JP6838997B2 - 鋼の連続鋳造用パウダーおよび連続鋳造方法 - Google Patents
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Description
上記の酸化物、弗化物、硫化物が本範囲内であれば、1300℃における粘度が1〜2poise、凝固温度が1000〜1200℃を満足する。なお、一例であるが、SはCaSO4、FはCaF2などで添加する。また、鋳型と凝固シェルの間に溶融パウダーが流入した際に、パウダーのフィルムを形成し、その厚みが1〜2.5mmとなる。この1〜2.5mmのフィルムの内、鋳型側に0.1〜0.8mmの厚みの結晶相を形成する。その結晶はカスピダインとなり、鋳型への熱流束を適正に制御できるので最も好ましい。そして、焼結体の成長を抑制することが可能になり、縦割れの防止が図れる。このような観点から、CaO:30〜40%、SiO2:30〜40%、Na2O:7〜12%(好ましくは7〜10%未満)、Al2O3:2〜5%、Li2O:0.1〜1%、Fe2O3:0.1〜1%、S:0.01〜0.1%、F:3〜10%に規定した。
Cは重要な役割を持つ。C粒子は上記の酸化物、弗化物、硫化物の間に存在しており、接触することによる溶融を防ぐ働きを持つ。つまり、Cが燃焼してガス化すると、C粒子が消えて、酸化物、弗化物、硫化物が接触し溶融を開始する。このように、C量を制御することにより、パウダーの溶融速度を制御することができる。3%未満だと溶融が速すぎて、早期に焼結体を形成するため、縦割れを引き起こすと同時に、オシレーションマークが深くなりすぎる。そのため、研削歩留を低下させる。5%を超えて高いと溶融が遅すぎて、鋳型と凝固シェルの間に溶融パウダーが流入しなくなり、焼結体がメニスカスの凝固シェルに触れてしまう。これにより縦割れを引き起こす。また、ブレークアウトの危険も発生する。そのため、3〜5%と規定した。
塩基度が低すぎると、凝固温度が1000℃より低くなってしまうと同時に、1300℃における粘度も1poise未満となり低くなる。さらに、パウダーフィルムの厚みが2.5mmを超えて厚くなると共に、結晶相が形成せずガラス化してしまう。ガラス化すると鋳型への熱流束が高くなり、強冷となって縦割れを助長してしまう。逆に、塩基度が高すぎると、凝固温度が1200℃を超えて高くなってしまうと共に、1300℃における粘度が2poiseを超えて高くなる。さらに結晶相が厚くなるので、凝固シェルと鋳型の潤滑が悪化する。つまり、塩基度(CaO/SiO2)が0.8〜1.5の範囲では、鋳型と凝固シェルの間に溶融パウダーが流入した際に、パウダーのフィルムを形成し、その厚みが1〜2.5mmとなる。この1〜2.5mmのフィルムの内、鋳型側に0.1〜0.8mmの厚みの結晶相を形成する。その結晶はカスピダインとなり、鋳型への熱流束を適正に制御できる。そして、焼結体の成長を抑制することが可能になり、縦割れの防止が図れる。そのため、塩基度(CaO/SiO2)が0.8〜1.5の範囲に定めた。
1300℃における粘度が1poise未満だと、溶融パウダーの流動性が良すぎて、鋳型表面に溶融パウダープールを充分確保できず、焼結体がメニスカスに触れてしまう。そのため、縦割れを引き起こす。一方、1300℃における粘度が2poiseを超えて高いと、溶融パウダーの流動性が悪化するので、鋳型と凝固シェルの間に溶融パウダーが流入しなくなり、焼結体がメニスカスの凝固シェルに触れてしまう。また、ブレークアウトの危険もある。したがって、1300℃における粘度を1〜2poiseと定めた。
凝固温度が1000℃未満であると、鋳型と凝固シェルの間に溶融パウダーが流入した際に形成するパウダーフィルム厚みが2.5mmを超えて厚くなり、鋳型への熱流束を適正に保てなくなる。さらに、焼結体を低温から形成することになるので成長してしまい縦割れを引き起こす。一方、凝固温度が1200℃を超えて高いと、スラグベアの発達を促し、焼結体を成長させてしまうため、縦割れを引き起こす。また、パウダーフィルムの厚みが1mm未満と薄くなるためブレークアウトの危険もある。そのため、凝固温度は1000〜1200℃と規定した。
パウダーのかさ密度が0.5g/cm3未満だと、充填度合いが低いことを表す。この状態であると、上記の酸化物、弗化物、硫化物、C粒子の間隔が広くなるため、溶融速度を一定に保てなくなる。そのため、焼結体が形成する箇所、流入が速い箇所などアンバランスが生じ、結果的に縦割れを引き起こす。逆に0.8g/cm3を超えて高い状態であると、充填度合いが高く、密に酸化物、弗化物、硫化物、C粒子が接触する状態となる。その結果、C粒子が燃焼すると、酸化物、弗化物、硫化物粒子が早期に接触して、パウダーの溶融が速くなる。その結果、早期に焼結体を形成するため、縦割れを引き起こすと同時に、オシレーションマークが深くなりすぎる。したがって、パウダーのかさ密度は0.5〜0.8g/cm3とした。なお、このかさ密度は、容器に粉末を充填した後、圧縮をしない自然充填の状態での密度を意味する。
引き抜き速度が500mm/分未満と遅いと、鋳型への溶鋼供給量が低下するので、熱供給が減る。それにより、パウダーの溶融を阻害し、焼結体を発達させ、縦割れを引き起こす。逆に900mm/分を超えて速いと、熱供給が多くなるので、パウダーの溶融が速くなる。その結果、早期に焼結体を形成するため、縦割れを引き起こすと同時に、オシレーションマークが深くなりすぎる。そのため、引き抜き速度は500〜900mm/分とした。好ましくは、500〜700mm/分である。
溶鋼の過熱度は、タンディッシュにおける溶鋼温度を測定することにより制御する。ここでの過熱度は、鋼の液相線温度からの過熱度として定義する。これが20℃未満と低いと、パウダーの溶融を阻害し、焼結体を発達させ、縦割れを引き起こす。逆に60℃を超えて高いと、熱供給が多くなるので、パウダーの溶融が速くなる。その結果、早期に焼結体を形成するため、縦割れを引き起こすと同時に、オシレーションマークが深くなりすぎる。そのため、溶鋼の過熱度は20〜60℃とした。
溶鋼成分:
蛍光X 線分析装置により定量分析した。なお、表1に示した残部は、Feならびに、P、S、Cu、O、N等の不可避的不純物である。
同じ溶鋼組成を持つ合金を、5kgの高周波誘導炉で溶解して、電源をオフにした。その後、アルミナの保護管にR型熱電対を入れて、溶鋼の中心に挿入した。この時の冷却温度履歴から、凝固潜熱を発する時に温度低下停滞部を読み取ることで測定した。
パウダー中に含まれるC量は、C源として添加したC原料の重量比から求めた。また、それ以外の成分の組成は、化学分析により定量分析した。なお、表2中に示した各成分の合計が100%未満であるのは、これらの成分以外にも、MgO、P2O5、K2O等の不可避的不純物を含むことなどのためである。
パウダーの粘度は、回転円筒法により測定した。すなわち、鉄坩堝にパウダーを装入し、縦型抵抗炉内で1300℃に加熱して溶解し、鉄製のロータを挿入して、回転したときの負荷から粘度を測定した。次いで、上記粘度測定後、温度を降下していき、急激に粘度の値が高くなる温度を凝固温度とした。
予め体積の分かっている容器に、パウダーを静かに入れた。その時の重量を精密に測定してかさ密度を求めた。
スラブを研削したあと、浸透探傷試験を実施して縦割れの有無を評価した。研削量は一律0.8mmとして等価な評価を行った。評価結果は以下の通りとした。ここでの縦割れ長さは、複数の割れが見られた場合には、それら全てを合計して総長さとして評価した。
○:縦割れなし
△:縦割れ長さ≦1m/スラブ
×:縦割れ長さ>1m/スラブ
Claims (6)
- 溶鋼の連続鋳造に用いるパウダーであって、mass%にて、CaO:30〜40%、SiO2:30〜40%、Na2O:7〜12%、Al2O3:2〜5%、Li2O:0.1〜1%、Fe2O3:0.1〜1%、S:0.01〜0.1%、F:3〜10%、C:3〜5%を含有するものからなり、塩基度が0.8〜1.5、1300℃における粘度が1〜2poise、凝固温度が1000〜1200℃であることを特徴とする連続鋳造用パウダー。
- 前記連続鋳造パウダーは、かさ密度が0.5〜0.8g/cm2であることを特徴とする請求項1に記載の連続鋳造用パウダー。
- 前記連続鋳造用パウダーは、液相線温度が1440〜1500℃の鋼の連続鋳造に用いることを特徴とする請求項1または2に記載の連続鋳造用パウダー。
- 前記連続鋳造用パウダーは、Fe-Cr-Ni鋼の鋳造に用いることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の連続鋳造用パウダー。
- 溶鋼を引き抜き速度:500〜900mm/分、溶鋼の過熱度:20〜60℃の条件下で、請求項1〜4のいずれかに記載の連続鋳造用パウダーを用いて連続鋳造することを特徴とする鋼の連続鋳造方法。
- 前記鋼は、以下mass%にて、C:0.5%以下、Si:1%以下、Mn:2%以下、Ni:20%以下、Cr:25%以下、残部がFeおよび不可避的不純物からなることを特徴とする請求項5に記載の鋼の連続鋳造方法。
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