JP6800652B2 - ポリアミド樹脂組成物およびその成形体 - Google Patents

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Description

本発明は、ポリアミド樹脂組成物に関するものであり、詳しくは難燃性、ヒンジ特性に優れたポリアミド樹脂組成物およびその成形体に関するものである。
ポリアミド樹脂は、機械特性をはじめとして、成形加工性等において優れた特性を有するため、従来から自動車部品、電子電気部品、工業機械部品等各種部品に広く利用されている。特に靭性に優れることからコネクターやクリップ等のヒンジ部を備える製品に用いられている。多くの場合、これらの製品には難燃性が要求される。特に、環境的観点から非ハロゲンの難燃剤を用いることが望まれている。
このような難燃性ポリアミド樹脂の代表例として、メラミンシアヌレートを用いた難燃性ポリアミド材料が挙げられ、例えば、電気電子分野のコネクターやクリップ等に使用されている(特許文献1および2参照)。特許文献3および4では、予めメラミンシアヌレートの濃度の高いマスターバッチを作製し、これを成形機等でポリアミド樹脂と混合して成形する方法が提案されている。また、特許文献5では、特定の分散剤をポリアミド樹脂とメラミンシアヌレート混合の段階で配合することが提案されている。
特開昭53−125459号公報 特開昭53−031759号公報 特開平08−245875号公報 特開平11−302533号公報 特開2003−301104号公報
メラミンシアヌレートを用いた上記難燃性ポリアミド樹脂は、メラミンシアヌレートがポリアミド樹脂中に充分に相溶せず、無機充填剤のように分散された形状で組成物中に充填されている。このため、メラミンシアヌレートを充填したポリアミド樹脂組成物は、その靭性が低下する傾向にある。マスターバッチを作製したり分散剤で分散するような従来の技術では、相反する性能である難燃性とヒンジ特性のバランスを両立させることはできない。
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、難燃性とヒンジ特性に優れるだけでなく、ヒンジ特性のバラつきをも改良したポリアミド樹脂組成物を提供することを目的とするものである。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、ポリアミド樹脂とメラミンシアヌレートを含む樹脂組成物を特定範囲に、またポリアミド樹脂組成物の98%硫酸相対粘度ηr、ポリアミド樹脂組成物中のメラミンシアヌレートの平均粒径を所定範囲とすることで、優れた難燃性およびヒンジ特性を与えることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明のポリアミド樹脂組成物は、
(A)ポリアミド66/6共重合体、(B)ポリアミド6樹脂および(C)メラミンシアヌレート系難燃剤を含むポリアミド樹脂組成物であって、(A)成分および(B)成分の合計100質量部に対して、(C)成分を難燃剤4〜8質量部含み、前記(A)成分のポリアミド66/6共重合体は、ポリアミド66単位50〜95質量%、ポリアミド6単位5〜50質量%からなり、ポリアミド樹脂組成物中のポリアミド66単位/ポリアミド6単位の質量比率が88/12〜73/27、ポリアミド樹脂組成物の98%硫酸相対粘度ηr(JIS K6920準拠)が2.50〜2.83、ポリアミド樹脂組成物中の(C)成分の平均粒径が1.0μm以下である。
(A)成分および(B)成分の合計100質量部に対して、さらに(D)少なくとも1種のポリアルキレン多価アルコールの脂肪酸エステルを含む界面活性剤を0.1〜1.0質量部含むことが好ましい。
(A)成分は、98%硫酸相対粘度ηr(JIS K6920準拠)が2.3〜2.9であることが好ましい。
(B)成分は、98%硫酸相対粘度ηr(JIS K6920準拠)が2.1〜2.7であることが好ましい。
ポリアミド樹脂組成物の98%硫酸相対粘度ηr(JIS K6920準拠)は2.50〜2.70であることがより好ましい。
(D)成分は、ポリオキシエチレンモノラウレート、ポリオキシエチレンモノステアレート、ポリオキシエチレンジステアレート、ポリオキシエチレンモノオレエート、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートおよびポリオキシエチレンソルビタントリオレエートからなる群から選ばれる少なくとも1種類であることが好ましい。
本発明の成形体は、本発明のポリアミド樹脂組成物を成形してなるものである。
成形体はヒンジ部を備えるコネクター部品であってもよい。
成形体はクリップであってもよい。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、(A)ポリアミド66/6共重合体、(B)ポリアミド6樹脂および(C)メラミンシアヌレート系難燃剤を含むポリアミド樹脂組成物であって、(A)成分および(B)成分の合計100質量部に対して、(C)成分を4〜8質量部含み、前記(A)成分のポリアミド66/6共重合体は、ポリアミド66単位50〜95質量%、ポリアミド6単位5〜50質量%からなり、ポリアミド樹脂組成物中のポリアミド66単位/ポリアミド6単位の質量比率が88/12〜73/27、ポリアミド樹脂組成物の98%硫酸相対粘度ηr(JIS K6920準拠)が2.50〜2.83、ポリアミド樹脂組成物中の(C)成分の平均粒径が1.0μm以下であるので、ポリアミド樹脂組成物が本来有する機械的特性、耐薬品性、良成形性、電気特性等を損なうことなく、難燃性、ヒンジ特性を向上させることができ、家電部品、電子部品、自動車部品等の用途に好適に用いることができる。
ヒンジ特性の試験に用いる成形品の上面図である。 ヒンジ特性の試験に用いる成形品の側面図である。
以下、本発明について詳述する。
[ポリアミド樹脂組成物]
本発明のポリアミド樹脂組成物は、(A)ポリアミド66/6共重合体および/またはポリアミド66樹脂、(B)ポリアミド6樹脂および(C)メラミンシアヌレート系難燃剤を含むポリアミド樹脂組成物であって、(A)成分および(B)成分の合計100質量部に対して、(C)成分を4〜8質量部を含み、ポリアミド樹脂組成物中のポリアミド66単位/ポリアミド6単位の質量比率が88/12〜73/27、ポリアミド樹脂組成物の98%硫酸相対粘度ηr(JIS K6920準拠)が2.50〜2.83、ポリアミド樹脂組成物中の(C)成分の平均粒径が1.0μm以下である。
以下、各成分について詳細に説明する。
[(A)成分:ポリアミド66/6共重合体および/またはポリアミド66樹脂]
ポリアミド66樹脂とは、主鎖中にアミド結合(−NHCO−)を有し、ヘキサメチレン単位とアジピン酸単位とから成る重合体である。ポリアミド66樹脂としては、特に限定されないが、例えば、ヘキサメチレンジアミンとアジピン酸を重縮合して得られた重合体、6−アミノカプロニトリルとアジピン酸を重縮合して得られた重合体、ヘキサメチレンジアミンと塩化アジポイルを重縮合して得られた重合体、6−アミノカプロニトリルと塩化アジポイルを重縮合して得られた重合体等が挙げられる。これらのうち、原料の入手容易性から好ましくはヘキサメチレンジアミンとアジピン酸を重縮合して得られた重合体が好ましい。
ポリアミド66/6共重合体とは、ポリアミド66単位とポリアミド6単位の共重合体であり、好ましくは、ポリアミド66単位が50〜95質量%、ポリアミド6単位が5〜50質量%からなるポリアミド66/6共重合体であり、より好ましくは、ポリアミド66単位が80〜90質量%、ポリアミド6単位が10〜20質量%からなるポリアミド66/6共重合である。
このようなポリアミド樹脂を用いることにより、本発明のポリアミド樹脂組成物の難燃性、ヒンジ特性を一層向上させることができる。また、後述の(B)ポリアミド6樹脂との相溶性の観点からも好ましい。
(A)成分のJIS K6920に準じた98%硫酸中濃度1%、25℃で測定される相対粘度は、2.3〜2.9の範囲が好ましく、2.3〜2.8の範囲がより好ましい。(A)成分の相対粘度を2.3以上とすることにより、成形体の靱性や機械的強度を一層向上させることができる。また、相対粘度を2.9以下とすることにより、難燃性や成形体の成形加工を一層容易にすることができるとともに、外観を良好なものとすることができる。
(A)成分は、酢酸銅やヨウ化銅(ヨウ化カリウムを併用してもよい。)を成分として含有する銅化合物を添加することや、ヒンダードフェノール系熱安定剤、ヒンダードアミン系熱安定剤およびリン系熱安定剤等の有機熱安定剤を含有させること等により、熱安定処方とすることが好ましい。これにより本発明のポリアミド樹脂組成物の熱安定性を一層向上させることができる。
上記の熱安定処方はいずれの製造工程で実施してもかまわない。例えば、モノマーに酢酸銅、ヨウ化銅および有機熱安定剤を添加し、その後、重合を行ってもよいし、重合によりポリマーを得た後に、押出機や成形機等を用いた加工工程中で溶融状態のポリアミド樹脂に添加してもかまわない。また、直接ポリマーペレットと混合し、その後、成形加工工程に供してもかまわない。
[(B)成分:ポリアミド6樹脂]
本発明のポリアミド樹脂組成物に含まれる(B)ポリアミド6樹脂は、ポリアミド樹脂組成物の高度なヒンジ特性を発現するために必要である。(B)成分の量は特に限定されないが、ヒンジ特性およびヒンジ特性のバラつき抑制の観点および機械特性の観点から、ポリアミド樹脂組成物中のポリアミド66単位/ポリアミド6単位の質量比率は88/12〜73/27であり、88/12〜75/25が好ましく、86/14〜75/25がより好ましい。ポリアミド6の質量比率を12以上とすることで、ヒンジ特性をより向上させることができ、27以下とすることで、(A)成分との相溶性を充分なものとすることができ、ヒンジ特性のバラつき抑制効果を向上させることができる。
(B)成分のJIS K6920に準じた98%硫酸中濃度1%、25℃で測定される相対粘度は、2.1〜2.7の範囲が好ましく、2.4〜2.6の範囲がより好ましい。(B)成分の相対粘度を2.1以上とすることにより、成形体のヒンジ特性、靱性、機械的強度、難燃性を一層向上させることができる。相対粘度を2.7以下とすることにより、成形体の難燃性を一層向上させることできるとともに、外観を良好なものとすることができる。
[(C)成分:メラミンシアヌレート系難燃剤]
本発明のポリアミド樹脂組成物に含まれる(C)成分は、メラミンまたはその誘導体と、シアヌル酸またはその誘導体との反応物であり、かかる反応物であれば特に限定されない。(C)成分は、例えば、シアヌル酸またはその誘導体の水溶液中に、メラミンまたはその誘導体を添加して、90〜100℃程度で撹拌し、反応生成物として得られた沈殿物を濾過乾燥後、粉砕して微粉末とすることにより製造することができる。
好ましい(C)成分としては、メラミンとシアヌル酸との等モル反応物であるメラミンシアヌレートが挙げられる。メラミンシアヌレートはその中に未反応のメラミンやシアヌル酸を0.001質量%以上0.30質量%以下含んでいてもよい。このようなメラミンシアヌレートは市販されており、本発明では、工業的に入手可能な市販のメラミンシアヌレートを適宜使用することができる。
(C)成分は、(A)成分および(B)成分中に分散した分散状態を呈する。よって(C)成分のポリアミド樹脂組成物中の平均粒径は、走査電子顕微鏡(SEM)を用いて樹脂組成物断面を観察することができる。より詳細には、ポリアミド樹脂組成物を切削し、その切削面を走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて観察する。観察方向は、観察対象が円柱状ペレット形状の場合は、ペレット長辺に対してほぼ垂直な断面に切削し観察する。成形片である場合は、流動方向に対して垂直な断面で観察する。(C)成分の粒子が球形でない場合は、粒子の重心を通る径を2°刻みで測定し、それを平均した値をその粒子の粒径とする。そして平均粒径は、画像解析装置(画像解析ソフト)より測定された分散粒子の平均値である。
ポリアミド樹脂組成物中における(C)成分の平均粒径は1.0μm以下である。(C)成分のポリアミド樹脂組成物中の平均粒径を1.0μm以下とすることにより、樹脂組成物の引張伸び、ヒンジ特性、低温ヒンジ等を良好なものとすることができる。
ポリアミド樹脂組成物中における(C)成分の平均粒径は、1.0μm以下に制御できればいかなる方法でも良いが、(A)成分、(B)成分とともに溶融混練して、機械的なせん断で粉砕する方法が経済的観点より好ましい。
(A)成分および(B)成分と混合する前の(C)成分の中位径(D50)は、特に限定されないが、(C)成分の分散性の観点から、1μm〜5μmであることが好ましく、1.5μm〜4μmがより好ましい。(C)成分の中位径が1μm以上であることにより、ハンドリングが容易となり、(C)成分の凝集性悪化を抑制することができる。(C)成分の中位径が5μm以下であることにより、ポリアミド樹脂組成物における分散性とハンドリングとのバランスに優れる。
ここで、中位径(D50)とは、JIS Z8901に定義されているとおり、粒体の粒子径分布において、ある粒子径より大きい粒子の質量が全粒体の質量の50%を占める時の粒子径であり、レーザー回折散乱法によって測定されるものである。具体的には、レーザー回折散乱法により、横軸に粒子径を縦軸に頻度(質量)をとってプロットし、この頻度の累積質量の総和を100%とした時に累積質量が50%となる粒子径として測定される値である。
ポリアミド樹脂組成物中の(C)成分の含有量は、難燃性と靱性の観点から、(A)成分および(B)成分の合計100質量部に対して4〜8質量部であり、4〜7質量部が好ましく、4〜6質量部がより好ましく、4〜5.5質量部が特に好ましい。
[(D)成分:界面活性剤]
本発明のポリアミド樹脂組成物は、少なくとも1種のポリアルキレン多価アルコールの脂肪酸エステルを含む界面活性剤を含むことが好ましい。
ポリアルキレン多価アルコールの脂肪酸エステルとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコールなどのポリアルキレン多価アルコールと、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、セロチン酸、モンタン酸、メリシン酸、オレイン酸、エルカ酸などの脂肪族カルボン酸と、のエステル又はその誘導体が挙げられ、これらは工業的に入手が容易である。(C)成分の分散性の観点から、ポリエチレングリコールの脂肪酸エステルが好ましく、ポリエチレングリコールの高級脂肪酸(炭素数12個以上)エステル又はその誘導体がより好ましい。
好適なポリエチレングリコールの高級脂肪酸エステルとしては、ポリオキシエチレンモノラウレート、ポリオキシエチレンモノステアレート、ポリオキシエチレンジステアレート、ポリオキシエチレンモノオレエートが挙げられ、特にポリオキシエチレンモノラウレート、ポリオキシエチレンモノステアレート、ポリオキシエチレンモノオレエートが好ましい。
また、好適なポリエチレングリコールの高級脂肪酸エステル誘導体としては、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエートが挙げられる。
ポリアミド樹脂組成物中の(D)成分の含有量は、(A)成分および(B)成分の合計100質量部に対し、0.1〜1.0質量部であることが好ましい。かかる含有量とすることにより、ポリアミド樹脂組成物中において、(C)成分の分散が良好となり、よりヒンジ特性および難燃性が向上したポリアミド樹脂組成物とすることができる。また、(C)成分と(D)成分を上記の含有量範囲とすることにより、成形体とした場合において、メヤニを生じることが少ない良質な成形体となるというさらなる効果が確認されている。この効果が得られるメカニズムは定かではないが、(D)成分がポリアミド樹脂((A)成分および(B)成分)の可塑化剤として作用しているためと推測される(ただし、作用効果はこれに限定されない)。
本発明のポリアミド樹脂組成物の98%硫酸相対粘度ηr(JIS K6920準拠)は2.50〜2.83であり、2.50〜2.70がより好ましく、2.55〜2.70がより好ましい。相対粘度を2.50以上とすることにより、成形体のヒンジ特性を向上させることができ、2.83以下とすることにより、難燃性を一層向上させることができる。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、厚さ0.4mm、幅5mmの部位を有する試験片を180度折り曲げるヒンジ試験において、破断までの回数(破断回数)が4000回以上であり、5000回以上であることが好ましく、5500回以上であることがより好ましい。破断回数は、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。
(その他の樹脂)
本発明のポリアミド樹脂組成物には、必要に応じて、本発明の目的を損なわない範囲で、他の樹脂を添加してもよい。他の樹脂としては、例えば、ポリテトラメチレンアジパミド(ポリアミド46)、ポリヘキサメチレンシクロヘキシルアミド(ポリアミド6C)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ポリアミド610)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ポリアミド612)、ポリウンデカラクタム(ポリアミド11)、ポリドデカラクタム(ポリアミド12)、ポリヘキサメチレンイソフタルアミド(ポリアミド6I)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド(ポリアミド6T)、ポリノナンメチレンテレフタルアミド(ポリアミド9T)、ポリドデカメチレンテレフタルアミド(ポリアミド12T)、ポリメタキシリレンアジパミド(ポリアミドMXD6)およびこれらのうち少なくとも2種類の異なったポリアミド形成成分を含むポリアミド共重合体、ならびにこれらの混合物や各種エラストマー等が挙げられる。
[その他の成分]
本発明のポリアミド樹脂組成物には、必要に応じて本発明の目的を損なわない範囲で、慣用的に用いられる充填剤、例えば、ガラス繊維や炭素繊維などの無機繊維、マイカ、タルク、粘土鉱物、アルミナ、シリカ、およびアパタイトなどの無機充填剤、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ホウ酸亜鉛、すず酸亜鉛、ヒドロキシすず酸亜鉛、ポリリン酸アンモニウム、サクシノグアナミン、ポリリン酸メラミン、硫酸メラミン、フタル酸メラミン、およびリン酸アルミニウムなどの難燃剤、チタンホワイトおよびカーボンブラックなどの顔料や着色剤、次亜リン酸ソーダなどの亜リン酸金属塩、ヒンダードフェノールおよびヒンダードアミンに代表される熱安定剤、高級脂肪酸金属塩、高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸エステルなどの滑剤、種々の可塑剤、ならびに帯電防止剤などの各種添加剤を加えることができる。
[ポリアミド樹脂組成物の製造方法]
本発明のポリアミド樹脂組成物の製造方法は特に限定されるものではなく、(A)成分、(B)成分、(C)成分(必要に応じて(D)成分、以下、(D)成分を含む場合について説明する)全てを一度に溶融混練してもよいが、(C)成分のメラミンシアヌレート系難燃剤の分散性の観点から、(C)成分の一部を残りの全成分を溶融混練した後に加えてさらに溶融混練してもよい。また、(A)〜(D)成分を含むマスターバッチを予め準備して、このマスターバッチを用いて溶融混練してもよい。
(A)成分、(B)成分のポリアミド樹脂の形状は特に制限されないが、ペレット状であることが好ましい。この場合、設備簡略化の観点から、(A)成分、(B)成分のポリアミド樹脂ペレットの表面に、(D)成分の界面活性剤を展着させ、その後、さらに、(C)成分のメラミンシアヌレート系難燃剤を展着させたブレンド物としてから溶融混練してもよい。かかる構成とする場合にも、分散性の観点から、(C)成分の一部は展着させずに、残りの全成分を溶融混練した後に加えてさらに溶融混練してもよい。
本発明のポリアミド樹脂組成物の製造方法において、溶融混練する方法は特に制限されないが、(A)成分、(B)成分、(C)成分および(D)成分を混合する際に、少なくとも1機の原料供給装置を用いて押出機へ供給して溶融混練する方法が好ましい。各成分の押出機への供給は、それぞれ別の原料供給装置を用いてもよいし、1機の原料供給装置を用いてもよい。
押出機としては特に制限されないが、二軸押出機が好ましい。二軸押出機としては、具体的には、COPERION社製のZSKシリーズ、東芝機械(株)製のTEMシリーズ、日本製鋼所(株)製のTEXシリーズなどが挙げられ、二軸押出機のL/D(スクリュー有効長/スクリュー外径)は、20以上60以下の範囲であることが好ましく、30以上50以下であることが好ましい。
二軸押出機に原料を供給する方法は特に限定されない。原料供給装置は特に限定されず、単軸スクリューフィーダー、二軸スクリューフィーダー、テーブルフィーダー、ロータリーフィーダー、液体供給ポンプなどが使用できる。中でもロスインウェイト式のスクリューフィーダーが、原料供給の変動誤差が少なく好ましい。また、複数種の原料を1機の原料供給装置へ投入する場合は、投入する原料のうち少なくとも2種の原料をミキサー、コーンブレンダー等で混合してから投入してもよい。
混練溶融する際の温度は、生産性と熱劣化の抑制の観点から、(A)成分の融点より5〜30℃高い温度であることが好ましく、5〜20℃高い温度であることがより好ましい。
[成形体]
本発明のポリアミド樹脂組成物を成形してなる成形体は、高い難燃性、ヒンジ特性、ヒンジ特性のバラつきを抑制した特徴を有していることから、ソケット、スイッチ、ケース、カバー等の電気電子部品や自動車内外装部品、自動車電装部品等として使われる射出成形体、これらの射出成形体の成形材料であるペレットとして好適である。とりわけ、ヒンジ部を備えるコネクター部品やクリップに好適である。特に薄肉での高い難燃性やヒンジ特性のバラつきが小さいことは、近年の成形体の薄肉化への要求等に寄与でき、ヒンジ特性のバラつきが小さいことは、成形体の不良率低減等へ寄与できるため、工業的意味は非常に大きい。
本発明を実施例および比較例を用いてさらに詳細に説明する。
(原料物性評価方法)
以下の実施例、比較例において記載した物性評価は、以下のように行った。
<硫酸相対粘度ηr>
(A)成分、(B)成分およびポリアミド樹脂組成物の硫酸相対粘度ηr(25℃、1g/100ml)はJIS K6920に準じて測定した。
<融点>
(A)成分の融点は、パーキンエルマー社製示差熱量測定装置DSC−7を用いて測定した。昇温、降温条件を、それぞれ20℃/分で行った。試料約10mgを室温から昇温させ、吸熱ピーク温度(Tm1)を観測した後、Tm1より20〜50℃高い温度で3分間保持した。次いで室温まで試料を冷却した後に、再度昇温させて吸熱ピークを観測した。そのピークトップが示した温度を融点とした。
<中位径>
(C)成分の中位径は、島津製作所(株)製レーザー回折式粒度分布測定装置SALD−7000を用いて測定した。試料を純水に分散させたものを測定試料とし、フローセルを用いて測定を行った。横軸に粒子径を、縦軸に頻度(質量)をとってプロットし、この頻度の累積質量の総和を100%とした時に累積質量が50%となる粒子径を中位径(D50)とした。
(各成分の用意)
[(A)成分:ポリアミド66/6樹脂、ポリアミド66樹脂]
(a−1)成分:ポリアミド66/6樹脂
ポリアミド66に相当する結合ユニット90質量%、ポリアミド6に相当する結合ユニット10質量%を含む共重合ポリアミド66/6を18.8kg製造するのに必要な単量体水溶液を50質量%のAH塩(アジピン酸とヘキサメチレンジアミンの等モル塩)水溶液39.2kgとε−カプロラクタム1.9kgとを80リットルのオートクレーブ中に仕込みよく撹拌した。充分に窒素で置換した後、温度を室温から220℃まで昇温した。この際、オートクレーブ内の圧力は、ゲージ圧にして1.8MPaになるが、圧力が1.8MPa以上にならないように水を系外に除去しながら加熱を1時間続けた。その後、内温が270℃に達した時点で水を系外に除去しながら60分かけて大気圧まで圧力を下げ、その後加熱を止め、下部ノズルからストランド状にポリマーを排出し、水冷後カッターで直径3mmφ×3mm長の円柱状ペレットに切断し、共重合ポリアミド66/6樹脂の粒状体を得た(共重合成分の質量比 66:6=90:10 ηr:2.63 融点245℃)。
(a−2)成分:ポリアミド66/6樹脂
オートクレーブの内温が、270℃に達した時点で水を系外に除去しながら大気圧まで圧力を下げる時間を45分とした以外は、(a−1)と同様に実施した(共重合性成分の質量比 66:6=90:10 ηr:2.2 融点245℃)。
(a−3)成分:ポリアミド66/6樹脂
オートクレーブの内温が、270℃に達した時点で水を系外に除去しながら大気圧まで圧力を下げる時間を75分とした以外は、(a−1)と同様に実施した(共重合性成分の質量比 66:6=90:10 ηr:2.9 融点245℃)。
(a−4)成分:ポリアミド66樹脂
ヘキサメチレンジアミン及びアジピン酸を等モルずつ含むモノマー混合物を50質量%含有する水溶液15kgを調製した。次に、撹拌装置を有し、かつ下部に抜き出しノズルを有する40L容のオートクレーブ中に、上記のモノマー水溶液を仕込み、50℃で充分にモノマー水溶液を攪拌した。オートクレーブ内を充分に窒素で置換した後、モノマー水溶液を撹拌しながらオートクレーブ内の温度を50℃から約270℃まで昇温して重合した。その際、オートクレーブ内の圧力は、ゲージ圧で約1.8MPaであったが、かかる圧力が1.8MPa以上にならないよう、水を随時系外に排出した。また、重合時間は、ポリアミド66樹脂の硫酸相対粘度が2.73程度となるように調整した。
オートクレーブ内での重合終了後、下部ノズルからストランド状にポリアミド66樹脂を排出し、水冷及びカッティングを経て、ペレット状のポリアミド66樹脂を得た(ηr:2.73)。
[(B)成分:ポリアミド6樹脂]
(b−1):ポリアミド6 宇部興産製 SF1013A 硫酸相対粘度2.6
(b−2):ポリアミド6 宇部興産製 1010X1 硫酸相対粘度2.0
(b−3):ポリアミド6 宇部興産製 1030B 硫酸相対粘度4.4
[(C)成分:メラミンシアヌレート系難燃剤]
(c−1):メラミンシアヌレート 中位径(D50):2.6μm
(c−2):メラミンシアヌレート 中位径(D50):6.5μm
[(D)成分:界面活性剤]
(d−1)PEM:ポリオキシエチレンモノラウレート 花王(株)製エマノーン(登録商標)1112
[実施例1]
(a−1)ポリアミド66/6共重合体、(b−1)ポリアミド6樹脂、(c−1)のメラミンシアヌレート、ロスインウェイトフィーダー(K−TRON社製LWF−D5)を用いて、二軸押出機(東芝機械(株)製TEM35BS、二軸同方向スクリュー回転型、L/D=47.6)の第一供給口へ供給した。バレル温度260℃、吐出量30kg/hr、スクリュー回転数150rpmで押出しを行った。押出機のスクリューは、2つの混練ブロックを設けた。押出機先端ノズルからストランド状にポリマーを排出し、水冷、カッティングを行い、ポリアミド樹脂組成物ペレットを得た。
[実施例2〜9、比較例1〜7]
各成分の組成を表1に記載のとおりとした以外は実施例1と同様にして、実施例2〜9および比較例1〜7のポリアミド樹脂組成物ペレットを作製した。なお、実施例9については、バレル温度は270℃で実施した。
(ポリアミド樹脂組成物の評価)
各実施例および比較例のポリアミド樹脂組成物ペレットについて評価を行った。各評価項目およびその結果を表1に示す。各評価項目の評価方法は以下の通りとした。
<硫酸相対粘度測定>
各実施例および比較例で製造したポリアミド樹脂組成物ペレットから切り出した樹脂組成物1.00gを98%濃硫酸100gに対して溶解させ、JIS K6920に従って25℃にて測定した。
<樹脂組成物中のポリアミド66単位/ポリアミド6単位の質量比率>
ペレットを重水素化ギ酸に溶解させて、13C−NMRを測定した。このとき、ポリアミド66、およびポリアミド6由来の炭素のピーク面積比からポリアミド66とポリアミド6のモル比を算出し、さらに分子量を掛け合わせて質量比に換算して質量比率を求めた。
<(C)成分の平均粒子径>
実施例および比較例で得られた樹脂組成物の円柱状ペレットの長辺に対して、垂直な面を断面出しし、その断面を走査電子顕微鏡を用いて3000倍の倍率で観察した。画像解析ソフト(Media Cybernetics社製 Image−Pro Plus 5.0J)を用いて平均粒子径を測定した。
<引張伸び>
ポリアミド樹脂組成物ペレットを、射出成型機(日精樹脂(株)製PS40E)を用いて、シリンダー温度270℃、金型温度80℃に設定し、射出25秒、冷却10秒の射出成形条件で射出成形し、4mm厚みのISO試験片を得た。得られたISO試験片を用いてISO527−1に準じ、引張伸度の測定を行った。
<ヒンジ特性・ヒンジ標準偏差・低温ヒンジ>
各実施例および比較例で製造したポリアミド樹脂組成物ペレットについて、射出成形機(日精工業(株)製:PS40E シリンダー温度270℃、金型温度80℃)を用いて、図1および図2に示すヒンジ成形体1を成形した。図1は、ヒンジ成形品1の上面図であり、図2はヒンジ成形品1の側面図である。ヒンジ成形品1はヒンジ部22を備えている。作製した各例のヒンジ成形品1について、23℃、50%RH雰囲気下で自動繰り返しヒンジ試験機を用いて、ヒンジ部22をほとんど180°まで折り曲げて、元の位置(0°)の位置に戻す動作を33回/分の速度で繰り返し、何回折り曲げた段階で折れて破壊するかを測定した。ヒンジ試験は15本測定し、15本の平均値をヒンジ特性値、標準偏差をバラつきの指標とした。ヒンジ特性値が4000回でも破壊しないものを合格とした。また、標準偏差を以下の基準で評価した。
A:2000未満
B:2000以上〜4000未満
C:4000以上
また、低温ヒンジ特性として、ヒンジ成形体1を0℃環境下に2時間静置後、試験片を手で180°折り曲げ、20本のうち破断した試験片本数を数え、次のように評価した。
A:破断数0〜5本
B:破断数6〜10本
C:破断数11本以上
<難燃性>
実施例および比較例で製造した樹脂組成物のペレットを用いて、270℃に設定したスクリューインライン型射出成形機に供給し、金型温度80℃の条件で、UL−94垂直燃焼試験測定用テストピースを射出成形した(厚み:0.35mmと0.71mm)。このようにして成形した厚みの異なるそれぞれ5本の試験片を用いて、UL−94垂直燃焼試験に基づき難燃性を評価し、難燃性V−0、V−1、V−2、HBの判定を実施した。
表1に示すように、本発明によれば、難燃性やヒンジ特性に優れるとともに、ヒンジ特性のバラつきをも改良することができる。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、高い難燃性を有するため、様々な機械工業部品や電気電子部品、特にコネクターやクリップ等の産業用材料として有用である。
1 ヒンジ成形体
22 ヒンジ部

Claims (9)

  1. (A)ポリアミド66/6共重合体、(B)ポリアミド6樹脂および(C)メラミンシアヌレート系難燃剤を含むポリアミド樹脂組成物であって、前記(A)成分および前記(B)成分の合計100質量部に対して、(C)成分を4〜8質量部含み、前記(A)成分のポリアミド66/6共重合体は、ポリアミド66単位50〜95質量%、ポリアミド6単位5〜50質量%からなり、前記ポリアミド樹脂組成物中のポリアミド66単位/ポリアミド6単位の質量比率が88/12〜73/27、前記ポリアミド樹脂組成物の98%硫酸相対粘度ηr(JIS K6920準拠)が2.50〜2.83、前記ポリアミド樹脂組成物中の(C)成分の平均粒径が1.0μm以下であるポリアミド樹脂組成物。
  2. 前記(A)成分および前記(B)成分の合計100質量部に対して、さらに(D)少なくとも1種のポリアルキレン多価アルコールの脂肪酸エステルを含む界面活性剤を0.1〜1.0質量部含む請求項1に記載のポリアミド樹脂組成物。
  3. 前記(A)成分は、98%硫酸相対粘度ηr(JIS K6920準拠)が2.3〜2.9である請求項1または2のいずれか1項記載のポリアミド樹脂組成物。
  4. 前記(B)成分は、98%硫酸相対粘度ηr(JIS K6920準拠)が2.1〜2.7である請求項1〜のいずれか1項記載のポリアミド樹脂組成物。
  5. 前記ポリアミド樹脂組成物の98%硫酸相対粘度ηr(JIS K6920準拠)が2.50〜2.70である請求項1〜のいずれか1項記載のポリアミド樹脂組成物。
  6. 前記(D)成分が、ポリオキシエチレンモノラウレート、ポリオキシエチレンモノステアレート、ポリオキシエチレンジステアレート、ポリオキシエチレンモノオレエート、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートおよびポリオキシエチレンソルビタントリオレエートからなる群から選ばれる少なくとも1種類である請求項2〜のいずれか1項記載のポリアミド樹脂組成物。
  7. 請求項1〜のいずれか1項記載のポリアミド樹脂組成物を成形してなる成形体。
  8. ヒンジ部を備えるコネクター部品である請求項に記載の成形体。
  9. クリップである請求項に記載の成形体。
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