以下では、本発明の実施の形態について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
<車両の要部構成>
図1は、本発明の一実施形態に係る制御装置が搭載された車両1の要部の構成を示す図である。
車両1は、エンジン2を駆動源とする自動車である。エンジン2には、エンジン2の燃焼室への吸気量を調整するための電子スロットルバルブ、燃料を吸入空気に噴射するインジェクタ(燃料噴射装置)および燃焼室内に電気放電を生じさせる点火プラグなどが設けられている。また、エンジン2には、その始動のためのスタータが付随して設けられている。
また、車両1には、エンジン2の出力を駆動輪に伝達するため、トルクコンバータ3およびベルト式の無段変速機(CVT:Continuously Variable Transmission)4が搭載されている。トルクコンバータ3および無段変速機4の構成については後述する。
車両1には、マイコン(マイクロコントローラユニット)を含む構成のECU(Electronic Control Unit:電子制御ユニット)11が備えられている。マイコンには、たとえば、CPU、ROMおよびRAM、データフラッシュ(フラッシュメモリ)などが内蔵されている。図1には、エンジン2、トルクコンバータ3および無段変速機4を含む駆動伝達系を制御するための1つのECU11のみが示されているが、車両1には、各部を制御するため、ECU11と同様の構成を有する複数のECUが搭載されている。ECU11を含む複数のECUは、CAN(Controller Area Network)通信プロトコルによる双方向通信が可能に接続されている。
ECU11には、運転者により操作されるアクセルペダルの操作量に応じた検出信号を出力するアクセルセンサ21、エンジン2の回転(クランクシャフトの回転)に同期したパルス信号を検出信号として出力するエンジン回転センサ22、エンジン2の電子スロットルバルブの開度(スロットル開度)に応じた検出信号を出力するスロットル開度センサ23、トルクコンバータ3のタービンランナ32(図2参照)の回転に同期したパルス信号を検出信号として出力するタービン回転センサ24、無段変速機4のプライマリ軸51(図2参照)の回転に同期したパルス信号を検出信号として出力するプライマリ回転センサ25および無段変速機4のセカンダリ軸52(図2参照)の回転に同期したパルス信号を検出信号として出力するセカンダリ回転センサ26などが接続されている。
ECU11には、エンジン2の制御のためのエンジン制御ロジックと、トルクコンバータ3および無段変速機4の制御のためのCVT制御ロジックとが組まれている。
エンジン制御ロジックでは、アクセルセンサ21、エンジン回転センサ22およびスロットル開度センサ23の各検出信号から、アクセル開度(アクセルペダルの最大操作量に対する操作量の割合)、エンジン2の回転数(エンジン回転数)およびスロットル開度(電子スロットルバルブの開度)が取得される。また、エンジン制御ロジックでは、CVT制御ロジックや他のECUから情報が取得される。そして、エンジン制御ロジックにより、各種のセンサから取得される情報、CVT制御ロジックや他のECUから入力される情報などに基づいて、エンジン2の始動、停止および出力調整などのため、エンジン2に設けられた電子スロットルバルブ、インジェクタおよび点火プラグなどが制御される。
CVT制御ロジックでは、タービン回転センサ24、プライマリ回転センサ25およびセカンダリ回転センサ26の各検出信号から、タービンランナ32の回転数(タービン回転数)、プライマリ軸51の回転数(プライマリ回転数)およびセカンダリ軸52の回転数(セカンダリ回転数)が取得される。また、CVT制御ロジックでは、エンジン制御ロジックや他のECUから情報が取得される。そして、CVT制御ロジックにより、各種のセンサから取得される情報、エンジン制御ロジックや他のECUから入力される情報などに基づいて、無段変速機4の変速制御などのため、無段変速機4の各部に油圧を供給するための油圧回路に含まれる各種のバルブなどが制御される。
<駆動系統の構成>
図2は、トルクコンバータ3および無段変速機4の構成を示すスケルトン図である。
トルクコンバータ3は、ポンプインペラ31、タービンランナ32およびロックアップ機構(ロックアップクラッチ)33を備えている。ポンプインペラ31には、エンジン2の出力軸(E/G出力軸)が連結されており、ポンプインペラ31は、E/G出力軸と同一の回転軸線を中心に一体的に回転可能に設けられている。タービンランナ32は、ポンプインペラ31と同一の回転軸線を中心に回転可能に設けられている。ロックアップ機構33は、ポンプインペラ31とタービンランナ32とを直結/分離するために設けられている。ロックアップ機構33が係合(ロックアップオン)されると、ポンプインペラ31とタービンランナ32とが直結され、ロックアップ機構33が解放(ロックアップオフ)されると、ポンプインペラ31とタービンランナ32とが分離される。
ロックアップオフの状態(ロックアップ解除状態)において、E/G出力軸が回転されると、ポンプインペラ31が回転する。ポンプインペラ31が回転すると、ポンプインペラ31からタービンランナ32に向かうオイルの流れが生じる。このオイルの流れがタービンランナ32で受けられて、タービンランナ32が回転する。このとき、トルクコンバータ3の増幅作用が生じ、タービンランナ32には、E/G出力軸の動力(トルク)よりも大きな動力が発生する。
ロックアップオンの状態(ロックアップ係合状態)では、E/G出力軸が回転されると、E/G出力軸、ポンプインペラ31およびタービンランナ32が一体となって回転する。
トルクコンバータ3と無段変速機4との間には、オイルポンプ5が設けられている。オイルポンプ5は、機械式オイルポンプであり、ポンプ軸は、ポンプインペラ31と回転軸線が一致するように配置され、ポンプインペラ31に相対回転不能に連結されている。これにより、エンジン2の動力によりポンプインペラ31が回転されると、オイルポンプ5のポンプ軸が回転し、オイルポンプ5からオイルが吐出される。
無段変速機4は、ベルト式の無段変速機であり、トルクコンバータ3から入力される動力をデファレンシャルギヤ6に伝達する。無段変速機4は、インプット軸41、アウトプット軸42、ベルト伝達機構43および前後進切替機構44を備えている。
インプット軸41は、トルクコンバータ3のタービンランナ32に連結され、タービンランナ32と同一の回転軸線を中心に一体的に回転可能に設けられている。
アウトプット軸42は、インプット軸41と平行に配置されている。アウトプット軸42には、出力ギヤ45が相対回転不能に支持されている。
ベルト伝達機構43には、プライマリ軸51およびセカンダリ軸52が含まれる。プライマリ軸51およびセカンダリ軸52は、それぞれインプット軸41およびアウトプット軸42と同一軸線上に配置されている。
そして、ベルト伝達機構43は、プライマリ軸51に支持されたプライマリプーリ53とセカンダリ軸52に支持されたセカンダリプーリ54とに、無端状のベルト55が巻き掛けられた構成を有している。
プライマリプーリ53は、プライマリ軸51に固定された固定シーブ61と、固定シーブ61にベルト55を挟んで対向配置され、プライマリ軸51にその軸線方向に移動可能かつ相対回転不能に支持された可動シーブ62とを備えている。可動シーブ62に対して固定シーブ61と反対側には、プライマリ軸51に固定されたピストン63が設けられ、可動シーブ62とピストン63との間に、ピストン室(油室)64が形成されている。
セカンダリプーリ54は、セカンダリ軸52に対して固定された固定シーブ65と、固定シーブ65にベルト55を挟んで対向配置され、セカンダリ軸52にその軸線方向に移動可能かつ相対回転不能に支持された可動シーブ66とを備えている。可動シーブ66に対して固定シーブ65と反対側には、セカンダリ軸52に固定されたピストン67が設けられ、可動シーブ66とピストン67との間に、ピストン室68が形成されている。
なお、図示されていないが、可動シーブ66とピストン67との間には、ベルト55に初期挟圧(初期推力)を与えるためのバイアススプリングが介在されている。バイアススプリングの弾性力により、可動シーブ66およびピストン67は、互いに離間する方向に付勢されている。
前後進切替機構44は、インプット軸41とベルト伝達機構43のプライマリ軸51との間に介装されている。前後進切替機構44は、遊星歯車機構71、リバースクラッチC1およびフォワードブレーキB1を備えている。
遊星歯車機構71には、キャリア72、サンギヤ73およびリングギヤ74が含まれる。
キャリア72は、インプット軸41に相対回転可能に外嵌されている。キャリア72は、複数のピニオンギヤ75を回転可能に支持している。複数のピニオンギヤ75は、円周上に配置されている。
サンギヤ73は、インプット軸41に相対回転不能に支持されて、複数のピニオンギヤ75により取り囲まれる空間に配置されている。サンギヤ73のギヤ歯は、各ピニオンギヤ75のギヤ歯と噛合している。
リングギヤ74は、その回転軸線がプライマリ軸51の軸心と一致するように設けられている。リングギヤ74には、ベルト伝達機構43のプライマリ軸51が連結されている。リングギヤ74のギヤ歯は、複数のピニオンギヤ75を一括して取り囲むように形成され、各ピニオンギヤ75のギヤ歯と噛合している。
リバースクラッチC1は、油圧により、キャリア72とサンギヤ73とを直結(一体回転可能に結合)する係合状態(オン)と、その直結を解除する解放状態(オフ)とに切り替えられる。
フォワードブレーキB1は、キャリア72とトルクコンバータ3および無段変速機4を収容するトランスミッションケースとの間に設けられ、油圧により、キャリア72を制動する係合状態(オン)と、キャリア72の回転を許容する解放状態(オフ)とに切り替えられる。
車両1の前進時には、リバースクラッチC1が解放されて、フォワードブレーキB1が係合される。エンジン2の動力がインプット軸41に入力されると、キャリア72が静止した状態で、サンギヤ73がインプット軸41と一体に回転する。そのため、サンギヤ73の回転は、リングギヤ74に逆転かつ減速されて伝達される。これにより、リングギヤ74が回転し、ベルト伝達機構43のプライマリ軸51およびプライマリプーリ53がリングギヤ74と一体に回転する。プライマリプーリ53の回転は、ベルト55を介して、セカンダリプーリ54に伝達され、セカンダリプーリ54およびセカンダリ軸52を回転させる。そして、セカンダリ軸52と一体に、アウトプット軸42および出力ギヤ45が回転する。出力ギヤ45は、デファレンシャルギヤ6(デファレンシャルギヤ6の入力ギヤ)と噛合している。出力ギヤ45が回転すると、デファレンシャルギヤ6から左右に延びるドライブシャフト7,8が回転して、駆動輪(図示せず)が回転することにより、車両1が前進する。
一方、車両1の後進時には、リバースクラッチC1が係合されて、フォワードブレーキB1が解放される。エンジン2の動力がインプット軸41に入力されると、キャリア72およびサンギヤ73がインプット軸41と一体に回転する。そのため、サンギヤ73の回転は、リングギヤ74に回転方向が逆転されずに伝達される。これにより、リングギヤ74が車両1の前進時と逆方向に回転し、ベルト伝達機構43のプライマリ軸51およびプライマリプーリ53がリングギヤ74と一体に回転する。プライマリプーリ53の回転は、ベルト55を介して、セカンダリプーリ54に伝達され、セカンダリプーリ54およびセカンダリ軸52を回転させる。そして、セカンダリ軸52と一体に、アウトプット軸42および出力ギヤ45が回転する。出力ギヤ45が回転すると、デファレンシャルギヤ6から左右に延びるドライブシャフト7,8が前進時と逆方向に回転して、駆動輪(図示せず)が回転することにより、車両1が後進する。
<油圧制御>
無段変速機4では、ECU11のCVT制御ロジックにより、アクセル開度および車速に応じた変速比となるよう、油圧回路からプライマリプーリ53のピストン室64およびセカンダリプーリ54のピストン室68への油の供給が制御される(変速制御)。
変速比が下げられるときには、たとえば、プライマリプーリ53のピストン室64に供給される油の流量が上げられる。これにより、可動シーブ62が固定シーブ61側に移動し、固定シーブ61と可動シーブ62との間隔(溝幅)が小さくなる。これに伴い、プライマリプーリ53に対するベルト55の巻きかけ径が大きくなり、セカンダリプーリ54の固定シーブ65と可動シーブ66との間隔(溝幅)が大きくなる。その結果、プライマリプーリ53とセカンダリプーリ54とのプーリ比が小さくなり、変速比が小さくなる。
変速比が上げられるときには、プライマリプーリ53の可動シーブ62に供給される油の流量が下げられる。これにより、ベルト55に対するセカンダリプーリ54の推力がベルト55に対するプライマリプーリ53の推力よりも大きくなり、セカンダリプーリ54の固定シーブ65と可動シーブ66との間隔が小さくなるとともに、固定シーブ61と可動シーブ62との間隔が大きくなる。その結果、プライマリプーリ53とセカンダリプーリ54とのプーリ比が大きくなり、無段変速機4の変速比が大きくなる。
一方、プライマリプーリ53およびセカンダリプーリ54とベルト55との間で滑り(ベルト滑り)が生じないように、インプット軸41に入力される入力トルクの大きさに応じた目標挟圧が設定され、その目標挟圧が得られるように、セカンダリプーリ54の可動シーブ66に供給される油圧が制御される(挟圧制御)。高油圧による無段変速機4への負荷を低減するため、目標挟圧の上限値として挟圧最大ガードが設けられており、挟圧最大ガードを超えない範囲で目標挟圧が設定される。
<トルク制限処理>
図3は、トルク制限処理の流れを示すフローチャートである。図4は、速度比と制限トルクとの関係の一例を示す図である。
エンジン2の作動中、ECU11のCVT制御ロジックでは、図5に示されるトルク制限処理が実行される。エンジン2が停止すると、トルク制限処理が強制的に終了される。
トルク制限処理では、トルクコンバータ3の状態に応じた制限トルクが設定される(ステップS1)。
制限トルクの設定のため、タービン回転数およびエンジン回転数が取得される。そして、トルクコンバータ3の状態が取得される。トルクコンバータ3の状態として、ロックアップオンの状態とロックアップオフの状態とがある。また、ロックアップオフの状態では、トルクコンバータ3の状態が多様である。そこで、まず、トルクコンバータ3の状態がロックアップオンの状態であるかロックアップオフの状態であるかが判別される。そして、ロックアップオフの状態である場合、トルクコンバータ3のさらに詳細な状態として、速度比が取得される。速度比は、タービン回転数をエンジン回転数で除した除算値である。
ECU11の不揮発性メモリ(ROM、フラッシュメモリなど)には、図4に示される速度比と制限トルクとの関係がマップの形態で制限トルクマップとして記憶されている。トルクコンバータ3の状態が判別されると、制限トルクマップが参照されて、トルクコンバータ3の状態に応じた制限トルクが設定される。
ロックアップオンの状態で参照される関係(LUON)では、破線で示されるように、速度比にかかわらず、制限トルクの値がエンジン最大トルク(エンジン2が出力可能な最大トルク)以下の一定値である。そのため、ロックアップオンの状態では、制限トルクが一定値に設定される。
ロックアップオフの状態で参照される関係(LUOFF)では、速度比が0から0.5〜1内の所定の速度比までの範囲において、速度比が大きいほど制限トルクの値が大きくなる。所定の速度比から1までの範囲では、速度比にかかわらず、制限トルクの値がエンジン最大トルクよりも大きい一定値である。
なお、図4に示される制限トルクマップは、一例であり、適宜に変更される。たとえば、図4に示される制限トルクマップでは、速度比が所定の速度比から1までの範囲において、制限トルクの値が一定値であるが、トルクコンバータ3の流体特性によっては、必ずしも一定値とは限らない。たとえば、速度比が所定の速度比から1までの範囲において、速度比が大きいほど制限トルクの値が大きくなってもよい。また、速度比が0から所定の速度比までの範囲において、速度比が大きいほど制限トルクの値が大きくなっているが、その範囲内に、速度比にかかわらず制限トルクの値が一定値である領域や速度比が大きいほど制限トルクの値が小さくなる領域があってもよい。所定の変速比は、0.5〜1の範囲内の値であるとしたが、0.5未満の値であってもよい。さらには、速度比の増加に対する制限トルクの値の増加率は、一定であってもよいし、変化していてもよい。
図2に示されるように、無段変速機4は、インプット軸41とプライマリ軸51との間に遊星歯車機構71が介在されており、車両1の前進時には、キャリア72とサンギヤ73との直結が解除されてキャリア72が制動され、後進時には、キャリア72とサンギヤ73とが直結されてキャリア72の制動が解除される構成である。そのため、車両1の後進時には、インプット軸41に入力される動力が減速されてプライマリ軸51に伝達される。そのため、ロックアップオフの状態で参照される関係(LUOFF)には、車両1の前進時に参照される関係(LUOFF(D))と後進時に参照される関係(LUOFF(R))とが含まれる。後進時に参照される関係(LUOFF(R))では、前進時に参照される関係(LUOFF(D))と比較して、同じ速度比に対する制限トルクの値が小さい。
制限トルクの設定後、エンジン2から出力されているエンジントルクが制限トルクを超えているか否かが判別される(ステップS2)。エンジントルクは、アクセル開度およびエンジン回転数から推定される。すなわち、ECU11の不揮発性メモリには、エンジン回転数、スロットル開度およびエンジントルクの関係がマップの形態でトルクマップとして記憶されており、このトルクマップからエンジン回転数およびスロットル開度に応じたエンジントルクが読み出される。エンジントルクは、CVT制御ロジックにより推定されてもよいし、エンジン制御ロジックにより推定されて、エンジン制御ロジックからCVT制御ロジックに送信されてもよい。
エンジントルクが制限トルクを超えている場合(ステップS2のYES)、CVT制御ロジックからエンジン制御ロジックに、エンジントルクを制限トルク以下に制限するトルク制限制御の作動が要求される(ステップS3)。このトルク制限制御の作動要求(トルク制限要求)を受けて、エンジン制御ロジックにより、たとえば、エンジン2の電子スロットルバルブの開度の低減や点火時期の遅角などのトルクダウン制御がなされて、エンジントルクが制限トルク以下に制限される。その結果、無段変速機4には、制限トルクにトルクコンバータ3のトルク比を乗じた値以下のトルクが入力される。
エンジントルクが制限トルクを超えていない場合(ステップS2のNO)、つまりエンジントルクが制限トルク以下である場合、トルク制限制御の作動は要求されず、制限トルクが新たに設定されて(ステップS1)、エンジントルクが新たに設定された制限トルクを超えているか否かが再び判別される(ステップS2)。
トルク制限制御の作動要求がなされた場合、作動要求後に、トルク制限制御が正常に作動しているか否かが判別される(ステップS4)。具体的には、エンジントルクがそのときの制限トルクに所定値(たとえば、20Nm)を加えた値を超えているか否かが判別される。トルク制限制御が正常に作動していれば、エンジントルクが制限トルク以下に制限されているはずである。したがって、エンジントルクが制限トルクに所定値を加えた値を超えている場合、トルク制限制御が正常に作動していないと判別することが可能である。
トルク制限制御が正常に作動している場合(ステップS4のYES)、つまりエンジントルクが制限トルクと所定値との加算値以下である場合、制限トルクが新たに設定されて(ステップS1)、エンジントルクが新たに設定された制限トルクを超えているか否かが再び判別される(ステップS2)。
トルク制限制御が正常に作動していない場合(ステップS4のNO)、つまりエンジントルクが制限トルクと所定値との加算値を超えている場合、挟圧制御に設けられている挟圧最大ガードが所定値だけ引き上げられる(ステップS5)。その後、制限トルクが新たに設定されて(ステップS1)、エンジントルクが新たに設定された制限トルクを超えているか否かが再び判別される(ステップS2)。
<作用効果>
以上のように、トルクコンバータ3の状態に応じた制限トルクが設定される。エンジントルクが制限トルクを超えるときには、トルク制限制御の作動要求が出力される。これに応答して、制限トルクを上限としてエンジントルクをその上限以下に制限するトルク制限制御が作動し、エンジントルクが制限トルク以下に制限されることにより、トルクコンバータ3から無段変速機4に入力されるトルクを抑制することができる。そのため、車両1に搭載される無段変速機4がエンジン2の最大トルクに対応していない小型の無段変速機4であっても、その無段変速機4に過大なトルクが入力されることを抑制でき、無段変速機4を保護することができる。
ところが、スロットルバルブの故障などが発生し、トルク制限制御が正常に作動しない場合、無段変速機4に過大なトルクが入力される可能性が残る。この場合、挟圧制御で設定される目標挟圧の上限である挟圧最大ガードが引き上げられる。これにより、エンジン2から制限トルクを超えるエンジントルクが一時的に出力されても、そのエンジントルクに応じた目標挟圧が設定され、無段変速機4に入力されるトルクに対して必要な挟圧を確保することができる。そのため、過大なトルクの入力によるベルト55の滑りなどの発生を抑制でき、トルク制限制御が正常に作動しない場合にも、ベルト式の無段変速機4を保護することができる。
<変形例>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、他の形態で実施することもできる。
前述の各センサは、本発明に特に関連するセンサを例示したものに過ぎず、ECU11には、その他のセンサが接続されていてもよい。
また、1つのECU11にエンジン制御ロジックおよびCVT制御ロジックが組み込まれているとしたが、エンジン制御ロジックおよびCVT制御ロジックがそれぞれ別のECUとして設けられてもよい。
また、無段変速機4を取り上げたが、本発明に係る制御装置は、ベルト式の無段変速機の構成を有する変速機であれば、たとえば、動力分割式無段変速機に用いることもできる。動力分割式無段変速機は、変速比の変更により動力を無段階に変速するベルト式の無段変速機構と、動力を一定の変速比で変速する一定変速機構とを備え、駆動源の動力を2系統に分割して伝達可能な変速機である。
その他、前述の構成には、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。