JP6871802B2 - 不均一系パラジウム触媒存在下でアルデヒドを一酸化炭素源として用いるハロゲン化合物のカルボニル化反応によりカルボニル化合物を得る方法 - Google Patents
不均一系パラジウム触媒存在下でアルデヒドを一酸化炭素源として用いるハロゲン化合物のカルボニル化反応によりカルボニル化合物を得る方法 Download PDFInfo
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Description
触媒として不均一系パラジウム触媒を用い、アルデヒドから発生させた一酸化炭素を用いることを特徴とするカルボニル化合物を得る方法である。
本発明方法で用いる不均一系パラジウム触媒は、一酸化炭素源からの一酸化炭素発生反応やカルボニル化反応が進行するものであれば特に限定されないが、例えば、活性炭、カーボンナノチューブ、グラファイト、グラフェン等のカーボン、アルミナ、シリカ等の担体にパラジウムを担持させたものが挙げられる。このパラジウムを担持した不均一系触媒は本発明方法を行っている間、系内に存在していればよいが、例えば、一酸化炭素源としてのアルデヒドに対して、1〜50mol%、好ましくは5〜20mol%である。なお、このような不均一系触媒は、反応後の触媒の分離、分離した触媒の再使用が容易である。
(a)パラジウムを活性炭に対しパラジウム金属換算で1〜20wt%、好ましくは5〜15wt%含有する。
なお、パラジウム量が少なすぎると反応性が低下することがあり、多すぎても使用量にみあった活性が得られないことがある。また、パラジウム量が多すぎると触媒上のパラジウム同士が凝集してしまうことがあり、その場合パラジウム粒子全体の表面積が低下して活性も低下してしまうことがある。
なお、活性炭の比表面積値が小さすぎるとパラジウムの分散性が低下してしまい反応性が低下してしまうことがある。また、理由は定かではないが、比表面積値が大きすぎても、本発明方法では反応性が低下することがある。
また、これら触媒は、反応の前に水素等の還元雰囲気下で活性化しても良い。
本発明方法では、カルボニル化の一酸化炭素源としてアルデヒドが用いられる。アルデヒドは、不均一系パラジウム触媒存在下で一酸化炭素を発生するものであれば特に限定されないが、アルデヒド基(ホルミル基)を有する芳香族化合物が好ましく、ベンゼン環にアルデヒド基を含む置換基が結合したものがより好ましい。アルデヒドの中でも、特に桂皮アルデヒド、ベンズアルデヒド、テレフタルアルデヒドが好ましく、テレフタルアルデヒドがより好ましい。本発明方法におけるアルデヒドの使用量は特に限定されないが、例えば、ハロゲン化合物に対して1〜10当量、好ましくは1〜3当量である。
本発明方法によりカルボニル化されるハロゲン化合物は、カルボニル化され、カルボニル化合物を生じるものであれば特に限定されないが、ハロゲン置換芳香族化合物、ハロゲン置換複素環化合物等が好ましく、ハロゲン置換芳香族化合物がより好ましい。ハロゲンの種類は特に限定されないが、臭素、ヨウ素が好ましく、ヨウ素がより好ましい。なお、これらのハロゲン化合物の中でも最終的に得られるカルボニル化合物がエステル化合物となるものが好ましく、環状エステル(ラクトン)となるようなものがより好ましい。最終的に得られるカルボニル化合物が環状化合物(ラクトンやラクタム)となる場合、ハロゲン化合物がヒドロキシ基、アミノ基等の求核置換基を有することが好ましい。
本発明方法は、上記不均一系パラジウム触媒、アルデヒド、更に必要により塩基、求核剤、溶媒、配位子の存在下で反応させ、アルデヒドから発生させた一酸化炭素でハロゲン化合物をカルボニル化反応させ、カルボニル化合物にする。
本発明方法の反応温度は、アルデヒドから一酸化炭素が発生し、カルボニル化反応が進行するのであれば特に限定されないが、80〜150℃が好ましく、特に100〜130℃が好ましい。
本発明方法の反応時間は、特に限定されないが、例えば、0.5〜48時間、好ましくは2〜24時間である。また、反応の際には撹拌をすることが好ましい。
本発明方法で用いることのできる塩基は、アルデヒドから一酸化炭素を発生できるものであれば特に限定されないが、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、酢酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、フッ化セシウムが好ましく、特に炭酸ナトリウムが好ましい。塩基の使用量は一酸化炭素を発生させるアルデヒドに対して1〜10当量以上が好ましく、更に1〜3当量が好ましい。
本発明方法で用いることのできる溶媒は特に限定されないが、アルコールや非プロトン性溶媒が好ましい。非プロトン性溶媒としてはトルエン、テトラヒドロフラン(THF)、アセトン、アセトニトリル、N,N−ジメチルアセトアミド(DMA)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N-メチルピロリドン(NMP)などが挙げられ、DMSO、DMA、トルエン、NMPが好ましく、特にNMPが好ましい。また、本発明方法で用いることのできるアルコールは特に限定されず、不飽和結合があってもよいが飽和脂肪族のアルコールであることが好ましい。また、炭素数1〜10の1〜3級アルコールでも良く、炭素数1〜5の1級または2級アルコールがより好ましく、特にイソプロパノールが好ましい。なお、これら溶媒の使用量は、適宜設定すればよい。
本発明方法で用いることのできる求核剤は、ヒドロキシ基、アミノ基等の求核置換基を持つ化合物であれば特に限定されないが、アルコールやアミンが好ましい。なお、ハロゲン化合物が求核置換基を有する場合には、別途求核剤を用いてなくてもよい。また、溶媒としてアルコールを用いる場合には、アルコールが求核剤を兼ねてもよい。アミンは脂肪族や芳香族で置換された1級アミンまたは2級アミンでもよい。また、アミンはアミドとなっていてもよく、特にベンズアミド誘導体が好ましい。
本発明方法で用いることのできる配位子は特に限定されないが、2,2'-ビピリジル、2,2'-ビキノリン、キサントホス、1,1'-ビスジフェニルホスフィノフェロセン(dppf)、トリフェニルフォスフィン(PPh3)が好ましく、PPh3が特に好ましい。使用する配位子の量は特に限定されないが、パラジウムに配位すると考えられる数の等量にすることが好ましい。パラジウムに対して1〜8当量が好ましく、3〜5当量が更に好ましい。
本発明方法における雰囲気は、アルデヒドから十分に一酸化炭素が発生するのであれば特に限定されないが、一酸化炭素が酸化しないような不活性ガスであることが好ましい。不活性ガスとしてはアルゴンやヘリウムなどの希ガスや窒素ガスが好ましいが、コストが安いことから特に窒素が好ましい。
本発明方法は、カルボニル化反応が進行するのであれば一段階で行っても良いが、アルデヒドから一酸化炭素を発生させる第一段階と、前記一酸化炭素を用いてハロゲン化合物のカルボニル化反応を行う第二段階の二段階に分けた反応で行うと収率が良い場合がある。以下に二段階で反応を行う場合の方法を記載する。
第一段階では、溶媒中に一酸化炭素源としてのアルデヒドと不均一系パラジウム触媒と塩基を加えて、アルデヒドから一酸化炭素を発生させる。
第一段階で使用する溶媒は一酸化炭素源であるアルデヒドが溶解すれば、特に限定されないが、アルコールや非プロトン性溶媒が好ましい。非プロトン性溶媒としてはトルエン、テトラヒドロフラン(THF)、アセトン、アセトニトリル、N,N−ジメチルアセトアミド(DMA)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N-メチルピロリドン(NMP)などが挙げられ、DMSO、DMA、DMFが好ましい。また、上記溶媒としてはアルコールを用いることもできる。アルコールは特に限定されないが、不飽和結合があってもよいが飽和脂肪族のアルコールであることが好ましい。また、炭素数1〜10の1〜3級アルコールでも良く、炭素数1〜5の1級または2級アルコールがより好ましく、特にイソプロパノールが好ましい。なお、これらの溶媒の使用量は、適宜設定すればよい。また、これらの溶媒は混合して用いてもよい。また、本発明方法により上記したハロゲン化合物とアルコールが反応したエステル化合物を得る場合には、アルコールが求核剤として反応に関与するため、第一段階の溶媒として上記アルコールを用いることが好ましい。
第一段階で用いることのできる求核剤は、ヒドロキシ基、アミノ基等の求核置換基を持つ化合物であれば特に限定されないが、アルコールやアミンが好ましい。なお、ハロゲン化合物が求核置換基を有する場合には、別途求核剤を用いてなくてもよい。また、溶媒としてアルコールを用いる場合には、アルコールが求核剤を兼ねてもよい。
第一段階ではアルデヒドから十分に一酸化炭素が発生すれば特に限定されないが、一酸化炭素が酸化しないような不活性ガス存在下で行うことが好ましい。不活性ガスとしてはアルゴンやヘリウムなどの希ガスや窒素ガスが好ましいが、コストが安いことから特に窒素が好ましい。
第一段階の反応温度は、アルデヒドから一酸化炭素が発生し、溶媒や基質が沸騰しない程度の温度であれば特に限定されないが、70〜200℃が好ましく、特に90〜150℃が好ましい。
第一段階の反応時間は、特に限定されないが、例えば、0.5〜48時間、好ましくは2〜24時間である。また、反応の際には撹拌をすることが好ましい。
第一段階では塩基を加える方が好ましく、塩基はアルデヒドから一酸化炭素を発生できるものであれば特に限定されないが、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、酢酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、フッ化セシウムが好ましく、特に炭酸ナトリウムが好ましい。塩基の使用量は一酸化炭素を発生させるアルデヒドに対して1〜10当量以上が好ましく、更に1〜3当量が好ましい。
第一段階で発生した一酸化炭素と反応させてカルボニル化する。ハロゲン化合物は溶媒に溶解させることが好ましい。この溶媒には、更に配位子や求核剤を添加してもよい。
第二段階で用いられる溶媒は特に限定されないが、アルコールや非プロトン性溶媒が好ましい。アルコールは特に限定されないが、不飽和結合があってもよいが飽和脂肪族のアルコールであることが好ましい。また、炭素数1〜10の1〜3級アルコールでも良く、炭素数1〜5の1級または2級アルコールがより好ましく、特にイソプロパノールが好ましい。また、非プロトン性溶媒としてはトルエン、テトラヒドロフラン(THF)、アセトン、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N-メチルピロリドン(NMP)などが挙げられ、DMSO、DMA、トルエン、NMPが好ましく、特にNMPが好ましい。なお、これらの溶媒の使用量は、適宜設定すればよい。また、これらの溶媒は混合して用いてもよい。
第二段階で用いることのできる求核剤は、ヒドロキシ基、アミノ基等の求核置換基を持つ化合物であれば特に限定されないが、アルコールやアミンが好ましい。なお、ハロゲン化合物が求核置換基を有する場合には、別途求核剤を用いてなくてもよい。また、溶媒としてアルコールを用いる場合には、アルコールが求核剤を兼ねてもよい。
第二段階で用いられる配位子は特に限定されないが、2,2'-ビピリジル、2,2'-ビキノリン、キサントホス、1,1'-ビスジフェニルホスフィノフェロセン(dppf)、トリフェニルフォスフィン(PPh3)が好ましく、PPh3が特に好ましい。使用する配位子の量は特に限定されないが、パラジウムに配位すると考えられる数の等量にすることが好ましい。パラジウムに対して1〜8当量が好ましく、3〜5当量が更に好ましい。
第二段階の反応温度は、発生した一酸化炭素でハロゲン化合物のカルボニル化が進行し、溶媒や基質が沸騰しない程度の温度であれば特に限定されないが、70〜150℃が好ましく、特に80〜120℃が好ましい。
第一段階の反応時間は、特に限定されないが、例えば、0.5〜48時間、好ましくは2〜24時間である。また、反応の際には撹拌をすることが好ましい。
第一段階と第二段階の反応は、別々の容器で行うことも同じ容器内で行うことも可能であるが、同じ容器内で行うことが好ましい。
更に、反応時間を短縮したい場合には、第一段階で発生する一酸化炭素を、別の第二段階の反応で利用できるような容器で行えばよい。このような容器としては、例えば、複数の容器を連結して、ある容器で発生した一酸化炭素が他の容器にも行き来できるようなもの等が挙げられる。こうすると他の容器に入れておいた基質もカルボニル化できる。
一酸化炭素源としてのアルデヒドの種類:
以下の反応式において、アルデヒド(Aldehyde)として、表1に記載のものを用い、エステル化合物の収率を調べた。収率もあわせて表1に記載した。
第一段階の雰囲気の種類:
以下の反応式において、基質添加前の雰囲気(Air)として、表2に記載のものを用い、エステル化合物の収率を調べた。収率もあわせて表2に記載した。テレフタルアルデヒドの使用量は0.25mmoLである。
第二段階での基質添加のための溶媒の種類:
以下の反応式において、基質添加時の溶媒(Solvent)として、表3に記載のものを用い、エステル化合物の収率を調べた。収率もあわせて表3に記載した。テレフタルアルデヒドの使用量は0.25mmoLである。
触媒の再利用:
以下の反応式において、触媒を再利用した際の収率を調べた。収率と触媒の回収率を表4に記載した。
第二段階で添加する配位子の種類:
以下の反応式において、基質添加時の配位子(Ligand)として、表5に記載のものを用い、エステル化合物の収率を調べた。収率もあわせて表5に記載した。テレフタルアルデヒドの使用量は0.25mmoLである。
分子内環化反応・基質多様性:
以下の反応式において、基質(Substrate)として、表6に記載のものを用い、環状化合物の収率を調べた。収率もあわせて表6に記載した。テレフタルアルデヒドの使用量は0.25mmoLである。
エステル合成・アルコール多様性:
以下の反応式において、アルコール(ROH)として、表7に記載のものを用い、エステル化合物の収率を調べた。収率もあわせて表7に記載した。テレフタルアルデヒドの使用量は0.25mmoLである。
基質多様性:
以下の反応式において、基質として、表8に記載のものを用い、エステル化合物の収率を調べた。収率もあわせて表8に記載した。テレフタルアルデヒドの使用量は0.25mmoLである。
複素環化合物:
以下の反応式において、基質(R-I)として、表9に記載のものを用い、エステル化合物の収率を調べた。収率もあわせて表9に記載した。テレフタルアルデヒドの使用量は0.25mmoLである。
複数の容器で反応を同時に行う系:
以下の反応式において、図1で示される反応容器を用い、各収率を調べて表10に記載した。管2(Tube2)の基質に対する管1(Tube1)の基質の量は1.5当量である。管1と管2は連結されていて、管1で発生した一酸化炭素は連結部分で行き来し、管2においても一酸化炭素が利用できる。
そのため、本発明は、研究開発時の少量サンプル製造やコンビナトリアルケミストリーの化学ライブラリーに利用できる。
2 … 管1
3 … 管2
4 … 連結部分
以 上
Claims (17)
- 触媒および一酸化炭素存在下、ハロゲン化合物をカルボニル化反応させてカルボニル化合物を製造する方法であって、
上記触媒が不均一系パラジウム触媒であり、
上記一酸化炭素が、アルデヒドと不均一系パラジウム触媒の存在下で発生したものであるカルボニル化合物の製造方法。 - 上記カルボニル化反応に用いる触媒と、アルデヒドから一酸化炭素を発生させる反応に用いる触媒とが、同じ不均一系パラジウム触媒である請求項1記載の方法。
- 前記カルボニル化合物がエステル化合物である請求項1または2に記載の方法。
- 触媒および一酸化炭素と共に、アルコールを存在させる請求項3に記載の方法。
- 前記アルデヒドがテレフタルアルデヒドである請求項1〜4の何れかに記載の方法。
- 前記不均一系パラジウム触媒が活性炭にパラジウムを担持させたものである請求項1〜5の何れかに記載の方法。
- 前記ハロゲン化合物がハロゲン置換芳香族化合物である請求項1〜6の何れかに記載の方法。
- 前記ハロゲンがヨウ素である請求項1〜7の何れかに記載の方法。
- 前記アルデヒドをハロゲン化合物に対して1〜10当量用いる請求項1〜8の何れかに記載の方法。
- 前記エステル化合物が環状エステル化合物である請求項3〜9の何れかに記載の方法。
- 前記アルデヒドから一酸化炭素を発生させる第一段階と、前記一酸化炭素を用いてハロゲン化合物のカルボニル化を行う第二段階の二段階で行う請求項1〜10の何れかに記載の方法。
- 第一段階を不活性ガス存在下で行う請求項11に記載の方法。
- 前記不活性ガスが窒素ガスである請求項12に記載の方法。
- 前記第二段階でハロゲン化合物と溶媒を添加する請求項11〜13の何れかに記載の方法。
- 溶媒がN−メチルピロリドンである請求項11〜14の何れかに記載の方法。
- ハロゲン化合物と溶媒と共に、配位子を添加する請求項14または15に記載の方法。
- 前記配位子がトリフェニルフォスフィンである請求項16に記載の方法。
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