まず、プリント配線板と、プリント配線板における銅箔の剥離について説明する。
プリント配線板に搭載される電子部品の形状は、主に挿入タイプ部品と表面実装タイプ部品に分けられる。挿入タイプ部品は電極端子が電線形状になっており、プリント配線板のスルーホールに電極端子が挿入され、ハンダにて接着される(ハンダ付けされる)部品である。表面実装タイプ部品は電極端子が角形になっており、プリント配線板の表面上に搭載され、ハンダにて接着される部品である。
プリント配線板とは、銅箔パターン(導体パターン)を基材(絶縁された板)の外層面(プリント配線板表面)または内層面(プリント配線板内部)に形成したもので、電子部品をプリント配線板上に実装するためのスルーホールや、部品間を接続するための信号銅箔パターンで構成されているのが一般的である。
またスルーホールとは、ドリルによりプリント配線板に貫通穴をあけて、貫通穴の内壁(基材)を銅メッキすることによって外層面、内層面の電気的導通を可能とした穴で、電気的な接続の役割とプリント配線板に搭載する部品の固定穴としての役割を兼ねる。
スルーホールには、スルーホールランドと呼ばれる銅箔パターンが、プリント配線板の外層面または内層面に、形成されている。スルーホールランドは一般的に円形の形状をしており、プリント配線板の外層面では、ハンダ付けを行うためスルーホールランドを必ず形成する。
また内層面は、部品間を接続する信号銅箔パターンが、内層面のスルーホールと接続があるときのみ、内層面にスルーホールランドを形成し、信号銅箔パターンの接続が無い場合はランドを形成しない仕様が一般的である。
挿入タイプ部品や表面実装タイプ部品を、プリント配線板上に、装置を使い効率良くハンダ付けする方法として、主にフロー方式とリフロー方式がある。
フロー方式は、ハンダ槽と呼ばれる溶融ハンダを噴流させた装置の中に、部品の電極端子を接触させてハンダ付けを行う方式であり、挿入タイプ部品の電極端子を、プリント配線板のスルーホールに挿入後、プリント配線板をコンベアでハンダ槽へ送り、プリント配線板の裏面側(部品を挿入した面の逆側)に飛び出た電極端子を、ハンダ槽に接触させハンダ付けを行う。
また、表面実装タイプ部品は、自動搭載機により、部品に接着剤を塗布し、プリント配線板上に仮止め接着し、接着した面を、ハンダ槽に接触させハンダ付けを行う。
フロー方式は、主に挿入タイプ部品のハンダ付けに適しているが、プリント配線板の両面から、挿入タイプ部品の電極端子を挿入した場合は、ハンダ付けを行うことはできない。また、表面実装タイプ部品は、直接部品をハンダ槽に接触させるため、熱に弱い部品は搭載できない。さらに、部品に接着剤を、塗布する領域が必要であるので、極小の表面実装タイプ部品には適用できない。
リフロー方式は、プリント配線板にあらかじめ、クリームハンダ(ハンダが半練状になったもの)を供給しておき、その場所に自動搭載機により部品を搭載する。その後、プリント配線板を、リフロー炉と呼ばれる赤外線や熱風などを使用した熱源装置の中へコンベアで送り、クリームハンダを溶かして、部品の電極端子とプリント配線板上の銅箔パターンを接着させる。
リフロー方式は、表面実装タイプ部品のハンダ付けに適した方式で、極小の表面実装タイプ部品を効率よく搭載でき、プリント配線板の両面に実装が可能である。フロー方式のように、直接部品をハンダ槽に接触させないので、熱に弱い部品にも適用できる。しかしながら、リフロー方式は、表面実装タイプ部品専用の方式のため、挿入タイプ部品には適用できない。
フロー方式とリフロー方式のどちらにも適さない挿入タイプ部品も存在し、このような挿入タイプ部品については、人手作業となる。人手作業は、プリント配線板上のスルーホールと、挿入タイプ部品の電極端子に、ハンダ鏝で熱を十分に加えてから、ハンダを溶かして接着を行う。
近年、電機製品の鉛フリー化に伴い、プリント配線板で使用されるハンダ材料についても、鉛フリーハンダが使用されている。鉛フリーハンダは、従来使用されていた有鉛ハンダより、ハンダの融点が高い。
このため、フロー方式の場合は、ハンダ槽の温度を上昇させる、またはハンダ槽にプリント配線板上のスルーホールと挿入タイプ部品の電極端子が接触する時間を延長するなどにより、熱を十分に加える必要がある。
また、リフロー方式の場合は、リフロー炉の温度を上昇させる、または炉内送り時間を延長するなどにより、熱を十分に加える必要がある。そして、人手作業の場合は、高温のハンダ鏝を使用し、プリント配線板上のスルーホールと挿入タイプ部品の電極端子に、ハンダ鏝を当てて熱を十分に加えてからハンダ付けを行う必要がある。
図1Aは、スルーホールの穴を含む内層面に2枚の銅箔パターン層が積層された4層プリント配線板の断面の例を示す図である。プリント配線板の構成では、コア材と呼ばれる絶縁性のある基材204があり、基材204には、あらかじめ銅箔103及び銅箔104が両面に貼り付けてある。
なお、図1Aにおいて基材204aと基材204bは、図面上、スルーホール102の穴があるため、分かれて見えるが、1枚の基材204である。このように、基材204以外でも、図面上、スルーホールの穴により分かれて見える物の符号に「a」と「b」を付けて1つの物であることを表し、説明上、1つの物をまとめて指し示す場合、符号に「a」と「b」を付けずに指し示す。
プリント配線板の構成は、さらに基材204が、プリプレグと呼ばれる、粘着性と絶縁性を兼ねた基材203、205で、上面と下面を挟まれ、それらの上面と下面に銅箔105、106を乗せられて、加熱加圧が行なわれると、基材203、205が溶けて、銅箔103、104、105、106と基材203、204、205とが密着した構成となる。
以上の積層構成により、プリント配線板では、A面201とB面202が、プリント配線板の面として、プリント配線板の外へ露出する。
プリント配線板のスルーホール102の加工は、まず、ドリル301で穴開け加工を行い、スルーホール102の穴が形成される。この時、スルーホール102の穴の内壁101には、銅箔がない状態である。
図1Bは、スルーホールの穴の内壁にメッキをした状態のプリント配線板の断面の例を示す図である。図1Aを用いて説明した物には、同じ符号を付けて、説明を省略し、以下の他の図の説明でも、それ以前に説明した物には、同じ符号を付けて、説明を省略する。
図1Aを用いて説明した穴開け加工後、スルーホール102の穴の内壁101に、銅メッキ処理が行われ、内壁101に、銅箔が密着され、スルーホール102が完成する。内壁101の銅箔(銅メッキ)は、銅箔103、104、105、106のそれぞれと接着し、あるいは一体化する。
図2Aは、挿入タイプ部品の電極端子がスルーホールに挿入されたプリント配線板の断面の例を示す図である。図2Aの例では、挿入タイプ部品401の電極端子402は、プリント配線板のB面202側より、スルーホール102に挿入され、A面201側に飛び出た状態である。
主な挿入タイプ部品は、A面201側の面より電極端子が挿入され、B面202側に飛び出た電極端子がハンダ付けされるが、まれにB面202側より挿入され、ハンダ付けされる挿入タイプ部品もあり、この場合は、フロー方式とリフロー方式のどちらも適用できず、人手作業でハンダ付けが行なわれる必要がある。
図2Bは、人手作業でハンダ付けが行われるプリント配線板の断面の例を示す図である。挿入タイプ部品401の電極端子402とスルーホール102とが、人手作業によりハンダ付けされる。
すなわち、プリント配線板上のA面201側より、スルーホール102と、挿入タイプ部品401の電極端子402とに、ハンダ鏝302で熱を十分に加えてから、ハンダ鏝でハンダ303を溶かし、スルーホール102内にハンダ303が溶け込む。
図2Cは、ハンダ付け後のプリント配線板の断面の例を示す図である。ハンダ303は、A面201側からB面202側へ溶け込み、スルーホールは電極端子402とハンダ303で隙間なく埋り、スルーホールの穴の内壁101に密着した銅箔と電極端子402とが接着される。
図2Dは、ハンダ付け後に、剥離が起きた状態のプリント配線板の断面の例を示す図である。スルーホール内のハンダ303が、融点の高い鉛フリーハンダであった場合、既に説明したとおり、ハンダの硬度やハンダ冷却時の収縮率が大きいことが原因となり、スルーホール内のハンダ303が内壁101の銅メッキにストレスをかける。
このストレスにより、内壁101の銅メッキは、内壁101から剥離する部分が発生する。そして、内壁101の銅メッキに接着あるいは一体化した銅箔103、104、105、106のそれぞれにもストレスが伝わる。図2Dの例では、内壁101の銅メッキと内壁101との剥離が大きい位置に近い銅箔103a、105aに、特に大きなストレスがかかり、剥離501、502が発生している。
以下、図面を用いて実施例を説明する。以下に説明する各実施例は図示した例に限定されるものではない。なお、以下の実施例での実施の形態においては、便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明などの関係にある。
また、以下で説明する実施の形態において、要素の数など(個数、数値、量、範囲などを含む)に言及する場合、特に明示した場合及び原理的に明らかに特定の数に限定される場合などを除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でもよいものとする。
さらに、以下で説明する実施の形態において、その構成要素(要素ステップなどを含む)は、特に明示した場合及び原理的に明らかに必須であると考えられる場合などを除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。
同様に、以下で説明する実施の形態において、構成要素などの形状、位置関係などに言及するときは、特に明示した場合及び原理的に明らかにそうでないと考えられる場合などを除き、実質的にその形状などに近似または類似するものなどを含むものとする。このことは前記数値及び範囲についても同様である。
図3Aは4層プリント配線板の各層にスルーホールランドや銅箔パターンが配置された例を示す図である。4層プリント配線板には、スルーホール112、113と小径のスルーホール114とが並んで配置されており、また、小径のスルーホール114の内層面には、銅箔パターン612が接続されている。
なお、銅箔パターン612は、図3Aと図3Bにおいて銅箔パターンがどのように配置されるかの例を示すものであり、小径のスルーホール114の他の層で図示を省略した銅箔パターンが接続されてもよいし、スルーホール112、113の各層で図示を省略した銅箔パターンが接続されてもよい。
そして、スルーホール112には、スルーホールランド601c、605d、605e、601fが、各層に配置されている。スルーホール113にはスルーホールランド602c〜602fが、各層に配置されている。小径のスルーホール114にはスルーホールランド611c〜611fが、各層に配置されている。
図3Aでは、スルーホール113と小径のスルーホール114が、これまでと同じスルーホールの例であり、スルーホール112が本実施例の剥離を防止するためのスルーホールの例である。
内層面のスルーホールランド605d、605eは、スルーホールランド601c、601fの形状に、矢印形状の補助ランド606d1、606d2、606e1、606e2を足した形状となっており、矢印形状分の外周の長さが増大した分、内層面にあるスルーホールランド605d、605eは基材203、204、205との密着性が向上する。
図3Bは、図3Aに示した4層プリント配線板の上面図であり、外層面と内層面を透過して表した図であり、特に基材204の上面の例を示す図である。基材204の上面すなわち基材204と基材203の間のスルーホールランド602dとスルーホールランド611bは、それぞれスルーホール113と小径のスルーホール114のスルーホールランドであり、これまでと同じ円形ランドである。
これに対して、スルーホール112のスルーホールランド605dは、スルーホールランド601cと同じ直径の円形ランドに、矢印形状の補助ランド606d1と補助ランド606d2が、スルーホールランド605dを挟んで一直線上に追加された形状になっている。一直線は厳密でなくてもよく、一文字(いちもんじ)状であってもよい。
補助ランド606d1と補助ランド606d2は、一直線上に追加された形状となっているので、この一直線上に当たらない銅箔パターン612とスルーホールランド602dが近傍にあっても、補助ランド606d1、606d2の影響は受けない。スルーホール112に接続する銅箔パターンがある場合は、銅箔パターン613のように補助ランド606d1の延長線上に接続される。
なお、スルーホールランド601c、605d、605e、601fは、円形に限定されるものではなく、楕円形あるいは角形などであってもよい。
図4に、図3A、3Bに示したスルーホール112にハンダ付けした後の上面図と断面図の例を示す。図4の例では、スルーホール内のハンダ303の冷却などによる収縮のストレス801−1、801−2が発生している。
これに対して、スルーホールランド605dの補助ランド606d1と補助ランド606d2のそれぞれは、スルーホールランド605dの中心から外側に向いた矢印形状となっており、スルーホールランド605dの中心に向けてかかるストレス801−1とストレス801−2のそれぞれに対し、対抗する形状となっている。
すなわち、ストレス801−1に対しては、対抗力811g1、811h1が発生し、ストレス801−2に対しては、対抗力811g2、811h2が発生する形状となっている。
ここで、対抗力811g1、811h1、811g2、811h2は、図4において、これらの対抗力を表す矢印の位置の基材203と基材204が直接に接着しており、この接着面と補助ランド606d1、606d2の外周との間で発生してもよいし、基材203、204と補助ランド606d1、606d2との接着面積増加による接着強度の向上により発生してもよい。
これにより、ストレス801−1、801−2が発生しても、補助ランド606d1、606d2での対抗が期待でき、剥離の発生が抑制される。また、図3A、3B、4の例では、補助ランドとして矢印形状の例を挙げたが、ランドの外周の長さを増加してストレスの対抗が期待できる形状の補助ランドであれば、矢印形状以外の形状であってもよい。
補助ランド606d1、606d2が矢印形状の場合、例えば補助ランド606d2における長さ607、608が図4の例より長い方が、ランドの外周の長さは長くなるが、長さ609が短くなり、短くなった長さ609にストレス801−2の力が集中し、補助ランド606d2が破断してしまう可能性もある。
そこで、長さ607と長さ608は同じ長さであり、長さ607と長さ608を加算した長さが、長さ609となる矢印形状が好ましい。ただし、矢印形状は、これらの長さに限定されるものではない。
また、図3A、3B、4の例では、内層面のみに補助ランドを設ける例を示したが、A面201とB面202の外層面も内層面と同じように補助ランドを設けてもよく、外層面の補助ランドと内層面の補助ランドとは同じ形状であってもよい。また、図3A、4の例では、4層プリント配線板の例を示したが、さらに多層に積層されたプリント配線板や2層プリント配線板であってもよい。
なお、スルーホールランド605dと補助ランド606d1、606d2とは、形状の説明を理解しやすくするために分けて表現したが、銅箔としては一体である。このため、スルーホールランド605dと補助ランド606d1、606d2の両方をまとめて、スルーホールランドと呼んでもよい。
ただし、製造においては、スルーホールランド605dと補助ランド606d1、606d2とが、1つの製造工程で一体として形成されてもよいし、別の製造構成で形成されてスルーホールランド605dに補助ランド606d1、606d2が追加されてもよい。
以上で説明したように、内層面に外層面と同径の円形に、補助ランドを追加した形状とすることにより、補助ランドの外周の長さ分、基材との接着点が増すので、密着性を上げることができ、スルーホールを形成する銅箔内壁と、プリント配線板の基材の間の剥離の発生を抑制することが可能になる。
また、内層面のスルーホールランド形状は、対象のスルーホールのみ、外層面と同径の形状に補助ランドを追加した形状とすることにより、他の銅箔パターンやスルーホールを避けた形状とすることも可能であるので、設計難易度を上げにくい効果がある。さらに、補助ランドに相当する面積が増えるので、放熱性も上がる。
実施例2では、補助ランド内にスルーホールを設ける例を説明する。実施例2は、実施例1に対する追加例について説明するものであるので、実施例1と共通する部分については、同じ符号を付けて説明は省略する。
図5Aは、実施例2における4層プリント配線板の各層にスルーホールランドが配置された例を示す図である。実施例1と同じように、内層面のスルーホールランド605d、605eは、スルーホールランド601c、601fの形状であり、矢印形状の補助ランド606d1、606d2、606e1、606e2を足されているため、矢印形状分の外周の長さが増大した分、内層面にあるスルーホールランドは、基材203、204、205との密着性が向上する。
さらに、矢印形状の補助ランド606d1、606d2、606e1、606e2内に小径のスルーホール122−1あるいはスルーホール122−2が追加配置されることにより、密着性がさらに向上する。
なお、小径のスルーホール122−1、122−2に対するA面201とB面202の外層面のスルーホールランド615c1、615c2、615f1、615f2は、スルーホール122−1、122−2を形成するためのスルーホールランドであり、スルーホールランド601c、601fと分離していてもよい。
図5Bに、図5Aに示したスルーホール112にハンダ付けした後の上面図と断面図の例を示す。実施例1で説明したように、スルーホール内のハンダ303の冷却などによる収縮のストレス801−1、801−2が発生しても、補助ランド606d1、606d2が対抗する形状となっており、対抗力811g1、811h1、811g2、811h2を発生する。
さらに、小径のスルーホール122−1、122−2の内壁123−1、123−2が追加された分、対抗力811k1、811k2がさらに増すので、さらなるストレス801−1、801−2への対抗が期待でき、剥離の発生を抑制する。
なお、小径のスルーホール122−1、122−2のような補助ランド内の小径のスルーホールは、個数が増えると、ストレス801−1、801−2へさらに対抗できるので、個数を増やして配置してもよい。
また、実施例1と同様に、スルーホールランド605dに補助ランド606d1、606d2を部分的に追加するだけであり、小径のスルーホール122−1、122−2は補助ランド606d1、606d2の中であるので、他の銅箔パターンやスルーホールが近傍にあっても影響は受けにくい。
また、図5A、5Bの例では、内層面のみに補助ランドを設ける例を示したが、A面201とB面202の外層面も内層面と同じように小径のスルーホールを含む補助ランドを設けてもよく、外層面の補助ランドと内層面の補助ランドとは同じ形状であってもよい。また、図5A、5Bの例では、4層プリント配線板の例を示したが、さらに多層に積層されたプリント配線板や2層プリント配線板であってもよい。
実施例3では、実施例1、2の説明とは異なる形状の補助ランドの例を説明する。実施例3は、実施例1に対する追加例について説明するものであるので、実施例1と共通する部分については、同じ符号を付けて説明は省略する。
図6Aは、実施例3における補助ランドの第1の形状の例を示す図であって、スルーホールにハンダ付した後の上面図と断面図の例を示す図である。補助ランド606d1は実施例1と同じであるが、補助ランド606d2の代わりに、アーチ形の補助ランド620d2が追加されている。
ストレス801−2に対して、補助ランド620d2でも対抗力811g2、811h2が発生するが、補助ランド620d2はアーチ形であるため、ランドの外周が長く、対抗力811g2、811h2の発生する部分の長さも、補助ランド606d2と比較して長い。
このため、特にストレス801−2への対抗が期待でき、剥離の発生を抑制する。なお、図6Aの例では、複数の補助ランドの形状が異なってもよいことを示すために、補助ランド606d1の方を矢印形状のままとしたが、補助ランド606d1の方も矢印形状の代わりにアーチ形の補助ランドであってもよい。
図6Bは、実施例3における補助ランドの第2の形状の例を示す図であって、スルーホールにハンダ付した後の上面図と断面図の例を示す図である。補助ランド620d2は図6Aに示したものと同じであるが、補助ランド606d1の代わりに、複数の矢印から構成された形状の補助ランド625d1が追加されている。
ストレス801−1に対して、補助ランド625d1でも対抗力811g1、811h1が複数の部分で発生する。このため、ストレス801−1、801−2に対する対抗が期待でき、剥離の発生を抑制する。また、単にランドの外周が長いだけでなく、複数の部分に分散して対抗するため、補助ランド625d1と基材203、204それぞれの力がかかる部分も分散できる。
また、図6Bの例では、補助ランド620d2の方をアーチ形のままとしたが、補助ランド620d2の方もアーチ形の代わりに複数の矢印から構成された形状の補助ランドであってもよい。
そして、以上の図6A、6Bでは、内層面のみに補助ランドを設ける例を示したが、A面201とB面202の外層面に補助ランドを設けてもよく、外層面の補助ランドと内層面の補助ランドとは同じ形状であってもよい。また、図6A、6Bの例では、4層プリント配線板の例を示したが、さらに多層に積層されたプリント配線板や2層プリント配線板であってもよい。
実施例4では、実施例1〜3の説明とはスルーホールランドと補助ランドの位置関係が異なる例を説明する。実施例4は、実施例1に対する追加例について説明するものであるので、実施例1と共通する部分については、同じ符号を付けて説明は省略する。
図7は、実施例4におけるスルーホールランドと補助ランドの位置関係の例を示す図であって、スルーホールにハンダ付した後の上面図と断面図の例を示す図である。補助ランド606d2は実施例1と同じであるが、補助ランド606d1は無く、矢印形状の補助ランド606d3が、補助ランド606d1と異なる位置に追加されている。
すなわち、補助ランド606d3は、スルーホールランド605dの中心から外側に向いた矢印形状となっているが、補助ランド606d2とはスルーホールランド605dを挟んで一直線上とならない方向に追加された形状となっている。
これにより、ストレス801−1とは異なる方向のストレス801−3に対して、補助ランド606d3で対抗力811g3、811h3が発生し、ストレス801−3への対抗が期待でき、剥離の発生を抑制する。
図7では、補助ランド606d2の矢印の方向と、補助ランド606d3の矢印の方向とが、直角に近い例あるいはL字形とも呼べる例を示したが、このような角度の方向に限定されるものではなく、プリント配線板上の他の銅箔パターンの位置により、直角以外の角度などの他の方向であってもよい。
また、補助ランドを追加する対象となるスルーホールの周辺にスペースの余裕がある場合は、3方向や4方向などの3個以上の補助ランドを設けてもよい。そして、図7の例では、補助ランドとして矢印形状の例を挙げたが、ランドの外周の長さを増加してストレスの対抗が期待できる形状の補助ランドであれば、矢印形状以外の形状であってもよい。
また、図7の例では、内層面のみに補助ランドを設ける例を示したが、A面201とB面202の外層面も内層面と同じように補助ランドを設けてもよく、外層面の補助ランドと内層面の補助ランドとは同じ形状であってもよい。また、図7の例では、4層プリント配線板の例を示したが、さらに多層に積層されたプリント配線板や2層プリント配線板であってもよい。
以上で説明したように、他の銅箔パターンやスルーホールランドを避けた位置に補助ランドを追加し、剥離の発生を抑制することが可能になる。
実施例5では、補助ランドを設けずに同様の効果を得る例を説明する。実施例5は、実施例1を基にした例について説明するものであるので、実施例1と共通する部分については、同じ符号を付けて説明は省略する。
図8は、実施例5におけるスルーホールランドの形状の例を示す図であって、スルーホールにハンダ付した後の上面図と断面図の例を示す図である。スルーホールランド630は、他の銅箔パターンが近傍にあるなどの理由で、補助ランドが追加できない場合のスルーホールランドの形状の例である。
スルーホールランド630は、円形のスルーホールランド601c、601fの内側を切り欠いた形状であり、切り欠き631−2、631−4、632、634が設けられている。スルーホールランド630は、切り欠き分、外周の長さが増大するので、基材203、204、205との密着性が向上する。
ここで、切り欠き631−2と切り欠き631−4は同じ形状であり、切り欠き632、633とは異なる形状であるが、これらは、切り欠きが同じ形状であってもよいし、異なる形状であってもよいことを示すための例であって、切り欠きの形状は、外周の長さを増加してストレスへの対抗が期待できる形状であれば、どのような形状であってもよい。
ただし、切り欠き627のように矢印形状であれば、基材と銅箔の位置が替わるものの、図4を用いて説明したようなストレスへの対抗力が発生するため、切り欠きは矢印形状が好ましい。
そして、図8では4個の切り欠きの例を示したが、4個に限定されるものではなく、4個未満であってもよいし、5個以上であってもよい。このようなスルーホールランド630は、補助ランドを追加する必要のない形状であるため、設計難易度が上がらない、あるいは設計自由度が高い。
また、スルーホールランド630のような形状のスルーホールランドは、内層面のスルーホールランドのみであってもよいし、外層面と内層面の両方のスルーホールランドであってもよい。また、図8の例では、4層プリント配線板の例を示したが、さらに多層に積層されたプリント配線板や2層プリント配線板であってもよい。
実施例6では、実施例1〜5で説明したプリント配線板を、インバータで使用する例を説明する。図9は、インバータの例を示す図である。インバータ701は、例えば三相の交流703を入力し、変換してモータ704へ供給する。インバータ701は、交流を直流へ変換するコンバータ部705と、直流を交流へ変換するインバータ部706と、インバータ部706を制御する制御回路707から構成される。
これらのコンバータ部705、インバータ部706、および制御回路707は、電気回路であってプリント配線板が用いられるため、実施例1〜5で説明したプリント配線板が用いられてもよい。
特にコンバータ部705とインバータ部706には大電流の回路があり、大電流用の電子部品の電極端子は太く、これに応じてスルーホールの穴も大きいので、ハンダの量も多い。このため、ハンダの冷却などによるストレスも大きく、このストレスに対抗できるプリント配線板は有用である。
また、電子部品の電極端子が平板状であり、スルーホールが円形である場合も、ハンダの量が多くなるとともに、円形と平板状との間のハンダの量は全方向に対して一様ではないため、特定の方向にストレスがかかる可能性がある。このような点においては、大電流の回路のみならず、制御回路707においても、このようなストレスに対抗できるプリント配線板は有用である。