電子看板の保護板等、冷蔵庫等の家電製品の正面パネル等、食器棚等の家具の扉等、テレビ、パソコン、タブレット型情報機器、及びスマートフォンの筐体等、及びショーウインドウなどとして好適に用いることのできる透明樹脂積層体に関する。
従来、車両の窓や風防等、建築物の窓や扉等、電子看板の保護板等、及びショーウインドウなどには、透明性、剛性、耐傷付性、及び耐候性などの要求特性に合致することから、ガラスを基材とする物品が使用されてきた。また近年、ガラスは、その透明感のある意匠感から、冷蔵庫、洗濯機、食器棚、及び衣装棚などの物品の、本体正面の開口を開閉する扉体の正面パネルや、本体平面の開口を開閉する蓋体の平面パネルを構成する部材、特にパネル表面を構成する部材として注目されている。一方、ガラスには、耐衝撃性が低く割れ易い;加工性が低い;ハンドリングが難しい;比重が高く重い;物品の曲面化やフレキシブル化の要求に応えることが難しい;などの問題がある。そこでガラスに替わる材料が盛んに研究されており、ポリカーボネート系樹脂やアクリル系樹脂などの透明樹脂層と、ハードコート層とを有する透明樹脂積層体が提案されている(例えば、特許文献1及び2)。しかし、その耐傷付性はまだ不十分であり、ワイパーなどで繰返ししごかれたり、雑巾などで繰返し拭かれたりしても、初期の特性を維持できる透明樹脂積層体が求められている。
特開2014−043101号公報 特開2014−040017号公報
本発明の課題は、耐傷付性に優れた透明樹脂積層体を提供することにある。本発明の更なる課題は、透明性、及び耐傷付性に優れ、ワイパーなどで繰返ししごかれたり、雑巾などで繰返し拭かれたりしても、初期の特性を維持できるため、車両の窓や風防等、建築物の窓や扉等、電子看板の保護板等、冷蔵庫等の家電製品の正面パネル等、食器棚等の家具の扉等、テレビ、パソコン、タブレット型情報機器、及びスマートフォンの筐体等、及びショーウインドウなどとして好適に用いることのできる透明樹脂積層体を提供することにある。
本発明者は、鋭意研究した結果、特定の透明樹脂積層体により、上記課題を達成できることを見出した。
すなわち、本発明は、表面側から順に第1ハードコート、第2ハードコート、及び透明樹脂シートの層を有し、上記第1ハードコートは、
(A)多官能(メタ)アクリレート 100質量部;
(B)撥水剤 0.01〜7質量部;及び
(C)シランカップリング剤 0.01〜10質量部;
を含み、かつ無機粒子を含まない塗料からなり;
上記第2ハードコートは、
(A)多官能(メタ)アクリレート 100質量部;及び
(D)平均粒子径 1〜300nmの無機微粒子 50〜300質量部;
を含む塗料からなり;
上記透明樹脂シートは0.2mm以上の厚みを有する;
透明樹脂積層体である。
本発明の第2の発明は、上記(C)シランカップリング剤が、アミノ基を有するシランカップリング剤、及びメルカプト基を有するシランカップリング剤からなる群から選択される1種以上を含む、第1の発明に記載の透明樹脂積層体である。
本発明の第3の発明は、上記(B)撥水剤が、(メタ)アクリロイル基含有フルオロポリエーテル系撥水剤を含む、第1の発明又は第2の発明に記載の透明樹脂積層体である。
本発明の第4の発明は、上記第2ハードコートを形成する塗料が、更に(E)レベリング剤 0.01〜1質量部;を含む、第1〜3の発明の何れか1に記載の透明樹脂積層体である。
本発明の第5の発明は、表面側から順に第1ハードコート、第2ハードコート、及び透明樹脂シートの層を有し、上記第1ハードコートは無機粒子を含まない塗料からなり;上記第2ハードコートは無機粒子を含む塗料からなり;上記透明樹脂シートは0.2mm以上の厚みを有し;下記、(イ)〜(ハ)を満たす透明樹脂積層体である。
(イ)全光線透過率 80%以上。
(ロ)ヘーズ 5%以下。
(ハ)黄色度指数 3以下。
本発明の第6の発明は、表面側から順に第1ハードコート、第2ハードコート、及び透明樹脂シートの層を有し、上記第1ハードコートは無機粒子を含まない塗料からなり;上記第2ハードコートは無機粒子を含む塗料からなり;上記透明樹脂シートは0.2mm以上の厚みを有し;下記(ニ)及び(ホ)を満たす透明樹脂積層体である。
(ニ)上記第1ハードコート表面の水接触角が100度以上。
(ホ)上記第1ハードコート表面の往復2万回綿拭後の水接触角が100度以上。
本発明の第7の発明は、第1〜6の発明の何れか1に記載の透明樹脂積層体を含む物品である。
本発明の透明樹脂積層体は耐傷付性に優れる。本発明の好ましい透明樹脂積層体は透明性、及び耐傷付性に優れ、ワイパーなどで繰返ししごかれたり、雑巾などで繰返し拭かれたりしても、初期の特性を維持できる。そのため車両の窓や風防等、建築物の窓や扉等、電子看板の保護板等、冷蔵庫等の家電製品の正面パネル等、食器棚等の家具の扉等、テレビ、パソコン、タブレット型情報機器、及びスマートフォンの筐体等、及びショーウインドウなどとして好適に用いることができる。
本明細書において「シート」の用語は、フィルムや板をも含む用語として使用する。「樹脂」の用語は、2以上の樹脂を含む樹脂混合物や、樹脂以外の成分を含む樹脂組成物をも含む用語として使用する。
本発明の透明樹脂積層体は、表面側から順に第1ハードコート、第2ハードコート、及び透明樹脂シートの層を有し、ガラスに替わる材料として用いる目的から、高い透明性を有し、かつ着色のないものである。
第1ハードコート:
上記第1ハードコートは、通常、本発明の透明樹脂積層体の表面を形成する。上記第1ハードコートは、本発明の透明樹脂積層体を用いて物品を生産したとき、通常、物品の表面を形成する。上記第1ハードコートは、良好な耐擦傷性を発現し、ハンカチなどで繰返し拭かれたとしても指すべり性などの表面特性を維持する働きをする。
上記第1ハードコートは、無機粒子を含まない塗料からなる。上記第1ハードコートは、好ましくは、(A)多官能(メタ)アクリレート 100質量部;(B)撥水剤 0.01〜7質量部;及び(C)シランカップリング剤 0.01〜10質量部;を含み、かつ無機粒子を含まない塗料からなる。
無機粒子(例えば、シリカ(二酸化珪素);酸化アルミニウム、ジルコニア、チタニア、酸化亜鉛、酸化ゲルマニウム、酸化インジウム、酸化スズ、インジウムスズ酸化物、酸化アンチモン、及び酸化セリウム等の金属酸化物粒子;弗化マグネシウム、及び弗化ナトリウム等の金属弗化物粒子;金属硫化物粒子;金属窒化物粒子;及び金属粒子;など。)は、ハードコートの硬度を高めるのに効果が大きい。一方、上記成分(A)などの樹脂成分との相互作用は弱く、耐擦傷性を不十分なものにする原因となっていた。そこで本発明においては、最表面を形成する第1ハードコートには無機粒子を含まないようにして耐擦傷性を保持し、一方、第2ハードコートには多量の特定の無機微粒子を含ませて硬度を高めることにより、この問題を解決したものである。
ここで無機粒子を「含まない」とは、有意な量の無機粒子を含んではいないという意味である。ハードコート形成用塗料の分野において、無機粒子の有意な量は、上記成分(A)100質量部に対して、通常1質量部程度以上である。従って、無機粒子を「含まない」とは、上記成分(A)100質量部に対して、無機粒子の量が通常1質量部未満、好ましくは0.1質量部以下、より好ましくは0.01質量部以下と言い換えることもできる。
(A)多官能(メタ)アクリレート:
上記成分(A)は、1分子中に2以上の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレートであり、1分子中に2以上の(メタ)アクリロイル基を有するため、紫外線や電子線等の活性エネルギー線により重合・硬化して、ハードコートを形成する働きをする。
上記多官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、2,2‘−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシポリエチレンオキシフェニル)プロパン、及び、2,2’−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシポリプロピレンオキシフェニル)プロパン等の(メタ)アクリロイル基含有2官能反応性モノマー;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、及びペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリロイル基含有3官能反応性モノマー;ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリロイル基含有4官能反応性モノマー;ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等の(メタ)アクリロイル基含有6官能反応性モノマー;トリペンタエリスリトールアクリレート等の(メタ)アクリロイル基含有8官能反応性モノマー及びこれらの1種以上を構成モノマーとする重合体(オリゴマーやプレポリマー)をあげることができる。上記成分(A)としては、これらの1種又は2種以上の混合物を用いることができる。
なお本明細書において、(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートの意味である。
(B)撥水剤:
上記成分(B)は、耐指紋性を高める働きをする。
上記撥水剤としては、例えば、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス、及びアクリル・エチレン共重合体ワックス等のワックス系撥水剤;シリコンオイル、シリコン樹脂、ポリジメチルシロキサン、アルキルアルコキシシラン等のシリコン系撥水剤;フルオロポリエーテル系撥水剤、フルオロポリアルキル系撥水剤等の含弗素系撥水剤;などをあげることができる。上記成分(B)としては、これらの1種又は2種以上の混合物を用いることができる。
これらの中で、上記成分(B)としては、撥水性能の観点から、フルオロポリエーテル系撥水剤が好ましい。上記成分(A)と上記成分(B)とが化学結合ないしは強く相互作用し、上記成分(B)がブリードアウトするなどのトラブルを防止する観点から、上記成分(B)としては、分子内に(メタ)アクリロイル基とフルオロポリエーテル基とを含有する化合物を含む撥水剤(以下、(メタ)アクリロイル基含有フルオロポリエーテル系撥水剤と略す。)がより好ましい。上記成分(B)として更に好ましいのは、上記成分(A)と上記成分(B)との化学結合ないしは相互作用を適宜調節し、透明性を高く保ちつつ良好な撥水性を発現させる観点から、アクリロイル基含有フルオロポリエーテル系撥水剤とメタアクリロイル基含有フルオロポリエーテル系撥水剤との混和物である。なお(メタ)アクリロイル基含有フルオロポリエーテル系撥水剤は、分子内にフルオロポリエーテル基を含有する点で上記成分(A)とは明確に区別される。1分子中に2以上の(メタ)アクリロイル基を有し、かつフルオロポリエーテル基を有する化合物は、(メタ)アクリロイル基含有フルオロポリエーテル系撥水剤であって、上記成分(B)である。
上記成分(B)の配合量は、上記成分(A)100質量部に対して、上記成分(B)がブリードアウトするなどのトラブルを防止する観点から、通常7質量部以下、好ましくは4質量部以下、より好ましくは2質量部以下である。一方、成分(B)の使用効果を得るという観点から、通常0.01質量部以上、好ましくは0.05質量部以上、より好ましくは0.1質量部以上である。
(C)シランカップリング剤:
上記成分(C)は、上記第1ハードコートと上記第2ハードコートとの密着性を向上させる働きをする。
シランカップリング剤は、加水分解性基(例えば、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基;アセトキシ基等のアシルオキシ基;クロロ基等のハロゲン基;など)、及び有機官能基(例えば、アミノ基、メルカプト基、ビニル基、エポキシ基、メタクリロキシ基、アクリロキシ基、及びイソシアネート基など)の少なくとも2種類の異なる反応性基を有するシラン化合物である。これらの中で上記成分(C)としては、密着性の観点から、アミノ基を有するシランカップリング剤(アミノ基と加水分解性基を有するシラン化合物)、及びメルカプト基を有するシランカップリング剤(メルカプト基と加水分解性基を有するシラン化合物)が好ましい。密着性及び臭気の観点から、アミノ基を有するシランカップリング剤がより好ましい。
アミノ基を有するシランカップリング剤としては、例えば、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、及びN−(ビニルベンジル)−2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシランなどをあげることができる。
メルカプト基を有するシランカップリング剤としては、例えば、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、及び3−メルカプトプロピルトリメトキシシランなどをあげることができる。
上記成分(C)としては、これらの1種又は2種以上の混合物を用いることができる。
上記成分(C)の配合量は、上記成分(A)100質量部に対して、密着性向上効果を確実に得る観点から、通常0.01質量部以上、好ましくは0.05質量部以上、より好ましくは0.1質量部以上である。一方、塗料のポットライフの観点から、通常10質量部以下、好ましくは5質量部以下、より好ましくは1質量部以下であってよい。
上記第1ハードコート形成用塗料には、活性エネルギー線による硬化性を良好にする観点から、1分子中に2以上のイソシアネート基(−N=C=O)を有する化合物及び/又は光重合開始剤を更に含ませることが好ましい。
上記1分子中に2以上のイソシアネート基を有する化合物としては、例えば、メチレンビス−4−シクロヘキシルイソシアネート;トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、ヘキサメチレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、イソホロンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、トリレンジイソシアネートのイソシアヌレート体、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体、イソホロンジイソシアネートのイソシアヌレート体、ヘキサメチレンジイソシアネートのビウレット体等のポリイソシアネート;及び、上記ポリイソシアネートのブロック型イソシアネート等のウレタン架橋剤などをあげることができる。上記1分子中に2以上のイソシアネート基を有する化合物としては、これらの1種又は2種以上の混合物を用いることができる。また、架橋の際には、必要に応じてジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジエチルヘキソエートなどの触媒を添加してもよい。
上記光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、メチル−o−ベンゾイルベンゾエート、4−メチルベンゾフェノン、4、4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4′−メチルジフェニルサルファイド、3,3’,4,4’−テトラ(tert−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンジルメチルケタール等のベンゾイン系化合物;アセトフェノン、2、2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等のアセトフェノン系化合物;メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−アミルアントラキノン等のアントラキノン系化合物;チオキサントン、2、4−ジエチルチオキサントン、2、4−ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン系化合物;アセトフェノンジメチルケタール等のアルキルフェノン系化合物;トリアジン系化合物;ビイミダゾール化合物;アシルフォスフィンオキサイド系化合物;チタノセン系化合物;オキシムエステル系化合物;オキシムフェニル酢酸エステル系化合物;ヒドロキシケトン系化合物;及び、アミノベンゾエート系化合物などをあげることができる。上記光重合開始剤としては、これらの1種又は2種以上の混合物を用いることができる。
上記第1ハードコート形成用塗料には、所望に応じて、帯電防止剤、界面活性剤、レベリング剤、チクソ性付与剤、汚染防止剤、印刷性改良剤、酸化防止剤、耐候性安定剤、耐光性安定剤、紫外線吸収剤、熱安定剤、有機微粒子、及び有機着色剤などの添加剤を1種又は2種以上含ませることができる。
上記第1ハードコート形成用塗料は、塗工し易い濃度に希釈するため、所望に応じて溶剤を含んでいてもよい。上記溶剤は上記成分(A)〜(C)、及びその他の任意成分と反応したり、これらの成分の自己反応(劣化反応を含む)を触媒(促進)したりしないものであれば、特に制限されない。上記溶剤としては、1−メトキシ−2−プロパノール、酢酸エチル、酢酸nブチル、トルエン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ダイアセトンアルコール、及びアセトンなどをあげることができる。上記溶剤としては、これらの1種又は2種以上の混合物を用いることができる。
上記第1ハードコート形成用塗料は、これらの成分を混合、攪拌することにより得ることができる。
上記第1ハードコート形成用塗料を用いて上記第1ハードコートを形成する方法は特に制限されず、公知のウェブ塗布方法を使用することができる。上記方法としては、例えば、ロールコート、グラビアコート、リバースコート、ロールブラッシュ、スプレーコート、エアナイフコート、ディップコート及びダイコートなどの方法をあげることができる。
上記第1ハードコートの厚みは、耐擦傷性及び硬度の観点から、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは1μm以上である。一方、硬度及び第2ハードコートとの密着性の観点から、好ましくは5μm以下、より好ましくは4μm以下、更に好ましくは3μm以下である。
第2ハードコート
上記第2ハードコートは、無機粒子を含む塗料からなる。上記第2ハードコートは、好ましくは、(A)多官能(メタ)アクリレート 100質量部;及び(D)平均粒子径1〜300nmの無機微粒子 50〜300質量部;を含む塗料からなる。
上記(A)多官能(メタ)アクリレートについては、第1ハードコート形成用塗料の説明において上述した。上記成分(A)としては、これらの1種又は2種以上の混合物を用いることができる。
(D)平均粒子径 1〜300nmの無機微粒子:
上記成分(D)は、本発明の透明樹脂積層体の表面硬度を飛躍的に高める働きをする。
無機微粒子としては、例えば、シリカ(二酸化珪素);酸化アルミニウム、ジルコニア、チタニア、酸化亜鉛、酸化ゲルマニウム、酸化インジウム、酸化スズ、インジウムスズ酸化物、酸化アンチモン、及び酸化セリウム等の金属酸化物微粒子;弗化マグネシウム、及び弗化ナトリウム等の金属弗化物微粒子;金属硫化物微粒子;金属窒化物微粒子;及び金属微粒子;などをあげることができる。
これらの中でより表面硬度の高いハードコートを得るためにシリカや酸化アルミニウムの微粒子が好ましく、シリカの微粒子がより好ましい。シリカ微粒子の市販品としては、日産化学工業株式会社のスノーテックス(商品名)、扶桑化学工業株式会社のクォートロン(商品名)などをあげることができる。
無機微粒子の塗料中での分散性を高めたり、得られるハードコートの表面硬度を高めたりする目的で、当該無機微粒子の表面をビニルシラン、及びアミノシラン等のシラン系カップリング剤;チタネート系カップリング剤;アルミネート系カップリング剤;(メタ)アクリロイル基、ビニル基、及びアリル基等のエチレン性不飽和結合基やエポキシ基などの反応性官能基を有する有機化合物;及び脂肪酸、脂肪酸金属塩等の表面処理剤などにより処理したものを用いることは好ましい。
上記成分(D)としては、これらの1種又は2種以上の混合物を用いることができる。
上記成分(D)の平均粒子径は、ハードコートの透明性を保持する観点、及び硬度改良効果を確実に得る観点から、通常300nm以下、好ましくは200nm以下、より好ましくは120nm以下である。一方、平均粒子径の下限は特にないが、通常入手可能な無機微粒子は細かくてもせいぜい1nm程度である。
なお本明細書において、無機微粒子の平均粒子径は、日機装株式会社のレーザー回折・散乱式粒度分析計「MT3200II(商品名)」を使用して測定した粒子径分布曲線において、粒子の小さい方からの累積が50質量%となる粒子径である。
上記成分(D)の配合量は、上記成分(A)100質量部に対して、表面硬度の観点から、通常50質量部以上、好ましくは80質量部以上である。一方、透明性の観点から、通常300質量部以下、好ましくは200質量部以下、より好ましくは160質量部以下である。
(E)レベリング剤:
上記第2ハードコート形成用塗料には、上記第2ハードコートの表面を平滑なものにし、上記第1ハードコートを形成し易くする観点から、更に(E)レベリング剤を含ませることが好ましい。
上記レベリング剤としては、例えば、アクリル系レベリング剤、シリコン系レベリング剤、弗素系レベリング剤、シリコン・アクリル共重合体系レベリング剤、弗素変性アクリル系レベリング剤、弗素変性シリコン系レベリング剤、及びこれらに官能基(例えば、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、アシルオキシ基、ハロゲン基、アミノ基、ビニル基、エポキシ基、メタクリロキシ基、アクリロキシ基、及びイソシアネート基など。)を導入したレベリング剤などをあげることができる。これらの中で、上記成分(E)としては、シリコン・アクリル共重合体系レベリング剤が好ましい。上記成分(E)としては、これらの1種又は2種以上の混合物を用いることができる。
上記成分(E)の配合量は、上記成分(A)100質量部に対して、上記第2ハードコートの表面を平滑なものにし、上記第1ハードコートを形成し易くする観点から、通常0.01質量部以上、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.2質量部以上である。一方、上記第2ハードコートの上に、上記第1ハードコート形成用塗料が弾かれることなく良好に塗工できるようにする観点から、1質量部以下、好ましくは0.6質量部以下、より好ましくは0.4質量部以下であってよい。
上記第2ハードコート形成用塗料には、活性エネルギー線による硬化性を良好にする観点から、1分子中に2以上のイソシアネート基(−N=C=O)を有する化合物及び/又は光重合開始剤を更に含ませることが好ましい。
上記1分子中に2以上のイソシアネート基を有する化合物については、第1ハードコート形成用塗料の説明において上述した。上記1分子中に2以上のイソシアネート基を有する化合物としては、これらの1種又は2種以上の混合物を用いることができる。
上記光重合開始剤については、第1ハードコート形成用塗料の説明において上述した。上記光重合開始剤としては、これらの1種又は2種以上の混合物を用いることができる。
上記第2ハードコート形成用塗料には、所望に応じて、帯電防止剤、界面活性剤、チクソ性付与剤、汚染防止剤、印刷性改良剤、酸化防止剤、耐候性安定剤、耐光性安定剤、紫外線吸収剤、熱安定剤、着色剤、及び有機微粒子などの添加剤を1種又は2種以上含ませることができる。
上記第2ハードコート形成用塗料は、塗工し易い濃度に希釈するため、所望に応じて溶剤を含んでいてもよい。上記溶剤は上記成分(A)、上記成分(D)、及びその他の任意成分と反応したり、これらの成分の自己反応(劣化反応を含む)を触媒(促進)したりしないものであれば、特に制限されない。上記溶剤としては、1−メトキシ−2−プロパノール、酢酸エチル、酢酸nブチル、トルエン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ダイアセトンアルコール、及びアセトンなどをあげることができる。これらの中で、1−メトキシ−2−プロパノールが好ましい。上記溶剤としては、これらの1種又は2種以上の混合物を用いることができる。
上記第2ハードコート形成用塗料は、これらの成分を混合、攪拌することにより得ることができる。
上記第2ハードコート形成用塗料を用いて上記第2ハードコートを形成する方法は特に制限されず、公知のウェブ塗布方法を使用することができる。上記方法としては、例えば、ロールコート、グラビアコート、リバースコート、ロールブラッシュ、スプレーコート、エアナイフコート、ディップコート及びダイコートなどの方法をあげることができる。
上記第2ハードコートの厚みは、表面硬度の観点から、通常5μm以上、好ましくは10μm以上、より好ましくは15μm以上、更に好ましくは18μm以上である。一方、耐衝撃性の観点から、好ましくは30μm以下、より好ましくは27μm以下、更に好ましくは25μm以下であってよい。
透明樹脂シート
本発明の透明樹脂積層体は、透明樹脂シートの少なくとも一方の面の上に上記第2ハードコートを有し、更にその上に上記第1ハードコートを有する。なお上記第2ハードコートは、上記透明樹脂シートの少なくとも一方の面の上に、直接形成してもよく、アンカーコートを介して形成してもよく、透明樹脂フィルムの層などの任意の透明層を介して形成してもよい。上記透明樹脂シートとしては、本発明の透明樹脂積層体をガラスに替わる材料として用いる目的から、所定範囲の厚みを有し、高い透明性を有し、かつ着色のないものであること以外は制限されず、任意の透明樹脂シートを用いることができる。
上記透明樹脂シートは、全光線透過率(JIS K 7361−1:1997に従い、日本電色工業株式会社の濁度計「NDH2000(商品名)」を用いて測定。)が、好ましくは80%以上、より好ましくは85%以上、更に好ましくは90%以上である。全光線透過率は高いほど好ましい。
上記透明樹脂シートは、ヘーズ(JIS K 7136:2000に従い、日本電色工業株式会社の濁度計「NDH2000(商品名)」を用いて測定。)が、好ましくは5%以下、より好ましくは3%以下、更に好ましくは2%以下である。ヘーズは低いほど好ましい。
上記透明樹脂シートは、黄色度指数(JIS K 7105:1981に従い、島津製作所社製の色度計「SolidSpec−3700(商品名)」を用いて測定。)が、好ましくは3以下、より好ましくは2以下、更に好ましくは1以下である。黄色度指数は低いほど好ましい。
上記透明樹脂シートの厚みは、ガラスを代替する部材として必要な強度及び剛性を保持する観点、及びガラス調の深みのある意匠を付与する観点から、通常0.2mm以上、好ましくは0.5mm以上、より好ましくは0.8mm以上、更に好ましくは1mm以上である。一方、物品の軽量化の要求に応える観点から、通常10mm以下、好ましくは6mm以下、より好ましくは3mm以下であってよい。
上記透明樹脂シートの引張弾性率は、ガラスを代替する部材として必要な強度及び剛性を保持する観点から、好ましくは1500MPa以上、より好ましくは1800MPa以上である。引張弾性率の上限は特にないが、樹脂シートであるから、通常入手可能な範囲ではせいぜい10000MPa程度である。引張弾性率は、JIS K7127:1999に従い、試験片タイプ1B、引張速度50mm/分の条件で測定した。
上記透明樹脂シートを構成する樹脂のガラス転移温度は、耐熱性(物品の製造時に必要とされる耐熱性、及び物品の使用時に必要とされる耐熱性の両方を含む。)を保持する観点から、通常80℃以上、好ましくは90℃以上、より好ましくは100℃以上、更に好ましくは110℃以上である。なお上記透明樹脂シートが、構成樹脂として2種類以上の樹脂を含むときは、これらの中で最もガラス転移温度の低い樹脂が、上記範囲を満たすことが好ましい。
上記透明樹脂シートを構成する樹脂のガラス転移温度は、物品製造時の加工性の観点から、通常170℃以下、好ましくは160℃以下、より好ましくは150℃以下、更に好ましくは140℃以下である。なお上記透明樹脂シートが、構成樹脂として2種類以上の樹脂を含むときは、これらの中で最もガラス転移温度の高い樹脂が、上記範囲を満たすことが好ましい。
本明細書において、ガラス転移温度は、株式会社パーキンエルマージャパンのDiamond DSC型示差走査熱量計を使用し、試料を50℃/分の昇温速度で200℃まで昇温し、200℃で10分間保持した後、20℃/分の降温速度で50℃まで冷却し、50℃で10分間保持した後、20℃/分の昇温速度で200℃まで加熱するという温度プログラムにおける最後の昇温過程において測定される曲線に現れるガラス転移について、ASTM D3418の図2に従い作図して算出した中間点ガラス転移温度である。
上記透明樹脂シートとしては、特に限定されない。上記透明樹脂シートとしては、例えば、芳香族ポリエステル、脂肪族ポリエステルなどのポリエステル系樹脂;アクリル系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテンなどのポリオレフィン系樹脂;セロファン、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、アセチルセルロースブチレートなどのセルロース系樹脂;ポリスチレン、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合樹脂(ABS樹脂)、スチレン・エチレン・プロピレン・スチレン共重合体、スチレン・エチレン・エチレン・プロピレン・スチレン共重合体、スチレン・エチレン・ブタジエン・スチレン共重合体などのスチレン系樹脂;ポリ塩化ビニル系樹脂;ポリ塩化ビニリデン系樹脂;ポリフッ化ビニリデンなどの含弗素系樹脂;その他、ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコール、ポリエーテルエーテルケトン、ナイロン、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、ポリエーテルイミド、ポリスルフォン、ポリエーテルスルフォン;などの透明樹脂シートをあげることができる。これらのシートは、無延伸シート、一軸延伸シート、二軸延伸シートを包含する。またこれらの1種以上を2層以上積層した積層シートを包含する。
上記透明樹脂シートが積層シートである場合、積層方法は制限されず、任意の方法で積層することができる。例えば、各々の樹脂シートを任意の方法により得た後、ドライラミネート又は熱ラミネートする方法;各々の構成材料を押出機にて溶融させ、フィードブロック法又はマルチマニホールド法若しくはスタックプレート法によるTダイ共押出により得る方法;少なくとも1の樹脂シートを任意の方法により得た後、該樹脂シート上に他の樹脂シートを溶融押出する押出ラミネート方法;任意のフィルム基材上に溶融押出、又は構成材料と溶剤とを含む塗料を塗布乾燥し、形成された樹脂シートを、上記フィルム基材から剥離し、他の樹脂シートの上に転写する方法、及びこれらの2以上を組み合わせる方法;などをあげることができる。
上記透明樹脂シートが積層シートである場合、所望により、意匠感を高めるため、任意の層間に、エンボスを施してもよい。
上記透明樹脂シートが積層シートである場合、所望により、意匠感を高めるため、任意の層間に、印刷層を設けてもよい。上記印刷層は、任意の模様を任意のインキと任意の印刷機を使用して印刷することにより形成することができる。このとき、ガラス調の深みのある意匠を付与する観点から、印刷は部分的に設けるか、又は透明なインクを用いて設けることが好ましい。また印刷層は1に限定されず、2以上であってもよい。
これらの中で上記透明樹脂シートとしては、機械物性、透明性、及び無着色性の観点から、
(a1)アクリル系樹脂シート;
(a2)芳香族ポリカーボネート系樹脂シート;
(a3)ポリエステル系樹脂シート;
(a4)上記透明樹脂シート(a1)〜(a3)の何れか1種又は2種以上の積層シート;
が好ましい。
上記(a1)アクリル系樹脂シートは、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル等のアクリル系樹脂を主として(通常50質量%以上、好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上。)含む樹脂からなるシートである。
上記アクリル系樹脂としては、例えば、(メタ)アクリル酸エステル(共)重合体、(メタ)アクリル酸エステルに由来する構造単位を含む共重合体、及びこれらの変性体などをあげることができる。なお、(メタ)アクリルとは、アクリル又はメタクリルの意味である。また(共)重合体とは、重合体又は共重合体の意味である。
上記(メタ)アクリル酸エステル(共)重合体としては、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸エチル、ポリ(メタ)アクリル酸プロピル、ポリ(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸メチル・(メタ)アクリル酸ブチル共重合体、(メタ)アクリル酸エチル・(メタ)アクリル酸ブチル共重合体などをあげることができる。
上記(メタ)アクリル酸エステルに由来する構造単位を含む共重合体としては、例えば、エチレン・(メタ)アクリル酸メチル共重合体、スチレン・(メタ)アクリル酸メチル共重合体、ビニルシクロヘキサン・(メタ)アクリル酸メチル共重合体、無水マレイン酸・(メタ)アクリル酸メチル共重合、及びN−置換マレイミド・(メタ)アクリル酸メチル共重合などをあげることができる。
上記変性体としては、例えば、分子内環化反応によりラクトン環構造が導入された重合体;分子内環化反応によりグルタル酸無水物が導入された重合体;及び、イミド化剤(例えば、メチルアミン、シクロヘキシルアミン、及びアンモニアなどをあげることができる。)と反応させることによりイミド構造が導入された重合体;などをあげることができる。
上記アクリル系樹脂としては、これらの1種又は2種以上の混合物を用いることができる。
上記アクリル系樹脂に含み得る好ましい任意成分としては、コアシェルゴムをあげることができる。上記アクリル系樹脂と上記コアシェルゴムとの合計を100質量部としたとき、上記コアシェルゴムを0〜40質量部(上記アクリル系樹脂100〜60質量部)、好ましくは0〜30質量部(上記アクリル系樹脂100〜70質量部)の量で用いることにより、上記(a1)アクリル系樹脂シートの耐切削加工性や耐衝撃性を高めることができる。
上記コアシェルゴムとしては、例えば、メタクリル酸エステル・スチレン/ブタジエンゴムグラフト共重合体、アクリロニトリル・スチレン/ブタジエンゴムグラフト共重合体、アクリロニトリル・スチレン/エチレン・プロピレンゴムグラフト共重合体、アクリロニトリル・スチレン/アクリル酸エステルグラフト共重合体、メタクリル酸エステル/アクリル酸エステルゴムグラフト共重合体、メタクリル酸エステル・アクリロニトリル/アクリル酸エステルゴムグラフト共重合体などをあげることができる。上記コアシェルゴムとしては、これらの1種又は2種以上の混合物を用いることができる。
また上記アクリル系樹脂組成物に含み得るその他の任意成分としては、上記アクリル系樹脂や上記コアシェルゴム以外の熱可塑性樹脂;顔料、無機フィラー、有機フィラー、樹脂フィラー;滑剤、酸化防止剤、耐候性安定剤、熱安定剤、離型剤、帯電防止剤、核剤、及び、界面活性剤等の添加剤;などをあげることができる。これらの任意成分の配合量は、通常、上記アクリル系樹脂と上記コアシェルゴムとの合計を100質量部としたとき、通常25質量部以下、好ましくは0.01〜10質量部程度である。
上記(a2)芳香族ポリカーボネート系樹脂シートは、芳香族ポリカーボネート系樹脂を主として(通常50質量%以上、好ましくは70質量%以上、より好ましくは90質量%以上。)含む樹脂からなるシートである。
上記芳香族ポリカーボネート系樹脂としては、例えば、ビスフェノールA、ジメチルビスフェノールA、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンなどの芳香族ジヒドロキシ化合物とホスゲンとの界面重合法によって得られる重合体;ビスフェノールA、ジメチルビスフェノールA、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンなどの芳香族ジヒドロキシ化合物とジフェニルカーボネートなどの炭酸ジエステルとのエステル交換反応により得られる重合体;などをあげることができる。上記芳香族ポリカーボネート系樹脂としては、これらの1種又は2種以上の混合物を用いることができる。
上記芳香族ポリカーボネート系樹脂に含み得る好ましい任意成分としては、コアシェルゴムをあげることができる。上記芳香族ポリカーボネート系樹脂と上記コアシェルゴムとの合計を100質量部としたとき、上記コアシェルゴムを0〜30質量部(上記芳香族ポリカーボネート系樹脂100〜70質量部)、好ましくは0〜10質量部(上記芳香族ポリカーボネート系樹脂100〜90質量部)の量で用いることにより、上記(a2)芳香族ポリカーボネート系樹脂シートの耐切削加工性や耐衝撃性を高めることができる。
上記コアシェルゴムとしては、例えば、メタクリル酸エステル・スチレン/ブタジエンゴムグラフト共重合体、アクリロニトリル・スチレン/ブタジエンゴムグラフト共重合体、アクリロニトリル・スチレン/エチレン・プロピレンゴムグラフト共重合体、アクリロニトリル・スチレン/アクリル酸エステルグラフト共重合体、メタクリル酸エステル/アクリル酸エステルゴムグラフト共重合体、メタクリル酸エステル・アクリロニトリル/アクリル酸エステルゴムグラフト共重合体などのコアシェルゴムをあげることができる。上記コアシェルゴムとしては、これらの1種又は2種以上の混合物を用いることができる。
また上記芳香族ポリカーボネート系樹脂には、本発明の目的に反しない限度において、所望により、芳香族ポリカーボネート系樹脂やコアシェルゴム以外の熱可塑性樹脂;顔料、無機フィラー、有機フィラー、樹脂フィラー;滑剤、酸化防止剤、耐候性安定剤、熱安定剤、離型剤、帯電防止剤、及び界面活性剤等の添加剤;などを更に含ませることができる。これらの任意成分の配合量は、通常、芳香族ポリカーボネート系樹脂とコアシェルゴムとの合計を100質量部としたとき、0.01〜10質量部程度である。
上記(a3)ポリエステル系樹脂シートは、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂を主として(通常50質量%以上、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上。)含む樹脂からなるシートであり、無延伸シート、一軸延伸シート、及び二軸延伸シートを包含する。またこれらの1種又は2種以上の積層シートを包含する。
上記(a3)ポリエステル系樹脂シートは、好ましくは、非晶性又は低結晶性芳香族ポリエステル系樹脂を主として(通常50質量%以上、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上。)含む樹脂からなるシートである。
上記非晶性又は低結晶性芳香族ポリエステル系樹脂としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸などの芳香族多価カルボン酸成分とエチレングリコール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどの多価アルコール成分とのポリエステル系共重合体をあげることができる。
上記非晶性又は低結晶性芳香族ポリエステル系樹脂としては、例えば、モノマーの総和を100モル%として、テレフタル酸50モル%及びエチレングリコール30〜40モル%、1,4−シクロヘキサンジメタノール10〜20モル%を含むグリコール変性ポリエチレンテレフタレート(PETG);テレフタル酸50モル%、エチレングリコール16〜21モル%及び1,4−シクロヘキサンジメタノール29〜34モル%を含むグリコール変性ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート(PCTG);テレフタル酸25〜49.5モル%、イソフタル酸0.5〜25モル%及び1,4−シクロヘキサンジメタノール50モル%を含む酸変性ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート(PCTA);テレフタル酸30〜45モル%、イソフタル酸5〜20モル%、エチレングリコール35〜48モル%、ネオペンチルグリコール2〜15モル%、ジエチレングリコール1モル%未満、ビスフェノールA1モル%未満を含む酸変性及びグリコール変性ポリエチレンテレフタレート;及び、テレフタル酸45〜50モル%、イソフタル酸5〜0モル%、1,4−シクロヘキサンジメタノール25〜45モル%、及び2,2,4,4,−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール25〜5モル%を含む酸変性及びグリコール変性ポリエチレンテレフタレート;などの1種又は2種以上の混合物をあげることができる。
本明細書では、株式会社パーキンエルマージャパンのDiamond DSC型示差走査熱量計を使用し、試料を320℃で5分間保持した後、20℃/分の降温速度で−50℃まで冷却し、−50℃で5分間保持した後、20℃/分の昇温速度で320℃まで加熱するという温度プログラムで測定されるセカンド融解曲線(最後の昇温過程において測定される融解曲線)の融解熱量が、10J/g以下のポリエステルを非結晶性、10J/gを超えて60J/g以下のポリエステルを低結晶性と定義した。
上記ポリエステル系樹脂には、本発明の目的に反しない限度において、所望により、その他の成分を含ませることができる。含む得る任意成分としては、ポリエステル系樹脂以外の熱可塑性樹脂;顔料、無機フィラー、有機フィラー、樹脂フィラー;滑剤、酸化防止剤、耐候性安定剤、熱安定剤、離型剤、帯電防止剤、及び、界面活性剤等の添加剤;などをあげることができる。これらの任意成分の配合量は、上記ポリエステル系樹脂を100質量部としたとき、通常25質量部以下、好ましくは0.01〜10質量部程度である。
上記ポリエステル系樹脂に含み得る好ましい任意成分としては、コアシェルゴムをあげることができる。コアシェルゴムを用いることで、上記(a3)ポリエステル系樹脂シートの耐衝撃性を向上させることができる。
上記コアシェルゴムとしては、例えば、メタクリル酸エステル・スチレン/ブタジエンゴムグラフト共重合体、アクリロニトリル・スチレン/ブタジエンゴムグラフト共重合体、アクリロニトリル・スチレン/エチレン・プロピレンゴムグラフト共重合体、アクリロニトリル・スチレン/アクリル酸エステルグラフト共重合体、メタクリル酸エステル/アクリル酸エステルゴムグラフト共重合体、メタクリル酸エステル・アクリロニトリル/アクリル酸エステルゴムグラフト共重合体などのコアシェルゴムの1種又は2種以上の混合物をあげることができる。上記コアシェルゴムとしては、これらの1種又は2種以上の混合物を用いることができる。
上記コアシェルゴムの配合量は、ポリエステル系樹脂を100質量部としたとき、耐衝撃性を向上させるため、好ましくは0.5質量部以上である。一方、透明性を保持するため、好ましくは5質量部以下、より好ましくは3質量部以下である。
上記(a4)上記透明樹脂シート(a1)〜(a3)の何れか1種又は2種以上の積層シートは、例えば、フィードブロック方式、マルチマニホールド方式、及びスタックプレート方式などの任意の共押出装置を使用し、所望の層構成になるように共押出製膜することにより;任意の製膜装置を使用して上記透明樹脂シート(a1)〜(a3)の何れか1種又は2種以上を得た後、これらを所望の層構成になるように熱ラミネート又はドライラミネートすることにより;任意の製膜装置を使用して上記透明樹脂シート(a1)〜(a3)の何れか1種を得た後、該シートを基材として所望の層構成になるように押出ラミネートすることにより;得ることができる。
上記透明樹脂シートには、所望により、意匠感を高めるため、第2ハードコート形成面の上に、又は第2ハードコート形成面とは反対側の面の上に印刷層を設けてもよい。上記印刷層は、本発明の透明樹脂積層体を用いて生産する物品に高い意匠性を付与するために設けるものであり、任意の模様を任意のインキと任意の印刷機を使用して印刷することにより形成することができる。詳細な方法は後述する。なおガラス調の深みのある意匠を付与する観点から、第2ハードコート形成面の上に印刷層を設ける場合は、印刷は部分的に設けるか、又は透明なインクを用いて設けることが好ましい。
本発明の透明樹脂積層体は、表面側から順に上記第1ハードコート、上記第2ハードコート、上記透明樹脂フィルムの層、及び第3ハードコートを有するものであってよい。上記第3ハードコートを形成することにより、裏面として好適な特性を付与することが容易になる。図1は本発明の透明樹脂積層体の一例を示す断面の概念図である。図1の例では、表面側から順に、第1ハードコート1、第2ハードコート2、透明樹脂シート3、及び第3ハードコート4を有している。
上記ハードコートの層を形成するに際し、基材となる上記透明樹脂シートのハードコート形成面又は両面に、ハードコートとの接着強度を高めるため、事前にコロナ放電処理やアンカーコート形成などの易接着処理を施してもよい。
上記アンカーコートを形成するためのアンカーコート剤としては、例えば、ポリエステル、アクリル、ポリウレタン、アクリルウレタン、及びポリエステルウレタン等の公知のものを使用することができる。
上記アンカーコート剤を用いて上記アンカーコートを形成する方法は特に制限されず、公知のウェブ塗布方法を使用することができる。具体的には、ロールコート、グラビアコート、リバースコート、ロールブラッシュ、スプレーコート、エアナイフコート、ディップコート及びダイコートなどの方法をあげることができる。
上記アンカーコートの厚みは、通常0.1〜5μm程度、好ましくは0.5〜2μmである。
本発明の透明樹脂積層体は、全光線透過率(JIS K 7361−1:1997に従い、日本電色工業株式会社の濁度計「NDH2000(商品名)」を用いて測定。)が、好ましくは80%以上、より好ましくは85%以上、更に好ましくは90%以上である。全光線透過率は高いほど好ましい。
本発明の透明樹脂積層体は、ヘーズ(JIS K 7136:2000に従い、日本電色工業株式会社の濁度計「NDH2000(商品名)」を用いて測定。)が、好ましくは5%以下、より好ましくは3%以下、更に好ましくは2%以下である。ヘーズは低いほど好ましい。
本発明の透明樹脂積層体は、黄色度指数(JIS K 7105:1981に従い、島津製作所社製の色度計「SolidSpec−3700(商品名)」を用いて測定。)が、好ましくは3以下、より好ましくは2以下、更に好ましくは1以下である。黄色度指数は低いほど好ましい。
本発明の透明樹脂積層体は、上記第1ハードコート表面の水接触角が好ましくは100度以上、より好ましくは105度以上である。本発明の透明樹脂積層体を用いて物品を生産したとき、上記第1ハードコートは物品の表面を形成することになる。上記第1ハードコート表面の水接触角が100度以上であることにより、耐指紋性(指紋などの汚れの付着し難さ、及び指紋などの汚れの拭取り易さ)が良好になる。水接触角は高い方が好ましく、水接触角の上限は特にない。しかし、耐指紋性の観点からは、通常120度程度で十分である。ここで水接触角は、下記実施例の試験(ニ)に従い測定した値である。
本発明の透明樹脂積層体は、好ましくは上記第1ハードコート表面の往復2万回綿拭後の水接触角が100度以上である。より好ましくは往復2万5千回綿拭後の水接触角が100度以上である。往復2万回綿拭後の水接触角が100度以上であることにより、ハンカチなどで繰返し拭かれたとしても耐指紋性などの表面特性を維持することができる。水接触角100度以上を維持できる綿拭回数は多いほど好ましい。ここで綿拭後の水接触角は、下記実施例の試験(ホ)に従い測定した値である。
本発明の透明樹脂積層体は、上記第1ハードコート表面の鉛筆硬度(JIS K 5600−5−4に従い、750g荷重の条件で、三菱鉛筆株式会社の鉛筆「ユニ(商品名)」を用いて測定。)が好ましくは5H以上、より好ましくは6H以上、更に好ましくは7H以上である。鉛筆硬度が5H以上であることにより、耐傷付性が特に良好になる。鉛筆硬度は高いほど好ましい。
製造方法:
本発明の透明樹脂積層体の製造方法は、特に制限されず、任意の方法で製造することができる。好ましい製造方法としては、上記第1ハードコートと上記第2ハードコートとの密着性の観点から、例えば、
(1)上記透明樹脂シートの上に、上記第2ハードコート形成用塗料からなるウェット塗膜を形成する工程;
(2)上記第2ハードコート形成用塗料からなる上記ウェット塗膜に、活性エネルギー線を積算光量が1〜230mJ/cm、好ましくは5〜200mJ/cm、より好ましくは10〜160mJ/cm、更に好ましくは20〜120mJ/cm、最も好ましくは30〜100mJ/cmとなるように照射し、上記第2ハードコート形成用塗料からなる上記ウェット塗膜を、指触乾燥状態の塗膜にする工程;
(3)上記第2ハードコート形成用塗料からなる上記指触乾燥状態の塗膜の上に、上記第1ハードコート形成用塗料からなるウェット塗膜を形成する工程;及び
(4)上記第1ハードコート形成用塗料からなる上記ウェット塗膜を温度30〜100℃、好ましくは温度40〜85℃、より好ましくは温度50〜75℃に予熱し、活性エネルギー線を積算光量が240〜10000mJ/cm、好ましくは320〜5000mJ/cm、より好ましくは360〜2000mJ/cmとなるように照射する工程;を含む方法をあげることができる。
上記工程(1)において、上記第2ハードコート形成用塗料からなるウェット塗膜を形成する方法は、特に制限されず、公知のウェブ塗布方法を使用することができる。上記方法としては、例えば、ロールコート、グラビアコート、リバースコート、ロールブラッシュ、スプレーコート、エアナイフコート、ディップコート及びダイコートなどの方法をあげることができる。
上記工程(1)において形成された上記第2ハードコート形成用塗料からなる上記ウェット塗膜は、上記工程(2)において指触乾燥状態、ないしはタック性のない状態になり、ウェブ装置に直接触れても貼り付いたりするなどのハンドリング上の問題を起こすことはなくなる。そのため、次の上記工程(3)において、上記第2ハードコート形成用塗料からなる上記指触乾燥状態の塗膜の上に、上記第1ハードコート形成用塗料からなるウェット塗膜を形成することができるようになる。
なお本明細書において、「塗膜が指触乾燥状態(タック性のない状態)にある」とは、塗膜がウェブ装置に直接触れてもハンドリング上の問題はない状態にあるという意味である。
上記工程(2)における活性エネルギー線の照射は、上記第2ハードコート形成用塗料として用いる塗料の特性にもよるが、塗膜を確実に指触乾燥状態にする観点から、積算光量が通常1J/cm以上、好ましくは5mJ/cm以上、より好ましくは10mJ/cm以上、更に好ましくは20mJ/cm以上、最も好ましくは30mJ/cm以上となるように行う。一方、上記第1ハードコートと上記第2ハードコートとの密着性の観点から、積算光量が通常230mJ/cm以下、好ましくは200mJ/cm以下、より好ましくは160mJ/cm以下、更に好ましくは120mJ/cm以下、最も好ましくは100mJ/cm以下となるように行う。
上記工程(2)において活性エネルギー線を照射する前に、上記第2ハードコート形成用塗料からなる上記ウェット塗膜を予備乾燥することは好ましい。上記予備乾燥は、例えば、ウェブを温度23〜150℃程度、好ましくは温度50〜120℃に設定された乾燥炉内を、入口から出口までパスするのに要する時間が0.5〜10分程度、好ましくは1〜5分となるようなライン速度でパスさせることにより行うことができる。
上記工程(2)において活性エネルギー線を照射する際に、上記第2ハードコート形成用塗料からなる上記ウェット塗膜を温度40〜120℃、好ましくは温度70〜100℃に予熱してもよい。塗膜を確実に指触乾燥状態にすることができる。上記予熱の方法は、特に制限されず、任意の方法で行うことができる。具体的方法の例については、下記工程(4)の説明において後述する。
上記工程(3)において、上記第1ハードコート形成用塗料からなるウェット塗膜を形成する方法は、特に制限されず、公知のウェブ塗布方法を使用することができる。上記方法としては、例えば、ロールコート、グラビアコート、リバースコート、ロールブラッシュ、スプレーコート、エアナイフコート、ディップコート及びダイコートなどの方法をあげることができる。
上記工程(3)において形成された上記第1ハードコート形成用塗料からなる上記ウェット塗膜は、上記工程(4)において完全に硬化される。同時に上記第2ハードコート形成用塗料からなる上記塗膜も完全に硬化される。
理論に拘束される意図はないが、上記方法により、上記第1ハードコートと上記第2ハードコートとの密着性を向上させることができるのは、活性エネルギー線の照射を、上記工程(2)では塗膜を指触乾燥状態にするには十分であるが、完全硬化するには不十分な積算光量に抑制し、上記工程(4)において初めて塗膜を完全硬化するのに十分な積算光量にすることにより、両ハードコートの完全硬化が同時に達成されるためと推測される。
上記工程(4)における活性エネルギー線の照射は、塗膜を完全硬化させる観点、及び第1ハードコートと第2ハードコートの密着性の観点から、積算光量が240mJ/cm以上、好ましくは320mJ/cm以上、より好ましくは360mJ/cm以上となるように行う。一方、得られるハードコート積層フィルムが黄変したものにならないようにする観点、及びコストの観点から、積算光量が10000mJ/cm以下、好ましくは5000mJ/cm以下、より好ましくは2000mJ/cm以下となるように行う。
上記工程(4)において活性エネルギー線を照射する前に、上記第1ハードコート形成用塗料からなる上記ウェット塗膜を予備乾燥することは好ましい。上記予備乾燥は、例えば、ウェブを温度23〜150℃程度、好ましくは温度50〜120℃に設定された乾燥炉内を、入口から出口までパスするのに要する時間が0.5〜10分程度、好ましくは1〜5分となるようなライン速度でパスさせることにより行うことができる。
上記工程(4)において活性エネルギー線を照射する際には、上記第1ハードコート形成用塗料からなるウェット塗膜は、上記第1ハードコート形成用塗料と上記第2ハードコート形成用塗料の特性が大きく異なる場合であっても良好な層間密着強度を得る観点から、温度30〜100℃、好ましくは温度40〜85℃、より好ましくは温度50〜75℃に予熱されている。上記予熱の方法については、特に制限されず、任意の方法で行うことができる。例えば、図3のように活性エネルギー線照射装置と対置したロールにウェブを抱かせて、ロールの表面温度を所定温度に制御する方法;活性エネルギー線照射装置周辺を照射炉として囲い、照射炉内の温度を所定温度に制御する方法;及びこれらの組み合わせなどをあげることができる。
上記工程(4)の後、エージング処理を行ってもよい。透明樹脂積層体の特性を安定化することができる。
本発明の透明樹脂積層体を含む物品:
本発明の透明樹脂積層体を含む物品としては、特に制限されないが、例えば、建築物の窓や扉など;テレビ、パソコン、タブレット型情報機器、スマートフォン、及びこれらの筐体やディスプレイ面板;冷蔵庫、洗濯機、食器棚、衣装棚、及びこれらを構成するパネル;車両、車両の窓、風防、ルーフウインドウ、及びインストルメントパネルなど;電子看板、及びこれの保護板;及びショーウインドウなどをあげることができる。
本発明の透明樹脂積層体を用いて物品を生産するに際し、得られる物品に高い意匠性を付与するため、上記透明樹脂シートの第1ハードコート及び第2ハードコート形成面とは反対側の面の上に化粧シートを積層してもよい。このような実施態様は、本発明の透明樹脂積層体を、冷蔵庫、洗濯機、食器棚、及び衣装棚などの物品の、本体正面の開口を開閉する扉体の正面を構成するパネルや、本体平面の開口を開閉する蓋体の平面を構成するパネルとして用いる場合に、特に有効である。上記化粧シートとしては、制限されず、任意の化粧シートを用いることができる。上記化粧シートとしては、例えば、任意の着色樹脂シートを用いることができる。
上記着色樹脂シートとしては、例えば、芳香族ポリエステル、脂肪族ポリエステルなどのポリエステル系樹脂;アクリル系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;ポリ(メタ)アクリルイミド系樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン、及びポリメチルペンテンなどのポリオレフィン系樹脂;セロファン、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、及びアセチルセルロースブチレートなどのセルロース系樹脂;ポリスチレン、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合樹脂(ABS樹脂)、スチレン・エチレン・プロピレン・スチレン共重合体、スチレン・エチレン・エチレン・プロピレン・スチレン共重合体、及びスチレン・エチレン・ブタジエン・スチレン共重合体などのスチレン系樹脂;ポリ塩化ビニル系樹脂;ポリ塩化ビニリデン系樹脂;ポリフッ化ビニリデンなどの含弗素系樹脂;その他、ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコール、ポリエーテルエーテルケトン、ナイロン、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、ポリエーテルイミド、ポリスルフォン、ポリエーテルスルフォン;などの着色樹脂シートをあげることができる。これらのシートは、無延伸シート、一軸延伸シート、二軸延伸シートを包含する。またこれらの1種以上を2層以上積層した積層シートを包含する。
上記着色樹脂シートの厚みは、特に制限されないが、通常20μm以上、好ましくは50μm以上、より好ましくは80μm以上であってよい。また物品の薄肉化の要求に応える観点から、通常1500μm以下、好ましくは800μm以下、より好ましくは400μm以下であってよい。
上記着色樹脂シートの正面側の面の上には、所望により、意匠感を高めるため、印刷層を設けてもよい。上記印刷層は、高い意匠性を付与するために設けるものであり、任意の模様を任意のインキと任意の印刷機を使用して印刷することにより形成することができる。
印刷は、直接又はアンカーコートを介して、上記透明樹脂シートのハードコート形成面とは反対側の面の上に又は/及び上記着色樹脂シートの正面側の面の上に、全面的に又は部分的に、施すことができる。模様としては、ヘアライン等の金属調模様、木目模様、大理石等の岩石の表面を模した石目模様、布目や布状の模様を模した布地模様、タイル貼模様、煉瓦積模様、寄木模様、及びパッチワークなどをあげることができる。印刷インキとしては、バインダーに顔料、溶剤、安定剤、可塑剤、触媒、及び硬化剤等を適宜混合したものを使用することができる。上記バインダーとしては、例えば、ポリウレタン系樹脂、塩化ビニル・酢酸ビニル系共重合体樹脂、塩化ビニル・酢酸ビニル・アクリル系共重合体樹脂、塩素化ポリプロピレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ブチラール系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ニトロセルロース系樹脂、及び酢酸セルロース系樹脂などの樹脂、及びこれらの樹脂組成物を使用することができる。また金属調の意匠を施すため、アルミニウム、錫、チタン、インジウム及びこれらの酸化物などを、直接又はアンカーコートを介して、上記透明樹脂シートのハードコート形成面とは反対側の面の上に又は/及び上記着色樹脂シートの正面側の面の上に、全面的に又は部分的に、公知の方法により蒸着してもよい。
上記透明樹脂シートと上記化粧シートとの積層は、特に制限されず、任意の方法で行うことができる。上記方法としては、例えば、公知の接着剤を用いてドライラミネートする方法;及び公知の粘着剤からなる層を形成した後、両者を重ね合せ押圧する方法;などをあげることができる。
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
測定方法
(イ)全光線透過率:
JIS K 7361−1:1997に従い、日本電色工業株式会社の濁度計「NDH2000(商品名)」を用いて測定した。
(ロ)ヘーズ:
JIS K 7136:2000に従い、日本電色工業株式会社の濁度計「NDH2000(商品名)」を用いて測定した。
(ハ)黄色度指数(YI):
JIS K 7105:1981に従い、島津製作所社製の色度計「SolidSpec−3700(商品名)」を用いて測定した。
(ニ)水接触角:
透明樹脂積層体の第1ハードコート面を、KRUSS社の自動接触角計「DSA20(商品名)」を使用し、水滴の幅と高さとから算出する方法(JIS R 3257:1999を参照。)で測定した。
(ホ)耐擦傷性1(綿拭後の水接触角):
縦150mm、横50mmの大きさで、透明樹脂積層体のマシン方向が試験片の縦方向となるように採取した試験片を、透明樹脂積層体の第1ハードコートが表面になるようにJIS L 0849:2013の学振形試験機に置き、学振形試験機の摩擦端子に、4枚重ねのガーゼ(川本産業株式会社の医療用タイプ1ガーゼ)で覆ったステンレス板(縦10mm、横10mm、厚み1mm)を取付け、該ステンレス板の縦横面が試験片と接触するようにセットし、350g荷重を載せ、試験片の第1ハードコート面を、摩擦端子の移動距離60mm、速度1往復/秒の条件で往復1万回擦った後、上記(ニ)の方法に従い、当該綿拭箇所の水接触角を測定した。水接触角が100度以上であるときは、更に往復5千回擦った後、上記(ニ)の方法に従い、当該綿拭箇所の水接触角を測定する作業を繰り返し、以下の基準で評価した。
A:往復2万5千回後でも水接触角100度以上。
B:往復2万回後では水接触角100度以上だが、2万5千回後は100度未満。
C:往復1万5千回後では水接触角100度以上だが、2万回後は100度未満。
D:往復1万回後では水接触角100度以上だが、1万5千回後は100度未満。
E:往復1万回後で水接触角100度未満。
(へ)鉛筆硬度:
JIS K 5600−5−4に従い、750g荷重の条件で、三菱鉛筆株式会社の鉛筆「ユニ(商品名)」を用い、透明樹脂積層体の第1ハードコート面について測定した。
(ト)耐傷付性:
透明樹脂積層体を、透明樹脂積層体の第1ハードコートが表面になるようにJIS L 0849:2013の学振形試験機に置いた。続いて、学振形試験機の摩擦端子に#0000のスチールウールを取り付けた後、500g荷重を載せ、試験片の表面を100往復擦った後、当該摩擦箇所を目視観察する作業を繰り返し、以下の基準で評価した。
A:往復500回後でも傷は認められない。
B:往復400回後では傷は認められないが、往復500回後には傷を認めることができる。
C:往復300回後では傷は認められないが、往復400回後には傷を認めることができる。
D:往復200回後では傷は認められないが、往復300回後には傷を認めることができる。
E:往復100回後では傷は認められないが、往復200回後には傷を認めることができる。
F:往復100回後で傷を認めることができる。
(チ)表面平滑性(表面外観):
透明樹脂積層体の第1ハードコート側の表面を、蛍光灯の光の入射角をいろいろと変えて当てながら目視観察し、以下の基準で評価した。
◎:表面にうねりや傷がない。間近に光を透かし見ても、曇感がない。
○:間近に光を透かし見ると、僅かな曇感のある箇所がある。
△:間近に見ると、表面にうねりや傷を僅かに認める。また曇感がある。
×:表面にうねりや傷を多数認めることができる。また明らかな曇感がある。
(リ)碁盤目試験(密着性):
JIS K 5600−5−6:1999に従い、透明樹脂積層体に第1ハードコート面側から碁盤目の切れ込みを100マス(1マス=1mm×1mm)入れた後、密着試験用テープを碁盤目へ貼り付けて指でしごいた後、剥がした。評価基準はJISの上記規格の表1に従った。
分類0:カットの縁が完全に滑らかで、どの格子の目にも剥れがない。
分類1:カットの交差点における塗膜の小さな剥れ。クロスカット部分で影響を受けるのは、明確に5%を上回ることはない。
分類2:塗膜がカットの縁に沿って、及び/又は交差点において剥れている。クロスカット部分で影響を受けるのは、明確に5%を超えるが15%を上回ることはない。
分類3:塗膜がカットの縁に沿って、部分的又は全面的に大剥れを生じており、及び/又は目のいろいろな部分が、部分的又は全面的に剥れている。クロスカット部分で影響を受けるのは、明確に15%を超えるが35%を上回ることはない。
分類4:塗膜がカットの縁に沿って、部分的又は全面的に大剥れを生じており、及び/又は数箇所の目が、部分的又は全面的に剥れている。クロスカット部分で影響を受けるのは、明確に35%を超えるが65%を上回ることはない。
分類5:剥れの程度が分類4を超える場合。
(ヌ)耐候性:
JIS B7753:2007に規定するサンシャインカーボンアーク灯式の耐候性試験機を使用し、JIS A5759:2008の表10の条件(但し、試験片は、縦125mm、横50mmの大きさで、透明樹脂積層体のマシン方向が試験片の縦方向となるように採取したものをそのまま用い、ガラスへの貼り付けは行わなかった。)で、300時間の促進耐候性試験を行った。試験のN数は3とし、全ての試験で、透明樹脂積層体に膨れ、ひび割れ、及び剥がれ等の外観変化がない場合を合格(表には◎と記載した。)、それ以外は不合格(表には×と記載した。)とした。
(ル)耐衝撃性:
前面板、背面板、及び側面板の各壁面で形成される上部が開口した直方体の金属製治具(大きさは、縦1100mm、横900mm、高さ200mm。)に、透明樹脂積層体を、第1ハードコート面が上になるようにして、上記治具の開口部を完全に覆うように設置・固定した。続いて直径100mm、質量4.11Kgの金属球を、透明樹脂積層体の上3000mmの高さから、透明樹脂積層体の開口部を覆う部分の中心付近に印した一辺130mmの正三角形の頂点に、金属球を各1回、合計で3回落下させた。試験のN数は3とし、全ての試験で金属球が透明樹脂積層体を貫通しなければ合格(表には◎と記載した。)、それ以外は不合格(表には×と記載した。)とした。
(ヲ)切削加工性(曲線状切削加工線の状態):
コンピュータにより自動制御を行うルーター加工機を使用し、透明樹脂積層体に、直径2mmの真円形の切削孔を設けた。このとき使用したミルは刃先の先端形状が円筒丸型の超硬合金製4枚刃、ニック付きのものであり、刃径は加工箇所に合わせて適宜選択した。続いて切削孔の切削端面を目視又は顕微鏡(100倍)観察し、以下の基準で評価した。
◎:顕微鏡観察でもクラック、ヒゲは認められない
○:顕微鏡観察でもクラックは認められない。しかしヒゲは認められる。
△:目視でクラックは認められない。しかし顕微鏡観察ではクラックが認められる。
×:目視でもクラックが認められる。
使用した原材料
(A)多官能(メタ)アクリレート:
(A−1)ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート。6官能。
(A−2)ペンタエリスリトールトリアクリレート。3官能。
(B)撥水剤:
(B−1)信越化学工業株式会社のアクリロイル基含有フルオロポリエーテル系撥水剤「KY−1203(商品名)」。固形分20質量%。
(B−2)ソルベイ(Solvay)社のメタクリロイル基含有フルオロポリエーテル系撥水剤「FOMBLIN MT70(商品名)」。固形分70質量%。
(C)シランカップリング剤:
(C−1)信越化学工業株式会社のN−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン「KBM−602(商品名)」。
(C−2)信越化学工業株式会社のN−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン「KBM−603(商品名)」。
(C−3)信越化学工業株式会社の3−アミノプロピルトリメトキシシラン「KBM−903(商品名)」。
(C−4)信越化学工業株式会社の3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン「KBM−802(商品名)」。
(C−5)信越化学工業株式会社の3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン「KBM−403(商品名)」。
(D)平均粒子径 1〜300nmの無機微粒子:
(D−1)ビニル基を有するシランカップリング剤で表面処理された平均粒子径20nmのシリカ微粒子。
(E)レベリング剤:
(E−1)楠本化成株式会社のシリコン・アクリル共重合体系レベリング剤「ディスパロンNSH−8430HF(商品名)」。固形分10質量%。
(E−2)ビックケミー・ジャパン株式会社のシリコン・アクリル共重合体系レベリング剤「BYK−3550(商品名)」。固形分52質量%。
(E−3)ビックケミー・ジャパン株式会社のアクリル重合体系レベリング剤「BYK−399(商品名)」。固形分100質量%。
(E−4)楠本化成株式会社のシリコン系レベリング剤「ディスパロンLS−480(商品名)」。固形分100質量%。
(F)任意成分:
(F−1)双邦實業股分有限公司のフェニルケトン系光重合開始剤(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン)「SB−PI714(商品名)」。
(F−2)1−メトキシ−2−プロパノール。
(H1)第1ハードコート形成用塗料:
(H1−1)上記(A−1)100質量部、上記(B−1)2質量部(固形分換算0.40質量部)、上記(B−2)0.06質量部(固形分換算0.042質量部)、上記(C−1)0.5質量部、上記(F−1)4質量部、及び上記(F−2)100質量部を混合攪拌して得た塗料。表1に配合表を示す。なお上記(B−1)と上記成分(B−2)については、表に固形分換算の値を記載している。
(H1−2〜16)配合を表1又は表2に示すように変更したこと以外は、上記(H1−1)と同様にして塗料を得た。
(H2)第2ハードコート形成用塗料:
(H2−1)上記(A−2)100質量部、上記(D−1)140質量部、上記(E−1)2質量部(固形分換算0.2質量部)、上記(F−1)17質量部、及び上記(F−2)200質量部を混合攪拌して得た塗料。表3に配合表を示す。なお上記(E−1)については、表に固形分換算の値を記載している。
(H2−2〜15)配合を表3又は表4に示すように変更したこと以外は、上記(H2−1)と同様にして塗料を得た。
(a)透明樹脂シート:
(a1−1)アクリル系樹脂シート1:
三菱瓦斯化学株式会社のアクリル系樹脂「Optimas6000(商品名)、ガラス転移温度119℃」を用い、押出機とTダイとを備える装置を使用して、Tダイから上記樹脂の溶融シートを連続的に押出し、回転する第一鏡面ロール(溶融シートを抱いて次の移送ロールへと送り出す側のロール。以下同じ。)と、回転する第二鏡面ロールとの間に、上記溶融シートを供給投入し、押圧して、厚さ1mmの透明樹脂シートを得た。このときの設定条件は、第一鏡面ロールの設定温度120℃、第二鏡面ロールの設定温度110℃、Tダイ出口の樹脂温度300℃であった。得られた透明樹脂シートの全光線透過率は92%、ヘーズは0.5%、黄色度指数は0.3、及び引張弾性率は3400MPaであった。
(a1−2)アクリル系樹脂シート2:
エボニック社のポリ(メタ)アクリルイミド系樹脂「PLEXIMID TT50(商品名)、ガラス転移温度154℃」を用い、押出機とTダイとを備える装置を使用して、Tダイから上記樹脂の溶融シートを連続的に押出し、回転する第一鏡面ロールと、回転する第二鏡面ロールとの間に、上記溶融シートを供給投入し、押圧して、厚さ1mmの透明樹脂シートを得た。このときの設定条件は、第一鏡面ロールの設定温度140℃、第二鏡面ロールの設定温度120℃、Tダイ出口の樹脂温度300℃であった。得られた透明樹脂シートの全光線透過率は92%、ヘーズは0.5%、黄色度指数は0.3、及び引張弾性率は4300MPaであった。
(a1−3)アクリル系樹脂シート3:
厚みを0.25mmに変更したこと以外は、上記(a 1−1)と同様にして透明樹脂シートを得た。このときの設定条件は、第一鏡面ロールの設定温度120℃、第二鏡面ロールの設定温度110℃、Tダイ出口の樹脂温度300℃であった。得られた透明樹脂シートの全光線透過率は93%、ヘーズは0.5%、黄色度指数は0.2、及び引張弾性率は3150MPaであった。
(a2−1)芳香族ポリカーボネート系樹脂シート:
住化スタイロンポリカーボネート株式会社の芳香族ポリカーボネート「カリバー301−4(商品名)、ガラス転移温度151℃」を用い、押出機とTダイとを備える装置を使用して、Tダイから上記樹脂の溶融シートを連続的に押出し、回転する第一鏡面ロールと、回転する第二鏡面ロールとの間に、上記溶融シートを供給投入し、押圧して、厚さ1mmの透明樹脂シートを得た。このときの設定条件は、第一鏡面ロールの設定温度140℃、第二鏡面ロールの設定温度120℃、Tダイ出口の樹脂温度300℃であった。得られた透明樹脂シートの全光線透過率は90%、ヘーズは0.6%、黄色度指数は0.5、及び引張弾性率は2300MPaであった。
(a3−1)ポリエステル系樹脂シート1:
イーストマンケミカルカンパニー社の非結晶性ポリエステル系樹脂(PETG樹脂)「Cadence GS1(商品名)、ガラス転移温度81℃」を用い、押出機とTダイとを備える装置を使用して、Tダイから上記樹脂の溶融シートを連続的に押出し、回転する第一鏡面ロールと、回転する第二鏡面ロールとの間に、上記溶融シートを供給投入し、押圧して、厚さ1mmの透明樹脂シートを得た。このときの設定条件は、第一鏡面ロールの設定温度80℃、第二鏡面ロールの設定温度40℃、Tダイ出口の樹脂温度200℃であった。得られた透明樹脂シートの全光線透過率は89%、ヘーズは1.3%、黄色度指数は0.4、及び引張弾性率は1500MPaであった。
(a3−2)ポリエステル系樹脂シート2:
イーストマンケミカルカンパニー社の非結晶性ポリエステル系樹脂「トライタンFX200(商品名)、ガラス転移温度119℃」を用い、押出機とTダイとを備える装置を使用して、Tダイから上記樹脂の溶融シートを連続的に押出し、回転する第一鏡面ロールと、回転する第二鏡面ロールとの間に、上記溶融シートを供給投入し、押圧して、厚さ1mmの透明樹脂シートを得た。このときの設定条件は、第一鏡面ロールの設定温度80℃、第二鏡面ロールの設定温度40℃、Tダイ出口の樹脂温度230℃であった。得られた透明樹脂シートの全光線透過率は90%、ヘーズは1.2%、黄色度指数は0.4、及び引張弾性率は1500MPaであった。
(a4−1)積層シート1:
押出機とTダイとを備える2種3層マルチマニホールド方式の共押出製膜装置を使用し、三菱瓦斯化学株式会社のアクリル系樹脂「Optimas7500(商品名)、ガラス転移温度119℃」を両外層とし、住化スタイロンポリカーボネート株式会社の芳香族ポリカーボネート「カリバー301−4(商品名)、ガラス転移温度151℃」を中間層とする溶融積層シートをTダイから連続的に押出し、回転する第一鏡面ロールと、回転する第二鏡面ロールとの間に、上記溶融積層シートを供給投入し、押圧して、全厚み1mm、両外層の厚み0.1mm、中間層の厚み0.8mmの透明樹脂シートを得た。このときの設定条件は、第一鏡面ロールの設定温度120℃、第二鏡面ロールの設定温度110℃、Tダイ出口の樹脂温度300℃であった。得られた透明樹脂シートの全光線透過率は91%、ヘーズは0.6%、黄色度指数は0.5、及び引張弾性率は2600MPaであった。
例1
上記(a1−1)の両面にコロナ放電処理を行った。両面とも濡れ指数は64mN/mであった。次に上記(a1−1)の一方の面の上に、ダイ方式の塗工装置を使用して、上記(H2−1)をウェット厚み40μm(硬化後厚み22μm)となるように塗布した。次に炉内温度90℃に設定した乾燥炉を、入口から出口までパスするのに要する時間が1分間となるライン速度でパスさせた後、高圧水銀灯タイプの紫外線照射装置と直径25.4cmの鏡面金属ロールとを対置した硬化装置を使用し(図3参照)、鏡面金属ロールの温度90℃、積算光量80mJ/cmの条件で処理した。上記(H2−1)のウェット塗膜は、指触乾燥状態の塗膜になった。次に上記(H2−1)の指触乾燥状態の塗膜の上にダイ方式の塗工装置を使用して、上記(H1−1)をウェット厚み4μm(硬化後厚み2μm)となるように塗布した。次に炉内温度80℃に設定した乾燥炉を、入口から出口までパスするのに要する時間が1分間となるライン速度でパスさせた後、高圧水銀灯タイプの紫外線照射装置と直径25.4cmの鏡面金属ロールとを対置した硬化装置を使用し(図3参照)、鏡面金属ロールの温度60℃、積算光量480mJ/cmの条件で処理し、第1ハードコート、及び第2ハードコートを形成した。続いて、上記(a1−1)の他方の面の上に第3ハードコートを、第2ハードコートの形成に用いたのと同じ塗料(例1は上記(H2−1)。)を用い、ダイ方式の塗工装置を使用して、硬化後厚み22μmとなるように形成し、透明樹脂積層体を得た。上記試験(イ)〜(ヲ)を行った。結果を表5に示す。
例2〜16
上記(H1−1)の替わりに表5〜7の何れか1に示す塗料を用いたこと以外は、全て例1と同様に行った。結果を表5〜7の何れか1に示す。
例17〜30
上記(H2−1)の替わりに表7〜9の何れか1に示す塗料を用いたこと以外は、全て例1と同様に行った。結果を表7〜9の何れか1に示す。
例31〜36
上記(a1−1)の替わりに表9に示す透明樹脂シートを用いたこと以外は、全て例1と同様に行った。結果を表9に示す。
例37〜40
第1ハードコートの硬化後厚みを、表10に示すように変更したこと以外は、全て例1と同様に行った。結果を表10に示す。なお表10〜13において、第1HCとは、第1ハードコートを意味する。同様に第2HCとは、第2ハードコートを意味する。
例41〜44
第2ハードコートの硬化後厚みを、表10又は表11に示すように変更し、第3ハードコートの硬化後厚みを第2ハードコートの硬化後厚みと同じに変更したこと以外は、全て例1と同様に行った。結果を表10又は表11に示す。
例45〜59
透明樹脂積層体の製造条件を表11〜13の何れか1に示すように変更したこと以外は、例1と同様に行った。結果を表11〜13の何れか1に示す。
本発明の好ましい透明樹脂積層体は、透明性、耐傷付性、色調、滑り性、表面硬度、剛性、外観、各層間の密着性、耐候性、耐衝撃性、及び切削加工性に優れ、ワイパーなどで繰返ししごかれたり、雑巾などで繰返し拭かれたりしても、初期の特性を維持できる。そのため車両の窓や風防等、建築物の窓や扉等、電子看板の保護板等、冷蔵庫等の家電製品の正面パネル等、食器棚等の家具の扉等、テレビ、パソコン、タブレット型情報機器、及びスマートフォンの筐体等、及びショーウインドウなどとして好適に用いることができる。
本発明の透明樹脂積層体の一例を示す断面の概念図である。 実施例において、透明樹脂シートの製膜に使用した装置の概念図である。 実施例において、ハードコートの硬化に使用した紫外線照射装置の概念図である。
1:第1ハードコート
2:第2ハードコート
3:透明樹脂シート
4:第3ハードコート
5:Tダイ
6:溶融シート
7:第一鏡面ロール
8:第二鏡面ロール
9:紫外線照射装置
10:鏡面金属ロール
11:ウェブ
12:抱き角

Claims (14)

  1. 表面側から順に第1ハードコート、第2ハードコート、及び透明樹脂シートの層を有し、
    上記第1ハードコートは、
    (A)多官能(メタ)アクリレート 100質量部;
    (B)撥水剤 0.01〜7質量部;及び
    (C)シランカップリング剤 0.01〜10質量部;
    を含み、かつ無機粒子を含まない塗料からなり;
    上記第2ハードコートは、
    (A)多官能(メタ)アクリレート 100質量部;及び
    (D)平均粒子径 1〜300nmの無機微粒子 50〜300質量部;
    を含む塗料からなり;
    上記透明樹脂シートは0.2mm以上の厚みを有する;
    透明樹脂積層体。
  2. 上記(C)シランカップリング剤が、アミノ基を有するシランカップリング剤、及びメルカプト基を有するシランカップリング剤からなる群から選択される1種以上を含む、請求項1に記載の透明樹脂積層体。
  3. 上記(B)撥水剤が、(メタ)アクリロイル基含有フルオロポリエーテル系撥水剤を含む、請求項1又は2に記載の透明樹脂積層体。
  4. 上記第2ハードコートを形成する塗料が、更に(E)レベリング剤 0.01〜1質量部;を含む、請求項1〜3の何れか1項に記載の透明樹脂積層体。
  5. 上記(D)平均粒子径1〜300nmの無機微粒子が、シリカの微粒子を含む請求項1〜4の何れか1項に記載の透明樹脂積層体
  6. 表面側から順に第1ハードコート、第2ハードコート、及び透明樹脂シートの層を有し、
    上記第1ハードコートは無機粒子を含まない塗料からなり;
    上記第2ハードコートは無機粒子を含む塗料からなり;
    上記透明樹脂シートは0.2mm以上の厚みを有し;
    下記、(イ)〜(ハ)、及び(ヘ)を満たす透明樹脂積層体。
    (イ)全光線透過率 85%以上。
    (ロ)ヘーズ 5%以下。
    (ハ)黄色度指数 3以下。
    (へ)上記第1ハードコート表面の鉛筆硬度が6H以上。
  7. 表面側から順に第1ハードコート、第2ハードコート、及び透明樹脂シートの層を有し、
    上記第1ハードコートは無機粒子を含まない塗料からなり;
    上記第2ハードコートは無機粒子を含む塗料からなり;
    上記透明樹脂シートは0.2mm以上の厚みを有し;
    下記(イ)、(ニ)、(ホ)、及び(へ)を満たす透明樹脂積層体。
    (イ)全光線透過率 85%以上。
    (ニ)上記第1ハードコート表面の水接触角が100度以上。
    (ホ)上記第1ハードコート表面の往復2万回綿拭後の水接触角が100度以上。
    (へ)上記第1ハードコート表面の鉛筆硬度が6H以上。
  8. 上記第1ハードコートが撥水剤を含み、かつ無機粒子を含まない塗料からなる請求項6又は7に記載の透明樹脂積層体。
  9. 上記第1ハードコートがシランカップリング剤を含み、かつ無機粒子を含まない塗料からなる請求項6〜8の何れか1項に記載の透明樹脂積層体。
  10. 上記第1ハードコート表面の鉛筆硬度が7H以上である請求項6〜9の何れか1項に記載の透明樹脂積層体。
  11. 上記第1ハードコートの厚みが0.5〜5μmである請求項1〜10の何れか1項に記載の透明樹脂積層体。
  12. 上記第2ハードコートの厚みが5〜30μmである請求項1〜11の何れか1項に記載の透明樹脂積層体。
  13. 請求項1〜12の何れか1項に記載の透明樹脂積層体を含む物品。
  14. 請求項1〜12の何れか1項に記載の透明樹脂積層体、及び化粧シートを含む物品であって、
    ここで上記化粧シートは、上記透明樹脂積層体が有する上記透明樹脂シートの上記第1ハードコート及び上記第2ハードコート形成面とは反対側の面の上に積層されている
    上記物品。
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