JP6880992B2 - 評価方法、評価装置および評価プログラム - Google Patents

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Description

本発明は、音データの処理技術に関する。
生産設備やインフラ設備等の設備の状態を診断する技術として振動法が知られている。しかし、振動法の実施には各設備に対する振動センサの装着が必要であり、この振動センサが高価であるため、投資と回収のコストバランスの問題から普及していない。
この問題を解決する技術として音響診断が知られている。音響診断は、音データに対する音響分析により設備の異音を検知する技術である。例えば或る音響診断においては、音データからスペクトル分解により抽出された特徴量の各クラスタに対して設備の運転モードが対応付けられ、対象の音データから抽出された特徴量と各クラスタとの比較により、異音が発生したか判定される。
従って、特徴量の各クラスタに対する運転モードの対応付けが適切であれば異音を検知できるが、音響診断に関する従来の技術によっては、対応付けを適切に実行できない場合がある。
特開2009−236645号公報 特開2001−117580号公報 特開2016−42117号公報
渋谷 久恵、前田 俊二、"運転パターン情報を利用した異常検知技術"、電気学会論文誌C(電子・情報・システム部門誌)、一般社団法人 電気学会、平成25年10月1日、第133号、第10巻、pp.1998−2006
本発明の目的は、1つの側面では、音データから抽出された特徴量の各クラスタに対する運転モードの対応付けを正しく行うための技術を提供することである。
一態様に係る評価方法は、音データから各時刻における特徴量を抽出し、抽出された特徴量に対するクラスタリングにより特徴量のクラスタを複数生成し、各時刻において特徴量が属するクラスタの変化に基づき、複数のクラスタの各々から他のクラスタへの遷移の確率を算出し、複数のクラスタの各々から他のクラスタへの遷移の確率に基づき、複数のクラスタの各々に対して、対象が定常運転中であることを示す第1のデータ、対象が非定常運転中であることを示す第2のデータ、または対象が停止中であることを示す第3のデータを対応付ける処理を含む。
1つの側面では、音データから抽出された特徴量の各クラスタに対する運転モードの対応付けを正しく行えるようになる。
図1は、計測された音データから抽出した特徴量の3つのクラスタの例を示す図である。 図2は、各クラスタに対する運転モードの対応付けを示す図である。 図3は、計測された音データから抽出した特徴量の3つのクラスタの例を示す図である。 図4は、各クラスタに対する運転モードの対応付けを示す図である。 図5は、本実施の形態のシステムの概要を示す図である。 図6は、分析装置の機能ブロック図である。 図7は、各クラスタに対して運転モードを対応付ける処理の処理フローを示す図である。 図8は、音データの一例を示す図である。 図9は、特徴量の時系列データを示す図である。 図10は、クラスタデータ格納部に格納されるデータの一例を示す図である。 図11は、特徴量に対応する点の分布の一例を示す図である。 図12は、クラスタリングの結果の一例を示す図である。 図13は、クラスタデータ格納部に格納されるデータの一例を示す図である。 図14は、クラスタの遷移について説明するための図である。 図15は、確率データ格納部に格納されるデータの一例を示す図である。 図16は、確率データ格納部に格納されるデータの一例を示す図である。 図17は、各クラスタに対して運転モードを対応付ける処理の処理フローを示す図である。 図18は、クラスタの遷移を示す図である。 図19は、対応関係データ格納部に格納されるデータの一例を示す図である。 図20は、実効値について説明するための図である。 図21は、対応関係データ格納部に格納されるデータの一例を示す図である。 図22は、環境音が無い場合の特徴量の3つのクラスタを示す図である。 図23は、環境音が有る場合の特徴量の3つのクラスタを示す図である。 図24は、真のクラスタを示す図である。 図25は、確率データ格納部に格納されるデータの一例を示す図である。 図26は、本実施の形態の方法による対応付けの結果を示す図である。 図27は、設備から異音が発せられているか判定する処理の処理フローを示す図である。 図28は、異常度について説明するための図である。 図29は、評価結果格納部に格納されるデータの一例を示す図である。 図30は、コンピュータの機能ブロック図である。
本実施の形態における運転モードは、定常運転モードと、非定常運転モードと、停止モードとに分けられる。定常運転モードにおいて計測される音には、設備の回転体(例えばモータやエンジンなど)あるいは圧縮機等の機器が安定稼働している場合に発せられる音が含まれる。停止モードにおいては設備が停止しているため設備からは音は発せられず、周囲の環境音(例えば天候音、作業音、近隣生活音等)のみが含まれる。非定常モードとは、停止モードから定常運転モードへの遷移および定常運転モードから停止モードへの遷移の際に経由するモードであり、例えば、設備の起動処理中の状態あるいは設備の停止処理中の状態のことである。そのため、非定常モードにおいて計測される音には、設備の機器が安定稼働していない場合に発せられる音が含まれる。
図1は、計測された音データから抽出した特徴量の3つのクラスタの例を示す図である。図1の例において横軸および縦軸は各次元の特徴量の値を表しており、2次元の特徴ベクトルに対するクラスタリングが実行されている。
このように、通常、クラスタリングの対象となる「特徴量」は1次元の値ではなく2次元以上のベクトルで表されるが、説明を簡単にするため以下では単に「特徴量」と呼ぶ。
各クラスタに対して運転モードを対応付ける一つの方法として、クラスタのサイズに基づき運転モードの対応付けを実行する方法が考えられる。非定常運転モードにおいてはスペクトル分布が変動するためクラスタ半径が大きくなるという特徴を考慮すると、図1の例の場合、クラスタ1が非定常運転モードに対応付けられる。また、停止モードにおいては音源が存在しないため停止モードの音波形の実効値は定常運転モードの音波形の実効値より小さくなるという特徴を考慮すると、図1の例の場合、クラスタ2が停止モードに対応付けられ、クラスタ3が定常運転モードに対応付けられる。すなわち、図2に示すように運転モードの対応付けが行われる。ここでは、真の運転モードを対応付けることができたとする。
但し、音データには、周囲の環境音によるノイズ要素が混入され、その影響によりクラスタ半径やクラスタ中心が変化する。図3は、計測された音データから抽出した特徴量の3つのクラスタの他の例を示す図である。図3の例は、図1の例と比較すると、ノイズ要素の混入によりクラスタ半径及びクラスタ中心が変化しており、この場合、クラスタ半径が最も大きいクラスタ3が非定常運転モードに対応付けられる。また、クラスタ1およびクラスタ2のうち、音波形の実効値がより大きいクラスタ2が定常運転モードに割り当てられ、クラスタ1が停止モードに割り当てられる。すなわち、図4に示すように運転モードの対応付けが行われる。ここでは、真の運転モードを対応付けることができなかったため、異音を適切に検知することができなくなる。
このように、クラスタ半径を利用して運転モードの対応付けを行うと、対応付けの誤りが発生する可能性がある。そこで、以下では、運転モードの対応付けを正しく行う方法について説明する。
図5は、本実施の形態のシステムの概要を示す図である。例えば生産設備あるいはインフラ設備等である設備5には、設備5から発せられる音および環境音の音データを取得する音データ取得装置3が装着されている。音データ取得装置3はネットワークを介して分析装置1と接続され、取得した音データを分析装置1に送信する。分析装置1は、音データ取得装置3から受信した音データに基づき処理を実行する。なお、図5の例においては音データ取得装置3は設備5に装着されているが、設備5の周囲に設置されていてもよい。
図6は、分析装置1の機能ブロック図である。分析装置1は、受信部101と、クラスタリング部103と、算出部105と、対応付け部107と、評価部109と、音データ格納部111と、クラスタデータ格納部113と、確率データ格納部115と、対応関係データ格納部117と、評価結果格納部119とを含む。
受信部101、クラスタリング部103、算出部105、対応付け部107および評価部109は、例えば、図30におけるメモリ2501にロードされたプログラムが図30におけるCPU(Central Processing Unit)2503により実行されることで実現される。音データ格納部111、クラスタデータ格納部113、確率データ格納部115、対応関係データ格納部117および評価結果格納部119は、例えば、メモリ2501または図30におけるHDD(Hard Disk Drive)2505に設けられる。
受信部101は、音データ取得装置3から音データを受信し、受信した音データを音データ格納部111に格納する。クラスタリング部103は、音データ格納部111に格納されている音データに基づき処理を実行し、処理結果をクラスタデータ格納部113に格納する。算出部105は、クラスタデータ格納部113に格納されているデータに基づき処理を実行し、処理結果を確率データ格納部115に格納する。対応付け部107は、音データ格納部111に格納されているデータ、クラスタデータ格納部113に格納されているデータ及び確率データ格納部115に格納されているデータに基づき処理を実行し、処理結果を対応関係データ格納部117に格納する。評価部109は、クラスタデータ格納部113に格納されているデータ及び対応関係データ格納部117に格納されているデータに基づき処理を実行し、処理結果を評価結果格納部119に格納する。
次に、図7乃至図26を用いて、本実施の形態の分析装置1が実行する処理の詳細を説明する。
図7は、各クラスタに対して運転モードを対応付ける処理の処理フローを示す図である。本処理は、設備5から異音が発せられているか判定する処理に先立って実行される。
分析装置1のクラスタリング部103は、音データ取得装置3から受信した音データを音データ格納部111から読み出す(図7:ステップS1)。ステップS1において読み出される音データは、例えば図8に示すような音波形のデータである。
クラスタリング部103は、ステップS1において読み出された音データに対するスペクトル分解により各時刻の特徴量を抽出する(ステップS3)。特徴量が多次元のベクトルとして表される場合、ステップS3においては各次元について特徴量の時系列データが得られる。図9の例では、特徴量A、特徴量B、・・・の時系列データが得られている。なお、スペクトル分解の方法は周知であるので、ここではこれ以上詳しく説明しない。
クラスタリング部103は、抽出した特徴量をクラスタデータ格納部113に格納する。図10は、クラスタデータ格納部113に格納されるデータの一例を示す図である。図10の例では、各時刻について特徴量が格納されている。ステップS3の時点においてはクラスタリングが行われていないので、クラスタ番号は格納されていない。
クラスタリング部103は、ステップS3において抽出した特徴量に対するクラスタリングを実行して3つのクラスタを生成する(ステップS5)。クラスタリングは、例えば、k−meansクラスタリング或いは混合正規分布によるクラスタリング等である。
図11は、特徴量に対応する点の分布の一例を示す図である。各点は、時刻t(i)(i=1,2,...,N)の特徴量に対応している。このような例において、3つのクラスタを生成するようにクラスタリングを実行した場合、例えば図12に示すようにクラスタ1乃至3が生成される。
クラスタリング部103は、ステップS5において実行したクラスタリングの結果をクラスタデータ格納部113に格納する。図13は、クラスタデータ格納部113に格納されるデータの一例を示す図である。図13の例では、各時刻について、特徴量とクラスタ番号とが格納されている。クラスタ番号は、時刻t(i)における特徴量に対応する点が属するクラスタの番号である。
算出部105は、クラスタデータ格納部113に格納されているデータを用いて、各クラスタから他のクラスタへの遷移回数を算出する(ステップS9)。例えば図14に示すようにクラスタが遷移する場合、クラスタ1からクラスタ2への遷移回数は2であり、クラスタ1からクラスタ3への遷移回数は4である。クラスタ2からクラスタ1への遷移回数は3であり、クラスタ2からクラスタ3への遷移回数は1である。クラスタ3からクラスタ1への遷移回数は4であり、クラスタ3からクラスタ2への遷移回数は1である。
算出部105は、ステップS9の算出結果を用いて、各クラスタから他のクラスタへの遷移の確率を算出する(ステップS11)。例えば図14の例の場合、クラスタ1からクラスタ2への遷移確率は2/(2+4)≒0.33であり、クラスタ1からクラスタ3への遷移確率は4/(2+4)≒0.67である。クラスタ2からクラスタ1への遷移確率は3/(3+1)=0.75であり、クラスタ2からクラスタ3への遷移確率は1/(3+1)=0.25である。クラスタ3からクラスタ1への遷移確率は4/(4+1)=0.8であり、クラスタ3からクラスタ2への遷移確率は1/(4+1)=0.2である。
算出部105は、ステップS11において算出した遷移確率を確率データ格納部115に格納する。図15は、確率データ格納部115に格納されるデータの一例を示す図である。図15の例では、各クラスタについて、他のクラスタへの遷移確率が格納される。ステップS11の時点においては、遷移確率差の欄に値は格納されない。
算出部105は、確率データ格納部115に格納された遷移確率を用いて、各クラスタについて遷移確率差を算出し(ステップS13)、算出した遷移確率差を確率データ格納部115に格納する。そして処理は端子Aを介して図17のステップS15に移行する。
図16は、確率データ格納部115に格納されるデータの一例を示す図である。図16の例では、各クラスタについて、他のクラスタへの遷移確率と、遷移確率差とが格納される。
図17の説明に移行し、対応付け部107は、3つの遷移確率差のうち最小の遷移確率差を有するクラスタを特定する(図17:ステップS15)。
対応付け部107は、ステップS15において特定したクラスタの番号に対応付けて、非定常運転モードであることを示すデータを対応関係データ格納部117に格納する(ステップS17)。
ステップS15及びS17の処理は、クラスタの遷移の特徴に基づいている。図18は、クラスタの遷移を示す図である。上で述べたように、停止モードから定常運転モードへの遷移および定常運転モードから停止モードへの遷移の際には非定常運転モードを経由するので、停止モードから定常運転モードへの直接の遷移および定常運転モードから停止モードへの直接の遷移は理論上は発生し得ない。そのため、停止モードから定常運転モードへの遷移確率および定常運転モードから停止モードへの遷移確率は、その他の遷移確率よりも低くなると考えられる。このことから、停止モードについての遷移確率差および定常運転モードについての遷移確率差は、非定常運転モードについての遷移確率差より大きくなると考えられる。よって、ステップS15の処理によって非定常運転モードであるクラスタを特定することができる。
図19は、対応関係データ格納部117に格納されるデータの一例を示す図である。図19の例では、クラスタ番号と、運転モードを示す情報とが格納される。ステップS17の時点においては、定常運転モードを示す情報及び停止モードを示す情報は格納されない。
対応付け部107は、ステップS15において特定されたクラスタ以外の2つのクラスタについて、実効値を算出する(ステップS19)。実効値は、例えば以下の式に従って算出される。
Figure 0006880992
図20は、実効値について説明するための図である。上で述べたように、停止モードにおいては設備5から音は発せられないため、停止モードの音波形の実効値は定常運転モードの音波形の実効値より小さいと考えられる。従って、例えば図20の例の場合、図20(a)に対応するクラスタは停止モードのクラスタであり、図20(b)に対応するクラスタは定常運転モードのクラスタである。
対応付け部107は、ステップS19において算出された実効値がより大きい方のクラスタの番号に対応付けて、定常運転モードであることを示すデータを対応関係データ格納部117に格納する(ステップS21)。
対応付け部107は、ステップS19において算出された実効値がより小さい方のクラスタの番号に対応付けて、停止モードであることを示すデータを対応関係データ格納部117に格納する(ステップS23)。そして処理は終了する。ここまでの処理によって、対応関係データ格納部117には、例えば図21に示すようなデータが格納される。
ここで、以上の処理の効果について説明する。
図22は、環境音が無い場合の特徴量の3つのクラスタを示す図であり、図23は、環境音が有る場合の特徴量の3つのクラスタを示す図である。そして、図24に示すように、「〇」に対応するクラスタの真の運転モードは停止モードであり、「△」に対応するクラスタの真の運転モードは定常運転モードであり、「+」に対応するクラスタの真の運転モードは非定常運転モードである。「〇」に対応するクラスタの番号は1であり、「△」に対応するクラスタの番号は2であり、「+」に対応するクラスタの番号は3である。
クラスタ半径に基づいて対応付けを実行した場合、環境音が無い図22の例であれば正しく対応付けを行うことができる。しかしながら、環境音が有る図23の例の場合、「△」に対応するクラスタのクラスタ半径が大きくなっているため、「△」に対応するクラスタに対して誤って非定常運転モードを対応付けてしまう可能性がある。
これに対し、本実施の形態の処理によれば、例えば図25に示すように遷移確率差が算出される。図24の例の場合、番号が3であるクラスタ(すなわち、「+」に対応するクラスタ)の遷移確率差が最小であるので、「+」に対応するクラスタに対して非定常運転モードを対応付けることができる。また、実効値の大きさに基づき、番号が2であるクラスタ(すなわち、「△」に対応するクラスタ)に対して定常運転モードを対応付け、番号が1であるクラスタ(すなわち、「〇」に対応するクラスタ)に対して停止モードを対応付けることができる。すなわち、図26に示すように対応付けが行われ、この対応付けは、図24に示した真の運転モードに一致する。
次に、図27乃至図29を用いて、設備5から異音が発せられているか判定する処理について説明する。
図27は、設備5から異音が発せられているか判定する処理の処理フローを示す図である。本処理は、図7乃至図26を用いて説明した処理が実行された後に実行される。
まず、クラスタリング部103は、音データ格納部111に格納されており且つ新たに音データ取得装置3から受信した音データを読み出す(図27:ステップS31)。ステップS31において読み出される音データは、図7乃至図26を用いて説明した処理が実行された音データとは別の音データである。
クラスタリング部103は、ステップS31において読み出された音データに対するスペクトル分解により各時刻の特徴量を抽出する(ステップS33)。クラスタリング部103は、抽出した特徴量を評価部109に渡す。
評価部109は、対応関係データ格納部117において定常運転モードを示すデータに対応付けられているクラスタ番号を特定し、特定したクラスタ番号の特徴量を、クラスタデータ格納部113から読み出す(ステップS35)。
なお、ステップS33において抽出された特徴量に対応する点が複数である場合には、以下のステップS37乃至S43の処理は各点について実行される。
評価部109は、ステップS33において抽出された特徴量とステップS35において読み出された特徴量とを用いて、ステップS33において抽出された特徴量の異常度を算出する(ステップS37)。
図28を用いて、異常度について説明する。図28は、3つのクラスタと評価対象の点との位置関係を示す図である。図28においては、クラスタ1は非定常運転モードのクラスタであり、クラスタ2は停止モードのクラスタであり、クラスタ3は定常運転モードのクラスタであるとする。点2801は定常運転モードのクラスタからは離れた位置に存在し、点2802は定常運転モードのクラスタの中に存在する。
本実施の形態においては、定常運転モードのクラスタに属する点が密に存在する空間に存在する点は異常度が低く、且つ、定常運転モードのクラスタに属する点が疎である空間に存在する点は異常度が高くなるように算出される。従って、図28の例であれば点2801の異常度は点2802の異常度よりも高くなる。なお、このような異常度の算出方法は周知であるので、ここではこれ以上詳しく説明しない。
評価部109は、ステップS37において算出した異常度が閾値以上であるか判定する(ステップS39)。ステップS37において算出した異常度が閾値以上である場合(ステップS39:Yesルート)、評価部109は、以下の処理を実行する。具体的には、評価部109は、評価対象の点の識別情報に対応付けて、異音であることを示すデータを評価結果格納部119に格納する(ステップS41)。
一方、ステップS37において算出した異常度が閾値以上ではない場合(ステップS39:Noルート)、評価部109は、以下の処理を実行する。具体的には、評価部109は、評価対象の点の識別情報に対応付けて、正常音であることを示すデータを評価結果格納部119に格納する(ステップS43)。そして処理は終了する。
図29は、評価結果格納部119に格納されるデータの一例を示す図である。図29の例では、評価対象の点の識別情報と、異常度と、異音であることを示すデータ又は正常音であることを示すデータとが格納される。
以上のように、運転モードの切り替わりの順序特性を利用することで、各クラスタに対する運転モードの対応付けを正しく行えるようになり、結果として、音響診断を高精度で実施することができるようになる。特に、環境音が有る場合には従来技術によっては適切に対応付けを行うことができなかったが、本実施の形態の方法によれば可能である。
以上本発明の一実施の形態を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、上で説明した分析装置1の機能ブロック構成は実際のプログラムモジュール構成に一致しない場合もある。
また、上で説明した各テーブルの構成は一例であって、上記のような構成でなければならないわけではない。さらに、処理フローにおいても、処理結果が変わらなければ処理の順番を入れ替えることも可能である。さらに、並列に実行させるようにしても良い。
また、運転モードを適切に特定することが可能な本実施形態の方法は、異音検知にのみ適用可能な方法ではなく、運転モニタリング全般に適用可能である。
なお、上で述べた分析装置1は、コンピュータ装置であって、図30に示すように、メモリ2501とCPU2503とHDD2505と表示装置2509に接続される表示制御部2507とリムーバブル・ディスク2511用のドライブ装置2513と入力装置2515とネットワークに接続するための通信制御部2517とがバス2519で接続されている。オペレーティング・システム(OS:Operating System)及び本実施例における処理を実施するためのアプリケーション・プログラムは、HDD2505に格納されており、CPU2503により実行される際にはHDD2505からメモリ2501に読み出される。CPU2503は、アプリケーション・プログラムの処理内容に応じて表示制御部2507、通信制御部2517、ドライブ装置2513を制御して、所定の動作を行わせる。また、処理途中のデータについては、主としてメモリ2501に格納されるが、HDD2505に格納されるようにしてもよい。本発明の実施例では、上で述べた処理を実施するためのアプリケーション・プログラムはコンピュータ読み取り可能なリムーバブル・ディスク2511に格納されて頒布され、ドライブ装置2513からHDD2505にインストールされる。インターネットなどのネットワーク及び通信制御部2517を経由して、HDD2505にインストールされる場合もある。このようなコンピュータ装置は、上で述べたCPU2503、メモリ2501などのハードウエアとOS及びアプリケーション・プログラムなどのプログラムとが有機的に協働することにより、上で述べたような各種機能を実現する。
以上述べた本発明の実施の形態をまとめると、以下のようになる。
本実施の形態の第1の態様に係る評価方法は、(A)音データから各時刻における特徴量を抽出し、抽出された特徴量に対するクラスタリングにより特徴量のクラスタを複数生成し、(B)各時刻において特徴量が属するクラスタの変化に基づき、複数のクラスタの各々から他のクラスタへの遷移の確率を算出し、(C)複数のクラスタの各々から他のクラスタへの遷移の確率に基づき、複数のクラスタの各々に対して、対象が定常運転中であることを示す第1のデータ、対象が非定常運転中であることを示す第2のデータ、または対象が停止中であることを示す第3のデータを対応付ける処理を含む。
定常運転中から停止中への遷移および停止中から定常運転中への遷移は理論上は発生しないという特徴が有る。そこで、クラスタ間の遷移の確率を利用することで、音データから抽出した特徴量の各クラスタに対する運転モードの対応付けを正しく行えるようになる。
また、複数のクラスタの各々に対して対応付ける処理において、(c1)複数のクラスタの各々について、当該クラスタから他のクラスタへの遷移の確率の差を算出し、算出された差が最小である第1のクラスタに対して、第2のデータを対応付けてもよい。
非定常運転についてのクラスタは、定常運転についてのクラスタおよび停止についてのクラスタと比較して、遷移の確率の差が小さくなりやすいという特徴が有る。従って、上記の処理を実行すれば、非定常運転についての対応付けを正しく行えるようになる。
また、複数のクラスタの各々に対して対応付ける処理において、(c2)第1のクラスタ以外のクラスタの各々について、当該クラスタに属する特徴量についての音データの実効値を算出し、算出された実効値がより大きい方のクラスタである第2のクラスタに対して第1のデータを対応付け、算出された実効値がより小さい方のクラスタである第3のクラスタに対して第3のデータを対応付けてもよい。
定常運転についての実効値は停止についての実効値より大きくなりやすいという特徴が有る。従って、上記の処理を実行すれば、定常運転および停止についての対応付けを正しく行えるようになる。
また、複数のクラスタの各々から他のクラスタへの遷移の確率を算出する処理において、(b1)各時刻において特徴量が属するクラスタの識別情報を含む第4のデータを生成し、(b2)第4のデータに基づき、複数のクラスタの各々について、当該クラスタから他の各クラスタへ遷移した回数を当該クラスタについての全遷移回数で除することで、複数のクラスタの各々から他のクラスタへの遷移の確率を算出してもよい。
各クラスタから他のクラスタへの遷移の確率を適切に算出できるようになる。
また、本評価方法は、(D)音データとは異なる他の音データを取得した場合、他の音データから特徴量を抽出し、(E)他の音データから抽出した特徴量と、第1のデータが対応付けられたクラスタに属する特徴量とに基づき算出した異常度により、対象について異音が発生したか判定してもよい。
対象について異音が発生したか否かを高精度で判定できるようになる。
本実施の形態の第2の態様に係る評価装置は、(E)音データから各時刻における特徴量を抽出し、抽出された特徴量に対するクラスタリングにより特徴量のクラスタを複数生成する生成部(実施の形態におけるクラスタリング部103は生成部の一例である)と、(F)各時刻において特徴量が属するクラスタの変化に基づき、複数のクラスタの各々から他のクラスタへの遷移の確率を算出する算出部(実施の形態における算出部105は算出部の一例である)と、(G)複数のクラスタの各々から他のクラスタへの遷移の確率に基づき、複数のクラスタの各々に対して、対象が定常運転中であることを示す第1のデータ、対象が非定常運転中であることを示す第2のデータ、または対象が停止中であることを示す第3のデータを対応付ける対応付け部(実施の形態における対応付け部107は対応付け部の一例である)とを有する。
なお、上記方法による処理をコンピュータに実行させるためのプログラムを作成することができ、当該プログラムは、例えばフレキシブルディスク、CD−ROM、光磁気ディスク、半導体メモリ、ハードディスク等のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体又は記憶装置に格納される。尚、中間的な処理結果はメインメモリ等の記憶装置に一時保管される。
以上の実施例を含む実施形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
(付記1)
コンピュータに、
音データから各時刻における特徴量を抽出し、抽出された前記特徴量に対するクラスタリングにより前記特徴量のクラスタを複数生成し、
各時刻において前記特徴量が属するクラスタの変化に基づき、複数のクラスタの各々から他のクラスタへの遷移の確率を算出し、
前記複数のクラスタの各々から他のクラスタへの遷移の確率に基づき、前記複数のクラスタの各々に対して、対象が定常運転中であることを示す第1のデータ、前記対象が非定常運転中であることを示す第2のデータ、または前記対象が停止中であることを示す第3のデータを対応付ける、
処理を実行させる評価プログラム。
(付記2)
前記複数のクラスタの各々に対して対応付ける処理において、
前記複数のクラスタの各々について、当該クラスタから他のクラスタへの遷移の確率の差を算出し、算出された前記差が最小である第1のクラスタに対して、前記第2のデータを対応付ける、
付記1記載の評価プログラム。
(付記3)
前記複数のクラスタの各々に対して対応付ける処理において、
前記第1のクラスタ以外のクラスタの各々について、当該クラスタに属する前記特徴量についての音データの実効値を算出し、算出された前記実効値がより大きい方のクラスタである第2のクラスタに対して前記第1のデータを対応付け、算出された前記実効値がより小さい方のクラスタである第3のクラスタに対して前記第3のデータを対応付ける、
付記2記載の評価プログラム。
(付記4)
前記複数のクラスタの各々から他のクラスタへの遷移の確率を算出する処理において、
各時刻において前記特徴量が属するクラスタの識別情報を含む第4のデータを生成し、
前記第4のデータに基づき、前記複数のクラスタの各々について、当該クラスタから他の各クラスタへ遷移した回数を当該クラスタについての全遷移回数で除することで、前記複数のクラスタの各々から他のクラスタへの遷移の確率を算出する、
付記1乃至3のいずれか1つ記載の評価プログラム。
(付記5)
前記音データとは異なる他の音データを取得した場合、前記他の音データから前記特徴量を抽出し、
前記他の音データから抽出した前記特徴量と、前記第1のデータが対応付けられたクラスタに属する前記特徴量とに基づき算出した異常度により、前記対象について異音が発生したか判定する、
付記1記載の評価プログラム。
(付記6)
コンピュータが、
音データから各時刻における特徴量を抽出し、抽出された前記特徴量に対するクラスタリングにより前記特徴量のクラスタを複数生成し、
各時刻において前記特徴量が属するクラスタの変化に基づき、複数のクラスタの各々から他のクラスタへの遷移の確率を算出し、
前記複数のクラスタの各々から他のクラスタへの遷移の確率に基づき、前記複数のクラスタの各々に対して、対象が定常運転中であることを示す第1のデータ、前記対象が非定常運転中であることを示す第2のデータ、または前記対象が停止中であることを示す第3のデータを対応付ける、
処理を実行する評価方法。
(付記7)
音データから各時刻における特徴量を抽出し、抽出された前記特徴量に対するクラスタリングにより前記特徴量のクラスタを複数生成する生成部と、
各時刻において前記特徴量が属するクラスタの変化に基づき、複数のクラスタの各々から他のクラスタへの遷移の確率を算出する算出部と、
前記複数のクラスタの各々から他のクラスタへの遷移の確率に基づき、前記複数のクラスタの各々に対して、対象が定常運転中であることを示す第1のデータ、前記対象が非定常運転中であることを示す第2のデータ、または前記対象が停止中であることを示す第3のデータを対応付ける対応付け部と、
を有する評価装置。
1 分析装置 101 受信部
103 クラスタリング部 105 算出部
107 対応付け部 109 評価部
111 音データ格納部 113 クラスタデータ格納部
115 確率データ格納部 117 対応関係データ格納部
119 評価結果格納部

Claims (7)

  1. コンピュータに、
    音データから各時刻における特徴量を抽出し、抽出された前記特徴量に対するクラスタリングにより前記特徴量のクラスタを複数生成し、
    各時刻において前記特徴量が属するクラスタの変化に基づき、複数のクラスタの各々から他のクラスタへの遷移の確率を算出し、
    前記複数のクラスタの各々から他のクラスタへの遷移の確率に基づき、前記複数のクラスタのうち、対象が非定常運転中であるクラスタを特定し、特定した前記クラスタに対して、前記対象が非定常運転中であることを示す第1のデータを対応付ける、
    処理を実行させる評価プログラム。
  2. 前記第1のデータを対応付ける処理において、
    前記複数のクラスタの各々について、当該クラスタから他のクラスタへの遷移の確率の差を算出し、
    算出された前記差が最小である第1のクラスタを特定し、特定された前記第1のクラスタに対して、前記第のデータを対応付ける、
    請求項1記載の評価プログラム。
  3. 前記コンピュータに、
    前記第1のクラスタ以外のクラスタの各々について、当該クラスタに属する前記特徴量についての音データの実効値を算出し、
    算出された前記実効値がより大きい方のクラスタである第2のクラスタに対して
    前記対象が定常運転中であることを示す第2のデータを対応付け、算出された前記実効値がより小さい方のクラスタである第3のクラスタに対して、前記対象が停止中であることを示す第3のデータを対応付ける、
    処理をさらに実行させる請求項2記載の評価プログラム。
  4. 前記複数のクラスタの各々から他のクラスタへの遷移の確率を算出する処理において、
    各時刻において前記特徴量が属するクラスタの識別情報を含む第4のデータを生成し、
    前記第4のデータに基づき、前記複数のクラスタの各々について、当該クラスタから他の各クラスタへ遷移した回数を当該クラスタについての全遷移回数で除することで、前記複数のクラスタの各々から他のクラスタへの遷移の確率を算出する、
    請求項1乃至3のいずれか1つ記載の評価プログラム。
  5. 前記音データとは異なる他の音データを取得した場合、前記他の音データから前記特徴量を抽出し、
    前記他の音データから抽出した前記特徴量と、前記第のデータが対応付けられたクラスタに属する前記特徴量とに基づき算出した異常度により、前記対象について異音が発生したか判定する、
    処理を前記コンピュータにさらに実行させる請求項3記載の評価プログラム。
  6. コンピュータが、
    音データから各時刻における特徴量を抽出し、抽出された前記特徴量に対するクラスタリングにより前記特徴量のクラスタを複数生成し、
    各時刻において前記特徴量が属するクラスタの変化に基づき、複数のクラスタの各々から他のクラスタへの遷移の確率を算出し、
    前記複数のクラスタの各々から他のクラスタへの遷移の確率に基づき、前記複数のクラスタのうち、対象が非定常運転中であるクラスタを特定し、特定した前記クラスタに対して、前記対象が非定常運転中であることを示す第1のデータを対応付ける、
    処理を実行する評価方法。
  7. 音データから各時刻における特徴量を抽出し、抽出された前記特徴量に対するクラスタリングにより前記特徴量のクラスタを複数生成する生成部と、
    各時刻において前記特徴量が属するクラスタの変化に基づき、複数のクラスタの各々から他のクラスタへの遷移の確率を算出する算出部と、
    前記複数のクラスタの各々から他のクラスタへの遷移の確率に基づき、前記複数のクラスタのうち、対象が非定常運転中であるクラスタを特定し、特定した前記クラスタに対して、前記対象が非定常運転中であることを示す第1のデータを対応付ける対応付け部と、
    を有する評価装置。
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