JP6820567B2 - 癌治療剤 - Google Patents
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Description
本出願は、参照によりここに援用されるところの日本特願2016-203793号及び日本特願2017-061056号の優先権を請求する。
骨肉腫は、主に10歳代若年者に好発する原発生悪性骨腫瘍として最も頻度の高いものであるが、発生原因は不明である。日本における発生頻度は100万人に対して1人の発生率(1年間に130人から260人)といわれている。かつて切断術が唯一の治療選択肢であった時代、骨肉腫の2年生存率は15〜20%であり、非常に予後の悪い疾患であった。
しかし、化学療法の導入・進歩や画像診断及び手術療法の発達に伴い、現在では5年生存率が70%以上に向上している(非特許文献1)。本発明者らは、「カフェイン併用化学療法」を開示している。この療法により、初診時に転移のない治療完遂例では、5年生存率は89%と飛躍的に向上したが、依然として予後の改善が不十分であるため、更なる治療効果の向上が必要である(非特許文献2)。また、再発例や初診時より転移を認めている例では、5年生存率は10〜30%であり、これは過去40年間、顕著な改善はされておらず、この点においても更なる治療効果の向上が必要であると考える(非特許文献3)。
軟部肉腫は、平滑筋肉腫、線維肉腫、脂肪肉腫、横紋筋肉腫等の様々な分類がある。それぞれが違う性質を有しており、希少性は非常に高い。骨外性Ewing肉腫、横紋筋肉腫を除いた非小円形細胞肉腫において、四肢発生で病期IIIに限ると、手術単独での10年生存率が35%程度と報告されている(非特許文献4)。さらに、高悪性度軟部肉腫進行例に対する化学療法の効果に関しては、奏効率で30〜40%と報告されており、軟部肉腫は骨肉腫と比較して、さらに予後の改善に難渋する疾患である(非特許文献5〜7)。
軟部肉腫の現在の標準的治療方法は、悪性度、腫瘍の種類及び患者の状態にもよるが、術前化学療法と手術(広範切除術)と術後化学療法との組合せを基本とする。前記の化学療法とは、シスプラチン及びドキソルビシン等を使用した多剤併用化学療法である。
先に述べた通り、当該治療方法は、治療効果が十分なものとは言えないが、軟部肉腫の希少性の高さゆえ、新規薬剤の開発が進みにくいといった問題点がある。
1.有効成分であるカフェインクエン酸塩を、有効成分である抗癌剤と組み合わせたことを特徴とする癌治療剤。
2.前記癌は、原発生悪性骨腫瘍、軟部肉腫、肺癌、胃癌、乳癌、子宮癌、大腸癌、皮膚癌、卵巣癌、膵癌、胆管癌又は肝細胞癌である、前項1に記載の癌治療剤。
3.前記抗癌剤が、シスプラチン、ゲムシタビン又はアドリアマイシンである前項1又は前項2に記載の癌治療剤。
4.前記癌は、骨肉腫である、前項1〜3のいずれか1に記載の癌治療剤。
5.前記癌は、軟部肉腫である、前項1〜3のいずれか1に記載の癌治療剤。
6.前記癌は、肺癌である、前項1〜3のいずれか1に記載の癌治療剤。
7.前記癌は、膵癌である、前項1〜3のいずれか1に記載の癌治療剤。
8.前記癌は、胃癌である、前項1〜3のいずれか1に記載の癌治療剤。
9.前記癌は、肝細胞癌である、前項1〜3のいずれか1に記載の癌治療剤。
10.前記癌は、子宮癌である、前項1〜3のいずれか1に記載の癌治療剤。
11.前記癌は、乳癌である、前項1〜3のいずれか1に記載の癌治療剤。
12.前記癌は、卵巣癌である、前項1〜3のいずれか1に記載の癌治療剤。
13.前記癌は、皮膚癌である、前項1〜3のいずれか1に記載の癌治療剤。
14.前記癌は、胆管癌である、前項1〜3のいずれか1に記載の癌治療剤。
15.有効成分であるカフェインクエン酸塩と有効成分である抗癌剤を癌患者に投与することを特徴とする癌治療方法。
16.前記癌患者は、原発生悪性骨腫瘍、軟部肉腫、肺癌、胃癌、乳癌、子宮癌、大腸癌、皮膚癌、卵巣癌、膵癌、胆管癌又は肝細胞癌患者である、前項15に記載の癌治療方法。
17.前記抗癌剤が、シスプラチン、アドリアマイシン又はゲムシタビンである前項15又は前項16に記載の癌治療方法。
18.有効成分であるカフェインクエン酸塩を、有効成分である抗癌剤であるゲムシタビンと組み合わせたことを特徴とする軟部肉腫治療剤。
19.有効成分であるカフェインクエン酸塩を、有効成分である抗癌剤であるゲムシタビンと組み合わせたことを特徴とする胃癌治療剤。
20.有効成分であるカフェインクエン酸塩を、有効成分である抗癌剤であるゲムシタビンと組み合わせたことを特徴とする皮膚癌治療剤。
21.有効成分であるカフェインクエン酸塩を、有効成分である抗癌剤であるゲムシタビンと組み合わせたことを特徴とする膵癌治療剤。
22.有効成分であるカフェインクエン酸塩を、有効成分である抗癌剤であるアドリアマイシンと組み合わせたことを特徴とする胃癌治療剤。
23.有効成分であるカフェインクエン酸塩を、有効成分である抗癌剤であるアドリアマイシンと組み合わせたことを特徴とする子宮癌治療剤。
24.有効成分であるカフェインクエン酸塩を、有効成分である抗癌剤であるシスプラチンと組み合わせたことを特徴とする肺癌治療剤。
25.有効成分であるカフェインクエン酸塩を、有効成分である抗癌剤であるシスプラチンと組み合わせたことを特徴とする乳癌治療剤。
26.有効成分であるカフェインクエン酸塩を、有効成分である抗癌剤であるシスプラチンと組み合わせたことを特徴とする子宮癌治療剤。
27.有効成分であるカフェインクエン酸塩を、有効成分である抗癌剤であるシスプラチンと組み合わせたことを特徴とする皮膚癌治療剤。
28.有効成分であるカフェインクエン酸塩を、有効成分である抗癌剤であるシスプラチンと組み合わせたことを特徴とする卵巣癌治療剤。
29.有効成分であるカフェインクエン酸塩を、有効成分である抗癌剤であるシスプラチンと組み合わせたことを特徴とする胆管癌治療剤。
本発明において、カフェインクエン酸塩(クエン酸カフェイン)は、以下の式(1)で表される無水カフェイン並びに式(2)及び/又は式(2')で表されるクエン酸(クエン酸水和物を含む)を含有する薬剤である。ここで、式(2)及び式(2')で表されるクエン酸とは、式(2)で表されるクエン酸と式(2')で表されるクエン酸との混合物を意味する。
カフェインクエン酸塩中の無水カフェイン及びクエン酸の比率はモル比で、無水カフェイン:クエン酸=0.1:9.9〜9.9:0.1、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは1:1である。
カフェインクエン酸塩としては、市販のカフェインクエン酸塩を使用してもよい。例えば、ノーベルファーマ株式会社により商品名「レスピア(登録商標)」が市販されている。
また、無水カフェインに類似する化合物(無水カフェイン類似化合物)として、カフェイン水和物、安息香酸ナトリウムカフェイン(いわゆるアンナカ)等も使用できるほか、カフェインはキサンチン誘導体であるから、キサンチン類であるキサンチン系神経中枢刺激薬(フェネチリン、プロベントフェリン)、キサンチン系血管拡張薬(ペントキシフェリン、ナキシフェリン、ニコチン酸キサンチノール、ペンチフィリン、ロロフィリン、トナポフェリン)、キサンチン系利尿薬(テオブロミン、パマプロム)等も使用できる。
クエン酸に類似する化合物(クエン酸類似化合物)として、クエン酸カリウム、クエン酸リチウム、クエン酸銅、クエン酸鉄アンモニウム、及びそれらの水和物等も使用できる。
したがって、カフェインクエン酸塩に類似する薬剤として、上記の無水カフェインに類似する化合物及びクエン酸に類似する化合物の組合せも使用できる。
このように、カフェインクエン酸塩は、すでに保険診療で処方されている薬剤であるため、早期臨床応用において、新規薬剤と比較すると有利である。
本発明の癌治療剤の有効成分としての抗癌剤は、シスプラチン、アドリアマイシン(ドキソルビシン)、イホスファミド又はゲムシタビンが好ましい。
シスプラチンは、DNA中のグアニン、アデニンのN−7位に結合し、DNA鎖内に架橋を形成することにより、DNAの複製を阻害する抗癌剤である。
シスプラチンは、市販されているものを使用できる。例えば、日本化薬株式会社より商品名「アイエーコール」として市販されている。
(アドリアマイシン)
アドリアマイシンは、腫瘍細胞のDNAの塩基対間に挿入し、DNA合成酵素及びRNA合成酵素を阻害することにより、DNA、RNA双方の生合成を抑制する抗癌剤である。
アドリアマイシンは、市販されているものを使用できる。例えば、協和発酵キリン株式会社より商品名「アドリアシン」として市販されている。
(イホスファミド)
イホスファミドは、DNA中のグアニンをアルキル化し、DNA二本鎖間に架橋を形成することにより、DNAの複製を阻害する抗癌剤である。
イホスファミドは、市販されているものを使用できる。例えば、塩野義製薬株式会社より商品名「イホマイド」として市販されている。
(ゲムシタビン)
ゲムシタビンは、腫瘍細胞のDNA合成において、構造の類似するシチジンと同様にDNA鎖に取り込まれ、DNA鎖伸長を停止させることにより、アポトーシスを誘導する抗癌剤である。
ゲムシタビンは、市販されているものを使用できる。例えば、日本イーライリリー株式会社より商品名「ジェムザール」として市販されている。
ドキソルビシンは、抗癌抗生物質であり、同じ抗癌抗生物質、例えば、アクチノマイシンD、ピラルビシン、ダウノルビシン等も同様の効果が期待される。
イホスファミドは、アルキル化薬であり、同じアルキル化薬、例えば、シクロホスファミド、ブスルファン、ダカルバジン等も同様の効果が期待される。
ゲムシタビンは、代謝拮抗薬であり、同じ代謝拮抗薬も同様の効果が期待される。
上記以外にも、ビンクリスチンやエトポシドのような植物アルカロイド等を含めたDNAの合成を阻害するタイプの薬剤全てにおいて、同様の効果が期待される。
本発明の癌治療剤及び癌治療方法の対象の癌種は、原発生悪性骨腫瘍、軟部肉腫、肺癌、胃癌、乳癌、子宮癌、大腸癌、皮膚癌、卵巣癌、膵癌、胆管癌又は肝細胞癌等が挙げられる。
原発生悪性骨腫瘍としては、特に限定されないが、例えば、骨肉腫、軟骨肉腫、ユーイング(Ewing)肉腫、骨未分化多形肉腫等が挙げられる。
軟部肉腫としては、特に限定されないが、例えば、線維肉腫、滑膜肉腫、平滑筋肉腫、脂肪肉腫、横紋筋肉腫、未分化多形肉腫、骨外性骨肉腫、骨外性Ewing肉腫等が挙げられる。
肺癌としては、特に限定されないが、例えば、腺癌、扁平上皮癌、大細胞癌等の非小細胞肺癌、小細胞肺癌等が挙げられる。
子宮癌としては、特に限定されないが、例えば、子宮頸癌、子宮体癌等が挙げられる。
皮膚癌としては、特に限定されないが、例えば、悪性黒色腫、基底細胞癌、有棘細胞癌等が挙げられる。
なお、本明細書において挙げた癌種は、それらの癌が生じる臓器、器官における全ての扁平上皮癌も対象となる。例えば、胃癌には、胃における扁平上皮癌が含まれる。
本発明の癌治療剤の投与方法又は癌治療方法における投与量および投与計画は、個々の治療対象毎の所要量、治療方法、疾病または必要性の程度などに依存して調整できる。投与量は、具体的には年齢、体重、一般的健康状態、性別、食事、投与時間、投与方法、排泄速度、薬物の組合せ、および患者の病状などに応じて決めることができ、さらに、その他の要因を考慮して決定してもよい。
以下を例示することができるが特に限定されない。
(1)1回の投与量
カフェインクエン酸塩(3日間投与の合計):0.1〜10000 mg/m2体表面積、好ましくは1〜10000 mg/m2体表面積、より好ましくは50〜9000 mg/m2体表面積
抗癌剤:シスプラチン(1日間投与)は、0.1〜150 mg/m2体表面積、好ましくは10〜150 mg/m2体表面積、より好ましくは60〜120 mg/m2体表面積。ドキソルビシン(2日間投与の合計)は、0.1〜120 mg/m2体表面積、好ましくは10〜90 mg/m2体表面積、より好ましくは30〜60 mg/m2体表面積。イホスファミド(3〜5日間投与の合計)は、0.1〜30 mg/m2体表面積、好ましくは1〜20 mg/m2体表面積、より好ましくは4.5〜15 mg/m2体表面積。ゲムシタビン(1日間投与)は、0.1〜1000 mg/m2体表面積、好ましくは10〜900 mg/m2体表面積、より好ましくは675〜900 mg/m2体表面積。
(2)投与間隔
カフェインクエン酸塩:10週間1〜70回投与、好ましくは2日1〜2回投与、より好ましくは1日1回投与。詳しくは、1日〜10週間を1クールとして1〜30日間連続で1日1〜10回投与、好ましくは1〜6週間を1クールとして1〜15日間連続で1日1〜3回投与、より好ましくは2〜3週間を1クールとして3〜7日間連続で1日1回投与。
抗癌剤:1〜10週間1回投与、好ましくは2〜8週間1回投与、より好ましくは3〜6週間1回投与。
(3)併用投与
カフェインクエン酸塩と抗癌剤は同時投与、数時間の間隔を空けての投与、1日の間隔を空けての投与、数日の間隔を空けての投与、数週間の間隔を空けての投与、数か月の間隔を空けての投与のいずれでも良い。
また、カフェインクエン酸塩及び抗癌剤を、生理学的に許容されうる溶媒、担体、賦形剤、結合剤等と混合し、医薬組成物にした後に、該組成物を患者に投与してもよい。なお、本発明におけるカフェインクエン酸塩及び/又は抗癌剤は、プロドラッグ、またはそれらの薬理学的に許容される塩も対象とする。
溶媒としては、特に限定されないが、例えば、水、アルコール、生理食塩水等が挙げられる。
担体としては、特に限定されないが、例えば、酸、塩基、緩衝液、安定化剤、等張化剤、保存剤等が挙げられる。
賦形剤としては、特に限定されないが、例えば、充填剤、凝固剤、滑たく剤、崩壊剤、色素、甘味料、香料、コーティング剤等が挙げられる。
結合剤としては、特に限定されないが、例えば、水、エタノール、プロパノール、単シロップ、ブドウ糖液、デンプン液、ゼラチン液、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルスターチ、メチルセルロース、エチルセルロース、シェラック、リン酸カルシウム、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。
さらに、カフェインクエン酸塩及び抗癌剤を別々に製剤化した場合において、別々に製剤化したものを使用時に希釈剤等を用いて混合して混合物にして後に、該混合物を患者に投与してもよい。
本発明の癌治療剤の投与方法又は癌治療方法では、経口的または非経口的に投与することができる。経口投与には、錠剤、カプセル、コーティング錠、トローチ、溶液または懸濁液などの液剤といった既知の投与用剤形を用いることができる。また、非経口投与は、注射による静脈内、筋肉内、または皮下への投与、スプレーやエアロゾルなどを用いた経鼻腔や口腔などの経粘膜投与、坐剤などを用いた直腸投与、パッチやリニメントやゲルなどを用いた経皮投与などを挙げることができる。好ましくは経口投与、経鼻腔投与、または注射による静脈内投与を挙げることができる。
以下の方法により、骨肉腫、軟部肉腫、肺癌、胃癌に対するカフェインクエン酸塩の抗癌剤効果増強を評価した。
・細胞株
骨肉腫としては、ヒト由来のHOS細胞(American Type Culture Collection(ATCC)より入手)を用いた。
軟部肉腫としては、ヒト由来のHT1080細胞(ATCCより入手)を用いた。
肺癌としては、ヒト由来のRERF−LC−AI細胞(文部科学省ナショナルバイオリソースプロジェクトを介して、国立研究開発法人理科学研究所バイオリソースセンター(理研BRC)より入手)を用いた。
胃癌としては、ヒト由来のMKN45細胞(文部科学省ナショナルバイオリソースプロジェクトを介して、理研BRCより入手)を用いた。
・抗癌剤
シスプラチン(和光純薬工業株式会社より入手、以下、CDDPと称する場合がある)を用いた。
・併用薬
カフェインクエン酸塩(クエン酸カフェイン、ノーベルファーマ株式会社、商品名:レスピア(登録商標)、以下、cafCAと称する場合がある)、無水カフェイン(和光純薬工業株式会社、以下、cafと称する場合がある)又はクエン酸(和光純薬工業株式会社、以下、CAと称する場合がある)を用いた。
(1)上記の各癌種培養細胞について、HOS細胞、RERF−LC−AI細胞、及びMKN45細胞は、Roswell Park Memorial Institute(RPMI)1640培地を、HT1080細胞は、ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)を用いて、それぞれ3000〜5000個/100 μLの濃度で、37℃、CO2 5%の条件で、24時間、96wellの培養プレートで培養した。
(2)培養後、各癌種培養細胞について、4つの群に分け、薬剤(CDDP、CDDP+caf、CDDP+CA、CDDP+cafCA)を100 μL添加した。各群に添加する薬剤のCDDP濃度は、水(滅菌精製水)にCDDPの粉末を溶かして高濃度のものを作成し、その後細胞に応じた培養液で希釈することで0.125、0.25、0.5、1.0、2.0 μMに調製した。各群の併用薬であるcaf及びCAの濃度は、水に粉末を溶かしてそれぞれ高濃度のものを作成し、その後細胞に応じた培養液で希釈することで一律0.5 mMに調製した。cafCAの濃度は、製品が液体であるので、そのまま細胞に応じた培養液で希釈し、caf、CAと同様の0.5 mMに調製した。対照として、一部のウェルには薬剤を添加しなかった(CDDP濃度0 μM)。
(3)薬剤投与後72時間後に、Cell Counting Kit−8(CCK−8)(Dojindo社)で発色し、2〜4時間後に450 nmの吸光度を測定した。対照の吸光度を1として、吸光度の比率から細胞生存率を決定した。
(4)(3)の結果について、Statcel 3(オーエムエス出版)で分散分析を行い、各CDDP濃度における4つの群間の細胞生存率の有意差を解析し、CDDP+cafCAの効果を検討した。
(5)CalcuSyn ver.2(BIOSOFT)にてcafCAのもたらす抗癌剤増強効果と、caf/CAのもたらす抗癌剤増強効果の相乗効果について解析した。解析には、Median Effect法及びIsobologram法を用いた(参照:Ting-Chao Chou, Cancer Res 2010; 70: 440-6.; Tallarida RJ, et al., Life Sci 1989; 45: 947-61.; Roering SC et al., J Pharmacol Exp Ther 1988; 247: 603-8.; Tallarida RJ, Chapman & Hall/CRC, Florida, USA, 2000.)。
0.125、0.25、0.5、1.0、2.0 μMの各CDDP濃度において、CDDP+cafにおけるcaf濃度と、CDDP+CAにおけるCA濃度とのコンビネーションを、CDDP+cafCAにおけるcafCA濃度として、Combination Index(CI)を求めた。
ここで、CDDPは、前記コンビネーションの前後で、同量・同濃度である。例えば、CDDP濃度1.0 μMの場合、CDDP(1.0 μM)+caf(0.5 μM)とCDDP(1.0 μM)+CA(0.5 μM)とのコンビネーションは、CDDP(1.0 μM)+cafCA(0.5 μM)である。
Median Effect法によるCIは、各濃度による細胞生存率から導かれた「細胞が50%生存するために必要と考えられるCDDP濃度(ED50)」を基準に、caf、CA、cafCAの各々の濃度およびその際の細胞生存率を対象として算出した数値である。
Isobologram法によるCIは、各CDDP濃度による細胞生存率から導かれた、CDDP+caf、CDDP+CA及びCDDP+cafCAの「各Effective dose(ED50、ED75、ED90)」を用いて算出した数値である。
CI<1のとき、相乗効果と判定した。なお、CI=1のときは、相加効果と判定し、CI>1のときは、拮抗効果と判定する。
1.細胞生存率
図1に、HOS細胞における4つの群の450 nmの吸光度に基づく細胞生存率を示す。図1から明らかなように、HOS細胞(骨肉腫)において、CDDP+cafCA群は、全てのCDDP濃度で、他の群と比較して、最も細胞生存率が低かった。
また、分散分析の結果、CDDP+cafCA群は、各シスプラチン濃度において、他の全ての群との間で有意差があった(p<0.01)。
よって、カフェインクエン酸塩は、シスプラチンと組み合わせて添加することにより、シスプラチンの抗癌剤効果を増強することが、0.125〜2.0 μMの全てのシスプラチン濃度において確認できた。
次に、Median Effect法によるHOS細胞における相乗効果の解析結果を、表1に示す。相乗効果の指標であるCIは、図1におけるCDDP濃度毎の細胞生存率に基づき、CDDP+cafとCDDP+CAのコンビネーションをCDDP+cafCAとして算出した。CI<1.0のとき、相乗効果が認められる。
表1から明らかなように、CDDP+cafCA群は、0.125〜2.0 μMの全てのシスプラチン濃度で、CI<1.0となり、CDDP+caf及びCDDP+CAに対して、相乗効果が認められた。
Isobologram法によるHOS細胞における相乗効果の解析結果を図5に示す。
図5〜図8のIsobologram法の解析結果のグラフにおいて、CDDP+cafCAの各Effective Doseを示す円形の破線が、それぞれ、CDDP+cafの各Effective Doseと、CDDP+CAの各Effective Doseとを結んだ曲線上にあれば、相加効果を示し、曲線より左下にあれば、相乗効果を示し、曲線より右上にあれば、拮抗効果を示す。例えば、CDDP+cafCAのED50を示す円形の破線が、CDDP+cafのED50と、CDDP+CAのED50とを結んだ曲線上にあれば、相加効果を示し、曲線より左下にあれば、相乗効果を示し、曲線より右上にあれば、拮抗効果を示す。ED75、ED90についても同様である。
本解析における「Effective Dose」とは、各癌腫培養細胞を減少させるために必要なCDDP濃度を示しており、CDDP濃度毎の細胞生存率から導かれる。例えば、ED50であれば、細胞をベースから50%減少させる(細胞生存率を50%にする)ために必要なCDDP濃度を意味し、ED75であれば、細胞を75%減少させる(細胞生存率を25%にする)ために必要なCDDP濃度、ED90であれば、細胞を90%減少させる(細胞生存率を10%にする)ために必要なCDDP濃度を意味する。
図5のグラフから明らかなように、CDDP+cafCAの各Effective Doseを示す円形の破線が、それぞれ、CDDP+caf及びCDDP+CAの各Effective Doseを結んだ曲線よりも左下に位置することから、相乗効果が認められた。
図5の表から明らかなように、CDDP+cafCA群は、50〜90%の全てのEffective Doseで、CI<1.0となり、CDDP+caf及びCDDP+CAに対して、相乗効果が認められた。
1.細胞生存率
HT1080細胞における4つの群の450 nmの吸光度に基づく細胞生存率を図2に示す。図2から明らかなように、HT1080細胞(軟部肉腫)において、CDDP+cafCA群は、全てのCDDP濃度で、他の群と比較して、最も細胞生存率が低かった。
また、分散分析の結果、CDDP+cafCA群は、各シスプラチン濃度において、他の全ての群との間で有意差があった(p<0.01)。
よって、カフェインクエン酸塩は、シスプラチンと組み合わせて添加することにより、シスプラチンの抗癌剤効果を増強することが、0.125〜2.0 μMの全てのシスプラチン濃度において確認できた。
Median Effect法によるHT1080細胞における相乗効果の解析結果を、表1に示す。相乗効果の指標であるCIは、図2におけるCDDP濃度毎の細胞生存率に基づき、CDDP+cafとCDDP+CAのコンビネーションをCDDP+cafCAとして算出した。
表1から明らかなように、CDDP+cafCA群は、0.125〜2.0 μMの全てのシスプラチン濃度で、CI<1.0となり、CDDP+caf及びCDDP+CAに対して、相乗効果が認められた。
Isobologram法によるHT1080細胞における相乗効果の解析結果を図6に示す。
図6のグラフから明らかなように、CDDP+cafCAの各Effective Doseを示す円形の破線が、それぞれ、CDDP+cafとCDDP+CAの各Effective Doseを結んだ曲線よりも左下に位置することから、相乗効果が認められた。
図6の表から明らかなように、CDDP+cafCA群は、50〜90%の全てのEffective Doseで、CI<1となり、CDDP+caf及びCDDP+CAに対して、相乗効果が認められた。
1.細胞生存率
RERF−LC−AI細胞における4つの群の450 nmの吸光度に基づく細胞生存率を図3に示す。図3から明らかなように、RERF−LC−AI細胞(肺癌)において、CDDP+cafCA群は、全てのCDDP濃度で、他の群と比較して、最も細胞生存率が低かった。
また、分散分析の結果、CDDP+cafCA群は、各シスプラチン濃度において、他の全ての群との間で有意差があった(p<0.01)。
よって、カフェインクエン酸塩は、シスプラチンと組み合わせて添加することにより、シスプラチンの抗癌剤効果を増強することが、0.125〜2.0 μMの全てのシスプラチン濃度において確認できた。
Median Effect法によるRERF−LC−AI細胞における相乗効果の解析結果を、表1に示す。相乗効果の指標であるCIは、図3におけるCDDP濃度毎の細胞生存率に基づき、CDDP+cafとCDDP+CAのコンビネーションをCDDP+cafCAとして算出した。
表1から明らかなように、CDDP+cafCA群は、0.125〜2.0 μMの全てのシスプラチン濃度で、CI<1.0となり、CDDP+caf及びCDDP+CAに対して、相乗効果が認められた。
Isobologram法によるRERF−LC−AI細胞における相乗効果の解析結果を図7に示す。
図7のグラフから明らかなように、CDDP+cafCAの各Effective Doseを示す円形の破線が、それぞれ、CDDP+cafとCDDP+CAの各Effective Doseを結んだ曲線よりも左下に位置することから、相乗効果が認められた。
図7の表から明らかなように、CDDP+cafCA群は、50〜90%の全てのEffective Doseで、CI<1となり、CDDP+caf及びCDDP+CAに対して、相乗効果が認められた。
1.細胞生存率
MKN45細胞における4つの群の450 nmの吸光度に基づく細胞生存率を図4に示す。図4から明らかなように、MKN45細胞(胃癌)において、CDDP+cafCA群は、全てのCDDP濃度で、他の群と比較して、最も細胞生存率が低かった。
また、分散分析の結果、CDDP+cafCA群は、各シスプラチン濃度において、他の全ての群との間で有意差があった(p<0.01)。
よって、カフェインクエン酸塩は、シスプラチンと組み合わせて添加することにより、シスプラチンの抗癌剤効果を増強することが、0.125〜2.0 μMの全てのシスプラチン濃度において確認できた。
Median Effect法によるMKN45細胞における相乗効果の解析結果を、表1に示す。相乗効果の指標であるCIは、図4におけるCDDP濃度毎の細胞生存率に基づき、CDDP+cafとCDDP+CAのコンビネーションをCDDP+cafCAとして算出した。
表1から明らかなように、CDDP+cafCA群は、0.125〜2.0 μMの全てのシスプラチン濃度で、CI<1.0となり、CDDP+caf及びCDDP+CAに対して、相乗効果が認められた。
Isobologram法によるMKN45細胞における相乗効果の解析結果を図8に示す。
図8のグラフから明らかなように、CDDP+cafCAの各Effective Doseを示す円形の破線が、それぞれ、CDDP+cafとCDDP+CAの各Effective Doseを結んだ曲線よりも左下に位置することから、相乗効果が認められた。
図8の表から明らかなように、CDDP+cafCA群は、50〜90%の全てのEffective Doseで、CI<1となり、CDDP+caf及びCDDP+CAに対して、相乗効果が認められた。
以上の4種類の細胞株におけるMedian Effect法及びIsobologram法の実験結果をまとめると、図9の通りである。
図9から明らかなように、本発明の癌治療剤は、実験した全ての癌種において、CDDP+cafCA群は、Median Effect法及びIsobologram法の双方の解析により、CI<1.0となり、相乗効果を有することが確認された。
肝細胞癌、子宮癌、乳癌及び卵巣癌に対するカフェインクエン酸塩の抗癌剤(シスプラチン)効果増強を評価した。以下の細胞株及び培地を用いた他は、実施例1と同様の材料及び方法により試験を行った。
・細胞株
肝細胞癌としては、ヒト由来のHepG2細胞(文部科学省ナショナルバイオリソースプロジェクトを介して、理研BRCより入手)を用いた。
子宮癌としては、ヒト由来のHela細胞(文部科学省ナショナルバイオリソースプロジェクトを介して、理研BRCより入手)を用いた。
乳癌としては、ヒト由来のMCF7細胞(文部科学省ナショナルバイオリソースプロジェクトを介して、理研BRCより入手)を用いた。
卵巣癌としては、ヒト由来のOVCAR−3細胞(文部科学省ナショナルバイオリソースプロジェクトを介して、理研BRCより入手)を用いた。
・培地
上記の各癌種培養細胞について、HepG2細胞、Hela細胞、MCF7細胞及びOVCAR−3細胞は、いずれもRPMI1640培地を用いた。
1.細胞生存率
図10、図13、図16及び図19に、それぞれHepG2細胞、Hela細胞、MCF7細胞及びOVCAR−3細胞における4つの群(CDDP、CDDP+caf、CDDP+CA、CDDP+cafCA)の450 nmの吸光度に基づく細胞生存率を示す。図10、図13、図16及び図19から明らかなように、HepG2細胞(肝細胞癌)、Hela細胞(子宮癌)、MCF7細胞(乳癌)及びOVCAR−3細胞(卵巣癌)において、CDDP+cafCA群は、全てのCDDP濃度で、他の群と比較して、最も細胞生存率が低かった。
また、分散分析の結果、CDDP+cafCA群は、各シスプラチン濃度において、他の全ての群との間で有意差があった(p<0.01)。
よって、カフェインクエン酸塩は、シスプラチンと組み合わせて添加することにより、シスプラチンの抗癌剤効果を増強することが、0.125〜2.0 μMの全てのシスプラチン濃度において確認できた。
次に、Median Effect法によるHepG2細胞、Hela細胞、MCF7細胞及びOVCAR−3細胞における相乗効果の解析結果を、図11、図14、図17及び図20に示す。相乗効果の指標であるCIは、図11、図14、図17及び図20におけるCDDP濃度毎の細胞生存率に基づき、CDDP+cafとCDDP+CAのコンビネーションをCDDP+cafCAとして算出した。CI<1.0のとき、相乗効果が認められる。
図11、図14、図17及び図20から明らかなように、CDDP+cafCA群は、0.125〜2.0 μMの全てのシスプラチン濃度で、CI<1.0となり、CDDP+caf及びCDDP+CAに対して、相乗効果が認められた。
Isobologram法によるHepG2細胞、Hela細胞、MCF7細胞及びOVCAR−3細胞における相乗効果の解析結果を図12、図15、図18及び図21に示す。
図12、図15、図18及び図21のグラフから明らかなように、CDDP+cafCAの各Effective Doseを示す円形の破線が、それぞれ、CDDP+caf及びCDDP+CAの各Effective Doseを結んだ曲線よりも左下に位置することから、相乗効果が認められた。
図12、図15、図18及び図21の表から明らかなように、CDDP+cafCA群は、50〜90%の全てのEffective Doseで、CI<1.0となり、CDDP+caf及びCDDP+CAに対して、相乗効果が認められた。
骨肉腫、軟部肉腫、胃癌及び子宮癌に対するカフェインクエン酸塩の抗癌剤(アドリアマイシン)効果増強を評価した。以下の細胞株、抗癌剤及び培地を用いた他は、実施例1と同様の材料により試験を行った。
・細胞株
骨肉腫としては、ヒト由来のHOS細胞(ATCCより入手)を用いた。
軟部肉腫としては、ヒト由来のHT1080細胞(ATCCより入手)を用いた。
胃癌としては、ヒト由来のMKN45細胞(文部科学省ナショナルバイオリソースプロジェクトを介して、理研BRCより入手)を用いた。
子宮癌としては、ヒト由来のHela細胞(文部科学省ナショナルバイオリソースプロジェクトを介して、理研BRCより入手)を用いた。
・抗癌剤
アドリアマイシン(和光純薬工業株式会社より入手、以下、ADMと称する場合がある)を用いた。
・培地
上記の各癌種培養細胞について、HOS細胞、MKN45細胞及びHela細胞は、RPMI1640培地を用いた。HT1080細胞は、DMEMを用いた。
工程(2)を下記の通りに変更した他は、実施例1の方法に準じて試験を行った。
(2)培養後、各癌種培養細胞について、4つの群に分け、薬剤(ADM、ADM+caf、ADM+CA、ADM+cafCA)を100 μL添加した。各群に添加する薬剤のADM濃度は、水(滅菌精製水)にADMの粉末を溶かして高濃度のものを作成し、その後細胞に応じた培養液で希釈することで12.5、25、50、100、200 nMに調製した。各群の併用薬であるcaf及びCAの濃度は、水に粉末を溶かしてそれぞれ高濃度のものを作成し、その後細胞に応じた培養液で希釈することで一律0.5 mMに調製した。cafCAの濃度は、製品が液体であるので、そのまま細胞に応じた培養液で希釈し、caf、CAと同様の0.5 mMに調製した。対照として、一部のウェルには薬剤を添加しなかった(ADM濃度0 μM)。
1.細胞生存率
図22、図25、図28及び図31に、それぞれHOS細胞、HT1080細胞、MKN45細胞及びHela細胞における4つの群(ADM、ADM+caf、ADM+CA、ADM+cafCA)の450 nmの吸光度に基づく細胞生存率を示す。図22、図25、図28及び図31から明らかなように、HOS細胞(骨肉腫)、HT1080細胞(軟部肉腫)、MKN45細胞(胃癌)及びHela細胞(子宮癌)において、ADM+cafCA群は、全てのADM濃度で、他の群と比較して、最も細胞生存率が低かった。
また、分散分析の結果、ADM+cafCA群は、各アドリアマイシン濃度において、他の全ての群との間で有意差があった(p<0.01)。
よって、カフェインクエン酸塩は、アドリアマイシンと組み合わせて添加することにより、アドリアマイシンの抗癌剤効果を増強することが、12.5〜200 nMの全てのアドリアマイシン濃度において確認できた。
次に、Median Effect法によるHOS細胞、HT1080細胞、MKN45細胞及びHela細胞における相乗効果の解析結果を、図23、図26、図29及び図32に示す。相乗効果の指標であるCIは、図23、図26、図29及び図32におけるADM濃度毎の細胞生存率に基づき、ADM+cafとADM+CAのコンビネーションをADM+cafCAとして算出した。CI<1.0のとき、相乗効果が認められる。
図23、図26、図29及び図32から明らかなように、ADM+cafCA群は、12.5〜200 nMの全てのアドリアマイシン濃度で、CI<1.0となり、ADM+caf及びADM+CAに対して、相乗効果が認められた。
Isobologram法によるHOS細胞、HT1080細胞、MKN45細胞及びHela細胞における相乗効果の解析結果を図24、図27、図30及び図33に示す。
図24、図27、図30及び図33のグラフから明らかなように、ADM+cafCAの各Effective Doseを示す円形の破線が、それぞれ、ADM+caf及びADM+CAの各Effective Doseを結んだ曲線よりも左下に位置することから、相乗効果が認められた。
図24、図27、図30及び図33の表から明らかなように、ADM+cafCA群は、50〜90%の全てのEffective Doseで、CI<1.0となり、ADM+caf及びADM+CAに対して、相乗効果が認められた。
骨肉腫、胃癌及び卵巣癌に対するカフェインクエン酸塩の抗癌剤(ゲムシタビン)効果増強を評価した。以下の細胞株、抗癌剤及び培地を用いた他は、実施例1と同様の材料により試験を行った。
・細胞株
骨肉腫としては、ヒト由来のHOS細胞(ATCCより入手)を用いた。
胃癌としては、ヒト由来のMKN45細胞(文部科学省ナショナルバイオリソースプロジェクトを介して、理研BRCより入手)を用いた。
卵巣癌としては、ヒト由来のOVCAR−3細胞(文部科学省ナショナルバイオリソースプロジェクトを介して、理研BRCより入手)を用いた。
・抗癌剤
ゲムシタビン(和光純薬工業株式会社より入手、以下、GEMと称する場合がある)を用いた。
・培地
上記の各癌種培養細胞について、HOS細胞、MKN45細胞及びOVCAR−3細胞は、RPMI1640培地を用いた。
工程(2)を下記の通りに変更した他は、実施例1の方法に準じて試験を行った。
(2)培養後、各癌種培養細胞について、4つの群に分け、薬剤(GEM、GEM+caf、GEM+CA、GEM+cafCA)を100 μL添加した。各群に添加する薬剤のGEM濃度は、水(滅菌精製水)にGEMの粉末を溶かして高濃度のものを作成し、その後細胞に応じた培養液で希釈することで0.5、1、2、4、8 nMに調製した。各群の併用薬であるcaf及びCAの濃度は、水に粉末を溶かしてそれぞれ高濃度のものを作成し、その後細胞に応じた培養液で希釈することで一律0.5 mMに調製した。cafCAの濃度は、製品が液体であるので、そのまま細胞に応じた培養液で希釈し、caf、CAと同様の0.5 mMに調製した。対照として、一部のウェルには薬剤を添加しなかった(GEM濃度0 μM)。
1.細胞生存率
図34、図37及び図40に、それぞれHOS細胞、MKN45細胞及びOVCAR−3細胞における4つの群(GEM、GEM+caf、GEM+CA、GEM+cafCA)の450 nmの吸光度に基づく細胞生存率を示す。図34、図37及び図40から明らかなように、HOS細胞(骨肉腫)、MKN45細胞(胃癌)及びOVCAR−3細胞(卵巣癌)において、GEM+cafCA群は、全てのGEM濃度で、他の群と比較して、最も細胞生存率が低かった。
また、分散分析の結果、GEM+cafCA群は、各ゲムシタビン濃度において、他の全ての群との間で有意差があった(p<0.01)。
よって、カフェインクエン酸塩は、ゲムシタビンと組み合わせて添加することにより、ゲムシタビンの抗癌剤効果を増強することが、0.5〜8.0 nMの全てのゲムシタビン濃度において確認できた。
次に、Median Effect法によるHOS細胞、MKN45細胞及びOVCAR−3における相乗効果の解析結果を、図35、図38及び図41に示す。相乗効果の指標であるCIは、図35、図38及び図41におけるGEM濃度毎の細胞生存率に基づき、GEM+cafとGEM+CAのコンビネーションをGEM+cafCAとして算出した。CI<1.0のとき、相乗効果が認められる。
図35、図38及び図41から明らかなように、GEM+cafCA群は、0.5〜8.0 nMの全てのゲムシタビン濃度で、CI<1.0となり、GEM+caf及びGEM+CAに対して、相乗効果が認められた。
Isobologram法によるHOS細胞、MKN45細胞及びOVCAR−3における相乗効果の解析結果を図36、図39及び図42に示す。
図36及び図39のグラフから明らかなように、GEM+cafCAの各Effective Doseを示す円形の破線が、それぞれ、GEM+caf及びGEM+CAの各Effective Doseを結んだ曲線よりも左下に位置することから、相乗効果が認められた。
図36、図39及び図42の表から明らかなように、GEM+cafCA群は、50〜90%の全てのEffective Doseで、CI<1.0となり、GEM+caf及びGEM+CAに対して、相乗効果が認められた。
以下の方法により、骨肉腫及び軟部肉腫に対するカフェインクエン酸塩の抗癌剤による細胞増殖抑制効果の増強を評価した。
・細胞株
骨肉腫としては、ヒト由来のHOS細胞(ATCCより入手)を用いた。
軟部肉腫としては、ヒト由来のHT1080細胞(ATCCより入手)を用いた。
・抗癌剤
シスプラチン(和光純薬工業株式会社より入手)を用いた。
・併用薬
カフェインクエン酸塩(cafCA、クエン酸カフェイン、ノーベルファーマ株式会社より入手)、無水カフェイン(caf、和光純薬工業株式会社より入手)又はクエン酸(CA、和光純薬工業株式会社より入手)を用いた。
・培地
HOS細胞は、RPMI1640培地を用い、HT1080細胞は、DMEMを用いた。
EdU(5−エチニル−2'−デオキシウリジン)とは、チミジンのヌクレオシド類似体(アナログ)であり、活発なDNA合成の間にDNAに取り込まれる。すなわち、EdUを検出することで、活発なDNA合成が起こっている増殖細胞を検出できる。
そこで、本実験は、以下の手順で、EdUを検出することにより、薬剤投与による細胞増殖能の変化を確認し、CDDP+cafCAによる細胞増殖抑制効果の増強を調べた。
(1)上記の各癌種培養細胞について、それぞれ3000〜5000個/100 μLの濃度で、上記の培地、37℃、CO2 5%の条件で、24時間、チャンバースライド(Lab−Tec(登録商標)、Thermo Scientific Fisher)で培養した。
(2)培養後、各癌種培養細胞について、5つの群(Non−drug、CDDP、CDDP+caf、CDDP+CA、CDDP+cafCA)に分け、培養液を入れ替えた。Non−drug群は0.5 mLの培養液を、薬剤投与群はCDDPが0.25 μM、caf、CA及びcafCAがそれぞれ0.5 mMとなるように調整した培養液を0.5 mL添加した。各群に添加する薬剤のCDDP濃度は、水(滅菌精製水)にCDDPの粉末を溶かして高濃度のものを作成し、その後細胞に応じた培養液で希釈することで0.25 μMに調製した。各群の併用薬であるcaf及びCAの濃度は、水に粉末を溶かしてそれぞれ高濃度のものを作成し、その後細胞に応じた培養液で希釈することで一律0.5 mMに調製した。cafCAの濃度は、製品が液体であるので、そのまま細胞に応じた培養液で希釈し、caf、CAと同様の0.5 mMに調製した。対照として、一部のウェルには薬剤を添加しなかった(Non−drug:0 μM)。
(3)薬剤添加後24時間後に、Click−iT(登録商標) Plus EdU Alexa Fluor(登録商標)555 Imaging Kit(Thermo Fisher Scientific社)、並びにNucBlue(商標) Live Cell Stain ReadyProbes(商標) reagent (molecular probes by life technologies)(Thermo Fisher Scientific社)を用いて、メーカーのマニュアルに従い、DNA合成を行っている細胞の核を染色した(Hoechst(Hoechst33342):核を検出、EdU検出試薬(Alexa Fluor(登録商標)555):DNA合成中の核を検出)。蛍光顕微鏡(BIOREVO:BZ−9000、KEYENCE社)により、Hoechstを光らせるためのフィルターはDAPI(励起波長:360±40 nm、ダイクロイックミラー波長:400 nm、吸収波長:460±50 nm)を、EdUを光らせるためのフィルターはTRITC(励起波長:540±25 nm、ダイクロイックミラー波長:565 nm、吸収波長:605±55 nm)を用い、各群の定点5視野を写真撮影した。Hoechst及びEdUの検出を行った。Non−drugと比較して、EdU検出シグナルが少なく(弱く)なるほど、細胞増殖を抑制しているといえる。
(4)(3)の写真の画面中の細胞をカウントした。なお、EdU発色率は以下の通りに算出した。EdU発色率=DNA合成細胞数(EdU検出細胞数)/細胞総数(Hoechst検出細胞数)。各群5視野のEdU発色率の平均値を算出し、Non−drugの平均値を1とした比率から、Statcel 3(オーエムエス出版)を用いて、各群のEdU発色率の有意差について分散分析した。
HOS細胞及びHT1080細胞における結果を、それぞれ図43及び図44に示す。
図43から明らかなように、HOS細胞(骨肉腫)において、CDDP+cafCA群は、他の群と比較して、最もHoechst検出細胞数に対するEdU検出細胞数の割合が少なかった。すなわち、CDDP+cafCA群は、他の群と比較して、最もHOS細胞(骨肉腫)の細胞増殖を抑制した。
図44から明らかなように、HT1080細胞(軟部肉腫)において、CDDP+cafCA群は、他の群と比較して、最もHoechst検出シグナルに対するEdU検出シグナルの割合が少なかった。すなわち、CDDP+cafCA群は、他の群と比較して、最もHT1080細胞(軟部肉腫)の細胞増殖を抑制した。
HOS細胞及びHT1080細胞における各群のEdU発色率の有意差の解析結果を図45に示す。
図45から明らかなように、CDDP+cafCA群は、HOS細胞及びHT1080細胞において、他の全ての群との間で有意差があった(p<0.01)。また、HOS細胞において、CDDP+cafCA群のEdU発色率は、Non−Drug群と比較して約51%、CDDP群と比較して約58%、CDDP+caf群と比較して約66%、CDDP+CA群と比較して約61%であり、大きく低下した。HT1080細胞において、CDDP+cafCA群のEdU発色率は、Non−Drug群と比較して約51%、CDDP群と比較して約56%、CDDP+caf群と比較して約72%、CDDP+CA群と比較して約57%であり、大きく低下した。
よって、カフェインクエン酸塩は、骨肉腫及び軟部肉腫において、シスプラチンと組み合わせて添加することにより、シスプラチンの細胞増殖抑制効果を増強することが確認できた。
以下の方法により、骨肉腫及び軟部肉腫に対するカフェインクエン酸塩の抗癌剤によるアポトーシス誘導効果の増強を評価した。
・細胞株
骨肉腫としては、ヒト由来のHOS細胞(ATCCより入手)を用いた。
軟部肉腫としては、ヒト由来のHT1080細胞(ATCCより入手)を用いた。
・抗癌剤
シスプラチン(和光純薬工業株式会社より入手)を用いた。
・併用薬
カフェインクエン酸塩(cafCA、クエン酸カフェイン、ノーベルファーマ株式会社より入手)、無水カフェイン(caf、和光純薬工業株式会社より入手)又はクエン酸(CA、和光純薬工業株式会社より入手)を用いた。
・培地
HOS細胞は、RPMI1640培地を用い、HT1080細胞は、DMEMを用いた。
TMRE(tetramethylrhodamine,ethyl ester)とは、膜電位の保たれているミトコンドリア内に蓄積される色素である。ミトコンドリア膜電位が消失すると、TMREは分散され、検出シグナル強度が弱くなる。アポトーシスでは、初期の段階として、ミトコンドリア外膜が破壊され、膜電位の消失が起こるため、TMREの蓄積は少なくなり、TMRE検出シグナル強度が弱くなる。
そこで、本実験は、以下の手順で、TMREを検出することにより、薬剤投与による膜電位の変化を確認し、CDDP+cafCAによるミトコンドリア膜電位の減弱・消失(アポトーシス誘導効果)の増強を調べた。
(1)上記の各癌種培養細胞について、それぞれ3000〜5000個/100 μLの濃度で、上記の培地、37℃、CO2 5%の条件で、24時間、チャンバースライド(Lab−Tec(登録商標)、Thermo Scientific Fisher)で培養した。
(2)培養後、各癌種培養細胞について、5つの群(Non−drug、CDDP、CDDP+caf、CDDP+CA、CDDP+cafCA)に分け、培養液を入れ替えた。Non−drug群は0.5 mLの培養液を、薬剤投与群はCDDPが0.25 μM、caf、CA及びcafCAがそれぞれ0.5 mMとなるように調整した培養液を0.5 mL添加した。各群に添加する薬剤のCDDP濃度は、水(滅菌精製水)にCDDPの粉末を溶かして高濃度のものを作成し、その後細胞に応じた培養液で希釈することで0.25 μMに調製した。各群の併用薬であるcaf及びCAの濃度は、水に粉末を溶かしてそれぞれ高濃度のものを作成し、その後細胞に応じた培養液で希釈することで一律0.5 mMに調製した。cafCAの濃度は、製品が液体であるので、そのまま細胞に応じた培養液で希釈し、caf、CAと同様の0.5 mMに調製した。対照として、一部のウェルには薬剤を添加しなかった(Non−drug:0 μM)。
(3)薬剤添加後24時間後に、TMRE−Mitochondrial Membrane Potential Assay Kit(アブカム社)を用いて、メーカーのマニュアルに従い、DNA合成を行っている細胞の核を染色した(Hoechst(Hoechst33342):核を検出、TMRE:膜電位の保たれているミトコンドリアを検出)。蛍光顕微鏡(BIOREVO:BZ−9000、KEYENCE社)によりHoechstを光らせるためのフィルターはDAPI(励起波長:360±40 nm、ダイクロイックミラー波長:400 nm、吸収波長:460±50 nm)を、TMREを光らせるためのフィルターはTRITC(励起波長:540±25 nm、ダイクロイックミラー波長:565 nm、吸収波長:605±55 nm)を用い、各群の定点5視野を写真撮影した。Hoechst及びTMREの検出を行った。Non−drugと比較して、TMRE検出シグナルが弱くなるほど、アポトーシスを誘導しているといえる。
(4)(3)の写真の画面中の細胞をカウントした。なお、1細胞あたりのTMRE輝度は以下の通りに算出した。1細胞あたりのTMRE輝度=TMRE輝度(検出シグナル強度)総和/細胞総数(Hoechst検出細胞数)。各群5視野の1細胞あたりのTMRE輝度の平均値を算出し、Non−drugの平均値を1とした比率から、Statcel 3(オーエムエス出版)を用いて、各群の1細胞あたりのTMRE輝度の有意差について分散分析した。
HOS細胞及びHT1080細胞における結果を、それぞれ図46及び図47に示す。
図46から明らかなように、HOS細胞(骨肉腫)において、CDDP+cafCA群は、他の群と比較して、最もHoechst検出細胞数に対するTMRE検出シグナル強度が弱かった。すなわち、CDDP+cafCA群は、他の群と比較して、最もHOS細胞(骨肉腫)のアポトーシスを誘導する可能性を確認した。
図47から明らかなように、HT1080細胞(軟部肉腫)において、CDDP+cafCA群は、他の群と比較して、最もHoechst検出細胞数に対するTMRE検出シグナル強度が弱かった。すなわち、CDDP+cafCA群は、他の群と比較して、最もHT1080細胞(軟部肉腫)のアポトーシスを誘導する可能性を確認した。
HOS細胞及びHT1080細胞における各群の1細胞あたりのTMRE輝度の有意差の解析結果を図48に示す。
図48から明らかなように、CDDP+cafCA群は、HOS細胞及びHT1080細胞において、他の全ての群との間で有意差があった(p<0.05又はp<0.01)。
また、HOS細胞において、CDDP+cafCA群の1細胞あたりのTMRE輝度は、Non−Drug群と比較して約51%、CDDP群と比較して約65%、CDDP+caf群と比較して約77%、CDDP+CA群と比較して約71%であり、大きく低下した。HT1080細胞において、CDDP+cafCA群の1細胞あたりのTMRE輝度は、Non−Drug群と比較して約35%、CDDP群と比較して約38%、CDDP+caf群と比較して約57%、CDDP+CA群と比較して約52%であり、大きく低下した。
よって、カフェインクエン酸塩は、骨肉腫及び軟部肉腫において、シスプラチンと組み合わせて添加することにより、ミトコンドリア膜電位が減弱・消失し、シスプラチンのアポトーシス誘導効果を増強する可能性を確認した。
皮膚癌、膵癌及び胆管癌に対するカフェインクエン酸塩の抗癌剤(シスプラチン)効果増強を評価した。以下の細胞株及び培地を用いた他は、実施例1と同様の材料及び方法により試験を行った。
・細胞株
皮膚癌としては、ヒト由来のA375細胞(DSファーマバイオメディカル株式会社より入手)を用いた。
膵癌としては、ヒト由来のPANC−1細胞(文部科学省ナショナルバイオリソースプロジェクトを介して、理研BRCより入手)を用いた。
胆管癌としては、ヒト由来のTFK−1細胞(文部科学省ナショナルバイオリソースプロジェクトを介して、理研BRCより入手)を用いた。
・培地
上記の各癌種培養細胞について、A375細胞、PANC−1細胞及びTFK−1細胞は、いずれもRPMI1640培地を用いた。
1.細胞生存率
図49、図50及び図51に、それぞれA375細胞、PANC−1細胞及びTFK−1細胞における4つの群(CDDP、CDDP+caf、CDDP+CA、CDDP+cafCA)の450 nmの吸光度に基づく細胞生存率を示す。図49、図50及び図51から明らかなように、A375細胞(皮膚癌)、PANC−1細胞(膵癌)及びTFK−1細胞(胆管癌)において、CDDP+cafCA群は、全てのCDDP濃度で、他の群と比較して、最も細胞生存率が低かった。
また、分散分析の結果、CDDP+cafCA群は、各シスプラチン濃度において、他の全ての群との間で有意差があった(p<0.01)。
よって、カフェインクエン酸塩は、シスプラチンと組み合わせて添加することにより、シスプラチンの抗癌剤効果を増強することが、0.125〜2.0 μMの全てのシスプラチン濃度において確認できた。
Median Effect法によるA375細胞、PANC−1細胞及びTFK−1細胞における相乗効果の解析を行った(図省略)。相乗効果の指標であるCIは、実施例1と同様に、CDDP濃度毎の細胞生存率に基づき、CDDP+cafとCDDP+CAのコンビネーションをCDDP+cafCAとして算出した。CI<1.0のとき、相乗効果が認められる。
CDDP+cafCA群は、0.125〜2.0 μMの全てのシスプラチン濃度で、CI<1.0となり、CDDP+caf及びCDDP+CAに対して、相乗効果が認められた。
Isobologram法によるA375細胞、PANC−1細胞及びTFK−1細胞における相乗効果の解析を行った(図省略)。
実施例1と同様に、CDDP+cafCAの各Effective Doseを示す円形の破線が、それぞれ、CDDP+caf及びCDDP+CAの各Effective Doseを結んだ曲線よりも左下に位置することから、相乗効果が認められた。
CDDP+cafCA群は、50〜90%の全てのEffective Doseで、CI<1.0となり、CDDP+caf及びCDDP+CAに対して、相乗効果が認められた。
軟部肉腫、皮膚癌、膵癌及び胆管癌に対するカフェインクエン酸塩の抗癌剤(ゲムシタビン)効果増強を評価した。以下の細胞株及び培地を用いた他は、実施例4と同様の材料及び方法により試験を行った。
・細胞株
軟部肉腫としては、ヒト由来のHT1080細胞(ATCCより入手)を用いた。
皮膚癌としては、ヒト由来のA375細胞(DSファーマバイオメディカル株式会社より入手)を用いた。
膵癌としては、ヒト由来のPANC−1細胞(文部科学省ナショナルバイオリソースプロジェクトを介して、理研BRCより入手)を用いた。
胆管癌としては、ヒト由来のTFK−1細胞(文部科学省ナショナルバイオリソースプロジェクトを介して、理研BRCより入手)を用いた。
・培地
上記の各癌種培養細胞について、HT1080細胞はDMEMを用い、A375細胞、PANC−1細胞及びTFK−1細胞は、いずれもRPMI1640培地を用いた。
1.細胞生存率
図52、図53、図54及び図55に、それぞれHT1080細胞、A375細胞、PANC−1細胞及びTFK−1細胞における4つの群(GEM、GEM+caf、GEM+CA、GEM+cafCA)の450 nmの吸光度に基づく細胞生存率を示す。図52、図53、図54及び図55から明らかなように、HT1080細胞(軟部肉腫(線維肉腫))、A375細胞(皮膚癌)、PANC−1細胞(膵癌)及びTFK−1細胞(胆管癌)において、GEM+cafCA群は、全てのゲムシタビン濃度で、他の群と比較して、最も細胞生存率が低かった。
また、分散分析の結果、GEM+cafCA群は、他の全ての群との間で有意差があった(p<0.01)。
よって、カフェインクエン酸塩は、ゲムシタビンと組み合わせて添加することにより、ゲムシタビンの抗癌剤効果を増強することが確認できた。
Median Effect法によるHT1080細胞、A375細胞、PANC−1細胞及びTFK−1細胞における相乗効果の解析を行った(図省略)。相乗効果の指標であるCIは、実施例1と同様に、GEM濃度毎の細胞生存率に基づき、GEM+cafとGEM+CAのコンビネーションをGEM+cafCAとして算出した。CI<1.0のとき、相乗効果が認められる。
GEM+cafCA群は、0.125〜2.0 μMの全てのゲムシタビン濃度で、CI<1.0となり、GEM+caf及びGEM+CAに対して、相乗効果が認められた。
Isobologram法によるHT1080細胞、A375細胞、PANC−1細胞及びTFK−1細胞における相乗効果の解析を行った(図省略)。
実施例1と同様に、GEM+cafCAの各Effective Doseを示す円形の破線が、それぞれ、GEM+caf及びGEM+CAの各Effective Doseを結んだ曲線よりも左下に位置することから、相乗効果が認められた。
GEM+cafCA群は、50〜90%の全てのEffective Doseで、CI<1.0となり、GEM+caf及びGEM+CAに対して、相乗効果が認められた。
以下の方法により、癌細胞を担持したマウスにおけるカフェインクエン酸塩の抗癌剤効果増強を評価した。さらに、カフェインクエン酸塩及び抗癌剤の濃度を変化させてカフェインクエン酸塩の抗癌剤効果増強を評価した。
・マウスは、BALB/c-nu(日本チャールズリバー社より入手)を用いた。
・細胞株
骨肉腫としては、マウス由来のLM8細胞(文部科学省ナショナルバイオリソースプロジェクトを介して、理研BRCより入手)を用いた。
軟部肉腫としては、ヒト由来のHT1080細胞(ATCCより入手)を用いた。
・抗癌剤
シスプラチン(和光純薬工業株式会社より入手)を用いた。
・併用薬
カフェインクエン酸塩(cafCA、クエン酸カフェイン、ノーベルファーマ株式会社より入手)、無水カフェイン(caf、和光純薬工業株式会社より入手)又はクエン酸(CA、和光純薬工業株式会社より入手)を用いた。
・培地
LM8細胞は、RPMI1640培地を用い、HT1080細胞は、DMEMを用いた。
(1)マウス由来のLM8細胞(5×105個)を背部皮下に移植したヌードマウスでの評価系
下記の表2及び図56のスケジュールに従い、癌細胞を担持したマウスにおけるカフェインクエン酸塩の抗癌剤効果増強を評価した。
(2)ヒト由来のHT1080細胞(5×105個)を背部皮下に移植したヌードマウスでの評価系
下記の表2及び図56のスケジュールに従い、癌細胞を担持したマウスにおけるカフェインクエン酸塩の抗癌剤効果増強を評価した。
(3)カフェインクエン酸塩低投与量を特徴とするマウス由来のLM8細胞(5×105個)を背部皮下に移植したヌードマウスでの評価系
下記の表3及び図56のスケジュールに従い、癌細胞を担持したマウスにおけるカフェインクエン酸塩の抗癌剤効果増強を評価した。
(4)抗癌剤低投与量を特徴とするマウス由来のLM8細胞(5×105個)を背部皮下に移植したヌードマウスでの評価系
下記の表4及び図56のスケジュールに従い、癌細胞を担持したマウスにおけるカフェインクエン酸塩の抗癌剤効果増強を評価した。
マウス由来のLM8細胞を背部皮下に移植したヌードマウスでの評価系の結果を図57及び図58に示す。
ヒト由来のHT1080細胞を背部皮下に移植したヌードマウスでの評価系の結果を図59及び図60に示す。
カフェインクエン酸塩低投与量を特徴とするマウス由来のLM8細胞を背部皮下に移植したヌードマウスでの評価系の結果を図61及び図62に示す。
抗癌剤低投与量を特徴とするマウス由来のLM8細胞を背部皮下に移植したヌードマウスでの評価系の結果を図63及び図64に示す。
図57〜64から明らかなように、CDDP+cafCA群は、他の群と比較して、腫瘍の成長(体積及び重さ)を非常に強く抑制した。加えて、カフェインクエン酸塩及び抗癌剤の濃度を変化させても、CDDP+cafCA群は、他の群と比較して、腫瘍の成長(体積及び重さ)を非常に強く抑制した。
以上の結果により、本発明の抗癌剤(カフェインクエン酸塩)及び治療方法は、In vitro評価系でも抗癌剤増強効果を有することを確認した。
以下の方法により、本発明の癌治療剤の安全性を評価した。
以下の表5に従い、ヌードマウス(担癌マウスではない)の体重推移を評価した。
外部委託して、前記ヌードマウスを採血、臓器摘出を行い、血液検査及び病理組織学的検査を実施した。
血液検査及び病理組織学的検査では、有害事象は認められなかった。
以上により、本発明の癌治療剤及び癌治療方法は安全性に問題がないことを確認した。
ADMは心筋障害の有害事象をきたすことがある。そこで、in vitroによるWST−8アッセイにより、本発明のADMを含む癌治療剤による心筋細胞の障害を評価した。本実施例では、心筋細胞の生存細胞数の減少は、ADM+caf、ADM+CA、ADM+cafCAそれぞれが、ADM単独と同等であった。
以上の結果より、本発明の癌治療剤及び癌治療方法は、以下の有利な効果を有することが明らかになった。
(1)シスプラチンとカフェインクエン酸塩との組合せは、シスプラチン単独、シスプラチンと無水カフェインとの組合せ、シスプラチンとクエン酸との組合せと比較して、有意にシスプラチンの抗癌剤効果をより増強すること。カフェインクエン酸塩の有する抗癌剤増強効果は、無水カフェインの有する抗癌剤増強効果と、クエン酸の有する抗癌剤増強効果との、単なる相加効果ではなく、相乗効果であること。
(2)アドリアマイシンとカフェインクエン酸塩との組合せは、アドリアマイシン単独、アドリアマイシンと無水カフェインとの組合せ、アドリアマイシンとクエン酸との組合せと比較して、有意にアドリアマイシンの抗癌剤効果をより増強すること。カフェインクエン酸塩の有する抗癌剤増強効果は、無水カフェインの有する抗癌剤増強効果と、クエン酸の有する抗癌剤増強効果との、単なる相加効果ではなく、相乗効果であること。
(3)ゲムシタビンとカフェインクエン酸塩との組合せは、ゲムシタビン単独、ゲムシタビンと無水カフェインとの組合せ、ゲムシタビンとクエン酸との組合せと比較して、有意にゲムシタビンの抗癌剤効果をより増強すること。カフェインクエン酸塩の有する抗癌剤増強効果は、無水カフェインの有する抗癌剤増強効果と、クエン酸の有する抗癌剤増強効果との、単なる相加効果ではなく、相乗効果であること。
(4)シスプラチンとカフェインクエン酸塩との組合せは、骨肉腫及び軟部肉腫において、シスプラチン単独、シスプラチンと無水カフェインとの組合せ、シスプラチンとクエン酸との組合せと比較して、有意にシスプラチンの細胞増殖抑制効果をより増強すること。
(5)シスプラチンとカフェインクエン酸塩との組合せは、骨肉腫及び軟部肉腫において、シスプラチン単独、シスプラチンと無水カフェインとの組合せ、シスプラチンとクエン酸との組合せと比較して、有意にシスプラチンのアポトーシス誘導効果をより増強する可能性がある。
(6)安全性に問題がない。
Claims (12)
- 有効成分であるカフェインクエン酸塩を、有効成分である抗癌剤であるゲムシタビンと組み合わせたことを特徴とする軟部肉腫治療剤。
- 有効成分であるカフェインクエン酸塩を、有効成分である抗癌剤であるゲムシタビンと組み合わせたことを特徴とする胃癌治療剤。
- 有効成分であるカフェインクエン酸塩を、有効成分である抗癌剤であるゲムシタビンと組み合わせたことを特徴とする皮膚癌治療剤。
- 有効成分であるカフェインクエン酸塩を、有効成分である抗癌剤であるゲムシタビンと組み合わせたことを特徴とする膵癌治療剤。
- 有効成分であるカフェインクエン酸塩を、有効成分である抗癌剤であるアドリアマイシンと組み合わせたことを特徴とする胃癌治療剤。
- 有効成分であるカフェインクエン酸塩を、有効成分である抗癌剤であるアドリアマイシンと組み合わせたことを特徴とする子宮癌治療剤。
- 有効成分であるカフェインクエン酸塩を、有効成分である抗癌剤であるシスプラチンと組み合わせたことを特徴とする肺癌治療剤。
- 有効成分であるカフェインクエン酸塩を、有効成分である抗癌剤であるシスプラチンと組み合わせたことを特徴とする乳癌治療剤。
- 有効成分であるカフェインクエン酸塩を、有効成分である抗癌剤であるシスプラチンと組み合わせたことを特徴とする子宮癌治療剤。
- 有効成分であるカフェインクエン酸塩を、有効成分である抗癌剤であるシスプラチンと組み合わせたことを特徴とする皮膚癌治療剤。
- 有効成分であるカフェインクエン酸塩を、有効成分である抗癌剤であるシスプラチンと組み合わせたことを特徴とする卵巣癌治療剤。
- 有効成分であるカフェインクエン酸塩を、有効成分である抗癌剤であるシスプラチンと組み合わせたことを特徴とする胆管癌治療剤。
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