JP6830807B2 - 金属被覆樹脂成形体および金属被覆樹脂成形体の製造方法 - Google Patents
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ユーザーの目に直接触れる、あるいはユーザーが直接手に触れる樹脂成形体としては、例えば、自動車の内装品、家電製品、居住空間の壁面材、日常容器、ヘルメット等のフェイスシールド、アイウェア、照明部材、看板やソーラーパネル等の屋外設置材料、化粧料収容用のコンパクト容器等のコスメティック製品等が挙げられる。
また、熱圧着方法(熱プレス法)で行われるので、成形体表面は通常、平面上に限定されるという問題点があった。その理由は、熱プレスでは樹脂成形体の表面状態を維持させて、そのまま仕上げとするので、最適な条件で熱加工しなければ、表面が軟化しすぎてクモリや型当たり跡等の問題が発生しやすかったり、また金属層に比べて熱収縮が数倍大きいので、ベコつきや形状異常、ソリ等の問題が発生しやすかったりするからだと考えられる。
曲面を有する透明な熱可塑性樹脂成形体と、
前記熱可塑性樹脂成形体の前記曲面に沿って密着して接合された金属箔と、
を備え、
前記曲面は可展面ではない三次元曲面であり、
前記金属箔は、少なくとも前記熱可塑性樹脂成形体との接合部表面に微細凹凸構造を有し、
前記曲面上の任意の点における法線ベクトル方向において、前記金属箔の厚みをθ M 、前記熱可塑性樹脂成形体の厚みをθ R とした場合、下記式(1)を満たし、
前記金属箔の厚み(θ M )が0.1mm以上0.6mm以下である、
金属被覆樹脂成形体。
0.05≦θ M /θ R <1.0 (1)
[2]
上記[1]に記載の金属被覆樹脂成形体において、
前記金属箔の前記微細凹凸構造に前記熱可塑性樹脂成形体の一部分が浸入することにより前記金属箔と前記熱可塑性樹脂成形体とが接合されている金属被覆樹脂成形体。
[3]
上記[1]または[2]に記載の金属被覆樹脂成形体において、
前記金属箔がアルミニウム箔またはアルミニウム合金箔である金属被覆樹脂成形体。
[4]
上記[1]乃至[3]のいずれか一つに記載の金属被覆樹脂成形体において、
前記熱可塑性樹脂成形体を構成する熱可塑性樹脂(A)が、ポリスチレン樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、スチレン−アクリロニトリル共重合体樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体樹脂、ポリメタクリル酸メチル樹脂、およびポリカーボネート樹脂から選択される一種または二種以上の非晶性熱可塑性樹脂成分(a)を含む金属被覆樹脂成形体。
[5]
上記[4]に記載の金属被覆樹脂成形体において、
前記非晶性熱可塑性樹脂成分(a)がポリカーボネート樹脂を含む金属被覆樹脂成形体。
[6]
上記[1]乃至[5]のいずれか一つに記載の金属被覆樹脂成形体において、
前記金属箔の前記微細凹凸構造には、複数の凸部が5nm以上500μm以下の間隔周期で設けられている金属被覆樹脂成形体。
[7]
上記[1]乃至[6]のいずれか一つに記載の金属被覆樹脂成形体において、
前記金属箔の前記熱可塑性樹脂成形体との接合部分以外の表面が、研磨処理およびカラーアルマイト処理のうち少なくとも一方の処理がなされている金属被覆樹脂成形体。
[8]
上記[1]乃至[7]のいずれか一つに記載の金属被覆樹脂成形体を製造するための製造方法であって、
金型のキャビティ部に、表面の少なくとも一部に微細凹凸構造を有する金属箔を配置する工程と、
前記キャビティ部に非晶性熱可塑性樹脂成分(a)を含む熱可塑性樹脂(A)を注入することにより前記金属箔と前記熱可塑性樹脂成形体とを接合する工程と、
を含み、
前記熱可塑性樹脂の注入開始から保圧完了までの間、前記金型の表面温度を前記非晶性熱可塑性樹脂成分(a)のガラス転移温度以上の温度に維持し、前記保圧完了後、前記金型の表面温度を前記非晶性熱可塑性樹脂成分(a)のガラス転移温度未満の温度に冷却する金属被覆樹脂成形体の製造方法。
[9]
上記[8]に記載の金属被覆樹脂成形体の製造方法において、
前記非晶性熱可塑性樹脂成分(a)がポリカーボネート樹脂を含む金属被覆樹脂成形体の製造方法。
[10]
上記[8]または[9]に記載の金属被覆樹脂成形体の製造方法において、
前記金型の表面の近くに設けられた流路に水蒸気、温水および温油から選択される加熱媒体を導入する、あるいは電磁誘導加熱を用いることにより、前記金型の前記表面温度を前記非晶性熱可塑性樹脂成分(a)のガラス転移温度以上の温度に維持する金属被覆樹脂成形体の製造方法。
[11]
上記[8]乃至[10]のいずれか一つに記載の金属被覆樹脂成形体の製造方法において、
前記金型の表面の近くに設けられた流路に冷水および冷油から選択される冷却媒体を導入することにより、前記金型の前記表面温度を前記非晶性熱可塑性樹脂成分(a)のガラス転移温度未満の温度に冷却する金属被覆樹脂成形体の製造方法。
[12]
上記[8]乃至[11]のいずれか一つに記載の金属被覆樹脂成形体の製造方法において、
前記注入開始から前記保圧完了までの時間が1秒以上200秒以下である金属被覆樹脂成形体の製造方法。
まず、本実施形態に係る金属被覆樹脂成形体10について説明する。
図1は本発明に係る実施形態の、透明な熱可塑性樹脂成形体21の曲面20に均一厚みの金属箔30が密着接合している金属被覆樹脂成形体10の構造の一例を模式的に示した斜視図である。図2は本発明に係る実施形態の金属被覆樹脂成形体10の構造の一例を模式的に示した断面図であり、図1に示したX−Y方向における断面図である。
ここで、本実施形態における曲面とは、曲線が動いてできる面、換言すれば連続的に曲がった平面でない面であり、具体的には、円柱面や円錐面に代表される可展面(二次曲面)と、可展面ではない三次元曲面とを含む。本実施形態では熱可塑性樹脂成形体21は、意匠性により優れる観点から、三次元曲面を有することが好ましい。
射出成形(インモールド成形)によって曲面形状を有する金属被覆樹脂成形体を作成する方法も考えられるが、公知の射出成形技術では、接合点における樹脂部厚みは金属部厚みに比べて小さいのが一般的である。換言すれば、公知技術は、金属部を専ら機械強度発現のための構成材料として用い、その表面上に装飾付与等を目的として薄い樹脂層を被覆接合する技術に終始してきたと言える。
本実施形態において、金属被覆樹脂成形体10における金属箔30部分は、前述の通り、装飾性や金属調の質感付与のために設けられるので、熱可塑性樹脂成形体21部分に比べて相対的に重い金属箔部はできるだけ薄くして金属被覆樹脂成形体10全体の軽量化を図ることが好ましい。すなわち、θM/θRが1.0未満であると金属被覆樹脂成形体10がより軽くなり、特に自動車内装材やコスメティック製品に適用する場合に好ましい。θM/θRが0.05以上であると、金属被覆樹脂成形体10の機械的強度がより良好になり、特にフェイスシールド等の安全部品として使用する場合に好ましい。
本実施形態に係る金属被覆樹脂成形体10を構成する熱可塑性樹脂成形体21は透明性を示す。熱可塑性樹脂成形体21を構成する熱可塑性樹脂(A)は、非晶性熱可塑性樹脂成分(a)を含む場合であってもよいし、結晶性熱可塑性樹脂成分(b)からなるがその実用状態で非晶状態もしくは結晶化度が相当に低い、または結晶サイズが微細である場合であってもよい。前者の例としては、後述する非晶性熱可塑性樹脂成分(a)を挙げることができる。後者の例としてはポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリプロピレン(PP)、低密度ポリエチレン(LDPE)、ナイロン6(NY6)等を挙げることができ、これらの樹脂については溶融したものを成形後に急速冷却することにより透明化を図ることができる。ただし、後者の方法では微結晶と非結晶の量制御によっては安定して透明化できない場合があるので、非晶性熱可塑性樹脂成分(a)を含む熱可塑性樹脂(A)を用いる方法を採用することが好ましい。
熱可塑性樹脂(A)に含まれる結晶性熱可塑性樹脂成分(b)としては特に限定されないが、例えば、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂等を挙げることができる。熱可塑性樹脂(A)に含まれる結晶性熱可塑性樹脂成分(b)の含有量は、通常40質量%以下、好ましくは30質量%以下である。
熱可塑性樹脂(A)に含まれるその他配合剤(c)としては特に限定されないが、例えば、顔料、難燃剤、酸化防止剤、可塑剤、帯電防止剤等を挙げることができる。熱可塑性樹脂(A)に含まれるその他配合剤(c)の含有量は、熱可塑性樹脂成形体21の透明性を損なわない量であれば特に限定されないが、通常40質量%以下、好ましくは30質量%以下である。
熱可塑性樹脂成形体21を構成する熱可塑性樹脂(A)に用いられる非晶性熱可塑性樹脂成分(a)としては、例えば、ポリスチレン樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、スチレン−アクリロニトリル共重合体樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体樹脂(ABS樹脂)、ポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA樹脂)、およびポリカーボネート樹脂(PC樹脂)から選択される一種または二種以上が挙げられる。これらの中では、熱可塑性樹脂成形体21の透明性と機械強度(特に耐衝撃性と耐熱性)をより良好にする観点から、ポリカーボネート樹脂が好ましい。
熱可塑性樹脂(A)の製造方法は特に限定されず、一般的に公知の方法により製造することができる。例えば、非晶性熱可塑性樹脂成分(a)、必要に応じて結晶性熱可塑性樹脂成分(b)やその他の配合剤(c)を、バンバリーミキサー、単軸押出機、2軸押出機、高速2軸押出機等の混合装置を用いて、混合または溶融混合することにより、熱可塑性樹脂(A)を得ることができる。
本実施形態に係る金属被覆樹脂成形体10を構成する金属箔30の厚み(θM)は、すべての場所で同一であっても異なっていてもよいが、金属箔が入手容易であるという観点からその厚みは一定であることが好ましい。具体的には、金属箔30の厚み(θM)は、通常0.1mm〜2.0mm、好ましくは0.2mm〜1.5mm、より好ましくは0.2mm〜1.0mm、さらに好ましくは0.2〜0.6mmである。厚みが上記下限値以上であると、得られる金属被覆樹脂成形体10の機械的強度を向上させることができる。厚みが上記上限値以下であることにより、金属被覆樹脂成形体10をより軽量化することができ、また接合前において金属箔30の曲板状に折り曲げる等の加工をより容易にすることができる。
アルミニウム合金としては、JIS H4000に規定された合金番号1050、1100、2014、2024、3003、5052、7075等が好ましく用いられる。
金属箔30の表面のうち少なくとも熱可塑性樹脂成形体21に接合される部分には、微細凹凸構造が設けられている。この場合、金属被覆樹脂成形体10における熱可塑性樹脂成形体21の一部分(より具体的には熱可塑性樹脂成形体21のうち金属箔30との接合部の一部分)が、金属箔30の上記微細凹凸構造に浸入することにより金属箔30と熱可塑性樹脂成形体21とが接合されていることが好ましい。これにより、金属箔30と熱可塑性樹脂成形体21との接合強度をより向上させることができる。
ここで、上記凹凸の数平均内径とは、凹凸の凹部の内径の平均値であり、例えば、以下のようにして測定される。まず、電子顕微鏡により金属箔30の表面の凹凸の画像を観察し、凹部が100個以上撮影できる倍率において、全ての凹部についてその内径を計り取る。この際、円形でないものは面積が同等の円として内径を仮定する。そして、仮定した内径も含め、全てを積算して個数で除したものを数平均内径とする。
第1の方法としては、例えば、国際公開第2015/008847号パンフレットや特開2001−348684号公報に開示されている酸系エッチング剤を用いる方法等を挙げることができる。また、第1の方法としては、例えば、国際公開第2009/31632号パンフレットや特開2005−119005号公報に開示されているような、水和ヒドラジン、アンモニア、及び水溶性アミン化合物から選ばれる1種以上のアミン系水溶液に金属箔30を浸漬する方法であってもよい。
つづいて、本実施形態に係る金属被覆樹脂成形体10の製造方法について説明する。
金属被覆樹脂成形体10の製造方法は、以下の(i)〜(ii)の工程を含む。
(i)金型のキャビティ部に、表面の少なくとも一部に微細凹凸構造を有する金属箔30を配置する工程
(ii)上記キャビティ部に非晶性熱可塑性樹脂成分(a)を含む熱可塑性樹脂(A)を注入することにより金属箔30と熱可塑性樹脂成形体21とを接合する工程
以下、具体的に説明する。
これにより、非晶性熱可塑性樹脂成分(a)を含む熱可塑性樹脂(A)を溶融させた状態に保ちながら、金属箔30の上記微細凹凸構造に熱可塑性樹脂(A)を高圧でより長い時間接触させることができる。
その結果、金属箔30の微細凹凸構造の凹部の奥まで熱可塑性樹脂(A)を十分に侵入させることができるため、金属箔30と熱可塑性樹脂成形体21の表面との間に物理的な抵抗力(アンカー効果)が効果的に発現し、接合強度に優れた金属被覆樹脂成形体10を安定的に得ることができる。
これにより、溶融状態の熱可塑性樹脂(A)を急速に固化させることができる。その結果、金属被覆樹脂成形体10の成形サイクルを短縮できるため、金属被覆樹脂成形体10を効率よく得ることができる。
具体的には、金型の表面の近くに設けられた流路に水蒸気、温水および温油から選択される加熱媒体を導入する、あるいは電磁誘導加熱を用いることにより、上記金型の上記表面温度を非晶性熱可塑性樹脂成分(a)のガラス転移温度以上の温度に維持することが好ましい。
具体的には、金型の表面の近くに設けられた流路に冷水および冷油から選択される冷却媒体を導入することにより、金型の表面温度を非晶性熱可塑性樹脂成分(a)のガラス転移温度未満の温度に冷却することが好ましい。
上記時間が上記下限値以上であると熱可塑性樹脂(A)を溶融させた状態に保ちながら、金属箔30の上記微細凹凸構造に熱可塑性樹脂(A)を高圧でより長い時間接触させることができる。これにより、接合強度により一層優れた金属被覆樹脂成形体10をより安定的に得ることができる。
また、上記時間が上記上限値以下であると、金属被覆樹脂成形体10の成形サイクルを短縮できるため、金属被覆樹脂成形体10をより効率よく得ることができる。
これらの中でも金属箔30の熱可塑性樹脂成形体21との接合部分以外の表面が、研磨処理およびカラーアルマイト処理のうち少なくとも一方の処理がなされていることが好ましい。
本実施形態に係る金属被覆樹脂成形体10は、樹脂成形体部分が透明であり、その成形体表面に金属装飾が付与されるあらゆる用途に展開することが可能である。また、本実施形態に係る金属樹脂成形体の製造方法は、生産性が高く、形状制御の自由度も高いので、様々な用途に展開することが可能である。
以下、参考形態の例を付記する。
[1]
曲面を有する透明な熱可塑性樹脂成形体と、
上記熱可塑性樹脂成形体の上記曲面に沿って密着して接合された金属箔と、
を備え、
上記金属箔は、少なくとも上記熱可塑性樹脂成形体との接合部表面に微細凹凸構造を有する金属被覆樹脂成形体。
[2]
上記[1]に記載の金属被覆樹脂成形体において、
上記金属箔の上記微細凹凸構造に上記熱可塑性樹脂成形体の一部分が浸入することにより上記金属箔と上記熱可塑性樹脂成形体とが接合されている金属被覆樹脂成形体。
[3]
上記[1]または[2]に記載の金属被覆樹脂成形体において、
上記曲面が三次元曲面を含む金属被覆樹脂成形体。
[4]
上記[1]乃至[3]のいずれか一つに記載の金属被覆樹脂成形体において、
上記曲面上の任意の点における法線ベクトル方向において、上記金属箔の厚みをθ M 、上記熱可塑性樹脂成形体の厚みをθ R とした場合、下記式(1)を満たす金属被覆樹脂成形体。
0.05≦θ M /θ R <1.0 (1)
[5]
上記[1]乃至[4]のいずれか一つに記載の金属被覆樹脂成形体において、
上記金属箔の厚み(θ M )が0.1mm以上2.0mm以下の範囲にある金属被覆樹脂成形体。
[6]
上記[1]乃至[5]のいずれか一つに記載の金属被覆樹脂成形体において、
上記金属箔がアルミニウム箔またはアルミニウム合金箔である金属被覆樹脂成形体。
[7]
上記[1]乃至[6]のいずれか一つに記載の金属被覆樹脂成形体において、
上記熱可塑性樹脂成形体を構成する熱可塑性樹脂(A)が、ポリスチレン樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、スチレン−アクリロニトリル共重合体樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体樹脂、ポリメタクリル酸メチル樹脂、およびポリカーボネート樹脂から選択される一種または二種以上の非晶性熱可塑性樹脂成分(a)を含む金属被覆樹脂成形体。
[8]
上記[7]に記載の金属被覆樹脂成形体において、
上記非晶性熱可塑性樹脂成分(a)がポリカーボネート樹脂を含む金属被覆樹脂成形体。
[9]
上記[1]乃至[8]のいずれか一つに記載の金属被覆樹脂成形体において、
上記金属箔の上記微細凹凸構造には、複数の凸部が5nm以上500μm以下の間隔周期で設けられている金属被覆樹脂成形体。
[10]
上記[1]乃至[9]のいずれか一つに記載の金属被覆樹脂成形体において、
上記金属箔の上記熱可塑性樹脂成形体との接合部分以外の表面が、研磨処理およびカラーアルマイト処理のうち少なくとも一方の処理がなされている金属被覆樹脂成形体。
[11]
上記[1]乃至[10]のいずれか一つに記載の金属被覆樹脂成形体を製造するための製造方法であって、
金型のキャビティ部に、表面の少なくとも一部に微細凹凸構造を有する金属箔を配置する工程と、
上記キャビティ部に非晶性熱可塑性樹脂成分(a)を含む熱可塑性樹脂(A)を注入することにより上記金属箔と上記熱可塑性樹脂成形体とを接合する工程と、
を含み、
上記熱可塑性樹脂の注入開始から保圧完了までの間、上記金型の表面温度を上記非晶性熱可塑性樹脂成分(a)のガラス転移温度以上の温度に維持し、上記保圧完了後、上記金型の表面温度を上記非晶性熱可塑性樹脂成分(a)のガラス転移温度未満の温度に冷却する金属被覆樹脂成形体の製造方法。
[12]
上記[11]に記載の金属被覆樹脂成形体の製造方法において、
上記非晶性熱可塑性樹脂成分(a)がポリカーボネート樹脂を含む金属被覆樹脂成形体の製造方法。
[13]
上記[11]または[12]に記載の金属被覆樹脂成形体の製造方法において、
上記金型の表面の近くに設けられた流路に水蒸気、温水および温油から選択される加熱媒体を導入する、あるいは電磁誘導加熱を用いることにより、上記金型の上記表面温度を上記非晶性熱可塑性樹脂成分(a)のガラス転移温度以上の温度に維持する金属被覆樹脂成形体の製造方法。
[14]
上記[11]乃至[13]のいずれか一つに記載の金属被覆樹脂成形体の製造方法において、
上記金型の表面の近くに設けられた流路に冷水および冷油から選択される冷却媒体を導入することにより、上記金型の上記表面温度を上記非晶性熱可塑性樹脂成分(a)のガラス転移温度未満の温度に冷却する金属被覆樹脂成形体の製造方法。
[15]
上記[11]乃至[14]のいずれか一つに記載の金属被覆樹脂成形体の製造方法において、
上記注入開始から上記保圧完了までの時間が1秒以上200秒以下である金属被覆樹脂成形体の製造方法。
図3に、金属箔30と熱可塑性樹脂成形体21とが接合した金属被覆樹脂成形体10を射出成形法によって製造する過程の一例を模式的に示した。具体的には、長手方向に湾曲した短冊形状に加工され、表面に微細凹凸面を有する金属箔30を金型55内に設置し、射出成形機51により、熱可塑性樹脂(A)をゲート/ランナー52を通して射出することにより、微細凹凸構造を有する金属箔30と熱可塑性樹脂成形体21とが一体化された金属被覆樹脂成形体10を製造する過程を模式的に示している。なお、図示されていないが、後述する接合力評価のために金属箔の長手方向の片側端部に微細凹凸構造の未形成領域を設けた。
上記射出成形方法で得られた金属被覆樹脂成形体において、熱可塑性樹脂成形体に接合していない金属箔の端部を平型スパチュラで剥離させ、この端部を引張試験機(アイコーエンジニアリング社製、モデル1323)の専用の治具でチャックした後に、鉛直方向に引っ張って剥離(剥離速度;500mm/分)させ、その剥離界面周辺を目視で判定し、以下の基準で評価した。
◎:金属箔の全面に樹脂が付着している
〇:金属箔の表面の一部に樹脂が付着している
×:金属箔には樹脂が全く付着しておらず、実質的に樹脂が金属箔に接合していない
[金属箔1の調製方法]
JIS H4000に規定された合金番号5052のアルミニウム箔(厚み:0.3mm)を、長さ45mm、幅18mmに切断した。このアルミニウム箔を、長手方向端部5mm分を残して酸系エッチング剤(硫酸:8.2質量%、塩化第二鉄:7.8質量%(Fe3+:2.7質量%)、塩化第二銅:0.4質量%(Cu2+:0.2質量%)、イオン交換水:残部)(30℃)中に80秒間浸漬し、揺動させることによってエッチングした。次いで、流水で超音波洗浄(水中、1分)を行い、乾燥させることにより表面処理済みの金属箔1を得た。
JIS H4000に規定された合金番号5052のアルミニウム箔(厚み:0.3mm)を、長さ45mm、幅18mmに切断した。このアルミニウム箔を、長手方向端部5mm分を残して特開2005−119005号公報の実施例1に記載の処理をおこなった。具体的には、市販のアルミニウム脱脂剤「NE−6(メルテックス社製)」を15%濃度で水に溶かし75℃とした。この水溶液が入ったアルミニウム脱脂槽に上記アルミニウム箔の長手方向端部5mm分を残して、5分間浸漬し水洗し、40℃の1%塩酸水溶液が入った槽に1分浸漬し水洗した。つづいて、40℃の1%水酸化ナトリウム水溶液が入った槽に1分浸漬し水洗した。次いで40℃の1%塩酸水溶液を入れた槽に1分浸漬し水洗し、60℃の2.5%濃度の1水和ヒドラジン水溶液を入れた第1ヒドラジン処理槽に1分浸漬し、40℃の0.5%濃度の1水和ヒドラジン水溶液を入れた第2ヒドラジン処理槽に0.5分浸漬し水洗した。これを40℃で15分間、60℃で5分程度温風乾燥させることにより、表面処理済みの金属箔2を得た。
また、エッチング処理前後の金属箔の質量比から求めたエッチング率を算出した。
得られた結果を以下に示す。
エッチング率[質量%]:0.3
日本製鋼所社製の射出成形機J85ADに、図3に示した短冊湾曲形状のキャビティ部(曲率半径=2500R、深さ=3.0mm)を有する金型55を装着し、金型55内に金属箔1を可動側金型の湾曲部に設けた、金属箔1と同一形状寸法の座ぐり部分に設置した。次いで、高速ヒートサイクル成形用金型温調装置(Single社製ATT H2)を接続した金型55の表面温度を、加熱媒体である加圧熱水を用いて155℃まで加熱した。
次いで、その金型55内に、非晶性熱可塑性樹脂であるポリカーボネート樹脂(PC樹脂)(帝人社製パンライトL1225L、ガラス転移温度:146℃)を、シリンダー温度320℃、射出速度25mm/sec、保圧100MPa、保圧時間15秒の条件にて射出成形を行い、次いで、冷却媒体である水にて金型55の表面温度を60℃まで急冷し、曲面を有する透明な熱可塑性樹脂成形体と熱可塑性樹脂成形体の上記曲面に沿って密着して接合されたアルミニウム箔と、を備える金属被覆樹脂成形体10を得た。
なお、PC樹脂のガラス転移温度はDSC装置(TA Instruments社製Q2000)にて、昇温速度10℃/分の昇温過程により測定した値である。
実施例1において、金属箔1を金属箔2に変更した以外は実施例1と同様にして金属被覆樹脂成形体10を得た。接合強度の評価結果を表1に示す。
実施例1において、金属箔1を表面処理していない金属箔に変更した以外は実施例1と同様にして金属被覆樹脂成形体10を得た。接合強度の評価結果を表1に示す。
20 曲面
21 熱可塑性樹脂成形体
30 金属箔
40 法線ベクトル
51 射出成形機
52 ゲート/ランナー
55 金型
Claims (12)
- 曲面を有する透明な熱可塑性樹脂成形体と、
前記熱可塑性樹脂成形体の前記曲面に沿って密着して接合された金属箔と、
を備え、
前記曲面は可展面ではない三次元曲面であり、
前記金属箔は、少なくとも前記熱可塑性樹脂成形体との接合部表面に微細凹凸構造を有し、
前記曲面上の任意の点における法線ベクトル方向において、前記金属箔の厚みをθ M 、前記熱可塑性樹脂成形体の厚みをθ R とした場合、下記式(1)を満たし、
前記金属箔の厚み(θ M )が0.1mm以上0.6mm以下である、
金属被覆樹脂成形体。
0.05≦θ M /θ R <1.0 (1) - 請求項1に記載の金属被覆樹脂成形体において、
前記金属箔の前記微細凹凸構造に前記熱可塑性樹脂成形体の一部分が浸入することにより前記金属箔と前記熱可塑性樹脂成形体とが接合されている金属被覆樹脂成形体。 - 請求項1または2に記載の金属被覆樹脂成形体において、
前記金属箔がアルミニウム箔またはアルミニウム合金箔である金属被覆樹脂成形体。 - 請求項1乃至3のいずれか一項に記載の金属被覆樹脂成形体において、
前記熱可塑性樹脂成形体を構成する熱可塑性樹脂(A)が、ポリスチレン樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、スチレン−アクリロニトリル共重合体樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体樹脂、ポリメタクリル酸メチル樹脂、およびポリカーボネート樹脂から選択される一種または二種以上の非晶性熱可塑性樹脂成分(a)を含む金属被覆樹脂成形体。 - 請求項4に記載の金属被覆樹脂成形体において、
前記非晶性熱可塑性樹脂成分(a)がポリカーボネート樹脂を含む金属被覆樹脂成形体。 - 請求項1乃至5のいずれか一項に記載の金属被覆樹脂成形体において、
前記金属箔の前記微細凹凸構造には、複数の凸部が5nm以上500μm以下の間隔周期で設けられている金属被覆樹脂成形体。 - 請求項1乃至6のいずれか一項に記載の金属被覆樹脂成形体において、
前記金属箔の前記熱可塑性樹脂成形体との接合部分以外の表面が、研磨処理およびカラーアルマイト処理のうち少なくとも一方の処理がなされている金属被覆樹脂成形体。 - 請求項1乃至7のいずれか一項に記載の金属被覆樹脂成形体を製造するための製造方法であって、
金型のキャビティ部に、表面の少なくとも一部に微細凹凸構造を有する金属箔を配置する工程と、
前記キャビティ部に非晶性熱可塑性樹脂成分(a)を含む熱可塑性樹脂(A)を注入することにより前記金属箔と前記熱可塑性樹脂成形体とを接合する工程と、
を含み、
前記熱可塑性樹脂の注入開始から保圧完了までの間、前記金型の表面温度を前記非晶性熱可塑性樹脂成分(a)のガラス転移温度以上の温度に維持し、前記保圧完了後、前記金型の表面温度を前記非晶性熱可塑性樹脂成分(a)のガラス転移温度未満の温度に冷却する金属被覆樹脂成形体の製造方法。 - 請求項8に記載の金属被覆樹脂成形体の製造方法において、
前記非晶性熱可塑性樹脂成分(a)がポリカーボネート樹脂を含む金属被覆樹脂成形体の製造方法。 - 請求項8または9に記載の金属被覆樹脂成形体の製造方法において、
前記熱可塑性樹脂の注入開始から保圧完了までの間、前記金型の表面の近くに設けられた流路に水蒸気、温水および温油から選択される加熱媒体を導入する、あるいは電磁誘導加熱を用いることにより、前記金型の前記表面温度を前記非晶性熱可塑性樹脂成分(a)のガラス転移温度以上の温度に維持する金属被覆樹脂成形体の製造方法。 - 請求項8乃至10のいずれか一項に記載の金属被覆樹脂成形体の製造方法において、
前記金型の表面の近くに設けられた流路に冷水および冷油から選択される冷却媒体を導入することにより、前記金型の前記表面温度を前記非晶性熱可塑性樹脂成分(a)のガラス転移温度未満の温度に冷却する金属被覆樹脂成形体の製造方法。 - 請求項8乃至11のいずれか一項に記載の金属被覆樹脂成形体の製造方法において、
前記注入開始から前記保圧完了までの時間が1秒以上200秒以下である金属被覆樹脂成形体の製造方法。
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