以下では、本発明の実施の形態について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
<車両の要部構成>
図1は、本発明の一実施形態に係る制御装置が搭載された車両1の要部の構成を示す図である。
車両1は、エンジン2を駆動源とする自動車である。エンジン2の出力は、トルクコンバータ3および無段変速機(CVT:Continuously Variable Transmission)4を介して、車両1の左右の駆動輪に伝達される。
エンジン2には、エンジン2の燃焼室への吸気量を調整するための電子スロットルバルブ、燃料を吸入空気に噴射するインジェクタ(燃料噴射装置)および燃焼室内に電気放電を生じさせる点火プラグなどが設けられている。また、エンジン2には、その始動のためのスタータが付随して設けられている。
車両1には、CPU、ROMおよびRAMなどを含む構成の複数のECU(Electronic Control Unit:電子制御ユニット)が備えられている。複数のECUには、エンジンECU11およびCVTECU12が含まれる。各ECUは、CAN(Controller Area Network)通信プロトコルによる双方向通信が可能に接続されている。
エンジンECU11には、アクセルセンサ21およびエンジン回転数センサ22などが接続されている。
アクセルセンサ21は、運転者により操作されるアクセルペダルの操作量に応じた検出信号を出力する。エンジンECU11は、アクセルセンサ21から入力される検出信号に基づいて、アクセルペダルの最大操作量に対する操作量の割合、つまりアクセルペダルが踏み込まれていないときを0%とし、アクセルペダルが最大に踏み込まれたときを100%とする百分率であるアクセル開度を演算する。
エンジン回転数センサ22は、エンジン2の回転(クランクシャフトの回転)に同期したパルス信号を検出信号として出力する。エンジンECU11は、エンジン回転数センサ22から入力されるパルス信号の周波数をエンジン2の回転数(エンジン回転数)に換算する。
エンジンECU11は、各種センサの検出信号から取得した情報および/または他のECUから入力される種々の情報などに基づいて、エンジン2の始動、停止および出力調整などのため、エンジン2に設けられた電子スロットルバルブ、インジェクタおよび点火プラグなどを制御する。
CVTECU12には、入力回転数センサ23および出力回転数センサ24などが接続されている。
入力回転数センサ23は、たとえば、無段変速機4の入力軸41(図2参照)の回転に同期したパルス信号を検出信号として出力する。CVTECU12は、入力回転数センサ23から入力されるパルス信号の周波数を入力軸41の実際の回転数である実入力回転数に換算する。
出力回転数センサ24は、たとえば、無段変速機4の出力軸42(図2参照)の回転に同期したパルス信号を検出信号として出力する。CVTECU12は、出力回転数センサ24から入力されるパルス信号の周波数を出力軸42の実際の回転数である実出力回転数に換算する。
CVTECU12は、各種センサの検出信号から取得した情報および/または他のECUから入力される種々の情報などに基づいて、無段変速機4の変速制御などのため、無段変速機4の各部に油圧を供給するための油圧回路25に含まれる各種のバルブなどを制御する。
<駆動系統(CVT)の構成>
図2は、車両1の駆動系統の構成を示すスケルトン図である。
トルクコンバータ3は、ポンプインペラ31、タービンランナ32およびロックアップクラッチ33を備えている。ポンプインペラ31には、エンジン2の出力軸(E/G出力軸)が連結されており、ポンプインペラ31は、E/G出力軸と同一の回転軸線を中心に一体的に回転可能に設けられている。タービンランナ32は、ポンプインペラ31と同一の回転軸線を中心に回転可能に設けられている。ロックアップクラッチ33は、ポンプインペラ31とタービンランナ32とを直結/分離するために設けられている。ロックアップクラッチ33が係合されると、ポンプインペラ31とタービンランナ32とが直結され、ロックアップクラッチ33が解放されると、ポンプインペラ31とタービンランナ32とが分離される。
ロックアップクラッチ33が解放された状態において、E/G出力軸が回転されると、ポンプインペラ31が回転する。ポンプインペラ31が回転すると、ポンプインペラ31からタービンランナ32に向かうオイルの流れが生じる。このオイルの流れがタービンランナ32で受けられて、タービンランナ32が回転する。このとき、トルクコンバータ3の増幅作用が生じ、タービンランナ32には、E/G出力軸の動力(トルク)よりも大きな動力が発生する。
ロックアップクラッチ33が係合された状態では、E/G出力軸が回転されると、E/G出力軸、ポンプインペラ31およびタービンランナ32が一体となって回転する。
トルクコンバータ3と無段変速機4との間には、オイルポンプ5が設けられている。オイルポンプ5は、機械式オイルポンプであり、ポンプ軸は、ポンプインペラ31と回転軸線が一致するように配置され、ポンプインペラ31に相対回転不能に連結されている。これにより、エンジン2の動力によりポンプインペラ31が回転されると、オイルポンプ5のポンプ軸が回転し、オイルポンプ5からオイルが吐出される。
無段変速機4は、トルクコンバータ3から入力される動力をデファレンシャルギヤ6に伝達する。無段変速機4は、入力軸41、出力軸42、ベルト伝達機構43および前後進切替機構44を備えている。
入力軸41は、トルクコンバータ3のタービンランナ32に連結され、タービンランナ32と同一の回転軸線を中心に一体的に回転可能に設けられている。
出力軸42は、入力軸41と平行に配置されている。出力軸42には、出力ギヤ45が相対回転不能に支持されている。
ベルト伝達機構43には、プライマリ軸51およびセカンダリ軸52が含まれる。プライマリ軸51およびセカンダリ軸52は、それぞれ入力軸41および出力軸42と同一軸線上に配置されている。
そして、ベルト伝達機構43は、プライマリ軸51に支持されたプライマリプーリ53とセカンダリ軸52に支持されたセカンダリプーリ54とに、無端状のベルト55が巻き掛けられた構成を有している。
プライマリプーリ53は、プライマリ軸51に固定された固定シーブ61と、固定シーブ61にベルト55を挟んで対向配置され、プライマリ軸51にその軸線方向に移動可能かつ相対回転不能に支持された可動シーブ62とを備えている。可動シーブ62に対して固定シーブ61と反対側には、プライマリ軸51に固定されたピストン63が設けられ、可動シーブ62とピストン63との間に、ピストン室(油室)64が形成されている。
セカンダリプーリ54は、セカンダリ軸52に対して固定された固定シーブ65と、固定シーブ65にベルト55を挟んで対向配置され、セカンダリ軸52にその軸線方向に移動可能かつ相対回転不能に支持された可動シーブ66とを備えている。可動シーブ66に対して固定シーブ65と反対側には、セカンダリ軸52に固定されたピストン67が設けられ、可動シーブ66とピストン67との間に、ピストン室68が形成されている。
なお、図示されていないが、可動シーブ66とピストン67との間には、ベルト55に初期挟圧(初期推力)を与えるためのバイアススプリングが介在されている。バイアススプリングの弾性力により、可動シーブ66およびピストン67は、互いに離間する方向に付勢されている。
無段変速機4では、プライマリプーリ53のピストン室64およびセカンダリプーリ54のピストン室68に対する作動油の供給が制御されて、プライマリプーリ53およびセカンダリプーリ54の各溝幅が変更されることにより、プーリ比が連続的に無段階で変更される。
具体的には、プーリ比(変速比)がハイ側に下げられるときには、プライマリプーリ53のピストン室64に対する作動油の供給の制御により、プライマリプーリ53の可動シーブ62が固定シーブ61側に移動し、固定シーブ61と可動シーブ62との間隔(溝幅)が小さくなる。これに伴い、プライマリプーリ53に対するベルト55の巻きかけ径が大きくなり、セカンダリプーリ54の固定シーブ65と可動シーブ66との間隔(溝幅)が大きくなる。その結果、プライマリプーリ53とセカンダリプーリ54とのプーリ比が下がる(小さくなる)。
プーリ比がロー側に上げられるときには、プライマリプーリ53のピストン室64に対する作動油の供給の制御により、ベルト55に対するセカンダリプーリ54の推力がベルト55に対するプライマリプーリ53の推力よりも大きくされる。これにより、セカンダリプーリ54の固定シーブ65と可動シーブ66との間隔が小さくなるとともに、固定シーブ61と可動シーブ62との間隔が大きくなる。その結果、プライマリプーリ53とセカンダリプーリ54とのプーリ比が上がる(大きくなる)。
一方、プライマリプーリ53およびセカンダリプーリ54の推力は、プライマリプーリ53およびセカンダリプーリ54とベルト55との間で滑りが生じない大きさを必要とする。そのため、入力軸41に入力されるトルクの大きさに応じた推力が得られるよう、プライマリプーリ53のピストン室64およびセカンダリプーリ54のピストン室68にそれぞれ供給される油圧が制御される。
前後進切替機構44は、入力軸41とベルト伝達機構43のプライマリ軸51との間に介装されている。前後進切替機構44は、遊星歯車機構71、リバースクラッチC1およびフォワードブレーキB1を備えている。
遊星歯車機構71には、キャリア72、サンギヤ73およびリングギヤ74が含まれる。
キャリア72は、入力軸41に相対回転可能に外嵌されている。キャリア72は、複数のピニオンギヤ75を回転可能に支持している。複数のピニオンギヤ75は、円周上に配置されている。
サンギヤ73は、入力軸41に相対回転不能に支持されて、複数のピニオンギヤ75により取り囲まれる空間に配置されている。サンギヤ73のギヤ歯は、各ピニオンギヤ75のギヤ歯と噛合している。
リングギヤ74は、その回転軸線がプライマリ軸51の軸心と一致するように設けられている。リングギヤ74には、ベルト伝達機構43のプライマリ軸51が連結されている。リングギヤ74のギヤ歯は、複数のピニオンギヤ75を一括して取り囲むように形成され、各ピニオンギヤ75のギヤ歯と噛合している。
リバースクラッチC1は、油圧により、キャリア72とサンギヤ73とを直結(一体回転可能に結合)する係合状態(オン)と、その直結を解除する解放状態(オフ)とに切り替えられる。
フォワードブレーキB1は、キャリア72とトルクコンバータ3および無段変速機4を収容するトランスミッションケースとの間に設けられ、油圧により、キャリア72を制動する係合状態(オン)と、キャリア72の回転を許容する解放状態(オフ)とに切り替えられる。
車両1の前進時には、リバースクラッチC1が解放されて、フォワードブレーキB1が係合される。エンジン2の動力が入力軸41に入力されると、キャリア72が静止した状態で、サンギヤ73が入力軸41と一体に回転する。そのため、サンギヤ73の回転は、リングギヤ74に逆転かつ減速されて伝達される。これにより、リングギヤ74が回転し、ベルト伝達機構43のプライマリ軸51およびプライマリプーリ53がリングギヤ74と一体に回転する。プライマリプーリ53の回転は、ベルト55を介して、セカンダリプーリ54に伝達され、セカンダリプーリ54およびセカンダリ軸52を回転させる。そして、セカンダリ軸52と一体に、出力軸42および出力ギヤ45が回転する。出力ギヤ45は、デファレンシャルギヤ6(デファレンシャルギヤ6の入力ギヤ)と噛合している。出力ギヤ45が回転すると、デファレンシャルギヤ6から左右に延びるドライブシャフト7,8が回転して、駆動輪(図示せず)が回転することにより、車両1が前進する。
一方、車両1の後進時には、リバースクラッチC1が係合されて、フォワードブレーキB1が解放される。エンジン2の動力が入力軸41に入力されると、キャリア72およびサンギヤ73が入力軸41と一体に回転する。そのため、サンギヤ73の回転は、リングギヤ74に回転方向が逆転されずに伝達される。これにより、リングギヤ74が車両1の前進時と逆方向に回転し、ベルト伝達機構43のプライマリ軸51およびプライマリプーリ53がリングギヤ74と一体に回転する。プライマリプーリ53の回転は、ベルト55を介して、セカンダリプーリ54に伝達され、セカンダリプーリ54およびセカンダリ軸52を回転させる。そして、セカンダリ軸52と一体に、出力軸42および出力ギヤ45が回転する。出力ギヤ45が回転すると、デファレンシャルギヤ6から左右に延びるドライブシャフト7,8が前進時と逆方向に回転して、駆動輪(図示せず)が回転することにより、車両1が後進する。
<制御装置>
図3は、CVTECU12の構成を示すブロック図である。
CVTECU12は、プライマリ回転数、セカンダリ回転数およびアクセル開度に基づいて、無段変速機4の変速制御のため、プライマリプーリ53のピストン室64(図2参照)への供給油量を制御する。具体的には、無段変速機4の各部に油圧を供給するための油圧回路25には、プライマリプーリ53のピストン室64への供給油量を制御するレシオコントロールバルブ(図示せず)が設けられており、そのレシオコントロールバルブを制御するために、アップシフトソレノイドバルブ26およびダウンシフトソレノイドバルブ27が設けられている。アップシフトソレノイドバルブ26およびダウンシフトソレノイドバルブ27は、デューティ比に応じた信号圧(油圧)を発生するデューティソレノイドバルブである。レシオコントロールバルブには、アップシフトソレノイドバルブ26が発生するアップシフト信号圧およびダウンシフトソレノイドバルブ27が発生するダウンシフト信号圧が入力され、それらのアップシフト信号圧およびダウンシフト信号圧の相対関係に応じた流量の作動油がレシオコントロールバルブからプライマリプーリ53のピストン室64に供給される。
CVTECU12は、変速制御のための処理部として、目標値設定部101、FB(フィードバック)コントローラ部102、学習機能部103およびデューティ設定部104を実質的に備えている。これらの処理部は、プログラム処理によってソフトウエア的に実現されるか、または、論理回路などのハードウェアにより実現される。
目標値設定部101では、変速線図(図示せず)に基づいて、アクセル開度および車速に応じた目標回転数(入力軸41に入力される回転数の目標値)が設定される。そして、目標回転数および車速から目標プーリ比が算出される。変速線図は、マップ化されて、CVTECU12の不揮発性メモリ(ROM、フラッシュメモリまたはEEPROMなど)に格納されている。アクセル開度は、エンジンECU11(図1参照)からCVTECU12に入力される。車速は、出力回転数センサ24の検出信号の周波数を換算して得られる実出力回転数から算出されてもよいし、他のECUで算出されて、そのECUからCVTECU12に入力されてもよい。
FBコントローラ部102には、目標値設定部101により設定された目標プーリ比と実際のプーリ比である実プーリ比との偏差が入力される。FBコントローラ部102では、たとえば、比例動作、積分動作および微分動作により、目標プーリ比と実プーリ比との偏差に応じた制御指示値が設定される。実プーリ比は、入力回転数センサ23の検出信号の周波数を換算して得られる実入力回転数および出力回転数センサ24の検出信号の周波数を換算して得られる実出力回転数から算出される。
学習機能部103には、目標値設定部101によって設定される目標プーリ比、FBコントローラ部102によって設定される制御指示値、実入力回転数および実出力回転数から算出される実プーリ比が入力される。学習機能部103では、アップシフトソレノイドバルブ26の定常特性が学習され、その定常特性に応じた補正値が設定される。
アップシフトソレノイドバルブ26の定常特性の学習では、目標プーリ比が所定の第1最小プーリ比である定常状態において、所定の学習前提条件が成立している場合に、制御指示値が取得され、制御指示値と実プーリ比との関係から、アップシフトソレノイドバルブ26の定常特性(定常偏差)が求められる。そして、アップシフトソレノイドバルブ26の定常特性が求められる度に、その定常特性がCVTECU12の不揮発性メモリに更新して記憶される。たとえば、アップシフトソレノイドバルブ26の定常特性の学習回数が所定回数に達すると、学習完了とされて、それ以降は、アップシフトソレノイドバルブ26の定常特性の学習が行われない。
デューティ設定部104には、FBコントローラ部102から出力される制御指示値と、学習機能部103によって設定される補正値とが入力される。デューティ設定部104では、FBコントローラ部102から出力される制御指示値に学習機能部103によって設定される学習値が加算され、CVTECU12の不揮発性メモリに記憶されている変換マップに従って、その加算値に応じたデューティ比が設定される。
デューティ比には、アップシフトソレノイドバルブ26に入力されるデューティ比と、ダウンシフトソレノイドバルブ27に入力されるデューティ比とが含まれる。アップシフトソレノイドバルブ26にデューティ比が入力されると、アップシフトソレノイドバルブ26からデューティ比に応じた油圧がアップシフト信号圧として出力され、そのアップシフト信号圧がレシオコントロールバルブに入力される。ダウンシフトソレノイドバルブ27にデューティ比が入力されると、ダウンシフトソレノイドバルブ27からデューティ比に応じた油圧がダウンシフト信号圧として出力され、そのダウンシフト信号圧がレシオコントロールバルブに入力される。そして、レシオコントロールバルブからプライマリプーリ53のピストン室64に作動油が供給されることにより、実プーリ比が目標プーリ比と一致するように変速する。
なお、FBコントローラ部102には、目標値設定部101によって設定される目標回転数と実入力回転数との偏差が入力されて、FBコントローラ部102では、その偏差に応じた制御指示値が設定されてもよい。この手法により設定される制御指示値は、目標プーリ比と実プーリ比との偏差に応じた制御指示値と同じ値となる。したがって、「目標プーリ比に対応する制御指示値」の設定は、「目標回転数に対応する制御指示値」の設定と等価である。
<最小プーリ比制限処理>
図4は、最小プーリ比制限処理の流れを示すフローチャートである。
CVTECU12では、車両1のスタートスイッチ(イグニッションキースイッチ)がオンである間、最小プーリ比制限処理が繰り返し実行される。
最小プーリ比制限処理では、アップシフトソレノイドバルブ26の定常特性の学習の完了/未完了が判定される(ステップS1)。この学習が完了しているか否かの判定のため、たとえば、アップシフトソレノイドバルブ26の定常特性の学習回数が所定回数に達しているか否かが判定される。学習回数が所定回数に達していない場合、アップシフトソレノイドバルブ26の定常特性の学習が未完了であると判定され(ステップS1のYES)、学習回数が所定回数に達している場合、アップシフトソレノイドバルブ26の定常特性の学習が完了していると判定される(ステップS1のNO)。
学習が未完了である場合(ステップS1のYES)、所定の学習前提条件が成立しているか否かが判定される(ステップS2)。学習前提条件は、たとえば、無段変速機4における作動油の油温が所定範囲内に収まっているという条件であってもよいし、車速が所定範囲内に収まっているという条件であってもよいし、エンジントルクが所定範囲内に収まっているという条件であってもよいし、変速比の変化量が所定範囲内に収まっているという条件であってもよいし、それらの条件の組合せであってもよい。
学習前提条件が成立している場合(ステップS2のYES)、目標プーリ比の下限が第1最小プーリ比に制限されて(ステップS3)、最小プーリ比制限処理が終了される。これにより、アップシフトソレノイドバルブ26の定常特性の学習は、目標プーリ比の下限が第1最小プーリ比に制限されている状態でのみ行われる。
学習前提条件が成立していない場合(ステップS2のNO)、目標プーリ比の下限が第1最小プーリ比よりも小さい第2最小プーリ比に設定される(ステップS4)。また、アップシフトソレノイドバルブ26の定常特性の学習が完了している場合(ステップS1のNO)、その学習が行われることがないので、目標プーリ比の下限が第2最小プーリ比に設定される(ステップS4)。第2最小プーリ比は、たとえば、無段変速機4の設計上(機械構造的な制限上)で定められている最小プーリ比であり、プライマリプーリ53の可動シーブ62の固定シーブ61に近接する側への移動が物理的に制限される最端位置に可動シーブ62が位置するときのプーリ比にほぼ等しい。これにより、アップシフトソレノイドバルブ26の定常特性の学習が行われない場合には、第2最小プーリ比までの変速が許可されることになる。
なお、無段変速機4の設計上の最小プーリ比がセカンダリプーリ54の可動シーブ66の固定シーブ65から離間する側への移動が物理的に制限される最端位置で決まる場合、第2最小プーリ比は、可動シーブ66が最短位置に位置するときのプーリ比にほぼ等しい値となる。
<作用効果>
以上のように、アップシフトソレノイドバルブ26の定常特性の学習が行われる場合、目標プーリ比の下限が第1最小プーリ比に制限される。そして、第1最小プーリ比に対応する制御指示値に基づいてアップシフトソレノイドバルブ26が制御される定常状態において、実プーリ比が取得され、第1最小プーリ比に対応する制御指示値と実プーリ比との関係からアップシフトソレノイドバルブ26の定常特性が学習される。これにより、その学習が行われる際に、プライマリプーリ53の可動シーブ62がその可動に機械的な制限を受ける最端位置まで移動することを抑制できる。その結果、アップシフトソレノイドバルブ26の定常特性の学習の頻度および精度を確保することができる。
一方、アップシフトソレノイドバルブ26の定常特性の学習が行われない場合には、目標プーリ比の下限が第1最小プーリ比よりも小さい第2最小プーリ比に変更される。この変更により、可動シーブ62の可動域をその可動に機械的な制限を受ける最端位置付近まで拡張することができる。その結果、レシオカバレッジを限界まで使用した変速が可能になる。
<変形例>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、他の形態で実施することもできる。
たとえば、前述の各センサは、本発明に関連するセンサを例示したものに過ぎず、エンジンECU11およびCVTECU12には、その他のセンサが接続されていてもよい。
また、エンジンECU11およびCVTECU12の機能の一部または全部が1つのECUに集約されていてもよい。
前述の実施形態では、プライマリプーリ53のピストン室64に供給される作動油の流量をアップシフトソレノイドバルブ26およびダウンシフトソレノイドバルブ27で制御する構成を例示したが、本発明は、プライマリプーリ53のピストン室64およびセカンダリプーリ54のピストン室68の油圧をそれぞれ調整するソレノイドバルブを有する無段変速機に適用することもできる。
また、本発明は、動力分割式無段変速機の制御装置に適用することもできる。動力分割式無段変速機は、変速比の変更により動力を無段階に変速するベルト式の無段変速機構と、動力を一定の変速比で変速する一定変速機構とを備え、駆動源の動力を2系統に分割して伝達可能な変速機である。
その他、前述の構成には、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。